電子装置
【課題】 アンダーフィル材が受ける熱応力を低下させて、半導体装置の信頼性を向上すること。
【解決手段】 複数の辺部及び複数の角部を含む輪郭の実装面を備える電子部品と、前記電子部品の実装面に対向する被実装面を備え、前記電子部品の角部に対向する位置に凹部が形成された回路基板と、前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記回路基板と前記電子部品とを電気的に接続する接続部と、前記凹部に埋め込まれ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第1の部材と、前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第2の部材と、を備える電子装置。
【解決手段】 複数の辺部及び複数の角部を含む輪郭の実装面を備える電子部品と、前記電子部品の実装面に対向する被実装面を備え、前記電子部品の角部に対向する位置に凹部が形成された回路基板と、前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記回路基板と前記電子部品とを電気的に接続する接続部と、前記凹部に埋め込まれ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第1の部材と、前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第2の部材と、を備える電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、電子部品及び回路基板間にアンダーフィル材を充填した電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の小型化、薄型化、高密度化の要求から、電子部品(例えば半導体チップ)又は回路基板の何れかに形成した突起状の電極(バンプ)により、電子部品と回路基板とを電気的に接続する、所謂フリップチップ実装が採用されることがある。
【0003】
フリップチップ実装は、電子部品と回路基板とを直接バンプで接続するため、電子装置を加熱したときに、電子部品と回路基板との熱膨張率に差に起因して、バンプ接続部に大きな負荷が生じることがある。このため、電子部品と回路基板との隙間にアンダーフィル材を充填して、バンプ接続部に生じる負荷を緩和することがある。
【0004】
フリップチップ実装法としては、例えば、フリップチップパッケージのIC又は基板に凹部を形成し、当該凹部にアンダーフィル樹脂を充填することで、ICと基板との結合力を向上させる技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−365740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電子装置の小型化、薄型化、高密度化により、電子部品と回路基板との隙間が小さくなっている。これに伴い、電子部品と回路基板との隙間に充填されるアンダーフィル材の厚みも減少している。このため、電子装置を加熱したときに、アンダーフィル材に大きな応力が生じて、アンダーフィル材にクラックが発生したり、又はアンダーフィル材が電子部品又は回路基板から剥離したりすることがある。特に、電子部品の角部は、アンダーフィル材に大きな応力が生じるので、アンダーフィル材が電子部品又は回路基板から剥離しやすい。従って、電子部品の角部におけるアンダーフィル材の剥離に対する対策を検討する必要がある。
【0007】
開示の技術は、アンダーフィル材が受ける熱応力を低下させて、電子装置の信頼性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術の一観点によれば、複数の辺部及び複数の角部を含む輪郭の実装面を備える電子部品と、前記電子部品の実装面に対向する被実装面を備え、前記電子部品の角部に対向する位置に凹部が形成された回路基板と、前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記回路基板と前記電子部品とを電気的に接続する接続部と、前記凹部に埋め込まれ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第1の部材と、前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第2の部材と、を備える電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、アンダーフィル材が受ける熱応力を低下させて、電子装置の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態にかかる半導体装置の斜視図である。
【図2】第1の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図3】第1の実施形態にかかる半導体チップの側面図である。
【図4】第1の実施形態にかかる半導体チップの下面図である。
【図5】第1の実施形態にかかる回路基板の平面図である。
【図6】第1の実施形態にかかる回路基板の部分断面図である。
【図7】凹部を備えていない比較例1にかかる半導体装置のアンダーフィル樹脂に生じる熱応力の分布図である。
【図8】半導体チップの角部の外側に0.25mmずれた位置に凹部を配置した比較例2にかかる半導体装置のアンダーフィル樹脂に生じる熱応力の分布図である。
【図9】半導体チップの角部の内側に1.05mmずれた位置に凹部を配置した比較例3にかかる半導体装置のアンダーフィル樹脂に生じる熱応力の分布図である。
【図10】半導体チップの角部の直下に凹部を配置した本実施例にかかる半導体装置のアンダーフィル樹脂に生じる熱応力の分布図である。
【図11】第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法の説明図である。
【図12】第1の実施形態にかかる半導体装置を他の実装基板に実装する実装方法の説明図である。
【図13】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の部分断面図である。
【図14】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の平面図である。
【図15】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の平面図である。
【図16】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の平面図である。
【図17】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の平面図である。
【図18】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の平面図である。
【図19】第1の実施形態の変形例にかかる半導体装置の斜視図である。
【図20】第1の実施形態の変形例にかかる半導体装置の断面図である。
【図21】第2の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図22】第2の実施形態にかかる回路基板の部分断面図である。
【図23】第2の実施形態にかかる回路基板の製造方法の説明図である。
【図24】第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法の説明図である。
【図25】第2の実施形態の変形例にかかる回路基板の部分断面図である。
【図26】第3の実施形態にかかる回路基板の部分断面図である。
【図27】第3の実施形態の変形例にかかる回路基板の部分断面図である。
【図28】第4の実施形態にかかる回路基板の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
以下、図1〜図20を参照しながら、第1の実施形態を説明する。
[半導体装置の構造]
図1は、第1の実施形態にかかる半導体装置100の斜視図、図2は、第1の実施形態にかかる半導体装置100の断面図であって、図1のII−IIにおける断面を示している。
【0012】
図1、図2に示すように、半導体装置100は、いわゆるBGA(Ball Grid Array)型の半導体パッケージであって、半導体チップ10と、半導体チップ10を実装する回路基板20と、半導体チップ10及び回路基板20の隙間に充填されるアンダーフィル樹脂30と、外部接続端子として回路基板20に取り付けられる半田ボール40と、を備える。
【0013】
半導体チップ10は、例えば半導体ウェハに複数の回路を作り込み、ダイシングにより個片化したものを想定している。しかし、本実施形態は、半導体チップに限定されるものではなく、他の電子部品を用いても良い。
【0014】
図3は、第1の実施形態にかかる半導体チップ10の側面図、図4は、第1の実施形態にかかる半導体チップ10の下面図である。図3、図4に示すように、半導体チップ10は、チップ本体11と、チップ本体11の下面、即ち回路基板20に対向する表面に形成された複数のバンプ12と、を備える。
【0015】
チップ本体11は、平面視で略矩形状に形成されている。即ち、チップ本体11は、回路基板20に対向する部分に、4つの辺部11a及び4つの角部11bで規定される輪郭の下面を備えている。チップ本体11のそれぞれの辺部11aは、約4mmに設定されている。チップ本体11の厚さは、約0.2mmに設定されている。但し、本実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、チップ本体11の平面形状は、三角形状、五角形状、それ以上の多角形状であっても良い。さらに、チップ本体11の平面形状は、円形状、楕円形状であっても良い。チップ本体11の線膨張率は、約2ppm〜4ppm、典型的には約2.6ppmである。
【0016】
複数のバンプ12は、チップ本体11のそれぞれの辺部11aに沿って配列されている。バンプ12のピッチは、約10μm〜100μmに設定されている。バンプ12の材料としては、例えば金を用いても良い。バンプ11の製造方法としては、例えばボールボンディングを用いても良い。
【0017】
回路基板20は、所謂ガラスエポキシ基板である。しかし、本実施形態は、これに限定されるものではなく、他のプリント基板、例えばガラスコンポジット基板やセラミック基板を用いても良い。
【0018】
図5は、第1の実施形態にかかる回路基板20の平面図、図6は、第1の実施形態にかかる回路基板20の部分断面図であって、図5のVI−VIにおける断面を示している。図5、図6に示すように、回路基板20は、コア材21と、第1の配線層22と、第2の配線層23と、を備える。
【0019】
コア材21は、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたものである。コア材21は、平面視で略矩形状に形成されており、その所定位置には、複数のスルーホールHが形成されている。コア材21の厚さは、例えば150μm〜250μmである。スルーホールHは、コア材21を上下に貫通しており、その内部には、ビアVが埋め込まれている。ビアVは、スルーホールHの内面に形成された導電膜Vaと、導電膜Vaの内側に充填された絶縁材Vbと、を備える。導電膜Vaは、第1の配線層22及び第2の配線層23を電気的に接続している。導電膜Vaの材料としては、例えばCuを用いても良い。回路基板20に占めるコア材21の割合が大きいため、回路基板20全体の熱膨張率は、主にコア材21に依存するが、本実施形態では、約12ppm〜16ppmに設定されている。
【0020】
第1の配線層22は、コア材21の上面、即ち半導体チップ10と対向する表面に形成され、複数の第1の配線パターン22Aを備えている。第1の配線層22は、コア材21の上面に金属膜を形成した後、当該金属膜の不要な部分をエッチングで除去することにより、第1の配線パターン22Aのパターン形状に整形される。第1の配線層22の材料としては、例えばCu箔を用いても良い。さらに、コア材21の上面には、第1のソルダレジスト25が形成されている。第1のソルダレジスト25の材料としては、例えばイミド系樹脂、具体的にはポリイミド樹脂などを用いても良い。第1のソルダレジスト25は、第1の配線パターン22Aを被覆しているが、半導体チップ10のバンプ12に対応する位置には、それぞれ開口部25Aが形成されている。このため、第1の配線パターン22Aは、第1のソルダレジスト25の開口部25Aから部分的に露出して、それぞれの露出領域が第1の電極パッド22Bを構成している。これにより、回路基板20の上面には、それぞれの縁部に沿って、半導体チップ10のバンプ12に対応するように、複数の第1の電極パッド22Bが配列されている。
【0021】
第2の配線層23は、コア材21の下面、即ち半田ボール40が取り付けられる表面に形成され、複数の第2の配線パターン23Aを備えている。第2の配線層23は、コア材21の下面に金属膜を形成した後、当該金属膜の不要な部分をエッチングで除去することにより、第2の配線パターン23Aのパターン形状に整形される。第2の配線層23の材料としては、例えばCu箔を用いても良い。さらに、コア材21の下面には、第2のソルダレジスト26が形成されている。第2のソルダレジスト26の材料としては、例えばイミド系樹脂、具体的にはポリイミド樹脂などを用いても良い。第2のソルダレジスト26は、第2の配線パターン23Aを被覆しているが、回路基板20の下面全体に亘り、複数の開口部26Aがマトリクス状に形成されている。このため、第2の配線パターン23Aは、第2のソルダレジスト26の開口部26Aから部分的に露出して、それぞれの露出領域が第2の電極パッド23Bを構成している。これにより、回路基板20の下面には、複数の第2の電極パッド23Bがマトリクス状に配列されている。これらの第2の電極パッド23Bには、それぞれ半田ボール40が取り付けられる。半田ボール40は、半導体装置100を他の実装基板(マザーボード)に実装するときに、外部接続端子として機能するものである。
【0022】
回路基板20における、半導体チップ10の角部11bに対応する位置には、それぞれ凹部27が形成されている。凹部27は、回路基板20のコア材21の上面から下面に貫通し、第2の配線層23に到達している。従って、半導体チップ10の角部11bに対応する位置は、半導体チップ10のバンプ12で画定された中央領域Rcに比べて、半導体チップ10と回路基板20との間隔がコア材21の厚み分だけ大きい。但し、必ずしも、凹部27がコア材21を貫通している必要はなく、例えば、凹部27がコア材21の途中まで形成されていても良い。本実施形態では、半導体チップ10の角部11bに対応する位置に、第1の電極パッド22Bが形成されていないので、凹部27が第1の電極パッド22Bに干渉することはない。
【0023】
アンダーフィル樹脂30は、半導体チップ10と回路基板20との隙間に充填され、半導体チップ10と回路基板20とを接合している。又、アンダーフィル樹脂30は、自身の材料が凝固するときに生じる収縮力により、半導体チップ10のバンプ12を回路基板20の第1の電極パッド22Bに押圧して、バンプ12と第1の電極パッド22Bとを電気的に接続している。従って、半導体チップ10のバンプ12と、回路基板20の第1の電極パッド22Aとを接続するために、別途に導電性接着材などを用いなくても良い。アンダーフィル樹脂30の周辺部は、半導体チップ10の周囲にはみ出して、いわゆるフィレットFを形成している。フィレットFは、回路基板20の上面から半導体チップ10の側面に及んでおり、半導体チップ10と回路基板20との接合強度を高めると共に、アンダーフィル樹脂30の周辺部に生じる応力を緩和している。
【0024】
さらに、アンダーフィル樹脂30は、半導体チップ10及び回路基板20の隙間に充填されることで、バンプ12と第1の電極パッド22Bとの接続部分に作用する応力を軽減している。例えば、半導体チップ10又は回路基板20の変形に付随して、半導体チップ10及び回路基板20間に発生する応力は、バンプ12と第2の電極パッド22Bとの接続部分だけでなく、アンダーフィル樹脂30も負担することになる。このため、バンプ12と第1の電極パッド22Bとの接続部分における応力集中が抑制される。
【0025】
又、アンダーフィル樹脂30は、半導体チップ10及び回路基板20に比べて、剛性、即ち弾性率が低い。このため、半導体チップ10又は回路基板20が変形した場合、それに応じて、アンダーフィル樹脂30も同様に変形して、半導体チップ10又は回路基板20の変形を吸収する。アンダーフィル樹脂30として、例えばエポキシ系樹脂、具体的にはエポキシ樹脂にシリカ製のフィラーを添加した材料を用いても良い。尚、アンダーフィル樹脂30の弾性率は、エポキシ樹脂の成分や、フィラーの添加量などに依存する。
【0026】
以上のようなアンダーフィル樹脂30は、回路基板20のコア材21に形成された凹部27に埋め込まれている。このため、半導体チップ10の角部11bの直下に位置するアンダーフィル樹脂30は、複数のバンプ12により画定された中央領域Rcの内側に位置するアンダーフィル樹脂30よりも厚い。即ち、半導体チップ10の角部11bの直下の領域では、それ以外の領域に比べて、半導体チップ10と回路基板20との隙間に、より多くのアンダーフィル樹脂30が存在している。このため、半導体チップ10又は回路基板20が変形したときに、半導体チップ10の角部11bの直下では、より多くのアンダーフィル樹脂30で、半導体チップ10又は回路基板20の変形を吸収することになる。従って、半導体チップ10の角部11bの直下では、アンダーフィル樹脂30の単位体積あたりの変形が小さくなる。その結果、本実施形態にかかる凹部27を備えた半導体装置100では、凹部27を備えていない半導体装置に比べて、半導体チップの角部11b近傍のアンダーフィル樹脂30に生じる応力が低減する。
【0027】
例えば、半導体チップ10及び回路基板20を加熱した場合、回路基板20は、半導体チップ10と回路基板20との熱膨張率の差により、半導体チップ10の中心から外側に進むにつれて半導体チップ10から離間するように変形する。このため、半導体チップ10の中心から最も離れた位置、即ち半導体チップ10の角部11bでは、半導体チップ10及びアンダーフィル樹脂30間の距離が最大となる。しかし、本実施形態にかかる半導体装置100は、半導体チップ10の角部11bの直下に、その周囲よりも多くのアンダーフィル樹脂30を備えているため、アンダーフィル樹脂30の単位体積あたりの変形量が小さい。そのため、半導体チップ10及び回路基板20の加熱時に、半導体チップ10の角部11bの直下に生じる応力が抑制されるので、アンダーフィル樹脂30に生じるクラックや、アンダーフィル樹脂30と半導体チップ10又は回路基板20との界面に生じる剥離などが防止される。即ち、本実施形態においては、アンダーフィル樹脂30の体積を増加させることにより、半導体チップ10の角部11bの直下に位置するアンダーフィル樹脂30の応力を上昇させることなく、回路基板20の変形を吸収するのである。
【0028】
特に、半導体チップ10の角部11bに対応する位置では、アンダーフィル樹脂30に応力集中が発生するので、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との剥離が最も生じやすい。従って、半導体チップ10の角部11bの直下を跨るように、回路基板20に凹部27を配置することで、顕著な効果を得ることができる。
【0029】
さらに、回路基板20の凹部27にアンダーフィル樹脂30を埋め込むことにより、回路基板20及びアンダーフィル樹脂30間で、所謂アンカー効果が生じて、アンダーフィル樹脂30の回路基板20からの剥離が防止される。
[シミュレーション結果]
以下、第1の実施形態にかかるアンダーフィル樹脂に生じる熱応力のシミュレーション結果について説明する。本シミュレーションでは、加熱温度を140℃、半導体チップ10の熱膨張率を3.5ppm、回路基板20の熱膨張率を11.0ppm、アンダーフィル樹脂30の熱膨張率を37.0ppm、半導体チップ10の各辺の長さを4.2mm、半導体チップ10の厚さを0.2mm、回路基板20の各辺の長さを8.0mm、回路基板の厚さを0.22mm、アンダーフィル樹脂30の厚み(半導体チップ10と回路基板20との間隔)を40μm、半導体チップ10の周囲にはみ出したフィレットFの長さを0.2mm、凹部の各辺の長さを0.4mm、凹部の深さを0.1mmとした。
【0030】
尚、図7〜図10の応力分布グラフにおいて、横軸は半導体チップの中心からの距離であり、縦軸はアンダーフィル樹脂に生じる厚み方向の応力値である。但し、横軸の指標(カーブ円弧長さ)は、半導体チップの中心からの距離(mm)に√2を乗じたものである。従って、横軸上の目盛3の位置が半導体チップの中心から約2.1mmの位置、即ち半導体チップの角部の位置となる。
[比較例1]
比較例1は、凹部27を備えていない半導体装置300Aにおけるアンダーフィル樹脂30の熱応力を説明するためのものである。
【0031】
図7(a)は、凹部27を備えていない比較例1にかかる半導体装置300Aの概略図である。図7(b)は、半導体装置300Aにおける、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。図7(c)は、半導体装置300Aにおける、回路基板20Aとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。
【0032】
図7(b)に示すように、凹部27を備えていない半導体装置300Aでは、半導体チップ10の中心から外側に進むにつれて、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力が大きくなり、半導体チップ10の角部の直下(図7中の矢印aを参照)では、約31.5MPa(引張応力)となっている。又、図7(c)に示すように、回路基板20Aとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図7中の矢印bを参照)で、約8.1MPa(引張応力)となっている。
[比較例2]
比較例2は、半導体チップ10の角部から外側にずれた位置に凹部27Bを配置した半導体装置300Bにおけるアンダーフィル樹脂30の熱応力を説明するためのものである。
【0033】
図8(a)は、半導体チップ10の角部の外側に、即ち半導体チップ10における、互いに交差する2つの辺部それぞれの外側にd1(=0.25mm)ずれた位置に凹部27Bを配置した比較例2にかかる半導体装置300Bの概略図である。図8(b)は、半導体装置300Bにおける、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。図8(c)は、半導体装置300Bにおける、回路基板20Bとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。
【0034】
図8(b)に示すように、半導体チップ10の外側にd1(=0.25mm)ずれた位置に凹部27Bを配置した場合、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図8中の矢印aを参照)で、約28.6MPa(引張応力)となっている。又、図8(c)に示すように、回路基板20Bとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図8中の矢印bを参照)で、約7.5MPa(引張応力)となっている。
[比較例3]
比較例3は、半導体チップ10の角部から内側にずれた位置に凹部27Cを配置した半導体装置300Cにおけるアンダーフィル樹脂300の熱応力を説明するためのものである。
【0035】
図9(a)は、半導体チップ10の角部の内側に、即ち半導体チップ10における、互いに交差する2つの辺部それぞれの内側にd2(=1.05mm)ずれた位置に凹部27Cを配置した比較例3にかかる半導体装置300Cの概略図である。図9(b)は、半導体装置300Cにおける、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。図9(c)は、回路基板20Cとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。
【0036】
図9(b)に示すように、半導体チップ10の内側にd2(=1.05mm)ずれた位置に凹部27Cを配置した場合、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図9中の矢印aを参照)で、約25.6MPa(引張応力)となっている。又、図9(c)に示すように、回路基板20Cとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図9中の矢印bを参照)で、約0.0MPa(引っ張り応力)となっている。
[本実施例]
本実施例は、半導体チップ10の角部の直下に凹部27を配置した半導体装置100におけるアンダーフィル樹脂30の熱応力を説明するためのものである。
【0037】
図10(a)は、半導体チップ10の角部の直下に凹部27を配置した本実施例にかかる半導体装置100の概略図である。図10(b)は、半導体装置100における、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。図10(c)は、半導体装置100における、回路基板20とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。
【0038】
図10(b)に示すように、半導体チップ10の直下に凹部27を備えている半導体装置100では、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図10中の矢印aを参照)で、約9.5MPa(引張応力)となっている。即ち、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、比較例1〜3に比べて、顕著に低減していることがわかる。又、回路基板20とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図10中の矢印bを参照)で、約−3.1MPa(圧縮応力)となっている。即ち、回路基板20とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、アンダーフィル樹脂30の剥離に影響しない圧縮応力となっている。
【0039】
このように、シミュレーション結果からも、半導体チップ10の角部11bの直下の位置を包含するように、回路基板20に凹部27を形成して、そこにアンダーフィル樹脂30を充填することで、アンダーフィル樹脂30の剥離を誘引する熱応力を低減できることがわかる。
[半導体装置の製造方法]
図11は、第1の実施形態にかかる半導体装置100の製造方法の説明図である。但し、図11では、半導体装置100の詳細構成を省略して、第1の電極パッド22Bだけを図示しているので、必要に応じて、図1〜図7を参照されたい。
【0040】
先ず、図11(a)に示すように、回路基板20を用意する。図11では、図示されていないが、回路基板20は、例えばガラスエポキシ材のコア材21を備え、その上面及び下面には、それぞれ第1の配線層22及び第2の配線層23が形成されている。回路基板20における、半導体チップ10の4つの角部11bに対応する領域には、それぞれ凹部27が形成されている。凹部27は、コア材21を貫通し、第2の配線層23に到達している。凹部27の形成方法としては、例えばレーザ加工を用いても良い。レーザ加工を用いる場合、第2の配線層23を加工停止面として利用すれば、凹部27を簡単に形成することができる。レーザ加工の代わりに、ドリル加工を用いても良い。
【0041】
次に、図11(b)に示すように、回路基板20の上面に、例えばディスペンス法により、エポキシ系樹脂Lを供給する。ここで用いるエポキシ系樹脂Lは、例えばエポキシ樹脂にシリカなどのフィラーを添加したものである。エポキシ系樹脂Lの供給量は、半導体チップ10を実装したときに、半導体チップ10と回路基板20との隙間が充填され、半導体チップ10の周囲にフィレットFが形成される程度に設定される。そして、加圧ヘッドHpの下面に、半導体チップ10を吸着して、半導体チップ10のバンプ12が回路基板20の第1の電極パッド22Bに対向するように、半導体チップ10を位置決めする。
【0042】
次に、図11(c)に示すように、半導体チップ10を降下させて、回路基板20に加圧する。これにより、エポキシ系樹脂Lは、半導体チップ10により押し広げられて、回路基板20の凹部27に充填されると共に、半導体チップ10の周囲にはみ出して、フィレットFを形成する。このときの加重は、半導体チップ10の寸法、バンプ12の寸法、又はバンプ12の個数などにより異なるが、例えば2kgf〜8kgfに設定される。そして、加圧ヘッドHpの内部に設けられたヒータ(図示しない)により、半導体チップ10を加熱して、半導体チップ10と回路基板20との隙間に存在するエポキシ系樹脂Lを凝固させる。これにより、エポキシ系樹脂Lが収縮して、半導体チップ10が回路基板20に強固に接合され、又、半導体チップ10のバンプ12が回路基板20の第1の電極パッド22Bに電気的に接続される。
【0043】
次に、図11(d)に示すように、回路基板20の第2の電極パッド23B(図5に図示)に、それぞれ半田ボール40を取り付ける。以上で、第1の実施形態にかかる半導体装置100が完成する。
[他の実装基板への実装方法]
図12は、第1の実施形態にかかる半導体装置100を他の実装基板1000に実装する実装方法の説明図である。但し、図12では、半導体装置100の詳細構成を省略しているので、必要に応じて、図1〜図7を参照されたい。
【0044】
半導体装置100を他の実装基板1000に実装する場合、図12(a)に示すように、実装基板1000上に半導体装置100を搭載する。そして、半導体装置100及び実装基板1000を炉内で加熱して、半田ボール40をリフローする。これにより、半田ボール40は、溶融及び凝固を経て、図12(b)に示すように、半田部材120となり、半導体装置100の第2の電極パッド23Bが実装基板1000の電極パッド110に電気的に接続される。リフローの温度は、半田ボール40の材料により異なるが、例えば210℃〜260℃に設定される。従って、半導体チップ10及び回路基板20は、それぞれ熱膨張して、アンダーフィル樹脂30に熱応力を発生させる。しかし、本実施形態にかかる半導体装置100は、回路基板20における、半導体チップ10の角部11bの直下に、アンダーフィル樹脂30が充填された凹部27を備えている。このため、半導体チップ10の角部11bの直下における、アンダーフィル樹脂30の熱応力が低減するので、アンダーフィル30に発生するクラックや、アンダーフィル樹脂30と半導体チップ10又は回路基板との界面で生じる剥離などが抑制される。尚、ここで説明した他の実装基板への実装方法は、以下の実施形態、及びその変形例のいずれにも適用することができる。
[回路基板の変形例]
図13は、第1の実施形態の変形例にかかる回路基板20の部分断面図である。前述の第1の実施形態では、回路基板20のコア材21に凹部27を形成していたが、回路基板20が多層配線基板である場合には、例えば多層配線中の層間絶縁膜に凹部270Aを形成しても良い。
【0045】
図13に示すように、本変形例にかかる回路基板20は、多層配線基板であって、コア材21と、コア材21の上面に形成された第1の積層配線28と、コア材21の下面に形成された第2の積層配線29と、を備えている。
【0046】
第1の積層配線28は、コア材21側から順に、第1の下層配線層28A、第1の層間絶縁膜28B、及び第1の上層配線層28C、を備える。第1の下層配線層28A及び第1の上層配線層28Cは、第1の層間絶縁膜28Bに埋め込まれたビア(図示しない)により、電気的に接続されている。第1の層間絶縁膜28Bの材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いても良い。ここでは図示してないが、第1の下層配線層28A及び第1の上層配線層28Cは、それぞれ複数の第1の下層配線パターン(図示しない)及び複数の第1の上層配線パターン(図示しない)を備える。
【0047】
第2の積層配線29は、コア材21側から順に、第2の下層配線層29A、第2の層間絶縁膜29B、及び第2の上層配線層29C、を備える。第2の下層配線層29A及び第2の上層配線層29Cは、第2の層間絶縁膜29Bに埋め込まれたビア(図示しない)により、電気的に接続されている。第2の層間絶縁膜29Bの材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いても良い。ここでは図示していないが、第2の下層配線層29A及び第2の上層配線層29Cは、それぞれ複数の第2の上層配線パターン(図示しない)及び複数の第2の上層配線パターン(図示しない)を備える。
【0048】
本変形例にかかる凹部270Aは、コア材21ではなく、第1の層間絶縁膜28Bに、半導体チップ10の角部11bの直下の位置を包含するように、即ち角部11bの直下の位置に跨るように形成されている。凹部270Aは、層間絶縁膜28を貫通し、第1の下層配線層28Aに到達している。そして、アンダーフィル樹脂30は、半導体チップ10及び回路基板20の隙間に充填されると共に、第1の層間絶縁膜28Bに形成された凹部270Aに埋め込まれている。
【0049】
このように、回路基板20として多層配線基板を用いる場合、第1の積層配線28の第1の層間絶縁膜28Cに凹部270Aを形成して、そこにアンダーフィル樹脂30を埋め込んでも、半導体チップ10の角部11bの直下に、より多くのアンダーフィル樹脂30を配置することができる。
[凹部の変形例]
図14−図18は、第1の実施形態の変形例にかかる回路基板20の平面図である。前述の第1の実施形態では、回路基板20に形成される凹部27は、平面視で略矩形状であったが、これに限定されるものではない。例えば、図14に示すように、回路基板20に平面視で略三角形状の凹部2700aを形成しても良い。図15、図16に示すように、回路基板20に平面視で略L字状の凹部2700b、2700cを形成しても良い。さらに、図17に示すように、回路基板20に平面視で環状(矩形フレーム状)の凹部2700dを形成して、第1の電極パッド22Bを包囲しても良い。このとき、半導体チップ10の辺部11aの直下に、辺部11aに沿うように凹部27dを配置すれば、半導体チップ10の辺部11a付近においても、アンダーフィル樹脂30の応力集中を緩和することができる。又、半導体チップ10のバンプ12が2列に配置されている場合、即ちチップ本体11の相互に対向する2つの辺部11aに沿って、それぞれバンプ12が配列されている場合、図18に示すように、回路基板20における、バンプ12が配列されていない残り2つの辺部11aの直下に、辺部11aに沿うように、それぞれ長尺な凹部2700eを形成しても良い。ここで説明した凹部27の変形例、即ち凹部2700a〜2700eは、以下の実施形態、及びその変形例のいずれにも適用することができる。
[半導体装置の変形例]
図19は、第1の実施形態の変形例にかかる半導体装置100の斜視図、図20は、第1の実施形態の変形例にかかる半導体装置100の断面図であって、図19のXVII−XVIIにおける断面を示している。
【0050】
第1の実施形態にかかる半導体装置は、必要に応じて、図19、図20に示すように、半導体チップ10及びアンダーフィル樹脂30を封止する封止樹脂50を備えても良い。封止樹脂50の材料としては、例えばエポキシ樹脂にシリカ製のフィラーを添加したものを用いても良い。フィラーの添加量は、アンダーフィル樹脂30におけるフィラーの添加量よりも多い。このため、封止樹脂50は、アンダーフィル樹脂30よりも、剛性、即ち弾性率が高い。半導体チップ10及びアンダーフィル樹脂30を封止樹脂50で封止した場合、半導体装置100を他の実装基板1000(図12を参照)に実装するための加熱(リフロー)により、封止樹脂50も熱膨張する。これにより、半導体装置100の外形は、全体として、断面視で略M字型となることがある。具体的には、半導体装置100における、半導体チップ10の角部11bに対応する部分が実装基板1000から最も離れ(M字の頂点)、半導体チップ10の角部11bよりも内側及び外側の領域が実装基板に近くなる。この場合も、前述の第1の実施形態と同様に、半導体チップ10の角部11bの直下のアンダーフィル樹脂30の熱応力が非常に大きくなる。しかし、本変形例にかかる半導体装置は、第1の実施形態と同様に、半導体チップ10の角部11bの直下の領域に、その他の領域よりも多くのアンダーフィル樹脂30が存在するため、アンダーフィル樹脂30に生じるクラックや、アンダーフィル樹脂と半導体チップ10又は回路基板20との界面で発生する剥離などが抑制される。尚、ここで説明した半導体装置100の変形例、即ち封止樹脂50を追加的に設けることは、以下の実施形態、及びその変形例のいずれにも適用することができる。
[第2の実施形態]
以下、図21〜図25を参照しながら、第2の実施形態を説明する。
[半導体装置の構造]
図21は、第2の実施形態にかかる半導体装置200の断面図、図22は、第2の実施形態にかかる回路基板20の部分断面図である。図21、図22に示すように、第2の実施形態におけるアンダーフィル樹脂31は、第1の樹脂部31Aと第2の樹脂部31Bとを含む。第1の樹脂部31Aは、凹部27に埋め込まれている。第1の樹脂部31Aの上面は、回路基板20のコア材21の上面と同等の高さに設定されている。第2の樹脂部31Bは、回路基板20及び第1の樹脂部31A上に形成され、半導体チップ10と回路基板20との隙間を充填している。第2の樹脂部31Bの周辺部は、半導体チップ10の周囲にはみ出して、所謂フィレットFを形成している。第1の樹脂部31A及び第2の樹脂部31Bは、いずれも半導体チップ10及び回路基板20よりも剛性、即ち弾性率が小さい。このため、半導体チップ10又は回路基板20が変形したときに、第1の樹脂部31A及び第2の樹脂部31Bの双方が、半導体チップ10又は回路基板20の変形を吸収する。
【0051】
本実施形態のように、アンダーフィル樹脂31を、第1の樹脂部31A及び第2の樹脂部31Bに分離すれば、回路基板20を製造する時点で、回路基板20の凹部27に第1の樹脂部31Aを埋め込むことができる。このため、所謂アンダーフィル樹脂先入れ法又はアンダーフィル樹脂後入れ法を用いて、アンダーフィル樹脂を凹部27に埋め込む必要がなくなる。その結果、凹部27に埋め込まれた第1の樹脂部31Aに、空気の巻き込みに起因するボイドが発生することが抑制される。尚、アンダーフィル樹脂先入れ法とは、回路基板の上面に、液状のアンダーフィル樹脂を塗布し、これを半導体チップにより押し広げる供給方法である。アンダーフィル樹脂後入れ法とは、半導体チップを回路基板に実装した後、半導体チップと回路基板との隙間に液状のアンダーフィル樹脂を注入する供給方法である。
【0052】
さらに、本実施形態では、第1の樹脂部31Aの剛性、即ち弾性率を、第2の樹脂部31Bよりも小さくしても良い。こうすれば、第1の樹脂部31A及び第2の樹脂部31Bを同材料とした場合に比べて、第1の樹脂部31Aが吸収する半導体チップ10又は回路基板20の変形量が大きくなる。これにより、第2の樹脂部31Bが吸収すべき半導体チップ10又は回路基板20の変形量が小さくなる。従って、半導体チップ10及び回路基板20の隙間に充填する第2の樹脂部31Bの剛性、即ち弾性率を高くすることが可能となり、結果として、半導体チップ10のバンプ12と回路基板20の第1の電極パッド22Bとの接続部分を、より堅固に補強することができる。
【0053】
第1の樹脂部31A及び第2の樹脂部31Bの材料としては、例えばエポキシ系樹脂、即ちエポキシ樹脂にシリカ製のフィラーを添加したものを用いても良い。尚、第1の樹脂部31Aの弾性率を第2の樹脂部31Bの弾性率よりも小さくする場合は、それぞれのエポキシ系樹脂のフィラーの添加量を調整すれば良い。即ち、第1の樹脂部31Aの材料におけるフィラーの添加量を、第2の樹脂部31Bの材料におけるフィラーの添加量よりも少なくすれば良い。
[回路基板の製造方法]
図23は、第2の実施形態にかかる回路基板20の製造方法の説明図である。但し、図23では、回路基板20の詳細構成を省略して、第1の電極パッド22Bだけを図示しているので、必要に応じて、図21、図22を参照されたい。
【0054】
先ず、図23(a)に示すように、回路基板20を用意する。図23では、図示されていないが、回路基板20は、例えばガラスエポキシ材のコア材21を備え、その上面及び下面には、それぞれ第1の配線層22及び第2の配線層23が形成されている。
【0055】
次に、図23(b)に示すように、コア材21おける、半導体チップ10の4つの角部11bの直下に、それぞれ凹部27を形成する。凹部27は、コア材21を貫通し、第2の配線層23に到達している。凹部27の形成方法としては、例えばレーザ加工を用いても良い。レーザ加工を用いる場合、第2の配線層23を加工停止面として利用すれば、凹部27を簡単に形成することができる。レーザ加工の代わりに、ドリル加工を用いても良い。
【0056】
次に、図23(c)に示すように、凹部27に、例えばディスペンス法により、エポキシ系樹脂を供給して、回路基板20と共にエポキシ系樹脂を加熱する。これにより、エポキシ系樹脂が凝固して、凹部27に第1の樹脂部31Aが形成される。尚、エポキシ系樹脂の供給は、ディスペンス法に限定されるものではなく、例えば印刷法など、他の方法を用いても良い。以上で、第2の実施形態で用いる回路基板20が完成する。
[半導体装置の製造方法]
図24は、第2の実施形態にかかる半導体装置200の製造方法の説明図である。但し、図24では、半導体装置200の詳細構成を省略して、第1の電極パッド22Bだけを図示しているので、必要に応じて、図21、図22を参照されたい。
【0057】
先ず、図24(a)に示すように、回路基板20を用意する。ここで用意する回路基板20は、図23に示す製造工程により製造した回路基板20である。
【0058】
次に、図24(b)に示すように、回路基板20の上面に、例えばディスペンス法により、エポキシ系樹脂Lを供給する。ここで用いるエポキシ系樹脂Lは、第2の樹脂部31Bの材料であって、例えばエポキシ樹脂にシリカなどのフィラーを添加したものである。エポキシ系樹脂Lの供給量は、半導体チップ10を充填したときに、半導体チップ10と回路基板20との隙間が充填され、半導体チップ10の周囲にフィレットFが形成される程度に設定される。そして、加圧ヘッドHpの下面に、半導体チップ10を吸着して、半導体チップ10のバンプ12が回路基板20の第1の電極パッド22Bに対向するように、半導体チップ10を位置決めする。
【0059】
次に、図24(c)に示すように、半導体チップ10を降下させて、回路基板20に加圧する。これにより、エポキシ系樹脂Lは、半導体チップ10により押し広げられて、半導体チップ10と回路基板20との隙間に充填されると共に、半導体チップ10の周囲にはみ出して、所謂フィレットFを形成する。このときの加重は、半導体チップ10の寸法、バンプ12の寸法、又はバンプ12の個数などにより異なるが、例えば、2kgf〜8kgfに設定される。そして、加圧ヘッドHpの内部に設けられたヒータ(図示しない)により、半導体チップ10を加熱して、半導体チップ10と回路基板20との隙間に存在するエポキシ系樹脂Lを凝固させる。これにより、エポキシ系樹脂Lが収縮して、半導体チップ10が回路基板20に強固に接合され、又、半導体チップ10のバンプ12が回路基板20の第1の電極パッド22Bに電気的に接続される。
【0060】
次に、図24(d)に示すように、回路基板20の第2の電極パッド23B(図25に図示)に、それぞれ半田ボール40を取り付ける。以上で、第2の実施形態にかかる半導体装置200が完成する。
[回路基板の変形例]
図25は、第2の実施形態の変形例にかかる回路基板20の部分断面図である。前述の第2の実施形態では、回路基板20のコア材21に凹部27を形成していたが、回路基板20が多層配線である場合には、例えば多層配線中の層間絶縁膜に凹部270Aを形成しても良い。
【0061】
図25に示すように、本変形例にかかる回路基板20は、多層配線基板であって、コア材21と、コア材21の上面に形成された第1の積層配線28と、コア材21の下面に形成された第2の積層配線29と、を備えている。
【0062】
第1の積層配線28は、コア材21側から順に、第1の下層配線層28A、第1の層間絶縁膜28B、及び第1の上層配線層28C、を備える。第1の下層配線層28A及び第1の上層配線層28Cは、第1の層間絶縁膜28Bに埋め込まれたビア(図示しない)により、電気的に接続されている。第1の層間絶縁膜28Bの材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いても良い。ここでは図示していないが、第1の下層配線層28A及び第1の上層配線層28Cは、それぞれ複数の第1の下層配線パターン(図示しない)及び複数の第1の上層配線パターン(図示しない)を備える。
【0063】
第2の積層配線29は、コア材21側から順に、第2の下層配線層29A、第2の層間絶縁膜29B、及び第2の上層配線層29C、を備える。第2の下層配線層29A及び第2の上層配線層29Cは、第2の層間絶縁膜29Bに埋め込まれたビア(図示しない)により、電気的に接続されている。第2の層間絶縁膜29Bの材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いても良い。ここでは図示していないが、第2の下層配線層29A及び第2の上層配線層29Cは、それぞれ複数の第2の下層配線パターン(図示しない)及び複数の第2の上層配線パターン(図示しない)を備える。
【0064】
本変形例にかかる凹部270Aは、コア材21ではなく、第1の層間絶縁膜28Bに、半導体チップ10の角部11bの直下の位置を包含するように、即ち角部11bの直下の位置に跨るように形成されている。凹部270Aは、第1の層間絶縁膜28Bを貫通し、第1の下層配線層28Aに到達している。そして、アンダーフィル樹脂31の第1の樹脂部31Aは、第1の層間絶縁膜28Bに形成された凹部270Aに埋め込まれている。又、アンダーフィル樹脂31の第2の樹脂部31Bは、回路基板20及び第1の樹脂部31A上に形成され、半導体チップ10と回路基板20との隙間を充填している。
【0065】
このように、回路基板20として多層配線基板を用いる場合、第1の積層配線28の第1の層間絶縁膜28Bに凹部270Aを形成して、そこにアンダーフィル樹脂31の第1の樹脂部31Aを埋め込んでも、半導体チップ10の角部11bの直下に、より多くのアンダーフィル樹脂31を配置することができる。
[第3の実施形態]
以下、図26、図27を参照しながら、第3の実施形態を説明する。
[回路基板の構造]
図26は、第3の実施形態にかかる回路基板20の部分断面図である。図26に示すように、第3の実施形態にかかるアンダーフィル樹脂32は、第1の樹脂部32Aと第2の樹脂部32Bとを含む。さらに、第3の実施形態にかかる凹部27は、回路基板20の第1の配線層22により閉塞されている。即ち、第1の樹脂部32Aと第2の樹脂部32Bは、第1の配線層22により隔離されている。このため、アンダーフィル樹脂32の凝固収縮に起因する大きな応力(引張応力)が発生しても、第1の樹脂部32A及び第2の樹脂部32Bは、第1の配線層22により移動が阻害されているから、第1の樹脂部32Aと凹部27の内面との界面で生じる剥離や、第2の樹脂部32Bと半導体チップ10との界面で生じる剥離など、が防止される。
[回路基板の変形例]
図27は、第3の実施形態の変形例にかかる回路基板20の部分断面図である。図27に示すように、本変形例にかかるアンダーフィル樹脂32は、第1の樹脂部32Aと第2の樹脂部32Bとを含む。さらに、本変形例にかかる凹部27は、回路基板20の第1の積層配線28により閉塞されている。即ち、第1の樹脂部32Aと第2の樹脂部32Bは、第1の積層配線28により隔離されている。このため、アンダーフィル樹脂32の凝固収縮に起因する大きな応力(引張応力)が発生しても、第1の樹脂部32A及び第2の樹脂部32Bは、第1の積層配線28により大きく移動することが阻害されるから、第1の樹脂部32Aと凹部27の内面との界面で生じる剥離や、第2の樹脂部32Bと半導体チップ10との界面で生じる剥離など、が防止される。このように、回路基板20が多層配線基板である場合には、前述の第3の実施形態にかかる第1の配線層22の代わりに、第1の積層配線28により、第1の樹脂部32Aと第2の樹脂部32Bを隔離しても良い。
[第4の実施形態]
以下、図28を参照しながら、第4の実施形態を説明する。
【0066】
図28は、第4の実施形態にかかる回路基板20の部分断面図である。図28に示すように、第4の実施形態では、回路基板20のコア材21に形成されたスルーホールHを凹部270Bとして利用している。そして、スルーホールHに埋め込まれたビアVの絶縁材Vbをアンダーフィル樹脂33の第1の樹脂部33Aとして利用している。即ち、第4の実施形態にかかるアンダーフィル樹脂33は、ビアVの絶縁材Vbからなる第1の樹脂部33Aと、半導体チップ10及び回路基板20の隙間に充填される第2の樹脂部33Bとを含む。このように、回路基板20に形成されたビアVを、半導体チップ10の角部11bの直下に配置すれば、ビアVの絶縁材Vbが半導体チップ10又は回路基板20の変形を吸収するので、別途に凹部を形成しなくても良い。
【符号の説明】
【0067】
10:半導体チップ
11a:辺部
11b:角部
12:バンプ
20:回路基板
21:コア材
22:第1の配線層
22B:第1の電極パッド
23:第2の配線層
27:凹部
28:第1の積層配線
30:アンダーフィル樹脂
31:アンダーフィル樹脂
31A:第1の樹脂部
31B:第2の樹脂部
32:アンダーフィル樹脂
32A:第1の樹脂部
32B:第2の樹脂部
33:アンダーフィル樹脂
33A:第1の樹脂部
33B:第2の樹脂部
100、200:半導体装置
270A、270B:凹部
2700a、2700b、2700c、2700d、2700e:凹部
Vb:樹脂材
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、電子部品及び回路基板間にアンダーフィル材を充填した電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の小型化、薄型化、高密度化の要求から、電子部品(例えば半導体チップ)又は回路基板の何れかに形成した突起状の電極(バンプ)により、電子部品と回路基板とを電気的に接続する、所謂フリップチップ実装が採用されることがある。
【0003】
フリップチップ実装は、電子部品と回路基板とを直接バンプで接続するため、電子装置を加熱したときに、電子部品と回路基板との熱膨張率に差に起因して、バンプ接続部に大きな負荷が生じることがある。このため、電子部品と回路基板との隙間にアンダーフィル材を充填して、バンプ接続部に生じる負荷を緩和することがある。
【0004】
フリップチップ実装法としては、例えば、フリップチップパッケージのIC又は基板に凹部を形成し、当該凹部にアンダーフィル樹脂を充填することで、ICと基板との結合力を向上させる技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−365740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電子装置の小型化、薄型化、高密度化により、電子部品と回路基板との隙間が小さくなっている。これに伴い、電子部品と回路基板との隙間に充填されるアンダーフィル材の厚みも減少している。このため、電子装置を加熱したときに、アンダーフィル材に大きな応力が生じて、アンダーフィル材にクラックが発生したり、又はアンダーフィル材が電子部品又は回路基板から剥離したりすることがある。特に、電子部品の角部は、アンダーフィル材に大きな応力が生じるので、アンダーフィル材が電子部品又は回路基板から剥離しやすい。従って、電子部品の角部におけるアンダーフィル材の剥離に対する対策を検討する必要がある。
【0007】
開示の技術は、アンダーフィル材が受ける熱応力を低下させて、電子装置の信頼性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術の一観点によれば、複数の辺部及び複数の角部を含む輪郭の実装面を備える電子部品と、前記電子部品の実装面に対向する被実装面を備え、前記電子部品の角部に対向する位置に凹部が形成された回路基板と、前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記回路基板と前記電子部品とを電気的に接続する接続部と、前記凹部に埋め込まれ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第1の部材と、前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第2の部材と、を備える電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、アンダーフィル材が受ける熱応力を低下させて、電子装置の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態にかかる半導体装置の斜視図である。
【図2】第1の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図3】第1の実施形態にかかる半導体チップの側面図である。
【図4】第1の実施形態にかかる半導体チップの下面図である。
【図5】第1の実施形態にかかる回路基板の平面図である。
【図6】第1の実施形態にかかる回路基板の部分断面図である。
【図7】凹部を備えていない比較例1にかかる半導体装置のアンダーフィル樹脂に生じる熱応力の分布図である。
【図8】半導体チップの角部の外側に0.25mmずれた位置に凹部を配置した比較例2にかかる半導体装置のアンダーフィル樹脂に生じる熱応力の分布図である。
【図9】半導体チップの角部の内側に1.05mmずれた位置に凹部を配置した比較例3にかかる半導体装置のアンダーフィル樹脂に生じる熱応力の分布図である。
【図10】半導体チップの角部の直下に凹部を配置した本実施例にかかる半導体装置のアンダーフィル樹脂に生じる熱応力の分布図である。
【図11】第1の実施形態にかかる半導体装置の製造方法の説明図である。
【図12】第1の実施形態にかかる半導体装置を他の実装基板に実装する実装方法の説明図である。
【図13】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の部分断面図である。
【図14】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の平面図である。
【図15】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の平面図である。
【図16】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の平面図である。
【図17】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の平面図である。
【図18】第1の実施形態の変形例にかかる回路基板の平面図である。
【図19】第1の実施形態の変形例にかかる半導体装置の斜視図である。
【図20】第1の実施形態の変形例にかかる半導体装置の断面図である。
【図21】第2の実施形態にかかる半導体装置の断面図である。
【図22】第2の実施形態にかかる回路基板の部分断面図である。
【図23】第2の実施形態にかかる回路基板の製造方法の説明図である。
【図24】第2の実施形態にかかる半導体装置の製造方法の説明図である。
【図25】第2の実施形態の変形例にかかる回路基板の部分断面図である。
【図26】第3の実施形態にかかる回路基板の部分断面図である。
【図27】第3の実施形態の変形例にかかる回路基板の部分断面図である。
【図28】第4の実施形態にかかる回路基板の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
以下、図1〜図20を参照しながら、第1の実施形態を説明する。
[半導体装置の構造]
図1は、第1の実施形態にかかる半導体装置100の斜視図、図2は、第1の実施形態にかかる半導体装置100の断面図であって、図1のII−IIにおける断面を示している。
【0012】
図1、図2に示すように、半導体装置100は、いわゆるBGA(Ball Grid Array)型の半導体パッケージであって、半導体チップ10と、半導体チップ10を実装する回路基板20と、半導体チップ10及び回路基板20の隙間に充填されるアンダーフィル樹脂30と、外部接続端子として回路基板20に取り付けられる半田ボール40と、を備える。
【0013】
半導体チップ10は、例えば半導体ウェハに複数の回路を作り込み、ダイシングにより個片化したものを想定している。しかし、本実施形態は、半導体チップに限定されるものではなく、他の電子部品を用いても良い。
【0014】
図3は、第1の実施形態にかかる半導体チップ10の側面図、図4は、第1の実施形態にかかる半導体チップ10の下面図である。図3、図4に示すように、半導体チップ10は、チップ本体11と、チップ本体11の下面、即ち回路基板20に対向する表面に形成された複数のバンプ12と、を備える。
【0015】
チップ本体11は、平面視で略矩形状に形成されている。即ち、チップ本体11は、回路基板20に対向する部分に、4つの辺部11a及び4つの角部11bで規定される輪郭の下面を備えている。チップ本体11のそれぞれの辺部11aは、約4mmに設定されている。チップ本体11の厚さは、約0.2mmに設定されている。但し、本実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、チップ本体11の平面形状は、三角形状、五角形状、それ以上の多角形状であっても良い。さらに、チップ本体11の平面形状は、円形状、楕円形状であっても良い。チップ本体11の線膨張率は、約2ppm〜4ppm、典型的には約2.6ppmである。
【0016】
複数のバンプ12は、チップ本体11のそれぞれの辺部11aに沿って配列されている。バンプ12のピッチは、約10μm〜100μmに設定されている。バンプ12の材料としては、例えば金を用いても良い。バンプ11の製造方法としては、例えばボールボンディングを用いても良い。
【0017】
回路基板20は、所謂ガラスエポキシ基板である。しかし、本実施形態は、これに限定されるものではなく、他のプリント基板、例えばガラスコンポジット基板やセラミック基板を用いても良い。
【0018】
図5は、第1の実施形態にかかる回路基板20の平面図、図6は、第1の実施形態にかかる回路基板20の部分断面図であって、図5のVI−VIにおける断面を示している。図5、図6に示すように、回路基板20は、コア材21と、第1の配線層22と、第2の配線層23と、を備える。
【0019】
コア材21は、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させたものである。コア材21は、平面視で略矩形状に形成されており、その所定位置には、複数のスルーホールHが形成されている。コア材21の厚さは、例えば150μm〜250μmである。スルーホールHは、コア材21を上下に貫通しており、その内部には、ビアVが埋め込まれている。ビアVは、スルーホールHの内面に形成された導電膜Vaと、導電膜Vaの内側に充填された絶縁材Vbと、を備える。導電膜Vaは、第1の配線層22及び第2の配線層23を電気的に接続している。導電膜Vaの材料としては、例えばCuを用いても良い。回路基板20に占めるコア材21の割合が大きいため、回路基板20全体の熱膨張率は、主にコア材21に依存するが、本実施形態では、約12ppm〜16ppmに設定されている。
【0020】
第1の配線層22は、コア材21の上面、即ち半導体チップ10と対向する表面に形成され、複数の第1の配線パターン22Aを備えている。第1の配線層22は、コア材21の上面に金属膜を形成した後、当該金属膜の不要な部分をエッチングで除去することにより、第1の配線パターン22Aのパターン形状に整形される。第1の配線層22の材料としては、例えばCu箔を用いても良い。さらに、コア材21の上面には、第1のソルダレジスト25が形成されている。第1のソルダレジスト25の材料としては、例えばイミド系樹脂、具体的にはポリイミド樹脂などを用いても良い。第1のソルダレジスト25は、第1の配線パターン22Aを被覆しているが、半導体チップ10のバンプ12に対応する位置には、それぞれ開口部25Aが形成されている。このため、第1の配線パターン22Aは、第1のソルダレジスト25の開口部25Aから部分的に露出して、それぞれの露出領域が第1の電極パッド22Bを構成している。これにより、回路基板20の上面には、それぞれの縁部に沿って、半導体チップ10のバンプ12に対応するように、複数の第1の電極パッド22Bが配列されている。
【0021】
第2の配線層23は、コア材21の下面、即ち半田ボール40が取り付けられる表面に形成され、複数の第2の配線パターン23Aを備えている。第2の配線層23は、コア材21の下面に金属膜を形成した後、当該金属膜の不要な部分をエッチングで除去することにより、第2の配線パターン23Aのパターン形状に整形される。第2の配線層23の材料としては、例えばCu箔を用いても良い。さらに、コア材21の下面には、第2のソルダレジスト26が形成されている。第2のソルダレジスト26の材料としては、例えばイミド系樹脂、具体的にはポリイミド樹脂などを用いても良い。第2のソルダレジスト26は、第2の配線パターン23Aを被覆しているが、回路基板20の下面全体に亘り、複数の開口部26Aがマトリクス状に形成されている。このため、第2の配線パターン23Aは、第2のソルダレジスト26の開口部26Aから部分的に露出して、それぞれの露出領域が第2の電極パッド23Bを構成している。これにより、回路基板20の下面には、複数の第2の電極パッド23Bがマトリクス状に配列されている。これらの第2の電極パッド23Bには、それぞれ半田ボール40が取り付けられる。半田ボール40は、半導体装置100を他の実装基板(マザーボード)に実装するときに、外部接続端子として機能するものである。
【0022】
回路基板20における、半導体チップ10の角部11bに対応する位置には、それぞれ凹部27が形成されている。凹部27は、回路基板20のコア材21の上面から下面に貫通し、第2の配線層23に到達している。従って、半導体チップ10の角部11bに対応する位置は、半導体チップ10のバンプ12で画定された中央領域Rcに比べて、半導体チップ10と回路基板20との間隔がコア材21の厚み分だけ大きい。但し、必ずしも、凹部27がコア材21を貫通している必要はなく、例えば、凹部27がコア材21の途中まで形成されていても良い。本実施形態では、半導体チップ10の角部11bに対応する位置に、第1の電極パッド22Bが形成されていないので、凹部27が第1の電極パッド22Bに干渉することはない。
【0023】
アンダーフィル樹脂30は、半導体チップ10と回路基板20との隙間に充填され、半導体チップ10と回路基板20とを接合している。又、アンダーフィル樹脂30は、自身の材料が凝固するときに生じる収縮力により、半導体チップ10のバンプ12を回路基板20の第1の電極パッド22Bに押圧して、バンプ12と第1の電極パッド22Bとを電気的に接続している。従って、半導体チップ10のバンプ12と、回路基板20の第1の電極パッド22Aとを接続するために、別途に導電性接着材などを用いなくても良い。アンダーフィル樹脂30の周辺部は、半導体チップ10の周囲にはみ出して、いわゆるフィレットFを形成している。フィレットFは、回路基板20の上面から半導体チップ10の側面に及んでおり、半導体チップ10と回路基板20との接合強度を高めると共に、アンダーフィル樹脂30の周辺部に生じる応力を緩和している。
【0024】
さらに、アンダーフィル樹脂30は、半導体チップ10及び回路基板20の隙間に充填されることで、バンプ12と第1の電極パッド22Bとの接続部分に作用する応力を軽減している。例えば、半導体チップ10又は回路基板20の変形に付随して、半導体チップ10及び回路基板20間に発生する応力は、バンプ12と第2の電極パッド22Bとの接続部分だけでなく、アンダーフィル樹脂30も負担することになる。このため、バンプ12と第1の電極パッド22Bとの接続部分における応力集中が抑制される。
【0025】
又、アンダーフィル樹脂30は、半導体チップ10及び回路基板20に比べて、剛性、即ち弾性率が低い。このため、半導体チップ10又は回路基板20が変形した場合、それに応じて、アンダーフィル樹脂30も同様に変形して、半導体チップ10又は回路基板20の変形を吸収する。アンダーフィル樹脂30として、例えばエポキシ系樹脂、具体的にはエポキシ樹脂にシリカ製のフィラーを添加した材料を用いても良い。尚、アンダーフィル樹脂30の弾性率は、エポキシ樹脂の成分や、フィラーの添加量などに依存する。
【0026】
以上のようなアンダーフィル樹脂30は、回路基板20のコア材21に形成された凹部27に埋め込まれている。このため、半導体チップ10の角部11bの直下に位置するアンダーフィル樹脂30は、複数のバンプ12により画定された中央領域Rcの内側に位置するアンダーフィル樹脂30よりも厚い。即ち、半導体チップ10の角部11bの直下の領域では、それ以外の領域に比べて、半導体チップ10と回路基板20との隙間に、より多くのアンダーフィル樹脂30が存在している。このため、半導体チップ10又は回路基板20が変形したときに、半導体チップ10の角部11bの直下では、より多くのアンダーフィル樹脂30で、半導体チップ10又は回路基板20の変形を吸収することになる。従って、半導体チップ10の角部11bの直下では、アンダーフィル樹脂30の単位体積あたりの変形が小さくなる。その結果、本実施形態にかかる凹部27を備えた半導体装置100では、凹部27を備えていない半導体装置に比べて、半導体チップの角部11b近傍のアンダーフィル樹脂30に生じる応力が低減する。
【0027】
例えば、半導体チップ10及び回路基板20を加熱した場合、回路基板20は、半導体チップ10と回路基板20との熱膨張率の差により、半導体チップ10の中心から外側に進むにつれて半導体チップ10から離間するように変形する。このため、半導体チップ10の中心から最も離れた位置、即ち半導体チップ10の角部11bでは、半導体チップ10及びアンダーフィル樹脂30間の距離が最大となる。しかし、本実施形態にかかる半導体装置100は、半導体チップ10の角部11bの直下に、その周囲よりも多くのアンダーフィル樹脂30を備えているため、アンダーフィル樹脂30の単位体積あたりの変形量が小さい。そのため、半導体チップ10及び回路基板20の加熱時に、半導体チップ10の角部11bの直下に生じる応力が抑制されるので、アンダーフィル樹脂30に生じるクラックや、アンダーフィル樹脂30と半導体チップ10又は回路基板20との界面に生じる剥離などが防止される。即ち、本実施形態においては、アンダーフィル樹脂30の体積を増加させることにより、半導体チップ10の角部11bの直下に位置するアンダーフィル樹脂30の応力を上昇させることなく、回路基板20の変形を吸収するのである。
【0028】
特に、半導体チップ10の角部11bに対応する位置では、アンダーフィル樹脂30に応力集中が発生するので、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との剥離が最も生じやすい。従って、半導体チップ10の角部11bの直下を跨るように、回路基板20に凹部27を配置することで、顕著な効果を得ることができる。
【0029】
さらに、回路基板20の凹部27にアンダーフィル樹脂30を埋め込むことにより、回路基板20及びアンダーフィル樹脂30間で、所謂アンカー効果が生じて、アンダーフィル樹脂30の回路基板20からの剥離が防止される。
[シミュレーション結果]
以下、第1の実施形態にかかるアンダーフィル樹脂に生じる熱応力のシミュレーション結果について説明する。本シミュレーションでは、加熱温度を140℃、半導体チップ10の熱膨張率を3.5ppm、回路基板20の熱膨張率を11.0ppm、アンダーフィル樹脂30の熱膨張率を37.0ppm、半導体チップ10の各辺の長さを4.2mm、半導体チップ10の厚さを0.2mm、回路基板20の各辺の長さを8.0mm、回路基板の厚さを0.22mm、アンダーフィル樹脂30の厚み(半導体チップ10と回路基板20との間隔)を40μm、半導体チップ10の周囲にはみ出したフィレットFの長さを0.2mm、凹部の各辺の長さを0.4mm、凹部の深さを0.1mmとした。
【0030】
尚、図7〜図10の応力分布グラフにおいて、横軸は半導体チップの中心からの距離であり、縦軸はアンダーフィル樹脂に生じる厚み方向の応力値である。但し、横軸の指標(カーブ円弧長さ)は、半導体チップの中心からの距離(mm)に√2を乗じたものである。従って、横軸上の目盛3の位置が半導体チップの中心から約2.1mmの位置、即ち半導体チップの角部の位置となる。
[比較例1]
比較例1は、凹部27を備えていない半導体装置300Aにおけるアンダーフィル樹脂30の熱応力を説明するためのものである。
【0031】
図7(a)は、凹部27を備えていない比較例1にかかる半導体装置300Aの概略図である。図7(b)は、半導体装置300Aにおける、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。図7(c)は、半導体装置300Aにおける、回路基板20Aとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。
【0032】
図7(b)に示すように、凹部27を備えていない半導体装置300Aでは、半導体チップ10の中心から外側に進むにつれて、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力が大きくなり、半導体チップ10の角部の直下(図7中の矢印aを参照)では、約31.5MPa(引張応力)となっている。又、図7(c)に示すように、回路基板20Aとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図7中の矢印bを参照)で、約8.1MPa(引張応力)となっている。
[比較例2]
比較例2は、半導体チップ10の角部から外側にずれた位置に凹部27Bを配置した半導体装置300Bにおけるアンダーフィル樹脂30の熱応力を説明するためのものである。
【0033】
図8(a)は、半導体チップ10の角部の外側に、即ち半導体チップ10における、互いに交差する2つの辺部それぞれの外側にd1(=0.25mm)ずれた位置に凹部27Bを配置した比較例2にかかる半導体装置300Bの概略図である。図8(b)は、半導体装置300Bにおける、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。図8(c)は、半導体装置300Bにおける、回路基板20Bとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。
【0034】
図8(b)に示すように、半導体チップ10の外側にd1(=0.25mm)ずれた位置に凹部27Bを配置した場合、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図8中の矢印aを参照)で、約28.6MPa(引張応力)となっている。又、図8(c)に示すように、回路基板20Bとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図8中の矢印bを参照)で、約7.5MPa(引張応力)となっている。
[比較例3]
比較例3は、半導体チップ10の角部から内側にずれた位置に凹部27Cを配置した半導体装置300Cにおけるアンダーフィル樹脂300の熱応力を説明するためのものである。
【0035】
図9(a)は、半導体チップ10の角部の内側に、即ち半導体チップ10における、互いに交差する2つの辺部それぞれの内側にd2(=1.05mm)ずれた位置に凹部27Cを配置した比較例3にかかる半導体装置300Cの概略図である。図9(b)は、半導体装置300Cにおける、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。図9(c)は、回路基板20Cとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。
【0036】
図9(b)に示すように、半導体チップ10の内側にd2(=1.05mm)ずれた位置に凹部27Cを配置した場合、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図9中の矢印aを参照)で、約25.6MPa(引張応力)となっている。又、図9(c)に示すように、回路基板20Cとアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図9中の矢印bを参照)で、約0.0MPa(引っ張り応力)となっている。
[本実施例]
本実施例は、半導体チップ10の角部の直下に凹部27を配置した半導体装置100におけるアンダーフィル樹脂30の熱応力を説明するためのものである。
【0037】
図10(a)は、半導体チップ10の角部の直下に凹部27を配置した本実施例にかかる半導体装置100の概略図である。図10(b)は、半導体装置100における、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。図10(c)は、半導体装置100における、回路基板20とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力の分布図である。
【0038】
図10(b)に示すように、半導体チップ10の直下に凹部27を備えている半導体装置100では、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図10中の矢印aを参照)で、約9.5MPa(引張応力)となっている。即ち、半導体チップ10とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、比較例1〜3に比べて、顕著に低減していることがわかる。又、回路基板20とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、半導体チップ10の角部の直下(図10中の矢印bを参照)で、約−3.1MPa(圧縮応力)となっている。即ち、回路基板20とアンダーフィル樹脂30との界面に生じる熱応力は、アンダーフィル樹脂30の剥離に影響しない圧縮応力となっている。
【0039】
このように、シミュレーション結果からも、半導体チップ10の角部11bの直下の位置を包含するように、回路基板20に凹部27を形成して、そこにアンダーフィル樹脂30を充填することで、アンダーフィル樹脂30の剥離を誘引する熱応力を低減できることがわかる。
[半導体装置の製造方法]
図11は、第1の実施形態にかかる半導体装置100の製造方法の説明図である。但し、図11では、半導体装置100の詳細構成を省略して、第1の電極パッド22Bだけを図示しているので、必要に応じて、図1〜図7を参照されたい。
【0040】
先ず、図11(a)に示すように、回路基板20を用意する。図11では、図示されていないが、回路基板20は、例えばガラスエポキシ材のコア材21を備え、その上面及び下面には、それぞれ第1の配線層22及び第2の配線層23が形成されている。回路基板20における、半導体チップ10の4つの角部11bに対応する領域には、それぞれ凹部27が形成されている。凹部27は、コア材21を貫通し、第2の配線層23に到達している。凹部27の形成方法としては、例えばレーザ加工を用いても良い。レーザ加工を用いる場合、第2の配線層23を加工停止面として利用すれば、凹部27を簡単に形成することができる。レーザ加工の代わりに、ドリル加工を用いても良い。
【0041】
次に、図11(b)に示すように、回路基板20の上面に、例えばディスペンス法により、エポキシ系樹脂Lを供給する。ここで用いるエポキシ系樹脂Lは、例えばエポキシ樹脂にシリカなどのフィラーを添加したものである。エポキシ系樹脂Lの供給量は、半導体チップ10を実装したときに、半導体チップ10と回路基板20との隙間が充填され、半導体チップ10の周囲にフィレットFが形成される程度に設定される。そして、加圧ヘッドHpの下面に、半導体チップ10を吸着して、半導体チップ10のバンプ12が回路基板20の第1の電極パッド22Bに対向するように、半導体チップ10を位置決めする。
【0042】
次に、図11(c)に示すように、半導体チップ10を降下させて、回路基板20に加圧する。これにより、エポキシ系樹脂Lは、半導体チップ10により押し広げられて、回路基板20の凹部27に充填されると共に、半導体チップ10の周囲にはみ出して、フィレットFを形成する。このときの加重は、半導体チップ10の寸法、バンプ12の寸法、又はバンプ12の個数などにより異なるが、例えば2kgf〜8kgfに設定される。そして、加圧ヘッドHpの内部に設けられたヒータ(図示しない)により、半導体チップ10を加熱して、半導体チップ10と回路基板20との隙間に存在するエポキシ系樹脂Lを凝固させる。これにより、エポキシ系樹脂Lが収縮して、半導体チップ10が回路基板20に強固に接合され、又、半導体チップ10のバンプ12が回路基板20の第1の電極パッド22Bに電気的に接続される。
【0043】
次に、図11(d)に示すように、回路基板20の第2の電極パッド23B(図5に図示)に、それぞれ半田ボール40を取り付ける。以上で、第1の実施形態にかかる半導体装置100が完成する。
[他の実装基板への実装方法]
図12は、第1の実施形態にかかる半導体装置100を他の実装基板1000に実装する実装方法の説明図である。但し、図12では、半導体装置100の詳細構成を省略しているので、必要に応じて、図1〜図7を参照されたい。
【0044】
半導体装置100を他の実装基板1000に実装する場合、図12(a)に示すように、実装基板1000上に半導体装置100を搭載する。そして、半導体装置100及び実装基板1000を炉内で加熱して、半田ボール40をリフローする。これにより、半田ボール40は、溶融及び凝固を経て、図12(b)に示すように、半田部材120となり、半導体装置100の第2の電極パッド23Bが実装基板1000の電極パッド110に電気的に接続される。リフローの温度は、半田ボール40の材料により異なるが、例えば210℃〜260℃に設定される。従って、半導体チップ10及び回路基板20は、それぞれ熱膨張して、アンダーフィル樹脂30に熱応力を発生させる。しかし、本実施形態にかかる半導体装置100は、回路基板20における、半導体チップ10の角部11bの直下に、アンダーフィル樹脂30が充填された凹部27を備えている。このため、半導体チップ10の角部11bの直下における、アンダーフィル樹脂30の熱応力が低減するので、アンダーフィル30に発生するクラックや、アンダーフィル樹脂30と半導体チップ10又は回路基板との界面で生じる剥離などが抑制される。尚、ここで説明した他の実装基板への実装方法は、以下の実施形態、及びその変形例のいずれにも適用することができる。
[回路基板の変形例]
図13は、第1の実施形態の変形例にかかる回路基板20の部分断面図である。前述の第1の実施形態では、回路基板20のコア材21に凹部27を形成していたが、回路基板20が多層配線基板である場合には、例えば多層配線中の層間絶縁膜に凹部270Aを形成しても良い。
【0045】
図13に示すように、本変形例にかかる回路基板20は、多層配線基板であって、コア材21と、コア材21の上面に形成された第1の積層配線28と、コア材21の下面に形成された第2の積層配線29と、を備えている。
【0046】
第1の積層配線28は、コア材21側から順に、第1の下層配線層28A、第1の層間絶縁膜28B、及び第1の上層配線層28C、を備える。第1の下層配線層28A及び第1の上層配線層28Cは、第1の層間絶縁膜28Bに埋め込まれたビア(図示しない)により、電気的に接続されている。第1の層間絶縁膜28Bの材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いても良い。ここでは図示してないが、第1の下層配線層28A及び第1の上層配線層28Cは、それぞれ複数の第1の下層配線パターン(図示しない)及び複数の第1の上層配線パターン(図示しない)を備える。
【0047】
第2の積層配線29は、コア材21側から順に、第2の下層配線層29A、第2の層間絶縁膜29B、及び第2の上層配線層29C、を備える。第2の下層配線層29A及び第2の上層配線層29Cは、第2の層間絶縁膜29Bに埋め込まれたビア(図示しない)により、電気的に接続されている。第2の層間絶縁膜29Bの材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いても良い。ここでは図示していないが、第2の下層配線層29A及び第2の上層配線層29Cは、それぞれ複数の第2の上層配線パターン(図示しない)及び複数の第2の上層配線パターン(図示しない)を備える。
【0048】
本変形例にかかる凹部270Aは、コア材21ではなく、第1の層間絶縁膜28Bに、半導体チップ10の角部11bの直下の位置を包含するように、即ち角部11bの直下の位置に跨るように形成されている。凹部270Aは、層間絶縁膜28を貫通し、第1の下層配線層28Aに到達している。そして、アンダーフィル樹脂30は、半導体チップ10及び回路基板20の隙間に充填されると共に、第1の層間絶縁膜28Bに形成された凹部270Aに埋め込まれている。
【0049】
このように、回路基板20として多層配線基板を用いる場合、第1の積層配線28の第1の層間絶縁膜28Cに凹部270Aを形成して、そこにアンダーフィル樹脂30を埋め込んでも、半導体チップ10の角部11bの直下に、より多くのアンダーフィル樹脂30を配置することができる。
[凹部の変形例]
図14−図18は、第1の実施形態の変形例にかかる回路基板20の平面図である。前述の第1の実施形態では、回路基板20に形成される凹部27は、平面視で略矩形状であったが、これに限定されるものではない。例えば、図14に示すように、回路基板20に平面視で略三角形状の凹部2700aを形成しても良い。図15、図16に示すように、回路基板20に平面視で略L字状の凹部2700b、2700cを形成しても良い。さらに、図17に示すように、回路基板20に平面視で環状(矩形フレーム状)の凹部2700dを形成して、第1の電極パッド22Bを包囲しても良い。このとき、半導体チップ10の辺部11aの直下に、辺部11aに沿うように凹部27dを配置すれば、半導体チップ10の辺部11a付近においても、アンダーフィル樹脂30の応力集中を緩和することができる。又、半導体チップ10のバンプ12が2列に配置されている場合、即ちチップ本体11の相互に対向する2つの辺部11aに沿って、それぞれバンプ12が配列されている場合、図18に示すように、回路基板20における、バンプ12が配列されていない残り2つの辺部11aの直下に、辺部11aに沿うように、それぞれ長尺な凹部2700eを形成しても良い。ここで説明した凹部27の変形例、即ち凹部2700a〜2700eは、以下の実施形態、及びその変形例のいずれにも適用することができる。
[半導体装置の変形例]
図19は、第1の実施形態の変形例にかかる半導体装置100の斜視図、図20は、第1の実施形態の変形例にかかる半導体装置100の断面図であって、図19のXVII−XVIIにおける断面を示している。
【0050】
第1の実施形態にかかる半導体装置は、必要に応じて、図19、図20に示すように、半導体チップ10及びアンダーフィル樹脂30を封止する封止樹脂50を備えても良い。封止樹脂50の材料としては、例えばエポキシ樹脂にシリカ製のフィラーを添加したものを用いても良い。フィラーの添加量は、アンダーフィル樹脂30におけるフィラーの添加量よりも多い。このため、封止樹脂50は、アンダーフィル樹脂30よりも、剛性、即ち弾性率が高い。半導体チップ10及びアンダーフィル樹脂30を封止樹脂50で封止した場合、半導体装置100を他の実装基板1000(図12を参照)に実装するための加熱(リフロー)により、封止樹脂50も熱膨張する。これにより、半導体装置100の外形は、全体として、断面視で略M字型となることがある。具体的には、半導体装置100における、半導体チップ10の角部11bに対応する部分が実装基板1000から最も離れ(M字の頂点)、半導体チップ10の角部11bよりも内側及び外側の領域が実装基板に近くなる。この場合も、前述の第1の実施形態と同様に、半導体チップ10の角部11bの直下のアンダーフィル樹脂30の熱応力が非常に大きくなる。しかし、本変形例にかかる半導体装置は、第1の実施形態と同様に、半導体チップ10の角部11bの直下の領域に、その他の領域よりも多くのアンダーフィル樹脂30が存在するため、アンダーフィル樹脂30に生じるクラックや、アンダーフィル樹脂と半導体チップ10又は回路基板20との界面で発生する剥離などが抑制される。尚、ここで説明した半導体装置100の変形例、即ち封止樹脂50を追加的に設けることは、以下の実施形態、及びその変形例のいずれにも適用することができる。
[第2の実施形態]
以下、図21〜図25を参照しながら、第2の実施形態を説明する。
[半導体装置の構造]
図21は、第2の実施形態にかかる半導体装置200の断面図、図22は、第2の実施形態にかかる回路基板20の部分断面図である。図21、図22に示すように、第2の実施形態におけるアンダーフィル樹脂31は、第1の樹脂部31Aと第2の樹脂部31Bとを含む。第1の樹脂部31Aは、凹部27に埋め込まれている。第1の樹脂部31Aの上面は、回路基板20のコア材21の上面と同等の高さに設定されている。第2の樹脂部31Bは、回路基板20及び第1の樹脂部31A上に形成され、半導体チップ10と回路基板20との隙間を充填している。第2の樹脂部31Bの周辺部は、半導体チップ10の周囲にはみ出して、所謂フィレットFを形成している。第1の樹脂部31A及び第2の樹脂部31Bは、いずれも半導体チップ10及び回路基板20よりも剛性、即ち弾性率が小さい。このため、半導体チップ10又は回路基板20が変形したときに、第1の樹脂部31A及び第2の樹脂部31Bの双方が、半導体チップ10又は回路基板20の変形を吸収する。
【0051】
本実施形態のように、アンダーフィル樹脂31を、第1の樹脂部31A及び第2の樹脂部31Bに分離すれば、回路基板20を製造する時点で、回路基板20の凹部27に第1の樹脂部31Aを埋め込むことができる。このため、所謂アンダーフィル樹脂先入れ法又はアンダーフィル樹脂後入れ法を用いて、アンダーフィル樹脂を凹部27に埋め込む必要がなくなる。その結果、凹部27に埋め込まれた第1の樹脂部31Aに、空気の巻き込みに起因するボイドが発生することが抑制される。尚、アンダーフィル樹脂先入れ法とは、回路基板の上面に、液状のアンダーフィル樹脂を塗布し、これを半導体チップにより押し広げる供給方法である。アンダーフィル樹脂後入れ法とは、半導体チップを回路基板に実装した後、半導体チップと回路基板との隙間に液状のアンダーフィル樹脂を注入する供給方法である。
【0052】
さらに、本実施形態では、第1の樹脂部31Aの剛性、即ち弾性率を、第2の樹脂部31Bよりも小さくしても良い。こうすれば、第1の樹脂部31A及び第2の樹脂部31Bを同材料とした場合に比べて、第1の樹脂部31Aが吸収する半導体チップ10又は回路基板20の変形量が大きくなる。これにより、第2の樹脂部31Bが吸収すべき半導体チップ10又は回路基板20の変形量が小さくなる。従って、半導体チップ10及び回路基板20の隙間に充填する第2の樹脂部31Bの剛性、即ち弾性率を高くすることが可能となり、結果として、半導体チップ10のバンプ12と回路基板20の第1の電極パッド22Bとの接続部分を、より堅固に補強することができる。
【0053】
第1の樹脂部31A及び第2の樹脂部31Bの材料としては、例えばエポキシ系樹脂、即ちエポキシ樹脂にシリカ製のフィラーを添加したものを用いても良い。尚、第1の樹脂部31Aの弾性率を第2の樹脂部31Bの弾性率よりも小さくする場合は、それぞれのエポキシ系樹脂のフィラーの添加量を調整すれば良い。即ち、第1の樹脂部31Aの材料におけるフィラーの添加量を、第2の樹脂部31Bの材料におけるフィラーの添加量よりも少なくすれば良い。
[回路基板の製造方法]
図23は、第2の実施形態にかかる回路基板20の製造方法の説明図である。但し、図23では、回路基板20の詳細構成を省略して、第1の電極パッド22Bだけを図示しているので、必要に応じて、図21、図22を参照されたい。
【0054】
先ず、図23(a)に示すように、回路基板20を用意する。図23では、図示されていないが、回路基板20は、例えばガラスエポキシ材のコア材21を備え、その上面及び下面には、それぞれ第1の配線層22及び第2の配線層23が形成されている。
【0055】
次に、図23(b)に示すように、コア材21おける、半導体チップ10の4つの角部11bの直下に、それぞれ凹部27を形成する。凹部27は、コア材21を貫通し、第2の配線層23に到達している。凹部27の形成方法としては、例えばレーザ加工を用いても良い。レーザ加工を用いる場合、第2の配線層23を加工停止面として利用すれば、凹部27を簡単に形成することができる。レーザ加工の代わりに、ドリル加工を用いても良い。
【0056】
次に、図23(c)に示すように、凹部27に、例えばディスペンス法により、エポキシ系樹脂を供給して、回路基板20と共にエポキシ系樹脂を加熱する。これにより、エポキシ系樹脂が凝固して、凹部27に第1の樹脂部31Aが形成される。尚、エポキシ系樹脂の供給は、ディスペンス法に限定されるものではなく、例えば印刷法など、他の方法を用いても良い。以上で、第2の実施形態で用いる回路基板20が完成する。
[半導体装置の製造方法]
図24は、第2の実施形態にかかる半導体装置200の製造方法の説明図である。但し、図24では、半導体装置200の詳細構成を省略して、第1の電極パッド22Bだけを図示しているので、必要に応じて、図21、図22を参照されたい。
【0057】
先ず、図24(a)に示すように、回路基板20を用意する。ここで用意する回路基板20は、図23に示す製造工程により製造した回路基板20である。
【0058】
次に、図24(b)に示すように、回路基板20の上面に、例えばディスペンス法により、エポキシ系樹脂Lを供給する。ここで用いるエポキシ系樹脂Lは、第2の樹脂部31Bの材料であって、例えばエポキシ樹脂にシリカなどのフィラーを添加したものである。エポキシ系樹脂Lの供給量は、半導体チップ10を充填したときに、半導体チップ10と回路基板20との隙間が充填され、半導体チップ10の周囲にフィレットFが形成される程度に設定される。そして、加圧ヘッドHpの下面に、半導体チップ10を吸着して、半導体チップ10のバンプ12が回路基板20の第1の電極パッド22Bに対向するように、半導体チップ10を位置決めする。
【0059】
次に、図24(c)に示すように、半導体チップ10を降下させて、回路基板20に加圧する。これにより、エポキシ系樹脂Lは、半導体チップ10により押し広げられて、半導体チップ10と回路基板20との隙間に充填されると共に、半導体チップ10の周囲にはみ出して、所謂フィレットFを形成する。このときの加重は、半導体チップ10の寸法、バンプ12の寸法、又はバンプ12の個数などにより異なるが、例えば、2kgf〜8kgfに設定される。そして、加圧ヘッドHpの内部に設けられたヒータ(図示しない)により、半導体チップ10を加熱して、半導体チップ10と回路基板20との隙間に存在するエポキシ系樹脂Lを凝固させる。これにより、エポキシ系樹脂Lが収縮して、半導体チップ10が回路基板20に強固に接合され、又、半導体チップ10のバンプ12が回路基板20の第1の電極パッド22Bに電気的に接続される。
【0060】
次に、図24(d)に示すように、回路基板20の第2の電極パッド23B(図25に図示)に、それぞれ半田ボール40を取り付ける。以上で、第2の実施形態にかかる半導体装置200が完成する。
[回路基板の変形例]
図25は、第2の実施形態の変形例にかかる回路基板20の部分断面図である。前述の第2の実施形態では、回路基板20のコア材21に凹部27を形成していたが、回路基板20が多層配線である場合には、例えば多層配線中の層間絶縁膜に凹部270Aを形成しても良い。
【0061】
図25に示すように、本変形例にかかる回路基板20は、多層配線基板であって、コア材21と、コア材21の上面に形成された第1の積層配線28と、コア材21の下面に形成された第2の積層配線29と、を備えている。
【0062】
第1の積層配線28は、コア材21側から順に、第1の下層配線層28A、第1の層間絶縁膜28B、及び第1の上層配線層28C、を備える。第1の下層配線層28A及び第1の上層配線層28Cは、第1の層間絶縁膜28Bに埋め込まれたビア(図示しない)により、電気的に接続されている。第1の層間絶縁膜28Bの材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いても良い。ここでは図示していないが、第1の下層配線層28A及び第1の上層配線層28Cは、それぞれ複数の第1の下層配線パターン(図示しない)及び複数の第1の上層配線パターン(図示しない)を備える。
【0063】
第2の積層配線29は、コア材21側から順に、第2の下層配線層29A、第2の層間絶縁膜29B、及び第2の上層配線層29C、を備える。第2の下層配線層29A及び第2の上層配線層29Cは、第2の層間絶縁膜29Bに埋め込まれたビア(図示しない)により、電気的に接続されている。第2の層間絶縁膜29Bの材料としては、例えばエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を用いても良い。ここでは図示していないが、第2の下層配線層29A及び第2の上層配線層29Cは、それぞれ複数の第2の下層配線パターン(図示しない)及び複数の第2の上層配線パターン(図示しない)を備える。
【0064】
本変形例にかかる凹部270Aは、コア材21ではなく、第1の層間絶縁膜28Bに、半導体チップ10の角部11bの直下の位置を包含するように、即ち角部11bの直下の位置に跨るように形成されている。凹部270Aは、第1の層間絶縁膜28Bを貫通し、第1の下層配線層28Aに到達している。そして、アンダーフィル樹脂31の第1の樹脂部31Aは、第1の層間絶縁膜28Bに形成された凹部270Aに埋め込まれている。又、アンダーフィル樹脂31の第2の樹脂部31Bは、回路基板20及び第1の樹脂部31A上に形成され、半導体チップ10と回路基板20との隙間を充填している。
【0065】
このように、回路基板20として多層配線基板を用いる場合、第1の積層配線28の第1の層間絶縁膜28Bに凹部270Aを形成して、そこにアンダーフィル樹脂31の第1の樹脂部31Aを埋め込んでも、半導体チップ10の角部11bの直下に、より多くのアンダーフィル樹脂31を配置することができる。
[第3の実施形態]
以下、図26、図27を参照しながら、第3の実施形態を説明する。
[回路基板の構造]
図26は、第3の実施形態にかかる回路基板20の部分断面図である。図26に示すように、第3の実施形態にかかるアンダーフィル樹脂32は、第1の樹脂部32Aと第2の樹脂部32Bとを含む。さらに、第3の実施形態にかかる凹部27は、回路基板20の第1の配線層22により閉塞されている。即ち、第1の樹脂部32Aと第2の樹脂部32Bは、第1の配線層22により隔離されている。このため、アンダーフィル樹脂32の凝固収縮に起因する大きな応力(引張応力)が発生しても、第1の樹脂部32A及び第2の樹脂部32Bは、第1の配線層22により移動が阻害されているから、第1の樹脂部32Aと凹部27の内面との界面で生じる剥離や、第2の樹脂部32Bと半導体チップ10との界面で生じる剥離など、が防止される。
[回路基板の変形例]
図27は、第3の実施形態の変形例にかかる回路基板20の部分断面図である。図27に示すように、本変形例にかかるアンダーフィル樹脂32は、第1の樹脂部32Aと第2の樹脂部32Bとを含む。さらに、本変形例にかかる凹部27は、回路基板20の第1の積層配線28により閉塞されている。即ち、第1の樹脂部32Aと第2の樹脂部32Bは、第1の積層配線28により隔離されている。このため、アンダーフィル樹脂32の凝固収縮に起因する大きな応力(引張応力)が発生しても、第1の樹脂部32A及び第2の樹脂部32Bは、第1の積層配線28により大きく移動することが阻害されるから、第1の樹脂部32Aと凹部27の内面との界面で生じる剥離や、第2の樹脂部32Bと半導体チップ10との界面で生じる剥離など、が防止される。このように、回路基板20が多層配線基板である場合には、前述の第3の実施形態にかかる第1の配線層22の代わりに、第1の積層配線28により、第1の樹脂部32Aと第2の樹脂部32Bを隔離しても良い。
[第4の実施形態]
以下、図28を参照しながら、第4の実施形態を説明する。
【0066】
図28は、第4の実施形態にかかる回路基板20の部分断面図である。図28に示すように、第4の実施形態では、回路基板20のコア材21に形成されたスルーホールHを凹部270Bとして利用している。そして、スルーホールHに埋め込まれたビアVの絶縁材Vbをアンダーフィル樹脂33の第1の樹脂部33Aとして利用している。即ち、第4の実施形態にかかるアンダーフィル樹脂33は、ビアVの絶縁材Vbからなる第1の樹脂部33Aと、半導体チップ10及び回路基板20の隙間に充填される第2の樹脂部33Bとを含む。このように、回路基板20に形成されたビアVを、半導体チップ10の角部11bの直下に配置すれば、ビアVの絶縁材Vbが半導体チップ10又は回路基板20の変形を吸収するので、別途に凹部を形成しなくても良い。
【符号の説明】
【0067】
10:半導体チップ
11a:辺部
11b:角部
12:バンプ
20:回路基板
21:コア材
22:第1の配線層
22B:第1の電極パッド
23:第2の配線層
27:凹部
28:第1の積層配線
30:アンダーフィル樹脂
31:アンダーフィル樹脂
31A:第1の樹脂部
31B:第2の樹脂部
32:アンダーフィル樹脂
32A:第1の樹脂部
32B:第2の樹脂部
33:アンダーフィル樹脂
33A:第1の樹脂部
33B:第2の樹脂部
100、200:半導体装置
270A、270B:凹部
2700a、2700b、2700c、2700d、2700e:凹部
Vb:樹脂材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の辺部及び複数の角部を含む輪郭の実装面を備える電子部品と、
前記電子部品の実装面に対向する被実装面を備え、前記電子部品の角部に対向する位置に凹部が形成された回路基板と、
前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記回路基板と前記電子部品とを電気的に接続する接続部と、
前記凹部に埋め込まれ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第1の部材と、
前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第2の部材と、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置において、
前記第1の部材及び前記第2の部材は、同じ材料により連続的に形成されていることを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子装置において、
前記第1の部材は、前記第2の部材よりも剛性が低いことを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の電子装置において、
前記第1の部材と前記第2の部材とを隔離する隔壁部を備えていることを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の電子装置において、
前記凹部は、前記電子部品の辺部に対向する位置に、前記辺部に沿って延在していることを特徴とする電子装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電子装置において、
前記回路基板は、コア材と、前記コア材における、前記電子部品側に位置する第1の表面に形成される第1の配線層と、前記コア材における、前記第1の表面とは反対の第2の表面に形成される第2の配線層と、を含み、
前記凹部は、前記コア材の前記第1の表面から前記第2の表面に貫通して、前記第2の配線層に到達していることを特徴とする電子装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電子装置において、
前記回路基板は、前記凹部の内面に、前記第1の配線層と前記第2の配線層とを電気的に接続する導電膜を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項1】
複数の辺部及び複数の角部を含む輪郭の実装面を備える電子部品と、
前記電子部品の実装面に対向する被実装面を備え、前記電子部品の角部に対向する位置に凹部が形成された回路基板と、
前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記回路基板と前記電子部品とを電気的に接続する接続部と、
前記凹部に埋め込まれ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第1の部材と、
前記電子部品及び前記回路基板間に設けられ、前記電子部品及び前記回路基板よりも剛性が低い第2の部材と、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置において、
前記第1の部材及び前記第2の部材は、同じ材料により連続的に形成されていることを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子装置において、
前記第1の部材は、前記第2の部材よりも剛性が低いことを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の電子装置において、
前記第1の部材と前記第2の部材とを隔離する隔壁部を備えていることを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の電子装置において、
前記凹部は、前記電子部品の辺部に対向する位置に、前記辺部に沿って延在していることを特徴とする電子装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電子装置において、
前記回路基板は、コア材と、前記コア材における、前記電子部品側に位置する第1の表面に形成される第1の配線層と、前記コア材における、前記第1の表面とは反対の第2の表面に形成される第2の配線層と、を含み、
前記凹部は、前記コア材の前記第1の表面から前記第2の表面に貫通して、前記第2の配線層に到達していることを特徴とする電子装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電子装置において、
前記回路基板は、前記凹部の内面に、前記第1の配線層と前記第2の配線層とを電気的に接続する導電膜を備えることを特徴とする電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2012−49219(P2012−49219A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188036(P2010−188036)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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