電子部品の製造方法、及び電子部品
【課題】製造工程が簡略化された電子部品の製造方法、及び電子部品を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなり、表面に配線パターンが形成されたフレキシブル基板を、巻回芯に巻回しつつ熱圧着することで、巻回芯に前記配線パターンを巻回して電子素子とする巻回工程を有する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなり、表面に配線パターンが形成されたフレキシブル基板を、巻回芯に巻回しつつ熱圧着することで、巻回芯に前記配線パターンを巻回して電子素子とする巻回工程を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルなどの電子素子を有する電子部品の製造方法、及び電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、コイルパターン(配線パターン)が表面及び裏面の少なくとも一方に形成されたプリント基板が複数積層されてなるコイル部を備えた薄型トランス(電子部品)が提案されている。
【特許文献1】特開平11−329848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に示される電子部品を形成するためには、複数のプリント基板を積層する積層工程と、基板同士を固定する固定工程と、を要するため、製造に時間がかかるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、製造工程が簡略化された電子部品の製造方法、及び電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂からなり、表面に配線パターンが形成されたフレキシブル基板を、巻回芯に巻回しつつ熱圧着することで、巻回芯に前記配線パターンを巻回して電子素子とする巻回工程を有することを特徴する。
【0006】
このように本発明によれば、フレキシブル基板を巻回芯に巻回しつつ熱圧着する巻回工程を経ることで、電子部品を製造することができる。したがって、複数のプリント基板を積層する積層工程と、基板同士を固定する固定工程と、を要する電子部品の製造方法と比べて、製造工程が簡略化された電子部品の製造方法となっている。
【0007】
また、1枚のフレキシブル基板に電子素子を構成する全ての配線パターンをパターニングすることができるので、複数のプリント基板に配線パターンをパターニングする製造方法と比べて、製造工程が簡素化された電子部品の製造方法ともなっている。
【0008】
さらには、1枚のフレキシブル基板を使用するだけなので、複数のフレキシブル基板を要する構成と比べて、フレキシブル基板を構成する母材から、フレキシブル基板をカットするカット工程が簡素化された電子部品の製造方法ともなっている。
【0009】
請求項2に記載のように、巻回芯の長手方向において、フレキシブル基板には、1つの電子素子を構成する配線パターンが、互いに離間して配置された複数の区画領域が形成されており、巻回工程後、巻回芯とともに、フレキシブル基板を、区画領域毎に切り分ける切断工程を有するのが好ましい。これによれば、一度の製造にて、複数の電子部品を得ることができる。したがって、積層工程と固定工程とを経て1つの電子部品を製造する、電子部品の製造方法と比べて、生産性が向上された電子部品の製造方法となっている。
【0010】
請求項3に記載のように、巻回芯における、フレキシブル基板の区画領域の境界に対応する部位に、第1切り欠き部が形成されており、切断工程において、フレキシブル基板とともに、巻回芯を、第1切り欠き部によって区画された、フレキシブル基板の区画領域に対応する部位毎に切り分けるのが良い。これによれば、巻回芯における第1切り欠き部が形成されていない部位の機械的強度と比べて、第1切り欠き部が形成された部位の機械的強度が弱いので、切断工程にて、巻回芯を切断し易くすることができる。
【0011】
請求項4に記載のように、巻回芯の長手方向において、フレキシブル基板には、1つの電子素子を構成する配線パターンが、互いに離間して配置された複数の区画領域が形成され、巻回芯は、止め具によって固定された、複数の巻回部材からなり、巻回工程後、フレキシブル基板を、区画領域毎に切り分ける切断工程と、切断工程後、止め具を外して、各巻回部材毎に分離する分離工程と、を有するのが好ましい。これによれば、請求項2に記載の発明とは異なり、切断工程にて巻回芯を切断しないので、巻回芯を切断することによって生じる切り粉によって、配線パターンに接続不良が生じることを抑制することができる。
【0012】
請求項5に記載のように、フレキシブル基板における区画領域の境界に、第2切り欠き部が形成された構成が良い。これによれば、フレキシブル基板における第2切り欠き部が形成されていない部位の機械的強度と比べて、第2切り欠き部が形成された部位の機械的強度が弱いので、切断工程にて、フレキシブル基板を切断し易くすることができる。また、区画領域毎に形成される配線パターンの区画分けを明瞭とすることができる。
【0013】
電子素子としては、請求項6に記載のように、コイルを採用することができるし、請求項7に記載のように、コイルとコンデンサを採用することもできる。
【0014】
貫通孔が形成された複数のプリント基板が積層されて、該貫通孔に磁界を集めるための鉄芯が挿入されてなる電子部品の場合、鉄芯とコイルを形成する配線パターンとの距離を短縮するために、貫通孔縁部の周囲に配線パターンが形成される。貫通孔縁部の周囲に配線パターンを形成するためには、貫通孔の形成誤差(〜1mm)を考慮しなければならず、形成誤差の分、配線パターンと貫通孔縁部(貫通孔に挿入される鉄芯)とが離間する。また、貫通孔に鉄芯を挿入するためには、貫通孔と鉄芯との間に所定のクリアランス(隙間)を設けなくてはならないので、クリアランスの分、配線パターンと鉄芯とが離間する。鉄芯と配線パターンとが離間すると、コイルとしての性能(発生する磁場の強さ、若しくは電磁誘導によって生じる電流の強さ)が低下する。また、上記した貫通孔の形成誤差と、貫通孔に鉄芯を挿入するためのクリアランスとによって、コイル基板の体格が増大する。
【0015】
これに対し、本発明では、巻回工程にて、配線パターンが形成されたフレキシブル基板を巻回芯に巻回しつつ、熱圧着することでコイルを形成する。これにより、巻回芯と配線パターンとの最短距離を、フレキシブル基板の厚さ(〜50μm)程度とすることができる。したがって、電子素子としてコイルを採用し、且つ巻回芯として集磁する役割を果たす鉄芯を採用した場合、上記した貫通孔が形成された複数のプリント基板が積層されて、該貫通孔に鉄芯が挿入されてなる電子部品の製造方法と比べて、コイルとしての性能が向上され、体格の増大が抑制された電子部品の製造方法となっている。
【0016】
請求項8に記載のように、電子素子としては、コンデンサを採用することもできる。
【0017】
請求項9に記載のように、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、フレキシブル基板の裏面を巻回芯の外面との対向面として、フレキシブル基板を巻回芯にn回巻回するとし、フレキシブル基板を巻回した状態で、フレキシブル基板における、巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、フレキシブル基板における、第k巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、第k巻回領域には、一端が、巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の表面を被覆する部位に形成され、他端が、第k巻回領域における自身の表面の一部を被覆する部位に形成された配線パターンとしての複数の配線片が、巻回芯の長手方向に並列配置され、配線片は、フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、配線片の他端には、配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、巻回工程において、フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、第1ビアを介して、配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とを電気的に接続することで、電子素子としてのコイルを形成することができる。
【0018】
なお、本発明においては、上記したフレキシブル基板における、巻回芯にn回巻回するために要する長さが、フレキシブル基板における、第1〜第n巻回領域分の長さに相当する。
【0019】
請求項10に記載のように、第n巻回領域には、配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、巻回工程後、回路パターンに電子回路を搭載する搭載工程を有すると良い。請求項9に記載の発明によれば、第n巻回領域の表面が外部に露出されるので、本発明で示すように、回路パターンを第n巻回領域に形成することで、該回路パターンに電子回路を搭載することができる。
【0020】
請求項11に記載のように、巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、フレキシブル基板の表面を巻回芯の外面との対向面として、フレキシブル基板を巻回芯にn回巻回するとし、フレキシブル基板を巻回した状態で、フレキシブル基板における、巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、フレキシブル基板における、第k巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、第k巻回領域には、一端が、第k巻回領域における自身の裏面の一部を被覆する部位に形成され、他端が、巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の裏面を被覆する部位に形成された配線パターンとしての複数の配線片が、巻回芯の長手方向に並列配置されており、配線片は、フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、配線片の他端には、配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、巻回工程において、フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、第1ビアを介して、配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とを電気的に接続することで、電子素子としてのコイルを形成することができる。
【0021】
請求項12に記載のように、sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、第k巻回領域〜第k+s巻回領域には、第k巻回領域に形成された配線片と第k+s巻回領域に形成された配線片とを電気的に接続する、配線パターンとしての中継パターンが形成されており、該中継パターンは、その長手方向が、巻回方向に沿って形成されているのが良い。これによれば、第k巻回領域の配線パターンと第k+s領域の配線パターンとを電気的に接続することができる。また、中継パターンの長手方向が、巻回方向に対して略垂直な方向に沿って形成された配線パターンと比べて、配線パターンの長さを短くすることができる。
【0022】
請求項13に記載のように、sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、第k巻回領域〜第k+s巻回領域には、第k巻回領域に形成された配線片と第k+s巻回領域に形成された配線片とを電気的に接続する、配線パターンとしての中継パターンが形成されており、該中継パターンは、フレキシブル基板を巻回した状態で、一端が、第k+s巻回領域の配線片の他端に形成された第1ビアを介して、第k+s巻回領域の配線片と電気的に接続された第1中継パターンと、一端が、第1中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、第1中継パターンと電気的に接続された第2中継パターンと、一端が、第2中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、第2中継パターンと電気的に接続され、他端が、自身に形成された第1ビアを介して、第k巻回領域の配線片の一端と電気的に接続された第3中継パターンと、を有し、第2中継パターンの長手方向は、配線片の長手方向と略平行とされており、巻回工程において、フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、第1ビアを介して、第k+s巻回領域の配線片と第1中継パターン、第1中継パターンと第2中継パターン、第2中継パターンと第3中継パターン、及び第3中継パターンと第k巻回領域の配線片とを電気的に接続するのが良い。
【0023】
これによれば、第k巻回領域の配線パターンと第k+s領域の配線パターンとを電気的に接続することができる。また、第2中継パターンの長手方向は、配線片の長手方向と略平行に形成されているので、第2中継パターンを流れる電流の流動方向を、配線片を流れる電流の流動方向と略平行とすることができる。これにより、中継パターンにおける、配線片を流れる電流の流動方向に対して反対の方向に流れる電流による磁場の発生を抑制し、コイルとしての性能の低下を抑制することができる。
【0024】
請求項14に記載のように、第1ビアにおける断面形状の長手方向が、巻回方向に沿う構成が良い。フレキシブル基板を巻回した場合、第1ビアと配線片との重なり(交差)、若しくは第1ビアと中継パターンとの重なり(交差)が、巻回方向にずれる虞がある。これに対し、本発明では、第1ビアにおける断面形状の長手方向が、巻回方向に沿うように形成されており、第1ビアにおける断面形状の長手方向が、巻回方向に略垂直とされた構成よりも、巻回方向における第1ビアの形成領域が長い構成となっている。これにより、第1ビアと配線片との重なる領域(交差領域)、及び第1ビアと中継パターンとの重なる領域(交差領域)を確保し、第1ビアと配線片との非交差、若しくは第1ビアと中継パターンとの非交差による接続不良の発生を抑制することができる。
【0025】
請求項15に記載のように、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、フレキシブル基板の裏面を巻回芯の外面との対向面として、フレキシブル基板を巻回芯にn+1回巻回するとし、フレキシブル基板を巻回した状態で、フレキシブル基板における、巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、第2k−1巻回領域には、配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、第2k巻回領域には、第1電極とは電気的に独立した、配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、巻回工程において、フレキシブル基板を巻回しつつ熱圧着するとともに、第1電極と第2電極とを、第2k巻回領域のフレキシブル基板を介して対向させて、電子素子としてのコンデンサを形成することができる。
【0026】
請求項16に記載のように、第n巻回領域には、配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、巻回工程後、回路パターンに電子回路を搭載する搭載工程を有すると良い。請求項15に記載の発明によれば、第n巻回領域の表面が外部に露出されるので、本発明で示すように、回路パターンを第n巻回領域に形成することで、該回路パターンに電子回路を搭載することができる。
【0027】
請求項17に記載のように、巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、フレキシブル基板の表面を巻回芯の外面との対向面として、フレキシブル基板を巻回芯にn+1回巻回するとし、フレキシブル基板を巻回した状態で、フレキシブル基板における、巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、第2k−1巻回領域には、配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、第2k巻回領域には、第1電極とは電気的に独立した、配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、巻回工程において、フレキシブル基板を巻回しつつ熱圧着するとともに、第1電極と第2電極とを、第2k−1巻回領域のフレキシブル基板を介して対向させて、電子素子としてのコンデンサを形成することができる。
【0028】
請求項18に記載のように、第2k巻回領域には、第2k−1巻回領域に形成された第1電極と第2k+1巻回領域に形成された第1電極とを電気的に接続する、配線パターンとしての第1配線部が形成され、第2k+1巻回領域には、第2k巻回領域に形成された第2電極と第2k+2領域に形成された第2電極とを電気的に接続する、配線パターンとしての第2配線部が形成され、第2k巻回領域の第1配線部、及び第2k+1巻回領域の第1電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、第2k−1巻回領域の第1電極と、第2k巻回領域の第1配線部と、第2k+1巻回領域の第1電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第2ビアが形成され、第2k+1巻回領域の第2配線部、及び第2k+2領域の第2電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、第2k巻回領域の第2電極と、第2k+1巻回領域の第2配線部と、2k+2領域の第2電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第3ビアが形成されている構成が良い。
【0029】
これによれば、第1電極、第2電極、第1配線部、及び第2配線部を流れる電流が巻回芯の周囲を周回するように流れることを、第2ビアと第3ビアとによって妨げることができる。これにより、周回する電流による磁場の発生を抑制し、発生した磁場のインダクタンス成分による、コンデンサのリアクタンス成分への影響を抑制することができる。これにより、コンデンサとしての性能の低下を抑制することができる。
【0030】
請求項19及び請求項20に記載のように、巻回芯の形状としては、柱状若しくは筒状を採用することができる。
【0031】
請求項21に記載のように、巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、円形状の構成を採用することができる。これによれば、巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が多角形状の巻回芯と比べて、巻回芯にフレキシブル基板を容易に巻回することができる。なお、上記した円形状とは、真円と、楕円とを含む。
【0032】
請求項22に記載のように、巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、多角形状の構成を採用することもできる。これによれば、巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が円形状の巻回芯と比べて、前記フレキシブル基板における、外部に露出される表面に、電子回路などを搭載する平らな面の面積を広くとることができる。
【0033】
なお、請求項23に記載の発明の作用効果は、請求項1に記載の発明の作用効果と同様なので、その記載を省略する。
【0034】
また、請求項24〜40に記載の発明の作用効果は、請求項6〜22いずれか1項に記載の発明の作用効果と同様なので、その記載を省略する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を、電子素子としてコイルに適用した場合の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電子部品の概略構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。図3は、配線パターンの概略構成を示す平面図である。図4は、電子部品の製造工程を説明するための平面図である。図5は、図4のV−V線に沿う断面図である。なお、図4においては、便宜上、後述する配線パターン30を省略している。
【0036】
図1及び図2に示すように、電子部品100は、要部として、フレキシブル基板10と、配線パターン30から構成されるコイル50と、巻回芯70とを有している。
【0037】
フレキシブル基板10は、熱可塑性樹脂によって形成されており、本実施形態では、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)とポリエーテルイミド樹脂(PEI)の混合樹脂によって形成されている。
【0038】
本実施形態に係るフレキシブル基板10は、巻回芯70に3回巻回するだけの長さ、すなわち、後述する第1巻回領域、第2巻回領域、及び第3巻回領域分の長さを有している。図2及び図3に、第1〜第3巻回領域を示し、第1巻回領域と第2巻回領域との第1境界11、及び第2巻回領域と第3巻回領域との第2境界12を、破線で示す。図2に示すように、第1巻回領域は、巻回芯70の外面70aを自身の裏面10bにて直接被覆し、且つ自身の表面10aの一部を自身の裏面10bにて被覆する領域を示し、第2巻回領域は、第1巻回領域の表面10aを自身の裏面10bにて被覆し、且つ自身の表面10aの一部を自身の裏面10bにて被覆する領域を示し、第3巻回領域は、第2巻回領域の表面10aを自身の裏面10bにて被覆し、且つ自身の表面10aの一部を自身の裏面10bにて被覆する領域を示している。第1巻回領域にて、巻回芯70と第1巻回領域に形成された配線パターン30とが絶縁され、第2巻回領域にて、第1巻回領域の配線パターン30と第2巻回領域に形成された配線パターン30とが絶縁され、第3巻回領域にて、第2巻回領域の配線パターン30と第3巻回領域に形成された配線パターン30とが絶縁され、第3巻回領域の表面10aが、外部に露出される構成となっている。なお、本実施形態では、フレキシブル基板10が、巻回芯70に3回巻回するだけの長さ(第1〜第3巻回領域分の長さ)を有する例を示した。しかしながら、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回する長さ(巻回領域の数)は、上記例に限定されない。例えば、nを1以上の自然数とすると、フレキシブル基板10を巻回芯70にn回巻回しても良い。この場合、フレキシブル基板10は、第1〜第n巻回領域分の長さを有し、第n巻回領域の表面10aが外部に露出される構成となる。また、各巻回領域の境界の数は、n−1個となる。
【0039】
本実施形態に係る配線パターン30は、フレキシブル基板10が巻回芯70に巻回された状態で、電子素子としてのコイル50を構成するものである。配線パターン30は、各巻回領域に形成された配線片31と、第1巻回領域の配線片31と第2巻回領域の配線片31、及び第2巻回領域の配線片31と第3巻回領域の配線片31とを電気的に中継する中継パターン32と、外部装置との電気的な接続を担う接続部33と、を有している。このような配線パターン30は、銅箔などの導体箔をフレキシブル基板10の表面10aに印刷し、導体箔をパターンエッチングすることで形成することができる。
【0040】
巻回芯70は、フレキシブル基板10を固定するものである。本実施形態に係る巻回芯70は、磁性材料によって形成されており、図1及び図2に示すように、円柱の形状を有している。巻回芯70は、コイル50によって形成される磁場を集磁する役割を果たす。
【0041】
次に、本実施形態に係る配線パターン30の概略構成を、図3に基づいて説明する。kを1以上3以下の自然数とすると、第k巻回領域には、配線パターン30を構成する複数の配線片31が、巻回芯70の長手方向(図3に示す黒塗り矢印)に並列配置されており、該配線片31は、フレキシブル基板10を巻回した状態で、隣接する1つの配線片31の一端31aと、自身の他端31bとが重なるように、巻回方向(図3に示す白抜き矢印)に対して自身の長手方向が斜めに形成されている。そして、配線片31の一部の他端31bには、フレキシブル基板10を巻回した状態で、配線パターン30を電気的に接続する、ビアホール内に導電部材が充填されてなる第1ビア34が形成されている。該第1ビア34を介すことで、第k巻回領域における1つの配線片31の他端31bと、該配線片31と隣接する1つの配線片31の一端31aとが電気的に接続される。なお、本実施形態に係る第1ビア34は、断面形状が円形に形成されている。
【0042】
第k巻回領域と、該第k巻回領域に隣接する巻回領域には、第k巻回領域の配線片31と隣接する巻回領域の配線片31とを電気的に接続する中継パターン32が、第k巻回領域と隣接する巻回領域との境界(第1境界11、若しくは第2境界12)をまたぐように形成されている。中継パターン32の一端32a及び他端32bは、配線片31の一端31a若しくは他端31bと、直接、若しくは第1ビア34を介して電気的に接続されている。
【0043】
外部に露出される第3巻回領域の表面10aには、外部装置と配線パターン30から構成されるコイル50との電気的な接続を担う接続部33が2つ形成されている。一方の接続部33は、第3巻回領域の配線片31の一端31aと、第1ビア34を介して電気的に接続され、他方の接続部33は、第3巻回領域の配線片31の他端31bと、直接電気的に接続されている。
【0044】
以上、示したように、配線パターン30を構成する配線片31、中継パターン32、及び接続部33は、フレキシブル基板10が巻回芯70に巻回された状態で、直接若しくは第1ビア34を介すことで、電気的に接続され、一方の接続部33から他方の接続部33へ、電流が一方向に流れるようになっている。図3の配線パターン30上に示す矢印が、電流の流れ方向を示している。
【0045】
次に、フレキシブル基板10を巻回芯70に熱圧着するヒートローラ90を図5に示す。ヒートローラ90は、紙面に対して左右方向(巻回方向)に回転可能であり、自身が発熱するローラ91、及び紙面に対して上下方向に伸縮自在であり、ローラ91を支持するバネ92を有する。巻回芯70は、ローラ91の回転方向と巻回芯70の長手方向(紙面に対して垂直な方向)とが略垂直となるように、ヒートローラ90の近傍に配置される。
【0046】
次に、本実施形態に係る電子部品100の製造方法を図4及び図5に基づいて説明する。先ず、ローラ91と巻回芯70との間にフレキシブル基板10を配置し、バネ92にて巻回芯70とローラ91との間にフレキシブル基板10を挟持した状態で、ローラ91を発熱しつつ、巻回芯70の端部に取り付けられたモータ(図示略)を駆動させて、巻回芯70を回転させる。これにより、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回しつつ、フレキシブル基板10の裏面10bと巻回芯70の外面70a、及びフレキシブル基板10の裏面10bと表面10aとを熱圧着する。この際、第1ビア34を介すことで、第k巻回領域における配線片31同士、配線片31と中継パターン32、及び第3巻回領域における配線片31と接続部33を電気的に接続する。これにより、配線パターン30を電気的に接続し、電子素子としてのコイル50を構成し、電子部品100を形成する。以上が、特許請求の範囲に記載の巻回工程に相当する。
【0047】
次に、本実施形態に係る電子部品100の製造方法、及び電子部品100の作用効果を説明する。上記したように、本実施形態では、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回しつつ熱圧着する巻回工程を経ることで、コイル50を備える電子部品100を製造する。したがって、複数のプリント基板を積層する積層工程と、基板同士を固定する固定工程と、を要する電子部品の製造方法、及び電子部品と比べて、製造工程が簡略化された電子部品100の製造方法、及び電子部品100となっている。
【0048】
また、1枚のフレキシブル基板10にコイル50を構成する全ての配線パターン30をパターニングすることができるので、複数のプリント基板に配線パターンをパターニングする電子部品の製造方法、及び電子部品と比べて、配線パターン30の製造工程が簡素化された電子部品100の製造方法、及び電子部品100ともなっている。
【0049】
さらには、1枚のフレキシブル基板10を使用するだけなので、複数のフレキシブル基板10を要する構成と比べて、フレキシブル基板10を構成する母材(図示略)から、フレキシブル基板10をカットするカット工程が簡素化された電子部品100の製造方法、及び電子部品100ともなっている。
【0050】
貫通孔が形成された複数のプリント基板が積層されて、該貫通孔に集磁する役割を果たす鉄芯が挿入されてなる電子部品の場合、鉄芯とコイルを形成する配線パターンとの距離を短縮するために、貫通孔縁部の周囲に配線パターンが形成される。貫通孔縁部の周囲に配線パターンを形成するためには、貫通孔の形成誤差(〜1mm)を考慮しなければならず、形成誤差の分、配線パターンと貫通孔縁部(貫通孔に挿入される鉄芯)とが離間する。また、貫通孔に鉄芯を挿入するためには、貫通孔と鉄芯との間に所定のクリアランス(隙間)を設けなくてはならないので、クリアランスの分、配線パターンと鉄芯とが離間する。鉄芯と配線パターンとが離間すると、コイルとしての性能(発生する磁場の強さ、若しくは電磁誘導によって生じる電流の強さ)が低下する。また、上記した貫通孔の形成誤差と、貫通孔に鉄芯を挿入するためのクリアランスとによって、コイル基板の体格が増大するという問題がある。
【0051】
これに対し、本実施形態では、表面10aにコイル50を構成する配線パターン30が形成されたフレキシブル基板10を巻回芯70に巻回しつつ、熱圧着することでコイル50を備える電子部品100を形成している。これにより、巻回芯70とコイル50を構成する配線パターン30との最短距離を、フレキシブル基板10の厚さ(〜50μm)程度とすることができる。したがって、上記した貫通孔が形成された複数のプリント基板が積層されて、該貫通孔に鉄芯が挿入されてなる電子部品の製造方法、及び電子部品と比べて、コイルとしての性能が向上され、体格の増大が抑制された電子部品100の製造方法、及び電子部品100となっている。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0053】
本実施形態では、1度の製造にて、1つの電子部品100を製造する製造方法を示した。しかしながら、図6に示すように、巻回芯70の長手方向(図6に示す黒塗り矢印)において、フレキシブル基板10における、複数に区画された区画領域毎に、1つのコイル50を形成する配線パターン30を形成し、図7の(a)に示すように、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回して熱圧着した後(巻回工程後)、図7の(b)に示すように、巻回芯70とともに、フレキシブル基板10を、区画領域毎に切断する切断工程を実施することで、1度の製造にて、複数(本実施形態では3つ)の電子部品100を製造することができる。これにより、積層工程と固定工程とを経て1つの電子部品を製造する、電子部品の製造方法と比べて、生産性が向上された電子部品100の製造方法、及び電子部品100となっている。なお、上記例では、フレキシブル基板10が、3つの区画領域を有する例を示した。しかしながら、区画領域の数は、上記例に限定されないことは言うまでもない。例えば、フレキシブル基板10が区画領域を5つ有しても良い。図6は、フレキシブル基板の変形例を示す平面図である。図7は、電子部品の製造工程を説明するための平面図であり、(a)は巻回工程、(b)は切断工程を示している。なお、図7においては、便宜上、配線パターン30を省略している。
【0054】
フレキシブル基板10に複数の区画領域を設ける場合には、図8に示すように、フレキシブル基板10の区画領域の境界(切断工程にて切断される不要部位20)に、スリット21を設けると良い。これにより、切断工程にて、フレキシブル基板10を切断し易くすることができる。また、区画領域を明瞭とする視覚的な効果を得ることもできる。なお、上記例では、区画領域の境界にスリット21が形成された例を示した。しかしながら、フレキシブル基板10における区画領域の境界の機械的強度が、スリット21が形成されていない部位の機械的強度と比べて弱くなる形状であれば良く、区画領域の境界の形状(不要部位20の形状)は、上記例に限定されない。例えば区画領域の境界に溝を設けるようにしても良い。図8は、フレキシブル基板の変形例を示す平面図である。
【0055】
フレキシブル基板10に複数の区画領域を設ける場合には、図9に示すように、巻回芯70における、フレキシブル基板10の区画領域の境界に対応する部位に、切り欠き部71を設けると良い。これにより、切断工程にて、巻回芯70を切断し易くすることができる。図9は、巻回芯70の変形例を示す平面図である。
【0056】
フレキシブル基板10に複数の区画領域を設ける場合には、図10に示すように、巻回芯70を、複数の巻回部材72によって構成すると良い。図11の(b)に示すように、巻回部材72には、巻回部材72を連結し、且つ上記したモータと接続される巻回棒73を通すための貫通孔74が形成されている。巻回棒73は、上記した巻回工程、及びフレキシブル基板10を区画領域毎に切り分ける切断工程後に、巻回部材72から抜かれる。これによれば、切断工程にて巻回芯70を切断しないので、巻回芯70を切断することによって生じる切り粉によって、配線パターン30に接続不良が生じることを抑制することができる。図10は、巻回芯の変形例を示す平面図である。図11は、巻回部材の概略構成を示す図であり、(a)は巻回部材の平面図、(b)は、図11(a)のXIb−XIb線に沿う断面図を示している。
【0057】
図12に、スリット21を有するフレキシブル基板10、巻回部材72が巻回棒73にて連結された巻回芯70を用いた電子部品100の製造方法を示す。先ず、図12の(a)に示すように、フレキシブル基板10を、各区画領域と対応する巻回部材72毎に配置し、巻回芯70にフレキシブル基板10を巻回しつつ熱圧着する。巻回棒73の端部は、上記したモータ(図示略)に固定されており、該モータが回転することで、巻回芯70が回転するようになっている。巻回工程後、図12の(b)に示すように、フレキシブル基板10における各区画領域の境界に相当する部位(不要部位20)を切断することで、各区画領域を独立させる。切断工程後、図12の(c)に示すように、巻回部材72を固定する巻回棒73を巻回部材72の貫通孔74から抜くことで、各巻回部材72を独立させる分離工程を実施する。これにより電子部品100を形成する。図12は、電子部品の製造方法の変形例を説明するための平面図であり、(a)は巻回工程、(b)は切断工程、(c)は分離工程を示している。なお、図12においては、便宜上、配線パターン30を省略している。
【0058】
なお、本実施形態では、図13の(a)に示すように、第1ビア34の断面形状が円形である例を示した。しかしながら、図13の(b)に示すように、第1ビア34の断面形状を、巻回方向に対して長手方向が略平行となる楕円形状とすると良い。フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回した場合、第1ビア34と配線片31との重なり(交差)、若しくは第1ビア34と中継パターン32との重なり(交差)が、巻回方向にずれる虞がある。これに対し、本変形例では、第1ビア34の断面形状を、巻回方向に対して長手方向が略平行となる楕円形状とすることで、本実施形態で示した断面形状が円形の第1ビア34、若しくは断面形状における長手方向が巻回方向に対して略垂直な形状を有する第1ビアよりも、巻回方向における第1ビア34の形成領域を長くすることができる。これにより、第1ビア34と配線片31との重なる領域(交差領域)、及び第1ビア34と中継パターン32との重なる領域(交差領域)を確保し、第1ビア34と配線片31との非交差、若しくは第1ビア34と中継パターン32との非交差による接続不良の発生を抑制することができる。なお、上記した非交差による接続不良の発生は、配線片31若しくは中継パターン32における第1ビア34との交差領域の形状を、上記した第1ビア34と同様にして、巻回方向に対して長手方向が略平行となる楕円形状とすることで、抑制することができる。また、上記変形例では、第1ビア34の断面形状が楕円形状である例を示した。しかしながら、第1ビア34の断面形状は、巻回方向に対して、長手方向が略平行となる形状であれば良く、上記例に限定されない。図13は、第1ビアの概略構成を示す平面図であり、(a)は断面形状が円形の第1ビア、(b)は断面形状が楕円形状の第1ビアを示している。
【0059】
本実施形態では、巻回芯70の形状が、円柱である例を示した。すなわち、巻回芯70の長手方向に対して略垂直な断面の形状が円状である例を示した。しかしながら、図14及び図15に示すように、巻回芯70の断面形状は、上記例に限定されず、例えば、楕円形状、若しくは矩形状であっても良い。しかしながら、巻回工程にて、巻回芯70を回転させるので、巻回芯70の断面形状は円状が好ましい。しかしながら、図15に示すように、巻回芯70の断面形状が、矩形状のものを採用すると、電子回路などを搭載する平らな面の面積を、断面形状が円形の巻回芯70よりも確保することができる。なお、巻回芯70にフレキシブル基板10を巻回するので、図15に示すように、矩形状を形成する角は、丸みを帯びた形状とすると良い。また、巻回芯70の断面形状は矩形に限らず、多角形状であっても良い。図14及び図15は、巻回芯の変形例を示す断面図である。
【0060】
本実施形態では、巻回芯70の形状が円柱である例を示した。しかしながら、図16に示すように、巻回芯70の形状としては、筒状であっても良い。図16は、巻回芯の変形例を示す断面図である。
【0061】
本実施形態では、巻回芯70が磁性材料で形成される例を示した。しかしながら、巻回芯70を、電気絶縁性を有する材料(例えば樹脂)によって形成しても良い。巻回芯70が、電気絶縁性を有する材料によって形成されている場合、フレキシブル基板10における配線パターン30が形成される表面10aにて、巻回芯70の外面70a及び自身の裏面10bを被覆するように、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回しつつ熱圧着することで、コイル50を備える電子部品100を形成することもできる。この場合、第1ビア34は、配線片31の他端31bではなく、一端31aに形成される。また、上記した中継パターン32において、第1ビア34が形成される端部の位置が、反対となる。すなわち、中継パターン32の一端32aに第1ビア34が形成されている場合には、他端32bに第1ビア34が形成され、中継パターン32の他端32bに第1ビア34が形成されている場合には、一端32aに第1ビア34が形成される。
【0062】
本実施形態では、図3に示すように、中継パターン32の一部が、長手方向に対して沿うように形成された例を示した。しかしながら、図17に示すように、中継パターン32を、巻回方向に対して沿うように形成すると良い。これによれば、中継パターン32の長さを短くすることができる。図17は、配線パターンの変形例を示す平面図であり、配線パターン30上に示す矢印は、電流の流れ方向を示している。
【0063】
本実施形態では、図3に示すように、1つの電気的に独立したコイル50を構成する配線パターン30がフレキシブル基板10に形成される例を示した。しかしながら、図18に示すように、2つの電気的に独立したコイル50a,50bを構成する配線パターン30a,30bをフレキシブル基板10に形成しても良い。なお、図18に示す配線パターン30aは、第1巻回領域の配線片31同士を電気的に接続する、巻回芯70の長手方向に略平行とされた中継パターン32を有し、配線パターン30bは、第3巻回領域の配線片31同士を電気的に接続する、巻回芯70の長手方向に略平行とされた中継パターン32を有している。図18は、配線パターンの変形例を示す平面図であり、配線パターン30a,30b上に示す矢印は、電流の流れ方向を示している。なお、図18に示すフレキシブル基板10は、第1〜第4巻回領域分の長さを有しており、図18にて、第3巻回領域と第4巻回領域との第3境界13を、破線で示す。
【0064】
図18に示す変形例では、2つの電気的に独立したコイル50a,50bを構成する配線パターン30a,30bを示した。しかしながら、1つの電気的に独立したコイル50を形成する配線パターン30の数は、上記例に限定されないことは言うまでもない。また、2つの電気的に独立したコイル50a,50bを構成する配線パターン30a,30bは、図18に示す配線パターン30a,30bに限らず、例えば、図19及び図20に示すように、配線パターン30aと配線パターン30bとを、第k巻回領域にて交互に形成するようにしても良い。若しくは、図21及び図22に示すように、配線パターン30aと配線パターン30bとを、各巻回領域にて交互に形成するようにしても良い。図19に示す配線パターン30a,30bは、第1巻回領域の配線片31同士を電気的に接続する、巻回芯70の長手方向に略平行とされた中継パターン32を有し、図20に示す配線パターン30aは、第1巻回領域の配線片31同士を電気的に接続する、巻回芯70の長手方向に略平行とされた中継パターン32を有している。また、図21及び図22に示す配線パターン30bは、第2巻回領域の配線片31同士を電気的に接続する、一部が、巻回芯70の長手方向に略平行とされた中継パターン32を有している。図19〜図22は、配線パターンの変形例を示す平面図であり、配線パターン30上に示す矢印は、電流の流れ方向を示している。なお、図21及び図22に示すフレキシブル基板10は、第1〜第5巻回領域分の長さを有しており、図21及び図22にて、第4巻回領域と第5巻回領域との第4境界14を、破線で示す。
【0065】
図3、及び図17〜図21に示すように、sを1以上の自然数とすると、第k巻回領域の配線片31と第k+s巻回領域の配線片31とは、1つの中継パターン32を介して電気的に接続された構成となっている。しかしながら、図22に示すように、複数の中継パターン32(一点鎖線で囲まれた中継パターン32)にて、第3巻回領域の配線片31と第1巻回領域の配線片31とが電気的に接続された構成とすると良い。これにより、中継パターン32を流れる電流の一部の方向を、第2巻回領域の配線片31を流れる電流の方向と略平行とすることができる。図23に、図22の一点鎖線で囲まれた中継パターン32のみを示す。図23の一点鎖線で囲まれた中継パターン32は、一端35aが、第3巻回領域の配線片31の他端31bに形成された第1ビア34を介して、第3巻回領域の配線片31と電気的に接続された第1中継パターン35と、一端36aが、第1中継パターン35の他端35bに形成された第1ビア34を介して、第1中継パターン35と電気的に接続された第2中継パターン36と、一端37aが、第2中継パターン36の他端36bに形成された第1ビア34を介して、第2中継パターン36と電気的に接続され、他端37bが、自身に形成された第1ビア34を介して、第1巻回領域の配線片31の一端31aと電気的に接続された第3中継パターン37と、を有している。このような構成をとると、図22及び図23の矢印で示すように、第3巻回領域の配線片31から流入してきた電流の流れ方向を、第1中継パターン35にて反転することで、第2中継パターン36を流れる電流の流れ方向を、第2巻回領域の配線片31を流れる電流の流れ方向と略平行とすることができる。これにより、中継パターン32における、配線片31を流れる電流の流れ方向に対して反対の方向に流れる電流による磁場の発生を抑制し、コイル50としての性能の低下を抑制することができる。なお、第2中継パターン36は、図22に示すように、第2巻回領域の配線片31の長手方向と略平行となるように形成すると良い。これにより、コイル50の主要部分を形成する配線片31を流れる電流の流れ方向と、第2中継パターン36を流れる電流の流れ方向とを略一致させることができる。図23は、中継パターンの変形例を説明するための平面図である。なお、上記変形例では、図23において一点鎖線で囲まれた中継パターン32のみを説明した。しかしながら、図23に示すように、第3〜第5巻回領域にも第1〜第3中継パターン35〜37が形成されている。この第1〜第3中継パターン35〜37についても同様に、第1中継パターン35によって、第5巻回領域の配線片31から流入してきた電流の流れ方向を反転することで、第2中継パターン36を流れる電流の流れ方向を、第4巻回領域の配線片31を流れる電流の流れ方向と略平行とすることができる。
【0066】
本実施形態では、配線パターン30が、コイル50を構成する例を示した。しかしながら、図24及び図25に示すように、外部に露出される第3巻回領域の表面10aに、電子回路51を搭載する回路パターン38を形成し、該回路パターン38に電子回路51を搭載して電子部品100を構成しても良い。図25に示すように、巻回芯70の断面形状が、矩形状のものを採用すると、電子回路51を搭載する平らな面の面積を、断面形状が円形の巻回芯70よりも確保することができるので、好適である。なお、巻回芯70にフレキシブル基板10を巻回するので、図25に示すように、矩形状を形成する角は、丸みを帯びた形状とすると良い。図24は、配線パターンの変形例を示す平面図である。図25は、電子部品の変形例を示す断面図である。
【0067】
本実施形態では、配線パターン30が、コイル50を構成する例を示した。しかしながら、図26及び図27に示すように、配線パターン30が電子素子としてのコンデンサ52を構成するように、配線パターン30をフレキシブル基板10に形成しても良い。図28に、コンデンサ52を構成する配線パターン30の平面図を示す。配線パターン30は、電気的に独立した2つの配線パターン30c,30dを有しており、配線パターン30cと配線パターン30dの一部が、互いに対向することで、コンデンサ52を構成するようになっている。配線パターン30cは、第1接続部33aと、第1巻回領域、第3巻回領域、及び第5巻回領域に形成された、コンデンサ52を構成する平板状の第1電極39と、第2巻回領域、及び第4巻回領域に形成された、第1電極39間を電気的に接続する第1配線部40と、を有している。配線パターン30dは、第2接続部33bと、第2巻回領域、及び第4巻回領域に形成された、コンデンサ52を構成する平板状の第2電極41と、第3巻回領域、及び第5巻回領域に形成された、第2電極41間、及び第4巻回領域の第2電極41と第2接続部33b間を電気的に接続する第2配線部42と、を有している。このような配線パターン30c,30dは、第1実施形態と同様に、銅箔などの導体箔をフレキシブル基板10の表面10aに印刷し、導体箔をパターンエッチングすることで形成することができる。sを2以上5以下の自然数とすると、図27に示すように、フレキシブル基板10における第s巻回領域を介して、第1電極39と第2電極41とが対向して、コンデンサ52を構成している。図26は、電子部品の変形例を示す平面図である。図27は、図26におけるXXVII−XXVII線に沿う断面図である。図28は、配線パターンの変形例を示す平面図である。
【0068】
なお、図26〜図28で示したように、配線パターン30c,30dによって、コンデンサ52が構成される場合、図29に示すように、第2〜第5巻回領域の配線パターン30cに、第1電極39と第1配線部40とを電気的に接続する、ビアホール内に導電部材が充填されてなる第2ビア43が形成され、第3〜第5巻回領域の配線パターン30dに、第2電極41と第2配線部42とを電気的に接続する、ビアホール内に導電部材が充填されてなる第3ビア44が形成された構成とすると良い。これによれば、第1電極39と第2電極41、及び第1配線部40と第2配線部42を流れる電流が巻回芯70の周囲を周回するように流れることを、第2ビア43と第3ビア44とによって妨げることができる。これにより、周回する電流による磁場の発生を抑制し、発生した磁場のインダクタンス成分による、コンデンサ52のリアクタンス成分への影響を抑制することができる。これにより、コンデンサとしての性能の低下を抑制することができる。図29は、第2ビア及び第3ビアを説明するためのフレキシブル基板の平面図である。
【0069】
また、巻回芯70が、電気絶縁性を有する材料によって形成されている場合、フレキシブル基板10における配線パターン30が形成される表面10aにて、巻回芯70の外面70a及び自身の裏面10bを被覆するように、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回しつつ熱圧着することで、コンデンサ52を備える電子部品100を形成することもできる。この場合、上記した第2ビア43は、第1〜第4巻回領域の配線パターン30cに形成され、第3ビア44は、第2〜第4巻回領域の配線パターン30dに形成される。
【0070】
本実施形態では、配線パターン30が、コイル50を構成する例を示した。しかしながら、図30に示すように、配線パターン30が電子素子としてのコイル50とコンデンサ52を構成するように、配線パターン30をフレキシブル基板10に形成しても良い。図30は、配線パターンの変形例を示す平面図であり、配線パターン30上に示す矢印は、電流の流れ方向を示している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態に係る電子部品の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】配線パターンの概略構成を示す平面図である。
【図4】電子部品の製造工程を説明するための平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】フレキシブル基板の変形例を示す平面図である。
【図7】電子部品の製造工程を説明するための平面図であり、(a)は巻回工程、(b)は切断工程を示している。
【図8】フレキシブル基板の変形例を示す平面図である。
【図9】巻回芯の変形例を示す平面図である。
【図10】巻回芯の変形例を示す平面図である。
【図11】巻回部材の概略構成を示す図であり、(a)は巻回部材の平面図、(b)は、図11(a)のXIb−XIb線に沿う断面図を示している。
【図12】電子部品の製造方法の変形例を説明するための平面図であり、(a)は巻回工程、(b)は切断工程、(c)は分離工程を示している。
【図13】第1ビアの概略構成を示す平面図であり、(a)は断面形状が円形の第1ビア、(b)は断面形状が楕円形状の第1ビアを示している。
【図14】巻回芯の変形例を示す断面図である。
【図15】巻回芯の変形例を示す断面図である。
【図16】巻回芯の変形例を示す断面図である。
【図17】配線パターンの変形例を示す断面図である。
【図18】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図19】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図20】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図21】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図22】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図23】中継パターンの変形例を説明するための平面図である。
【図24】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図25】電子部品の変形例を示す断面図である。
【図26】電子部品の変形例を示す平面図である。
【図27】図26におけるXXVII−XXVII線に沿う断面図である。
【図28】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図29】第2ビア及び第3ビアを説明するためのフレキシブル基板の平面図である。
【図30】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0072】
10・・・フレキシブル基板
30・・・配線パターン
31・・・配線片
32・・・中継パターン
33・・・接続部
34・・・第1ビア
39・・・第1電極
41・・・第2電極
50・・・コイル
52・・・コンデンサ
70・・・巻回芯
100・・・電子部品
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルなどの電子素子を有する電子部品の製造方法、及び電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、コイルパターン(配線パターン)が表面及び裏面の少なくとも一方に形成されたプリント基板が複数積層されてなるコイル部を備えた薄型トランス(電子部品)が提案されている。
【特許文献1】特開平11−329848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に示される電子部品を形成するためには、複数のプリント基板を積層する積層工程と、基板同士を固定する固定工程と、を要するため、製造に時間がかかるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、製造工程が簡略化された電子部品の製造方法、及び電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂からなり、表面に配線パターンが形成されたフレキシブル基板を、巻回芯に巻回しつつ熱圧着することで、巻回芯に前記配線パターンを巻回して電子素子とする巻回工程を有することを特徴する。
【0006】
このように本発明によれば、フレキシブル基板を巻回芯に巻回しつつ熱圧着する巻回工程を経ることで、電子部品を製造することができる。したがって、複数のプリント基板を積層する積層工程と、基板同士を固定する固定工程と、を要する電子部品の製造方法と比べて、製造工程が簡略化された電子部品の製造方法となっている。
【0007】
また、1枚のフレキシブル基板に電子素子を構成する全ての配線パターンをパターニングすることができるので、複数のプリント基板に配線パターンをパターニングする製造方法と比べて、製造工程が簡素化された電子部品の製造方法ともなっている。
【0008】
さらには、1枚のフレキシブル基板を使用するだけなので、複数のフレキシブル基板を要する構成と比べて、フレキシブル基板を構成する母材から、フレキシブル基板をカットするカット工程が簡素化された電子部品の製造方法ともなっている。
【0009】
請求項2に記載のように、巻回芯の長手方向において、フレキシブル基板には、1つの電子素子を構成する配線パターンが、互いに離間して配置された複数の区画領域が形成されており、巻回工程後、巻回芯とともに、フレキシブル基板を、区画領域毎に切り分ける切断工程を有するのが好ましい。これによれば、一度の製造にて、複数の電子部品を得ることができる。したがって、積層工程と固定工程とを経て1つの電子部品を製造する、電子部品の製造方法と比べて、生産性が向上された電子部品の製造方法となっている。
【0010】
請求項3に記載のように、巻回芯における、フレキシブル基板の区画領域の境界に対応する部位に、第1切り欠き部が形成されており、切断工程において、フレキシブル基板とともに、巻回芯を、第1切り欠き部によって区画された、フレキシブル基板の区画領域に対応する部位毎に切り分けるのが良い。これによれば、巻回芯における第1切り欠き部が形成されていない部位の機械的強度と比べて、第1切り欠き部が形成された部位の機械的強度が弱いので、切断工程にて、巻回芯を切断し易くすることができる。
【0011】
請求項4に記載のように、巻回芯の長手方向において、フレキシブル基板には、1つの電子素子を構成する配線パターンが、互いに離間して配置された複数の区画領域が形成され、巻回芯は、止め具によって固定された、複数の巻回部材からなり、巻回工程後、フレキシブル基板を、区画領域毎に切り分ける切断工程と、切断工程後、止め具を外して、各巻回部材毎に分離する分離工程と、を有するのが好ましい。これによれば、請求項2に記載の発明とは異なり、切断工程にて巻回芯を切断しないので、巻回芯を切断することによって生じる切り粉によって、配線パターンに接続不良が生じることを抑制することができる。
【0012】
請求項5に記載のように、フレキシブル基板における区画領域の境界に、第2切り欠き部が形成された構成が良い。これによれば、フレキシブル基板における第2切り欠き部が形成されていない部位の機械的強度と比べて、第2切り欠き部が形成された部位の機械的強度が弱いので、切断工程にて、フレキシブル基板を切断し易くすることができる。また、区画領域毎に形成される配線パターンの区画分けを明瞭とすることができる。
【0013】
電子素子としては、請求項6に記載のように、コイルを採用することができるし、請求項7に記載のように、コイルとコンデンサを採用することもできる。
【0014】
貫通孔が形成された複数のプリント基板が積層されて、該貫通孔に磁界を集めるための鉄芯が挿入されてなる電子部品の場合、鉄芯とコイルを形成する配線パターンとの距離を短縮するために、貫通孔縁部の周囲に配線パターンが形成される。貫通孔縁部の周囲に配線パターンを形成するためには、貫通孔の形成誤差(〜1mm)を考慮しなければならず、形成誤差の分、配線パターンと貫通孔縁部(貫通孔に挿入される鉄芯)とが離間する。また、貫通孔に鉄芯を挿入するためには、貫通孔と鉄芯との間に所定のクリアランス(隙間)を設けなくてはならないので、クリアランスの分、配線パターンと鉄芯とが離間する。鉄芯と配線パターンとが離間すると、コイルとしての性能(発生する磁場の強さ、若しくは電磁誘導によって生じる電流の強さ)が低下する。また、上記した貫通孔の形成誤差と、貫通孔に鉄芯を挿入するためのクリアランスとによって、コイル基板の体格が増大する。
【0015】
これに対し、本発明では、巻回工程にて、配線パターンが形成されたフレキシブル基板を巻回芯に巻回しつつ、熱圧着することでコイルを形成する。これにより、巻回芯と配線パターンとの最短距離を、フレキシブル基板の厚さ(〜50μm)程度とすることができる。したがって、電子素子としてコイルを採用し、且つ巻回芯として集磁する役割を果たす鉄芯を採用した場合、上記した貫通孔が形成された複数のプリント基板が積層されて、該貫通孔に鉄芯が挿入されてなる電子部品の製造方法と比べて、コイルとしての性能が向上され、体格の増大が抑制された電子部品の製造方法となっている。
【0016】
請求項8に記載のように、電子素子としては、コンデンサを採用することもできる。
【0017】
請求項9に記載のように、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、フレキシブル基板の裏面を巻回芯の外面との対向面として、フレキシブル基板を巻回芯にn回巻回するとし、フレキシブル基板を巻回した状態で、フレキシブル基板における、巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、フレキシブル基板における、第k巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、第k巻回領域には、一端が、巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の表面を被覆する部位に形成され、他端が、第k巻回領域における自身の表面の一部を被覆する部位に形成された配線パターンとしての複数の配線片が、巻回芯の長手方向に並列配置され、配線片は、フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、配線片の他端には、配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、巻回工程において、フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、第1ビアを介して、配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とを電気的に接続することで、電子素子としてのコイルを形成することができる。
【0018】
なお、本発明においては、上記したフレキシブル基板における、巻回芯にn回巻回するために要する長さが、フレキシブル基板における、第1〜第n巻回領域分の長さに相当する。
【0019】
請求項10に記載のように、第n巻回領域には、配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、巻回工程後、回路パターンに電子回路を搭載する搭載工程を有すると良い。請求項9に記載の発明によれば、第n巻回領域の表面が外部に露出されるので、本発明で示すように、回路パターンを第n巻回領域に形成することで、該回路パターンに電子回路を搭載することができる。
【0020】
請求項11に記載のように、巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、フレキシブル基板の表面を巻回芯の外面との対向面として、フレキシブル基板を巻回芯にn回巻回するとし、フレキシブル基板を巻回した状態で、フレキシブル基板における、巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、フレキシブル基板における、第k巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、第k巻回領域には、一端が、第k巻回領域における自身の裏面の一部を被覆する部位に形成され、他端が、巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の裏面を被覆する部位に形成された配線パターンとしての複数の配線片が、巻回芯の長手方向に並列配置されており、配線片は、フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、配線片の他端には、配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、巻回工程において、フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、第1ビアを介して、配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とを電気的に接続することで、電子素子としてのコイルを形成することができる。
【0021】
請求項12に記載のように、sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、第k巻回領域〜第k+s巻回領域には、第k巻回領域に形成された配線片と第k+s巻回領域に形成された配線片とを電気的に接続する、配線パターンとしての中継パターンが形成されており、該中継パターンは、その長手方向が、巻回方向に沿って形成されているのが良い。これによれば、第k巻回領域の配線パターンと第k+s領域の配線パターンとを電気的に接続することができる。また、中継パターンの長手方向が、巻回方向に対して略垂直な方向に沿って形成された配線パターンと比べて、配線パターンの長さを短くすることができる。
【0022】
請求項13に記載のように、sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、第k巻回領域〜第k+s巻回領域には、第k巻回領域に形成された配線片と第k+s巻回領域に形成された配線片とを電気的に接続する、配線パターンとしての中継パターンが形成されており、該中継パターンは、フレキシブル基板を巻回した状態で、一端が、第k+s巻回領域の配線片の他端に形成された第1ビアを介して、第k+s巻回領域の配線片と電気的に接続された第1中継パターンと、一端が、第1中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、第1中継パターンと電気的に接続された第2中継パターンと、一端が、第2中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、第2中継パターンと電気的に接続され、他端が、自身に形成された第1ビアを介して、第k巻回領域の配線片の一端と電気的に接続された第3中継パターンと、を有し、第2中継パターンの長手方向は、配線片の長手方向と略平行とされており、巻回工程において、フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、第1ビアを介して、第k+s巻回領域の配線片と第1中継パターン、第1中継パターンと第2中継パターン、第2中継パターンと第3中継パターン、及び第3中継パターンと第k巻回領域の配線片とを電気的に接続するのが良い。
【0023】
これによれば、第k巻回領域の配線パターンと第k+s領域の配線パターンとを電気的に接続することができる。また、第2中継パターンの長手方向は、配線片の長手方向と略平行に形成されているので、第2中継パターンを流れる電流の流動方向を、配線片を流れる電流の流動方向と略平行とすることができる。これにより、中継パターンにおける、配線片を流れる電流の流動方向に対して反対の方向に流れる電流による磁場の発生を抑制し、コイルとしての性能の低下を抑制することができる。
【0024】
請求項14に記載のように、第1ビアにおける断面形状の長手方向が、巻回方向に沿う構成が良い。フレキシブル基板を巻回した場合、第1ビアと配線片との重なり(交差)、若しくは第1ビアと中継パターンとの重なり(交差)が、巻回方向にずれる虞がある。これに対し、本発明では、第1ビアにおける断面形状の長手方向が、巻回方向に沿うように形成されており、第1ビアにおける断面形状の長手方向が、巻回方向に略垂直とされた構成よりも、巻回方向における第1ビアの形成領域が長い構成となっている。これにより、第1ビアと配線片との重なる領域(交差領域)、及び第1ビアと中継パターンとの重なる領域(交差領域)を確保し、第1ビアと配線片との非交差、若しくは第1ビアと中継パターンとの非交差による接続不良の発生を抑制することができる。
【0025】
請求項15に記載のように、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、フレキシブル基板の裏面を巻回芯の外面との対向面として、フレキシブル基板を巻回芯にn+1回巻回するとし、フレキシブル基板を巻回した状態で、フレキシブル基板における、巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、第2k−1巻回領域には、配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、第2k巻回領域には、第1電極とは電気的に独立した、配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、巻回工程において、フレキシブル基板を巻回しつつ熱圧着するとともに、第1電極と第2電極とを、第2k巻回領域のフレキシブル基板を介して対向させて、電子素子としてのコンデンサを形成することができる。
【0026】
請求項16に記載のように、第n巻回領域には、配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、巻回工程後、回路パターンに電子回路を搭載する搭載工程を有すると良い。請求項15に記載の発明によれば、第n巻回領域の表面が外部に露出されるので、本発明で示すように、回路パターンを第n巻回領域に形成することで、該回路パターンに電子回路を搭載することができる。
【0027】
請求項17に記載のように、巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、フレキシブル基板の表面を巻回芯の外面との対向面として、フレキシブル基板を巻回芯にn+1回巻回するとし、フレキシブル基板を巻回した状態で、フレキシブル基板における、巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、第2k−1巻回領域には、配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、第2k巻回領域には、第1電極とは電気的に独立した、配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、巻回工程において、フレキシブル基板を巻回しつつ熱圧着するとともに、第1電極と第2電極とを、第2k−1巻回領域のフレキシブル基板を介して対向させて、電子素子としてのコンデンサを形成することができる。
【0028】
請求項18に記載のように、第2k巻回領域には、第2k−1巻回領域に形成された第1電極と第2k+1巻回領域に形成された第1電極とを電気的に接続する、配線パターンとしての第1配線部が形成され、第2k+1巻回領域には、第2k巻回領域に形成された第2電極と第2k+2領域に形成された第2電極とを電気的に接続する、配線パターンとしての第2配線部が形成され、第2k巻回領域の第1配線部、及び第2k+1巻回領域の第1電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、第2k−1巻回領域の第1電極と、第2k巻回領域の第1配線部と、第2k+1巻回領域の第1電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第2ビアが形成され、第2k+1巻回領域の第2配線部、及び第2k+2領域の第2電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、第2k巻回領域の第2電極と、第2k+1巻回領域の第2配線部と、2k+2領域の第2電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第3ビアが形成されている構成が良い。
【0029】
これによれば、第1電極、第2電極、第1配線部、及び第2配線部を流れる電流が巻回芯の周囲を周回するように流れることを、第2ビアと第3ビアとによって妨げることができる。これにより、周回する電流による磁場の発生を抑制し、発生した磁場のインダクタンス成分による、コンデンサのリアクタンス成分への影響を抑制することができる。これにより、コンデンサとしての性能の低下を抑制することができる。
【0030】
請求項19及び請求項20に記載のように、巻回芯の形状としては、柱状若しくは筒状を採用することができる。
【0031】
請求項21に記載のように、巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、円形状の構成を採用することができる。これによれば、巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が多角形状の巻回芯と比べて、巻回芯にフレキシブル基板を容易に巻回することができる。なお、上記した円形状とは、真円と、楕円とを含む。
【0032】
請求項22に記載のように、巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、多角形状の構成を採用することもできる。これによれば、巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が円形状の巻回芯と比べて、前記フレキシブル基板における、外部に露出される表面に、電子回路などを搭載する平らな面の面積を広くとることができる。
【0033】
なお、請求項23に記載の発明の作用効果は、請求項1に記載の発明の作用効果と同様なので、その記載を省略する。
【0034】
また、請求項24〜40に記載の発明の作用効果は、請求項6〜22いずれか1項に記載の発明の作用効果と同様なので、その記載を省略する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を、電子素子としてコイルに適用した場合の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電子部品の概略構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。図3は、配線パターンの概略構成を示す平面図である。図4は、電子部品の製造工程を説明するための平面図である。図5は、図4のV−V線に沿う断面図である。なお、図4においては、便宜上、後述する配線パターン30を省略している。
【0036】
図1及び図2に示すように、電子部品100は、要部として、フレキシブル基板10と、配線パターン30から構成されるコイル50と、巻回芯70とを有している。
【0037】
フレキシブル基板10は、熱可塑性樹脂によって形成されており、本実施形態では、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)とポリエーテルイミド樹脂(PEI)の混合樹脂によって形成されている。
【0038】
本実施形態に係るフレキシブル基板10は、巻回芯70に3回巻回するだけの長さ、すなわち、後述する第1巻回領域、第2巻回領域、及び第3巻回領域分の長さを有している。図2及び図3に、第1〜第3巻回領域を示し、第1巻回領域と第2巻回領域との第1境界11、及び第2巻回領域と第3巻回領域との第2境界12を、破線で示す。図2に示すように、第1巻回領域は、巻回芯70の外面70aを自身の裏面10bにて直接被覆し、且つ自身の表面10aの一部を自身の裏面10bにて被覆する領域を示し、第2巻回領域は、第1巻回領域の表面10aを自身の裏面10bにて被覆し、且つ自身の表面10aの一部を自身の裏面10bにて被覆する領域を示し、第3巻回領域は、第2巻回領域の表面10aを自身の裏面10bにて被覆し、且つ自身の表面10aの一部を自身の裏面10bにて被覆する領域を示している。第1巻回領域にて、巻回芯70と第1巻回領域に形成された配線パターン30とが絶縁され、第2巻回領域にて、第1巻回領域の配線パターン30と第2巻回領域に形成された配線パターン30とが絶縁され、第3巻回領域にて、第2巻回領域の配線パターン30と第3巻回領域に形成された配線パターン30とが絶縁され、第3巻回領域の表面10aが、外部に露出される構成となっている。なお、本実施形態では、フレキシブル基板10が、巻回芯70に3回巻回するだけの長さ(第1〜第3巻回領域分の長さ)を有する例を示した。しかしながら、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回する長さ(巻回領域の数)は、上記例に限定されない。例えば、nを1以上の自然数とすると、フレキシブル基板10を巻回芯70にn回巻回しても良い。この場合、フレキシブル基板10は、第1〜第n巻回領域分の長さを有し、第n巻回領域の表面10aが外部に露出される構成となる。また、各巻回領域の境界の数は、n−1個となる。
【0039】
本実施形態に係る配線パターン30は、フレキシブル基板10が巻回芯70に巻回された状態で、電子素子としてのコイル50を構成するものである。配線パターン30は、各巻回領域に形成された配線片31と、第1巻回領域の配線片31と第2巻回領域の配線片31、及び第2巻回領域の配線片31と第3巻回領域の配線片31とを電気的に中継する中継パターン32と、外部装置との電気的な接続を担う接続部33と、を有している。このような配線パターン30は、銅箔などの導体箔をフレキシブル基板10の表面10aに印刷し、導体箔をパターンエッチングすることで形成することができる。
【0040】
巻回芯70は、フレキシブル基板10を固定するものである。本実施形態に係る巻回芯70は、磁性材料によって形成されており、図1及び図2に示すように、円柱の形状を有している。巻回芯70は、コイル50によって形成される磁場を集磁する役割を果たす。
【0041】
次に、本実施形態に係る配線パターン30の概略構成を、図3に基づいて説明する。kを1以上3以下の自然数とすると、第k巻回領域には、配線パターン30を構成する複数の配線片31が、巻回芯70の長手方向(図3に示す黒塗り矢印)に並列配置されており、該配線片31は、フレキシブル基板10を巻回した状態で、隣接する1つの配線片31の一端31aと、自身の他端31bとが重なるように、巻回方向(図3に示す白抜き矢印)に対して自身の長手方向が斜めに形成されている。そして、配線片31の一部の他端31bには、フレキシブル基板10を巻回した状態で、配線パターン30を電気的に接続する、ビアホール内に導電部材が充填されてなる第1ビア34が形成されている。該第1ビア34を介すことで、第k巻回領域における1つの配線片31の他端31bと、該配線片31と隣接する1つの配線片31の一端31aとが電気的に接続される。なお、本実施形態に係る第1ビア34は、断面形状が円形に形成されている。
【0042】
第k巻回領域と、該第k巻回領域に隣接する巻回領域には、第k巻回領域の配線片31と隣接する巻回領域の配線片31とを電気的に接続する中継パターン32が、第k巻回領域と隣接する巻回領域との境界(第1境界11、若しくは第2境界12)をまたぐように形成されている。中継パターン32の一端32a及び他端32bは、配線片31の一端31a若しくは他端31bと、直接、若しくは第1ビア34を介して電気的に接続されている。
【0043】
外部に露出される第3巻回領域の表面10aには、外部装置と配線パターン30から構成されるコイル50との電気的な接続を担う接続部33が2つ形成されている。一方の接続部33は、第3巻回領域の配線片31の一端31aと、第1ビア34を介して電気的に接続され、他方の接続部33は、第3巻回領域の配線片31の他端31bと、直接電気的に接続されている。
【0044】
以上、示したように、配線パターン30を構成する配線片31、中継パターン32、及び接続部33は、フレキシブル基板10が巻回芯70に巻回された状態で、直接若しくは第1ビア34を介すことで、電気的に接続され、一方の接続部33から他方の接続部33へ、電流が一方向に流れるようになっている。図3の配線パターン30上に示す矢印が、電流の流れ方向を示している。
【0045】
次に、フレキシブル基板10を巻回芯70に熱圧着するヒートローラ90を図5に示す。ヒートローラ90は、紙面に対して左右方向(巻回方向)に回転可能であり、自身が発熱するローラ91、及び紙面に対して上下方向に伸縮自在であり、ローラ91を支持するバネ92を有する。巻回芯70は、ローラ91の回転方向と巻回芯70の長手方向(紙面に対して垂直な方向)とが略垂直となるように、ヒートローラ90の近傍に配置される。
【0046】
次に、本実施形態に係る電子部品100の製造方法を図4及び図5に基づいて説明する。先ず、ローラ91と巻回芯70との間にフレキシブル基板10を配置し、バネ92にて巻回芯70とローラ91との間にフレキシブル基板10を挟持した状態で、ローラ91を発熱しつつ、巻回芯70の端部に取り付けられたモータ(図示略)を駆動させて、巻回芯70を回転させる。これにより、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回しつつ、フレキシブル基板10の裏面10bと巻回芯70の外面70a、及びフレキシブル基板10の裏面10bと表面10aとを熱圧着する。この際、第1ビア34を介すことで、第k巻回領域における配線片31同士、配線片31と中継パターン32、及び第3巻回領域における配線片31と接続部33を電気的に接続する。これにより、配線パターン30を電気的に接続し、電子素子としてのコイル50を構成し、電子部品100を形成する。以上が、特許請求の範囲に記載の巻回工程に相当する。
【0047】
次に、本実施形態に係る電子部品100の製造方法、及び電子部品100の作用効果を説明する。上記したように、本実施形態では、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回しつつ熱圧着する巻回工程を経ることで、コイル50を備える電子部品100を製造する。したがって、複数のプリント基板を積層する積層工程と、基板同士を固定する固定工程と、を要する電子部品の製造方法、及び電子部品と比べて、製造工程が簡略化された電子部品100の製造方法、及び電子部品100となっている。
【0048】
また、1枚のフレキシブル基板10にコイル50を構成する全ての配線パターン30をパターニングすることができるので、複数のプリント基板に配線パターンをパターニングする電子部品の製造方法、及び電子部品と比べて、配線パターン30の製造工程が簡素化された電子部品100の製造方法、及び電子部品100ともなっている。
【0049】
さらには、1枚のフレキシブル基板10を使用するだけなので、複数のフレキシブル基板10を要する構成と比べて、フレキシブル基板10を構成する母材(図示略)から、フレキシブル基板10をカットするカット工程が簡素化された電子部品100の製造方法、及び電子部品100ともなっている。
【0050】
貫通孔が形成された複数のプリント基板が積層されて、該貫通孔に集磁する役割を果たす鉄芯が挿入されてなる電子部品の場合、鉄芯とコイルを形成する配線パターンとの距離を短縮するために、貫通孔縁部の周囲に配線パターンが形成される。貫通孔縁部の周囲に配線パターンを形成するためには、貫通孔の形成誤差(〜1mm)を考慮しなければならず、形成誤差の分、配線パターンと貫通孔縁部(貫通孔に挿入される鉄芯)とが離間する。また、貫通孔に鉄芯を挿入するためには、貫通孔と鉄芯との間に所定のクリアランス(隙間)を設けなくてはならないので、クリアランスの分、配線パターンと鉄芯とが離間する。鉄芯と配線パターンとが離間すると、コイルとしての性能(発生する磁場の強さ、若しくは電磁誘導によって生じる電流の強さ)が低下する。また、上記した貫通孔の形成誤差と、貫通孔に鉄芯を挿入するためのクリアランスとによって、コイル基板の体格が増大するという問題がある。
【0051】
これに対し、本実施形態では、表面10aにコイル50を構成する配線パターン30が形成されたフレキシブル基板10を巻回芯70に巻回しつつ、熱圧着することでコイル50を備える電子部品100を形成している。これにより、巻回芯70とコイル50を構成する配線パターン30との最短距離を、フレキシブル基板10の厚さ(〜50μm)程度とすることができる。したがって、上記した貫通孔が形成された複数のプリント基板が積層されて、該貫通孔に鉄芯が挿入されてなる電子部品の製造方法、及び電子部品と比べて、コイルとしての性能が向上され、体格の増大が抑制された電子部品100の製造方法、及び電子部品100となっている。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0053】
本実施形態では、1度の製造にて、1つの電子部品100を製造する製造方法を示した。しかしながら、図6に示すように、巻回芯70の長手方向(図6に示す黒塗り矢印)において、フレキシブル基板10における、複数に区画された区画領域毎に、1つのコイル50を形成する配線パターン30を形成し、図7の(a)に示すように、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回して熱圧着した後(巻回工程後)、図7の(b)に示すように、巻回芯70とともに、フレキシブル基板10を、区画領域毎に切断する切断工程を実施することで、1度の製造にて、複数(本実施形態では3つ)の電子部品100を製造することができる。これにより、積層工程と固定工程とを経て1つの電子部品を製造する、電子部品の製造方法と比べて、生産性が向上された電子部品100の製造方法、及び電子部品100となっている。なお、上記例では、フレキシブル基板10が、3つの区画領域を有する例を示した。しかしながら、区画領域の数は、上記例に限定されないことは言うまでもない。例えば、フレキシブル基板10が区画領域を5つ有しても良い。図6は、フレキシブル基板の変形例を示す平面図である。図7は、電子部品の製造工程を説明するための平面図であり、(a)は巻回工程、(b)は切断工程を示している。なお、図7においては、便宜上、配線パターン30を省略している。
【0054】
フレキシブル基板10に複数の区画領域を設ける場合には、図8に示すように、フレキシブル基板10の区画領域の境界(切断工程にて切断される不要部位20)に、スリット21を設けると良い。これにより、切断工程にて、フレキシブル基板10を切断し易くすることができる。また、区画領域を明瞭とする視覚的な効果を得ることもできる。なお、上記例では、区画領域の境界にスリット21が形成された例を示した。しかしながら、フレキシブル基板10における区画領域の境界の機械的強度が、スリット21が形成されていない部位の機械的強度と比べて弱くなる形状であれば良く、区画領域の境界の形状(不要部位20の形状)は、上記例に限定されない。例えば区画領域の境界に溝を設けるようにしても良い。図8は、フレキシブル基板の変形例を示す平面図である。
【0055】
フレキシブル基板10に複数の区画領域を設ける場合には、図9に示すように、巻回芯70における、フレキシブル基板10の区画領域の境界に対応する部位に、切り欠き部71を設けると良い。これにより、切断工程にて、巻回芯70を切断し易くすることができる。図9は、巻回芯70の変形例を示す平面図である。
【0056】
フレキシブル基板10に複数の区画領域を設ける場合には、図10に示すように、巻回芯70を、複数の巻回部材72によって構成すると良い。図11の(b)に示すように、巻回部材72には、巻回部材72を連結し、且つ上記したモータと接続される巻回棒73を通すための貫通孔74が形成されている。巻回棒73は、上記した巻回工程、及びフレキシブル基板10を区画領域毎に切り分ける切断工程後に、巻回部材72から抜かれる。これによれば、切断工程にて巻回芯70を切断しないので、巻回芯70を切断することによって生じる切り粉によって、配線パターン30に接続不良が生じることを抑制することができる。図10は、巻回芯の変形例を示す平面図である。図11は、巻回部材の概略構成を示す図であり、(a)は巻回部材の平面図、(b)は、図11(a)のXIb−XIb線に沿う断面図を示している。
【0057】
図12に、スリット21を有するフレキシブル基板10、巻回部材72が巻回棒73にて連結された巻回芯70を用いた電子部品100の製造方法を示す。先ず、図12の(a)に示すように、フレキシブル基板10を、各区画領域と対応する巻回部材72毎に配置し、巻回芯70にフレキシブル基板10を巻回しつつ熱圧着する。巻回棒73の端部は、上記したモータ(図示略)に固定されており、該モータが回転することで、巻回芯70が回転するようになっている。巻回工程後、図12の(b)に示すように、フレキシブル基板10における各区画領域の境界に相当する部位(不要部位20)を切断することで、各区画領域を独立させる。切断工程後、図12の(c)に示すように、巻回部材72を固定する巻回棒73を巻回部材72の貫通孔74から抜くことで、各巻回部材72を独立させる分離工程を実施する。これにより電子部品100を形成する。図12は、電子部品の製造方法の変形例を説明するための平面図であり、(a)は巻回工程、(b)は切断工程、(c)は分離工程を示している。なお、図12においては、便宜上、配線パターン30を省略している。
【0058】
なお、本実施形態では、図13の(a)に示すように、第1ビア34の断面形状が円形である例を示した。しかしながら、図13の(b)に示すように、第1ビア34の断面形状を、巻回方向に対して長手方向が略平行となる楕円形状とすると良い。フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回した場合、第1ビア34と配線片31との重なり(交差)、若しくは第1ビア34と中継パターン32との重なり(交差)が、巻回方向にずれる虞がある。これに対し、本変形例では、第1ビア34の断面形状を、巻回方向に対して長手方向が略平行となる楕円形状とすることで、本実施形態で示した断面形状が円形の第1ビア34、若しくは断面形状における長手方向が巻回方向に対して略垂直な形状を有する第1ビアよりも、巻回方向における第1ビア34の形成領域を長くすることができる。これにより、第1ビア34と配線片31との重なる領域(交差領域)、及び第1ビア34と中継パターン32との重なる領域(交差領域)を確保し、第1ビア34と配線片31との非交差、若しくは第1ビア34と中継パターン32との非交差による接続不良の発生を抑制することができる。なお、上記した非交差による接続不良の発生は、配線片31若しくは中継パターン32における第1ビア34との交差領域の形状を、上記した第1ビア34と同様にして、巻回方向に対して長手方向が略平行となる楕円形状とすることで、抑制することができる。また、上記変形例では、第1ビア34の断面形状が楕円形状である例を示した。しかしながら、第1ビア34の断面形状は、巻回方向に対して、長手方向が略平行となる形状であれば良く、上記例に限定されない。図13は、第1ビアの概略構成を示す平面図であり、(a)は断面形状が円形の第1ビア、(b)は断面形状が楕円形状の第1ビアを示している。
【0059】
本実施形態では、巻回芯70の形状が、円柱である例を示した。すなわち、巻回芯70の長手方向に対して略垂直な断面の形状が円状である例を示した。しかしながら、図14及び図15に示すように、巻回芯70の断面形状は、上記例に限定されず、例えば、楕円形状、若しくは矩形状であっても良い。しかしながら、巻回工程にて、巻回芯70を回転させるので、巻回芯70の断面形状は円状が好ましい。しかしながら、図15に示すように、巻回芯70の断面形状が、矩形状のものを採用すると、電子回路などを搭載する平らな面の面積を、断面形状が円形の巻回芯70よりも確保することができる。なお、巻回芯70にフレキシブル基板10を巻回するので、図15に示すように、矩形状を形成する角は、丸みを帯びた形状とすると良い。また、巻回芯70の断面形状は矩形に限らず、多角形状であっても良い。図14及び図15は、巻回芯の変形例を示す断面図である。
【0060】
本実施形態では、巻回芯70の形状が円柱である例を示した。しかしながら、図16に示すように、巻回芯70の形状としては、筒状であっても良い。図16は、巻回芯の変形例を示す断面図である。
【0061】
本実施形態では、巻回芯70が磁性材料で形成される例を示した。しかしながら、巻回芯70を、電気絶縁性を有する材料(例えば樹脂)によって形成しても良い。巻回芯70が、電気絶縁性を有する材料によって形成されている場合、フレキシブル基板10における配線パターン30が形成される表面10aにて、巻回芯70の外面70a及び自身の裏面10bを被覆するように、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回しつつ熱圧着することで、コイル50を備える電子部品100を形成することもできる。この場合、第1ビア34は、配線片31の他端31bではなく、一端31aに形成される。また、上記した中継パターン32において、第1ビア34が形成される端部の位置が、反対となる。すなわち、中継パターン32の一端32aに第1ビア34が形成されている場合には、他端32bに第1ビア34が形成され、中継パターン32の他端32bに第1ビア34が形成されている場合には、一端32aに第1ビア34が形成される。
【0062】
本実施形態では、図3に示すように、中継パターン32の一部が、長手方向に対して沿うように形成された例を示した。しかしながら、図17に示すように、中継パターン32を、巻回方向に対して沿うように形成すると良い。これによれば、中継パターン32の長さを短くすることができる。図17は、配線パターンの変形例を示す平面図であり、配線パターン30上に示す矢印は、電流の流れ方向を示している。
【0063】
本実施形態では、図3に示すように、1つの電気的に独立したコイル50を構成する配線パターン30がフレキシブル基板10に形成される例を示した。しかしながら、図18に示すように、2つの電気的に独立したコイル50a,50bを構成する配線パターン30a,30bをフレキシブル基板10に形成しても良い。なお、図18に示す配線パターン30aは、第1巻回領域の配線片31同士を電気的に接続する、巻回芯70の長手方向に略平行とされた中継パターン32を有し、配線パターン30bは、第3巻回領域の配線片31同士を電気的に接続する、巻回芯70の長手方向に略平行とされた中継パターン32を有している。図18は、配線パターンの変形例を示す平面図であり、配線パターン30a,30b上に示す矢印は、電流の流れ方向を示している。なお、図18に示すフレキシブル基板10は、第1〜第4巻回領域分の長さを有しており、図18にて、第3巻回領域と第4巻回領域との第3境界13を、破線で示す。
【0064】
図18に示す変形例では、2つの電気的に独立したコイル50a,50bを構成する配線パターン30a,30bを示した。しかしながら、1つの電気的に独立したコイル50を形成する配線パターン30の数は、上記例に限定されないことは言うまでもない。また、2つの電気的に独立したコイル50a,50bを構成する配線パターン30a,30bは、図18に示す配線パターン30a,30bに限らず、例えば、図19及び図20に示すように、配線パターン30aと配線パターン30bとを、第k巻回領域にて交互に形成するようにしても良い。若しくは、図21及び図22に示すように、配線パターン30aと配線パターン30bとを、各巻回領域にて交互に形成するようにしても良い。図19に示す配線パターン30a,30bは、第1巻回領域の配線片31同士を電気的に接続する、巻回芯70の長手方向に略平行とされた中継パターン32を有し、図20に示す配線パターン30aは、第1巻回領域の配線片31同士を電気的に接続する、巻回芯70の長手方向に略平行とされた中継パターン32を有している。また、図21及び図22に示す配線パターン30bは、第2巻回領域の配線片31同士を電気的に接続する、一部が、巻回芯70の長手方向に略平行とされた中継パターン32を有している。図19〜図22は、配線パターンの変形例を示す平面図であり、配線パターン30上に示す矢印は、電流の流れ方向を示している。なお、図21及び図22に示すフレキシブル基板10は、第1〜第5巻回領域分の長さを有しており、図21及び図22にて、第4巻回領域と第5巻回領域との第4境界14を、破線で示す。
【0065】
図3、及び図17〜図21に示すように、sを1以上の自然数とすると、第k巻回領域の配線片31と第k+s巻回領域の配線片31とは、1つの中継パターン32を介して電気的に接続された構成となっている。しかしながら、図22に示すように、複数の中継パターン32(一点鎖線で囲まれた中継パターン32)にて、第3巻回領域の配線片31と第1巻回領域の配線片31とが電気的に接続された構成とすると良い。これにより、中継パターン32を流れる電流の一部の方向を、第2巻回領域の配線片31を流れる電流の方向と略平行とすることができる。図23に、図22の一点鎖線で囲まれた中継パターン32のみを示す。図23の一点鎖線で囲まれた中継パターン32は、一端35aが、第3巻回領域の配線片31の他端31bに形成された第1ビア34を介して、第3巻回領域の配線片31と電気的に接続された第1中継パターン35と、一端36aが、第1中継パターン35の他端35bに形成された第1ビア34を介して、第1中継パターン35と電気的に接続された第2中継パターン36と、一端37aが、第2中継パターン36の他端36bに形成された第1ビア34を介して、第2中継パターン36と電気的に接続され、他端37bが、自身に形成された第1ビア34を介して、第1巻回領域の配線片31の一端31aと電気的に接続された第3中継パターン37と、を有している。このような構成をとると、図22及び図23の矢印で示すように、第3巻回領域の配線片31から流入してきた電流の流れ方向を、第1中継パターン35にて反転することで、第2中継パターン36を流れる電流の流れ方向を、第2巻回領域の配線片31を流れる電流の流れ方向と略平行とすることができる。これにより、中継パターン32における、配線片31を流れる電流の流れ方向に対して反対の方向に流れる電流による磁場の発生を抑制し、コイル50としての性能の低下を抑制することができる。なお、第2中継パターン36は、図22に示すように、第2巻回領域の配線片31の長手方向と略平行となるように形成すると良い。これにより、コイル50の主要部分を形成する配線片31を流れる電流の流れ方向と、第2中継パターン36を流れる電流の流れ方向とを略一致させることができる。図23は、中継パターンの変形例を説明するための平面図である。なお、上記変形例では、図23において一点鎖線で囲まれた中継パターン32のみを説明した。しかしながら、図23に示すように、第3〜第5巻回領域にも第1〜第3中継パターン35〜37が形成されている。この第1〜第3中継パターン35〜37についても同様に、第1中継パターン35によって、第5巻回領域の配線片31から流入してきた電流の流れ方向を反転することで、第2中継パターン36を流れる電流の流れ方向を、第4巻回領域の配線片31を流れる電流の流れ方向と略平行とすることができる。
【0066】
本実施形態では、配線パターン30が、コイル50を構成する例を示した。しかしながら、図24及び図25に示すように、外部に露出される第3巻回領域の表面10aに、電子回路51を搭載する回路パターン38を形成し、該回路パターン38に電子回路51を搭載して電子部品100を構成しても良い。図25に示すように、巻回芯70の断面形状が、矩形状のものを採用すると、電子回路51を搭載する平らな面の面積を、断面形状が円形の巻回芯70よりも確保することができるので、好適である。なお、巻回芯70にフレキシブル基板10を巻回するので、図25に示すように、矩形状を形成する角は、丸みを帯びた形状とすると良い。図24は、配線パターンの変形例を示す平面図である。図25は、電子部品の変形例を示す断面図である。
【0067】
本実施形態では、配線パターン30が、コイル50を構成する例を示した。しかしながら、図26及び図27に示すように、配線パターン30が電子素子としてのコンデンサ52を構成するように、配線パターン30をフレキシブル基板10に形成しても良い。図28に、コンデンサ52を構成する配線パターン30の平面図を示す。配線パターン30は、電気的に独立した2つの配線パターン30c,30dを有しており、配線パターン30cと配線パターン30dの一部が、互いに対向することで、コンデンサ52を構成するようになっている。配線パターン30cは、第1接続部33aと、第1巻回領域、第3巻回領域、及び第5巻回領域に形成された、コンデンサ52を構成する平板状の第1電極39と、第2巻回領域、及び第4巻回領域に形成された、第1電極39間を電気的に接続する第1配線部40と、を有している。配線パターン30dは、第2接続部33bと、第2巻回領域、及び第4巻回領域に形成された、コンデンサ52を構成する平板状の第2電極41と、第3巻回領域、及び第5巻回領域に形成された、第2電極41間、及び第4巻回領域の第2電極41と第2接続部33b間を電気的に接続する第2配線部42と、を有している。このような配線パターン30c,30dは、第1実施形態と同様に、銅箔などの導体箔をフレキシブル基板10の表面10aに印刷し、導体箔をパターンエッチングすることで形成することができる。sを2以上5以下の自然数とすると、図27に示すように、フレキシブル基板10における第s巻回領域を介して、第1電極39と第2電極41とが対向して、コンデンサ52を構成している。図26は、電子部品の変形例を示す平面図である。図27は、図26におけるXXVII−XXVII線に沿う断面図である。図28は、配線パターンの変形例を示す平面図である。
【0068】
なお、図26〜図28で示したように、配線パターン30c,30dによって、コンデンサ52が構成される場合、図29に示すように、第2〜第5巻回領域の配線パターン30cに、第1電極39と第1配線部40とを電気的に接続する、ビアホール内に導電部材が充填されてなる第2ビア43が形成され、第3〜第5巻回領域の配線パターン30dに、第2電極41と第2配線部42とを電気的に接続する、ビアホール内に導電部材が充填されてなる第3ビア44が形成された構成とすると良い。これによれば、第1電極39と第2電極41、及び第1配線部40と第2配線部42を流れる電流が巻回芯70の周囲を周回するように流れることを、第2ビア43と第3ビア44とによって妨げることができる。これにより、周回する電流による磁場の発生を抑制し、発生した磁場のインダクタンス成分による、コンデンサ52のリアクタンス成分への影響を抑制することができる。これにより、コンデンサとしての性能の低下を抑制することができる。図29は、第2ビア及び第3ビアを説明するためのフレキシブル基板の平面図である。
【0069】
また、巻回芯70が、電気絶縁性を有する材料によって形成されている場合、フレキシブル基板10における配線パターン30が形成される表面10aにて、巻回芯70の外面70a及び自身の裏面10bを被覆するように、フレキシブル基板10を巻回芯70に巻回しつつ熱圧着することで、コンデンサ52を備える電子部品100を形成することもできる。この場合、上記した第2ビア43は、第1〜第4巻回領域の配線パターン30cに形成され、第3ビア44は、第2〜第4巻回領域の配線パターン30dに形成される。
【0070】
本実施形態では、配線パターン30が、コイル50を構成する例を示した。しかしながら、図30に示すように、配線パターン30が電子素子としてのコイル50とコンデンサ52を構成するように、配線パターン30をフレキシブル基板10に形成しても良い。図30は、配線パターンの変形例を示す平面図であり、配線パターン30上に示す矢印は、電流の流れ方向を示している。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態に係る電子部品の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】配線パターンの概略構成を示す平面図である。
【図4】電子部品の製造工程を説明するための平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】フレキシブル基板の変形例を示す平面図である。
【図7】電子部品の製造工程を説明するための平面図であり、(a)は巻回工程、(b)は切断工程を示している。
【図8】フレキシブル基板の変形例を示す平面図である。
【図9】巻回芯の変形例を示す平面図である。
【図10】巻回芯の変形例を示す平面図である。
【図11】巻回部材の概略構成を示す図であり、(a)は巻回部材の平面図、(b)は、図11(a)のXIb−XIb線に沿う断面図を示している。
【図12】電子部品の製造方法の変形例を説明するための平面図であり、(a)は巻回工程、(b)は切断工程、(c)は分離工程を示している。
【図13】第1ビアの概略構成を示す平面図であり、(a)は断面形状が円形の第1ビア、(b)は断面形状が楕円形状の第1ビアを示している。
【図14】巻回芯の変形例を示す断面図である。
【図15】巻回芯の変形例を示す断面図である。
【図16】巻回芯の変形例を示す断面図である。
【図17】配線パターンの変形例を示す断面図である。
【図18】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図19】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図20】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図21】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図22】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図23】中継パターンの変形例を説明するための平面図である。
【図24】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図25】電子部品の変形例を示す断面図である。
【図26】電子部品の変形例を示す平面図である。
【図27】図26におけるXXVII−XXVII線に沿う断面図である。
【図28】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【図29】第2ビア及び第3ビアを説明するためのフレキシブル基板の平面図である。
【図30】配線パターンの変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0072】
10・・・フレキシブル基板
30・・・配線パターン
31・・・配線片
32・・・中継パターン
33・・・接続部
34・・・第1ビア
39・・・第1電極
41・・・第2電極
50・・・コイル
52・・・コンデンサ
70・・・巻回芯
100・・・電子部品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなり、表面に配線パターンが形成されたフレキシブル基板を、巻回芯に巻回しつつ熱圧着することで、前記巻回芯に前記配線パターンを巻回して電子素子とする巻回工程を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記巻回芯の長手方向において、前記フレキシブル基板には、1つの前記電子素子を構成する配線パターンが、互いに離間して配置された複数の区画領域が形成されており、
前記巻回工程後、前記巻回芯とともに、前記フレキシブル基板を、前記区画領域毎に切り分ける切断工程を有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記巻回芯における、前記フレキシブル基板の区画領域の境界に対応する部位に、第1切り欠き部が形成されており、
前記切断工程において、前記フレキシブル基板とともに、前記巻回芯を、前記第1切り欠き部によって区画された、前記フレキシブル基板の区画領域に対応する部位毎に切り分けることを特徴とする請求項2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記巻回芯の長手方向において、前記フレキシブル基板には、1つの前記電子素子を構成する配線パターンが、互いに離間して配置された複数の区画領域が形成され、
前記巻回芯は、止め具によって固定された、複数の巻回部材からなり、
前記巻回工程後、前記フレキシブル基板を、前記区画領域毎に切り分ける切断工程と、
前記切断工程後、前記止め具を外して、各巻回部材毎に分離する分離工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記フレキシブル基板における区画領域の境界に、第2切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項2〜4いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記電子素子は、コイルであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記電子素子は、コイルとコンデンサであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記電子素子は、コンデンサであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項9】
nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の裏面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第k巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、
前記第k巻回領域には、一端が、前記巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の表面を被覆する部位に形成され、他端が、前記第k巻回領域における自身の表面の一部を被覆する部位に形成された前記配線パターンとしての複数の配線片が、前記巻回芯の長手方向に並列配置され、
前記配線片は、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、前記巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、
前記配線片の他端には、前記配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、
前記巻回工程において、前記フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、前記第1ビアを介して、前記配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とを電気的に接続することで、前記電子素子としてのコイルを形成することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記第n巻回領域には、前記配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、
前記巻回工程後、前記回路パターンに前記電子回路を搭載する搭載工程を有することを特徴とする請求項9に記載の電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の表面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第k巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、
前記第k巻回領域には、一端が、前記第k巻回領域における自身の裏面の一部を被覆する部位に形成され、他端が、前記巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の裏面を被覆する部位に形成された前記配線パターンとしての複数の配線片が、前記巻回芯の長手方向に並列配置されており、
前記配線片は、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、前記巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、
前記配片の他端には、前記配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、
前記巻回工程において、前記フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、前記第1ビアを介して、前記配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とを電気的に接続することで、前記電子素子としてのコイルを形成することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電子部品の製造方法。
【請求項12】
sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、
前記第k巻回領域〜第k+s巻回領域には、前記第k巻回領域に形成された配線片と前記第k+s巻回領域に形成された配線片とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての中継パターンが形成されており、
該中継パターンは、その長手方向が、前記巻回方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項9〜11いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項13】
sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、
前記第k巻回領域〜第k+s巻回領域には、前記第k巻回領域に形成された配線片と前記第k+s巻回領域に形成された配線片とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての中継パターンが形成されており、
該中継パターンは、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、一端が、前記第k+s巻回領域の配線片の他端に形成された第1ビアを介して、前記第k+s巻回領域の配線片と電気的に接続された第1中継パターンと、一端が、前記第1中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、前記第1中継パターンと電気的に接続された第2中継パターンと、一端が、前記第2中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、前記第2中継パターンと電気的に接続され、他端が、自身に形成された第1ビアを介して、前記第k巻回領域の配線片の一端と電気的に接続された第3中継パターンと、を有し、
前記第2中継パターンの長手方向は、前記配線片の長手方向と略平行とされており、
前記巻回工程において、前記フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、前記第1ビアを介して、前記第k+s巻回領域の配線片と前記第1中継パターン、前記第1中継パターンと前記第2中継パターン、前記第2中継パターンと前記第3中継パターン、及び前記第3中継パターンと前記第k巻回領域の配線片とを電気的に接続することを特徴とする請求項9〜11いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記第1ビアにおける断面形状の長手方向が、前記巻回方向に沿うことを特徴とする請求項9〜13いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項15】
nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の裏面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn+1回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、
前記第2k−1巻回領域には、前記配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、
前記第2k巻回領域には、前記第1電極とは電気的に独立した、前記配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、
前記巻回工程において、前記フレキシブル基板を巻回しつつ熱圧着するとともに、前記第1電極と前記第2電極とを、前記第2k巻回領域のフレキシブル基板を介して対向させて、前記電子素子としてのコンデンサを形成することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記第n+1巻回領域には、前記配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、
前記巻回工程後、前記回路パターンに前記電子回路を搭載する搭載工程を有することを特徴とする請求項15に記載の電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の表面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn+1回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、
前記第2k−1巻回領域には、前記配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、
前記第2k巻回領域には、前記第1電極とは電気的に独立した、前記配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、
前記巻回工程において、前記フレキシブル基板を巻回しつつ熱圧着するとともに、前記第1電極と前記第2電極とを、前記第2k−1巻回領域のフレキシブル基板を介して対向させて、前記電子素子としてのコンデンサを形成することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記第2k巻回領域には、前記第2k−1巻回領域に形成された第1電極と第2k+1巻回領域に形成された第1電極とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての第1配線部が形成され、
前記第2k+1巻回領域には、前記第2k巻回領域に形成された第2電極と第2k+2領域に形成された第2電極とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての第2配線部が形成され、
前記第2k巻回領域の第1配線部、及び前記第2k+1巻回領域の第1電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、前記第2k−1巻回領域の第1電極と、前記第2k巻回領域の第1配線部と、前記第2k+1巻回領域の第1電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第2ビアが形成され、
前記第2k+1巻回領域の第2配線部、及び前記第2k+2領域の第2電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、前記第2k巻回領域の第2電極と、前記第2k+1巻回領域の第2配線部と、前記2k+2領域の第2電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第3ビアが形成されていることを特徴とする請求項15〜17いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記巻回芯は、柱状であることを特徴とする請求項1〜18いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項20】
前記巻回芯は、筒状であることを特徴とする請求項1〜18いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項21】
前記巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、円形状であることを特徴とする請求項1〜20いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項22】
前記巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、多角形状であることを特徴とする請求項1〜20いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項23】
巻回芯と、
熱可塑性樹脂からなり、表面に配線パターンが形成されたフレキシブル基板と、を備え、
前記フレキシブル基板が前記巻回芯に巻回されつつ固定され、前記巻回芯に巻回された前記配線パターンにより電子素子が構成されていることを特徴とする電子部品。
【請求項24】
前記電子素子は、コイルであることを特徴とする請求項23に記載の電子部品。
【請求項25】
前記電子素子は、コイルとコンデンサであることを特徴とする請求項23に記載の電子部品。
【請求項26】
前記電子素子は、コンデンサであることを特徴とする請求項23に記載の電子部品。
【請求項27】
nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の裏面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第k巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、
前記第k巻回領域には、一端が、前記巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の表面を被覆する部位に形成され、他端が、前記第k巻回領域における自身の表面の一部を被覆する部位に形成された前記配線パターンとしての複数の配線片が、前記巻回芯の長手方向に並列配置され、
前記配線片は、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、前記巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、
前記配線片の他端には、前記配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、
前記電子素子としてのコイルは、前記第1ビアを介して、前記配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とが電気的に接続されてなることを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の電子部品。
【請求項28】
前記第n巻回領域には、前記配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、
前記回路パターンに、前記電子回路が搭載されていることを特徴とする請求項27に記載の電子部品。
【請求項29】
前記巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の表面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第k巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、
前記第k巻回領域には、一端が、前記第k巻回領域における自身の裏面の一部を被覆する部位に形成され、他端が、前記巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の裏面を被覆する部位に形成された前記配線パターンとしての複数の配線片が、前記巻回芯の長手方向に並列配置されており、
前記配線片は、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、前記巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、
前記配線片の他端には、前記配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、
前記電子素子としてのコイルは、前記第1ビアを介して、前記配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とが電気的に接続されてなることを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の電子部品。
【請求項30】
sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、
前記第k巻回領域〜第k+s領域には、前記第k巻回領域に形成された配線片と前記第k+s領域に形成された配線片とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての中継パターンが形成されており、
該中継パターンは、その長手方向が、前記巻回方向に沿うように形成されていることを特徴とする請求項27〜29いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項31】
sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、
前記第k巻回領域〜第k+s巻回領域には、前記第k巻回領域に形成された配線片と前記第k+s巻回領域に形成された配線片とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての中継パターンが形成されており、
該中継パターンは、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、一端が、前記第k+s巻回領域の配線片の他端に形成された第1ビアを介して、前記第k+s巻回領域の配線片と電気的に接続された第1中継パターンと、一端が、前記第1中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、前記第1中継パターンと電気的に接続された第2中継パターンと、一端が、前記第2中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、前記第2中継パターンと電気的に接続され、他端が、自身に形成された第1ビアを介して、前記第k巻回領域の配線片の一端と電気的に接続された第3中継パターンと、を有し、
前記第2中継パターンの長手方向は、前記配線片の長手方向と略平行とされており、
前記第k+s巻回領域の配線片と前記第1中継パターン、前記第1中継パターンと前記第2中継パターン、前記第2中継パターンと前記第3中継パターン、及び前記第3中継パターンと前記第k巻回領域の配線片は、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記第1ビアを介して電気的に接続されることを特徴とする請求項27〜29いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項32】
前記第1ビアにおける断面形状の長手方向が、前記巻回方向に沿うことを特徴とする請求項27〜31いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項33】
nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の裏面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn+1回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、
前記第2k−1巻回領域には、前記配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、
前記第2k巻回領域には、前記第1電極とは電気的に独立した、前記配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、
前記電子素子としてのコンデンサは、少なくとも、前記第2k−1巻回領域の第1電極と、前記第2k巻回領域の第2電極と、を有することを特徴とする請求項25又は請求項26に記載の電子部品。
【請求項34】
前記第n+1巻回領域には、前記配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、
該回路パターンに、前記電子回路が搭載されていることを特徴とする請求項33に記載の電子部品。
【請求項35】
前記巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の表面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn+1回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、
前記第2k−1巻回領域には、前記配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、
前記第2k巻回領域には、前記第1電極とは電気的に独立した、前記配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、
前記電子素子としてのコンデンサは、少なくとも、前記第2k−1巻回領域の第1電極と、前記第2k巻回領域の第2電極と、を有することを特徴とする請求項25又は請求項26に記載の電子部品。
【請求項36】
前記第2k巻回領域には、前記第2k−1巻回領域に形成された第1電極と第2k+1巻回領域に形成された第1電極とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての第1配線部が形成され、
前記第2k+1巻回領域には、前記第2k巻回領域に形成された第2電極と第2k+2領域に形成された第2電極とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての第2配線部が形成され、
前記第2k巻回領域の第1配線部、及び前記第2k+1巻回領域の第1電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、前記第2k−1巻回領域の第1電極と、前記第2k巻回領域の第1配線部と、前記第2k+1巻回領域の第1電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第2ビアが形成され、
前記第2k+1巻回領域の第2配線部、及び前記第2k+2領域の第2電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、前記第2k巻回領域の第2電極と、前記第2k+1巻回領域の第2配線部と、前記2k+2領域の第2電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第3ビアが形成されていることを特徴とする請求項33〜35いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項37】
前記巻回芯は、柱状であることを特徴とする請求項23〜36いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項38】
前記巻回芯は、筒状であることを特徴とする請求項23〜36いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項39】
前記巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、円形状であることを特徴とする請求項23〜38いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項40】
前記巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、多角形状であることを特徴とする請求項23〜38いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなり、表面に配線パターンが形成されたフレキシブル基板を、巻回芯に巻回しつつ熱圧着することで、前記巻回芯に前記配線パターンを巻回して電子素子とする巻回工程を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記巻回芯の長手方向において、前記フレキシブル基板には、1つの前記電子素子を構成する配線パターンが、互いに離間して配置された複数の区画領域が形成されており、
前記巻回工程後、前記巻回芯とともに、前記フレキシブル基板を、前記区画領域毎に切り分ける切断工程を有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記巻回芯における、前記フレキシブル基板の区画領域の境界に対応する部位に、第1切り欠き部が形成されており、
前記切断工程において、前記フレキシブル基板とともに、前記巻回芯を、前記第1切り欠き部によって区画された、前記フレキシブル基板の区画領域に対応する部位毎に切り分けることを特徴とする請求項2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記巻回芯の長手方向において、前記フレキシブル基板には、1つの前記電子素子を構成する配線パターンが、互いに離間して配置された複数の区画領域が形成され、
前記巻回芯は、止め具によって固定された、複数の巻回部材からなり、
前記巻回工程後、前記フレキシブル基板を、前記区画領域毎に切り分ける切断工程と、
前記切断工程後、前記止め具を外して、各巻回部材毎に分離する分離工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記フレキシブル基板における区画領域の境界に、第2切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項2〜4いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記電子素子は、コイルであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記電子素子は、コイルとコンデンサであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記電子素子は、コンデンサであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項9】
nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の裏面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第k巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、
前記第k巻回領域には、一端が、前記巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の表面を被覆する部位に形成され、他端が、前記第k巻回領域における自身の表面の一部を被覆する部位に形成された前記配線パターンとしての複数の配線片が、前記巻回芯の長手方向に並列配置され、
前記配線片は、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、前記巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、
前記配線片の他端には、前記配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、
前記巻回工程において、前記フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、前記第1ビアを介して、前記配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とを電気的に接続することで、前記電子素子としてのコイルを形成することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記第n巻回領域には、前記配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、
前記巻回工程後、前記回路パターンに前記電子回路を搭載する搭載工程を有することを特徴とする請求項9に記載の電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の表面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第k巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、
前記第k巻回領域には、一端が、前記第k巻回領域における自身の裏面の一部を被覆する部位に形成され、他端が、前記巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の裏面を被覆する部位に形成された前記配線パターンとしての複数の配線片が、前記巻回芯の長手方向に並列配置されており、
前記配線片は、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、前記巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、
前記配片の他端には、前記配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、
前記巻回工程において、前記フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、前記第1ビアを介して、前記配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とを電気的に接続することで、前記電子素子としてのコイルを形成することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電子部品の製造方法。
【請求項12】
sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、
前記第k巻回領域〜第k+s巻回領域には、前記第k巻回領域に形成された配線片と前記第k+s巻回領域に形成された配線片とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての中継パターンが形成されており、
該中継パターンは、その長手方向が、前記巻回方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項9〜11いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項13】
sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、
前記第k巻回領域〜第k+s巻回領域には、前記第k巻回領域に形成された配線片と前記第k+s巻回領域に形成された配線片とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての中継パターンが形成されており、
該中継パターンは、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、一端が、前記第k+s巻回領域の配線片の他端に形成された第1ビアを介して、前記第k+s巻回領域の配線片と電気的に接続された第1中継パターンと、一端が、前記第1中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、前記第1中継パターンと電気的に接続された第2中継パターンと、一端が、前記第2中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、前記第2中継パターンと電気的に接続され、他端が、自身に形成された第1ビアを介して、前記第k巻回領域の配線片の一端と電気的に接続された第3中継パターンと、を有し、
前記第2中継パターンの長手方向は、前記配線片の長手方向と略平行とされており、
前記巻回工程において、前記フレキシブル基板を巻回して熱圧着するとともに、前記第1ビアを介して、前記第k+s巻回領域の配線片と前記第1中継パターン、前記第1中継パターンと前記第2中継パターン、前記第2中継パターンと前記第3中継パターン、及び前記第3中継パターンと前記第k巻回領域の配線片とを電気的に接続することを特徴とする請求項9〜11いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記第1ビアにおける断面形状の長手方向が、前記巻回方向に沿うことを特徴とする請求項9〜13いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項15】
nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の裏面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn+1回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、
前記第2k−1巻回領域には、前記配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、
前記第2k巻回領域には、前記第1電極とは電気的に独立した、前記配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、
前記巻回工程において、前記フレキシブル基板を巻回しつつ熱圧着するとともに、前記第1電極と前記第2電極とを、前記第2k巻回領域のフレキシブル基板を介して対向させて、前記電子素子としてのコンデンサを形成することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記第n+1巻回領域には、前記配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、
前記巻回工程後、前記回路パターンに前記電子回路を搭載する搭載工程を有することを特徴とする請求項15に記載の電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の表面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn+1回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、
前記第2k−1巻回領域には、前記配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、
前記第2k巻回領域には、前記第1電極とは電気的に独立した、前記配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、
前記巻回工程において、前記フレキシブル基板を巻回しつつ熱圧着するとともに、前記第1電極と前記第2電極とを、前記第2k−1巻回領域のフレキシブル基板を介して対向させて、前記電子素子としてのコンデンサを形成することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記第2k巻回領域には、前記第2k−1巻回領域に形成された第1電極と第2k+1巻回領域に形成された第1電極とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての第1配線部が形成され、
前記第2k+1巻回領域には、前記第2k巻回領域に形成された第2電極と第2k+2領域に形成された第2電極とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての第2配線部が形成され、
前記第2k巻回領域の第1配線部、及び前記第2k+1巻回領域の第1電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、前記第2k−1巻回領域の第1電極と、前記第2k巻回領域の第1配線部と、前記第2k+1巻回領域の第1電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第2ビアが形成され、
前記第2k+1巻回領域の第2配線部、及び前記第2k+2領域の第2電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、前記第2k巻回領域の第2電極と、前記第2k+1巻回領域の第2配線部と、前記2k+2領域の第2電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第3ビアが形成されていることを特徴とする請求項15〜17いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記巻回芯は、柱状であることを特徴とする請求項1〜18いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項20】
前記巻回芯は、筒状であることを特徴とする請求項1〜18いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項21】
前記巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、円形状であることを特徴とする請求項1〜20いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項22】
前記巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、多角形状であることを特徴とする請求項1〜20いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項23】
巻回芯と、
熱可塑性樹脂からなり、表面に配線パターンが形成されたフレキシブル基板と、を備え、
前記フレキシブル基板が前記巻回芯に巻回されつつ固定され、前記巻回芯に巻回された前記配線パターンにより電子素子が構成されていることを特徴とする電子部品。
【請求項24】
前記電子素子は、コイルであることを特徴とする請求項23に記載の電子部品。
【請求項25】
前記電子素子は、コイルとコンデンサであることを特徴とする請求項23に記載の電子部品。
【請求項26】
前記電子素子は、コンデンサであることを特徴とする請求項23に記載の電子部品。
【請求項27】
nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の裏面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第k巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、
前記第k巻回領域には、一端が、前記巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の表面を被覆する部位に形成され、他端が、前記第k巻回領域における自身の表面の一部を被覆する部位に形成された前記配線パターンとしての複数の配線片が、前記巻回芯の長手方向に並列配置され、
前記配線片は、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、前記巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、
前記配線片の他端には、前記配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、
前記電子素子としてのコイルは、前記第1ビアを介して、前記配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とが電気的に接続されてなることを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の電子部品。
【請求項28】
前記第n巻回領域には、前記配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、
前記回路パターンに、前記電子回路が搭載されていることを特徴とする請求項27に記載の電子部品。
【請求項29】
前記巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の表面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を直接被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第k巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第k+1巻回領域とすると、
前記第k巻回領域には、一端が、前記第k巻回領域における自身の裏面の一部を被覆する部位に形成され、他端が、前記巻回芯の外面若しくは第k−1巻回領域の裏面を被覆する部位に形成された前記配線パターンとしての複数の配線片が、前記巻回芯の長手方向に並列配置されており、
前記配線片は、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、隣接する1つの配線片の一端と、自身の他端とが重なるように、前記巻回方向に対して自身の長手方向が斜めに形成され、
前記配線片の他端には、前記配線パターンを電気的に接続する、ホール内に導電部材が充填されてなる第1ビアが形成されており、
前記電子素子としてのコイルは、前記第1ビアを介して、前記配線片の他端と、該配線片と隣接する1つの配線片の一端とが電気的に接続されてなることを特徴とする請求項24又は請求項25に記載の電子部品。
【請求項30】
sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、
前記第k巻回領域〜第k+s領域には、前記第k巻回領域に形成された配線片と前記第k+s領域に形成された配線片とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての中継パターンが形成されており、
該中継パターンは、その長手方向が、前記巻回方向に沿うように形成されていることを特徴とする請求項27〜29いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項31】
sを1以上の自然数とし、k+sをn以下の自然数とすると、
前記第k巻回領域〜第k+s巻回領域には、前記第k巻回領域に形成された配線片と前記第k+s巻回領域に形成された配線片とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての中継パターンが形成されており、
該中継パターンは、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、一端が、前記第k+s巻回領域の配線片の他端に形成された第1ビアを介して、前記第k+s巻回領域の配線片と電気的に接続された第1中継パターンと、一端が、前記第1中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、前記第1中継パターンと電気的に接続された第2中継パターンと、一端が、前記第2中継パターンの他端に形成された第1ビアを介して、前記第2中継パターンと電気的に接続され、他端が、自身に形成された第1ビアを介して、前記第k巻回領域の配線片の一端と電気的に接続された第3中継パターンと、を有し、
前記第2中継パターンの長手方向は、前記配線片の長手方向と略平行とされており、
前記第k+s巻回領域の配線片と前記第1中継パターン、前記第1中継パターンと前記第2中継パターン、前記第2中継パターンと前記第3中継パターン、及び前記第3中継パターンと前記第k巻回領域の配線片は、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記第1ビアを介して電気的に接続されることを特徴とする請求項27〜29いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項32】
前記第1ビアにおける断面形状の長手方向が、前記巻回方向に沿うことを特徴とする請求項27〜31いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項33】
nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の裏面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn+1回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の表面を被覆し、且つ自身の表面の一部を自身の裏面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、
前記第2k−1巻回領域には、前記配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、
前記第2k巻回領域には、前記第1電極とは電気的に独立した、前記配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、
前記電子素子としてのコンデンサは、少なくとも、前記第2k−1巻回領域の第1電極と、前記第2k巻回領域の第2電極と、を有することを特徴とする請求項25又は請求項26に記載の電子部品。
【請求項34】
前記第n+1巻回領域には、前記配線パターンとして、電子回路を搭載する回路パターンが形成されており、
該回路パターンに、前記電子回路が搭載されていることを特徴とする請求項33に記載の電子部品。
【請求項35】
前記巻回芯が電気絶縁性を有する材料によって形成されているとし、nを1以上の自然数とし、kを1以上n以下の自然数とし、前記フレキシブル基板の表面を前記巻回芯の外面との対向面として、前記フレキシブル基板を前記巻回芯にn+1回巻回するとし、前記フレキシブル基板を巻回した状態で、前記フレキシブル基板における、前記巻回芯の外面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第1巻回領域とし、前記フレキシブル基板における、第2k−1巻回領域の裏面を被覆し、且つ自身の裏面の一部を自身の表面にて被覆する領域を第2k巻回領域とすると、
前記第2k−1巻回領域には、前記配線パターンとしての平板状の第1電極が形成され、
前記第2k巻回領域には、前記第1電極とは電気的に独立した、前記配線パターンとしての平板状の第2電極が形成されており、
前記電子素子としてのコンデンサは、少なくとも、前記第2k−1巻回領域の第1電極と、前記第2k巻回領域の第2電極と、を有することを特徴とする請求項25又は請求項26に記載の電子部品。
【請求項36】
前記第2k巻回領域には、前記第2k−1巻回領域に形成された第1電極と第2k+1巻回領域に形成された第1電極とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての第1配線部が形成され、
前記第2k+1巻回領域には、前記第2k巻回領域に形成された第2電極と第2k+2領域に形成された第2電極とを電気的に接続する、前記配線パターンとしての第2配線部が形成され、
前記第2k巻回領域の第1配線部、及び前記第2k+1巻回領域の第1電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、前記第2k−1巻回領域の第1電極と、前記第2k巻回領域の第1配線部と、前記第2k+1巻回領域の第1電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第2ビアが形成され、
前記第2k+1巻回領域の第2配線部、及び前記第2k+2領域の第2電極には、フレキシブル基板を巻回した状態で、前記第2k巻回領域の第2電極と、前記第2k+1巻回領域の第2配線部と、前記2k+2領域の第2電極とを電気的に接続する、ビア内に導電部材が充填されてなる第3ビアが形成されていることを特徴とする請求項33〜35いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項37】
前記巻回芯は、柱状であることを特徴とする請求項23〜36いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項38】
前記巻回芯は、筒状であることを特徴とする請求項23〜36いずれか1項に記載の電子部品。
【請求項39】
前記巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、円形状であることを特徴とする請求項23〜38いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項40】
前記巻回芯における長手方向に対して略垂直な断面の外周が、多角形状であることを特徴とする請求項23〜38いずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2010−123883(P2010−123883A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298454(P2008−298454)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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