説明

電子活性機能水を利用する燃焼方法及びその装置

【課題】水素、酸素より成る水を水素イオンと酸素イオンに電離して気化水化させ、燃料を用いて100℃近傍の温度で燃焼させて環境に最高の燃料として得る。
【解決手段】水素イオン及び酸素イオンを含む電離活性状態の電子活性機能水を水燃料として燃焼室に臨ませた吐出ノズルより気化水化の気化蒸気として吐出させる水燃料吐出工程と、液体ないし気体の予熱補助燃料を、前記燃焼室に臨ませた吐出ノズルより吐出させて、空気を用いて着火する予熱補助工程とより成り、前記気化水化される水燃料を沸点以上の温度で加熱着火させて、以後、空気の供給を停止し、前記予熱補助工程の予熱補助燃料の供給を調節自在に継続させて成ることを特徴とする電子活性機能水を利用する燃焼方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を構成する水素を分離燃焼する新規な電子活性機能水を利用する燃焼方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に燃焼方法に用いられる燃料は、石炭,木炭などの固形燃料は別として、多くは石油などの液体燃料またはプロパン,天然ガス,LPGなどの気体燃料である。
【0003】
しかし乍ら、之等の燃料は燃焼時に多量のCOやNOを空気中に排出して、環境汚染を助長するため、燃焼方法の改善や他のエネルギー、例えば太陽熱,電気エネルギーなどの有効利用を促進するなどの国家的対策が地球規模で叫ばれている。
【0004】
他方、水を組成する水素を有効に分離抽出する方法も知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−192272号公報
【特許文献2】特許第2566248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び2はいずれも、活性水素水または水素ガスの発生方法であって、水自体を燃料として利用するものではない。
【0007】
一般に、水は通常4千数百度の温度に加熱しないと水素と酸素に分離しない程、結合が強固であることが知られている。
【0008】
しかし乍ら、電離処理された水では、水素イオンと酸素イオンが活性状態で存在し、水素と酸素との結合状態が緩み、通常の十分の一程度の低い温度で分離することが分っている。
【0009】
本発明者等は、数多くの実証実験を行った結果、水を構成する水素成分、酸素成分をイオン活性化状態で電離状態の電子活性機能水(例えば、FESLなど)を用い、「水」に温度を加え100℃以上に上昇させて気化水化(蒸気化)させ、それに火炎などのショックを与えると、瞬時に水素と酸素に分離して水素が燃焼し、再び水素と酸素が4300℃以上に加熱しないと分離しない強烈な結合の強い水分子に戻り、その時点で大量のエネルギーを放出するという現象を発見した。
【0010】
本発明は、叙上の点に着目して成されたもので、電離される活性水素を含む電子活性機能水を燃料として利用することによりCOの発生を激減し、地球環境の汚染化を完全に防止できるようにした画期的な電子活性機能水を利用する燃焼方法及びその環境を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下の構成を備えることにより達成される。
【0012】
(1)水素イオン及び酸素イオンを含む電離活性状態の電子活性機能水を水燃料として燃焼室に臨ませた吐出ノズルより気化水化の気化蒸気として吐出させる水燃料吐出工程と、液体ないし気体の予熱補助燃料を、前記燃焼室に臨ませた吐出ノズルより吐出させて、空気を用いて着火する予熱補助工程とより成り、前記気化水化される水燃料を沸点以上の温度で加熱着火させて、以後、空気の供給を停止し、前記予熱補助工程の予熱補助燃料の供給を調節自在に継続させて成ることを特徴とする電子活性機能水を利用する燃焼方法。
【0013】
(2)水燃料吐出工程には、水燃料を吐出ノズルより気化蒸気として吐出する際に、予め水燃料を加熱し、気化水化させた状態として加熱することを特徴とする前記(1)記載の電子活性機能水を利用する燃焼方法。
【0014】
(3)水素イオン及び酸素イオンを含む電離活性状態の電子活性機能水を水燃料として燃焼室に臨ませた吐出ノズルより気化水化の気化蒸気として吐出させる水燃料吐出手段と、液体ないし気体の予熱補助燃料を、前記燃焼室に臨ませた吐出ノズルより吐出させて、空気を用いて着火する予熱補助手段とより成り、前記気化水化される水燃料を沸点以上の温度で加熱着火させて、以後、空気の供給を停止し、前記予熱補助手段の予熱補助燃料の供給を調節自在に成ることを特徴とする電子活性機能水を利用する燃焼装置。
【0015】
(4)水燃料吐出手段は、水燃料を吐出ノズルより気化蒸気として吐出する際に、予め水燃料を加熱し、気化水化させた状態として加熱する気化水化加熱保温手段を設けて成ることを特徴とする前記(3)記載の電子活性機能水を利用する燃焼装置。
【0016】
(5)気化水化加熱保温手段は、ヒータで加熱されるコイル状の電子活性機能水の加熱管と、この加熱管と通ずるヒータを備えた水蒸気タンクとを備え、全体を断熱処理された筐体構造の水蒸気化装置Dとして形成して成ることを特徴とする前記(4)記載の電子活性機能水を利用する燃焼装置。
【0017】
(6)気化水化加熱保温手段は、予熱補助手段の吐出ノズルに捲装されるコイル状のパイプで構成される加熱管とこの加熱管と接続される加熱ヒータを備えた断熱処理された筐体構造の水蒸気タンクの水蒸気化装置Dxとして形成して成ることを特徴とする前記(4)記載の電子活性機能水を利用する燃焼装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電離活性化された水素イオン及び酸素イオンを有する電子活性機能水を水燃料とし、噴霧気化蒸気状の気化水化状態に吐出させてイオン化された水素及び酸素イオンを予熱補助する既存の化石燃料を用いて燃焼加熱することにより、水素イオンのガス化、すなわちH分子状態への変移が促進され、酸素ガスとの分離が生成され、その温度は100℃近傍を境界として活発となり着火発熱し、高温燃焼状態を得ることができる。
【0019】
一旦、高温燃焼状態が得られると、電子活性機能水や化石燃料の供給量をそれぞれ各別に大小好みに調節して燃焼状態の温度調節を可変して、水燃料として既存のあらゆる燃焼装置に適用して有効に機能させることができる。
【0020】
即ち、本発明における、従来の化石燃料は、補助燃料としてのみ作用させ、補助燃料として着火初期には、空気の供給による発火を必要とするが、主燃料の電子活性機能水への着火後、電子活性機能水内の酸素の供給のみで着火を継続でき、換言すれば、燃焼に必要な酸素は、空気中の酸素ではなく、電子活性機能水中の酸素が作用するものと認められ、したがって、専ら、電子活性機能水である「水」そのものが主燃料として働くので、環境汚染であるCO,COの発生を極力無くし、特に、NOの発生を皆無とし、所謂、理想の燃料として内燃,外燃などのあらゆる燃焼用途に広く活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】電子活性機能水を利用した燃焼装置の一実施例を示す液体燃料用及び気体燃料用を併記するシステム構成図
【図2】2種類(a)(b)のノズル構成図の正面図
【図3】(a)は電子活性機能水のバブルチェンバー現象の写真、(b)は同上の拡大写真
【図4】電子活性機能水と燃料ガスの混燃焼状態を示す写真
【図5】水燃料吐出手段の前段の水燃料の気化水化加熱保温手段の水蒸気の気化水化過程の説明図
【図6】図5の他例の炉内に加熱管を施工した場合を示す説明図
【図7】図1における構成のうち、気体燃料を用いた場合の電子活性機能水の供給をユニット化した燃焼装置の他例を示すシステム構成図
【図8】図1の構成のうち、液体燃料を用いた場合の吐出ノズルに通ずる電子活性機能水と液体燃料との構成を含む要部の図で、(a)は部分図、(b)は吐出ノズルの拡大断面図
【図9】着火時より60分間後に至る間の坩堝内の水の温度をガスのみとガスと水との昇温状態を示す昇温グラフの比較図
【図10】ガスのみと、ガスと水との排気温度の60分間の比較図
【図11】図7に示す気体燃料を用いた場合の実施例において、工業炉の排出口に生ずる燃焼温度を経時的に示す温度グラフ
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る電子活性機能水を利用した燃焼装置の一実施例を説明する。
【0023】
なお、実施例では予熱補助手段を液体燃料を用いる場合と気体燃料を用いる場合とを併記して示した。両燃料は併用でも各別でもその使用方法はいずれでも構わない。
【実施例】
【0024】
1は一般の燃焼室である処の工業炉を示し、図示のものに限らずその形状,構造は何等特定されない。2は、石油などの液体燃料を噴霧気化させた状態で吐出させる予熱補助手段Aの吐出ノズル、3は、同じく天然ガス,プロパンなどの気体燃料を吐出させる予熱補助手段Aの吐出ノズル、4,5は、電子活性機能水を水燃料として、前記吐出ノズル2または3と並設される水燃料吐出手段Bの吐出ノズルを示し、この吐出ノズル4,5に対して前記予熱補助手段Aの液体燃料用の吐出ノズル2は並行に配設したり、または前記予熱補助手段Aの気体燃料用のノズル3は、当該ノズル5を中心として外周に環状に配設してある(図2(a),(b)参照)。
【0025】
なお、前記工業炉1の内部には、燃焼ガス焔の先端近くに、多孔構造の蓄熱材料で形成した蓄熱領域Cを付設して水燃料の着火燃焼作用を有効に促進させる。
【0026】
6は、電離された水素イオン及び酸素イオンを有する電子活性機能水のタンク、7は前記タンク6より前記ノズル2と通ずる配管を示し、中間に水流量計8,水圧送ポンプ9を配設すると共に、手動開閉バルブ10,自動開閉バルブ(自動電磁弁)11などを介装するものである。
【0027】
12は化石燃料の石油オイルを収納充填した燃料タンク、13は前記タンク12より前記ノズル4と通ずる配管を示し、中間に油流量計14,油ギアポンプ15を配設すると共に、手動開閉バルブ16,自動開閉バルブ17などを介装するものである。
【0028】
18は化石燃料の天然ガス,LPGなどの気体燃料を充填した燃料タンク、19は前記タンク18より前記ノズル3と通ずる配管を示し、中間にガス流量計20、その他の必要な機器を介装すると共に、複数の自動開閉バルブ21や手動開閉バルブ22を介在させるものである。
【0029】
23,24は予熱補助手段Aが液体または気体とした場合の異なる構造を施したバーナー基体であって、前記した吐出ノズル2,3,4,5の導入部25が設けられ、前記配管7,13,19の端部を接続している。
【0030】
26は前記バーナー基体23または24と接続される液体燃料または気体燃料の予熱補助手段Aを制御する制御盤を示し、併せて工業炉1の燃焼状態の温度を計測する熱電対27,28と接続させてある。
【0031】
叙上の構成の下に、予め予熱補助手段Aの液体燃料または気体燃料を特定して着火燃焼させる。次第に温度を工業炉1内で上昇させて100℃近傍に達した時点で、電子活性機能水をタンク6より工業炉1内に水圧送ポンプ9により、ノズル2または3より噴霧状態で気化水化状態の電子活性機能水を吐出させると電離化された水素イオンは直ちに水素ガスとなり、これと同時に酸素イオンも気化して酸素ガスを発生し、両ガスの混合爆発状態での燃焼が開始され、燃焼室である工業炉1内の温度は急激に上昇する。
【0032】
なお、電子活性機能水の気化水化気体を吐出ノズル2または3より吐出させた後に、予熱補助手段Aの燃料を着火させて、吐出ノズル4または5より吐出させて電子活性機能水に着火させる場合もあるが、この場合だと着火温度が500℃〜600℃ときわめて高温となる。
【0033】
電子活性機能水の燃焼作用が開始した後、予熱補助手段Aの液体燃料または気化燃料の供給を配管13,19に配設に配設したバルブ16,17またはバルブ21,22の開度を制御盤26により、または手動操作により絞り、供給量を減少させ、電子活性機能水の供給を増加させることにより、水素ガスと酸素ガスが混合燃焼を続けて、工業炉1内の温度を高温状態での燃焼を継続させることも可能である。
【0034】
なお、基本的には、予熱補助手段Aの初期燃焼に必要な空気を送給するブロアのような吸入ポンプよりの空気、即ち酸素は、供給停止するためバルブを閉じることにより供給は停止する。これにより、工業炉1内での予熱補助手段Aの燃料は、電気活性機能水の解離された酸素分が、燃焼の継続に作用するものと認められる。
【0035】
つぎに、電子活性機能水の水蒸気化、即ち気化水化を安定に供給させるための具体的な構成の一例を図5に示す。
【0036】
電子活性機能水のタンク6より圧送される水燃料は、電磁弁11に続いて逆止弁37を介して図示の水蒸気化装置Dを介して、炉1内のノズル2または3に導管38を通って供給される。ここで前記水蒸気化装置Dは以下の構成を備える。
【0037】
29は加熱器、30は前記逆止弁37と通ずるコイル状の電子活性機能水加熱管、31は前記加熱管30と通ずる水蒸気タンク32を加熱する加熱器、33は安全弁、34は前記水蒸気タンク32の安全排気弁、35,36は水蒸気化装置Dの前後に取り付けられる熱電対を示し、コントローラEにより制御させるようになっている。
【0038】
上述の水蒸気化装置Dは、断熱処理された筐体で形成され、水燃料を加熱器29で有効に加熱し、水蒸気化し、水素イオン分子,酸素イオン分子を活性化し、つぎの水蒸気タンク32内で一定の水蒸気圧の100℃の温度状態を維持でき、この活性化状態の水蒸気、即ち気化水化気体を保持させて導管38を通り、前記ノズル2または3に有効に供給される。
【0039】
すなわち、水圧送ポンプ9により圧送された電子活性機能水は、電磁弁11を開いた後、逆止弁37を通り、電子活性機能水加熱管30に送り込まれ、加熱器29により水蒸気化され、加熱器31により水蒸気タンク32(サージ用)で加熱保温された後、導管38を経て、水燃料燃焼用配管のバーナー基体23または24の吐出ノズル2または3へ送られる。
【0040】
加熱管30,水蒸気タンク32,加熱器29,31は水蒸気化装置Dと称する構成としてユニット化し、熱電対35,36、安全弁33などを組み合わせ、コントローラEにより制御する。
【0041】
なお、水蒸気化装置D内の加熱器29,31の熱源は、安全面より電気加熱の採用が有力であるが、炉1内の熱及びその排熱利用の加熱管F或いは、燃焼室G内での循環方式の加熱管Fも採用出来る。
【0042】
即ち、図6によれば、炉1の燃焼室Gのバーナー基体23または24の先端前方に加熱用のパイプ、即ち加熱管Fを配設し、電子活性機能水を流通させて加熱し、水蒸気を発生させ、気化水化させると共に、前記水蒸気化装置Dと実質同等の構成の断熱処理された水蒸気タンク32に導き、一定の水蒸気圧の100℃〜130℃の温度状態を維持して、この活性化状態の気化水化気体として導管38を通って、前記ノズル2または3に供給される。
【0043】
すなわち、前記水蒸気化装置Dと異なり、ヒータなどの加熱器29で加熱される加熱管30を欠除したコンパクトな水蒸気化装置Dxとした構造でも十分対応可能とするものである。
【0044】
なお、さらに、より小型化できる場合、図6における加熱器31を省いて、水蒸気タンク32のみとして形成することもできる(図示せず)。
【0045】
つぎに、図7の他の実施例について説明する。
【0046】
図面について、39は、図1に示す電子活性機能水のタンク6を備えて図6の加熱管Fに主燃料として供給できるユニット、40は、図1に示す気体燃料のガス用燃料タンク18の配管19を含む燃料供給ライン、41は、図1に示すブロアに相当する吸入ポンプPを含む予熱補助手段Aの燃料燃焼に必要な空気を供給する空気供給ラインを示している。
【0047】
ここで、前記燃料供給ライン40および空気供給ライン41には、それぞれ分岐管40a,41aが設けられ、炉1での予熱補助手段Aである気体燃料タンク18よりの気体燃料を着火燃焼させるためのパイロット着火システムを構成しており、点火プラグ42と点火トランス43を備え、空気と気体燃料との混合ガスをパイロットバーナー44により有効に着火させて、炉1へ直接供給される両ライン40,41よりの混合ガスを瞬時に着火させることができる。
【0048】
炉1内での両ライン40,41より供給される空気と燃料ガスとの燃焼が行われた後に、両分岐管40a,41aのバルブ45,46は、手動または自動で閉止し、専ら両ライン40,41よりの空気と燃料ガスによる燃焼作用が行われる。
【0049】
ついで、炉1内の電子活性機能水の加熱管Fや水蒸気化装置D,Dxで、解離状態の加熱活性蒸気が炉1内に吐出されるため、予め加熱燃焼状況の炉1内で電離解離状態の水内の酸素分子は、水素分子と遊離状態をより活発化し、次第に炉1内の温度を上昇させて行く。
【0050】
そして、電子活性機能水自らが燃焼作用を進行した時点で空気供給ライン41の可変バルブ47を閉じることにより、急激に炉1内の燃焼温度が上昇することが認められた。
【0051】
この燃焼状態は、明らかに電子活性機能水のみの燃焼であり、補助燃料として気体燃料は、単に協同しているに過ぎないと推察される。
【0052】
なお、図において、符号48はユニット39を構成する流量計、49は圧力計、50は燃料供給ライン40の流量を調節するバルブ、51は燃料供給ライン40,空気供給ライン41に介在させたフレキシブルパイプ、52は炉1の開口部の開口度を調節して燃焼温度を可変する断熱遮蔽板を示す。
【0053】
この断熱遮蔽板52の開口部の開度を1/3として炉1の温度を計測した処、図11に示すような急激な温度上昇を確認できた。気体燃料のみの場合と比較して温度の急激な上昇を認められた。
【0054】
つぎに、図8(a),(b)を参考にして石油,重油などの液体燃料を予熱補助燃料として用いる場合の他の実施例を説明する。
【0055】
なお、空気を吸入するシステム構成は、図1および図7に示す構成と同一であるので、その詳細は省く。
【0056】
併せて電子活性機能水の炉1への供給手段、並びに液体燃料の炉1への供給手段も図1および図7に示すものと実質同一であって、異なる処はないので説明の詳細は省く。
【0057】
図面について、53は、吐出ノズル2の基部で、電子活性機能水のガス化した気体の取入れ口54が、吐出ノズル3の吐出方向に向けて開口されている。55は予熱補助燃料の取入れ口で、前記取入れ口54の方向と直交して開口してある。
【0058】
叙上の構成において、電子活性機能水は十分加熱されて100℃以上になって、ポンプ56,圧力調節弁57および圧力計58で圧力計測しながら吐出ノズル2の加熱管Fで十分加熱され、水蒸気化装置D,Dxで気化高温状態となって吐出ノズル2の取入れ口54から吐出ノズル2に侵入し、併せて、液体燃料はこの吐出ノズル2の吐出方向と直交する液体燃料の配管13の取入れ口55より吐出ノズル2の基部に供給される。
【0059】
この場合、高温蒸気化された電子活性可能水の働きによって、液体燃料の取入れ口55は減圧作用を受け、一種のサイフォン作用により基部53内で、両気体が噴霧状態となって混合し、十分な発火,点火機能をもって吐出ノズル2より炉1内に吐出でき、瞬時にして燃焼して必要な燃焼温度を得ることができる。
【0060】
なお、液体燃料の場合の配管13の途中、液用ストレーナー59,圧力調整弁57,圧力計58を介在させることは勿論である。
【0061】
上述の構成に基づいて、以下に本発明に基づく燃焼方法を用いた実験例を示す。
【0062】
(1)水燃料としての電子活性機能水の入手
本発明における水燃料としての電子活性機能水は、大量の自由電子エネルギーを持つ水で、HOの水素(H)と酸素(O)の結合が不安定で分離しやすくなっている水であって、通常の水と異なり、特に氷結時には図3の写真に示されるようにバブルチェンバー現象と呼ばれる放射状の氷結線が認められた。
【0063】
この電子活性機能水は、例えば、Free Electron Strange Liquid(FESL)と命名され、濃度により高濃度のものを原水として通常水と混合させて水燃料として使用できる。
【0064】
具体的には、原水1に対して水道水1000の割合で製造されたFESLを使用した。
【0065】
(2)電子活性機能水FESLを利用した水燃料における発熱量
(a)FESL発熱量の計算
水素の発熱量は28,800〜34,000kcal/kgとする
水の分子式はHO、分子量は18
FESL1kg当りの水素量は1×2÷18=0.111kg
したがってFESL中の水素燃焼による発熱量は、
FESLの発熱量=(28,800〜34,000)×0.111=3,200〜3,800kcal/kg
(b)FESLと灯油との同時燃焼(混焼)による発熱量
FESL1リットルの発熱量=3,200〜3,800kcal/リットル
灯油1リットルの発熱量=8,800kcal/リットル
FESL30%、灯油70%の割合で1リットル燃焼させた発熱量は、
(3,200〜3,800)×0.3+8,800×0.7=7,120〜7,300kcal/リットル
FESL50%、灯油50%の割合で1リットル燃焼させた発熱量は、
(3,200〜3,800)×0.5+8,800×0.5=6,000〜6,300kcal/リットル
(c)FESLと灯油の同時燃焼(混焼)による発熱量表
【0066】
【表1】

【0067】
計算上約20%以上省エネとなるが、実質CO、NOの削減を考慮すると30%以上の省エネとなる。
【0068】
(3)炭酸ガスCO,窒素酸化物NOの削減
FESLと灯油との同時燃焼において、FESLと灯油との配合量を変えて燃焼実験を行った場合のデータを表2に示す。5秒間隔測定データの平均値であり、燃焼バーナーは最大30リットル/H。
【0069】
なお、NOxは200以下、COは100以下が基準であるので、いずれの場合もNOx、COは大幅に削減できた。
【0070】
さらに、燃焼実験は、マイナスイオンの大量発生を確認できた。
【0071】
【表2】

【0072】
(4)燃料費の大幅削減
FESLと油同時燃焼時の配合率と燃焼費全体の推移を表3に示す。表中、30%価格とは、例えば灯油100円/リットルの場合、FESLの価格を30円/リットルとすることであり、明らかに燃料費を軽減できることが分る。
【0073】
その他、輸送時、灯油10トンを輸送する金額と、宅配便でFESL1リットルを輸送する場合とは、想像以上の価格相違が見出される。
【0074】
【表3】

【0075】
以上の実験例からも分るように、化石燃料を燃焼することによる弊害として、地球温暖化が叫ばれている今日、地球上に無限に存在する水(HO)を水素と酸素に分離させて有効に燃焼させる燃料として活用することにより地球環境を改善できる。
【0076】
燃料とすべき電子活性機能水は、水中の水素イオン及び酸素イオンを活性化状態に保持して、分離結合させて燃焼エネルギーを得るようにしており、予熱補助手段として、既存の化石燃料を用いているが、その使用量も格段と少なくてすみ、きわめて効率的である。
【0077】
既存の燃焼設備に改良を加えるだけで利用できるので、実施化も簡単であるなど、画期的な燃焼方法及び装置として提供できる。
【0078】
以上の実施例の構成に基づいて、本発明に係る電子活性機能水の燃焼機能を明確にするため以下の実験を行った。
【0079】
電子活性機能水は、前記したFESLの水を用い、炉1上に配設される坩堝1A内に一定量入れ、加熱測定条件をつぎの通り定めて行った。
【0080】
(1)温度測定条件
a)坩堝に水50リットル
b)点火前に水タンク6、ガスボンベ18の重量を測定、終了後も水タンク6、ガスボンベ18の重量を測定し、ガス、水の使用量を確認する
c)ガス流量計、水流量計でもガス、水の使用量を測定する
d)温度の測定箇所及び位置
実際の温度測定箇所は、4箇所で、(水温)(炉床)(炉内上部)(排ガス)
e)一度燃焼実験を行った後は炉体を冷却する為、1日(24時間)以上冷却させる
完全に冷え切った状態から燃焼実験を行う
(2)内容
a)ガス(LPG)のみで燃焼させる(以下、ガスのみという。)1時間
b)ガスと電子活性機能水で燃焼させる(以下、ガスと水という。)1時間
以上の条件の結果は、図7に示す対比グラフで分るように、LPGガス燃料を用いた場合の1時間後の坩堝1A内の水温は69.2℃しか上昇しなかったのに対し、ガスと水の燃料の場合の1時間の温度は93.4℃と著しい温度上昇が確認された。
【0081】
この結果からガス燃料の効率アップではなく、明らかに水燃料の働きが作用し30%以上のエネルギーの増加が確認された。
【0082】
なお、表4,表5及び図8にデータの詳細を示した。
【0083】
【表4】

【0084】
【表5】

【0085】
さらに、本発明における電子活性機能水は、前述したFESLだけでなく、純度の高い水を用い、電気的処理或いは振動攪拌などの物理的処理を行うなどにより、随時、水素,酸素のイオン化されて電離状態の活性水として入手可能である。
【0086】
要するに、以上の本発明は以下の技術内容に集約して説明できる。
【0087】
普通の水は電気分解で簡単に水素を取り出すことができるが、水中に電極を入れないで、その代わり電子を多量に含有している「FESL」を普通の「水」に投入することにより、水の分子の状態が電気分解と似たような現象を起こさせ、一般には普通の「水」の分子は4300℃以上の温度を加えないと水素と酸素とに解離しない強烈な結合に緩みを生じさせ、常に不安定な状態とすると共に、その上、電子を含んでいるその「水」に温度を加え、沸点の100℃以上に上昇させて気化水化(蒸気化)し、それに火災,温度等のショックを与えると、瞬時に水素と酸素が解離して水素が燃焼し、再び水素と酸素が4300℃以上に加熱しないと分離しない強烈な結合の強い水分子に戻る。その時点で炭素が酸素と燃焼結合して大量のエネルギーを出すのと同様に、水素が酸素と燃焼結合して大量のエネルギーを放出する。燃焼炎は高温で燃焼速度は速いので、普通の化石燃料の燃焼炎と異なるので、使用目的により燃焼装置の構造等を変更する必要がある。
【0088】
この発明により、水と化石燃料のみにて、空気を使わずに燃焼することが可能となり、最終的には排出ガスの殆ど出ない燃焼も可能となる。また、これを普通の燃焼の他、内燃機、特にタービン等にも広く利用することもできる。
【0089】
本発明によれば、「FESL」を使用することにより、「水」の解離温度が500℃以下になることに注目して、普通の「水」の解離温度との差を利用してエネルギーを取り出すものであり、また「FESL」は、水中に自由電子を閉じ込めた水のことであり、通常2000倍水1リットル中に4.1×1021個の自由電子が存在しているとされており、現在の製法によると2000倍水(2000倍に希釈可能水)の2倍3倍……と多く含んでいる電子水を作ることができる。
【0090】
上記電子活性機能水は、自然界にも存在しており、地下深くから湧き出る地下水,温泉水にも岩盤の間を流れながら、鉱物と電磁波により活性化され、含有量はまちまちであるが、電子を含んだエネルギーの高い水が存在している。
【0091】
これを人為的に作ったものが市販されている「FESL」であり、使用目的によりそれぞれ作り分けることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 工業炉
1A 坩堝
2,3,4,5 吐出ノズル
6 電子活性機能水のタンク
7,13,19 配管
8 水流量計
9 水圧送ポンプ
10 手動開閉バルブ
11 自動開閉バルブ(自動電磁弁)
12 液体用燃料タンク
14 油流量計
15 油ギアポンプ
16,17,21,22 バルブ
18 ガス用燃料タンク
20 ガス流量計
23,24 バーナー基体
25 導入部
26 制御盤
27,28 熱電対
29,30,31 加熱器
32 水蒸気タンク
33 安全弁
34 安全排気弁
35,36 熱電対
37 逆止弁
38 導管
39 ユニット
40 燃料供給ライン
41 空気供給ライン
40a,41a 分岐管
42 点火プラグ
43 点火トランス
44 パイロットバーナー
45,46 バルブ
47 可変バルブ
48 流量計
49 圧力計
50 バルブ
51 フレキシブルパイプ
52 断熱遮蔽板
53 基部
54 気体の取入れ口
55 予熱補助燃料の取入れ口
56 ポンプ
57 圧力調節弁
58 圧力計
59 液用ストレーナー
A 予熱補助手段
B 水燃料吐出手段
C 蓄熱領域
D,Dx 水蒸気化装置
E コントローラ
F 加熱管
G 燃焼室内
P 吸入ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素イオン及び酸素イオンを含む電離活性状態の電子活性機能水を水燃料として燃焼室に臨ませた吐出ノズルより気化水化の気化蒸気として吐出させる水燃料吐出工程と、液体ないし気体の予熱補助燃料を、前記燃焼室に臨ませた吐出ノズルより吐出させて、空気を用いて着火する予熱補助工程とより成り、前記気化水化される水燃料を沸点以上の温度で加熱着火させて、以後、空気の供給を停止し、前記予熱補助工程の予熱補助燃料の供給を調節自在に継続させて成ることを特徴とする電子活性機能水を利用する燃焼方法。
【請求項2】
水燃料吐出工程には、水燃料を吐出ノズルより気化蒸気として吐出する際に、予め水燃料を加熱し、気化水化させた状態として加熱することを特徴とする請求項1記載の電子活性機能水を利用する燃焼方法。
【請求項3】
水素イオン及び酸素イオンを含む電離活性状態の電子活性機能水を水燃料として燃焼室に臨ませた吐出ノズルより気化水化の気化蒸気として吐出させる水燃料吐出手段と、液体ないし気体の予熱補助燃料を、前記燃焼室に臨ませた吐出ノズルより吐出させて、空気を用いて着火する予熱補助手段とより成り、前記気化水化される水燃料を沸点以上の温度で加熱着火させて、以後、空気の供給を停止し、前記予熱補助手段の予熱補助燃料の供給を調節自在に成ることを特徴とする電子活性機能水を利用する燃焼装置。
【請求項4】
水燃料吐出手段は、水燃料を吐出ノズルより気化蒸気として吐出する際に、予め水燃料を加熱し、気化水化させた状態として加熱する気化水化加熱保温手段を設けて成ることを特徴とする請求項3記載の電子活性機能水を利用する燃焼装置。
【請求項5】
気化水化加熱保温手段は、ヒータで加熱されるコイル状の電子活性機能水の加熱管と、この加熱管と通ずるヒータを備えた水蒸気タンクとを備え、全体を断熱処理された筐体構造の水蒸気化装置Dとして形成して成ることを特徴とする請求項4記載の電子活性機能水を利用する燃焼装置。
【請求項6】
気化水化加熱保温手段は、予熱補助手段の吐出ノズルに捲装されるコイル状のパイプで構成される加熱管とこの加熱管と接続される加熱ヒータを備えた断熱処理された筐体構造の水蒸気タンクの水蒸気化装置Dxとして形成して成ることを特徴とする請求項4記載の電子活性機能水を利用する燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−69600(P2011−69600A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23821(P2010−23821)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(598147514)東京ファーネス工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】