説明

電子部品および電子機器

【課題】電子機器の実装品質を向上することができる。
【解決手段】電子部品1は、半導体基板2と、半導体基板2に配された電極3と、半導体基板2の一面を覆うように配された絶縁樹脂層4と、絶縁樹脂層4の一部を覆うように配された複数の金属パッド5と、金属パッド5に載置される半田バンプ7とから構成される。金属パッド5は、外縁部5aが仮想円8に内接する略十字型を成しており、この仮想円8に内接する第一部位と、仮想円8から仮想円8の内側に離間した第二部位とを交互に有し、外縁部5aの全長が仮想円8の外周よりも長い。複数の金属パッドは同じ形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田バンプを載置する金属パッドを有する電子部品と、この電子部品を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品で用いられる半導体パッケージ構造として、たとえば半導体チップを樹脂により封止したパッケージでは、樹脂パッケージ周辺の側面に金属リード電極を配置する周辺端子配置型が主流であった。
これに対し、近年広く普及している半導体パッケージ構造として、たとえばボールグリットアレイがある。これは、パッケージの平坦な表面に半田バンプと呼ばれる電極を二次元的に配置した構造を有しているため、半導体チップを樹脂により封止したパッケージに比べて高密度な実装が可能となる。このため、ボールグリットアレイはコンピュータのCPUやメモリなどのパッケージとして使われている。なかでもパッケージをほとんどチップサイズに近い大きさにまで小型化したパッケージはCSP(チップスケールパッケージ)と呼ばれ、電子機器の小型軽量化に大きく貢献している。
【0003】
一般的に、半田バンプは電子部品に設けられた金属パッドに載置されている。また、この電子部品を搭載する基板にも半田ペーストの印刷された金属パッドが設けられている。
電子部品を基板上に実装する際には、基板上に電子部品を設置して電子部品の半田バンプと基板の金属パッドとを接触させ、電子部品が設置された基板をリフロー装置で加熱している。そして、加熱により電子部品側の半田バンプと基板側の半田ペーストとが溶融、焼結し、電子部品と基板とが電気的、機械的に接続される。
この半田の溶融の際に、液状化した半田の表面張力によって、電子部品側の金属パッドと基板側の金属パッドが相対するように電子部品が微動するセルフアライメント効果が生じる。このセルフアライメント効果によって、マウント時の電子部品と基板との多少の位置ずれはリフロー時に補正され、電子部品と基板とは位置整合して接続される。
電子部品を基板上に実装する際に、セルフアライメント効果によって電子部品に働く力(セルフアライメント力)は、式(1)で表される。
【0004】
【数1】

ここで、Sはセルフアライメント力、γは半田の表面張力、Lは半田が接触する金属パッドの外縁部の長さ、nは金属パッドの個数とする。
【0005】
セルフアライメント力Sと金属パッド外縁部Lの長さとは比例関係にあることがわかる。
【0006】
金属パッドは、金属ランドと重なるようにソルダーレジストが配されて、ソルダーレジストに設けられた開口部を通して露呈された部位である。金属パッドは、金属ランドの一部または全部を構成する場合がある。金属パッドが金属ランドの一部からなる場合は、その形状はソルダーレジストの開口部に相当している。そして、ソルダーレジストの開口部の加工容易性や、電子部品と基板との接続後の信頼性を確保するため一般的に円形で、金属パッドの形状も一般的に円形である。
【0007】
特許文献1では、セルフアライメント効果を利用してリフロー後の実装品質を確保する半導体装置が提案されている。この半導体装置では、チップキャリアの表面にある半導体チップの電極の配線手段によって結合され、チップキャリアの裏面に基板に配線できるように形成されたソルダーパット(金属パッド)を少なくとも2つ以上有しており、そのソルダーパットのうち少なくとも1つは形状が大きい大ソルダーパットとしている。
この半導体装置では、半導体装置をマウントした後のリフロー時において、大ソルダーパットとそれに対する基板上のランドとの間の半田ペーストの表面張力が、他の小ソルダーパットにおける表面張力よりも大きいので、より大きなセルフアライメント効果を有することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−275123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1による半導体装置は、少なくとも2つ以上のソルダーパッドを有しており、そのソルダーパッドのうち少なくとも1つは、その他よりも形状が大きな大ソルダーパッドとしている。すなわち、大きな面積のソルダーパッドに形成された大きな半田バンプと、小さな面積のソルダーパッドに形成された小さな半田バンプが混在して形成されている。このように、大きさが異なる半田バンプが混在して形成された電子部品においては、以下のような問題点があった。
【0010】
(1)電子部品を基板実装する工程においては、あらかじめ電子部品を、基板上の所定の位置に載置し、その後リフローをすることで電子部品と基板とを半田接合する。電子部品を基板上に安定して載置するためには、半田バンプの高さは均一でなければならない。しかしながら、面積の異なる金属パッドが混在した電子部品に、高さが均一な半田バンプを形成することは容易でない。半田バンプは、金属パッド上に載せた半田がリフロー工程で液状化して金属パッド上に濡れ広がってドーム形状となり、再凝固することによって形成される。
このとき、半田バンプの高さ(金属パッドの表面から半田バンプの頂点までの距離)は、あらかじめ金属パッドに載せた半田の量と、金属パッドの面積によって決定される。ゆえに、大きな面積の金属パッドと小さな面積の金属パッドが混在した電子部品に、同一な高さの半田バンプを形成するためには、金属パッドの面積に応じて半田の量を調節する必要がある。一般的に、金属パッド上に半田を載せる手法としては、半田ペースト印刷法、めっき法、ボール搭載法があるが、いずれにおいても、金属パッドの面積に応じて半田の量を調節して載置することは容易でない。
【0011】
(2)大きさの異なる半田バンプが混在して備わった電子部品を作製する場合、大きい半田バンプは小さい半田バンプよりも体積が大きいため、リフローで溶融させるのに大きな熱エネルギーが必要である。そのため、小さな半田バンプは十分に溶融し、再凝固後も良質な金属組織の半田接合状態となったとしても、大きな半田バンプは不十分な溶融となり、金属バンプ上に半田が濡れ広がらず、バンプ形成不良となる可能性がある。さらに、電子部品を基板上に実装する場合においても、同様な理由によって、大きな半田バンプによって接合される部位は接合不良となり、接続信頼性が悪いという問題点がある。
【0012】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、従来の金属パッドと占有する面積が同じ金属パッドにおいて、従来よりもセルフアライメント効果を向上させることができると共に、形状の均一な半田バンプを容易に形成することができる電子部品を提供することを目的とする。
また、電子部品を実装した際に機械的・電気的な接続安定性が確保される電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に係る電子部品は、半田バンプを載置する金属パッドを複数有する電子部品であって、前記半田バンプ側から前記金属パッドを見て、前記金属パッドはその外縁部が仮想円または楕円に内接する第一部位と、前記仮想円または楕円から該仮想円または楕円の内側に離間した第二部位とを交互に有し、前記外縁部の全長が前記仮想円または楕円の外周よりも長く、前記複数の金属パッドは同じ形状であることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項2に係る電子部品は、請求項1において、前記金属パッドは、前記仮想円または楕円の中心と前記第一部位または前記第二部位の中心とを通る線で対称であることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項3に係る電子部品は、請求項1または2において、前記金属パッドと同一面上に配置されたソルダーレジストを備えており、前記ソルダーレジストは開口部を有し、その開口部は金属パッドと接していることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項4に係る電子部品は、請求項1乃至3の何れか1項において、前記金属パッドと同一面上に配置されたソルダーレジストを備えており、前記ソルダーレジストは開口部を有し、その開口部は金属パッドと離間していることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項5に係る電子機器は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の電子部品と、前記電子部品を載置する実装基板とを備え、前記電子部品と前記実装基板とは前記半田バンプによって接続されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項6に係る電子機器は、請求項5において、前記実装基板は前記半田バンプと対向する位置に金属パッドを有していて、前記実装基板が有する金属パッドは前記電子部品が有する金属パッドと同じ形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電子部品は金属パッドを複数備えており、この金属パッドは、半田バンプ側から金属パッドを見て外縁部が仮想円または楕円に内接する第一部位と、仮想円または楕円からこの仮想円または楕円の内側に離間した第二部位とを交互に有し、外縁部の全長が仮想円または楕円の外周よりも長く、複数の金属パッドは同じ形状である。この同じ形状とは相似な関係を含まないものとする。
そして、この金属パッドは、占有する面積が同じ従来の円形または楕円形の金属パッドと比べて外縁部の長さが長いことにより、リフロー時における半田のセルフアライメント効果を向上させることができる。ゆえに半田バンプを形成する工程が安定し、半田バンプの品質を向上させることができる。
また、本発明に係る電子部品は、複数の金属パッドが同じ形状であることにより、各金属パッド5上に形成される半田バンプの形状が均一となるので、形状の異なる複数の金属パッドを備えそれらの金属パッドに形成された半田バンプの形状が均一でない従来の電子部品と比べて、実装基板との位置整合の精度が向上し、電子部品と実装基板との電気的接続の安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は本発明の第一の実施の形態による電子部品の一例を示す図で、(b)は、(a)に示すA−A線断面図である。
【図2】(a)は第一の実施の形態による金属パッドとソルダーレジストの関係を示す平面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図3】第一の実施の形態による金属パッドの形状を説明する図である。
【図4】(a)は第一の実施の形態による電子機器の一例を示す図、(b)は第一の実施の形態による電子機器の他の一例を示す図である。
【図5】第一の実施の形態の電子部品の製造方法の一例を工程順に示す断面図である。
【図6】第一の実施の形態による電子部品の実装基板への実装方法を説明する図である。
【図7】第二の実施の形態による金属パッドとソルダーレジストの関係を示す平面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図8】(a)は第三の実施の形態による電子部品に設けられた金属パッド示す図、(b)は第四の実施の形態による電子部品に設けられた金属パッド示す図、(c)は第五の実施の形態による電子部品に設けられた金属パッド示す図である。
【図9】第六の実施の形態による電子部品に設けられた金属パッド示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第一の実施の形態)
以下、本発明の第一の実施の形態による電子部品について、図1乃至図6に基づいて説明する。
図1(a)、(b)に示すように、第一の実施の形態による電子部品1は、半導体基板2と、半導体基板2に配された電極3と、半導体基板2の一面を覆うように配された絶縁樹脂層4と、絶縁樹脂層4の上に配された複数の金属パッド5と、金属パッド5に載置される半田バンプ7とから概略構成される。
【0022】
特に、図1(b)に示すように、本発明における金属ランド9は、絶縁樹脂層4の上に設けられた金属配線の一部(端部または中間部)をなすものであり、半田バンプ7を載置する部位として用いられる。金属パッド5は、絶縁樹脂層4および金属ランド9に重なるようにソルダーレジスト6が配されて、このソルダーレジスト6に設けられた開口部βを通して露呈された部位である。
金属パッド5は、ソルダーレジスト6の開口部βが金属ランド9よりも小さく形成されたSMD(Solder Mask Defined)構造である。金属パッド5の形状はソルダーレジスト6の開口部βに相当している。ソルダーレジスト6の開口部βは金属パッド5の外縁部5aと、外縁部5a近傍の半田バンプ7が載置される面とに接している。
なお、金属パッド5は、ソルダーレジスト6の開口部が金属ランド9と同じ大きさに形成された構造としてもよい。
金属パッド5は、後述する図4(a)に示す実装基板11との接続領域に位置している。また、金属パッド5は、絶縁樹脂層4に有する開口部αを通して電極3と電気的に接続している。
【0023】
図3に示すように、金属パッド5は外縁部5aが仮想円8に内接する略十字型を成しており、仮想円8に内接する第一部位5bと、この仮想円8から仮想円8の内側に離間した第二部位5cとを交互に有している。図3における第一部位5bは円弧状の頂部となっている。
なお、この円弧状の頂部は完全な円弧状のみだけでなく、略円弧状も含むものとする。また、第一部位5bは、仮想円に点で内接していてもよく、線で内接していてもよい。
また、第二部位5cは、金属パッド5の外縁部5aの全長が仮想円8の外周よりも長くなるように仮想円8から仮想円8の内側に離間する寸法を設定する。
また、金属パッド5は、仮想円8の中心8aと第一部位5bの中心5dまたは第二部位5cの中心5eとを通る線8bで対称な形状である。
従来のソルダーレジストは、その開口部がこの仮想円8と同じ円形であることが一般的で、従来の金属パッドの形状も円形であることが一般的である。
【0024】
金属パッド5は、導電性に優れ、耐熱性に優れた金属が好ましく、たとえば、銅(Cu)や銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、あるいはこれらを主成分とした合金などの材料からなり、また、これらの積層構造としても構わなく、その中でも電気抵抗率が低く、比較的安価な銅がより好ましい。また、半田バンプ7との接続を容易にするために、金属パッド5の少なくとも半田バンプ7と接する面は金であるのがより好ましい。金属パッド5は、1〜20μm程の厚さとすると良く、これにより充分な導電性が得られる。なお、金属パッド5を金表面の積層構造とした場合、表面の金層の厚みは1μm以下が好ましい。金属パッド5の形成手法としては、電解めっき、無電解めっき、スパッタ、蒸着や、これらのうち二つ以上を組み合わせた手法などが挙げられるが、配線厚さが1〜20μmの場合は電解めっきがより好ましい。
【0025】
図1(b)に示すように、半田バンプ7は、複数の金属パッド5に整合して載置されていて、これらの半田バンプ7は、高さおよび金属パッド5との接触面の形状は略等しい。
半田バンプ7に使用する半田は、鉛を含む組成であっても含まない組成であっても構わない。鉛を含まない組成としては、錫を主成分として、銀、銅、インジウム、亜鉛、ビスマスなどの元素を一つ、あるいは複数含む組成が好ましい。
【0026】
半導体基板2は、シリコンウエハ等の半導体ウエハや、半導体ウエハをチップ寸法に切断(ダイシング)した半導体チップである。半導体基板2が半導体チップである場合は、まず、半導体ウエハの上に、各種半導体素子やIC等を形成した後、チップ寸法に切断することで複数の半導体チップを得ることができる。
【0027】
絶縁樹脂層4は、半導体基板2の一面を覆うように配され、電極3が露呈するように電極3に整合する位置に開口部αを有する。
絶縁樹脂層4は、絶縁性が高く、耐熱性、耐薬品性があり、機械的強度が強い樹脂などの材料からなることが好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などのポリマー、あるいは窒化シリコンなどのセラミックスが好ましい。また、厚さは、ポリマーの場合は1〜20μm、セラミックスの場合は0.1〜5μmとすると良い。
【0028】
次に、電子部品1が実装される実装基板について図面を用いて説明する。
図4(a)に示すように、本実施の形態による実装基板11は、実装基板本体12と実装基板本体12の一部を覆うように配された接続部位15とから概略構成される。
接続部位15は、実装基板11に電子部品1が実装された際に、電子部品1の金属パッド5および半田バンプ7に相対する位置に配設されていて、半田バンプ7と相対する側の表面に半田ペーストが印刷されている。
【0029】
なお、図4(a)に示す実装基板11にはソルダーレジストを設けていないが、図4(b)に示すように、実装基板本体12の表面にソルダーレジスト16を設けてもよい。この場合の接続部位15は金属パッドとなる。そして、この実装基板11に設けられた金属パッドの形状は、従来と同様に円形や楕円形としてもよく、また、電子部品1の金属パッド5の形状と同様に外縁部が仮想円に内接する第一部位と、この仮想円から仮想円の内側に離間した第二部位とを交互に有していてもよい。
なお、実装基板11の金属パッドは、後述する他の形態においても電子部品の金属パッドと同様の形状としてもよい。
【0030】
上述した構成の電子部品1および実装基板11は、図4に示すように、電子部品1の半田バンプ7が実装基板11に配された接続部位15に対向するように配置され、半田バンプ7と接続部位15とが接触し実装されて電子機器10を構成する。
【0031】
次に、本発明における電子部品の製造方法の一例について図1(b)および図5に基づいて説明する。
まず、図5(a)に示すように、一面に電極3が配された半導体基板2を用意する。
次いで、図5(b)に示すように、半導体基板2を覆い、電極3が露呈するように開口部αを有する絶縁樹脂層4を形成する。絶縁樹脂層4は、たとえばフォトリソグラフィ技術を利用したパターニングなどにより形成することができる。この絶縁樹脂層4の塗布方法においては、液状の感光性樹脂を、たとえばスピンコート法、キャスティング法、ディスペンス法等により、半導体基板2上に塗布することが可能である。
また、絶縁樹脂層4のパターニングにおいて、フォトリソグラフィ技術のほかに、レーザ加工法、プラズマエッチング法、シート状の樹脂をラミネート法にて圧着させる方法、により形成することもできる。さらに、絶縁樹脂層4は、樹脂をスクリーン印刷にて直接、成膜かつパターニングする方法も可能であり、その場合は、樹脂が感光性である必要はなくなる。
【0032】
次に、図5(c)に示すように、絶縁樹脂層4の表面に金属ランド9を設置する。
そして、図5(d)に示すように、絶縁樹脂層4および金属ランド9と重なるようにソルダーレジスト6を配設し、ソルダーレジスト6の金属ランド9と重なる部分に開口部βを形成する。そして、開口部βを通して露呈された金属ランド9の一部が金属パッド5となる。
その後、図1(b)に示すように、金属パッド5に半田バンプ7を載置する。半田バンプ7は、ペースト印刷法あるいはペーストディスペンス法や、同一サイズの半田ボールを搭載するボール搭載法などで形成されていて、何れの方法もリフローすることでバンプが得られる。
【0033】
次に、上述した第一の実施の形態による電子部品の実装基板への実装方法について図面を用いて説明する。
まず、図6(a)に示すように、電子部品1の半田バンプ7面を実装基板11に設置された接続部位15に対向させ、図6(b)に示すように、半田バンプ7と接続部位15とを接触させる。
そして、半田バンプ7と接続部位15とが接触している電子部品1と実装基板11をリフロー装置によって加熱する。この加熱により、実装基板11の接続部位15の表面の半田ペーストと電子部品1の半田バンプ7とが溶融、焼結し、電子部品1と実装基板11とが電気的、機械的に接続されて、図4に示すような電子機器10となる。
【0034】
この半田バンプ7および半田ペーストの溶融の際に、液状化した半田には表面張力が生じる。そして、電子部品1の金属パッド5の位置と実装基板11の接続部位15の位置とが多少ずれていた場合には、この表面張力により金属パッド5と接続部位15とが相対するように電子部品1が微動するセルフアライメント効果が起こる。
そして、このセルフアライメント効果によって、マウント時における電子部品1と実装基板11との多少の位置ずれは補正されて、電子部品1に対する実装基板11の位置が所望の配置に整合して接続される。
【0035】
次に、上述した第一の実施の形態による電子部品の作用効果について図面を用いて説明する。
電子部品1に設けられた金属パッド5は、その外縁部5aが仮想円8に内接する略十字型で、第一部位5bと、第二部位5cとを交互に有してなる構成をしている。そして、この金属パッド5は、仮想円8と同じ円形の金属パッドよりも外縁部の長さが長いことにより、リフロー時における半田のセルフアライメント効果を向上させることがことができるので、第一の実施の形態による電子部品1と実装基板11とが安定して位置整合し、電気的接続の安定性を確保することができる作用効果を奏する。
また、電子部品1は、金属パッド5と半田バンプ7とからなる接続部位を複数備えている。これらの接続部位におけるセルフアライメント効果により、マウント時に電子部品1と実装基板11との間に多少の位置ずれがあった場合にも、電子部品1に対する実装基板11の位置をそれぞれ所望の配置に整合させることが可能となる。ゆえに電子部品1は実装基板11との機械的接続の安定性を確保することができると共に、電子機器10の実装品質を向上させて寿命を長くすることができる。
【0036】
また、金属パッド5の外縁部5aの第一部位5bと第二部位5cの数や、第二部位5cが仮想円8から仮想円8の内側に離間する寸法を調整することによって、セルフアライメント力を調整することができる。
また、金属パッド5が仮想円8の中心8aと第一部位5bの中心5dまたは第二部位5cの中心5eとを通る線8bで対称であることにより、この金属パッド5上の半田バンプ7は、仮想円8の中心軸を含む断面に対して対称に形成されるので、印加された応力をバランスよく受け止めることが可能となり、電子部品1および実装基板11の電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0037】
また、金属パッド5は、ソルダーレジスト6の開口部βが金属ランド9よりも小さく形成されたSMD構造であることにより、金属パッド5の形状は開口部βの形状に相当し、複数の金属パッド5と半田バンプ7との接着面の大きさに差が生じにくいので、複数の半田バンプ7を均質に形成することができる。また、金属パッド5はSMD構造であることにより、半田バンプ7から伝わる機械的ストレスが金属ランド9の表面のみに加わるので、応力により金属ランド9自体が絶縁樹脂層4から剥がれてしまうという不具合を起こすおそれがない。
また、金属パッド5は同じ外縁部の長さを有する従来の円形の金属パッドと比べると、占有する面積を小さくすることができるので、電子部品1に対して多くの金属パッド5を設置することができると共に、金属パッド5の配置の設計自由度を高めることができる。
また、複数の金属パッド5は形状が均一で、金属パッド5上に配設される複数の半田バンプ7の形状も等しいことにより、異なる大きさの金属パッドや異なる形状の半田バンプを設置する従来の電子部品と比べてリフロー条件の設定が容易であると共に、半田バンプ7を均質に形成することができる。
また、金属パッド5は、従来の仮想円8と同じ円形の金属パッドよりも外縁部の長さが長いので、式(1)で表わされるセルフアライメント力の原理に従い溶融液状化し金属パッド5と濡れ接触した半田が金属パッド5に拘束される力が従来よりも増大する。ゆえに、リフローの最中に金属パッド5から溶融半田が離脱するという半田バンプ7の形成不良を抑制することができる。よって、半田バンプ7を形成する工程が安定し、半田バンプ7の品質を向上させることができる。
【0038】
また、図4(b)に示すように、接続部位15が金属パッドである実装基板11に電子部品1が実装されて、実装基板11に設けられた金属パッドの形状が電子部品1の金属パッド5の形状と同様に外縁部が仮想円に内接する第一部位と、この仮想円から仮想円の内側に離間した第二部位とを交互に有している場合には、電子部品1と実装基板11とが更に安定して位置整合し、電気的接続の安定性を確保することができる。
【0039】
次に、他の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
【0040】
(第二の実施の形態)
第二の実施の形態では、第一の実施の形態では図2に示すように金属パッド5はソルダーレジスト6の開口部βが金属ランド9より小さく形成されたSMD構造であるのに対し、図7に示すように金属パッド5はソルダーレジスト6の開口部βが金属ランド9よりも大きく形成されたNSMD(Non Solder Mask Defined)構造である点のみ異なっており、その他の点は第一の実施の形態と同様である。すなわち、ソルダーレジスト6の開口部βが金属パッド5の外縁部5aと離間している構成である。
第二の実施の形態による電子部品では、金属パッド5がNSMD構造であることにより、金属パッド5に載置される半田バンプ7は金属パッド5の側面にも接触するので、第一の実施の形態と比べて半田バンプ7と金属パッド5との接触面が多く、セルフアライメント効果を高めることができる。さらに、半田バンプを形成した後においては、半田バンプ7と金属パッド5との接合強度が向上する。
【0041】
(第三の実施の形態)
第三の実施の形態では、第一の実施の形態では図3に示すように金属パッド5は外縁部5aが仮想円8に内接する十字型を形成し、第一部位5bが円弧状の頂部であるのに対し、図8(a)に示すように金属パッド25は外縁部25aが仮想円28に内接する星型を形成し、第一部位25bは鋭角状の頂部である点で異なっており、その他の点は第一の実施の形態と同様である。第三の実施の形態による金属パッド25も、仮想円28の中心28aと第一部位25bの中心25dまたは第二部位25cの中心25eとを通る線28bで対称な形状である。
第三の実施の形態による電子部品では、金属パッド25の外縁部25a長さが仮想円28と同形の従来の金属パッドより長いので、第一の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
また、第一部位25bは鋭角状の頂部なので、第一部位5bが円弧状の頂部である第一の実施の形態と比べて、金属パッド25の面積を小さくできて、半田の使用量を削減することができる。
【0042】
(第四の実施の形態)
第四の実施の形態では、第一の実施の形態では図3に示すように金属パッド5は外縁部5aが仮想円8に内接する十字型で、第一部位5bが円弧状の頂部であるのに対し、図8(b)に示すように金属パッド35は第一部位35bと第二部位35cとを多数有し、第一部位35bは鋭角状の頂部である点で異なっており、その他の点は第一の実施の形態と同様である。
第四の実施の形態による電子部品は、金属パッド35の外縁部35a長さが仮想円38と同形の従来の金属パッドの外縁部の長さより長いので、第一の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
また、第四の実施の形態では、金属パッド35は、図8(a)に示す第三の実施の形態による金属パッド25と比べて、第一部位35bと、第二部位35cとを外縁部35aに多く有している。そして、各仮想円28、38の大きさが同じで各第二部位25c、35cの深さも同じ場合には、第四の実施の形態による金属パッド35のほうが第三の実施の形態による金属パッド25よりも外縁部の長さを長くすることができ、セルフアライメント効果を高めることができる。
【0043】
(第五の実施の形態)
第五の実施の形態では、第一の実施の形態では図3に示すように金属パッド5は外縁部5aが仮想円8に内接する十字型であるのに対し、図8(c)に示すように金属パッド45は、外縁部45aが曲線状で第一部位45bと、第二部位45cとを交互に有している点で異なっており、その他の点は第一の実施の形態と同様である。
第五の実施の形態による電子部品は、金属パッド45の外縁部45a長さが仮想円48と同形の従来の金属パッドの外縁部の長さより長いので、第一の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0044】
(第六の実施の形態)
第六の実施の形態による電子部品では、第一の実施の形態では図3に示すように金属パッド5は仮想円8に内接しているのに対し、図9に示すように金属パッド55は仮想楕円58に内接している点で異なり、その他の点では第一の実施の形態と同様である。すなわち、外縁部55aが仮想楕円58に内接する略十字型をしていて、仮想楕円58に内接する第一部位55bと、仮想楕円58から仮想楕円58の内側に離間した第二部位55cとを交互に有している。第六の実施の形態による金属パッド55は、仮想楕円58の中心58aと第一部位55bの中心55dとを通る線58bで対称な形状である
第五の実施の形態による電子部品は、金属パッド55の外縁部55a長さが仮想楕円58と同形の従来の金属パッドの外縁部の長さより長いので、第一の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、たとえば携帯電話やデジタルカメラ、ノートパソコンなど、小型で高密度な電子部品を必要とする電子装置に適用できる。また、ウエハレベルパッケージなどのフリップチップ実装する電子部品に限らず、基板上に表面実装する電子部品の全てに対して実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 電子部品
5、25、35、45、55 金属パッド
5a、25a、35a、45a、55a 外縁部
5b、25b、35b、45b、55b 第一部位
5c、25c、35c、45c、55c 第二部位
6 ソルダーレジスト
7 半田バンプ
8、28、38、48 仮想円
10 電子機器
11 実装基板
58 仮想楕円
β 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田バンプを載置する金属パッドを複数有する電子部品であって、
前記半田バンプ側から前記金属パッドを見て、前記金属パッドはその外縁部が仮想円または楕円に内接する第一部位と、前記仮想円または楕円から該仮想円または楕円の内側に離間した第二部位とを交互に有し、前記外縁部の全長が前記仮想円または楕円の外周よりも長く、前記複数の金属パッドは同じ形状であることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記金属パッドは、前記仮想円または楕円の中心と前記第一部位または前記第二部位の中心とを通る線で対称であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記金属パッドと同一面上に配置されたソルダーレジストを備えており、前記ソルダーレジストは開口部を有し、その開口部は金属パッドと接していることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記金属パッドと同一面上に配置されたソルダーレジストを備えており、前記ソルダーレジストは開口部を有し、その開口部は金属パッドと離間していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子部品。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子部品と、前記電子部品を載置する実装基板とを備え、前記電子部品と前記実装基板とは前記半田バンプによって接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記実装基板は前記半田バンプと対向する位置に金属パッドを有していて、前記実装基板が有する金属パッドは前記電子部品が有する金属パッドと同じ形状であることを特徴とする請求項5に記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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