説明

電子機器

【課題】リード線をプリント配線基板上で保持する作業を簡略化して半田付け作業の効率を高めることができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、基板面にランド5が配置されたプリント配線基板1と、プリント配線基板1を位置決め保持する基板保持部材4と、を備える。プリント配線基板1には、ランド5の近傍に穴部8が貫通して設けられる。基板保持部材4には、プリント配線基板1を位置決め保持した状態で穴部8を挿通してプリント配線基板1の基板面から突出し、ランド5に電気的に接続するためのリード線3を保持する保持部7を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板のランドにリード線を半田付けする際にリード線を保持する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板のランドにリード線を手作業で半田付けする場合、ランドに対するリード線の半田位置にずれが生じたり、リード線がランドから浮いたりして、リード線とランドとの間に十分な合金層が形成されず、半田不良が発生しやすい。
【0003】
そこで、図5に示す半田付け用の補助工具22が提案されている(特許文献1)。この補助工具22は、プリント配線基板21に形成された穴部24に係止される係止部22aと、リード線23を保持する保持部22bとを備える。
【0004】
そして、保持部22bでリード線23を挟持して保持し、この状態で、リード線23の先端がランド25の中央部に位置するように保持位置を調整して係止部22bを基板保持部材26に保持されたプリント配線基板21の穴部24に係止する。これにより、作業者はリード線23を手で持つ必要がなく、例えば右手で半田こてを持ち、左手で半田を持ってリード線23をランド25に押し付けることで、リード線23の半田付け作業を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−206628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1では、リード線23をプリント配線基板21上で保持する際には、保持部22bでリード線23を保持する作業、保持位置を調整する作業、及び係止部22aをプリント配線基板21の穴部24に係止する作業が必要となる。このため、半田付け作業の効率が低下する。
【0007】
そこで、本発明は、リード線をプリント配線基板上で保持する作業を簡略化して半田付け作業の効率を高めることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、基板面にランドが配置されたプリント配線基板と、前記プリント配線基板を位置決め保持する基板保持部材と、を備え、前記プリント配線基板には、前記ランドの近傍に穴部が貫通して設けられ、前記基板保持部材には、前記プリント配線基板を位置決め保持した状態で前記穴部を挿通して前記プリント配線基板の基板面から突出し、前記ランドに電気的に接続するためのリード線を保持する保持部を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リード線をプリント配線基板上で保持する作業を簡略化することができるので、半田付け作業の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態の一例である電子機器の斜視図である。
【図2】ストロボ昇圧回路のブロック図である
【図3】図1に示す電子機器の一部を拡大した斜視図である。
【図4】図3を上方から見た平面図である。
【図5】(a)は従来の半田付け用補助工具を用いてプリント配線基板でリード線を保持した状態を示す斜視図、(b)は半田付け用補助工具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の電子機器は、プリント配線基板1と、プリント配線基板1を位置決め保持する基板保持部材4とを備える。基板保持部材4の保持面には、プリント配線基板1に形成された位置決め穴1aが嵌め込まれる位置決めダボ4aが突設されている。
【0013】
そして、プリント配線基板1の位置決め穴1aを基板保持部材4の位置決めダボ4aに嵌め込んだ状態で、ねじ6等によりプリント配線基板1を基板保持部材4に締結することにより、基板保持部材4に対してプリント配線基板1が位置決め保持される。
【0014】
ここで、基板保持部材4は、半田付け作業の専用の部材としてもよいが、特に限定されない。本実施形態では、基板保持部材4として、デジタルカメラ等の電子機器の電池収納部材を採用し、また、プリント配線基板1として、ストロボ用昇圧回路が配線された基板を採用している。
【0015】
図2は、ストロボ用昇圧回路20の一例を示すブロック図である。図2に示すように、ストロボ用昇圧回路20は、電池収納部材に収納された電池15の電圧を昇圧インバータ16にて交流電圧に変換して昇圧し、昇圧した交流電圧をダイオード17で整流してコンデンサ18にチャージさせる。そして、コンデンサ18にチャージされた交流電圧をキセノン管19に放電することで、キセノン管19を発光させることができる。
【0016】
このとき、キセノン管19を含むストロボ用昇圧回路20には、大きな電流が流れため、キセノン管19への接続は、図1に示すように、プリント配線基板1のランド5にリード線3を半田付けすることで行われる。
【0017】
図3は図1に示す電子機器の一部を拡大した斜視図、図4は図3を上方から見た平面図である。
【0018】
図3及び図4に示すように、プリント配線基板1のランド5の近傍には、穴部8が貫通して設けられている。なお、穴部8の形状は、特に限定されず、例えば切欠き状の穴部であってよい。また、基板保持部材4には、プリント配線基板1の長穴状の穴部8を挿通してプリント配線基板1の基板面から突出する一対の柱部7が設けられている。本実施形態では、一対の柱部7は、基板保持部材4と同一の部材で基板保持部材4と一体に設けられている。ここで、一対の柱部7は、本発明の保持部の一例に相当する。
【0019】
一対の柱部7は、プリント配線基板1の穴部8を挿通した状態では、穴部8の長手方向の両側に配置されて、その間隔が、リード線3を挟持して保持できる間隔に設定されている。
【0020】
ここで、一対の柱部7の少なくともリード線3の接触面を円弧面としてリード線3の被覆の破損を防止するため、本実施形態では、一対の柱部7を円柱形状としている。
【0021】
また、本実施形態では、プリント配線基板1の基板面から突出する柱部7の突出量をリード線3の線径より大きくすることで、リード線3を確実に保持することができる。
【0022】
更に、本実施形態では、プリント配線基板1の基板面から突出する一対の柱部7を結ぶ線の方向Aとランド5の略中心を通る線の方向Bとが直交するように一対の柱部7及び穴部8を形成している。これにより、一対の柱部7に保持されたリード線3に負荷がかかり難くするとともに、保持後のリード線3の位置をずれ難くしている。
【0023】
そして、リード線3をプリント配線基板1のランド5に半田付けする際には、作業者がリード線3の先端の位置をランド5の略中央に合わせ、この状態で、一対の柱部7の間にリード線3を挟みこむ。これにより、リード線3の先端をランド5の位置に合せた状態で一対の柱部7でリード線3を保持することができる。
【0024】
その後、作業者は、リード線3を手で持つ必要がなく、例えば右手で半田こてを持ち、左手で半田を持ってリード線3をランド5に押し付けて半田付け作業を行う。これにより、リード線3がランド5に電気的に接続される。
【0025】
以上説明したように、本実施形態では、リード線3の先端の位置をランド5の略中央に合わせた状態で、一対の柱部7の間にリード線3を挟みこむだけで、リード線3をプリント配線基板1上で保持して半田付け作業を開始することができる。このため、リード線3をプリント配線基板1上で保持する作業が簡略化されて、半田付け作業の効率を高めることができる。
【0026】
また、本実施形態では、一対の柱部7が基板保持部材4に一体に設けられているため、新たな部材を必要とせず、また、半田付け作業の効率を高めることができることから、プリント配線基板1が組み込まれる電子機器の低コスト化を図ることができる。
【0027】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 プリント配線基板
3 リード線
4 基板保持部材
5 ランド
7 柱部
8 穴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板面にランドが配置されたプリント配線基板と、
前記プリント配線基板を位置決め保持する基板保持部材と、を備え、
前記プリント配線基板には、前記ランドの近傍に穴部が貫通して設けられ、
前記基板保持部材には、前記プリント配線基板を位置決め保持した状態で前記穴部を挿通して前記プリント配線基板の基板面から突出し、前記ランドに電気的に接続するためのリード線を保持する保持部を設けることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記保持部は、前記リード線が前記ランドを通る線の方向を向くように前記リード線を保持することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記保持部は、少なくとも前記リード線の接触面が円弧面で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記プリント配線基板の基板面から突出する前記保持部の突出量を前記リード線の線径より大きくしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記保持部は、前記基板保持部材と同一の部材で前記基板保持部材に一体に設けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記プリント配線基板には、ストロボ用昇圧回路が配線されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記基板保持部材は、電子機器の電池収納部材であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−124415(P2012−124415A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275777(P2010−275777)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】