説明

電子機器

【課題】
内蔵SRAM及び外部SRAMにそれぞれ別の設定情報を保存する場合でバックアップ電源が不足したときの異常動作を低減する。
【解決手段】
バックアップ電池(107)は、内蔵SRAM(103)及び外部SRAM(104〜106)にデータ保持のための電圧を供給する。内蔵SRAM(103)及び外部SRAM(104〜106)は一方から他方に又は相互に依存する設定情報を記憶する。システムコントローラ(102)は内蔵SRAM(103)の保持データに不正を検出すると、内蔵SRAM(103)の設定情報を消去し、内蔵SRAM103)の設定情報に依存する設定情報を記憶する外部SRAM(104〜106)の設定情報も消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に関し、機器の動作設定のための設定情報を記憶する複数の記憶手段を具備する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラや携帯電話などの電子機器には、様々な機能をユーザの意図に合うように変更するための設定項目が用意されている。これらの機器では、各設定項目の設定内容を電池でバックアップされたSRAMに保存し、機器が電源オフ状態でも設定内容が保持される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、これらの機器の多機能化、高機能化が進んでおり、ユーザが設定する設定項目数も増加している。そのため、一つのSRAMだけでは設定内容を保存するための記憶容量が足りず、複数のSRAMに設定内容を分散して保存する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−105290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
SRAMのバックアップ電池が消耗し、SRAMのデータ保持電圧を下回った場合、SRAMに保存されたデータの内容は保証されない。その場合、ユーザが設定したはずの機能が動作せず、異常な動作をすることがある。
【0006】
また、設定情報を複数の、例えば2つのSRAMに分散記憶する構成では、各SRAMのデータ保持電圧が、例えば片方は1.8V、もう一方は1.5Vのように異なることがある。この場合、バックアップ電池から供給される電圧が1.8V未満から1.5V以上の間になると、片方のSRAMのデータは異常となるが、もう一方はデータが保持されているという状態になる。
【0007】
一方のSRAMに保存される設定内容が他方のSRAMに保存される設定内容に関連している場合、電圧低下により一方のSRAMの内容が異常となると、全体として、正常動作が期待できなくなる。
【0008】
また、設定情報を記憶する記憶手段として、電池でバックアップした揮発性メモリの代わりに、不揮発性メモリを使う構成も知られている。不揮発性メモリも、劣化等により保持データを読み出せなくなったり、訂正不能な読み出しエラーを生じることがある。このような場合には、電池バックアップされた揮発性メモリでバックアップ電池の出力電圧低下のときと同様の問題が生じうる。
【0009】
本発明は、設定情報を記憶する複数の記憶手段を使用する場合の上述した問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子機器は、第1の設定情報を記憶する第1の記憶媒体と、第2の設定情報を記憶する第2の記憶媒体と、前記第1の及び前記第2の記憶媒体の記憶が適正かどうかを検出する検出手段と、前記第1の記憶媒体及び前記第2の記憶媒体の何れかの記憶が適正でない場合に、前記第1の及び前記第2の記憶媒体をそれぞれ前記第1の設定情報の初期値及び前記第2の設定情報の初期値で初期化する制御手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1及び第2の記憶媒体にそれぞれ別の設定情報を保存する場合で、設定情報を正しく読み出せないときの異常動作の可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】システムコントローラの第1の動作フローチャートである。
【図3】グループ管理テーブルの一例である。
【図4】所属グループ検索テーブルの一例である。
【図5】システムコントローラの第2の動作フローチャートである。
【図6】依存関係管理テーブルの一例である。
【図7】システムコントローラの第3の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る電子機器の一実施例であるデジタルビデオカメラの概略構成ブロック図である。
【0015】
101はユーザによる操作を受け付けるための操作スイッチであり、パワーキー、アサインボタン等からなる。102は操作スイッチ101からのユーザによる操作を読み取り、デジタルビデオカメラの動作をコントロールするためのシステムコントローラである。システムコントローラ102は、マイクロコンピュータ(マイコン)、マイコンの動作プログラムなどを記憶するROM、プログラムを実行する際に使われる作業用のRAM等を含む。システムコントローラ102は、全体を制御する制御手段として機能する。103はシステムコントローラ102に内蔵された内蔵SRAM(Static RAM)である。デジタルビデオカメラの動作の設定状態に関する設定情報が、内蔵SRAM103に格納される。
【0016】
104、105、106はシステムコントローラ102の外部に接続された外部SRAMであり、内蔵SRAM103に収まらない設定情報が保存される。107は、内蔵SRAM103及び外部SRAM104〜106に電力を供給するバックアップ電池である。内蔵SRAM103及び外部SRAM104〜106はいわゆる揮発性メモリであり、記憶データの保持に電力を必要としない不揮発性メモリを使用する場合、バックアップ電池は不要である。不揮発性メモリに設定データを保存する場合、不揮発性メモリの劣化又は読み出しエラーで同様の問題が生じうる。
【0017】
108は光学レンズ、撮像素子等によって構成される撮像部である。撮像部108では、撮像素子が、光学レンズによって集光された光学像を電気信号に変換し、画像信号として画像処理部109に出力する。画像処理部109は、撮像部108から入力された画像信号をMPEG2フォーマットの動画データに圧縮符号化し、メモリーカードスロット110に装着されたメモリーカードに書き込む。
【0018】
本実施例では、内蔵SRAM103のデータ保持電圧は1.8Vであり、バックアップ電池107によって与えられる電圧がこの値を下回ると、記憶データが異常又は不定になる。外部SRAM104〜106のデータ保持電圧は1.5Vであり、同様にバックアップ電池107によって与えられる電圧がこの値を下回ると、記憶データが異常又は不定になる。このため、バックアップ電池107の電圧が1.5V以上1.8V未満になると、外部SRAM104〜106はデータを正常に保持するが、内蔵SRAM103の記憶データは異常又は不定となる。
【0019】
システムコントローラ102は、内蔵SRAM103に供給される電源電圧が1.8V未満になったか否かを検出する検出回路を有している。この検出回路が、バックアップ電池107の出力電圧が1.8V未満になったことを検出した場合、システムコントローラ102は、内蔵する内蔵SRAMクリア要求レジスタに所定値を設定する。システムコントローラ102上で動作するプログラムは、このレジスタの値を参照することで、内蔵SRAM103の値が正常に保持されているかどうかを知ることが出来る。すなわち、システムコントローラ102は、内蔵SRAM103の記憶が適正かどうかを検出する。
【0020】
SRAM103〜106に記憶すべき情報を説明する。本実施例では、ビデオカメラの動作の設定状態に関する情報を内部のSRAM103と外部SRAM104〜106に記憶する。具体的には、本実施例では、操作スイッチ101の所定の操作スイッチ材(アサインボタン)に対しユーザが任意の機能を割り当てることができる。システムコントローラ102は、ユーザによりアサインボタンに機能が割り当てられると、アサインボタンに割り当てられている機能を識別するための設定情報を外部SRAM104に記憶する。外部SRAM104の記憶領域は、設定情報を記憶しておくための領域(設定情報格納領域)と、後述するチェックサムを格納する領域(チェックサム格納領域)に分けて使用される。
【0021】
外部SRAM104にデータを書き込んだ後、システムコントローラ102は、外部SRAM104内の設定情報格納領域のデータ全てを4Byte単位で加算することで、設定情報データのチェックサムを計算する。その後、外部SRAM104内のチェックサム格納領域に計算したチェックサムを書き込む。以後、システムコントローラ102は、外部SRAM104内の設定情報格納領域のデータを加算して算出するチェックサムと、チェックサム格納領域の値とを比較することで、外部SRAM104のデータが正常か否かを判断出来る。すなわち、システムコントローラ102は、チェックサムにより内蔵SRAM103及外部SRAM104〜106等の複数の記憶媒体の各記憶が適正かどうかを検出する。
【0022】
また、システムコントローラ102は、アサインボタンに割り当てた機能に関する設定値の情報を内蔵SRAM103に記憶する。内蔵SRAM103のデータが異常となったときに、外部SRAM104に記録されているアサインボタンの機能が実行された場合、異常な設定値に従って当該機能を実行されてしまう可能性がある。
【0023】
また、本実施例のビデオカメラは、マイメニューという機能を持つ。この機能は、複数のメニュー項目のうち、ユーザが選択した項目をマイメニュー(自分用にカスタマイズしたメニュー)の項目として設定する機能である。ユーザは、マイメニューの表示を指示することにより、ディスプレイ111に、マイメニューとして選択した項目だけを一覧表示させることができる。
【0024】
システムコンピュータ102は、マイメニュー機能において選択されたメニュー項目を識別するための設定情報を外部SRAM104に記憶する。また、ユーザによって設定された各メニューの項目の設定値の情報を内蔵SRAM103に記憶する。
【0025】
図2は、本実施例の電源オン時の動作フローチャートである。このフローチャートにおける各処理は、システムコントローラ102のマイコンが、同システムコントローラ102内のプログラムコードを読み出して実行することにより実現される。
【0026】
ビデオカメラの電源がオフになっている状態から、ユーザによる操作スイッチ101の操作によって電源がオンされると、システムコントローラ102はステップS201から処理をスタートする。
【0027】
ステップS201で、システムコントローラ102は内蔵SRAM103のクリア要求があるかどうかを、内蔵SRAMクリア要求レジスタを読み出すことで確認する。クリア(消去)要求がある場合には、ステップS202に進み、なければステップS203に進む。
【0028】
ステップS202で、システムコントローラ102は、内蔵SRAMのデータを全て0にクリアする。ステップS201で内蔵SRAMのクリア要求があったことにより、内蔵SRAMに保存されているデータが異常となっている可能性があるからである。データをクリアした後、ステップS203に進む。
【0029】
ステップS203で、システムコントローラ102は、内蔵SRAM103に格納されている設定データ初期化済みフラグを読み出し、設定データが未初期化状態であるかどうかを確認する。このフラグは内蔵SRAM103の設定データおよび外部SRAM104の設定データが初期化済みであるかどうかを表すフラグであり、その値は本フローチャート内で設定される。設定データが未初期化状態であればステップS206に、設定データが初期化済みであればステップS204に進む。
【0030】
ステップS204で、システムコントローラ102は、外部SRAM104に保存されている設定情報格納領域のデータのチェックサムを計算し、その結果と外部SRAM104のチェックサム格納領域のチェックサムを比較する。その結果が同一であれば、システムコントローラ102は、外部SRAM104の設定内容格納領域のデータは正常であると判断し、ここで処理は終了する。結果が同一でなければ、システムコントローラ102は、外部SRAM104の設定情報格納領域に保存されているデータは異常であると判断し、ステップS205に進む。
【0031】
ステップS205で、システムコントローラ102は、内蔵SRAM103に格納されている設定データ初期化済みフラグをクリアする。換言すると、設定データ初期化済みフラグに、設定データが未初期化であることを示す値を設定する。値を設定した後、ステップS201に戻る。これにより、次にステップS203の処理が行われたときに、設定データは未初期化であると判定される。
【0032】
ステップS206で、システムコントローラ102は、外部SRAM104に保存されているデータを全て0に設定する。次に、システムコントローラ102は、内蔵ROMから設定データの初期値を読み出し、外部SRAM104に保存する。これにより、外部SRAM104の設定データは初期状態に設定される。またこのとき、システムコントローラ102は、外部SRAM104の設定情報格納領域のチェックサムを計算し、チェックサム格納領域に書き込む。その後、ステップS207に進む。
【0033】
ステップS207で、システムコントローラ102は、内蔵SRAM103に保存されているデータを全て0に設定する。次に、システムコントローラ102は、内蔵ROMから設定データの初期値を読み出し、内蔵SRAM103に保存する。これにより、内蔵SRAM103の設定データは初期状態に設定される。その後、ステップS208に進む。
【0034】
ステップS208で、システムコントローラ102は、内蔵SRAM103に格納されている設定データ初期化済みフラグに、設定データが初期化済みであることを示す値を設定する。ここで処理は終了する。
【0035】
以上の処理により、内蔵SRAM103又は外部SRAM104に保存されているデータが異常となった場合に、両方のデータを初期化する。これにより、内蔵SRAM103に保存されているデータと、外部SRAM104に保存されているデータが関連している場合に、一方のSRAMのデータが異常となることによる動作異常を防止できる。
【実施例2】
【0036】
内蔵SRAM103と外部SRAM104〜106を関連するデータ毎のグループに分けて、設定データの保存先とする場合の実施例又は処理方法を説明する。
【0037】
SRAM103〜106を複数のグループにわけ、それぞれのグループ内の記憶媒体で相互に関連する設定データを保存する。どのグループにどのSRAMが属しているかは、グループ管理テーブルと呼ばれるテーブルによって管理する。グループ管理テーブルはグループの名称とそのグループに所属するグループメンバとから成るリストによって構成され、システムコントローラ102内のROMに予め格納されている。図3は、グループ管理テーブルの一例を示す。図3に示す例では、グループAに内蔵SRAM103と外部SRAM106が所属し、グループBに外部SRAM104と外部SRAM105が所属する。
【0038】
また、どのSRAMがどのグループに所属するかを調べるために、所属グループ検索テーブルと呼ばれるテーブルを持つと便利である。所属グループ検索テーブルは、記憶媒体の名称とその記憶媒体の所属するグループの名称とのペアから成るリストによって構成され、システムコントローラ102内のROMに予め格納されている。図4は、図3に示すグループ管理テーブルに対応する所属グループ検索テーブルの一例を示す。
【0039】
図5は、実施例2の電源オン時の動作フローチャートである。このフローチャートにおける各処理は、システムコントローラ102のマイコンが、同システムコントローラ102内のプログラムコードを読み出して実行することにより実現される。
【0040】
デジタルビデオカメラの電源がオフになっている状態から、ユーザによる操作スイッチ101の操作によって電源がオンされると、システムコントローラ102はステップS501から処理をスタートする。
【0041】
ステップS501で、システムコントローラ102は、内蔵SRAMのクリア要求があるかどうかを、内蔵SRAMクリア要求レジスタを読み出すことで確認する。クリア要求がある場合にはステップS502に進み、なければステップS504に進む。
【0042】
ステップS502で、システムコントローラ102は、内蔵SRAM103がどのグループに所属するかを割り出す。具体的には、システムコントローラ102は、所属グループ検索テーブルを参照し、その中の内蔵SRAM103の項目を検索し、ペアになっている所属グループの名称を割り出す。その後、ステップS503に進む。
【0043】
ステップS503で、システムコントローラ102は、ステップS502で割り出したグループの名称を用いてグループ管理テーブルを検索し、割り出したグループに属す記憶媒体を特定する。次に、システムコントローラ102は、特定された記憶媒体が保持しているデータを全て0に設定する。さらに、システムコントローラ102は、内蔵ROMから設定データの初期値を読み出し、内蔵SRAM103に保存する。これにより、内蔵SRAM103に保存されている設定データは初期状態に設定される。その後、ステップS504に進む。
【0044】
ステップS504で、システムコントローラ102は、外部SRAM104に保存されている設定情報格納領域のデータのチェックサムを計算し、その結果と外部SRAM104のチェックサム格納領域のチェックサムを比較する。その結果が同一であれば、システムコントローラ102は、外部SRAM104の設定内容格納領域のデータは正常であると判断し、ステップS507に進む。結果が同一でなければ、システムコントローラ102は、外部SRAM104の設定情報格納領域に保存されているデータは異常であると判断し、ステップS505に進む。
【0045】
ステップS505で、システムコントローラ102は、外部SRAM104がどのグループに所属するかを割り出す。具体的には、システムコントローラ102は、所属グループ検索テーブルを参照し、その中の外部SRAM104の項目を検索し、ペアになっている所属グループの名称を割り出す。その後、ステップS506に進む。
【0046】
ステップS506で、システムコントローラ102は、ステップS505で割り出したグループの名称を用いてグループ管理テーブルを検索し、割り出したグループに属す記憶媒体を特定する。次に、システムコントローラ102は、特定された記憶媒体が保持しているデータを全て0に設定する。さらに、システムコントローラ102は、内蔵ROMから設定データの初期値を読み出し、外部SRAM104に保存する。またこのとき、システムコントローラ102は、外部SRAM104の設定情報格納領域のチェックサムを計算し、チェックサム格納領域に書き込む。これにより、外部SRAM104に保存されている設定データは初期状態に設定される。その後、ステップS507に進む。
【0047】
ステップS507で、システムコントローラ102は、外部SRAM105に保存されている設定内容格納領域のデータのチェックサムを計算し、その結果と外部SRAM105のチェックサム格納領域のチェックサムを比較する。その結果が同一であれば、システムコントローラ102は、外部SRAM105の設定情報格納領域のデータは正常であると判断し、ステップS510に進む。結果が同一でなければ、システムコントローラ102は、外部SRAM105の設定情報格納領域に保存されているデータは異常であると判断し、ステップS508に進む。
【0048】
ステップS508では、システムコントローラ102は、外部SRAM105がどのグループに所属するかを割り出す。具体的には、システムコントローラ102は、所属グループ検索テーブルを参照し、その中の外部SRAM105の項目を検索し、ペアになっている所属グループの名称を割り出す。その後、ステップS509に進む。
【0049】
ステップS509で、システムコントローラ102は、ステップS508で割り出したグループの名称を用いてグループ管理テーブルを検索し、割り出したグループに属す記憶媒体を特定する。次に、システムコントローラ102は、特定された記憶媒体が保持しているデータを全て0に設定する。さらに、システムコントローラ102は、内蔵ROMから設定データの初期値を読み出し、外部SRAM105に保存する。またこのとき、外部SRAM105の設定情報格納領域のチェックサムを計算し、チェックサム格納領域に書き込む。これにより、外部SRAM105に保存されている設定データは初期状態に設定される。その後、ステップS510に進む。
【0050】
ステップS510で、システムコントローラ102は、外部SRAM106に保存されている設定内容格納領域のデータのチェックサムを計算し、その結果と外部SRAM106のチェックサム格納領域のチェックサムを比較する。その結果が同一であれば、システムコントローラ102は、外部SRAM106の設定内容格納領域のデータは正常であると判断し、ここで処理は終了する。結果が同一でなければ、システムコントローラ102は、外部SRAM106の設定情報格納領域に保存されているデータは異常であると判断し、ステップS511に進む。
【0051】
ステップS511で、システムコントローラ102は、外部SRAM106がどのグループに所属するかを割り出す。具体的には、システムコントローラ102は、所属グループ検索テーブルを参照し、その中の外部SRAM106の項目を検索し、ペアになっている所属グループの名称を割り出す。その後、ステップS512に進む。
【0052】
ステップS512で、システムコントローラ102は、ステップS511で割り出したグループの名称を用いてグループ管理テーブルを検索し、割り出したグループに属す記憶媒体を特定する。次に、システムコントローラ102は、特定された記憶媒体が保持しているデータを全て0に設定する。さらに、システムコントローラ102は、内蔵ROMから設定データの初期値を読み出し、外部SRAM106に保存する。またこのとき、外部SRAM106の設定情報格納領域のチェックサムを計算し、チェックサム格納領域に書き込む。これにより、外部SRAM106に保存されている設定データは初期状態に設定される。ここで処理は終了となる。
【0053】
以上の処理により、内蔵SRAM103に保存されているデータが異常となった場合でも、また、外部SRAM104〜106に保存されているデータが異常となった場合でも、関連する設定データを持つ記憶媒体のデータを初期化できる。これにより、設定情報を保存する記憶媒体の劣化又は読み出しエラーに依存する異常動作を防止できる。また異常となったデータに関連しないデータは保持したままで良いので、無駄な書き換え動作を少なくすることができる。
【実施例3】
【0054】
機能Aの設定情報を内蔵SRAM103に記憶し、機能Bの設定情報を外部SRAM104〜106に記憶する場合で、機能A,Bが一方の機能の設定状態により自動的に他方の設定状態を決定する相互依存関係にあることがある。例えば、機能Aを有効に設定している場合には、自動的に機能Bが無効になるような関係である。ここでは、このような構成に対応する処理方法を説明する。
【0055】
本実施例では、ビデオカメラは、搭載されている複数のSRAMに保存されている各データがどの記憶媒体に依存しているかを依存関係管理テーブルによって管理している。依存関係管理テーブルは、記憶媒体の名称とその記憶媒体に依存するデータを持つ記憶媒体(非依存メンバ)の名称とから成るリストによって構成される。図6は、この依存関係管理テーブルの一例を示す。図6に示す例では、内蔵SRAM103には外部SRAM104が依存し、外部SRAM104には外部SRAM105と外部SRAM106が依存し、外部SRAM105と外部SRAM106には何も依存していない。
【0056】
図7は、本実施例の電源オン時の動作フローチャートである。このフローチャートにおける各処理は、システムコントローラ102のマイコンが、システムコントローラ102内のプログラムコードを読み出して実行することにより実現される。
【0057】
デジタルビデオカメラの電源がオフになっている状態から、ユーザによる操作スイッチ101の操作によって電源がオンされると、システムコントローラ102はステップS701から処理をスタートする。
【0058】
ステップS701で、システムコントローラ102は、作業用RAM内に格納されるクリア履歴フラグに0をセットする。クリア履歴フラグは、処理の中でいずれかの記憶媒体のデータをクリアしたかどうかを示すフラグである。クリア履歴フラグが1である場合、記憶媒体のデータをクリアしたことを示す。その後、ステップS702に進む。
【0059】
ステップS702で、システムコントローラ102は、内蔵SRAMクリア要求があるかどうかを、内蔵SRAMクリア要求レジスタを読み出すことで確認する。また、システムコントローラ102は、データが全て0に設定されているかどうかを確認する。クリア要求があるか、データがクリアされている場合にはステップS703に進み、なければステップS705に進む。
【0060】
ステップS703で、システムコントローラ102は、内蔵SRAM103が保持しているデータを全て0に設定する。また、システムコントローラ102は、依存関係管理テーブルを参照し、内蔵SRAM103に依存している記憶媒体を割り出す。割り出した記憶媒体についても、保持しているデータを全て0に設定する。クリア後、ステップS704に進む。
【0061】
ステップS704で、システムコントローラ102は、作業用RAM内に存在するクリア履歴フラグに1をセットする。その後、ステップS705に進む。
【0062】
ステップS705で、システムコントローラ102は、外部SRAM104に保存されている設定内容格納領域のデータのチェックサムを計算し、その結果と外部SRAM104のチェックサム格納領域のチェックサムを比較する。その結果が同一であれば、システムコントローラ102は、外部SRAM104の設定内容格納領域のデータは正常であると判断し、ステップS708に進む。結果が同一でなければ、システムコントローラ102は、外部SRAM104の設定内容格納領域に保存されているデータは異常であると判断し、ステップS706に進む。また、外部SRAM104に保存されているデータが全て0にクリアされている場合も、システムコントローラ102は、データが異常であると判断し、ステップS706に進む。
【0063】
ステップS706で、システムコントローラ102は、外部SRAM104が保持しているデータを全て0に設定する。また、システムコントローラ102は、依存関係管理テーブルを参照し、外部SRAM104に依存している記憶媒体を割り出す。割り出した記憶媒体についても、保持しているデータを全て0に設定する。クリア後、ステップS707に進む。
【0064】
ステップS707で、システムコントローラ102は、作業用RAM内に存在するクリア履歴フラグに1をセットする。その後、ステップS708に進む。
【0065】
ステップS708からステップS710の処理は、その対象が外部SRAM105であることを除いて、それぞれステップS705からステップS707の処理と同じである。また、ステップS711からステップS713の処理は、その対象が外部SRAM106であることを除いて、それぞれステップS705からステップS707の処理と同じである。従って、これらの詳細な説明を省略する。
【0066】
ステップS714で、システムコントローラ102は、作業用RAM内に存在するクリア履歴フラグをチェックし、値が0であればステップS715に進む。値が0でない場合、ステップS701に戻る。これにより、クリアされる記憶媒体がなくなるまで、処理が繰り返される。
【0067】
ステップS715で、システムコントローラ102は、内蔵ROMから設定データの初期値を読み出し、データがクリアされている記憶媒体に保存する。またこのとき、システムコントローラ102は、外部SRAM104〜106の設定情報格納領域のチェックサムを計算し、チェックサム格納領域に書き込む。ここで処理は終了となる。
【0068】
以上の処理により、内蔵SRAM103及び外部SRAM104〜106の何れかの保存データが異常となった場合に、異常となったデータに依存する記憶媒体のデータを初期化できる。これにより、設定情報を保存する記憶媒体の劣化又は読み出しエラーに依存する異常動作を防止できる。また異常となったデータに関連しないデータは保持したままで良いので、無駄な書き換え動作を少なくすることができる。
【0069】
特定の実施例を説明したが、特許請求の範囲に記載される発明の技術的範囲の範囲内で種々の変更が可能である。前記の実施例においては、本発明をビデオカメラに適用したが、他の電子機器に対しても同様に本発明を適用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の設定情報を記憶する第1の記憶媒体と、
第2の設定情報を記憶する第2の記憶媒体と、
前記第1の及び前記第2の記憶媒体の記憶が適正かどうかを検出する検出手段と、
前記第1の記憶媒体及び前記第2の記憶媒体の何れかの記憶が適正でない場合に、前記第1の及び前記第2の記憶媒体をそれぞれ前記第1の設定情報の初期値及び前記第2の設定情報の初期値で初期化する制御手段
とを具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の及び前記第2の記憶媒体は、バックアップ電池からの電力により記憶データを保持する揮発性メモリからなり、前記第1の記憶媒体が記憶データを保持する第1の保持電圧は、前記第2の記憶媒体が記憶データを保持する第2の保持電圧よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記検出手段は、前記バックアップ電池の出力電圧が前記第1の保持電圧よりも低い場合に、前記第1の記憶媒体の記憶が適正でないと検出することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1及び第2の記憶媒体はそれぞれ、書き込まれたデータのチェックサムを記憶し、
前記制御手段は、前記第2の記憶媒体に記憶されている前記チェックサムに基づいて前記第2の記憶媒体の記憶が適正かどうかを検出する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−81113(P2013−81113A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220643(P2011−220643)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】