説明

電子部品の表面実装方法、及び該方法を用いて作製されたプリント回路板

【課題】生産性および信頼性を損なわずに、貫通ビアの直上に設けられた実装パッド部に電子部品を表面実装する。
【解決手段】プリント配線板16の貫通ビア11の直上に設けられた実装パッド部14に電子部品60を表面実装する方法である。まず、貫通ビア11の貫通孔に蓋をする蓋体30を、実装パッド部14に載置する。その後、はんだ印刷を行うことで、蓋体30を埋設するはんだ台を実装パッド部14に形成する。そして、電子部品60をプリント配線板16上に搭載し、電子部品60が搭載された前記プリント配線板16に対し加熱処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の表面実装方法、より詳細には、プリント配線板の貫通ビアの直上に設けられた実装パッドに電子部品を表面実装する方法、及び、該方法を用いて作製されたプリント回路板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話に代表されるように電子機器の小型化および高機能化がますます進展している。それに伴い、より小型で高機能な電子部品をプリント配線板に実装することが求められている。そのような電子部品の一つにCSP(Chip Size Package)がある。CSPは、通常0.3〜1.0mm程度の狭ピッチで接合用はんだボールを有するパッケージ部品であり、プリント配線板の上に表面実装される。
【0003】
電子部品の接続部の高密度化に合わせて、プリント配線板の実装パッド部も高密度にする必要がある。そのため、貫通ビアの直上に実装パッド部を設けることが考えられる。
【0004】
しかし、従来、プリント配線板の貫通ビア直上に実装パッドを設けることにより、実装密度を向上させることは困難であった。
【0005】
この問題の詳細を説明する前に、従来技術によるプリント配線板の構造、及び該プリント配線板への電子部品の表面実装方法について説明する。
【0006】
図5に、貫通ビアを有するプリント配線板の一例として、多層プリント配線板120の構成を示す。図5(a)は、貫通ビアを有する多層プリント配線板120の平面図であり、図5(b)は、図5(a)のA−A’線に沿う端面図である。
【0007】
まず、多層プリント配線板120の平面構造について説明する。
【0008】
図5(a)に示すように、多層プリント配線板120の表面は、開口部119A〜119Eを除いてフォトソルダーレジスト層115で被覆されている。
【0009】
開口部119A〜119Dの底面には、電子部品を実装するための実装パッド部116A〜116D、及び貫通ビア118A〜118Dが設けられている。図5(a)及び(b)からわかるように、実装パッド部116A〜116Dは、めっき皮膜114によって貫通ビア118A〜118Dとそれぞれ電気的に接続されている。なお、開口部119Eの底面には、実装パッド部116Eは設けられているが、貫通ビアは設けられていない。この実装パッド部116Eは、電子部品のダミーピンと接合するために用いられる場合もある。ダミーピンとは、実際の信号導通に用いられず、プリント配線板上に表面実装される電子部品の平行度を保つためのものである。
【0010】
また、開口部119A〜119Eの底面に露出しためっき皮膜114には、はんだ濡れ性を向上させるため、金めっき等の表面処理が施されている。
【0011】
次に、多層プリント配線板120の断面構造について説明する。
【0012】
図5(b)に示すように、多層プリント配線板120は、2つの回路基材、即ち、カバーレイ付き回路基材108と回路基材113とを、接着剤層109を介して貼り合わせた多層回路基材を基本構造とする。
【0013】
ここで、カバーレイ付き回路基材108は、回路基材104の裏面に、ポリイミドフィルム106(例えば、12μm厚)と、その上に形成された接着剤層105(例えば、15μm厚)とから構成されるカバーレイ107を貼り付けたものである。接着剤層105は、例えばアクリル系またはエポキシ系接着剤からなる。
【0014】
回路基材104は、可撓性絶縁ベース材101(例えば25μm厚のポリイミドフィルム)の両面に銅箔102及び103(各々例えば12μm厚)を有する両面銅張積層板に対して、フォトファブリケーション手法により銅箔を所定のパターンに加工したものである。なお、フォトファブリケーション手法では、フォトレジスト層の形成、露光および現像により銅箔の上にレジストパターンを形成し、その後、このレジストパターンをマスクにして銅箔のエッチングを行い、所定のパターンを有する銅箔(回路パターン)を形成する。
【0015】
回路基材113は、可撓性絶縁ベース材110の両面に銅箔111及び112を有する両面銅張積層板に対して、フォトファブリケーション手法により銅箔を所定のパターンに加工したものである。
【0016】
多層プリント配線板120の貫通ビア118A〜118Dは、上記の多層回路基材の所定の位置に厚さ方向に貫通する貫通ホールを形成し、この貫通ホールに導電化処理および電解銅めっき処理を施して形成されためっき皮膜114(例えば8μm厚)から構成される。貫通ビア118A〜118Dは、各層の配線を電気的に接続する層間導電路として機能する。なお、貫通ホールは、NCドリル加工等によって、例えばφ150μmの大きさに形成される。
【0017】
次に、従来技術により、上記の多層プリント配線板120に電子部品を表面実装する方法について、図6A及び図6Bを用いて説明する。図6A及び図6Bは、電子部品の表面実装方法を説明するための工程端面図である。
【0018】
(1)まず、はんだ印刷用のメタル版(メタルマスク)130を用意する。メタル版130は、多層プリント配線板120の実装パッド部116A〜116Eとそれぞれ対応する複数の開口部131,131,・・・を有する。
【0019】
そして、図6A(1)に示すように、メタル版130の開口部131,131,・・・が多層プリント配線板120の実装パッド部116A〜116Eとそれぞれ重なるように、多層プリント配線板120の上にメタル版130を載置する。
【0020】
(2)次に、図6A(2)に示すように、クリームはんだ140をメタル版130上に堆積した後、スキージ150をスライドさせて、はんだ印刷を行う。これにより、メタル版130の開口部131の内部にクリームはんだ140が埋め込まれる。
【0021】
(3)次に、図6B(3)に示すように、メタル版130を多層プリント配線板120から取り外す。これにより、クリームはんだからなるはんだ台(予備はんだ層)141,141,・・・が各実装パッド部116A〜116Eの上に形成される。
【0022】
(4)次に、端子161上にはんだボールが設けられた電子部品160(例えばCSP)を用意する。そして、電子部品160のはんだボールがはんだ台141上に載置されるように、電子部品160と多層プリント配線板120の位置合わせを行った後、電子部品160を多層プリント配線板120上に搭載する。
【0023】
(5)その後、電子部品160が搭載された多層プリント配線板120に対して加熱処理を行う(リフロー工程)。これにより、図6B(4)に示すように、はんだ台141のクリームはんだ及び電子部品160のはんだボールが溶融して形成されたはんだ接合部142により、電子部品160は実装パッド部116A〜116E上に接合される。
【0024】
次に、前述の従来技術の問題、即ち、貫通ビアを有する多層プリント配線板120の貫通ビア118A〜118D上に実装パッド部を設けることができないという問題の詳細について説明する。
【0025】
前述の表面実装工程から明らかなように、貫通ビアの直上に実装パッド部を設けた場合、リフロー工程において溶融したはんだは、貫通ビアの貫通孔に流れ込む。その結果、はんだ接合部のはんだ量が不足し、接続不良が発生する虞がある。さらに、貫通孔ごとに流れ込むはんだ量が異なるため、多層プリント配線板に対して電子部品が傾き、平行度を維持できない虞もある。このような問題は、多層プリント配線板120の構造に限らず、貫通ビアを有する任意のプリント配線板について起き得る。
【0026】
上記の理由から、従来、プリント配線板の実装パッド部は、実装密度を犠牲にしても、貫通ビアの直上を避けて設けられることが一般的であった。
【0027】
なお、従来、貫通ビアの直上に電子部品を表面実装する方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、まず、貫通ビア(メッキされた貫通孔バイア17)直上の実装パッド部(ハンダ・パッド12)上にはんだペーストを印刷しておく。次いで、加熱処理を行い、溶融したはんだペーストを貫通ビアの貫通孔に引き込み、貫通孔内で固化させる。この予備はんだ工程を繰り返し、貫通孔内をはんだで完全に充填する。次いで、実装パッド部を平坦化した後、電子部品を実装する。
【0028】
この方法の問題点として、電子部品を実装するまでに予備はんだ工程を繰り返す必要があるため、工程が煩雑となり、生産性が低下する。さらに、プリント配線板に対して複数回にわたって熱ダメージを与えることになるため、各種の不具合(貫通ビアのクラック、絶縁樹脂の膨れ、剥離等)が発生する虞がある。
【0029】
また、近年、環境問題に配慮して鉛フリーはんだを使用するケースが増加しているが、鉛フリーはんだは、共晶はんだと比べて濡れ性が悪い。したがって、鉛フリーはんだを用いる場合、はんだを全ての貫通孔内に一様に充填させることは実際上極めて困難である。
【0030】
その他の表面実装方法として有底ビアを用いることが考えられる。例えば特許文献2には、有底のビア(ブラインドバイアホール30)を有し、高密度実装可能なビルドアップ型多層プリント配線板が開示されている。有底ビアの場合、はんだの流れ出しがないことから、ブラインドバイアホール30の直上に電子部品を実装することは比較的容易である。
【0031】
しかし、ビルドアップ型多層プリント配線板の製造には、一般的に、多くの工数および材料を必要とする。さらに、有底ビアは、詳細な条件設定を要するレーザ加工で形成する必要があり、NCドリル加工などで形成することが困難である。
【0032】
上述のように、従来、生産性および信頼性を両立しつつ、貫通ビアの直上に設けられた実装パッド部に電子部品を実装する方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特公平7−112109号公報
【特許文献2】特開2004−200260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
本発明は、上述の技術的認識に基づいてなされたものであり、生産性および信頼性を損なわずに、貫通ビアの直上に設けられた実装パッド部に電子部品を表面実装する方法、及び該方法を用いて作製されたプリント回路板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明の一態様によれば、プリント配線板の貫通ビアの直上に設けられた実装パッド部に電子部品を表面実装する電子部品の表面実装方法であって、前記貫通ビアの貫通孔に蓋をする蓋体を前記実装パッド部に載置し、はんだ印刷を行うことにより、前記蓋体を埋設するはんだ台を前記実装パッド部に形成し、前記電子部品の接続部が前記はんだ台の上に載置されるように、前記電子部品を前記プリント配線板の上に搭載し、前記電子部品が搭載された前記プリント配線板に対して加熱処理を行うことを特徴とする電子部品の表面実装方法が提供される。
【0036】
本発明の別態様によれば、厚さ方向に貫通する貫通ホールの内壁に形成されためっき皮膜からなり、層間接続を行う貫通ビアを有するプリント配線板と、前記貫通ビアの貫通孔の直上に設けられたはんだ接合部と、前記貫通ビアの貫通孔に蓋をし、前記はんだ接合部内に埋設された蓋体と、前記はんだ接合部を介して前記プリント配線板に実装された電子部品と、を備えることを特徴とするプリント回路板が提供される。
【発明の効果】
【0037】
これらの特徴により、本発明は次のような効果を奏する。
【0038】
貫通ビアの貫通孔に蓋をする蓋体を貫通ビアの貫通孔上に載置し、前記蓋体を埋設するはんだ台(予備はんだ層)を形成する。これにより、リフロー工程の際、蓋体が貫通孔を塞いでいるため、溶融したはんだは貫通孔内に流れ込まない。したがって、接合部を構成するはんだ量が減少しないため、はんだ接合部の信頼性が向上するともに、電子部品のプリント配線板に対する平行度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】貫通ビアの直上に実装パッド部を有する多層プリント配線板の製造方法を説明するための工程端面図である。
【図2】(a)は、貫通ビアの直上に実装パッド部が設けられたプリント配線板の平面図であり、(b)は(a)のA−A’線に沿う端面図である。
【図3A】本発明の実施形態に係る電子部品の表面実装方法の工程を示す端面説明図である。
【図3B】図3Aに続く、本発明の実施形態に係る電子部品の表面実装方法の工程を示す端面説明図である。
【図3C】図3Bに続く、本発明の実施形態に係る電子部品の表面実装方法の工程を示す端面説明図である。
【図4】変形例に係る蓋体が貫通孔上に載置されたプリント配線板の端面説明図である。
【図5】(a)は貫通ビアから離して設けられた実装パッド部を有するプリント配線板の平面図であり、(b)は(a)のA−A’線に沿う端面図である。
【図6A】従来技術による電子部品の表面実装方法を示す工程端面図である。
【図6B】図6Aに続く、従来技術による電子部品の表面実装方法を示す工程端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0041】
まず、貫通ビアの直上に実装パッド部が設けられた多層フレキシブルプリント配線板の製造方法について、図1を用いて説明する。
【0042】
(1)可撓性絶縁ベース材1A(例えば25μm厚のポリイミドフィルム)の両面に銅箔2Aおよび銅箔3A(各々例えば12μm厚)を有する可撓性の両面銅張積層板を用意する。そして、図1(1)に示すように、フォトファブリケーション手法を用いて、銅箔2Aを所定の回路パターンに加工し、ビルドアップ用の回路基材4Aを作製する。
【0043】
(2)次に、可撓性絶縁ベース材1B(例えば25μm厚のポリイミドフィルム)の両面に銅箔2Bおよび銅箔3B(各々例えば12μm厚)を有する可撓性の両面銅張積層板を用意する。そして、回路基材4Aの場合と同様にフォトファブリケーション手法を用いて、銅箔3Bを所定の回路パターンに加工し、図1(2)に示すビルドアップ用の回路基材4Bを作製する。
【0044】
(3)次に、図1(3)からわかるように、回路基材4Bの裏面(図中下側)にカバーレイ5を貼り合わせ、カバーレイ付き回路基材6を作製する。このカバーレイ5は、絶縁フィルム5a(例えば12μm厚のポリイミドフィルム)の上に、アクリル系又はエポキシ系の接着材からなる接着剤層5b(例えば15μm厚)を形成したものである。
【0045】
(4)次に、図1(3)に示すように、回路基材4Aとカバーレイ付き回路基材6を位置合わせした後、アクリル系又はエポキシ系の接着材からなる接着材層7を介して積層し、積層回路基材8を作製する。
【0046】
(5)次に、図1(4)に示すように、NCドリル加工により積層回路基材8の所定の位置に貫通ホール9(φ150μm)を形成する。なお、貫通ホール9の直径は、貫通ホール9と、搭載される電子部品の接続部の形状とのバランスを考慮して決められる。一般的には、孔径が小さい場合には加工コストが高くなりやすく、一方、孔径が大きい場合には、後に搭載する電子部品の取り付け高さに影響する。よって、貫通ホール9の直径は、例えば100〜300μm の範囲内に設定する。
【0047】
なお、貫通ホール9は、NCドリル加工に限らず、各種レーザ(UV−YAGレーザ、炭酸レーザ、エキシマレーザ等)によるレーザ加工で形成してもよい。
【0048】
(6)次に、図1(5)からわかるように、貫通ホール9に導電化処理を施した後、電解銅めっき処理を施すことにより、多層回路基材8の外層、及び貫通ホール9の内壁にめっき皮膜10(例えば8μm厚)を形成する。これにより、層間接続を行う貫通ビア11が得られる。
【0049】
(7)次に、フォトファブリケーション手法により、多層回路基材8の外層の導電膜(銅箔+めっき皮膜)を所定のパターンに加工することにより、多層回路基材8の両面に外層回路パターン12A及び12Bを形成する。
【0050】
なお、本工程のフォトファブリケーション手法において使用するフォトレジストには、貫通ホール9をテンティング可能な厚み(例えば20μm厚)を有するドライフィルムレジストを用いることが望ましい。その他、液状レジスト又は電着レジストを用いても、貫通ビア11を保護することが可能である。
【0051】
(8)次に、図1(5)に示すように、絶縁保護が必要な領域にフォトソルダーレジスト層13を形成する。フォトソルダーレジスト層13には、底面に実装パッド部14(貫通ビア11を含む)が露出した開口部15が形成される。
【0052】
その後、開口部15に露出しためっき皮膜10に金めっき等の表面処理を施し、外形加工を行い、貫通ビアを有する多層プリント配線板16を得る。
【0053】
図2(a)は、上述の方法で作製された多層プリント配線板16の平面図を示している。図2(b)は図2(a)のA−A’線に沿う端面図である。
【0054】
図2(a)及び図2(b)からわかるように、多層プリント配線板16の実装パッド部14は、貫通ビア11の直上に設けられている。これにより、多層プリント配線板16は、前述の多層プリント配線板120と比べて、実装パッド部の配置密度が向上し、高密度実装に対応することができる。
【0055】
次に、この多層プリント配線板16に電子部品を表面実装する方法について、図3A乃至図3Cを用いて説明する。
【0056】
(1)まず、はんだ印刷用のメタル版(メタルマスク)20を用意する。メタル版20は、多層プリント配線板16の実装パッド部14,14,・・・とそれぞれ対応する開口部21,21,・・・を有する。
【0057】
そして、図3A(1)に示すように、メタル版20の開口部21,21,・・・が多層プリント配線板16の実装パッド部14,14,・・・とそれぞれ重なるように、多層プリント配線板16の上にメタル版20を載置する。
【0058】
なお、メタル版20の開口部21の大きさは、後述の蓋体30が1つ通過する程度のものとして形成されている。即ち、開口部21の直径は、球状の蓋体30の直径よりも大きい。それと同時に、1つの開口部21に2つの蓋体30が入ることを防止するため、開口部21の直径は蓋体30の直径の2倍未満にすることが好ましい。
【0059】
(2)次に、図3A(2)に示すように、金属からなる球状の蓋体30が貫通ビア11の貫通孔に蓋をするように、実装パッド部14の各々に蓋体30を載置する。
【0060】
より具体的には、メタル版20上に複数の蓋体30,30,・・・を堆積した後、スキージ40をマスク版20の上面を掃くようにスライドさせ、蓋体30をマスク版20の開口部21の内部に1個ずつ落とし、貫通ビア11の貫通孔を塞ぐように載置する。そして、貫通ビア11の下部側からエア吸着することにより、蓋体30を固定する。
【0061】
なお、蓋体30の直径は、貫通ビア11の直径(約130μm)よりも10〜20μm大きい値とした。蓋体30の大きさ(直径)は、電子部品の平行度を確保するために、一定値に揃えることが好ましい。
【0062】
(3)次に、図3B(3)に示すように、クリームはんだ50をメタル版20上に堆積した後、スキージ40をスライドさせて、はんだ印刷を行う。これにより、メタル版20の開口部21の内部にクリームはんだ50が埋め込まれるとともに、開口部21内の蓋体30はクリームはんだ50内に埋設され、固定される。
【0063】
(4)次に、図3B(4)に示すように、メタル版20を多層プリント配線板16から取り外す。これにより、蓋体30を埋設するはんだ台(予備はんだ層)51,51,・・・が各実装パッド部14,14,・・・の上に形成される。
【0064】
(5)次に、表面実装用の電子部品60(例えばCSP)を用意し、この電子部品60の接続部(電子部品60の端子61、又は端子61上に設けられたはんだボール)がはんだ台51上に載置されるように、電子部品60と多層プリント配線板16の位置合わせを行う。その後、電子部品60を多層プリント配線板16上に搭載する。
【0065】
(6)次に、電子部品60が搭載された多層プリント配線板16に対して加熱処理を行う(リフロー工程)。これにより、図3C(5)に示すように、はんだ台51のクリームはんだが溶融して、はんだ接合部52が形成される。このはんだ接合部52により、電子部品60は多層プリント配線板16の実装パッド部14上に接合される。
【0066】
本工程において、蓋体30が貫通ビア11の貫通孔の蓋として機能するため、溶融したはんだは貫通孔に流れ込まない。これにより、はんだ接合部52を構成するはんだ量が減少しないため、はんだ接合部52の信頼性が向上するとともに、電子部品60のプリント配線板16に対する平行度を維持することができる。
【0067】
さらに、蓋体30は球体であり、その頂部は一定の高さとなるため、電子部品60の取り付け高さ(スタンドオフ)が安定し、より平行度を確保することができる。
【0068】
上記の工程を経て、貫通ビア11の直上に設けられた実装パッド部14に電子部品60が実装された多層プリント回路板70が得られる。
【0069】
図3C(5)に示すように、多層プリント回路板70は、貫通ビア11の貫通孔の直上に設けられたはんだ接合部52を介して、多層プリント配線板16に実装された電子部品60を有する。また、蓋体30は、はんだ接合部52内に埋設され、貫通ビア11の貫通孔を塞いでいる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、生産性および信頼性を損なわずに、貫通ビア11の直上に設けられた実装パッド部に電子部品を表面実装することができる。また、本実施形態によれば、狭ピッチの電子部品が実装され、はんだ接合部の信頼性が高く、且つ電子部品の平行度が良好なプリント回路板を提供することができる。
【0071】
なお、上記の説明では、蓋体30の材質は金属としたが、本発明はこれに限るものではない。即ち、蓋体30の材質は、リフロー工程において溶融し蓋体としての機能を失わないものであればよい。したがって、樹脂などの絶縁体でもよい。但し、はんだ濡れ性の観点からは、蓋体の表面は金属であることが好ましい。よって、樹脂からなるコア体にめっき処理を施し、表面に導電皮膜(例えばNi/Auめっき層)が形成された樹脂コアを蓋体として用いてもよい。
【0072】
また、電子部品が実装されたプリント配線板(プリント回路板)に働く応力を緩和するために、蓋体の材料の熱膨張係数を、電子部品の熱膨張計数とプリント配線板の熱膨張係数の中間の値にしてもよい。そのような熱膨張係数を有する樹脂を蓋体30の材料として用いることにより、実装された電子部品60と多層プリント配線板16との熱膨張差により発生する応力を、樹脂の弾性により緩和することができる。
【0073】
また、蓋体30は直上が実装パッド部となる貫通ビア上にのみ設ければよく、直上が実装パッド部とならない貫通ビア上に設ける必要はない。このように、必要箇所にのみ蓋体を配置することにより、製造工程を経済的にすることができる。
【0074】
また、上記の説明では、蓋体30の形状は球体としたが、本発明はこれに限るものではない。即ち、蓋体30の形状は、貫通ビアの貫通孔に蓋をすることができればよく、例えば、楕円球状の蓋体30A(図4(a)参照)、又は円盤形状の蓋体30B(図4(b)参照)でもよい。
【0075】
その他、球体の場合と同じく電子部品の平行度をより確保できる形状として、貫通孔に蓋をする円盤体30C1と、この円盤体30C1と直交する柱状体30C2から構成(図4(c)参照)される蓋体30Cでもよい。この場合、柱状体30C2の長さは、開口部15の直径よりも大きくすることが好ましい。
【0076】
また、本発明の電子部品の実装方法は、上述の多層プリント配線板16に限らず、貫通ビアの直上に実装パッド部が設けられた構成を有する任意のプリント配線板に適用することができる。
【0077】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1A,1B,101,110 可撓性絶縁ベース材
2A,2B,3A,3B,102,103,111,112 銅箔
4A,4B,104,113 回路基材
5,107 カバーレイ
5a 絶縁フィルム
5b,109 接着剤層
6,108 カバーレイ付き回路基材
7,105 接着剤層
8 積層回路基材
9 貫通ホール
10,114 めっき皮膜
11 貫通ビア
12A,12B 外層回路パターン
13,115 フォトソルダーレジスト層
14 実装パッド部
15 開口部
16,120 多層プリント配線板
20,130 メタル版(メタルマスク)
21,131 開口部
30,30A,30B,30C 蓋体
30C1 円盤体
30C2 柱状体
40,150 スキージ
50,140 クリームはんだ
51,141 はんだ台(予備はんだ層)
52,142 はんだ接合部
60,160 電子部品
61,161 端子
70 多層プリント回路板
106 ポリイミドフィルム
116A,116B,116C,116D,116E 実装パッド部
118A,118B,118C,118D 貫通ビア
119A,119B,119C,119D,119E 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板の貫通ビアの直上に設けられた実装パッド部に電子部品を表面実装する電子部品の表面実装方法であって、
前記貫通ビアの貫通孔に蓋をする蓋体を前記実装パッド部に載置し、
はんだ印刷を行うことにより、前記蓋体を埋設するはんだ台を前記実装パッド部に形成し、
前記電子部品の接続部が前記はんだ台の上に載置されるように、前記電子部品を前記プリント配線板の上に搭載し、
前記電子部品が搭載された前記プリント配線板に対して加熱処理を行う、
ことを特徴とする電子部品の表面実装方法。
【請求項2】
前記蓋体の形状は、球状、楕円球状、又は円盤状であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の表面実装方法。
【請求項3】
前記蓋体は、金属、樹脂、又は表面に導電皮膜を有する樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品の表面実装方法。
【請求項4】
前記蓋体を前記実装パッド部に載置した後、前記貫通ビアの下部側からエア吸着することにより、前記蓋体を固定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子部品の表面実装方法。
【請求項5】
前記はんだ印刷は、
前記実装パッド部に対応する開口部を有するメタル版を、前記開口部が前記実装パッド部に重なるように、前記プリント配線板の上に載置し、
スキージを前記メタル版の上面を掃くようにスライドさせて、前記メタル版の上に堆積したクリームはんだを前記メタル版の前記開口部に埋め込み、
前記メタル版を前記プリント配線板から取り外す、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子部品の表面実装方法。
【請求項6】
厚さ方向に貫通する貫通ホールの内壁に形成されためっき皮膜からなり、層間接続を行う貫通ビアを有するプリント配線板と、
前記貫通ビアの貫通孔の直上に設けられたはんだ接合部と、
前記貫通ビアの貫通孔に蓋をし、前記はんだ接合部内に埋設された蓋体と、
前記はんだ接合部を介して前記プリント配線板に実装された電子部品と、
を備えることを特徴とするプリント回路板。
【請求項7】
前記プリント配線板は、可撓性の絶縁フィルムを基材とするフレキシブルプリント配線板であることを特徴とする請求項6に記載のプリント回路板。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2012−4418(P2012−4418A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139271(P2010−139271)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000230249)日本メクトロン株式会社 (216)
【Fターム(参考)】