説明

電子部品の接合装置

【課題】簡易な構成で、接合不良の問題を解消することが可能な電子部品の接合装置を提供すること。
【解決手段】電子部品の接合装置は、電子部品を保持する接合ヘッドと、接合ヘッドを保持し昇降可能なヘッド側昇降体6と、ヘッド側昇降体6が昇降可能に取り付けられる第1フレームと、接合ヘッドを昇降させる昇降機構と、ヘッド側昇降体6および昇降機構に連結されて昇降可能な駆動側昇降体9と、駆動側昇降体9が昇降可能に取り付けられる第2フレームとを備えている。駆動側昇降体9は、ヘッド側昇降体6と駆動側昇降体9との連結部16でヘッド側昇降体6に係合する係合凸部28aを備え、ヘッド側昇降体6は、係合凸部28aを上方向から付勢する弾性部材39を備えている。ヘッド側昇降体6と駆動側昇降体9とは、弾性部材39の付勢力で連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と電子部品とを接合する電子部品の接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に形成された複数の端子部と電子部品に形成された複数の電極部とを電気的に接続させた状態で、基板と電子部品とを接合する接合装置が広く利用されている。かかる接合装置では、基板と電子部品とを接合する際に、基板に対して電子部品が押し付けられる。基板に対して電子部品が押し付けられると、接合装置のフレームは押付け時の反力を受け、この反力により変形する(撓む)。そのため、複数の端子部のそれぞれに電極部を均等な力で押し付けることが困難になり、接合不良が生じやすくなる。
【0003】
この接合不良の問題を解消するための接合装置が従来から提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の接合装置は、電子部品を保持する押圧ヘッドと、押圧ヘッドが昇降可能に取り付けられる第1コラム(フレーム)と、押圧ヘッドを昇降させるためのモータと、モータに連結された昇降子と、モータが固定されるとともに昇降子が昇降可能に取り付けられた第2コラムと、昇降子に取り付けられ押圧ヘッドを押圧するエアシリンダとを備えている。
【0004】
この接合装置では、押圧ヘッドと昇降子との間にエアシリンダが配置されているため、基板と電子部品との接合時の反力が生じると、第2コラムはその反力を受けて変形するが、押圧ヘッドが取り付けられた第1コラムは変形しない。そのため、複数の端子部のそれぞれに電極部を均等な力で押し付けることが可能になり、接合不良の問題を解消することが可能になる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−33351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の接合装置では、押圧ヘッドと昇降子との間にエアシリンダが配置されているため、接合装置の構成が複雑になる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、簡易な構成で、接合不良の問題を解消することが可能な電子部品の接合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、基板と電子部品とを接合する電子部品の接合装置において、基板に接合される電子部品を保持する接合ヘッドと、接合ヘッドを保持するとともに昇降可能なヘッド側昇降体と、ヘッド側昇降体が昇降可能に取り付けられる第1フレームと、接合ヘッドを昇降させるための昇降機構と、ヘッド側昇降体に連結されるとともに昇降機構に連結されて昇降可能な駆動側昇降体と、昇降機構が取り付けられるとともに駆動側昇降体が昇降可能に取り付けられる第2フレームとを備え、ヘッド側昇降体または駆動側昇降体のいずれか一方は、ヘッド側昇降体と駆動側昇降体との連結部でヘッド側昇降体または駆動側昇降体のいずれか他方に係合する係合凸部を備え、ヘッド側昇降体または駆動側昇降体のいずれか他方は、係合凸部を上下方向の少なくともいずれか一方から付勢する弾性部材を備え、弾性部材の付勢力でヘッド側昇降体と駆動側昇降体とが連結されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の接合装置では、ヘッド側昇降体または駆動側昇降体のいずれか一方が、ヘッド側昇降体または駆動側昇降体のいずれか他方に係合する係合凸部を備え、ヘッド側昇降体または駆動側昇降体のいずれか他方は、係合凸部を上下方向の少なくともいずれか一方から付勢する弾性部材を備えている。また、弾性部材の付勢力でヘッド側昇降体と駆動側昇降体とが連結されている。そのため、基板と電子部品との接合時に、基板に電子部品が押し付けられて、接合装置が反力を受ける場合であっても、弾性部材の作用で、ヘッド側昇降体が取り付けられる第1フレームの変形を防止することが可能になる。すなわち、係合凸部と弾性部材とを用いた簡易な構成で、ヘッド側昇降体が取り付けられる第1フレームの変形を防止することが可能になり、接合不良の問題を解消することが可能になる。
【0010】
本発明において、ヘッド側昇降体または駆動側昇降体のいずれか他方は、係合凸部の上下方向の少なくとも一方から当接するローラを備え、弾性部材はローラを付勢することが好ましい。このように構成すると、基板と電子部品との接合時の反力で上下方向へ直交する方向へ第2フレームが変形する場合であっても、第2フレームの変形の影響が第1フレームへ及ばないようにすることが可能となる。したがって、より確実に第1フレームの変形を防止することが可能になる。
【0011】
本発明において、接合装置は、ローラを保持してローラの回転中心になるとともにローラの両端側へ突出する中心軸を備え、弾性部材は、中心軸の両端側を付勢する位置に配置されていることが好ましい。このように構成すると、弾性部材によって、バランス良くローラを付勢することができ、ヘッド側昇降体と駆動側昇降体とを適切に連結することが可能になる。
【0012】
本発明において、弾性部材は、圧縮コイルバネであることが好ましい。このように構成すると簡易な構成でローラを付勢することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の電子部品の接合装置では、簡易な構成で、接合不良の問題を解消することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
なお、以下では、図1の上方向(Z1方向)を「上」、下方向(Z2方向)を「下」、紙面手前方向(Y1方向)を「前」、紙面奥方向(Y2方向)を「後(後ろ)」、右方向(X1方向)を「右」、左方向(X2方向)を「左」として、本発明の実施の形態を説明する。また、以下では、左右方向と前後方向とから形成される平面をXY平面、前後方向と上下方向とから形成される平面をYZ平面、上下方向と左右方向とから形成される平面をZX平面として、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(電子部品の接合装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる電子部品の接合装置1を示す正面図である。図2は、図1のE−E方向から接合装置1を示す側面図である。
【0017】
本形態の電子部品の接合装置1(以下、「接合装置1」とする。)は、図1のF部拡大部に示すように、基板2上に形成された複数の端子部3と、電子部品4に形成された複数の電極部(図示省略)とを接触させた状態で、電子部品4に超音波振動を与えながら基板2に電子部品4を圧接して接合するように構成された超音波接合装置である。
【0018】
この接合装置1は、図1、図2に示すように、基板2と電子部品4との接合を行う接合ヘッド5と、接合ヘッド5を保持するとともに昇降可能なヘッド側昇降体6と、ヘッド側昇降体6が昇降可能に取り付けられる第1フレーム7と、接合ヘッド5を昇降させるための昇降機構としての駆動モータ8と、ヘッド側昇降体6に連結されるとともに駆動モータ8に連結されて昇降可能な駆動側昇降体9と、駆動モータ8が固定されるとともに駆動側昇降体9が昇降可能に取り付けられる第2フレーム10とを備えている。
【0019】
また、接合装置1は、第1フレーム7および第2フレーム10が固定される第1ベース12と、第1ベース12が搭載される第2ベース13と、第2ベース13が搭載される本体ベース14とを備えている。本体ベース14は、接合装置1の設置面に固定されている。第2ベース13は、本体ベース14に対して、第1ベース12とともに前後方向に移動可能に構成されている。第1ベース12は、第2ベース13に対して左右方向に移動可能に構成されている。なお、接合装置1は、基板2を右方向へ搬送する搬送機構(図示省略)も備えている。
【0020】
基板2は、たとえば、フレキシブルな樹脂基板であるCOF(Chip On Film or Chip On Flexible Circuit Board)テープである。また、電子部品4は、たとえば、小型のICチップである。なお、基板2は、COFテープ以外のフレキシブルな樹脂基板やセラミックス等の硬度の高い基板であっても良い。また、基板2に接続固定される電子部品4は、ICチップには限定されず、表面弾性波素子、抵抗素子等の他の電子部品であっても良い。
【0021】
接合ヘッド5は、超音波振動を発生させて基板2と電子部品4との接合を行うように構成されている。この接合ヘッド5は、超音波振動の発生源となる振動子、振動子で発生させた超音波振動を増幅する振動ホーン、振動ホーンで増幅させた振動を電子部品4に与えながら基板2に電子部品4を圧接する圧接部、および、振動子と振動ホーンとを連結し振動子で発生させた振動を振動ホーンへ伝達する振動コーン等を備えている。圧接部には、基板2に接合される電子部品4を吸着して保持するための吸着孔が形成されている。
【0022】
ヘッド側昇降体6は、全体としてブロック状に形成されている。ヘッド側昇降体6の下端には、接合ヘッド5が固定されている。また、ヘッド側昇降体6の後面には、図2に示すように、ヘッド側昇降体6を上下方向へ案内するためのガイドブロック15が固定されている。具体的には、左右方向および上下方向に所定の間隔をあけた状態で4個のガイドブロック15がヘッド側昇降体6の後面に固定されている。ヘッド側昇降体6の上端側は、駆動側昇降体9の下端側に連結されており、ヘッド側昇降体6の上端側には、連結部16が形成されている。この連結部16の詳細な構成については後述する。
【0023】
第1フレーム7は、図2に示すように、第1ベース12の前端に固定される前面ブロック17と、後面側から前面ブロック17の変形を防止するための補強リブ18、19とを備えている。前面ブロック17は、全体として略矩形の厚い平板状に形成され、ZX平面と平行に配置されている。補強リブ18、19は、厚い平板状に形成され、前面ブロック17の後面にかつYZ平面と平行に固定されている。具体的には、補強リブ18は、第1ベース12の上面に固定され、補強リブ19は、第1ベース12の下面に固定されている。このように本形態の第1フレーム7は補強リブ18、19を備えているため、比較的高い剛性を有している。
【0024】
前面ブロック17の前面には、ガイドブロック15が係合するガイドレール20が固定されている。具体的には、上下方向を長手方向にするとともに、左右方向に所定の間隔をあけた状態で、2本のガイドレール20が前面ブロック17の前面に固定されている。
【0025】
第2フレーム10は、図2に示すように、前面側に配置される前面ブロック21と、前面ブロック21と第1ベース12とを連結する連結板22と、駆動モータ8を固定するための固定ブロック23とを備えている。前面ブロック21は、全体として略矩形状の厚い平板状に形成され、ZX平面と平行に配置されている。連結板22は、厚い平板状に形成されるとともに、前方向および下方向に向かって伸びるように略L形状に形成されている。また、連結板22は、YZ平面と平行に配置されている。
【0026】
連結板22の下端は、第1ベース12の上面に載置されて固定されている。また、連結板22の前端に前面ブロック21が固定されている。具体的には、第1フレーム7の上方に前面ブロック21が配置されるように、連結板22の前端に前面ブロック21が固定されている。固定ブロック23は、前面ブロック21の上端側に固定されている。
【0027】
前面ブロック21の前面には、駆動側昇降体9を上下方向へ案内するためのガイドレール24が固定されている。具体的には、上下方向を長手方向にするとともに、左右方向に所定の間隔をあけた状態で、2本のガイドレール24が前面ブロック21の前面に固定されている。
【0028】
駆動モータ8は、出力軸を下方向に向けた状態で、固定ブロック23に固定されている。この駆動モータ8の出力軸には、ボールネジ(図示省略)が連結されている。
【0029】
駆動側昇降体9は、全体としてブロック状に形成されている。駆動側昇降体9の本体部分には、駆動モータ8の出力軸に連結されたボールネジに螺合するメネジ(図示省略)が形成されている。また、駆動側昇降体9の後面には、ガイドレール24に係合するガイドブロック25が固定されている。具体的には、左右方向および上下方向に所定の間隔をあけた状態で4個のガイドブロック25が駆動側昇降体9の後面に固定されている。上述のように、駆動側昇降体9の下端側は、ヘッド側昇降体6の上端側に連結されており、駆動側昇降体9の下端側には、連結部16が形成されている。この連結部16の詳細な構成については後述する。
【0030】
以上のように構成された接合装置1は、以下のように、基板2と電子部品4との接合を行う。
【0031】
まず、接合ヘッド5が、上方向へ退避した状態で基板2に接合される電子部品4を吸着して保持する。また、搬送機構(図示省略)が、基板2を所定位置まで搬送する。その後、駆動モータ8が起動して、接合ヘッド5、ヘッド側昇降体6および駆動側昇降体9が一体となって下降する。接合ヘッド5は、下降した後、保持した電子部品4を基板2に押し当て加圧しながら(圧接しながら)、電子部品4に超音波振動を与え、基板2と電子部品4とを接合する。
【0032】
また、基板2と電子部品4との接合が終了すると、駆動モータ8が起動して、接合ヘッド5、ヘッド側昇降体6および駆動側昇降体9が一体となって上昇する。その後、再び、接合ヘッド5は基板2に接合される電子部品4を吸着して保持する。また、搬送機構(図示省略)が基板2を所定位置まで搬送して、上記と同様に、基板2と次の電子部品4との接合を行う。
【0033】
(連結部の構成)
図3は、図1に示す連結部16の斜視図であり、(A)は組立状態を示し、(B)は一部を分解した状態を示す。図4は、図1に示す連結部16の側面図である。
【0034】
図3、図4に示すように、連結部16は、駆動側昇降体9の下端側を構成する係合板28と、係合板28に係合するとともにヘッド側昇降体6の上端側を構成する係合ブロック29とによって構成されている。
【0035】
係合板28は、略矩形の平板状に形成された底面部28aと、底面部28aの後端から上方向に向かって立ち上がるように形成されるとともに略矩形の平板状に形成された後面部28bとを備えている。底面部28aはXY平面と平行に配置され、後面部28bはZX平面と平行に配置されており、左右方向から見ると係合板28は、略L形状に形成されている。後面部28bは、駆動側昇降体9の本体部分の前面側かつ下端側に固定されている。
【0036】
また、後面部28bの前面側には、YZ平面と平行に配置される補強リブ28cが形成されている。この補強リブ28cは、略三角形の平板状に形成されるとともに、底面部28aの上面の後端側から立ち上がるように形成されている。本形態では、補強リブ28cが形成されていない底面部28aの前端側は、連結部16において、ヘッド側昇降体6に係合する係合凸部となっている。
【0037】
係合ブロック29は、底面部28aの前端側(すなわち、係合凸部)の上面に当接するローラとしての上側ローラ30と、底面部28aの前端側(すなわち、係合凸部)の下面に当接する下側ローラ31と、上側ローラ30を回転可能に保持する固定軸32を支持する軸受ブロック33と、下側ローラ31を回転可能に保持する固定軸34を支持する軸受ブロック35と、軸受ブロック33、35を左右方向から挟むように配置された2枚の保持板36と、保持板36の下端が固定される固定板37と、保持板36の上端に固定された上端板38と、軸受ブロック33と上端板38との間に配置され、軸受ブロック33を下方向へ向かって付勢する弾性部材としての2個の圧縮コイルバネ39とを備えている。
【0038】
固定板37は、ZX平面に平行な平面部とXY平面に平行な平面部とを有し、略L形状に形成されている。この固定板37は、ヘッド側昇降体6の本体部分の上端に固定されている。
【0039】
保持板36は、YZ平面に平行な平面部とXY平面に平行な平面部とを有し、略L形状に形成されている。2枚の保持板36は、左右方向に所定の間隔をあけた状態で、固定板37の上面に固定されている。左右方向における保持板36の内側の面には、軸受ブロック33が係合する係合溝36aが形成されている。具体的には、前後方向の略中心位置に上下方向を長手方向として係合溝36aが形成されている。なお、保持板36には、左右方向に貫通する長孔36bが形成されている。
【0040】
上側ローラ30および下側ローラ31は、径方向の中心に軸受を有するローラフォロアである。この上側ローラ30と下側ローラ31とは、左右方向を軸方向として配置されている。また、上側ローラ30と下側ローラ31とは、上下方向で対向する位置に配置されている。本形態では、接合ヘッド5の、電子部品4を保持する部分のほぼ真上で対向するように、上側ローラ30と下側ローラ31とが配置されている。また、本形態では、上側ローラ30と下側ローラ31とは同形状に形成されている。
【0041】
固定軸32は、上側ローラ30の軸受に挿通され、上側ローラ30を保持している。この固定軸32の両端部のそれぞれは、上側ローラ30の両端側へ突出している。同様に、固定軸34は、下側ローラ31の軸受に挿通され、下側ローラ31を保持している。この固定軸34の両端部のそれぞれは、下側ローラ31の両端側へ突出している。なお、本形態の固定軸32は、上側ローラ30の回転中心となる中心軸である。
【0042】
軸受ブロック35は、前面側が開口する略矩形の溝形状に形成されている。この軸受ブロック35は、固定軸34の両端側を支持している。また、軸受ブロック35は、2枚の保持板36に左右方向から挟まれた状態で、固定板37の上面に固定されている。
【0043】
軸受ブロック33は、下面側が開口する略矩形の溝形状に形成されている。この軸受ブロック33は、固定軸32の両端側を支持している。また、軸受ブロック33の左右方向の両端側のそれぞれが保持板36の係合溝36aに係合した状態で、軸受ブロック33は、2枚の保持板36の間に配置されている。本形態では、軸受ブロック33は、係合溝36aに沿って上下方向に移動可能となっている。すなわち、上側ローラ30は、係合溝36aに沿って上下方向に移動可能となっている。
【0044】
軸受ブロック33の上面側には、圧縮コイルバネ39の下端側が挿入される底付きの挿入孔33aが形成されている(図3(B)参照)。具体的には、左右方向に所定の間隔をあけた状態で、2個の挿入孔33aが軸受ブロック33の上面側に形成されている。本形態では、軸受ブロック33が支持する固定軸32の両端側の上方に2個の挿入孔33aが形成されている。
【0045】
なお、軸受ブロック33の左右両側面には、ネジ孔33bが形成されている(図3(B)参照)。そのため、保持板36に形成された長孔36bに挿通した固定ネジをネジ孔33bに螺合して、軸受ブロック33を保持板36に固定することも可能である。
【0046】
上端板38は、矩形の平板状に形成されている。この上端板38の下面には、図4に示すように、圧縮コイルバネ39の上端側が挿入される底付きの挿入孔38aが形成されている。
【0047】
圧縮コイルバネ39は、下端が挿入孔33aの底面に当接し、上端が挿入孔38aの底面に当接した状態で、軸受ブロック33と上端板38との間に配置されている。また、上端板38は、保持板36の上端に形成されるメネジ36cに螺合する4本の固定ネジ42と固定ネジ42に螺合するナット43とによって保持板36に固定されている。
【0048】
このように、圧縮コイルバネ39は、軸受ブロック33および固定軸32を介して、上側ローラ30を下方向に向かって付勢(加圧)している。本形態では、上側ローラ30を保持する固定軸32の両端側の上方に圧縮コイルバネ39が配置されており、圧縮コイルバネ39は、固定軸32の両端側をほぼ均等な力で下方向に向かって付勢している。
【0049】
また、上述のように、上側ローラ30は、底面部28aの前端側の上面に当接している。すなわち、圧縮コイルバネ39は、上側ローラ30を介して、底面部28aの前端側(すなわち、係合凸部)を下方向に向かって付勢している。また、上述のように、下側ローラ31は、上側ローラ30と上下方向で対向する位置に配置されるとともに、底面部28aの前端側の下面に当接している。すなわち、本形態では、圧縮コイルバネ39の付勢力によって、上側ローラ30と下側ローラ31との間に底面部28aの前端側が挟まれることで、ヘッド側昇降体6の上端側と駆動側昇降体9の下端側とが連結されている。
【0050】
なお、本形態では、メネジ36cへの固定ネジ42のねじ込み量によって、圧縮コイルバネ39の付勢力を調整することが可能となっている。また、ナット43は、保持板36の上端と上端板38との間に配置されており、圧縮コイルバネ39の付勢力が調整された後の固定ネジ42を固定する機能を果たしている。
【0051】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の接合装置1では、駆動側昇降体9の下端側を構成する係合板28の底面部28aの前端側は、連結部16において、ヘッド側昇降体6に係合する係合凸部となっており、圧縮コイルバネ39がこの係合凸部を上方向から付勢している。また、圧縮コイルバネ39の付勢力によって、上側ローラ30と下側ローラ31との間にこの係合凸部が挟まれて、ヘッド側昇降体6の上端側と駆動側昇降体9の下端側とが連結されている。そのため、基板2と電子部品4との接合時に、基板2に電子部品4が押し付けられて、接合装置1がその押し当て力の反力を受ける場合であっても、圧縮コイルバネ39の作用で、ヘッド側昇降体6が取り付けられる第1フレーム7の変形を防止することができる。
【0052】
たとえば、接合装置1が接合時の反力を受け、第2フレーム10(具体的には、連結板22)に、図4の矢印V1方向のモーメントが生じて連結板22が変形する場合であっても(すなわち、係合板28が矢印V1方向へ倒れる場合であっても)、圧縮コイルバネ39が縮んで、連結板22の変形の影響をヘッド側昇降体6に与えないようにすることができる。そのため、第1フレーム7の変形を防止することができる。
【0053】
特に本形態では、上側ローラ30と下側ローラ31との間に係合凸部が配置されているため、たとえば、接合装置1が接合時の反力を受け、図4の矢印V2方向の力が連結板22に生じて連結板22が変形する場合であっても(すなわち、係合板28が矢印V2方向へ移動する場合であっても)、係合凸部が上側ローラ30と下側ローラ31との間との間をスムーズに移動して、連結板22の変形の影響をヘッド側昇降体6に与えないようにすることができる。そのため、第1フレーム7の変形を防止することができる。
【0054】
このように本形態では、係合板28の底面部28aの前端側(係合凸部)と圧縮コイルバネ39とを用いた簡易な構成で、ヘッド側昇降体6が取り付けられる第1フレーム7の変形を防止することができる。その結果、接合時に、基板2上の複数の端子部3のそれぞれに電子部品4の電極部を均等な力で押し付けることができ、接合不良の問題を解消することができる。
【0055】
本形態では、上側ローラ30を保持する固定軸32の両端側の上方に圧縮コイルバネ39が配置されており、圧縮コイルバネ39は、固定軸32の両端側をほぼ均等な力で下方向に向かって付勢している。そのため、圧縮コイルバネ39によってバランス良く上側ローラ30を付勢して、上側ローラ30をバランス良く係合板28の底面部28aの前端側に当接させることができる。したがって、圧縮コイルバネ39の付勢力で、ヘッド側昇降体6と駆動側昇降体9とを適切に連結することができる。また、本形態では、圧縮コイルバネ39を用いて、上側ローラ30を付勢しているため、比較的簡易な構成で、上側ローラ30を付勢することができる。
【0056】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形可能である。
【0057】
上述した形態では、軸受ブロック35は固定板37の上面に固定されており、下側ローラ31は保持板36に対して相対移動できないように構成されている。この他にもたとえば、軸受ブロック35が圧縮コイルバネ等の弾性部材によって上方向に向かって付勢され、係合溝36aに沿って上下方向に移動できるように構成されても良い。すなわち、下側ローラ31が、係合溝36aに沿って保持板36に対して相対移動できるように構成されても良い。
【0058】
上述した形態では、駆動側昇降体9が係合板28を備え、ヘッド側昇降体6が係合ブロック29を備えている。この他にもたとえば、ヘッド側昇降体6が係合板28に相当する係合板を備え、駆動側昇降体9が係合ブロック29に相当する係合ブロックを備えていても良い。この場合には、駆動側昇降体9が備える係合ブロックを構成する下側ローラが、圧縮コイルバネ等の弾性部材によって上方向に向かって付勢され、保持板に対して上下方向に相対移動できるように構成されれば良い。
【0059】
上述した形態では、係合板28の底面部28aの前端側の上下両方向に、上側ローラ30、下側ローラ31が当接している。この他にもたとえば、底面部28aの前端側の上下方向の一方にのみ、上側ローラ30あるいは下側ローラ31が当接し、底面部28aの前端側の上下方向の他方には、突起等の回転しない部材が当接しても良い。また、底面部28aの前端側の上下両方向に、突起等の回転しない部材が当接しても良い。
【0060】
上述した形態では、2個の圧縮コイルバネ39によって、上側ローラ30が付勢されている。この他にもたとえば、1個の圧縮コイルバネ39によって、上側ローラ30が付勢されても良いし、3個以上の圧縮コイルバネ39によって、上側ローラ30が付勢されても良い。また、上側ローラ30を付勢する弾性部材は、圧縮コイルバネ39には限定されず、引張りコイル、板バネ等の他のバネ部材あるいはゴム等の弾性部材であっても良い。
【0061】
上述した形態では、駆動モータ8によって、接合ヘッド5の昇降が行われている。この他にもたとえば、シリンダ等の他の昇降機構によって、接合ヘッド5の昇降が行われても良い。また、上述した形態では、上側ローラ30および下側ローラ31は、径方向の中心に軸受を有するローラフォロアである。この他にもたとえば、上側ローラ30および下側ローラ31が回転軸に固定され、この回転軸が軸受ブロック33、35に回転可能に支持されても良い。
【0062】
上述した形態では、超音波接合装置を例に本発明の実施の形態を説明しているが、本発明の構成は、基板2上に予め塗布された樹脂を接合ヘッドで加熱して溶かして、基板2に電子部品4を接合するように構成された加熱式の接合装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態にかかる電子部品の接合装置を示す正面図である。
【図2】図1のE−E方向から接合装置を示す側面図である。
【図3】図1に示す連結部の斜視図であり、(A)は組立状態を示し、(B)は一部を分解した状態を示す。
【図4】図1に示す連結部の側面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 接合装置(電子部品の接合装置)
2 基板
4 電子部品
5 接合ヘッド
6 ヘッド側昇降体
7 第1フレーム
8 駆動モータ(昇降機構)
9 駆動側昇降体
10 第2フレーム
16 連結部
28 係合板
28a 底面部(係合凸部)
30 上側ローラ(ローラ)
32 固定軸(中心軸)
39 圧縮コイルバネ(弾性部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と電子部品とを接合する電子部品の接合装置において、
上記基板に接合される上記電子部品を保持する接合ヘッドと、上記接合ヘッドを保持するとともに昇降可能なヘッド側昇降体と、上記ヘッド側昇降体が昇降可能に取り付けられる第1フレームと、上記接合ヘッドを昇降させるための昇降機構と、上記ヘッド側昇降体に連結されるとともに上記昇降機構に連結されて昇降可能な駆動側昇降体と、上記昇降機構が取り付けられるとともに上記駆動側昇降体が昇降可能に取り付けられる第2フレームとを備え、
上記ヘッド側昇降体または上記駆動側昇降体のいずれか一方は、上記ヘッド側昇降体と上記駆動側昇降体との連結部で上記ヘッド側昇降体または上記駆動側昇降体のいずれか他方に係合する係合凸部を備え、
上記ヘッド側昇降体または上記駆動側昇降体のいずれか他方は、上記係合凸部を上下方向の少なくともいずれか一方から付勢する弾性部材を備え、
上記弾性部材の付勢力で上記ヘッド側昇降体と上記駆動側昇降体とが連結されていることを特徴とする電子部品の接合装置。
【請求項2】
前記ヘッド側昇降体または前記駆動側昇降体のいずれか他方は、前記係合凸部の上下方向の少なくとも一方から当接するローラを備え、前記弾性部材は上記ローラを付勢することを特徴とする請求項1記載の電子部品の接合装置。
【請求項3】
前記ローラを保持して前記ローラの回転中心になるとともに前記ローラの両端側へ突出する中心軸を備え、前記弾性部材は、上記中心軸の両端側を付勢する位置に配置されていることを特徴とする請求項2記載の電子部品の接合装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、圧縮コイルバネであることを特徴とする請求項2また3記載の電子部品の接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−60061(P2009−60061A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−228459(P2007−228459)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(592141488)アスリートFA株式会社 (96)
【Fターム(参考)】