説明

電子装置

【課題】実装基板上にはんだ実装された半導体装置の耐衝撃性を高めるとともに、半導体装置のリペア時に半導体装置の実装基板からの剥離を容易にすることができる電子装置を提供する。
【解決手段】半導体装置2と、半導体装置2をはんだ実装する実装基板1とを備え、実装基板1の上面に実装した半導体装置2の周縁の外側に凹部8を有し、その凹部8内に所定温度で発泡する絶縁性の発泡剤3を埋設し、その上から発泡剤3を覆うように、凹部8よりも広い幅で凹部8周囲の実装基板1の上面および半導体装置2の側面に熱硬化性の接着剤4を塗布し、熱硬化させることでリペアに有効な電子装置30を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、特に、パソコン等の耐衝撃性を要求されるモバイル機器に使用される実装基板と半導体装置で構成される電子装置に関し、特に、落下耐衝撃性を高めるとともにリペア性のよい電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来のボール・グリッド・アレイ(以下、「BGA」と記す)タイプの半導体装置2を実装基板61に接続した電子装置51を示す概略断面図であり、半導体装置2の一方の面には、突起電極5が形成されている。図8は、電子装置51の実装基板61が反った状態を示す概略断面図である。電子装置51をパソコン等の電子機器に組み込み、落下等させた場合、実装基板61に応力がかかり、実装基板61が反った状態になる。最近の機器の小型化に伴い、機器に搭載する半導体装置2も小型化を要求されるため突起電極5が微細化する傾向にある。こうした機器を落下させた場合、衝撃により実装基板61に撓みや振動が生じ、図8のように、突起電極5と実装基板61との間に剥離力が働き、突起電極5と実装基板61のランド(図示せず)の界面でクラックや剥離が発生する危険性が高まっている。
【0003】
これらの対策のために、従来は、図9のように実装基板61と半導体装置2の隙間に熱硬化性樹脂のアンダーフィル62を流入して硬化することで実装基板61と半導体装置2を固定していた。また図10のように半導体装置2の周囲に熱硬化性樹脂の接着剤4を塗布、硬化して実装基板61に半導体装置2を接着固定していた。これらの構造では半導体装置2に不具合が生じ、リペアをする場合、一旦硬化したアンダーフィル62や接着剤4を削り取ることが必要となり、多くの工数を要していた。これに対して、アンダーフィル62として有機溶剤を内包した有機系熱膨張性粒子と熱硬化性接着剤樹脂とを混合した樹脂組成物を用いる実装構造体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような構成の実装構造体の場合には、リペア時に過熱することでアンダーフィル62の有機系熱膨張性粒子内の有機溶液が沸騰気化するため樹脂硬化物が多孔質構造に変化し、容易に半導体装置2を実装基板61から取り外すことができるとしている。
【特許文献1】特開2005−332970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1によれば、数ミクロンのマイクロカプセルからなる発泡剤を低粘度の液状接着剤中に分散させているが、マイクロカプセルの偏在や沈降により均一に接着剤中に分散させることは非常に困難である。また電子装置を発泡剤の発泡温度以上に昇温して不具合な半導体装置を実装基板から剥離する場合、接着剤中に発泡剤が分散配合されているために剥離箇所が実装基板と突起電極との界面だけではなく、半導体装置2とアンダーフィル62の界面でも生じる。この場合、半導体装置2を取り外した後にアンダーフィル62の大部分が実装基板61側に残ることになり、この樹脂残渣を除去するために多くの工数を要するという課題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、リペア時において接着剤の剥離性を高め、半導体装置を取り外した後の実装基板上の樹脂残渣を少なくし、リペア作業を容易にできる電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の電子装置は、複数の突起電極を備えた半導体装置と、半導体装置を搭載する半導体装置搭載領域における前記突起電極の位置に対応配置した複数のランドと、半導体装置搭載領域の周縁部に配置した凹部とを備えた実装基板と、実装基板の凹部に埋設された発泡剤と、半導体装置の側面と、凹部に埋設した発泡剤を覆い実装基板の表面とに配置された接着剤とを備えた構成からなる。
【0008】
このような構成とすることにより、本発明の電子装置は、通常の機器を使用する温度では、熱硬化性の接着剤により、半導体装置の側面と実装基板の表面とが強固に接着固定されており、落下時等、実装基板に衝撃が加わっても、実装基板の歪みが抑制されるため、実装基板からの半導体装置の剥離を抑制でき、耐衝撃性を高めることができる。また、本発明の電子装置のリペア時の半導体装置の取り外しは、電子装置全体を80℃から200℃の温度に発泡剤を加熱して殻を軟化させるとともに、殻内部の有機溶剤の蒸気圧を上昇させることで凹部内に配置されている発泡剤が加熱膨張して実装基板と接着剤との界面で接着剤を引き剥がす剥離力が働き、実装基板面に接着剤が残ることなく両者を剥離することが可能となる。
【0009】
また、上記構成において、実装基板が多層基板であり、凹部が多層基板の半導体装置を実装する側の最外層を貫通して形成してもよい。
【0010】
このような構成とすることにより、実装基板に形成される凹部は、半導体装置の接合面側に積層された実装基板の基材で形成されているため、十分な深さが得られるとともに多くの発泡剤を埋設できる。これにより実装基板と接着剤との間に配置された発泡剤を加熱することで、発泡剤は実装基板と接着剤を剥離するのに十分な体積膨張が得られる。従って、剥離後の実装基板は、接着剤の残査のない清浄な表面が得られる。
【0011】
また、上記構成において、実装基板の半導体装置を実装する面に絶縁膜を備え、凹部は、絶縁膜に形成してもよい。
【0012】
このような構成とすることにより、実装基板の製造工程で絶縁膜のマスクパターン形成時にランド上の開口パターンと凹部パターンを同時に形成しておくことで、絶縁膜を利用した凹部を容易かつ高位置精度で形成でき、リペア後の実装基板上の接着剤をナイフ等で削り落とす工程がなくなり、大幅な工数削減と基板廃棄ロス削減が可能となる。
【0013】
また、上記構成において、凹部が半導体装置を実装基板に実装する面方向に不連続に形成してもよい。このような構成とすることにより、実装基板上の凹部が適正な間隔で不連続に配置されていることから、電子装置を発泡剤の発泡温度に加熱することで複数の場所から発泡剤が膨張して効率的な剥離力が得られ、清浄な実装基板の表面を得るための剥離を実現できる。
【0014】
また、上記構成において、接着剤が熱硬化性樹脂を主成分とし、発泡剤の発泡温度が、熱硬化性樹脂の加熱硬化温度より高くてもよい。このような構成とすることにより、接着剤の硬化時には発泡剤が発泡することはなく、リペア時に電子装置を発泡剤の発泡温度より高温にすることで発泡剤が発泡し、接着剤と実装基板の界面が剥離し、容易に半導体装置を取り外すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、実装基板と接着剤の間に発泡剤を配置させることができるため、所定の発泡温度まで加熱することで、接着剤界面近傍でのみ発泡し、接着剤の界面で残渣なく容易に剥離することができるとともに、実装基板の再利用が可能になることからコスト削減を図れるという大きな効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの図面におけるそれぞれの厚みや長さ等は図面の作成上から実際の形状とは異なる。また、半導体装置上の突起電極の個数も実際とは異なり、図示しやすい個数としている。
【0017】
(実施の形態1)
図1から図3は、本発明の実施の形態1にかかる電子装置30の構造を示す図で、図1は一部切欠平面図、図2は図1におけるA−A断面図で、図3は図2のB部における拡大断面図である。なお、図1では、実装基板1の構造を分かりやすくするために半導体装置2および接着剤4の一部を除去した状態を示している。
【0018】
本実施の形態の電子装置30は、半導体装置2と、半導体装置2を搭載した実装基板1と、半導体装置2の周縁部の実装基板1に形成された凹部8に埋設した発泡剤3と、発泡剤3の配置領域を覆って半導体装置2の側面と半導体装置2の周縁部であって実装基板1の表面に配置された接着剤4を備えている。
【0019】
半導体装置2は、BGAタイプの半導体装置であり、一方の面上に格子状に配列した複数の突起電極5を有している。本実施の形態の半導体装置2は、インターポーザーとして、例えば、樹脂基板、セラミック基板またはフレキシブル基板を用いてもよく、CSP(Chip Scale Package)と呼ばれる半導体装置を用いてもよく、半導体素子の電極に直接はんだバンプを形成したフリップチップ型の半導体素子でも構わない。突起電極5は、はんだボールを搭載するボールセット法で形成しても、また、はんだペーストを印刷方式で供給し、リフローを行って形成しても、さらにメッキ法で形成してもよい。さらに、突起電極5の材質は、例えば、錫・亜鉛系合金、錫・ビスマス系合金、錫・銀系合金および亜鉛・ビスマス系合金等の少なくとも1つであってもよいし、金、銅、ニッケル、金メッキされたニッケルおよび金メッキされた銅等の少なくとも1つであってもよい。
【0020】
実装基板1は、基材の一方の面に、実装基板1と半導体装置2を対向させた際に、半導体装置2が備える突起電極5と対応する各位置に配置された導体のランド6と、実装基板1に半導体装置2を実装した時の半導体装置2が占有する領域(半導体装置搭載領域)の周縁に半導体装置2を囲んで、所定の幅と深さを有する凹部8を備えている。
【0021】
また、本実施の形態における実装基板1の基材は、ガラス繊維やケプラー等の有機物からなる繊維にエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾオキサザール樹脂、テフロン(登録商標)樹脂等を含浸して硬化させた機材を用いたものやBTレジンを用いたもの等、種々の樹脂基板を用いることができる。
【0022】
導体の材質は銅箔とするが、銅箔上に金属層を形成してもよい。金属層としては、例えば、はんだ、金、銀、ニッケルおよびパラジウム等から選択された少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0023】
実装基板1の凹部8は、半導体装置2を搭載した際に半導体装置2の周縁部に位置するように、例えばルーターにより切削加工により形成する。
【0024】
また本実施の形態では、半導体装置2を実装基板1に搭載する例を示したが、複数の半導体装置やコンデンサ等の受動部品を搭載しても構わない。
【0025】
発泡剤3は、微細な熱可塑性共重合樹脂からなる殻に有機溶剤が内包された構造のマイクロカプセルである。殻の直径は、1μmから200μmの範囲とし、より好ましくは5μmから50μmとする。マイクロカプセルの材質は、例えば、酢酸ビニル・アクリロニトリル、メチルメタクリレート・アクリロニトリル、塩化ビニリデン・アクリロニトリル、スチレン・アクリロニトリル、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル、酢酸ビニル・エチレンまたはビニルアルコール・エチレンの共重合樹脂を用いることができる。また、有機溶剤は、例えば、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル等のエチレングリコールエーテル誘導体等から選択された少なくとも1つを含んでいてもよい。そして、電子装置30のリペアの際に、発泡剤3は内包される各有機溶剤の蒸気圧を考慮して80℃から200℃で加熱して使用する。加熱することで熱可塑性共重合樹脂の殻が軟化し、同時に殻内の有機溶剤の蒸気圧が高くなり、殻が膨張肥大して接着剤4を剥離する機能を備えるものである。なお、発泡剤3の発泡温度は、接着剤4の硬化温度以上にすることが望ましい。
【0026】
接着剤4としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂およびシアネートエステルから選択された少なくとも1つを含んでいてもよい。またエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ナフタレン型等から選択された少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0027】
また接着剤4の成分には樹脂成分以外にフィラー、難燃剤、顔料、硬化剤および硬化促進剤等から選択された少なくとも1つを含んでいてもよい。上記組成に加えて光開始剤を添加してもよい。また、半導体装置2の搭載領域が打ち抜かれて、半導体装置2の実装領域の外周に所定の幅でフレーム状に形成されたホットメルトタイプのプリプレグ樹脂であってもよい。
【0028】
以下、本実施の形態の電子装置30の製造方法を図1〜図3を用いて簡単に説明する。図1に示す実装基板1のランド6の上に、例えば、メタルマスクとスキージを用いてはんだペーストを印刷方式で供給する。続いて半導体装置2を実装基板1のランド6上に配置し、リフローにより半導体装置2の突起電極5とランド6とをはんだ接続する。これにより実装基板1上に半導体装置2を実装することができる。
【0029】
次に、図2に示す実装基板1の凹部8に、例えば、ディスペンサーを用いて発泡剤3を塗布する。ここで発泡剤3は、半導体装置2を実装基板1に搭載する前に、例えばディスペンサーによる塗布あるいはメタルマスクを用いた印刷法で供給しても構わない。
【0030】
次に、図2に示す半導体装置2の側面と半導体装置2の周縁部で実装基板1の凹部8に形成された発泡剤3を覆うように、例えば、ディスペンサーを用いて接着剤4を塗布する。
【0031】
最後に、接着剤4の硬化温度で所定の時間まで加熱硬化することで半導体装置2を実装基板1に接着固定する。
【0032】
このような製造方法とすることで、本実施の形態の電子装置30は、通常の機器を使用する温度では、熱硬化性の接着剤4により、落下時等に実装基板1に衝撃が加わっても、半導体装置2の周縁部の実装基板1の歪みが抑制され、半導体装置2と実装基板1の接続部にかかる応力が緩和されるため耐衝撃性を高めることができる。
【0033】
また、本実施の形態の電子装置30に故障が検出されて、実装基板1から半導体装置2を取り外して交換を必要とする場合、電子装置30全体を80℃から200℃の温度に加熱することで発泡剤3の殻を軟化させる。そうすると発泡剤3の殻内部の有機溶剤の蒸気圧が上昇するので凹部8内に配置されている発泡剤3が加熱膨張して図3に示すように実装基板1と接着剤4との界面で接着剤4を引き剥がす剥離力9が働き、実装基板1の上面に接着剤4が残ることなく両者を剥離することが可能となる。
【0034】
なお、本実施の形態の電子装置30のリペア作業(図示せず)は、上述の電子装置30を実装基板1から剥離する作業に続いて、電子装置30をはんだの融点まで昇温して、半導体装置2の突起電極5と実装基板1のランド6とを接合するはんだを溶融させながら故障した半導体装置2を取り外す。その後、実装基板1のランド6上にはんだペーストを、例えば印刷塗布する。そして、新しい半導体装置2の突起電極5と実装基板1のランド6とを位置合わせを行い、リフローすることで突起電極5とランド6とを接合する。最後に実装基板1の凹部8に発泡剤3を配置し、半導体装置2の側面と凹部8を覆って実装基板1の表面に接着剤4を塗布し、加熱硬化することでリペアが完了する。
【0035】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2にかかる電子装置31の構造を示す断面図である。
【0036】
本実施の形態の電子装置31は、2層以上で積層された基材の一方の面の所定位置に配置された複数のランド6と、ランド6が形成された最外層の基材を貫通させて実装領域の周縁の外側に形成された凹部8とを備える実装基板11と、実装基板11の表面に形成された凹部8に埋設されるマイクロカプセルに有機溶剤が内包された発泡剤3と、実装基板11のランド6に半導体装置2の電極上の突起電極5がはんだで接合された半導体装置2と、半導体装置2の周囲に配置されて半導体装置2の側面と発泡剤3が埋設された実装基板11の凹部8上およびその両側の実装基板11の表面とを覆って接着するための接着剤4とで構成されている。
【0037】
実装基板11は、基材の一方の面に、実装基板11と半導体装置2を対向させた際に、半導体装置2が備える複数の突起電極5と対応する各位置に配置されたランド6と、積層基板の半導体装置2を接合する側の基材の厚みが20μmから150μmの範囲で好ましくは30μmから100μmであって、実装基板11に半導体装置2を実装した時の半導体装置2の実装領域の周縁の外側に半導体装置2を囲んで、所定の幅と半導体装置2の接合側基材の厚みと同じ深さを有する凹部8を備えている。
【0038】
本実施の形態における実装基板11の基材および導体の材質は、実施の形態1で使用したものと同じであり、ここでは説明を省略する。
【0039】
また、本実施の形態で使用する発泡剤3、半導体装置2、接着剤4も、実施の形態1で使用するものと同じであり、ここでは説明を省略する。
【0040】
このような構成とすることで、本実施の形態の半導体装置2が搭載された電子装置31は、熱硬化性の接着剤4によって半導体装置2の側面と実装基板11の表面とが強固に接着固定されているため、通常の機器を使用する温度では、落下時等、実装基板11に衝撃が加わっても、半導体装置2周囲の実装基板11の歪みが抑制される。それによって実装基板11のはんだ接合部での剥離を抑制できて、耐衝撃性を高めることができる。また、電子装置31に故障が検出されて、実装基板11から半導体装置2を取り外して交換を必要とする場合、電子装置31全体を80℃から200℃の温度に加熱して発泡剤3の殻を軟化させるとともに、殻内部の有機溶剤の蒸気圧を上昇させる。その結果、実装基板11の凹部8内に配置されている発泡剤3が加熱膨張して実装基板11と接着剤4との界面で接着剤4を引き剥がす剥離力が働き、実装基板11の面に接着剤4が残ることなく両者を剥離することが可能となる。さらに、実装基板11に形成される凹部8は、半導体装置2の接合面側に積層された実装基板11の基材で形成されているため、十分な深さが得られるとともに多くの発泡剤3を埋設できる。これにより実装基板11と接着剤4との間に配置された発泡剤3を加熱することで、発泡剤3は実装基板11と接着剤4を剥離するのに十分な体積膨張が得られる。従って、剥離後の実装基板11は、接着剤の残査のない清浄な表面が得られる。
【0041】
なお、本実施の形態の電子装置31のリペア作業(図示せず)は、実施の形態1と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0042】
これにより実装基板11は、最外層の基材の製造時に凹部8用の貫通パターンを形成するだけで、簡単に深い凹部8を製造することができ、さらに、従来のように接着剤4をナイフ等で削り落とす工程がなくなり、大幅な工数削減と基板廃棄ロス削減が可能となる。
【0043】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3にかかる実装基板21にBGAタイプの半導体装置2が実装された電子装置32の構造を示す断面図である。
【0044】
本実施の形態の電子装置32は、半導体装置2と、絶縁膜14により形成された凹部18を有する実装基板21と、凹部18に埋設された発泡剤3と、半導体装置2の周囲に配置されて半導体装置2の側面と発泡剤3が埋設された実装基板21の凹部18上およびその両側の絶縁膜14とを覆って接着するための接着剤4とで構成されている。
【0045】
ここで実装基板21の片面または両面に絶縁膜14が形成されており、絶縁膜14は半導体装置2の突起電極5を接合するためのランド6上に開口が形成され、半導体装置2の搭載領域の周縁の外側に配置された凹部18とを備えている。
【0046】
本実施の形態における実装基板21の基材は、ガラスエポキシ樹脂とするが、例えばBTレジン、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾオキサザール樹脂、テフロン(登録商標)樹脂および紙エポキシ樹脂のうちのいずれか1つの単層または積層構造であってもよく、あるいは異なる基材の積層構造であってもよい。さらに、酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムのうちのいずれか1つの単層または積層構造であってもよい。
【0047】
そして、実装基板21に樹脂基板を用いる場合は、絶縁膜14の材料に厚みが10μmから50μmの範囲で好ましくは20μmから30μmのエポキシ系樹脂のソルダーレジストを使用し、セラミック基板を用いる場合は絶縁膜14の材料にエポキシ系樹脂のソルダーレジストまたはフリットガラスを使用する。
【0048】
導体は銅箔とするが、銅箔上に金属層を形成してもよい。金属層としては、例えば、はんだ、金、銀、ニッケルおよびパラジウム等から選択された少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0049】
なお、本実施の形態で使用する発泡剤3、半導体装置2、接着剤4は、実施の形態1で使用するものと同じであり、ここでは説明を省略する。
【0050】
このような構成とすることで、本実施の形態の半導体装置2が搭載された電子装置32は、熱硬化性の接着剤4によって半導体装置2の側面と実装基板21の表面とが強固に接着固定されているため、通常の機器を使用する温度では、落下時等、実装基板21に衝撃が加わっても、半導体装置2周囲の実装基板21の歪みが抑制される。それによって実装基板21のはんだ接合部での剥離を抑制できて、耐衝撃性を高めることができる。
【0051】
また、電子装置32に故障が検出されて、実装基板21から半導体装置2を取り外して交換を必要とする場合、電子装置32全体を80℃から200℃の温度に加熱して発泡剤3の殻を軟化させるとともに、殻内部の有機溶剤の蒸気圧を上昇させることで凹部18内に配置されている発泡剤3が加熱膨張して実装基板21と接着剤4との界面で接着剤4を引き剥がす剥離力が働き、実装基板21の面に接着剤4が残ることなく両者を剥離することが可能となる。さらに、実装基板21の製造工程で絶縁膜のマスクパターン形成時にランド6上の開口パターンと凹部パターンを同時に形成しておくことで、絶縁膜を利用した凹部18を容易かつ高位置精度で形成できる。
【0052】
なお、本実施の形態の電子装置32のリペア作業(図示せず)は、実施の形態1と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0053】
これにより実装基板21の設計時に、絶縁膜14をパターン形成するだけで、簡単かつ正確に凹部18を作ることができ、さらに、従来のように接着剤4をナイフ等で削り落とす工程がなくなり、大幅な工数削減と基板廃棄ロス削減が可能となる。
【0054】
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4にかかる電子装置33の平面図であり、実装基板41の構造を分かりやすくするために半導体装置2および接着剤4の一部を除去した状態を示している。
【0055】
本実施の形態の電子装置33は、一方の面の所定位置に配置された複数のランド6と、実装領域の周縁の外側に間隔を設けて不連続に配置された凹部8とを備える実装基板41と、実装基板41の凹部8に埋設されるマイクロカプセルに有機溶剤が内包された発泡剤3と、突起電極5を有する半導体装置2と、半導体装置2の側面と発泡剤3が埋設された実装基板41の凹部8上、凹部8の両側および凹部8の不連続部の面とを覆って接着するための接着剤4とで構成される。この電子装置33が検査で故障と判定された場合の半導体装置2のリペア作業は、半導体装置2が実装基板41に接合された電子装置33を発泡剤3の発泡温度である80℃から200℃に加熱することで発泡剤3内の有機溶剤の蒸気圧を高くして発泡剤3を膨張させる。そして、実装基板41と接着剤4との界面に剥離力を生じさせて実装基板41との界面から接着剤4を剥離する作用を有することを特徴としている。
【0056】
実装基板41は、基材の一方の面に、実装基板41と半導体装置2を対向させた際に、半導体装置2が備える複数の突起電極5と対応する各位置に配置されたランド6と、実装基板41に半導体装置2を実装した時の半導体装置2の実装領域の周縁の外側に半導体装置2を囲んで、間隔を設けて不連続に配置されて所定の幅と深さを有する凹部8を備えている。なお、これらの構造は、実施の形態1から実施の形態3までの各実装基板のうちのいずれかに適用してもよい。
【0057】
本実施の形態における実装基板41の基材および導体の材質は、実施の形態1から実施の形態3までに使用したものと同じであり、ここでは説明を省略する。
【0058】
また、本実施の形態で使用する発泡剤3、半導体装置2、接着剤4は、実施の形態1から実施の形態3までに使用したものと同じであり、ここでは説明を省略する。
【0059】
このような構成とすることで、本実施の形態の半導体装置2が搭載された電子装置33は、実装基板41が不連続に配置された凹部8を備えているため、接着剤4と実装基板41の接着面積を実施の形態1から実施の形態3までの電子装置30〜32のいずれよりも大きく確保できる。この実装基板41を用いた電子装置33は、上記理由から熱硬化性の接着剤4によって半導体装置2の側面と実装基板41の表面とが強固に接着固定されているため、通常の機器を使用する温度では、落下時等、実装基板41に衝撃が加わっても、半導体装置2周囲の実装基板41の歪みが抑制される。それによって実装基板41のはんだ接合部での剥離を抑制できて、耐衝撃性を高めることができる。また、電子装置33に故障が検出されて、実装基板41から半導体装置2を取り外して交換を必要とする場合、電子装置33全体を80℃から200℃の温度に加熱して発泡剤3の殻を軟化させるとともに、殻内部の有機溶剤の蒸気圧を上昇させることで実装基板41上に不連続に配置された凹部8内に配置されている発泡剤3が加熱膨張して実装基板41と接着剤4との界面で接着剤4を引き剥がす剥離力が働き、実装基板41の面に接着剤4が残ることなく両者を剥離することが可能となる。さらに、実装基板41上の凹部8が適正な間隔で不連続に配置されていることから、電子装置33を発泡剤の11の発泡温度に加熱することで複数の場所から発泡剤3が膨張して効率的な剥離力が得られ、清浄な実装基板41の表面を得るための剥離を実現できる。
【0060】
なお、本実施の形態の電子装置33のリペア作業(図示せず)は、実施の形態1と同様でありここでの詳細な説明は省略する。
【0061】
これにより従来のような、接着剤4をナイフ等で削り落とす工程がなくなり、大幅な工数削減と発泡剤3の量の削減によるコスト削減および基板廃棄ロス削減が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明にかかる電子装置は、凹部を有する実装基板に半導体装置を搭載し、半導体装置の側面と発泡剤を埋設した凹部を含む実装基板面の一部とを接着剤で接着固定する構成とすることで、通常使用時のはんだの耐衝撃強度が維持されるとともに不具合が生じた電子装置の実装基板上の半導体装置のリペアが容易でかつ安価になり、高信頼性で安価な電子機器への適用に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる電子装置の構造を示す一部切欠平面図
【図2】同実施の形態の図1におけるA−A断面図
【図3】同実施の形態の図2のB部における拡大断面図
【図4】本発明の実施の形態2にかかる電子装置の構造を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態3にかかる電子装置の構造を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態4にかかる電子装置の構造を示す一部切欠平面図
【図7】従来の電子装置を示す概略断面図
【図8】同電子装置の実装基板が反った状態を示す概略断面図
【図9】同電子装置をアンダーフィルで補強した構造の断面図
【図10】同電子装置を接着剤で補強した構造の断面図
【符号の説明】
【0064】
1,11,21,41 実装基板
2 半導体装置
3 発泡剤
4 接着剤
5 突起電極
6 ランド
8,18 凹部
9 剥離力
14 絶縁膜
30,31,32,33 電子装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の突起電極を備えた半導体装置と、
前記半導体装置を搭載する半導体装置搭載領域における前記突起電極の位置に対応配置した複数のランドと、前記半導体装置搭載領域の周縁部に形成した凹部とを備えた実装基板と、
前記実装基板の前記凹部に埋設された発泡剤と、
前記半導体装置の側面と、前記凹部に埋設した前記発泡剤を覆い前記実装基板の表面とに配置された接着剤と、
を備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記実装基板が多層基板であり、前記凹部が前記多層基板の前記半導体装置を実装する側の最外層を貫通していることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記実装基板の前記半導体装置を実装する面に絶縁膜を備え、前記凹部は、前記絶縁膜に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記凹部が、前記半導体装置を前記実装基板に実装する面方向に不連続に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記接着剤が熱硬化性樹脂を主成分とし、前記発泡剤の発泡温度が、前記熱硬化性樹脂の加熱硬化温度より高いことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−71031(P2009−71031A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237717(P2007−237717)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】