説明

電子機器

【課題】多値書込フラッシュメモリの活用されていないエリアを使用し、データ領域内の退避領域を不要とする。
【解決手段】コントローラ10は、多値書込フラッシュメモリ6のデータ領域への新規データ書込時には、先ずこの新規データの書込先アドレスを決定し、次に前記新規データの書込先アドレスに対応するデータ領域のアドレスに書込済データが存在するか否かを検出し、前記書込先アドレスに対応するアドレスに書込済データが存在すると判断した時には、前記書込済データのコピーをFAT予約領域に書込み、その後、前記新規データをFAT予約領域に書込み、次に、FAT予約領域に存在する新規データと前記書込済データをデータ領域に書込む構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FAT領域とデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリの装着部を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FAT領域とデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリは、書込容量が飛躍的に大きくなるので、各種電子機器において活用されている。
【0003】
前記多値書込フラッシュメモリは、データ領域の同じアドレスに、データを多値書込みするものであるが、新規データを書込もうとするアドレスに、既に書込済データが存在する場合には、その書込済データの破壊を防止するために、データ領域内の退避領域に書込済データを退避させるようにしている(これに類似する先行文献としては下記特許文献1が存在する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−205555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来例における課題は、電子機器が高価になるということである。
【0006】
すなわち、この電子機器に用いる多値書込フラッシュメモリは、データ領域内に退避領域を設けなければならないので、その分、容量を大きくしなければならず、その結果として高価なものとなってしまう。
【0007】
そして、このような理由により、多値書込フラッシュメモリが高価になると、それを用いる電子機器の生産コストも高くなってしまうのである。
【0008】
そこで、本発明は、電子機器の生産コストを下げることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために本発明は、FAT領域とデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリの装着部と、この装着部に装着された多値書込フラッシュメモリからのデータ読込制御、および前記多値書込フラッシュメモリへのデータ書込制御を行うコントローラとを備え、前記コントローラは、前記多値書込フラッシュメモリのデータ領域への新規データ書込時には、先ずこの新規データの書込先アドレスを決定し、次に前記新規データの書込先アドレスに対応するデータ領域のアドレスに書込済データが存在するか否かを検出し、前記書込先アドレスに対応するアドレスに書込済データが存在すると判断した時には、前記書込済データのコピーをFAT領域に書込み、その後、前記新規データをFAT領域に書込み、次に、FAT領域に存在する新規データと前記書込済データをデータ領域に書込む構成とし、これによって所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、FAT領域とデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリの装着部と、この装着部に装着された多値書込フラッシュメモリからのデータ読込制御、および前記多値書込フラッシュメモリへのデータ書込制御を行うコントローラとを備え、前
記コントローラは、前記多値書込フラッシュメモリのデータ領域への新規データ書込時には、先ずこの新規データの書込先アドレスを決定し、次に前記新規データの書込先アドレスに対応するデータ領域のアドレスに書込済データが存在するか否かを検出し、前記書込先アドレスに対応するアドレスに書込済データが存在すると判断した時には、前記書込済データのコピーをFAT領域に書込み、その後、前記新規データをFAT領域に書込み、次に、FAT領域に存在する新規データと前記書込済データをデータ領域に書込む構成としたものであるので、生産コストを下げることができる。
【0011】
すなわち、本発明は、FAT領域には、活用されていない十分に大きなエリアが存在することに着目したものであり、ここを活用することで、多値書込フラッシュメモリのデータ領域の大容量化を無くし、それによって多値書込フラッシュメモリ、およびそれを用いる電子機器の生産コストを下げるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電子機器を搭載した車内の正面側の斜視図
【図2】同車載用電子機器の制御ブロック図
【図3】同要部の構成図
【図4】同要部の構成図
【図5】同要部の動作説明図
【図6】同動作フローチャート
【図7】同動作フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を、車載用電子機器に適用したものを、添付図面を用いて説明する。
【0014】
図1において、1は車両の車内を示し、そのフロント部分には、ハンドル2が設けられ、またこのハンドル2の側方のコンソールボックス3部分には車載用電子機器4が設置されている。
【0015】
車載用電子機器4の前面には、光ディスクの挿入部5と、カード状の多値書込フラッシュメモリ(図2の6)が挿入される挿入部7が設けられている。
【0016】
図2は車載用電子機器4の制御ブロック図であり、挿入部5に対応し、光ディスクからデータ読込むための光ピックアップ部8と、読み込んだデータを処理する光信号処理部9が設けられている。
【0017】
また、挿入部7に対応し、多値書込フラッシュメモリ6からのデータ読込制御、および前記多値書込フラッシュメモリへのデータ書込制御を行うコントローラ10が設けられている。
【0018】
さらに、光信号処理部9とコントローラ10は、インターフェース部11を介して増幅部12、音声出力部13が接続されている。
【0019】
なお、音声出力部13には、図1の車内1の各部に設置されたスピーカ(図示せず)が接続されている。
【0020】
図3は、多値書込フラッシュメモリ6のアドレス構造を示すもので、大きくは、管理領域14と、FAT領域15と、データ領域16に分割されている。
【0021】
また、本実施の形態では、FAT領域15内の後半部分をFAT予約領域15aとしている。
【0022】
なお、管理領域14と、FAT領域15とFAT予約領域15aは、2値書込みが行われるようになっている。
【0023】
これに対して、データ領域16は多値書込が行われるようになっている。
【0024】
具体的には、このデータ領域16においては、図4に示すメモリゲート構成となっており、17はソース、18はドレイン、19はコントロールゲート、20はフローティングゲートである。
【0025】
この構造と動作は周知のことであるので、説明は簡略化するが、この図4に示すメモリゲート構成によれば、図5に示すように、同じアドレスに対する多値書込が行えるようになっている。
【0026】
本実施形態において、多値書込フラッシュメモリ6のデータ領域16への新規データ書込時(図6のS1)には、コントローラ10は以下のように動作する。
【0027】
先ず、この新規データの書込先アドレスを決定し(図6のS2)、次に前記新規データの書込先アドレスに対応するデータ領域16のアドレスに書込済データが存在するか否かを検出(図6のS3)する。
【0028】
そして、前記書込先アドレスに対応するアドレスに書込済データがデータ領域16に存在すると判断した時には、前記データ領域16内の書込済データのコピーをFAT領域15のFAT予約領域15aに書込み(図6のS4)、その後、前記新規データをFAT領域16のFAT予約領域15aに書込む(図6のS5)。
【0029】
コントローラ10は、新規データのFAT予約領域15aへの書込みが完了すると、FAT予約領域15aに書込まれた新規データと書込済データを有効とする有効フラグを立てる(図6のS6)。
【0030】
その後、コントローラ10は、FAT予約領域15aに存在する新規データと前記書込済データをデータ領域16に書込む(図6のS7)。
【0031】
コントローラ10は、FAT予約領域15aに存在する新規データと前記書込済データのデータ領域16への書込みが完了すると有効フラグを降ろし(図6のS8)、書込が完了する(図6のS9)。
【0032】
また、(図6のS3)において、前記新規データの書込先アドレスに対応するデータ領域16のアドレスに書込済データが存在しないと検出されたときには、直ちにデータ領域16への書込をし(図6のS10)、書込が完了する(図6のS9)。
【0033】
図7は書込時に電源供給が停止した時の復旧を示したものである。
【0034】
電源供給が復旧すると、コントローラ10により、復旧処理が開始される(図7のS1)。
【0035】
コントローラ10は、前記(図6のS6)により有効フラグの存在を確認する(図7の
S)。
【0036】
次に、コントローラ10は、前記(図6のS6)による有効フラグの存在を確認すると、コントローラ10は、FAT予約領域15aに存在する新規データと前記書込済データをデータ領域16に書込む(図7のS3)。
【0037】
そして、FAT予約領域15aに存在する新規データと前記書込済データのデータ領域16への書込みが完了すると、有効フラグを降ろし(図7のS4)、復旧処理が完了する(図7のS5)。
【0038】
また、(図7のS2)において、前記有効フラグが存在しないと検出されたときには、復旧処理が完了する(図7のS5)。
【0039】
以上のごとく、本実施形態は、多値書込フラッシュメモリ6のFAT領域15には、活用されていない十分に大きなエリアが存在することに着目したものであり、コントローラ10により、ここを活用した書込みを行うことで、多値書込フラッシュメモリ6のデータ領域の大容量化を無くし、それによって多値書込フラッシュメモリ6、およびそれを用いる車載用電子機器4の生産コストを下げることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように本発明は、FAT領域とデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリの装着部と、この装着部に装着された多値書込フラッシュメモリからのデータ読込制御、および前記多値書込フラッシュメモリへのデータ書込制御を行うコントローラとを備え、前記コントローラは、前記多値書込フラッシュメモリのデータ領域への新規データ書込時には、先ずこの新規データの書込先アドレスを決定し、次に前記新規データの書込先アドレスに対応するデータ領域のアドレスに書込済データが存在するか否かを検出し、前記書込先アドレスに対応するアドレスに書込済データが存在すると判断した時には、前記書込済データのコピーをFAT領域に書込み、その後、前記新規データをFAT領域に書込み、次に、FAT領域に存在する新規データと前記書込済データをデータ領域に書込む構成としたものであるので、生産コストを下げることができる。
【0041】
すなわち、本発明は、FAT領域には、活用されていない十分に大きなエリアが存在することに着目したものであり、ここを活用することで、多値書込フラッシュメモリのデータ領域の大容量化を無くし、それによって多値書込フラッシュメモリ、およびそれを用いる電子機器の生産コストを下げるものである。
【0042】
したがって、車載用やその他の部分で活用される電子機器に広く活用されるものとなる。
【符号の説明】
【0043】
1 車内
2 ハンドル
3 コンソールボックス
4 車載用電子機器
5 挿入部
6 多値書込フラッシュメモリ
7 挿入部
8 光ピックアップ部
9 光信号処理部
10 コントローラ
11 インターフェース部
12 増幅部
13 音声出力部
14 管理領域
15 FAT領域
15a FAT予約領域
16 データ領域
17 ソース
18 ドレイン
19 コントロールゲート
20 フローティングゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FAT領域とデータ領域を有する多値書込フラッシュメモリの装着部と、この装着部に装着された多値書込フラッシュメモリからのデータ読込制御、および前記多値書込フラッシュメモリへのデータ書込制御を行うコントローラとを備え、前記コントローラは、前記多値書込フラッシュメモリのデータ領域への新規データ書込時には、先ずこの新規データの書込先アドレスを決定し、次に前記新規データの書込先アドレスに対応するデータ領域のアドレスに書込済データが存在するか否かを検出し、前記書込先アドレスに対応するアドレスに書込済データが存在すると判断した時には、前記書込済データのコピーをFAT領域に書込み、その後、前記新規データをFAT領域に書込み、次に、FAT領域に存在する新規データと前記書込済データをデータ領域に書込む構成とした電子機器。
【請求項2】
コントローラは、新規データのFAT領域への書込みが完了すると、FAT領域に書込まれた新規データと書込済データを有効とする有効フラグを立てる構成とした請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
コントローラは、FAT領域に存在する新規データと前記書込済データのデータ領域への書込みが完了すると、有効フラグを降ろす構成とした請求項2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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