説明

電子装置

【課題】一対の係止用脚部を有する補助部材を備えた電子装置において、電子部品の端子と基板の端子用ランドの接続部の接続信頼性を向上する。
【解決手段】電子部品の基板への固定を補助する補助部材を備えた電子装置において、補助部材が、電子部品の本体部に固定された基部と、該基部から延びて基板の貫通孔に挿入された複数の脚部を有し、複数の脚部は、挿入側の先端に設けられ、基板の裏面における貫通孔の周縁上に配置された係止部と、挿入時に係止部が貫通孔内に挿入されるように変位するばね部とを有する一対の係止用脚部を含んでいる。そして、対をなす2本の係止用脚部が、それぞれ互いに異なる貫通孔に挿入されるとともに、係止用脚部が挿入された貫通孔には、係止用脚部のみが挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタなどの電子部品を基板に固定するための補助部材を備えた電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコネクタなどの電子部品を基板に固定する技術として、例えば特許文献1,2に示されるように、電子部品に固定された補助部材を基板に形成された貫通孔に挿入することにより、電子部品を基板に固定する技術が知られている。また、補助部材がはんだ付けされることで、電子部品を基板により強固に固定する技術も知られている。
【0003】
特許文献1,2に示される補助部材(コネクタ固定用金具、補助部材)は、いずれも、貫通孔に挿入される脚部として、先端に、貫通孔の裏面における貫通孔の周縁に係止する係止部が設けられた一対の係止用脚部(一対の爪部、一対の第1の脚部)と、該係止用脚部とは異なる脚部(突起部、第2の脚部)とを有している。
【0004】
また、係止用脚部は、ばね部(特許文献2参照)などを有することで、係止部を貫通孔内に挿入させるとともに、弾性変形の開放により、係止部を基板の裏面上に係止させることができる構成となっている。これにより、電子部品を基板に固定することができる。そして、この固定により、コネクタなど電子部品の端子が基板の対応する端子用ランドにはんだ付けされる、すなわち電子部品が基板に実装されるまで、電子部品を基板に仮止めすることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−127873号公報
【特許文献2】特開2009−181785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の補助部材では、一対の係止用脚部を含む複数の脚部全てが、共通の貫通孔に挿入されている。このため、貫通孔として、一方向に長い長孔を採用することとなる。
【0007】
しかしながら、貫通孔の長さが長いほど、基板に対し、一対の係止用脚部において貫通孔内に挿入される挿入部の遊びが大きくなる。このように遊びが大きいと、仮止めの状態で、一対の係止用脚部を構成する2本の係止用脚部の並び方向において電子部品ががたつく。すなわち、基板の表面に沿う方向において電子部品が位置ずれしたり、基板に対して電子部品が傾きやすい。
【0008】
このため、電子部品の端子として挿入実装構造の端子を採用した場合、端子が対応する孔に入らない、孔に入ってもはんだとの接触面積が小さい、などの問題が生じる恐れがある。一方、表面実装構造の端子を採用した場合、端子が対応する端子用ランドからずれてはんだと接しない、はんだとの接触面積が小さい、端子が対応する端子用ランドに押し当たってはんだ量が不足する、などの問題が生じる恐れがある。このように、端子と端子用ランドとの間に良好な電気的接続を確保することができない恐れがある。すなわち、接続信頼性が低いという問題がある。
【0009】
また、例えば傾いた状態で基板に実装された電子部品が、電子装置を構成する筐体内に収容された状態で筐体に過度に接触し、この応力が端子と端子用ランドとの接続部に作用する恐れもある。
【0010】
上記した電子部品のがたつきを低減するには、貫通孔の一方向に沿う長さを短くすることが好ましい。貫通孔の長さを短くするほど、基板に対し、一対の係止用脚部において貫通孔内に挿入される挿入部の遊びが小さくなるため、仮止め時において、電子部品の位置ずれを低減することができる。
【0011】
しかしながら、貫通孔の長さを短くすると、一対の係止用脚部において係止部間の距離も短くなる。したがって、補助部材による電子部品の固定構造として、挿入部の配置方向の外力(例えば抉り)に弱く、端子用ランドに端子がはんだ付けされて基板に電子部品が実装された状態で、上記外力にともなう応力が端子と端子用ランドとの接続部に作用しやすくなる。このため、端子と端子用ランドとの接続信頼性が低いという問題がある。
【0012】
特にコネクタなどの端子数の多い電子部品では、一対の係止用脚部を構成する2本の係止用脚部の並び方向(貫通孔に挿入される挿入部の並び方向)に沿う方向の体格も長い。したがって、貫通孔の長さを短くすると、挿入部の配置方向の外力に対して弱くなり、接続信頼性を確保することが困難となる。
【0013】
本発明は上記問題点に鑑み、一対の係止用脚部を有する補助部材を備えた電子装置において、電子部品の端子と基板の端子用ランドの接続部の接続信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する為に、以下に示す発明に係る電子装置は、端子用ランド及び貫通孔の形成された基板と、導電材料からなり、端子用ランドと電気的に接続された複数の端子と、該端子が配設され、前記基板の表面上に配置された本体部を有する電子部品と、一部が本体部に固定され、電子部品の基板への固定を補助する補助部材と、を備えている。
【0015】
請求項1に係る発明では、補助部材が、本体部に固定された基部と、該基部から延びて貫通孔に挿入された複数の脚部を有し、複数の脚部は、挿入側の先端に設けられ、基板の裏面における貫通孔の周縁上に配置された係止部と、挿入時に係止部が貫通孔内に挿入されるように変位するばね部とを有する一対の係止用脚部を含んでいる。そして、対をなす2本の係止用脚部が、それぞれ互いに異なる貫通孔に挿入されるとともに、係止用脚部が挿入された貫通孔には、係止用脚部のみが挿入されていることを特徴とする。
【0016】
このように本発明では、係止用脚部がそれぞれ異なる貫通孔に挿入され、この貫通孔には係止用脚部のみが挿入されるため、電子部品のがたつきを抑制しつつ、係止部間の距離を長くすることができる。したがって、電子部品の端子と基板の端子用ランドの接続部の接続信頼性を向上することができる。
【0017】
請求項2に記載のように、対をなす2本の係止用脚部の並び方向において、係止用脚部の一方が複数の脚部の一端に位置し、係止用脚部の他方が複数の脚部の他端に位置する構成を採用することが好ましい。
【0018】
これによれば、一対の係止用脚部が、複数の脚部の両端に位置するので、係止部間の距離をより長くすることができる。特に、係止用脚部とは異なる脚部を含む構成では、係止部間の距離をより長くすることができる。すなわち、端子と端子用ランドの接続部の接続信頼性を、より向上することができる。
【0019】
また、互いに貫通孔を別とする構成において、対をなす2つの係止用脚部(係止部)の間の距離を長くするほど、基板に対する電子部品の傾きを小さくすることができるので、この点でも、端子と端子用ランドの接続部の接続信頼性を、より向上することができる。
【0020】
請求項3に記載のように、複数の脚部の少なくとも一部が、基板に形成された脚部用ランドにはんだ付けされた構成とすると良い。
【0021】
これによれば、補助部材を構成する脚部が基板にはんだ付けによって機械的に強固に固定されることとなるため、基板に対して電子部品をより強固に固定することができる。そして、端子と端子用ランドの接続部の接続信頼性をさらに向上することができる。
【0022】
例えば請求項4に記載のように、基板の表面には、上記脚部用ランドとしての表面ランドが形成され、複数の脚部の少なくとも一部が、貫通孔に挿入された部分である挿入部と基部との間に、表面ランドに対向して設けられるとともに、表面ランドにはんだ付けされた表面実装部を有する構成を採用することができる。
【0023】
表面実装の構成においては、請求項5に記載のように、表面実装部を有する脚部が、挿入部と表面実装部との間の部位であって基板の表面側に、表面実装部に対して基板の表面から遠ざかる方向に凹んだ凹部を有する構成を採用すると良い。
【0024】
表面実装部を有する構成では、表面実装部が表面ランドに対向配置される。また、脚部における貫通孔に挿入された挿入部と、貫通孔の壁面との間には狭い隙間が存在する。したがって、表面実装部と挿入部が隣接していると、リフロー時において、毛細管現象により、溶融はんだが貫通孔内に引き込まれ、表面ランド上のはんだ量が減少し、表面ランドと表面実装部との間に良好な接続状態を確保できないことも考えられる。
【0025】
これに対し、本発明では、脚部が凹部を有することで、表面実装部と挿入部の間に、表面実装部と基板表面との間隔よりも広い貯留部が構成されている。すなわち、表面実装部と挿入部の間に、毛細管現象が生じにくい部位が構成されている。これにより、貫通孔内への溶融はんだの流れ込みが抑制されるので、表面ランド上のはんだ量を確保することができる。
【0026】
また、溶融したはんだが、凹部の壁面を重力に逆らって濡れ広がることとなる(上方に移動する)ため、溶融したはんだの移動が抑制される。これによっても、表面ランド上のはんだ量を確保することができる。
【0027】
さらには、表面ランド上にはんだ(はんだペースト)が配置された状態で、基板に電子部品を配置する際に、脚部の表面実装部がはんだを押し広げても、凹部にはんだを貯留することができる。すなわち、脚部における貫通孔に挿入される挿入部に、リフロー前の時点ではんだが付着したり、貫通孔内にはんだが押し込まれるのを抑制され、リフロー時において貫通孔内に流入するはんだ量が減少する。したがって、表面ランド上のはんだ量を確保することができる。
【0028】
請求項6に記載のように、基板には、表面実装部を有する脚部の少なくとも一部に対応する脚部用ランドとして、表面ランドのみが形成された構成としても良い。
【0029】
表面実装部を有する脚部のうちの少なくとも一部が挿入された貫通孔の壁面には、壁面ランドが形成されていないため、貫通孔内に溶融はんだが流れ込みにくく、これにより表面ランド上のはんだ量を確保して、端子と端子用ランドの接続部の接続信頼性を向上することができる。
【0030】
請求項7に記載のように、基板が、貫通孔として、壁面に、脚部用ランドとしての壁面ランドが設けられた貫通孔を含んでも良い。
【0031】
その際、請求項8に記載のように、表面実装部を有する脚部がはんだ付けされた表面ランドと、該表面ランドにはんだ付けされた脚部の挿入された貫通孔の壁面ランドとが互いに分離された構成とすると良い。
【0032】
これによれば、同一の脚部がはんだ付けされる表面ランドと壁面ランドとが、一体化されずに互いに分離されているので、リフロー時において、表面ランド上のはんだ(溶融はんだ)が壁面ランドに濡れ広がりにくい。したがって、表面ランド上のはんだ量を確保して、端子と端子用ランドの接続部の接続信頼性を向上することができる。
【0033】
壁面ランドを有する構成では、請求項9に記載のように、壁面ランドにはんだ付けされた脚部として、係止用脚部とは異なる脚部であって、挿入側の先端位置が、基板の厚さ方向において係止用脚部における挿入側の先端位置よりも基部に近い位置とされた接合用脚部を含むと良い。
【0034】
そして、請求項10に記載のように、複数の脚部のうち、接合用脚部のみが壁面ランドにはんだ付けされた構成を採用することが好ましい。
【0035】
表面ランドを有する構成では、スクリーン印刷などにより、基板の表面側から表面ランド上にはんだ(はんだペースト)を配置する。したがって、表面ランドとともに、貫通孔内における壁面ランド上にもはんだを配置し、一括でリフロー実装することが、製造上好ましい。
【0036】
係止用脚部はその先端に係止部を有しており、ばね部を変位させることで、係止部を挿通させる。したがって、電子部品を基板に配置する際に、貫通孔内にはんだが配置されていると、貫通孔内に挿入された脚部(係止部)がはんだを基板裏面側に押しやり、はんだが貫通孔を抜けて基板から脱落する恐れがある。このようなはんだの脱落は、転写などを引き起こすため好ましいものではない。なお、係止用脚部に限らず、後述する位置決め用脚部についても、その長さが長く、先端が基板の裏面側に大きく突出するため、はんだが貫通孔を抜けて脱落する恐れがある。
【0037】
これに対し、本発明では、壁面ランドにはんだ付けされる脚部を、上記した接合用脚部のみとするので、はんだが貫通孔を抜けて脱落するのを抑制することができる。
【0038】
係止用脚部とは異なる脚部として、例えば請求項11に記載のように、挿入側の先端位置が、基板の厚さ方向において、係止用脚部における挿入側の先端位置よりも基部から離れた位置まで延設された位置決め用脚部を含む構成を採用しても良い。
【0039】
これによれば、電子部品を基板に配置する際に、先ず位置決め用脚部が対応する貫通孔に挿入されるので、ばね部を有する係止用脚部を、対応する貫通孔内に挿入しやすくなる。また、端子用ランドに対する端子の位置精度を、基板の厚さ方向に垂直な方向において向上することができる。
【0040】
請求項12に記載のように、複数の脚部として、係止用脚部とは異なる脚部を含み、係止用脚部とは異なる脚部に対応する貫通孔の少なくとも1つが、基板の表面に沿う方向において、一対の係止用脚部が挿入された2つの貫通孔を通る仮想直線から外れた位置に形成された構成としても良い。
【0041】
これによれば、脚部が挿入される貫通孔全てが同一直線上に配置された構成に比べて、基板表面に沿う方向であって仮想直線に垂直な方向の外力に対して強い構成となる。換言すれば、係止用脚部における挿入部の並び方向に垂直な方向の外力に対して強い構成となる。
【0042】
また、係止用脚部とは異なる脚部は係止部を有さないため、基板に対する遊びが係止用脚部よりも小さい。したがって、基板に対する電子部品の位置精度を、基板の厚さ方向に垂直な方向において向上することができる。
【0043】
請求項13に記載のように、基板が、上記仮想直線から外れた位置にある貫通孔を複数有し、外れた位置にある複数の貫通孔が、仮想直線に対して同一側に形成された構成とすることが好ましい。
【0044】
これによれば、補助部材による固定構造を、仮想直線に垂直な方向の外力に対して強い構造とするととともに、垂直な方向の体格の増大を抑制(換言すれば小型化)することができる。
【0045】
また、請求項14に記載のように、基板が、上記仮想直線から外れた位置にある貫通孔を複数有し、外れた位置にある複数の貫通孔は、仮想直線を間にはさむように仮想直線に対して両側に分散して形成された構成としても良い。
【0046】
これによれば、補助部材による固定構造を、仮想直線に垂直な方向の外力に対して、より強い構造とすることができる。
【0047】
請求項15に記載のように、補助部材を3つ以上有し、複数の補助部材は、互いに平行となるように一方向に沿って配置され、両端に位置する2つの補助部材は、仮想直線から外れた位置に形成された貫通孔に挿入される脚部を含み、2つの補助部材の間に配置された補助部材は、複数の脚部として係止用脚部のみを有する構成とすると良い。
【0048】
このように2つの補助部材の間に配置される補助部材が係止用脚部のみを有する構成とすると、本体部の長手方向において、本体部に対する補助部材の配置スペースの増大を抑制することができる。これにより、電子部品の体格の増大を抑制することができる。また、他の脚部が挿入される貫通孔が不要となるため、基板における実装スペースを確保して、基板の体格の増大を抑制することもできる。
【0049】
また、補助部材による固定構造を、複数の補助部材が配置された一方向の外力に対して、強い構造とすることができる。また、補助部材が、一方向に沿って複数配置されるため、各補助部材の係止用脚部により、基板の反りを抑制することもできる。
【0050】
請求項16に記載のように、電子部品の本体部は、基板の表面に沿う一方向に長い形状を有しており、対をなす2本の係止用脚部が、本体部の長手方向に垂直な短手方向に沿って配置された構成を採用することができる。具体的には、請求項17に記載のように、電子部品として、本体部としてのハウジングを有し、該ハウジングの長手方向に沿って複数の端子が配列されたコネクタを採用することができる。
【0051】
請求項18に記載のように、複数の補助部材が、本体部の長手方向において、互いに離間して設けられた構成とすると良い。
【0052】
これによれば、補助部材による固定構造を、本体部の長手方向の外力に対して、強い構造とすることができる。また、補助部材が、本体部の長手方向に沿って複数配置されるため、各補助部材の係止用脚部により、基板の反りを抑制することもできる。
【0053】
その際、請求項19に記載のように、補助部材が、本体部における長手方向の両端部にそれぞれ設けられた構成とすると良い。
【0054】
これによれば、本体部の長手方向の外力が作用した際に、先ず補助部材に応力が作用するので、端子と端子用ランドとの接続信頼性を向上することができる。
【0055】
次に、請求項20に係る発明では、補助部材が、本体部に固定された基部と、該基部から延びて貫通孔に挿入された複数の脚部を有し、複数の脚部は、挿入側の先端に設けられ、基板の裏面における貫通孔の周縁上に配置された係止部と、挿入時に係止部が貫通孔内に挿入されるように変位するばね部とを有する一対の係止用脚部と、該係止用脚部とは異なる脚部とを含んでいる。そして、対をなす2本の係止用脚部を含む全ての脚部が、それぞれ互いに異なる前記貫通孔に挿入されていることを特徴とする。
【0056】
このように本発明では、全ての脚部がそれぞれ異なる貫通孔に挿入されている。すなわち、2本の係止用脚部も、互いに異なる貫通孔に挿入されている。したがって、請求項1に記載の発明同様、電子部品のがたつきを抑制しつつ、係止部間の距離を長くすることができる。これにより、電子部品の端子と基板の端子用ランドの接続部の接続信頼性を向上することができる。
【0057】
また、係止用脚部とは異なる脚部は係止部を有さないため、基板に対する遊びが係止用脚部よりも小さい。したがって、基板に対する電子部品の位置精度を、基板の厚さ方向に垂直な方向において向上することができる。
【0058】
請求項21に記載の発明は、対をなす2本の係止用脚部の並び方向において、2本の係止用脚部の間に、係止用脚部とは異なる脚部が設けられた構成を採用することが好ましい。
【0059】
これによれば、一対の係止用脚部が、係止用脚部とは異なる脚部を間に挟んで、複数の脚部の両端に位置する。したがって、係止部間の距離をより長くすることができる。これにより、端子と端子用ランドの接続部の接続信頼性を、より向上することができる。
【0060】
また、互いに貫通孔を別とする構成において、対をなす2つの係止用脚部(係止部)の間の距離を長くするほど、基板に対する電子部品の傾きを小さくすることができるので、この点でも、端子と端子用ランドの接続部の接続信頼性を、より向上することができる。
【0061】
請求項22〜25に記載の発明の作用効果は、上記した請求項12〜15に記載の発明の作用効果とそれぞれ同じであるので、その記載を省略する。
【0062】
請求項26に記載の発明の作用効果は、上記した請求項11に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
【0063】
請求項27に記載の発明の作用効果は、上記した請求項3に記載の発明の作用効果と同じであるので、その記載を省略する。
【0064】
請求項28に記載のように、基板が、貫通孔として、壁面に、脚部用ランドとしての壁面ランドが設けられた貫通孔を含む構成を採用すると良い。
【0065】
このように壁面ランドにはんだ付けされる挿入実装構造を採用すると、補助部材によって、電子部品を基板に対し、より強固に固定することができる。
【0066】
その際、請求項29に記載のように、係止用脚部とは異なる脚部として、挿入側の先端位置が、基板の厚さ方向において係止用脚部における挿入側の先端位置よりも基部に近い位置とされ、壁面ランドにはんだ付けされた接合用脚部を含む構成を採用しても良い。
【0067】
これによれば、はんだを貫通孔内に配置した状態で、補助部材を備える電子部品が基板に配置され、リフローにより、電子部品が基板に実装される構成において、上記請求項10に示した効果と同じ効果を期待することができる。
【0068】
請求項30〜33に記載の発明の作用効果は、上記した請求項16〜19に記載の発明の作用効果とそれぞれ同じであるので、その記載を省略する。
【0069】
なお、上記した発明では、請求項34に記載のように、係止用脚部が、係止部とばね部と繋ぎ、貫通孔内に一部が配置された繋ぎ部を有し、ばね部が、基板の表面上に配置されてた構成を採用すると良い。
【0070】
これによれば、ばね部が貫通孔内に挿入されず、ばね部の変形による反力で、基板に係止するのではない。したがって、ばね部の反力で貫通孔の壁面にばね部自体が係止する構成に比べて、貫通孔壁面(壁面上に形成されたメッキ層)の損傷を低減することができる。また、ばね部の設計自由度を向上することができる。
【0071】
請求項35に記載のように、ばね部は、繋ぎ部における貫通孔内に配置された部分と同じ方向に延び、その延びた長手方向及び板厚方向に対して垂直な短手方向における幅が板厚よりも広く、変位前の状態で平板状とされており、その板厚方向は、変位前の状態で係止部の前記繋ぎ部から延びた方向と平行とされた構成を採用すると良い。
【0072】
本発明では、ばね部における短手方向の幅が該ばね部の板厚よりも広くされ、これにより、その板厚方向に変位するようになっている。
【0073】
また、ばね部は、繋ぎ部における貫通孔に配置された部分と同一方向に延びた平板状とされ、この平板状部位の板厚方向が変位前の状態で繋ぎ部からの係止部の延びた方向と平行となっている。換言すれば、ばね部は、基部側から基板の表面側に向けて延びており、その板厚方向が、変位前の状態で基板の表面と平行となっている。
【0074】
これにより、ばね部は、係止部の繋ぎ部から延びた方向と平行に変位、換言すれば、この補助部材により電子部品が取り付けられる基板に対し、基板の厚さ方向ではなく、主として厚さ方向に垂直な方向(基板表面に沿う方向)に変位するようになっている。
【0075】
このように、本発明では、ばね部の変位方向が主として厚さ方向に垂直な方向となるため、主として基板の厚さ方向にばね部が変位する構造よりも、基板の厚さ方向において、基板に対する電子部品の位置精度を向上することができる。
【0076】
したがって、電子部品や補助部材が、基板に対して表面実装構造を有するものに特に好適である。
【0077】
請求項36に記載のように、一対の係止用脚部における各繋ぎ部は、その延びた長手方向及び板厚方向に対して垂直な短手方向における幅が板厚よりも広く、ばね部との連結端を除く部位が係止部と一体的な平板状とされており、該平板状部位の板厚方向が基部における板厚方向と平行とされ、一対の係止用脚部における各ばね部は、基部と繋ぎ部に対して、基部における同じ表面側に同じ角度で折曲され、それぞれの平板状部位の板厚方向が、変位前の状態で基部における板厚方向と垂直とされた構成を採用することが好ましい。
【0078】
これによれば、補助部材における折曲箇所が、基部とばね部との連結部位と、ばね部と繋ぎ部の連結部位だけであり、各折曲箇所では基板の厚さ方向に折り曲げてはいない。したがって、折曲箇所を低減して補助部材の構造を簡素化しつつ、基板の厚さ方向において、基板に対する電子部品の位置精度を向上することができる。また、基部とばね部との連結部位と、ばね部と繋ぎ部の連結部位を、同時に折曲することも可能である。
【0079】
また、係止部を繋ぎ部と一体的な平板状としており、打ち抜き加工のみによって係止部を形成できるので、係止部と繋ぎ部との間に折曲部位を有する構成に比べて、変形や破損に対して係止部の耐力を向上することができる。これにより、補助部材によって、電子部品を基板により強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1実施形態に係る電子制御装置の概略構成を説明するための分解図である。
【図2】コネクタを基板に実装した状態の実装部周辺の平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う部分断面図である。
【図4】図3を基板の裏面側から見た平面図である。
【図5】係止部と端子用ランドとの位置関係を示す模式的な図である。
【図6】補助部材の概略構成を示す斜視図である。
【図7】図6に示す補助部材を、係止部側から見た平面図である。
【図8】補助部材の固定構造を示す断面図である。
【図9】補助部材の製造方法を説明するための展開図である。
【図10】図9における繋ぎ部付近を拡大した図である。
【図11】貫通孔への係止用脚部の挿入時を示す部分断面図である。
【図12】補助部材の固定構造の変形例を示す断面図である。
【図13】補助部材の固定構造の変形例を示す断面図である。
【図14】補助部材の固定構造の変形例を示す断面図である。
【図15】ばね部の変形例を示す展開図である。
【図16】ばね部の変形例を示す展開図である。
【図17】ばね部の変形例を示す展開図である。
【図18】第2実施形態に係る電子制御装置のうち、補助部材の概略構成を示す平面図である。
【図19】図17に示す補助部材を、係止部側から見た平面図である。
【図20】図17に示す補助部材を、前後方向から見た平面図である。
【図21】補助部材をコネクタに固定した状態を示す断面図である。
【図22】(a)は、基板表面側から見た、ランド、貫通孔、はんだペースト塗布位置を示す平面図であり、(b)は、基板裏面側から見た、ランド、貫通孔の形成位置を示す模式的な平面図である。
【図23】補助部材の固定構造を示す、図22のXXIII−XXIII線に沿う断面図である。
【図24】補助部材の概略構成を示す模式的な図であり、(a)は第1実施形態に係る電子制御装置に用いられる補助部材、(b)は第3実施形態に係る電子制御装置に用いられる補助部材を示している。
【図25】第4実施形態に係る電子制御装置の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
【0082】
(第1実施形態)
本実施形態では、電子装置として、例えば車両のエンジンECU(Electric Control Unit)として用いられる、非防水構造の電子制御装置の例を示す。
【0083】
なお、本実施形態では、図1に示すように、基板の厚さ方向を上下方向とし、図2に示すように、ハウジングにおける端子の配列方向(換言すれば、ハウジングの長手方向)を左右方向、上下方向及び左右方向と直交する方向(換言すれば、ハウジングの短手方向)を前後方向とする。補助部材を構成する各部位の位置の説明にも、コネクタとともに基板に配置された状態での上記した方向(上下方向、左右方向、前後方向)を基準として用いる。
【0084】
また、図2では、コネクタにおけるハウジングの一部を破線で示し、ハウジング下部にある端子や補助部材を図示している。図3では、はんだを省略して図示している。図6では、基板に配置された状態での方向を示している。図8,10では、便宜上、一対の係止用脚部の一方のみを例示している。図11では、便宜上、基板のランド及びはんだを省略して図示している。また、図3,図5,図8,図11では、補助部材を平面視としている。
【0085】
図1に示す電子制御装置10は、要部として、基板31に電子部品32が実装された回路基板30と、該回路基板30に実装されたコネクタ40と、該コネクタ40の回路基板30への固定を補助する補助部材50と、を備えている。また上記要素以外にも、本実施形態では筐体20を備えている。
【0086】
筐体20は、アルミニウム、鉄等の金属材料や樹脂材料からなり、その内部に回路基板30、コネクタ40の一部、及び補助部材50を収容して、これらを保護するものである。筐体20の構成部材の個数は特に限定されるものではなく、1つの部材から構成されても良いし、複数の部材から構成されても良い。
【0087】
本実施形態では、図1に示すように、一面が開口された箱状のケース21と、ケース21の開口部を閉塞する底の浅いカバー22との2つの部材によって構成されている。そして、ケース21とカバー22とを組み付けることで、回路基板30、コネクタ40、及び補助部材50を収容する内部空間を備えた筐体20が構成される。
【0088】
また、筐体20(ケース21)には、コネクタ40に対応したコネクタ用切り欠き部(図示略)が設けられており、回路基板30を収容するようにケース21とカバー22を組み付けた(例えば螺子締結した)状態で、回路基板30、コネクタ40の端子41における回路基板30との接続側を含む一部位、及び補助部材50が、筐体20内に収容され、コネクタ40の端子41における外部コネクタとの接続側を含む残りの部分が、筐体20外に露出されるようになっている。
【0089】
また、図示しないが、ケース21とカバー22を組み付けた状態で、ケース21とカバー22の間で、基板31における周縁部の一部を挟持し、回路基板30を筐体20内の所定位置に保持する構成となっている。
【0090】
回路基板30は、図1に示すように、電極としてのランドを含む配線や、配線間を接続するビアホール等が形成されてなる基板31に、マイコン、パワートランジスタ、抵抗、コンデンサ等の電子部品32が実装されて、回路が構成されたものである。この基板31にはコネクタ40も実装されている。
【0091】
コネクタ40は、厳密には回路基板30に構成された回路と外部機器などとを電気的に中継する中継部材であるが、本実施形態においてはマイコンなどと同様、電子部品32の一部とする。この電子部品32としてのコネクタ40が、特許請求の範囲に記載の電子部品に相当する。
【0092】
基板31には、コネクタ40の端子41が実装される端子用ランド33が設けられている。端子用ランド33としては、端子41の実装構造に応じて、基板31の表面31aに形成された表面実装用のランド、及び、基板31に貫通孔壁面に形成された挿入実装用のランドの少なくとも一方を採用することができる。
【0093】
本実施形態では、図2及び図5に示すように、基板31の表面31aに、端子用ランド33が設けられている。この端子用ランド33は、左右方向に長く設けられるとともに、前後方向にも多段に設けられている。具体的には、端子用ランド33が、図5に示すように、前後方向2段で左右方向に配列されている。また、前後方向1段目の端子用ランド33と2段目の端子用ランド33の位置が左右方向において千鳥配置となっている。
【0094】
また、基板31には、補助部材50の脚部52がそれぞれ挿入される複数の貫通孔34が形成されている。本実施形態では、後述するように、補助部材50が脚部52として一対の係止用脚部53,54のみを有しており、2本の係止用脚部53,54に対応して2つの貫通孔34が形成されている。この対をなす貫通孔34は、図5に示すように、対をなす係止用脚部53,54の各係止部60が前後方向において端子用ランド33を間に挟むように、所定の間隔をもって形成されている。
【0095】
詳しくは、図5に示すように、前後方向において、係止部60の対向距離が、係止用脚部53に近い側の1段目の端子用ランド33における後端と、係止用脚部54に近い側の2段目の端子用ランド33の前端との間の距離(破線間の距離)よりも長くなっている。換言すれば、前後方向において、係止部60の対向距離が、係止用脚部53に近い側の1段目の端子41の実装部における後端と、係止用脚部54に近い側の2段目の端子41の実装部の前端との間の距離(一点鎖線間の距離)よりも長くなっている。
【0096】
また、複数の補助部材50の配置に対応して、貫通孔34の対が、左右方向において互いに離間して4箇所に設けられている。本実施形態では、貫通孔34の対が、左右方向において端子用ランド33を間に挟むように、コネクタ40の両端付近にそれぞれ形成され、さらに、両端部間の2箇所にも形成されている。
【0097】
貫通孔34の断面形状は特に限定されるものではない。本実施形態では、図4に示すように、貫通孔34が、左右方向の長さよりも前後方向の長さが若干長い略楕円断面の長孔となっている。そして、図3〜図5に示すように、補助部材50の対をなす2本の係止用脚部53,54が、前後方向に並んで形成された対をなす貫通孔34のうち、それぞれ異なる貫通孔34に挿入されている。また、係止用脚部53,54が挿入された貫通孔34には、係止用脚部53,54のみが挿入されている。
【0098】
基板31における各貫通孔34の周辺には、図3及び図8に示すように、補助部材50の脚部52に対応する脚部用ランド35が形成されている。この脚部用ランド35は、導体箔のパターニングやメッキなどにより形成されており、本実施形態では、脚部用ランド35が、電気的な接続機能を提供しないランド、所謂ダミーランドとなっている。そして、脚部用ランド35に対し、図8に示すように、はんだ36を介して、係止用脚部53,54が機械的に接続されている。図8では、係止用脚部53のみを示しているが、係止用脚部54においても同様である。
【0099】
脚部用ランド35は、図8に示すように、基板31の表面31aに設けられ、係止用脚部53,54の表面実装部がはんだ付けされる表面ランド35aと、貫通孔34の壁面に設けられた壁面ランド35bとを有している。本実施形態において、これら2つのランド35a,35bが一体的に形成されている。そして、2つのランド35a,35bにはんだ36が配置され、係止用脚部53,54が接続されている。
【0100】
コネクタ40は、導電材料からなる複数の端子41を、電気絶縁性の材料(本実施形態においては樹脂)からなるハウジング42に対し、基板31の表面31aに沿って配列してなるものである。このハウジング42が、特許請求の範囲に記載の本体部に相当する。
【0101】
端子41は、一方の端部がハウジング42の前面42a側から延出され、その先端が、対応する端子用ランド33と図示しないはんだを介して電気的に接続されている。また、他方の端部がハウジング42の後面側から延出され、筐体20外に露出されて外部コネクタと電気的に接続されるようになっている。
【0102】
本実施形態では、一例として、端子用ランド33との実装部として表面実装部のみを有する端子41を採用している。そして、このような表面実装構造の端子41として、図2に示すように、信号伝送用のシグナル端子41aと、該シグナル端子41aよりも太い電力伝送用のパワー端子41bを有している。
【0103】
複数の端子41は互いに干渉しないように、それぞれ端子41の一部位がハウジング42に保持されている。そして、この保持構造において、ハウジング42に対し、端子41は上下方向2段で左右方向に配列されている。
【0104】
ハウジング42は、前後方向よりも左右方向に長い略矩形状を有している。そして、左右方向の両端部42b付近と両端部42b間の2箇所の計4箇所に、図3に示すように、前面42aから後面側に向けて、補助部材50用の溝部42cがそれぞれ形成されている。各溝部42cには、前面42aから後面側に向けて補助部材50が圧入され、これにより、補助部材50がコネクタ40(ハウジング42)に固定されている。なお、ハウジング42に対する補助部材50の固定方法は圧入に限定されるものではない。嵌合や接着などを採用することもできる。また、ハウジング42に固定された複数の補助部材50は、例えばお互いの基部51が互いに平行となる。
【0105】
また、ハウジング42は、図1及び図3に示すように、前後方向において上下方向に沿う厚さの異なる2段構造となっており、ハウジング42のうち、外部コネクタとの嵌合部を含む後段部42dのほうが、前面42aを含む前段部42eよりも肉厚となっている。前段部42eは、後段部42dの前面42a側の側面のうち、上部から突出している。そして、溝部42cは、前段部42eにおける前面42aと下面にわたって開口し、前段部42eと後段部42dにかけて延設されている。
【0106】
補助部材50は、コネクタ40の回路基板30への固定を補助するものであり、コネクタ40のハウジング42に固定される基部51と、基部51から延びて貫通孔34に挿入される複数の脚部52を有している。そして、複数の脚部52として、基板31の裏面31bに係止可能な係止構造を有する一対の係止用脚部53,54を含んでいる。本実施形態では、脚部52として、対をなす係止用脚部53,54のみを有している。また、図6に示すように、板厚T1の金属板を加工することで、基部51及び複数の脚部52を備えた補助部材50が形成されている。
【0107】
基部51は、上記した厚さT1の平板状となっている。そして、図6に示すように、略矩形状の部位51aと、該矩形部位51aの一側面から前後方向の一方に沿って延び、溝部42cに圧入される圧入部位51bと、圧入部位51bが延設された側面及び該側面に対向する側面から前後両方向にそれぞれ延び、係止用脚部53,54と連結された連結部位51cとを有している。そして、ハウジング42に固定された状態で、図3に示すように、基部51の矩形部位51aの一部が、ハウジング42の前面42aから突出している。
【0108】
係止用脚部53,54は、コネクタ40の端子41が基板31の端子用ランド33にはんだ付けされる前の状態で、コネクタ40を基板31の表面31a上に保持する機能(仮止め機能)を果たすとともに、端子41が端子用ランド33にはんだ付けされた状態で、基板31に対するコネクタ40の固定を補助する機能を果たす部位である。これら、係止用脚部53,54は、同一方向(下方)に延びており、係止用脚部53と係止用脚部54とは、線対称の関係となっている。
【0109】
詳しくは、係止用脚部53,54が、挿入側の先端に、仮止め状態で基板31の裏面31bにおける貫通孔34の周縁上に少なくとも一部が位置する係止部60を有している。換言すれば、基板31の裏面31bにおける貫通孔34の周縁に係止する係止部60を有している。
【0110】
この係止部60には、その一部が貫通孔34内に配置される繋ぎ部61が連結され、繋ぎ部61における係止部60とは反対側の端部には、基板31の表面31a上に配置されるとともに、貫通孔34に挿入する際に、係止部60が貫通孔34内に挿入されるように変位するばね部62が連結されている。そして、ばね部62における繋ぎ部61とは反対側の端部に、基部51の連結部位51cが連結されている。
【0111】
ばね部62は、図6に示すように、その短手方向(図6中の左右方向)における幅W1が板厚T1よりも広くなっており、このため、板厚方向に弾性変形するようになっている。また、ばね部62は、変位前の状態で平板状となっており、繋ぎ部61のうちの貫通孔34内に配置される挿入部61aとほぼ同じ方向(図6中の上下方向)に延びている。そして、ばね部62の板厚方向(図6中の前後方向)が、変位前の状態で繋ぎ部61からの係止部60の延びた方向とほぼ平行となっている。
【0112】
本実施形態では、ばね部62の幅W1が長手方向においてほぼ一定とされている。そして、ばね部62が、互いに対向する平行部62a,62bと、これら平行部62a,62bを連結し、平行部62a,62bよりも長さの長い直線部62cを有する略コの字状となっている。なお、仮止め状態で、平行部62a,62bが左右方向に平行、直線部62cが上下方向に平行となる。
【0113】
ばね部62のうち、平行部62aの端部が基部51の連結部位51cと連結され、平行部62bの端部が繋ぎ部61と連結されている。そして、略コの字状の部位は、基部51及び繋ぎ部61に対して同じ側に略90°折り曲げられている。なお、変位してもばね部62が基部51や繋ぎ部61に接しないのであれば、平行部62a,62bのない構成(直線部62cのみの構成)とすることもできる。
【0114】
繋ぎ部61は、図6に示すように、ばね部62との連結端を除く部位が係止部60と一体的な平板状とされており、該平板状部位の板厚方向が基部51における板厚方向と略平行となっている。これにより、ばね部62の板厚方向が、変位前の状態で、繋ぎ部61からの係止部60の延びた方向と略平行となるとともに、基部51における板厚方向及び繋ぎ部61における板厚方向と略垂直となっている。
【0115】
より詳しくは、ばね部62において、平行部62a,62bの直線部62cから延びた長さが略等しくされ、これにより、一体的な平板状とされた繋ぎ部61及び係止部60と平板状の基部51とが、左右方向(基部51の板厚方向)において、図7に示すように、少なくとも変位前の状態で同じ位置となっている。
【0116】
また、繋ぎ部61は、図6に示すように、その短手方向(図6中の前後方向)における幅W2が板厚T1よりも広く、繋ぎ部61の板厚方向がばね部62の板厚方向と略垂直となっている。これにより、繋ぎ部61は、貫通孔34への係止部60及び繋ぎ部61の挿入時において殆んど変形しないようにリジッドとなっている。
【0117】
また、繋ぎ部61における平板状部位は略L字状とされ、L字の長手部分が貫通孔34内に一部が配置される挿入部61a、L字の短手部分が、基板31の表面31a上において表面31aと略平行に配置される平行部61bとなっている。そして、繋ぎ部61における挿入部61aは、図8に示すように貫通孔34内に挿入されて壁面ランド35bと対向し、はんだ36を介して壁面ランド35bに機械的に接続されている。
【0118】
この挿入部61aの上下方向に沿う長さは、係止部60が対応する貫通孔34を挿通し、基板31の裏面31b上に位置するまで、L字状の繋ぎ部61の平行部61b及びばね部62が、基板31の表面31aと接触しない長さとなっている。
【0119】
また、繋ぎ部61の平行部61bにおける下面(基板側表面)と、略コの字状のばね部62における平行部62bの下面とは面一の関係となっており、平行部61bと平行部62bとは、仮止め状態で、表面ランド35aに対向配置される。そして、図8に示すように、はんだ36を介して表面ランド35aと機械的に接続されている。このように、繋ぎ部61の平行部61bとばね部62の平行部62bとは、特許請求の範囲に記載の表面実装部となっている。
【0120】
係止部60は、略L字状の繋ぎ部61に対し、挿入部61aの下端から前後方向(前方向)に延設されている。換言すれば、係止部60は、略L字状の繋ぎ部61の平行部61bの延びた方向と略平行に延びている。また、図4、図6、図7に示すように、一対の係止用脚部53,54における係止部60は、対応する繋ぎ部61から延びた方向が、互いに反対方向となっている。
【0121】
係止部60の繋ぎ部61から延びた方向は、仮止め状態では、図3に示すように、基板31の裏面31b(表面31a)と略平行となっている。そして、係止部60は、上下方向の幅が、繋ぎ部61との連結端側から前後方向において繋ぎ部61とは離れた角部の先端に近いほど狭い所謂楔形状となっており、少なくとも一部が、仮止め状態で基板31の裏面31b上に位置する(対向する)ようになっている。
【0122】
また、本実施形態では、図8に示すように、楔形状の係止部60における基板31の裏面31bとの対向部分60aが、前後方向において対応する繋ぎ部61から離れるほど、仮止め状態で上下方向において基板31の表面31aから遠いテーパ状となっている。これにより、上下方向において、公差の範囲内で例えば補助部材50、基板31、ハウジング42などに製造ばらつきや組み付けばらつきが生じても、仮止め状態で、係止部60を基板31の裏面31bに係止させることができる。また、同一構成の補助部材50を、異なる厚さの基板31(厚さの異なる複数種類の基板31)に対する共通部材とすることができる。
【0123】
係止部60の角部としては、角張った形状(鋭角)としても良い。しかしながら、貫通孔34への係止用脚部53,54の挿入時において、係止部60が貫通孔34を突き抜ける際に、係止部60は、少なくとも一部が突き抜けつつばね部62の反力(復元力)で貫通孔34よりも外側へ移動する。したがって、角部が貫通孔34の壁面を傷つける恐れがある、特に本実施形態に示すように、貫通孔の壁面にメッキからなる壁面ランド35bが設けられた構成においては、壁面ランド35bが削り取られる恐れがある。
【0124】
これに対し、本実施形態では、図8に示すように、前後方向において、係止部60のうち、仮止め状態で貫通孔34から最も離れた位置となる角部60bが丸みを帯びた形状となっている。このような構成とすると、貫通孔34の壁面にかかる圧力が小さくなり、角部60bによる貫通孔壁面のダメージを抑制することができる。なお、丸みを帯びた形状以外にも、90°よりも大きい角(鈍角)を複数繋いでなる多角形状の係止部60を採用しても、同様の効果を期待することができる。
【0125】
また、基板31に形成された貫通孔34で説明したとおり、本実施形態では、図2に示すように、4つの補助部材50がコネクタ40のハウジング42に固定されており、左右方向におけるハウジング42の中心に対して左側に2個、右側に2個の対称配置となっている。そして、各補助部材50は、ハウジング42における長手方向の端部42bにおいて、基部51の板厚方向がハウジング42の長手方向と略平行となるように配置され、基部51に対するばね部62の折曲方向が、ハウジング42における近い側の端部42b外側となっている。
【0126】
このような補助部材50は、厚さT1を有する金属板を打ち抜き、部分的に曲げ加工することで形成することができる。詳しくは、平板状の金属板を、図9に示す形状に先ず打ち抜く。この段階で、ばね部62、繋ぎ部61、及び係止部60は、基部51と同一の平面に構成されている。
【0127】
この平板状の補助部材50に対し、ばね部62の平板状部位において、直線部62cからの各平行部62a,62bの長さが略等しくなるように、図9に示す破線53L,54Lをそれぞれ曲げ位置として、ばね部62を基部51、繋ぎ部61、及び係止部60に対して同じ側に略90°折り曲げる。このとき、係止用脚部53,54の各ばね部62が互いに近づく側に折り曲げる。
【0128】
このように、1つの金属板を所定形状に打ち抜き、各ばね部62に曲げ加工を施すことにより、図6に示す補助部材50を形成することができる。このように本実施形態では、係止部60が、曲げ加工せずに打ち抜き加工のみによって形成されている。
【0129】
なお、金属部材を曲げ加工すると、曲げ部位に凸部が形成されることとなる。したがって、本実施形態では、図10に例示すように、金属板を打ち抜く時点で、繋ぎ部61の平行部61bとばね部62の平行部62bとの境界部分(破線53Lと交わる部分)に、切り込み部63を予め形成するようにしている。これにより、ばね部62を折り曲げた際に、上記連結部位において凸部が生じるのを抑制することができる。そして、基板31の表面31a上に、繋ぎ部61の平行部61bにおける基板側端面を略平行に配置することができる。なお、図10では、係止用脚部53側のみを例示しているが、係止用脚部54についても同様である。
【0130】
次に、補助部材50が固定されたコネクタ40の、基板31への固定方法について説明する。
【0131】
本実施形態では、端子41として、基板31の表面31aに形成された端子用ランド33と接続される表面実装構造の端子を使用しており、端子41とともに補助部材50もリフローはんだ付けされる。このように、端子41とともに補助部材50をリフロー実装すると、補助部材50を基板31に対して強固に固定することができるため、補助部材50によるコネクタ40の固定補助を強化することができる。また、他の電子部品32と実装工程を共通化して製造工程を簡素化することができる。
【0132】
先ず、上記した補助部材50の基部51(圧入部位51b)を、コネクタ40のハウジング42に形成された溝部42cに圧入固定する。そして、補助部材50の固定されたコネクタ40を基板31上に搭載する前に、端子用ランド33と脚部用ランド35(表面ランド35a及び壁面ランド35b)上とに、スクリーン印刷などによりはんだペーストを塗布する。
【0133】
ここで、係止用脚部53,54は、仮止め状態で、図8に示すように、係止部60が基板31の裏面31b側に突出する。したがって、予め貫通孔34内(壁面ランド35b上)にはんだペーストを配置しておくと、係止用脚部53,54の挿入時に、貫通孔34内のはんだペーストが基板31の裏面31b側まで押され、はんだペーストが落下する恐れがある。また、ばね部62の反力で係止部60が基板31の裏面31bにおける貫通孔34の周縁上に位置する際に、はんだペーストを弾き飛ばす恐れがある。そして、これらにより、リフロー炉が汚染される恐れがある。そこで、本実施形態では、はんだペーストを、表面ランド35a上のみに配置する。
【0134】
はんだペースト配置後、図11に示すように、基板31の表面31a側から裏面31b側の方向(図中の白抜き矢印方向)に、係止部60側から貫通孔34に補助部材50を挿入する。ここで、係止部60は楔形状となっており、ばね部62はその板厚方向に弾性変形可能となっている。したがって、図11に示す白抜き矢印方向に補助部材50(コネクタ40)を押し込み、係止部60が基板31に接触すると、楔状の係止部60が、その傾斜に沿って貫通孔34の内側へ移動するように、ばね部62が基部51との連結部位側を支点として変位(弾性変形)する。
【0135】
詳しくは、図11に示すように、平板状のばね部62において、少なくとも繋ぎ部61との連結部位側が、ばね部62の板厚方向(前後方向)であって対をなすばね部62が互いに近づく側に変位する。そして、各ばね部62の変位により、楔状の係止部60が貫通孔34内に挿入される。また、繋ぎ部61自体は、その板厚方向がばね部62の板厚方向と略垂直となっているため弾性変形を殆んどせず、固定状態(又は挿入前の状態)に対して傾いた状態となる。すなわち、ばね部62は、繋ぎ部61が傾いて係止部60が貫通孔34内に挿入されるように変位する。なお、図11に示す破線は、変位前のばね部62を示している。
【0136】
そして、ばね部62の弾性変形による反力(復元力)によって貫通孔34の壁面(壁面ランド35b)に係止部60の角部を接触させつつ補助部材50(コネクタ40)をさらに押し込むと、係止部60が貫通孔34を通り抜ける。そして、ばね部62の反力により、図3及び図4に示すように、係止部60の少なくとも一部が、基板31の裏面31bであって貫通孔34の周縁上に位置することとなる。
【0137】
また、表面実装部をなす、繋ぎ部61の平行部61b及びばね部62の平行部62bが、はんだペーストを介して、基板31の表面31aにおける表面ランド35a上に積層配置された状態となる。また、各端子41の実装部も、はんだペーストを介して基板31の表面31aにおける端子用ランド33上に積層配置された状態となる。
【0138】
この状態で、リフローを実施する。これにより、溶融されたはんだが、金属材料からなる繋ぎ部61や脚部用ランド35の表面を、繋ぎ部61の挿入部61aと壁面ランド35bの間や、平行部61bや平行部62bと表面ランド35aとの間に作用する毛細管現象などによって濡れ広がる。
【0139】
このようにして、本実施形態では、図8に示すように、補助部材50も、基板31の表面31aに形成された表面ランド35a、及び、貫通孔34の壁面に形成され壁面ランド35bと、はんだ36を介して接続されている。
【0140】
次に、本実施形態に示した電子制御装置10の特徴部分の効果について説明する。
【0141】
先ず、補助部材50が、同一の金属板を加工してなる基部51と係止用脚部53,54を有し、係止用脚部53,54が、貫通孔34を通り抜け、固定状態で基板31の裏面31bにおける開口周辺上に位置する係止部60を有している。また、繋ぎ部61を介して係止部60と連結されたばね部62の変位により、係止部60は貫通孔34を通り抜け、基板31の裏面31b上に位置される。この係止部60は、係止用脚部53,54を貫通孔34から引き抜こうとする外力(基板31からコネクタ40を外そうとする外力)が作用した際に基板31の裏面31bに係止する。したがって、基板31に対するコネクタ40の保持強度を向上することができる。
【0142】
また、本実施形態では、係止用脚部53,54において、基板31に係止する係止部60とばね部62とが互いに異なる位置に構成されており、ばね部62が貫通孔34内に挿入されないようになっている。すなわち、ばね部62は、それ自体がその変形による反力で基板31に係止するのではなく、係止部60(及び繋ぎ部61)を貫通孔34内に挿入させ、係止部60が貫通孔34を通り抜けた際には係止部60を基板31の裏面上に位置させることのできる程度のばね性を有している。換言すれば、係止部60を貫通孔34内に挿入させる際に、係止部60の角部60bが貫通孔34の壁面に強く当たるようなばね性は必要とせず、これにより、貫通孔34に対する係止部60の挿入力を低減することができる。したがって、貫通孔34の壁面に壁面ランド35bが形成された構成において、壁面ランド35bの損傷を低減することができる。また、ばね部62の設計自由度を向上することもできる。
【0143】
また、本実施形態では、ばね部62の短手方向における幅W1が金属板の板厚T1よりも広くされ、これにより、ばね部62がその板厚方向に変位するようになっている。そして、ばね部62は、変位前の状態で略コの字状とされ、その板厚方向が変位前の状態で繋ぎ部61からの係止部60の延びた方向と略平行となっている。換言すれば、ばね部62は、基部51側から基板31の表面31a側に向けて延び、その板厚方向が、変位前の状態で基板31の表面31aと略平行となっている。
【0144】
これにより、ばね部62は、係止部60の繋ぎ部61から延びた方向と略平行に変位、換言すれば、この補助部材50によりコネクタ40が取り付けられる基板31に対し、上下方向ではなく、主として上下方向に略垂直な方向(前後方向)に変位するようになっている。したがって、主として上下方向にばね部が変位する構造に比べて、上下方向において、基板31に対するコネクタ40の位置精度を向上することができる。特に本実施形態では、コネクタ40の端子41が表面実装構造を有しているので好適である。
【0145】
また、本実施形態では、補助部材50が有する一対の係止用脚部53,54が、それぞれ異なる貫通孔34に挿入され、各貫通孔34には対応する係止用脚部53,54のみが挿入されている。したがって、基板31に対する、係止用脚部53,54において貫通孔34内に挿入される挿入部61aの遊びを、1つの貫通孔に2本の係止用脚部が挿入される構成に比べて小さくすることができる。これにより、仮止め時において、コネクタ40の位置ずれ(傾きなど)を低減することができる。
【0146】
したがって、端子41が対応する端子用ランド33からずれてはんだと接しない、はんだとの接触面積が小さい、端子41が対応する端子用ランド33に押し当たってはんだ量が不足する、といった問題が生じるのを抑制することができる。また、コネクタ40が傾きにくいため、傾いた状態で基板31に実装されたコネクタ40が、筐体20内に収容された状態で筐体20に過度に接触し、この応力が端子41と端子用ランド33との接続部に作用するのを抑制することができる。
【0147】
また、1本の係止用脚部53,54につき1つの貫通孔34が対応しているので、上記したように遊びを小さくしつつも、一対の係止用脚部53,54の係止部60間の距離D1(例えば図4に示すように、貫通孔34の周縁の位置する部位の内−内の距離)を長くすることができる。したがって、補助部材50により、前後方向の外力(例えば抉り)に強い固定構造を提供することができる。これにより、印加された外力が、端子41と端子用ランド33との接続部に作用するのを抑制することができる。
【0148】
特に本実施形態では、補助部材50の固定される電子部品としてコネクタ40を採用しており、端子41が、ハウジング42に対して上下方向に多段に配置されている。すなわち、ハウジング42が、前後方向においてもある程度の長さを有している。しかしながら、本実施形態によれば、係止部60間の距離が長いので、このようなコネクタ40にも好適である。
【0149】
以上により、本実施形態によれば、コネクタ40の端子41と基板31の端子用ランド33の接続部の接続信頼性を向上することができる。
【0150】
また、本実施形態では、補助部材50が、複数の脚部52として対をなす2本の係止用脚部53,54を有し、これら係止用脚部53,54の並び方向(前後方向)において、係止用脚部53が複数の脚部52の一端に位置し、係止用脚部53が複数の脚部52の他端の位置している。したがって、係止部60間の距離D1をより長くすることができる。さらには、係止部60間の距離D1を長くすることで、基板31に対するコネクタ40の傾きを小さくすることもできるので、この点でも、端子41と端子用ランド33の接続部の接続信頼性を向上することができる。
【0151】
また、本実施形態では、補助部材50における折曲箇所が、1本の脚部52につき、基部51とばね部62との連結部位と、ばね部62と繋ぎ部61の連結部位の2箇所だけとなっている。また、各折曲箇所では基板31の厚さ方向に折り曲げてはいない。したがって、折曲箇所を低減して補助部材50の構造を簡素化しつつ、基板31の厚さ方向において、基板31に対するコネクタ40の位置精度を向上することができる。また、基板31の厚さ方向への曲げがないので、上下方向の応力(例えば貫通孔34から補助部材50を引き抜こうとする力)に対する耐力を向上することができる。
【0152】
また、本実施形態では、係止部60を繋ぎ部61と一体的な平板状としており、打ち抜き加工のみによって係止部60を形成している。したがって、係止部60が曲げ加工によって形成された(折曲箇所として繋ぎ部61と係止部60との連結部位を含む)構成に比べて、変形や破損に対して係止部60の耐力を向上することができる。これにより、基板31に対するコネクタ40の保持強度をさらに向上することができる。
【0153】
また、本実施形態では、各係止用脚部53,54において、係止部60の繋ぎ部61からの延設方向が、互いに反対方向となっている。このような構成とすると、対をなす係止部60が互いに同一方向に延びた構成に比べて、基板31に対するコネクタ40のガタつきを低減することができる。さらには、係止部60が、前後方向に沿って延びているので、前後方向よりも左右方向、すなわちハウジング42の長手方向への自由度が大きい。したがって、端子41のリフロー実装時の温度変化により、ハウジング42と基板31との間に線膨張係数差に基づく応力が生じても、左右方向へのクリアランスが前後方向よりも大きいので、端子41と対応する端子用ランド33との接合部に作用する応力や補助部材50に作用する応力を抑制することができる。
【0154】
また、本実施形態では、基部51の板厚方向(左右方向)において、各係止部60の位置が、少なくとも変位前の状態で基部51と同じ位置となっている。したがって、係止用脚部53,54の構成を簡素化し、精度良く形成することができる。また、基部51とばね部62との連結部位、及び、ばね部62と繋ぎ部61と連結部位を同時に折曲することができるので、折曲工数を削減することも可能である。
【0155】
また、本実施形態では、補助部材50が、ハウジング42における長手方向の端部42bにおいて、基部51の板厚方向がハウジング42の長手方向(左右方向)と略平行となるように配置され、基部51に対するばね部62の折曲方向が、ハウジング42における近い側の端部42b外側となっている。換言すれば、ハウジング42に対して長手方向外側となっている。これによれば、上下方向において、端子41における端子用ランド33との実装部を基準として、基部51よりも実装部に近い位置となるばね部62が、左右方向において基部51よりも長手方向外側となる。したがって、例えば射出成形により形成されるハウジング42の、金型からの抜き勾配を考慮すると、ハウジング42の長手方向、すなわち左右方向におけるコネクタ40の体格を小型化することができる。
【0156】
また、本実施形態では、脚部52としての係止用脚部53,54が、基板31に形成された脚部用ランド35にはんだ付けされるため、基板31に対してコネクタ40をより強固に固定することができる。これにより、コネクタ40の端子41と基板31の端子用ランド33の接続部の接続信頼性をさらに向上することができる。
【0157】
なお、本実施形態では、係止用脚部53,54が表面実装部(繋ぎ部61の平行部61b及びばね部62の平行部62b)を有しており、脚部用ランド35として、表面ランド35aと壁面ランド35bが一体化されている例を示した。しかしながら、このような構成では、表面実装部と表面ランド35a、挿入部61aと壁面ランド35bとの間に狭い隙間がそれぞれ存在する。したがって、リフロー時において、係止用脚部53,54や脚部用ランド35の表面を溶融したはんだ36が濡れ広がるとともに、毛細管現象により、溶融はんだが貫通孔34内に引き込まれ、表面ランド35a上のはんだ量が減少し、表面ランド35aと表面実装部との間に良好な接続状態を確保できないことも考えられる。
【0158】
以下に、表面ランド35a上のはんだ量を確保するための構成例を、図12〜図14を用いて説明する。なお、図12〜図14は、上記した図8に対応しており、係止用脚部53のみを例示するが、係止用脚部54も同様である。
【0159】
先ず、図12に示す例では、繋ぎ部61の平行部61bの下面に、表面実装部の下面に対して表面31aから離れる方向に凹んだ凹部64が形成されている。凹部64としては孔でも良いが、本実施形態では繋ぎ部61を板厚方向に貫通する溝となっている。図12に示す破線は、上下方向において、表面実装部を構成する平行部62bの下面の位置を示している。このように凹部64を形成すると、基板31の表面31aとの間に、表面実装部と基板31の表面31aよりも上下方向に広い貯留部が構成される。このように広い貯留部では毛細管現象が生じにくいので、貫通孔34内へのはんだ36の流れ込みを抑制し、ひいては表面ランド35a上のはんだ量を確保し、表面実装部と表面ランド35aとの間で良好な接続状態を確保することができる。
【0160】
また、溶融したはんだ36が、凹部64の壁面を重力に逆らって濡れ広がることとなる(上下方向の上方に移動する)ため、溶融したはんだ36の移動が抑制される。これによっても、表面ランド35a上のはんだ量を確保し、表面実装部と表面ランド35aとの間で良好な接続状態を確保することができる。
【0161】
また、表面ランド35a上にはんだ36(はんだペースト)が配置された状態で、基板31にコネクタ40を配置する際に、表面実装部がはんだ36を押し広げても、凹部64にはんだ36を貯留することができる。すなわち、係止用脚部53,54の挿入部61aに、リフロー前の時点ではんだ36が付着したり、貫通孔34内にはんだ36が押し込まれるのを抑制することができる。すなわち、リフロー時において貫通孔34内に流入するはんだ量が減少するので、表面ランド35a上のはんだ量を確保し、表面実装部と表面ランド35aとの間で良好な接続状態を確保することができる。
【0162】
次に、図13に示す例では、表面ランド35aと壁面ランド35bが互いに分離して形成されている。これにより、溶融状態のはんだ36が、表面ランド35aから壁面ランド35b側に流れにくくなっている。したがって、表面ランド35a上のはんだ量を確保し、表面実装部と表面ランド35aとの間で良好な接続状態を確保することができる。図13に示す例では、コネクタ40を基板31に配置する前に、例えばスクリーン印刷によって、表面ランド35a上にはんだペーストを配置するとともに、貫通孔34内にはんだペーストを押し込んで壁面ランド35b上に配置すれば良い。
【0163】
なお、図示しないが、図12に示した凹部64を図13に示す構成に組み合わせることもできる。この場合、上記した凹部64の効果(少なくとも、凹部64の壁面を重力に逆らって濡れ広がることによる移動抑制の効果とリフロー前のはんだペースト貯留の効果)と、上記した脚部用ランド35の分離構造の効果を期待することができる。
【0164】
また、図13では、係止用脚部53,54のうち、ばね部62の平行部62bのみにはんだ36が接する例を示したが、平行部62bとともに繋ぎ部61の平行部61bにもはんだ36が接するようにしても良い。
【0165】
次に、図14に示す例では、壁面ランド35bのない構成、すなわち脚部用ランド35として表面ランド35aのみを有する構成としている。このように、そもそも壁面ランド35bのない構成とすれば、溶融したはんだ36が、壁面ランド35bの表面を濡れ広がることができないので、貫通孔34内へのはんだ36の流れ込みを抑制することができる。これにより、表面ランド35a上のはんだ量を確保し、表面実装部と表面ランド35aとの間で良好な接続状態を確保することができる。この場合、補助部材50と基板31の脚部用ランド35との間のはんだ36を介した接続部位は、表面実装部(繋ぎ部61の平行部61b及びばね部62の平行部62b)と表面ランド35aとの表面実装部のみとなる。
【0166】
なお、図示しないが、図12に示した凹部64を図14に示す構成に組み合わせることもできる。この場合、上記した凹部64の効果(少なくとも、凹部64の壁面を重力に逆らって濡れ広がることによる移動抑制の効果とリフロー前のはんだペースト貯留の効果)と、上記した壁面ランド35bなしの効果を期待することができる。
【0167】
また、本実施形態では、基板31における貫通孔34の周辺に脚部用ランド35が設けられ、はんだ36を介して係止用脚部53,54が脚部用ランド35と接続される例を示した。しかしながら、係止用脚部53,54が脚部用ランド35と機械的に接続されない構成としても良い。
【0168】
また、本実施形態では、基部51とばね部62との連結部位での折曲、ばね部62と繋ぎ部61との連結部位での折曲が、ともに同一側に略90°である例を示したが、各連結部位での折曲角度は上記例に限定されるものではない。例えば互いに反対方向に曲げても良いし、曲げ角度を90°とは異なる角度としても良い。しかしながら、本実施形態に示したように、基部51とばね部62との連結部位とばね部62と繋ぎ部61との連結部位での折曲を、同一側にほぼ同じ角度とすると、両連結部位の折曲を同時に実施することができる。
【0169】
また、本実施形態では、前面42a側に開口する溝部42cがコネクタ40のハウジング42に設けられ、この溝部42cに対しハウジング42の前面42a側から補助部材50の基部51を挿入することで、コネクタ40の補助部材50が固定される例を示した。しかしながら、補助部材50の固定構造は上記例に限定されるものではない。図示しないが、左右方向におけるハウジング42の端部42bに、縦スリット状の溝を有する固定部が形成され、この固定部の溝に対し、上方から補助部材50における基部51が挿入固定される構成としても良い。
【0170】
また、本実施形態では、図9に示したように、それぞれの係止用脚部53,54において、係止部60と繋ぎ部61が一体的な平板状とされ、この平板状部位が、基部51の板厚方向において、基部51と同じ位置となっている例を示した。換言すれば、基部51に対するばね部62の曲げ位置と、繋ぎ部61に対するばね部62の曲げ位置が、図9に破線53L,54Lで示す一直線状となっている例を示した。しかしながら、各係止部60が、基部51の板厚方向において、少なくとも変位前の状態で互いに板厚差以上ずれた位置となっている構成としても良い。
【0171】
また、本実施形態では、ばね部62における短手方向の幅W1が、長手方向に沿ってほぼ一定であり、ばね部62の平面形状が略コの字状である例を示した。しかしながら、ばね部62の形態は上記例に限定されるものではない。例えば図15に示す例では、略コの字状でありながら、短手方向の幅W1が、板厚T1よりも厚いものの長手方向に沿ってほぼ一定ではなく、基部51との連結部位側ほど広く、繋ぎ部61との連結部位側ほど狭くなっている。例えば図15に示す例では、ばね部62において、基部51に近い側の幅W1aが繋ぎ部61に近い側の幅W1bよりも広くなっている。
【0172】
ここで、係止部60を基板31の貫通孔34に挿入する際に、ばね部62に作用する応力は、係止部60から離れた位置、すなわち、基部51との連結部位に近いほど大きくなる。これに対し、図15に示す構成によれば、基部51に近い側ほど剛性が高いので、ばね部62全体で応力を分散してばね部62における基部51との連結部位側に応力が集中するのを抑制することができる。
【0173】
なお、図15に示す構成以外にも、図16や図17に示す形態のばね部62を採用することもできる。図16に示す例では、ばね部62における基部51との連結部位から、平行部62a、直線部62cにおける平行部62aとの連結端にかけて、その外形(図16中の破線で囲んだ部分)が丸みを帯びた形状となっている。これによれば、角張った形状(90°以下の角度)に比べて、応力が集中しやすい基部51との連結部位での応力集中を抑制することができる。なお、外形を90°よりも大きい角を複数繋いでなる多角形状としても同様の効果を期待することができる。
【0174】
図17に示す例では、図16に示した構成に加え、平行部62a,62b同士を繋ぐ繋ぎ部62dが、上下方向に沿う方向から前後方向に対して傾いた形状となっている。これにより、直線部62cに相当する繋ぎ部62dと平行部62aとの間の角部の曲率半径をより大きくし、応力集中を効果的に抑制するようになっている。
【0175】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る電子制御装置は、上記した実施形態に示したものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記した各実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0176】
図18〜図20に示すように、本実施形態に係る補助部材50は、複数の脚部52として、一対の係止用脚部53,54だけでなく、それ以外にも、位置決め用脚部55と、接合用脚部56を有している。
【0177】
また、本実施形態に係る補助部材50も、1枚の金属板を打ち抜き、その後曲げ加工することで形成されている。
【0178】
係止用脚部53,54は、基部51における矩形部位51aのうち、圧入部位51bが延設された側面の中央付近、及び、該側面に対向する側面の中央付近から前後方向に延びた連結部位51cを介して、それぞれ連結されている。なお、圧入部位51bは、上記側面のうち、上側端部付近から延びている。これら係止用脚部53,54の構成は、第1実施形態に示した構成(図12に示した凹部64を有し、ばね部62が図17に示した構成)と同じ構成となっている。
【0179】
矩形部位51aは、図18に示すように、連結部位51cよりも下方に延設されており、矩形部位51aの下側の側面中央付近から連結部位51dが下方に延びている。この連結部位51dも矩形部位51aと面一の関係となっている。
【0180】
位置決め用脚部55及び接合用脚部56,57は、基部51の連結部位51dのうち、下側の側面に連結されている。位置決め用脚部55は、連結部位51dの下側側面における中央付近から下方に延びてその一部が対応する貫通孔34内に挿入されるとともに、その挿入側先端が、上下方向において係止用脚部53,54の挿入側先端よりも上下方向において下方位置とされた挿入部65を有している。本実施形態では、図18及び図20に示すように、挿入部65の先端位置が、係止用脚部53,54の下端位置よりも僅かに下方に位置している。
【0181】
したがって、コネクタ40を基板31に配置する際に、複数の脚部52のうち、先ず位置決め用脚部55が対応する貫通孔34(後述する貫通孔34c)に挿入される。そして、これを位置基準として、残りの脚部52(53,54,56,57)を、対応する貫通孔34(後述する貫通孔34a,34b,34d,34e)に、それぞれ位置精度良く挿入させることができる。また、端子41を対応する端子用ランド33に対して精度良く位置決めすることもできる。
【0182】
挿入部65は、図18及び図19に示すように、係止用脚部53,54の2つの係止部60の並び方向(前後方向)において、2つの係止部60の中心に位置している。また、挿入部65は、基部51と面一の関係となっている。
【0183】
また、位置決め用脚部55は、連結部位51dの下側側面から、前後方向において挿入部65を挟むように、上下方向に所定の厚さを有しつつ前後方向にける前方と後方とにそれぞれ延びた一対の平行部66を有している。これら平行部66は、基板31にコネクタ40が配置された状態で、基板31の表面31aに対して略平行に配置される部位である。この平行部66は、後述するように接合用脚部56,57と兼用となっている。
【0184】
そして、各平行部66の下面のうち、挿入部65と隣接する一部分に、凹部64の形成されていない下面の部分に対して表面31aから離れる方向に凹んだ凹部64が形成されている。この凹部64は、第1実施形態(図12参照)に示した凹部64と同じ機能を果たすものである。各平行部66の下面のうち、凹部64の形成された部分を除く部分が、基板31の表面31aと略平行に配置され、対応する表面ランド35aにはんだ付けされる表面実装部をなす。
【0185】
また、挿入部65よりも前後方向において前方に位置する平行部66は、図19及び図20に示すように、基部51の連結部位51dよりも前方の部分が、左右方向、詳しくは図19に示すように、基部51に対するばね部62の折曲方向に折曲されている。同様に、挿入部65よりも前後方向において後方に位置する平行部66は、図19及び図20に示すように、基部51の連結部位51dよりも後方の部分が、左右方向、詳しくは図19に示すように、基部51に対するばね部62の折曲方向に折曲されている。このように、対をなす2つの平行部66は、基部51(連結部位51d)に対して互いに同じ方向に折曲されている。また、本実施形態では、基部51に対する折曲角度が、互いに略等しい角度(鋭角)となっている。
【0186】
接合用脚部56,57は、複数の脚部52のうち、対応する貫通孔34(後述する貫通孔34d,34e)に挿入されて壁面ランド35bにはんだ付けされる部位である。すなわち、補助部材50による固定を強化するものである。具体的には、折曲された各平行部66の先端から上下方向において下方に延びてその一部が対応する貫通孔34内に挿入されるとともに、その挿入側先端が、上下方向において係止用脚部53,54の挿入側先端よりも上下方向において上方位置とされた挿入部67を有している。
【0187】
本実施形態では、挿入部65の先端位置が、基板31に配置した状態で、基板31の裏面31bと略面一となるようにしている。これら2つの挿入部67は、左右方向において互いにほぼ同じ位置となっており、前後方向において、挿入部65を中心とした線対称の位置関係となっている。
【0188】
また、図18に示すように、各平行部66の下面のうち、挿入部67と隣接する一部分にも、凹部64の形成されていない下面の部分に対して表面31aから離れる方向に凹んだ凹部64が形成されている。このように、各平行部66には、挿入部65側の端部と挿入部67側の端部とにそれぞれ凹部64が形成されている。なお、上記したように、凹部64としては孔でも良いが、本実施形態では平行部66を板厚方向に貫通する溝となっている。
【0189】
このように、本実施形態に係る補助部材50は、2つの係止用脚部53,54における係止部60、位置決め用脚部55における挿入部65、及び接合用脚部56,57における挿入部67の位置関係が、図24(a)に示すようになっている。詳しくは、2つの係止部60の並び方向において、係止部60の間に、残りの脚部55〜57の挿入部65,67が位置している。
【0190】
したがって、係止部60間の距離D1(図4参照)をより長くすることができる。これにより、端子41と端子用ランド33の接続部の接続信頼性を、より向上することができる。
【0191】
また、係止部60間の距離D1を長くすることで、基板31に対するコネクタ40の傾きを小さくすることができるので、この点でも、端子41と端子用ランド33の接続部の接続信頼性を、より向上することができる。
【0192】
また、本実施形態では、図24(a)に示すように、位置決め用脚部55の挿入部65が、2つの係止部60を通る仮想直線(図中の破線)上に位置しており、接合用脚部56,57の2つの挿入部67は仮想直線から外れた位置にある。換言すれば、基板31が、貫通孔34として、係止用脚部53,54が挿入される貫通孔34(後述する34a,34b)を通る上記仮想直線から外れた位置にある貫通孔34(後述する貫通孔34d,34e)を複数有している。
【0193】
したがって、脚部52が挿入される貫通孔34全てが同一直線上に配置された構成に比べて、基板31の表面31aに沿う方向であって仮想直線に垂直な方向(左右方向)の外力に対して強い構成となる。換言すれば、係止用脚部53,54における2つの挿入部61aの並び方向(前後方向)に垂直な方向の外力に対して強い構成となる。
【0194】
また、外れた位置にある複数の貫通孔34(34d,34e)が、仮想直線に対して同一側に形成された構成となっている。したがって、補助部材50による固定構造を、仮想直線に垂直な方向(左右方向)の外力に対して強い構造とするととともに、垂直な方向の体格の増大を抑制(換言すれば小型化)することができる。
【0195】
このように構成された補助部材50は、図21に示すように、基部51の圧入部位51bが、コネクタ40のハウジング42に形成された溝部42cに圧入されることで、コネクタ40に固定されている。
【0196】
また、コネクタ40の長手方向(左右方向)において、第1実施形態同様、コネクタ40のハウジング42の4箇所に補助部材50が配置されている。詳しくは、基部51に対するばね部62及び平行部66の折曲側が、ハウジング42における近い側の端部42b側となるように配置されている。
【0197】
次に、補助部材50の脚部52が固定される基板31について説明する。基板31には、1本の脚部52に対応して1つの貫通孔34が形成されている。図22(a),(b)及び図23に示すように、本実施形態では、係止用脚部53,54が挿入される貫通孔を貫通孔34a,34b、位置決め用脚部55が挿入される貫通孔を貫通孔34c、接合用脚部56,57が挿入される貫通孔を貫通孔34d,34eとする。
【0198】
基板31の表面31a側には、脚部52の表面実装部に対応して表面ランド35aが形成されている。本実施形態では、図22(a)に示すように、係止用脚部53,54のばね部62の平行部62bに対応する部位と、位置決め用脚部55と接合用脚部56,57の兼用の平行部66のうち、凹部64が形成された部位を除く部位に対応する部分とに、それぞれ表面ランド35aが形成されている。
【0199】
また、図22(a),(b)及び図23に示すように、位置決め用脚部55の挿入部65及び接合用脚部56,57の挿入部67が挿入される貫通孔34c〜34eの壁面に、壁面ランド35bがそれぞれ形成されている。すなわち、係止用脚部53,54の挿入部61aが挿入される貫通孔34a,34bには、壁面ランド35bが形成されていない。なお、図22(a),(b)では、基板31の表面31a及び裏面31bに露出している壁面ランド35bの部分を図示している。
【0200】
次に、補助部材50が固定されたコネクタ40の、基板31への固定方法について説明する。
【0201】
本実施形態でも、端子41として、基板31の表面31aに形成された端子用ランド33と接続される表面実装構造の端子を使用しており、端子41とともに補助部材50もリフローはんだ付けされる。
【0202】
先ず、補助部材50の固定されたコネクタ40を基板31上に搭載する前に、端子用ランド33と脚部用ランド35(表面ランド35a及び壁面ランド35b)上とに、例えばスクリーン印刷によってはんだペーストを塗布する。
【0203】
本実施形態では、はんだペーストを、基板31の表面31a上のみに配置する。詳しくは、図22(a)に破線で示すように、各表面ランド35a上にはんだペースト36aを配置するとともに、挿入部67が壁面ランド35bにはんだ付けされる貫通孔34d,34eの周辺であって、壁面ランド35bの開口端からレジストを含む所定範囲にはんだペースト36aを配置する。これら貫通孔34d,34eの周辺に配置されるはんだペースト36aは、表面ランド35aに接しないように表面ランド35aとは離れて配置される。
【0204】
このように、基板31の表面31aにおけるレジスト上にもはんだペースト36aを塗布することで、リフロー時において溶融したはんだ36が接合用脚部56,57の挿入部67の表面を濡れ広がり、毛細管現象によって基板31の表面31aから貫通孔34内に引き込まれる。そして、図23に示すように、貫通孔34d,34eの壁面に形成された壁面ランド35bと挿入部67との間に良好な接続状態を確保することができる。
【0205】
また、接合用脚部56,57は、他の脚部52(53〜55)とは異なり、その挿入先端が、基板31の裏面31b側に大きく突出していない。これにより、はんだ36を貫通孔34内に留めることができる。また、予め貫通孔34d,34e内にはんだペースト36aを配置した状態で挿入部67を挿入したとしても、挿入部67が短いため、はんだペースト36aを貫通孔34d,34eの外部へ押し出すのを抑制することができる。
【0206】
また、上記リフローでは、係止用脚部53,54の表面実装部(ばね部62の平行部62b)と位置決め用脚部55及び接合用脚部56,57の表面実装部(平行部66)も、対応する表面ランド35aにはんだ付けされる。
【0207】
本実施形態では、上記したように、各脚部52の表面実装部(平行部62b,66)と挿入部61a,65,67との間に凹部64を設けている。したがって、第1実施形態に示した凹部64と同様の効果により、表面ランド35a上のはんだ量を確保することができる。
【0208】
また、本実施形態では、図22(a)及び図23に示すように、同じ脚部52に対応する表面ランド35aと壁面ランド35bとを、互いに分離している。したがって、第1実施形態(図13参照)に示した効果と同様の効果により、表面ランド35a上のはんだ量を確保することができる。
【0209】
さらに、本実施形態では、表面実装部を有する係止用脚部53,54が挿入される貫通孔34a,34bには、壁面ランド35bが形成されない構成としている。したがって、第1実施形態(図14参照)に示した効果と同様の効果により、表面ランド35a上のはんだ量を確保することができる。
【0210】
なお、複数の脚部52と基板31との関係としては、第1実施形態で示した種々の構成(図8、図12〜図14)を採用することができる。例えば、係止用脚部53,54が挿入される貫通孔34a,34bに壁面ランド35bが形成された構成としても良いし、挿入部61aが壁面ランド35bにはんだ付けされた構成としても良い。
【0211】
しかしながら、係止用脚部53,54の場合、係止部60を有する分、挿入部61aと貫通孔34a,34bとの間隙が、位置決め用脚部55における挿入部65と貫通孔34cの間隙よりも広い。また、その挿入先端が、基板31の裏面31b側に突出する構成のため、挿入部61a及び係止部60の表面積が、接合用脚部56,57の挿入部67の表面積よりも大きい。したがって、より多くのはんだ36が貫通孔34a,34b側に流れ込むこととなる。また、ばね部62の反力により、係止部60が基板31の裏面31bに係止する際に、貫通孔34a,34b内のはんだ36を跳ね飛ばし、貫通孔34a,34bからはんだ36が脱落する恐れがある。さらには、予め貫通孔34c内にはんだペースト36aを配置しておき、その後貫通孔34c内に位置決め用脚部55を挿入する場合、挿入先端が貫通孔34cを突き抜けるのにともない、はんだペースト36aが基板31から脱落することも考えられる。
【0212】
したがって、上記したように、係止用脚部53,54については、a)凹部64を設ける構成、b)表面ランド35aと壁面ランド35bを分離する構成を採用すると良く、より好ましくは、c)壁面ランド35bを設けない構成を採用すると良い。
【0213】
また、本実施形態では、図22(a),(b)及び図23に示すように、位置決め用脚部55が挿入される貫通孔34cに壁面ランド35bが形成された例を示したが、貫通孔34cの壁面に壁面ランド35bが形成されない構成としても良い。また、位置決め用脚部55が、貫通孔34cの壁面に形成された壁面ランド35bにはんだ付けされた構成としても良い。
【0214】
しかしながら、位置決め用脚部55は、その挿入先端が、基板31の裏面31b側に突出する構成のため、挿入部65の表面積が、接合用脚部56,57の挿入部67の表面積よりも大きい。したがって、より多くのはんだ36が貫通孔34c側に流れ込むこととなる。また、予め貫通孔34c内にはんだペースト36aを配置しておき、その後貫通孔34c内に位置決め用脚部55を挿入する場合、挿入先端が貫通孔34cを突き抜けるのにともない、はんだペースト36aが基板31から脱落することも考えられる。したがって、上記したように、a)凹部64を設ける、b)表面ランド35aと壁面ランド35bを分離する、c)壁面ランド35bを設けない、のいずれかを採用することが好ましい。
【0215】
また、本実施形態では、接合用脚部56,57がはんだ付けされる表面ランド35aと壁面ランド35bが互いに分離される例を示した。しかしながら、一体化された構成を採用することもできる。
【0216】
また、本実施形態では、係止用脚部53,54が表面実装部(ばね部62の平行部62b)を有する例を示したが、表面実装部のない構成としても良い。
【0217】
また、本実施形態では、位置決め用脚部55と接合用脚部56,57の表面実装部(平行部66)が共通化された例を示した。しかしながら、別個に表面実装部(平行部66)を有する構成としても良いし、位置決め用脚部55及び接合用脚部56,57のいずれかが表面実装部(平行部66)を有さない構成としても良い。さらには、いずれも表面実装部(平行部66)のない構成としても良い。
【0218】
また、本実施形態では、補助部材50が、複数の脚部52として、一対の係止用脚部53,54以外に、1本の位置決め用脚部55と、一対の接合用脚部56,57を有する例を示した。しかしながら、一対の係止用脚部53,54以外の脚部52を含む補助部材50の構成は上記例に限定されるものではない。例えば、位置決め用脚部55及び接合用脚部56,57のいずれかを一方のみを有しても良い。また、位置決め用脚部55を複数有しても良い。さらには、接合用脚部の本数も2本に限定されるものではない。
【0219】
また、本実施形態では、係止用脚部53,54の2つの係止部60を通る仮想直線から外れた位置に、接合用脚部56,57の挿入部67が位置する例を示した。しかしながら、接合用脚部56,57の挿入部67が上記仮想直線上に位置する構成としても良い。換言すれば、全ての貫通孔34a〜34eが、同一直線上に位置する構成としても良い。
【0220】
また、2つの係止部60を通る仮想直線から外れた位置に、位置決め用脚部55の挿入部65が位置する構成としても良い。
【0221】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る電子制御装置は、上記した実施形態に示したものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記した各実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0222】
本実施形態に係る補助部材50及び電子制御装置10は、第2実施形態に示したものとほぼ同じである。異なる点は、図24(b)に示すように、接合用脚部56,57の2つの挿入部67が、係止用脚部53,54の2つの係止部60を通る仮想直線(図中破線)から外れた位置であって、仮想直線を間にはさむように仮想直線に対して左右方向両側に分散して位置している。また、挿入部67及び係止部60は、挿入部65を中心として回転対称の配置となっている。
【0223】
換言すれば、基板31が、係止用脚部53,54が挿入される貫通孔34(後述する34a,34b)を通る上記仮想直線から外れた位置にある貫通孔34(後述する貫通孔34d,34e)を複数有し、外れた位置にある複数の貫通孔34(34d,34e)が、仮想直線を間にはさむように仮想直線に対して左右両側に分散して形成されている。
【0224】
このような構成を採用すると、第2実施形態(図24(a)参照)に示した補助部材50よりも、仮想直線に垂直な方向(左右方向)の外力に対して、より強い固定構造を提供することができる。
【0225】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態に係る電子制御装置は、上記した実施形態に示したものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。なお、上記した各実施形態に示した要素と同一の要素には、同一の符号を付与するものとする。
【0226】
本実施形態に係る補助部材50及び電子制御装置10は、第2実施形態に示したものとほぼ同じである。異なる点は、図25に示すように、コネクタ40のハウジング42の長手方向(左右方向)に沿い、互いに離間して配置された4つの補助部材50のうち、ハウジング42の両端に位置する2つの補助部材50は、2つの係止部60を通る仮想直線から外れた位置に、挿入部(図25では挿入部67)が位置する脚部(図25では接合用脚部56,57)を有している。一方、2つの補助部材50の間に配置された補助部材50は、複数の脚部52として係止用脚部53,54のみを有している。
【0227】
このように2つの補助部材50の間に配置される補助部材50が係止用脚部53,54のみを有する構成とすると、ハウジング42の長手方向(左右方向)において、ハウジング42に対する補助部材50の配置スペースの増大を抑制することができる。これにより、コネクタ40の体格の増大を抑制することができる。また、係止用脚部53,54以外の脚部が挿入される貫通孔34(例えば貫通孔34c〜34e)が不要となるため、基板31における実装スペースを確保して、基板31の体格の増大を抑制することもできる。
【0228】
また、補助部材50による固定構造を、複数の補助部材50が配置された一方向(左右方向)の外力に対して、強い構造とすることができる。また、補助部材50が、一方向に沿って複数配置されるため、各補助部材50の係止用脚部53,54により、基板31の反りを抑制することもできる。
【0229】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0230】
電子装置としては、非防水構造の電子制御装置10に限定されるものではない。しかしながら、防水構造の電子制御装置にも適用することができる。また、電子制御装置に限定されるものでもない。
【0231】
補助部材50によって基板31の表面31a上に保持される電子部品はコネクタ40に限定されるものではない。導電材料からなり、基板のランドと電気的に接続される端子と、端子が配設された本体部とを備えた電子部品であれば良い。例えばICパッケージなどにも適用することが可能である。
【0232】
本実施形態では、端子41として、表面実装部のみを有する表面実装構造の端子を採用し、基板31の表面31aに形成された端子用ランド33にリフローはんだ付けする例を示した。しかしながら、表面実装構造の端子としては、表面実装部のみを有する端子に限定されるものではなく、壁面に端子用ランド33が設けられた貫通孔に挿入実装される挿入実装部を併せ持つ分岐状端子を採用することもできる。また、リフロー実装される端子としては、表面実装構造の端子に限定されるものではなく、挿入実装構造の端子をリフローはんだ付けすることもできる。
【0233】
さらには、基板31へのコネクタ40の実装も、リフローはんだ付けに限定されるものではない。例えば、端子41として挿入実装部を有する端子を採用し、フローはんだ付け(局所フローはんだ付け)により、端子41や脚部52を一括ではんだ付けするようにしても良い。この場合も、製造工程を簡素化することができる。
【0234】
本実施形態では、リフローはんだ付けに際し、はんだペースト36aが、基板31の表面31a上(例えば表面ランド35a上)に配置される例を示した。しかしながら、塗布時において、はんだペースト36aを貫通孔34内に配置するようにしても良い。この場合、はんだ36と脚部52の接触面積を増やして、基板31に対しコネクタ40を強固に固定することができる。
【0235】
また、複数の脚部52のいずれもはんだ付けされない構成を採用することができる。はんだ付けされる場合、複数の脚部52のいずれがはんだ付けされても良い。例えば、複数の脚部52のうち、位置決め用脚部55のみがはんだ付けされた構成としても良い。
【0236】
また、はんだ付けされる際、実装構造としては、表面実装構造のみ、挿入実装構造のみ、表面実装構造と挿入実装構造、のいずれも採用することができる。しかしながら、表面実装構造を採用する場合、上記したように、a)凹部64を設ける構成、b)表面ランド35aと壁面ランド35bを分離する構成を採用すると良く、より好ましくは、c)壁面ランド35bを設けない構成を採用すると良い。
【0237】
また、本実施形態では、左右方向におけるハウジング42の両端部42b付近と両端部42b間の2箇所の計4箇所に、補助部材50が配置された例を示した。しかしながら、ハウジング42に対する補助部材50の配置は上記例に限定されるものではない。例えば、左右方向において、ハウジング42の両端部42b付近のみに、補助部材50が配置された構成や、両端部42b間の中央領域に1つのみ配置された構成としても良い。両端部42b間の中央領域に少なからず配置すると、コネクタ40に対して基板31の反りを抑制し、端子41と端子用ランド33との接続信頼性を向上することができる。
【0238】
例えば、補助部材50が1つのみ固定された構成を採用することもできる。しかしながら、本実施形態に示したように、複数の補助部材50が、ハウジング42の長手方向において、互いに離間して設けられた構成とすると、特にハウジング42の長手方向の外力に対して、強い固定構造とすることができる。また、各補助部材50の係止用脚部53,54により、基板31の反りを抑制することもできる。
【0239】
また、本実施形態に示すように、補助部材50が、ハウジング42の両端にそれぞれ固定された構成とすると、ハウジング42の長手方向の外力が作用した際に、端子41と端子用ランド33の接続部よりも外側に位置する補助部材50に先ず応力が作用するので、端子41と端子用ランド33との接続信頼性を向上することができる。
【0240】
また、補助部材50における2つの係止部60の並び方向が、ハウジング42の短手方向とは異なる方向となるように、ハウジング42に対して補助部材50を配置することもできる。
【0241】
また、繋ぎ部61からの係止部60の延設方向は、前後方向に限定されるものでもない。例えば、延設方向が左右方向とされた構成としても良い。
【0242】
本実施形態では、一対の係止用脚部53,54において、係止部60の延設方向が、互いに反対方向(前後方向外側)とされる例を示した。しかしながら、反対ではないものの互いに異なる方向とされた構成や、互いに同一方向とされた構成としても良い。さらには、互いに反対方向であって前後方向内側に延設された構成としても良い。しかしながら、少なくとも互いに異なる方向、より好ましくは互いに反対方向とすると、同一方向に延設された構成に比べて、基板31に対するコネクタ40のガタつきを低減することができる。また、係止状態を解除しにくくすることができる。
【0243】
本実施形態では、係止部60が、金属板を打ち抜き加工することのみで形成された例を示した。しかしながら、曲げ加工により、繋ぎ部61に対して係止部60が折曲された構成としても良い。しかしながら、曲げ加工をすると、変形や破損に対する耐力が低下するため、好ましくは本実施形態で示したように打ち抜き加工のみにより形成された、換言すれば繋ぎ部61と一体的な平板状とされた構成とすると良い。
【0244】
本実施形態では、係止用脚部53,54のうち、繋ぎ部61とばね部62における平行部61b,62b、若しくは、ばね部62における平行部62bが、表面ランド35aとの表面実装部とされる例を示した。しかしながら、繋ぎ部61の平行部61bのみが表面実装部とされた構成としても良い。
【0245】
本実施形態では、楔形状の係止部60における基板31の裏面31bとの対向部分60aが、前後方向において対応する繋ぎ部61から離れるほど、仮止め状態で上下方向において基板31の表面31aから遠いテーパ状とされた例を示した。しかしながら、係止部60の形態は上記例に限定されるものではない。例えば、対向部分60aが、仮止め状態で上下方向において基板31の表面31aと略平行となる構成としても良い。
【0246】
また、本実施形態では、一対の係止用脚部53,54(係止部60)が複数の脚部52の両端とされる例を示した。しかしながら、2つの係止部60の並び方向において、係止部60よりも外側に挿入部65,66のいずれかが位置する構成を採用することもできる。しかしながら、補助部材50の体格を維持しつつ、係止部60間の距離D1を長くするには、一対の係止用脚部53,54(係止部60)が複数の脚部52の両端とされた構成を採用することが好ましい。
【0247】
本実施形態では、接合用脚部56,57における挿入部67の先端位置が、上下方向において、係止用脚部53,54の挿入側の先端位置よりも下方とされる例を示した。しかしながら、その先端位置が、係止用脚部53,54の挿入側の先端位置よりも上方とされた構成を採用することもできる。この場合、接合用脚部56,57が、位置決め用脚部55の機能を兼ねることとなるため、位置決め用脚部55を不要とすることができる。換言すれば、壁面ランド35bにはんだ付けされる位置決め用脚部55を有するのであれば、先端位置が、上下方向において、係止用脚部53,54の挿入側の先端位置よりも下方とされた接合用脚部56,57を不要とすることができる。しかしながら、実施形態で示した位置決め用脚部55同様、先端が基板31の裏面31b側に突出することとなるため、リフロー実装する場合には、先端位置が、上下方向において、係止用脚部53,54の挿入側の先端位置よりも下方とされた接合用脚部56,57を採用することが好ましい。
【0248】
本実施形態では、補助部材50の脚部52に対応する脚部用ランド35として、電気的な接続機能を提供しないダミーランドの例を示した。しかしながら、脚部用ランド35(表面ランド35a及び壁面ランド35bの少なくとも一方)として、電気的な接続機能を提供するランド、例えば他の配線などと接続されたランド、を採用することもできる。この場合、脚部52と脚部用ランド35がはんだ付けされた状態で、例えばその接続状態を電気的に検査することもできる。これにより、例えば端子41と端子用ランド33との接続状態の検査を代用することも可能である。
【符号の説明】
【0249】
10・・・電子制御装置(電子装置)
31・・・基板
31a・・・表面
31b・・・裏面
34,34a〜34e・・・貫通孔
35a・・・表面ランド
35b・・・壁面ランド
40・・・コネクタ(電子部品)
42・・・ハウジング(本体部)
50・・・補助部材
53,54・・・係止用脚部
55・・・位置決め用脚部
56,57・・・接合用脚部
60・・・係止部
61・・・繋ぎ部
62・・・ばね部
63・・・凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子用ランド及び貫通孔の形成された基板と、
導電材料からなり、前記端子用ランドと電気的に接続された複数の端子と、該端子が配設され、前記基板の表面上に配置された本体部を有する電子部品と、
一部が前記本体部に固定され、前記電子部品の前記基板への固定を補助する補助部材と、を備えた電子装置であって、
前記補助部材は、前記本体部に固定された基部と、該基部から延びて前記貫通孔に挿入された複数の脚部を有し、
複数の前記脚部は、挿入側の先端に設けられ、前記基板の裏面における貫通孔の周縁上に配置された係止部と、挿入時に前記係止部が前記貫通孔内に挿入されるように変位するばね部とを有する一対の係止用脚部を含み、
一対の前記係止用脚部は、それぞれ互いに異なる前記貫通孔に挿入されるとともに、前記係止用脚部が挿入された貫通孔には、前記係止用脚部のみが挿入されていることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
対をなす2本の前記係止用脚部の並び方向において、前記係止用脚部の一方が複数の前記脚部の一端に位置し、前記係止用脚部の他方が複数の前記脚部の他端に位置していることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
複数の前記脚部の少なくとも一部が、前記基板に形成された脚部用ランドにはんだ付けされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記基板の表面には、前記脚部用ランドとしての表面ランドが形成され、
複数の前記脚部の少なくとも一部が、前記貫通孔に挿入された部分である挿入部と前記基部との間に、前記表面ランドに対向して設けられるとともに、前記表面ランドにはんだ付けされた表面実装部を有することを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記表面実装部を有する脚部の少なくとも一部は、前記挿入部と前記表面実装部との間の部位であって前記基板の表面側に、前記表面実装部に対して前記基板の表面から遠ざかる方向に凹んだ凹部を有することを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記基板には、前記表面実装部を有する脚部の少なくとも一部に対応する前記脚部用ランドとして、前記表面ランドのみが形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記基板は、前記貫通孔として、壁面に、前記脚部用ランドとしての壁面ランドが形成された貫通孔を含むことを特徴とする請求項4〜6いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記表面実装部を有する脚部がはんだ付けされた表面ランドと、該表面ランドにはんだ付けされた前記脚部の挿入された貫通孔の壁面ランドとは、互いに分離されていることを特徴とする請求項7に記載の電子装置。
【請求項9】
前記壁面ランドにはんだ付けされた脚部として、前記係止用脚部とは異なる脚部であって、挿入側の先端位置が、前記基板の厚さ方向において前記係止用脚部における挿入側の先端位置よりも前記基部に近い位置とされた接合用脚部を含むことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の電子装置。
【請求項10】
複数の前記脚部のうち、前記接合用脚部のみが前記壁面ランドにはんだ付けされていることを特徴とする請求項9に記載の電子装置。
【請求項11】
前記係止用脚部とは異なる脚部として、挿入側の先端位置が、前記基板の厚さ方向において、前記係止用脚部における挿入側の先端位置よりも前記基部から離れた位置まで延設された位置決め用脚部を含むことを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項12】
複数の前記脚部が、前記係止用脚部とは異なる脚部を含み、
前記係止用脚部とは異なる脚部に対応する前記貫通孔の少なくとも1つは、前記基板の表面に沿う方向において、一対の前記係止用脚部が挿入された2つの前記貫通孔を通る仮想直線から外れた位置に形成されていることを特徴とする請求項1〜11いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項13】
前記基板は、前記仮想直線から外れた位置にある貫通孔を複数有し、
外れた位置にある複数の前記貫通孔は、前記仮想直線に対して同一側に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記基板は、前記仮想直線から外れた位置にある貫通孔を複数有し、
外れた位置にある複数の前記貫通孔は、前記仮想直線を間にはさむように前記仮想直線に対して両側に分散して形成されていることを特徴とする請求項12に記載の電子装置。
【請求項15】
前記補助部材を3つ以上有し、
複数の前記補助部材は、互いに平行となるように一方向に沿って配置され、
両端に位置する2つの前記補助部材は、前記仮想直線から外れた位置に形成された貫通孔に挿入される脚部を含み、
2つの前記補助部材の間に配置された補助部材は、複数の前記脚部として前記係止用脚部のみを有することを特徴とする請求項12〜14いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項16】
前記電子部品の本体部は、前記基板の表面に沿う一方向に長い形状を有しており、
対をなす2本の係止用脚部が、前記本体部の長手方向に垂直な短手方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1〜15いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項17】
前記電子部品は、前記本体部としてのハウジングを有し、該ハウジングの長手方向に沿って複数の前記端子が配列されたコネクタであることを特徴とする請求項16に記載の電子装置。
【請求項18】
複数の前記補助部材が、前記本体部の長手方向において、互いに離間して設けられていることを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の電子装置。
【請求項19】
前記補助部材は、前記本体部における長手方向の両端部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項18に記載の電子装置。
【請求項20】
端子用ランド及び貫通孔の形成された基板と、
導電材料からなり、前記端子用ランドと電気的に接続された複数の端子と、該端子が配設され、前記基板の表面上に配置された本体部を有する電子部品と、
一部が前記本体部に固定され、前記電子部品の前記基板への固定を補助する補助部材と、を備えた電子装置であって、
前記補助部材は、前記本体部に固定された基部と、該基部から延びて前記貫通孔に挿入された複数の脚部を有し、
複数の前記脚部は、挿入側の先端に設けられ、前記基板の裏面における貫通孔の周縁上に配置された係止部と、挿入時に前記係止部が前記貫通孔内に挿入されるように変位するばね部とを有する一対の係止用脚部と、該係止用脚部とは異なる脚部とを含み、
対をなす2本の係止用脚部を含む全ての脚部が、それぞれ互いに異なる前記貫通孔に挿入されていることを特徴とする電子装置。
【請求項21】
対をなす2本の前記係止用脚部の並び方向において、2本の前記係止用脚部の間に、前記係止用脚部とは異なる脚部が設けられていることを特徴とする請求項20に記載の電子装置。
【請求項22】
前記係止用脚部とは異なる脚部に対応する前記貫通孔の少なくとも1つは、前記基板の表面に沿う方向において、一対の前記係止用脚部が挿入された2つの前記貫通孔を通る仮想直線から外れた位置に形成されていることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の電子装置。
【請求項23】
前記基板は、前記仮想直線から外れた位置にある貫通孔を複数有し、
外れた位置にある複数の前記貫通孔は、前記仮想直線に対して同一側に形成されていることを特徴とする請求項22に記載の電子装置。
【請求項24】
前記基板は、前記仮想直線から外れた位置にある貫通孔を複数有し、
外れた位置にある複数の前記貫通孔は、前記仮想直線を間にはさむように前記仮想直線に対して両側に分散して形成されていることを特徴とする請求項22に記載の電子装置。
【請求項25】
前記補助部材を3つ以上有し、
複数の前記補助部材は、互いに平行となるように一方向に沿って配置され、
両端に位置する2つの前記補助部材は、前記仮想直線から外れた位置に形成された貫通孔に挿入される脚部を含み、
2つの前記補助部材の間に配置された補助部材は、複数の前記脚部として前記係止用脚部のみを有することを特徴とする請求項22〜24いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項26】
前記係止用脚部とは異なる脚部として、挿入側の先端位置が、前記基板の厚さ方向において、前記係止用脚部における挿入側の先端位置よりも前記基部から離れた位置まで延設された位置決め用脚部を含むことを特徴とする請求項20〜25いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項27】
複数の前記脚部の少なくとも一部が、前記基板に形成された脚部用ランドにはんだ付けされていることを特徴とする請求項20〜26いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項28】
前記基板は、前記貫通孔として、壁面に、前記脚部用ランドとしての壁面ランドが設けられた貫通孔を含むことを特徴とする請求項27に記載の電子装置。
【請求項29】
前記係止用脚部とは異なる脚部として、挿入側の先端位置が、前記基板の厚さ方向において前記係止用脚部における挿入側の先端位置よりも前記基部に近い位置とされ、前記壁面ランドにはんだ付けされた接合用脚部を含むことを特徴とする請求項28に記載の電子装置。
【請求項30】
前記電子部品の本体部は、前記基板の表面に沿う一方向に長い形状を有しており、
対をなす2本の係止用脚部が、前記本体部の長手方向に垂直な短手方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項20〜29いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項31】
前記電子部品は、前記本体部としてのハウジングを有し、該ハウジングの長手方向に沿って複数の前記端子が配列されたコネクタであることを特徴とする請求項30に記載の電子装置。
【請求項32】
複数の前記補助部材が、前記本体部の長手方向において、互いに離間して設けられていることを特徴とする請求項30又は請求項31に記載の電子装置。
【請求項33】
前記補助部材は、前記本体部における長手方向の両端部にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項32に記載の電子装置。
【請求項34】
前記係止用脚部は、前記係止部と前記ばね部と繋ぎ、前記貫通孔内に一部が配置された繋ぎ部を有し、
前記ばね部は、前記繋ぎ部との連結端とは反対側の端部が前記基部に連結され、前記基板の表面上に配置されていることを特徴とする請求項1〜33いずれか1項に記載の電子装置。
【請求項35】
前記ばね部は、前記繋ぎ部における貫通孔内に配置された部分と同じ方向に延び、その延びた長手方向及び板厚方向に対して垂直な短手方向における幅が板厚よりも広く、変位前の状態で平板状とされており、その板厚方向は、変位前の状態で前記係止部の前記繋ぎ部から延びた方向と平行とされていることを特徴とする請求項34に記載の電子装置。
【請求項36】
一対の前記係止用脚部における各繋ぎ部は、その延びた長手方向及び板厚方向に対して垂直な短手方向における幅が板厚よりも広く、前記ばね部との連結端を除く部位が前記係止部と一体的な平板状とされており、該平板状部位の板厚方向が前記基部における板厚方向と平行とされ、
一対の前記係止用脚部における各ばね部は、前記基部と前記繋ぎ部に対して、前記基部における同じ表面側に同じ角度で折曲され、それぞれの前記平板状部位の板厚方向が、変位前の状態で前記基部における板厚方向と垂直とされていることを特徴とする請求項35に記載の電子装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2011−134493(P2011−134493A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291262(P2009−291262)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】