説明

電子装置及び画像形成装置

【課題】取り外し部材を取り忘れて電源を投入した場合に保護シートの巻き込みを防止する。
【解決手段】画像形成装置が工場出荷状態か否かを示す取り付けフラッグ43aを記憶部43に記憶し、この取り付けフラッグ43aの状態と媒体検出センサ16の検出結果により、取り外し部材58が画像形成装置に装着されているか否かを判断し、表示部41に取り外し部材58の取り外しを促すメッセージを報知するように構成している。このため、取り外し部材が装着された状態で、誤って電源が投入されても、取り外しを促すメッセージを報知するので、ウォームアップ動作によってこれらの取り外し部材58が巻き込まれ、画像形成装置へ損傷を与えることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置使用開始時に取り外す取り外し部材を装着した電子装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子装置の1つである画像形成装置においては、例えば特許文献1に記載されているように、使用開始時に取り外し部材を取り外す画像形成装置に関する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−134163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子装置においては、使用開始前に取り外し部材を取り外す必要があるにも拘らず、取り外し部材の取り外しを失念して使用を開始した場合、電子装置の動作に支障を及ぼしてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子装置は、装置使用開始前に取り外し可能な取り外し部材の有無を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果から装置状態を判断する判断部と、前記判断部の判断結果に基づき、前記装置状態を報知する報知部とを有している。
【0006】
本発明の画像形成装置は、印刷媒体に画像を形成する画像形成ユニットと、取り外し可能な取り外し部材の有無を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果から前記取り外し部材の状態を判断する判断部と、前記判断部で判断した前記取り外し部材の状態を報知する報知部とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電子装置によれば、装置使用開始前に取り外し可能な取り外し部材の有無を検知する検知手段と、検知手段の検知結果から装置状態を判断する判断部と、前記判断部の判断結果に基づき、前記装置状態を報知する報知部とを有しているので、取り外し部材が装着された状態で、誤って電源が投入されても、取り外し部材によって、電子装置の動作に支障を与えることがない。
【0008】
本発明の画像形成装置によれば、印刷媒体に画像を形成する画像形成ユニットと、取り外し可能な取り外し部材の有無を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果から前記取り外し部材の状態を判断する判断部と、前記判断部で判断した前記取り外し部材の状態を報知する報知部とを備えているので、取り外し部材が装着された状態で、誤って電源が投入されても、取り外し部材によって、画像形成装置の動作に支障を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は本発明の実施例1における画像形成装置の概略を示す制御ブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施例1における画像形成装置の概略を示す構成図である。
【図3】図3は図2中の画像形成ユニット付近を示す拡大図である。
【図4】図4は本発明の実施例1における図1の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】図5は本発明の実施例2における図2中の画像形成ユニット付近を示す拡大図である。
【図6】図6は本発明の実施例3における保護シート装着時の図2中の画像形成ユニット付近を示す拡大図である。
【図7】図7は本発明の実施例3における保護シート取り外し後の図2中の画像形成ユニット付近を示す拡大図である。
【図8】図8は本発明の実施例3における図1の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0011】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1における画像形成装置の概略を示す構成図である。
【0012】
電子装置の1つである画像形成装置は、例えば、電子写真方式のページプリンタである。
【0013】
この画像形成装置は、筐体内部のほぼ中央部にブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の色ごとに配置された複数の画像形成ユニット30(=30K,30Y,30M,30C)を有している。複数の画像形成ユニット30の下方には、所定のタイミングで印刷媒体Pを搬送する搬送ベルト17が配置されている。搬送ベルト17は、無端状で印刷媒体Pの搬送を行う。転写ベルト17の近傍には、転写ベルトに残ったトナーを掻き取るクリーニングブレード20が設けられている。
【0014】
複数の画像形成ユニット30の下方には、搬送ベルト17を挟んで、複数の転写ローラ19(=19K,19Y,19M,19C)が配置されている。転写ローラ19は、高電圧により、後に述べる感光ドラム31上に形成された現像剤像を印刷媒体Pに転写する機能を有している。
【0015】
なお、複数の転写ローラ19は、同一の構成及び機能を有しており、図2においては、画像形成ユニット30Kに対応する転写ローラ19(19K)のみに符号を付し、他の転写ローラ19Y,19M,19Cについては、符号を省略している。搬送ベルト17の下方には、印刷媒体Pを複数枚入れておく媒体カセット10と、この媒体カセット10から分離用舌片等を併用して印刷媒体Pを1枚ずつ分離して取り出すための給紙ローラ11が配置されている。その印刷媒体Pの搬送方向下流には、搬送ベルト17への印刷媒体Pの接近を検知するための媒体検出センサ12と、印刷媒体Pを搬送ベルト17へ送り込む複数の搬送ローラ13,15と、印刷媒体Pへの画像の書き込み時期を検知するための媒体検出センサ16とが配置されている。給紙ローラ14は、手差しの印刷媒体Pを搬送ベルト17へ送り込むためのものである。
【0016】
搬送ベルト17の下流には、ハロゲンランプ等の発熱体を有し、印刷媒体Pを加熱及び加圧して印刷媒体Pに現像剤を定着する定着器21が配置されている。定着器21の下流には、定着後の印刷媒体Pを搬送する複数の搬送ローラ22,24,25,26と、印刷媒体Pを検出する媒体検出センサ23とが配置されている。
【0017】
画像形成装置の前面部には、可動部材であって画像形成装置の構成部材を保護する開閉自在のフロントカバー(以下単に「カバー」という。)64が設けられている。例えば、印刷媒体Pのジャムが搬送ローラ13,15付近で発生したときには、カバー64をオープンにすることにより、ジャムになった印刷媒体Pを取り出すことができるようになっている。
【0018】
複数の画像形成ユニット30は、それぞれブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色を印刷するための複数の感光ドラム31(=31K,31Y,31M,31C)と、複数の帯電ローラ32(=32K,32Y,32M,32C)と、複数の現像ローラ33(=33K,33Y,33M,33C)と、複数のクリーニングブレード34(=34K,34Y,34M,34C)とを有している。複数の画像形成ユニット30(=30K,30Y,30M,30C)は、色の違いを除いて、同一の構成及び機能を有している。図2においては、画像形成ユニット30Kに対応する部材のみに符号を付し、他の画像形成ユニット30Y,30M,30Cの構成部材については、符号を省略している。
【0019】
複数の感光ドラム31の上方には、露光により感光ドラム31の表面に静電潜像を形成する複数の印刷ヘッド18(=18K,18Y,18M,18C)が配置されている。各印刷ヘッド18は、複数の発光ダイオード(LED)を有する発光素子アレイで構成されている。複数の印刷ヘッド18は、同一の構成及び機能を有しており、画像形成ユニット30Kに対応する印刷ヘッド18(18K)のみに符号を付し、他の印刷ヘッド18Y,18M,18Cについては、符号を省略している。
【0020】
各感光ドラム31は、静電潜像を担持し、図示しない現像剤(例えば、トナー)の供給を受けて、可視化された現像剤像を担持する機能を有している。帯電ローラ32は、感光ドラム31の表面を帯電し、印刷ヘッド18は、その帯電した感光体ドラム31の表面に静電潜像を形成するように構成されている。現像ローラ33は、トナーを感光ドラム31に供給して感光ドラム31の表面に形成された静電潜像を可視像化する機能を有している。
【0021】
クリーニングブレード34は、印刷媒体Pに現像剤像を転写した後に感光ドラム31の表面に残ったトナーを掻き取る機能を有している。
【0022】
図1は、本発明の実施例1における図2の画像形成装置の概略を示す制御ブロック図である。
【0023】
図2の画像形成装置は、制御部40を備えている。制御部40は、制御用のプログラムを格納するリードオンリメモリ(以下「ROM」という。)、処理対象のデータを格納するランダムアクセスメモリ(RAM)、及びROMに格納されたプログラムを順次実行して画像形成装置全体を制御するマイクロプロセッサ等から構成されている。制御部40は、取り外し部材58の状態を判断する判断部40aを有している。
【0024】
制御部40には、報知部(例えば、表示部)41が接続されている。表示部41は、画像形成装置の状態(例えば、取り外し部材58の有無等の状態)を表示するとともに、利用者の操作により各種設定を図示しない操作部を介して変更することができる構成になっている。
【0025】
制御部40には、インタフェース部(以下「IF部」という。)42と、印刷制御部48とが接続されている。IF部42は、図示しない上位装置と各種データの送受信を行う機能を有している。例えば、画像形成装置は、IF部42を介して上位装置から印刷データを受信して、これを印刷制御部48へ出力する。印刷制御部48は、印刷ヘッド18を制御して画像形成動作を行うように構成されている。印刷ヘッド18は、送られてきた印刷データに基づいて、発光素子アレイの発光制御を行い、帯電ローラ32によって帯電された感光ドラム31の表面上に、文字、図形等の画像データをドットイメージの静電潜像として形成する。
【0026】
制御部40には、不揮発性の記憶装置である記憶部43が接続されている。記憶部43には、画像形成装置の使用履歴状態(例えば、取り付けフラッグ)43aが記憶されている。取り付けフラッグ43aは、画像形成装置が工場出荷直後か否かを示すフラッグで、例えば、画像形成装置の工場出荷時にはオフ状態にセットされて記憶部43に記憶されている。
【0027】
制御部40には、更に、帯電用駆動制御部44、現像用駆動制御部45、及び転写用駆動制御部46が接続されている。これらは、それぞれ、帯電ローラ32、現像ローラ33、及び転写ローラ19を制御する。
【0028】
制御部40には、モータ制御部47が接続されている。モータ制御部47は、以下の各種モータを制御する機能を有している。即ち、モータ制御部47は、定着器21を駆動する定着モータ51、転写ローラ19を駆動する転写モータ52、感光ドラム31を駆動するドラムモータ53、給紙ローラ11,14を駆動する給紙モータ54、搬送ローラ13,15,22,24,26を駆動する搬送モータ55、及び各種カムを駆動するカム駆動モータ56をそれぞれ制御して印刷媒体Pを搬送する機能を有している。
【0029】
制御部40には、定着器21を制御する定着用制御部49と、排気用及び吸気用ファン57を制御するファン制御部50とが接続されている。
【0030】
更に、制御部40には、取り外し部材58及び印刷媒体Pを検出する検知手段(例えば、媒体検出センサ)16と、印刷媒体Pを検出する複数の媒体センサ12,23,27,28と、取り外し部材58及び画像形成装置のカバー64の開閉を検知する検知手段(例えば、カバーオープンセンサ)61とが接続されている。取り外し部材は、例えば、画像形成装置使用開始前に取り外し可能な、感光ドラム31を保護する保護シートや保護シートの取り外しを案内する注意シートである。
【0031】
図3は、図2中の画像形成ユニット30K付近を示す拡大図である。
この図3では、例えば、画像形成装置の工場出荷時の画像形成ユニット30K付近を示している。感光ドラム31Kには、帯電ローラ32Kと現像ローラ33Kとが圧接している。画像形成装置が長期に保管される場合、感光ドラム31が周囲のローラ類により汚染されることを防ぐため、取り外し部材58の1つである汚染防止用の保護シート58aが感光ドラム31と現像ローラ33Kの間に装着されている。同様に感光ドラム31と帯電ローラ32K及びクリーニングブレード34との間にも、保護シート58bが装着されている。
【0032】
画像形成ユニット30Kの頭頂部から印刷ユニット18Kに対向する側面部にかけて、取り外し部材58の1つである注意シートが装着されている。注意シート58cは、保護シート58a,58bの除去等の利用者への取り扱い案内が印刷された上質紙又は再生紙からなる部材である。注意シート58cは、一端が画像形成ユニット30Kに図示しない粘着テープ等で固定され、他端が搬送ベルト17に接してから印刷媒体Pの搬送方向上流に折れ曲がり、媒体検出センサ16の位置する搬送路を覆うように配置されている。そのため、媒体検出センサ16は、注意シート58cによって媒体検出状態(=オン状態)に保持されている。
【0033】
(実施例1における画像形成装置全体の動作)
図1及び図2を用いて画像形成装置全体の動作について説明する。
【0034】
制御部40は、I/F部42を介して図示しない上位装置から送信された制御コマンド及び印刷データを受信する。制御部40は、上位装置から印刷指示を受けると、モータ制御部47を起動する。モータ制御部47の制御により、定着モータ51、転写モータ52、ドラムモータ53、給紙モータ54、搬送モータ55、及びカム駆動モータが回転を始める。
【0035】
モータ制御部47の制御により、給紙モータ54及び搬送モータ55が回転し、給紙ローラ11及び搬送ローラ13,15が回転する。その結果、印刷媒体Pは、給紙ローラ11により、媒体カセット10から繰り出されて搬送ローラ13,15により、媒体検出センサ16付近まで搬送される。媒体検出センサ16が印刷媒体Pを検出して、画像形成動作の同期がとられる。
【0036】
モータ制御部47の指示により、ドラムモータ53が回転する。ドラムモータ53の回転により感光ドラム31が回転し、感光ドラム31上に順次静電潜像が形成される。現像用駆動制御部45により制御される現像ローラ33によって、感光ドラム31の表面に書き込まれた静電潜像に対応する部分にトナーが付着し、トナー像が形成される。
【0037】
転写用駆動制御部46により制御される転写ローラ19に対し、電圧が印加され、感光ドラム31上に形成されたトナー像が、印刷媒体Pに転写される。
【0038】
転写動作を行った後の印刷媒体Pは、定着モータ51で駆動される定着器21へ搬送される。定着器21は、転写ローラ19で印刷媒体Pに転写されたトナー像を加圧及び加熱して定着する。定着後の印刷媒体Pは、搬送ローラ22,24,26によって装置外に排出される。又、転写後の感光ドラム31の表面に残ったトナーは、クリーニングブレード34により清掃され、清掃後の感光ドラム31が、再び帯電用駆動制御部44の指示による帯電ローラ32の動作によって一様に帯電される。このようにして、制御部40は、上記一連の動作を制御し、I/F部42からの印刷データがなくなるまで上記動作を繰り返し行う。
【0039】
(実施例1における電源オン時の画像形成装置の動作)
図4は、本発明の実施例1における図1の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【0040】
画像形成装置を工場から出荷する際には、感光ドラム31を保護するために保護シート58a,58bが感光ドラム31に装着され、保護シート58a,58bの除去等の案内が印刷された注意シート58cが画像形成ユニット30Kに装着されている。このとき、媒体検出センサ16は、注意シート58cによって媒体検出状態(=オン状態)に保持されている。
【0041】
記憶部43には、画像形成装置の使用履歴状態が記憶されている。本実施例1においては、使用履歴状態として、保護シート58a,58b及び注意シート58cを装着したか取り外したかを示す取り付けフラッグ43aが記憶されている。
【0042】
例えば、工場出荷時においては、保護シート58a,58b及び注意シート58cを装着したことを示す取り付けフラッグ43aがオフ状態にセットされ、不揮発性の記憶部43に記憶されている。
【0043】
画像形成装置が工場出荷後、初めて、利用環境に設置され、図4の処理が開始される。本処理は、ROMに格納されたプログラムを制御部40が実行することで処理される。ステップS1において、画像形成装置の電源が投入される。ステップS2において、媒体検出センサ16の状態が制御部40内の判断部40aでチェックされる。媒体検出センサ16がオン状態のときには(YES)、ステップS3へ進み、オフ状態のときには、ステップS9に進む。
【0044】
ステップS3において、記憶部43に記憶されている取り付けフラッグ43aの状態が判断部40aでチェックされる。取り付けフラッグ43aがオフ状態のときには(YES)、画像形成装置が工場出荷後、初めて、利用環境に設置されていることを意味するのでステップS4へ進み、“保護シートを取り外してください”のメッセージを表示部41に表示する。
【0045】
ステップS5において、利用者により保護シート58a,58b及び注意シート58cが除去されて、ステップS8へ進む。ステップS8において、保護シート58a,58b及び注意シート58cが除去されているので、媒体検出センサ16はオフ状態となる。ステップS5及びステップS8をより詳細に説明すると、ステップS4において、“保護シートを取り外してください”のメッセージを表示部41に表示した後は、本処理は、ステップS5において、媒体検出センサ16がオフ状態になるまで媒体検出センサ16の監視を行う。ステップS8で媒体検出センサ16のオフ状態を確認してステップS9に進む。
【0046】
ステップS9において、画像形成装置は、制御部40の制御で、ウォーミングアップ動作を行い、ステップS10において、表示部41に“印刷可能”メッセージを表示する。その後、判断部40aにより、取り付けフラッグ43aをオン状態にして記憶部43に記憶し、本処理を終了する。
【0047】
ステップS3において、取り付けフラッグ43aがオン状態のときには(NO)、画像形成装置は、すでに、最初の電源オンを終えて保護シート58a,58b等が取り外されていることを意味するので、ステップS6へ進む。
【0048】
この場合は、通常の動作状態であり、制御部40は、媒体検出センサ16が印刷媒体Pを検出しているので、用紙ジャムと判断し、“用紙を取り外してください”のメッセージを表示部41に表示して利用者に印刷媒体Pの除去を促す。ステップS7において、印刷媒体Pが除去され、ステップS8で媒体検出センサ16のオフ状態を確認してステップS9へ進む。
【0049】
ステップS7及びステップS8を、より詳細に説明すると、ステップS6において、“用紙を取り外してください”のメッセージを表示部41に表示した後は、本処理は、ステップS7において、媒体検出センサ16がオフ状態になるまで媒体検出センサ16の監視を行う。ステップS8において、媒体検出センサ16のオフ状態を確認してステップS9に進む。
【0050】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、画像形成装置が工場出荷状態か否かを示す取り付けフラッグ43aを記憶部43に記憶し、この取り付けフラッグ43aの状態と媒体検出センサ16の検出結果により、取り付け部材58が画像形成ユニット30に装着されているか否かを判断し、表示部41に取り付け部材58の取り外しを促すメッセージを報知するように構成している。
【0051】
このため、取り外し部材58が装着された状態で、誤って電源が投入されても、取り外しを促すメッセージが報知されるので、ウォームアップ動作により、取り付け部材58が巻き込まれ、画像形成ユニット30へ損傷を与えることがない。
【0052】
取り外し部材58の装着の有無は、注意シート58cの有無を媒体検出センサ16で検出することで判断しているが、保護シート58a、58b及び注意シート58cのうち、注意シート58cの有無のみを検出すれば、利用者は、保護シート58a、58bの存在にも気付くので取り外しを失念することは少なくなる。
【0053】
更に、新たに媒体検出センサ等の新規部材を付加することなく、簡単な構成で、取り外し部材58の除去を可能としたので、コストセーブの効果がある。
【0054】
なお、本実施例1では、ブラックの現像剤像を形成する画像形成ユニット30Kに装着された取り付け部材58を検出して報知する構成で説明したが、通常、利用者が取り付け部材58を取り外すことを失念している場合には、全ての画像形成ユニット30(=30K,30Y,30M,30C)について取り外すことを失念していることが多い。
【0055】
このため、画像形成ユニット30Kにおいて、取り付け部材58を検出して報知すれば、利用者は、他の画像形成ユニット30Y,30M,30Cについても取り外しを行うことが期待できるので、画像形成ユニット30Kにおいて、取り付け部材58を検出して報知すれば、本実施例1の効果が得られる。
【0056】
本実施例1では、取り外し部材58のうち、注意シート58cの有無のみを検出して報知するように構成したが、これに限定されない。保護シート58a,58b及び注意シート58cの有無を全て検出するようにしてもよいし、全ての画像形成ユニット30K,30Y,30M,30Cにおいて取り付け部材58の有無を検出して報知するように構成してもよい。
【実施例2】
【0057】
(実施例2の構成)
図5は、本発明の実施例2における図2中の画像形成ユニット30K付近の拡大図であり、実施例1を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0058】
本実施例2における画像形成装置の構成は、実施例1と同様に図1及び図2に示すとおりである。
【0059】
本実施例2における画像ユニット30付近の構成は、実施例1を示す図3の構成とほぼ同様である。本実施例2と実施例1との相違点は、注意シート58cに代わり、保護シート58aが直接媒体検出センサ16を検出状態(=オン状態)にしている点である。そのため、注意シート58cのみを取り除いて、保護シート58a,58bを取り忘れても、感光ドラム31Kが駆動されることがない。
【0060】
(実施例2の動作)
本実施例2における画像形成装置の動作は、実施例1と同様である。
【0061】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、注意シート58cに代わり、保護シート58aが直接媒体検出センサ16を検知状態にしている。このため、注意シート58cのみを取り除いて、保護シート58a,58bを取り忘れた状態で、誤って電源が投入されても、取り外しを促すメッセージが報知されるので、ウォームアップ動作によってこれらのシートが巻き込まれ、画像形成ユニット30へ損傷を与えることがない。
【0062】
なお、本実施例2では、ブラックの現像剤像を形成する画像形成ユニット30Kに取り付けられた取り付け部材58を検出して報知する構成で説明したが、通常、利用者が取り付け部材58を取り外すことを失念している場合には、全ての画像形成ユニット30(=30K,30Y,30M,30C)についても取り外すことを失念していることが多い。
【0063】
このため、画像形成ユニット30Kにおいて、取り付け部材58を検出して報知すれば、利用者は、他の画像形成ユニット30Y,30M,30Cについても取り外しを行うことが期待できるので、画像形成ユニット30Kにおいて取り付け部材58を検出して報知すれば、本実施例2の効果が得られる。
【実施例3】
【0064】
(実施例3の構成)
本実施例3における画像形成装置の構成は、実施例1と同様に図1及び図2に示すとおりである。
【0065】
図6は、本発明の実施例3における保護シート装着時の図2中の画像形成ユニット30K付近を示す拡大図である。更に、図7は、本発明の実施例3における保護シート取り外し後の図2中の画像形成ユニット30K付近を示す拡大図である。
【0066】
図6及び図7において、実施例1を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0067】
本実施例3の画像形成ユニット30K付近には、実施例1と同様の給紙ローラ14、搬送ローラ15、媒体検出センサ16、搬送ベルト17、印刷ヘッド18K、感光ドラム31K、帯電ローラ32K、現像ローラ33K、クリーニングブレード34K、カバー64、及び保護シート58bが配置されている。
【0068】
更に、実施例1では説明しなかったカバー64の開閉を検出するカバーオープンセンサ61と、カバー64の内側上部に取り付けられ、その一端がカバーオープンセンサ61のセンサ部61aに接触するように構成された弾性プレート62とが配置されている。弾性プレート62は、ステンレス等で構成されている。
【0069】
又、実施例1の保護シート58aとは装着形態が異なる保護シート58aAが、配置されている。即ち、保護シート58aAの一端は、実施例1と同様に、感光ドラム31Kを保護するために、この感光ドラム31Kと現像ローラ33Kとの間に装着され、他端が、カバー64の上端部の方向に延接され、カバーオープンセンサ61と、カバー64に固定された弾性プレート62との間を通ってカバー64に粘着テープ63で固定されている。
【0070】
保護シート58aAにより、弾性プレート62がカバーオープンセンサ61のセンサ部61aに接触することを妨げるので、カバーオープンセンサ61は、カバーオープン状態を出力している。
【0071】
図7は、図6に示す状態から保護シート58aA及び保護シート58bが取り去られた状態を示している。保護シート58aA及び保護シート58bが取り去られている他は、図6の構成とほぼ同様である。但し、保護シート58aAが取り去られたために、弾性プレート62がカバーオープンセンサ61のセンサ部61aを押圧し、カバーオープンセンサ61は、カバークローズ状態を出力している。
【0072】
(実施例3の動作)
図8は、本発明の実施例3における図1の画像形成装置の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図4のステップと共通のステップには共通の符号が付されている。
【0073】
画像形成装置を工場から出荷する際には、感光ドラム31を保護するために、保護シート58aA,58bが感光ドラム31に取り付けられている。このとき、保護シート58aAの一端は、実施例1と同様に、感光ドラム31を保護するために感光ドラム31Kと現像ローラ33Kとの間に装着され、他端が、カバー64の上端部の方向に延接され、カバーオープンセンサ61と、カバー64に固定された弾性プレート62との間を通ってカバー64に粘着テープ63で固定されている。
【0074】
工場出荷時においては、取り付けフラッグ43aが例えばオフ状態にセットされて不揮発性の記憶部43に記憶されている。
【0075】
画像形成装置が工場出荷後、初めて、利用環境に設置され、図8の処理が開始される。本処理は、ROMに格納されたプログラムを制御部40が実行することで処理される。実施例1と同様に、ステップS1において、画像形成装置の電源が投入される。実施例1と異なるステップS11において、オープンカバーセンサ61の状態が判断部40aでチェックされる。オープンカバーセンサ61がオフ状態のときには(YES)、ステップS3へ進み、オン状態のときには、カバー64が閉じているので、実施例1と同様のステップS9に進む。
【0076】
ステップS3において、記憶部43に記憶された取り付けフラッグ43aの状態が判断部40aでチェックされる。取り付けフラッグ43aがオフ状態のときには(YES)、画像形成装置が場出荷後、初めて、利用環境に設置されていることを意味するので、実施例1と同様のステップS4へ進み、“保護シートを取り外してください”のメッセージを表示部41に表示する。
【0077】
ステップS5において、利用者により保護シート58aA及び保護シート58bが除去されて、実施例1と異なるステップS13へ進む。ステップS13において、保護シート58aA,58bが除去されているので、オープンカバーセンサ61はオン状態、即ち、カバークローズ状態となる。ステップS5及びステップS13をより詳細に説明すると、ステップS4において、“保護シートを取り外してください”のメッセージを表示部41に表示した後は、本処理は、ステップS5において、オープンカバーセンサ61がオン状態になるまで、オープンカバーセンサ61の監視を行う。ステップS13において、オープンカバーセンサ61のオン状態を確認して、実施例1と同様のステップS9に進む。
【0078】
ステップS9において、画像形成装置は、制御部40の制御により、実施例1と同様にウォーミングアップ動作を行い、ステップS10において、表示部41に“印刷可能”メッセージを表示する。その後、判断部40aは、取り付けフラッグ43aをオン状態にして記憶部43に記憶して本処理を終了する。
【0079】
ステップS3において、取り付けフラッグ43aがオン状態のときには(NO)、画像形成装置は、すでに、最初の電源オンを終えて保護シート58aA等が取り外されていることを意味するので、実施例1とは異なるステップS12へ進む。
【0080】
この場合は、通常の動作状態であり、制御部40は、オープンカバーセンサ61がオフ状態を検出しているので、カバーオープンと判断し、“カバーを閉めてください”のメッセージを表示部41に表示して利用者にカバー64を閉じるよう促す。ステップS13において、カバークローズが確認されて、ステップS9へ進む。
【0081】
ステップS13を、より詳細に説明すると、ステップS6において、“カバーを閉めてください”のメッセージを表示部41に表示した後は、本処理は、ステップS13において、オープンカバーセンサ61がオン状態になるまで、オープンカバーセンサ61の監視を行う。ステップS13において、オン状態を確認してステップS9に進む。
【0082】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、実施例1、2と同様の効果がある。
【0083】
なお、実施例1及び実施例2と同様に、本実施例3では、ブラックの現像剤像を形成する画像形成ユニット30Kに取り付けられた取り外し部材58を検出して報知する構成で説明したが、通常、利用者が取り外し部材58を取り外すことを失念している場合には、全ての画像形成ユニット30(=30K,30Y,30M,30C)について取り外すことを失念していることが多い。
【0084】
このため、画像形成ユニット30Kにおいて、取り外し部材58を検出して報知すれば、利用者は、他の画像形成ユニット30Y,30M,30Cについても取り外しを行うことが期待できるので、画像形成ユニット30Kにおいて、取り外し部材58を検出して報知すれば、本実施例3の効果が得られる。
【0085】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、他の種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0086】
(a) 実施例1〜3では、画像形成装置を例に説明したが、本発明は画像形成装置に限定されず、例えば、インクジェットプリンタのインクキャリッジやビデオカメラの光ピックアップユニットのような可動部材を有する電子装置に広く適用が可能である。
【0087】
(b) 実施例1〜3では、画像形成装置としてページプリンタを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ファクシミリ装置、複写機、MFP(MultiFunction Printer/Product/Peripheral)等にも利用できる。
【0088】
(c) 実施例1〜3では、画像形成装置の工場出荷時において、保護シート58a,58b等を装着し、取り付けフラッグ43aをオフ状態(=保護シート58a,58b等装着状態)にすることで説明したが、取り付けフラッグ43aをオフ状態にする機会は、工場出荷時に限定されない。例えば、画像形成装置を長期間保管する場合において、保護シート58a,58b等を装着したときには、画像形成装置のユーティリティを使用して取り付けフラッグ43をオフ状態にすることができる。
【符号の説明】
【0089】
15 搬送ローラ
16 媒体検出センサ
17 搬送ベルト
18 印刷ヘッド
30(30K) 画像形成ユニット
31(30K) 感光ドラム
32(31K) 帯電ローラ
33(33K) 現像ローラ
40 制御部
40a 判断部
41 表示部
43 記憶部
43a 取り付けフラッグ
58 取り外し部材
61 カバーオープンセンサ
62 弾性プレート
64 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置使用開始前に取り外し可能な取り外し部材の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果から装置状態を判断する判断部と、
前記判断部の判断結果に基づき、前記装置状態を報知する報知部と、
を有することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記判断部は、
前記検知手段が検知可能な可動部材の位置条件によって前記装置状態を判断することを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記可動部材は、
前記電子装置の部材を保護する開閉自在のカバーであること特徴とする請求項1又は2記載の電子装置。
【請求項4】
前記判断部は、
前記電子装置の使用履歴状態によって前記装置状態を判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
印刷媒体に画像を形成する画像形成ユニットと、
取り外し可能な取り外し部材の有無を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果から前記取り外し部材の状態を判断する判断部と、
前記判断部で判断した前記取り外し部材の状態を報知する報知部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記検知手段は、
前記印刷媒体の有無を検知することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検知手段は、
前記画像形成ユニット近傍に設けられていることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検知手段は、
前記画像形成ユニットに対し、前記印刷媒体の搬送方向における上流側に設けられていることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は、
前記画像形成装置の前面を覆う開閉自在のカバーを有し、
前記検知手段は、
前記カバーの開閉を検知することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記取り外し部材は、
前記画像形成ユニットに装着されていることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成ユニットは、
表面に形成された静電潜像を担持する像担持体を有し、
前記取り外し部材は、
前記像担持体に装着されていることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記判断手段は、
前記画像形成装置の使用履歴状態を記憶する記憶部を有し、
前記使用履歴状態及び前記検知結果から前記取り外し部材の状態を判断することを特徴とする請求項5〜11のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−133203(P2012−133203A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286252(P2010−286252)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】