説明

電子部品供給装置および電子部品実装装置

【課題】キャリアテープからトップカバーテープが剥離される際に発生する静電気の量を低減し、電子部品実装装置のチップ形電子部品の吸着率を向上させる電子部品供給装置および電子部品実装装置を提供する。
【解決手段】電子部品をキャリアテープ2の収納部に収納し、このキャリアテープの表面をトップカバーテープ3で覆った電子部品搬送体1を巻いたリール8を保持するリール保持部17と、このリール保持部に保持されたリールから引き出された電子部品搬送体からトップカバーテープを剥離するテープ剥離部とを有する電子部品供給装置において、リール保持部、またはリール保持部からテープ剥離部に至る搬送路に、電子部品搬送体を加湿することによりキャリアテープの含有水分量を上げて表面抵抗値を所定の値にする加湿装置31を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーピングされたチップ形電子部品を供給する電子部品供給装置と、該電子部品供給装置を搭載した電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チップコンデンサ、チップ抵抗器等のチップ形電子部品は、電子部品搬送体により電子部品実装機に供給されている。
ここで、電子部品搬送体とは、長手方向に間隔をおいて複数の収納部が形成されたキャリアテープの上面にトップカバーテープが貼り付けられ、各収納部内にチップ形電子部品が収納されたものをいう。
【0003】
尚、収納部は、凹部であっても良く(例えば、特許文献1参照)、キャリアテープに貫通穴があけられて、そのキャリアテープの裏面にボトムテープが貼り付けられて形成されていても良い(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
この電子部品搬送体による電子部品実装機へのチップ形電子部品の供給は、電子部品搬送体をセットした電子部品供給装置を電子部品実装装置にセットし、電子部品実装装置からの動力の供給により電子部品供給装置がキャリアテープの送りとトップカバーテープの剥離を間欠的に行うことによりなされている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
【0005】
つまり、トップカバーテープがキャリアテープから剥離されて、上面からトップカバーテープが無くなったキャリアテープの収納部内に収納されたチップ形電子部品は、キャリアテープの収納部に収納されたままキャリアテープごと電子部品実装装置側に送られ、電子部品実装装置の吸着ヘッドにより吸着把持される。
【0006】
【特許文献1】実開平06−018365号公報
【特許文献2】特開平06−092388号公報
【特許文献3】特開平05−021987号公報
【特許文献4】特開平11−046089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、吸着ヘッドがチップ形電子部品を吸着する際に、吸着ヘッドに対してチップ形電子部品の位置がズレることによりチップ形電子部品の吸着ミスが発生し、電子部品実装装置のチップ形電子部品の吸着率が低下するという問題があった。
【0008】
これは、キャリアテープからトップカバーテープが剥離される際に静電気が発生するため、キャリアテープの収納部に収納された電子部品がこの静電気を帯びてキャリアテープの収納部内で浮いたり、電子部品がキャリアテープまたはボトムテープに貼り付いたりすること等が原因である。
【0009】
本発明は、前記した問題を解決するためになされたものであって、キャリアテープからトップカバーテープが剥離される際に発生する静電気の量を低減し、電子部品実装装置のチップ形電子部品の吸着率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第1発明)
第1発明に係る電子部品供給装置は、電子部品をキャリアテープの収納部に収納し、キャリアテープの表面をトップカバーテープで覆った電子部品搬送体を巻いたリールを保持するリール保持部と、リールから引き出された電子部品搬送体からトップカバーテープを剥離するテープ剥離部とを有する。
【0011】
そして、電子部品供給装置は、リール保持部、またはリール保持部からテープ剥離部に至る搬送路に、湿度調整装置を設けたものである。
ここで、湿度調整装置とは、加湿機能のみであっても良く、加湿機能と除湿機能を共に備えていても良い。
【0012】
電子部品は湿気を嫌うため、一般に、電子部品搬送体を巻いたリールは、乾燥剤が入れられ密封されたアルミ製の袋等のパッケージの中に収納されている。
【0013】
このため、電子部品搬送体の一部を構成するキャリアテープは、乾燥しているので、電気抵抗値(表面抵抗値)が高い。この乾燥した状態のキャリアテープからトップカバーテープを剥離すると、剥離時に大きな静電気が発生するので、チップ形電子部品の静電気の帯電量は大きくなる。
【0014】
しかし、本発明においては、前記した構成によりキャリアテープの含有水分量を上げることができるので、キャリアテープの表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下の範囲にし、キャリアテープからトップカバーテープを剥離する際に発生する静電気を小さくすることができる。
【0015】
このため、キャリアテープの収納部に収納されたチップ形電子部品はトップカバーテープの剥離により生じる静電気の影響が小さくなる(静電気に帯電し難くなる)ので、本発明は電子部品実装装置の吸着パッドが電子部品を吸着する際に生じる吸着エラーを少なくすることができるという効果を奏する。
【0016】
尚、前記したように、湿度調整装置が加湿機能のみならず除湿機能を備えていても良いとした理由は、以下の通りである。
すなわち、例えば、電子部品搬送体を巻いたリールが高温多湿の環境で長時間置かれた場合は、キャリアテープの表面抵抗値が1×1010Ω未満となる場合があり得る。
【0017】
この場合は、湿度調整装置の除湿機能によりキャリアテープの含有水分量を少なくすることにより、キャリアテープの表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下の範囲にすることができる。そうすると、電子部品実装装置の吸着パッドが電子部品を吸着する際に生じる吸着エラーを少なくすることができるという効果を奏する。
【0018】
(第2発明)
第2発明に係る電子部品供給装置は、前記した第1発明において、さらに、リール保持部または搬送路における湿度、キャリアテープの含有水分量、またはキャリアテープの表面抵抗値を測定するセンサと、このセンサの出力に応じて湿度調整装置を制御する制御装置とを設けたものである。
【0019】
かかる構成により、キャリアテープの表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下の範囲に容易かつ高精度に制御することができるので、より確実に、電子部品実装装置の吸着パッドが電子部品を吸着する際に生じる吸着エラーを少なくすることができるという効果を奏する。
【0020】
(第3発明)
第3発明に係る電子部品供給装置は、電子部品をキャリアテープの収納部に収納し、キャリアテープの表面をトップカバーテープで覆った電子部品搬送体を巻いたリールを保持するリール保持部と、このリール保持部に保持されたリールから引き出された電子部品搬送体からトップカバーテープを剥離するテープ剥離部とを有するものである。
【0021】
そして、リール保持部、またはリール保持部からテープ剥離部に至る搬送路を前記電子部品搬送体の排出口を有するカバーで覆い、このカバー内部に、カバー内部の湿度を調整する湿度調整装置を設けたものである。
ここで、湿度調整装置とは、加湿機能のみであっても良く、加湿機能と除湿機能を共に備えていても良い。
【0022】
かかる構成により、カバー内部の湿度、キャリアテープの含有水分量、またはキャリアテープの表面抵抗値を所定の範囲に調節することができるので、電子部品搬送体が乾燥した環境で長時間保管されていた場合であっても、キャリアテープの表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下の範囲にし、キャリアテープからトップカバーテープを剥離する際に発生する静電気を小さくすることができる。
【0023】
このため、キャリアテープの収納部に収納された電子部品はトップカバーテープの剥離により生じる静電気の影響が小さくなるので、本発明は、電子部品実装装置の吸着パッドが電子部品を吸着する際に生じる吸着エラーを少なくすることができるという効果を奏する。
【0024】
(第4発明)
第4発明に係る電子部品供給装置は、前記した第3発明において、さらに、カバー内部の湿度、キャリアテープの含有水分量またはキャリアテープの表面抵抗値を測定するセンサと、このセンサの出力に応じて湿度調整装置を制御する制御装置とを設けたものである。
【0025】
かかる構成により、センサの出力に基づいて正確にカバー内の湿度、キャリアテープの含有水分量、またはキャリアテープの表面抵抗値を調整できるので、高精度にキャリアテープの表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下の範囲にすることができる。
【0026】
このため、より確実に、電子部品実装装置の吸着パッドが電子部品を吸着する際に生じる吸着エラーを少なくすることができるという効果を奏する。
【0027】
(第5発明)
第5発明に係る電子部品実装装置は、前記した第1〜4発明のいずれか1つに記載の電子部品供給装置を搭載したものである。
【0028】
かかる構成により、吸着パットが、電子部品供給装置から供給された電子部品を吸着する際に生じる吸着エラーを少なくすることができる電子部品実装装置を提供できるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、電子部品実装装置の吸着パットが電子部品供給装置から供給された電子部品を吸着する際に生じる吸着エラーを少なくすることができる電子部品供給装置および電子部品実装装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に本発明の実施例を示して、本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
本発明を図1乃至図6および図16により説明する。
図1は電子部品搬送体の斜視図、図2はキャリアテープの平面図、図3はキャリアテープの正面図、図4は電子部品供給装置の正面図、図5はカバーを付けた電子部品供給装置の正面図、図6は電子部品実装装置の斜視図、図16は電子部品供給装置の取り付け状態を示す斜視図である。
尚、説明を容易にするため、図5はカバーを透明にしたと仮定して図示している。
【0032】
(電子部品搬送体)
図1乃至図3に示すように、電子部品搬送体1は、キャリアテープ2とトップカバーテープ3とボトムテープ4とからなる。
【0033】
より詳しく説明すると、電子部品搬送体1は、長手方向に間隔をおいて複数の貫通穴5が形成された紙製のキャリアテープ2の下面に、アセテート製のボトムテープ4が貼り付けられている。このため、貫通穴5とボトムテープ4により収納部が形成されている。この収納部の各々にチップ形電子部品6が収納されている。
【0034】
そして、キャリアテープ2の上面には、樹脂(例えば、PETとPEの2層構造)製のトップカバーテープ3が貼り付けられ、電子部品搬送体1からチップ形電子部品6が落下しないようになっている。
【0035】
また、電子部品搬送体1はリール8に巻かれており、キャリアテープの短手方向の端部には、後述する電子部品供給装置が電子部品搬送体1を搬送するための送り孔7が長手方向に等間隔にあけられている。
【0036】
(電子部品供給装置の概要)
電子部品供給装置は、特開平05−21987号公報、特開平9−186487号公報、特開平11−46089号公報等に記載されたものの他、電子部品実装機メーカーから供給されているものを用いることができる。以下にその一例を説明する。
【0037】
図4は、電子部品供給装置9に、電子部品搬送体1を巻いたリール8をセットした状態を示した図である。
電子部品供給装置9の本体16の後端部には軸10が固定されている。この軸10にリール8の中央部にあけられた孔11を挿入することにより、電子部品供給装置9にリール8を取り付けることができる。
【0038】
リール8から引き出された電子部品搬送体1は、本体16の先端部26に取り付けられ電子部品搬送体1を所定ピッチずつ送る図示しないスプロケットに取り付けられている。
具体的には、スプロケットの周面に設けられた複数の係合刃が電子部品搬送体1の送り孔7に挿入されている。
【0039】
そして、図示しない電子部品実装装置から供給されるエアー、電気等により動作する駆動機構により間欠的に回転するスプロケットの動作によって、電子部品搬送体1はリール8から引き出される。
【0040】
電子部品供給装置9の本体16の先端部26には、テープ剥離部としての板12が取り付けられており、この板12により、リール8から引き出された電子部品搬送体1の上面に貼り付けられたトップカバーテープ3がキャリアテープ2の上面から剥離される。
【0041】
キャリアテープ2の上面から剥離されたトップカバーテープ3は、本体16の略中央部に取り付けられた巻き取りリール13により巻き取られる。
板12によりトップカバーテープ3を剥離されたキャリアテープ2は、電子部品供給装置9の本体16の先端部26に取り付けられたスプロケットの形状に沿って円弧状に彎曲し、電子部品供給装置9の本体16の略中央下部から排出される。
【0042】
尚、電子部品搬送体1の搬送(スプロケットの間欠駆動)および剥離したトップカバーテープ3の巻き取りリール13での巻き取りは、本体16に取り付けられた図示しないエアシリンダ等の駆動機構を用いて行なう。
また、電子部品供給装置9の下面には2本の位置決めピン15が付いており、図16に示す様に、この2本の位置決めピン15を電子部品実装装置の位置決め穴21に挿入することにより、電子部品供給装置9を電子部品実装装置にセットすることができる。
【0043】
そして、図示しない電子部品実装装置の吸着ヘッドは、板12によりトップカバーテープ3が剥離された直後の把持部14において、キャリアテープ2の収納部に収納されたチップ形電子部品6を吸着する。
【0044】
(本発明に係る電子部品供給装置)
図5に示す様に、本発明に係る電子部品供給装置61は、前記した電子部品供給装置9の軸10に保持されたリール8の全体を覆うカバー34と、このカバー34内に湿度調整装置としての加湿装置31を設けたものである。
ここで、加湿装置31は、例えば、特開2006−34766号公報に記載されたようなミスト加湿されたエアーを噴射する装置であることが望ましい。
【0045】
前記したカバー34は、電子部品供給装置61に固定されている。そして、カバー34には、蓋36が蝶番35により取り付けられており、蓋36をあけることにより軸10へのリール8の取付け、取り外しができるようになっている。
尚、リール8から引き出された電子部品搬送体1は、カバー34にあけられた排出口37からカバー34の外に引き出され、電子部品搬送体1の収納部に収納されたチップ形電子部品6が電子部品実装装置に供給される。
【0046】
電子部品供給装置61は、カバー34の内部に設けられた加湿装置31がミスト加湿されたエアーを噴射しているので、カバー34の内部を一定の湿度に保つことができる。このため、カバー34の内部に存するリール8に巻かれた電子部品搬送体1のキャリアテープ2と、リール8から引き出された電子部品搬送体1のキャリアテープ2は、紙製であるため吸湿するので含有水分量を上げることができる。
【0047】
キャリアテープ2の含有水分量とキャリアテープ2の表面抵抗値は比例関係にあるので、キャリアテープ2の含有水分量を所定の値にすることにより、キャリアテープ2の表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下の範囲にすることができる。
そうすると、キャリアテープ2からトップカバーテープ3が剥離することにより発生する静電気を低く抑えることができるので、キャリアテープ2の収納部に収納されたチップ形電子部品6がこの静電気の影響を受け難くなり、把持部14における図示しない吸着ヘッドによる吸着ミスを低く抑えることができる。
【0048】
(電子部品実装装置)
図6は、本発明に係る電子部品供給装置61を電子部品実装装置50の台52に3台取り付けた状態を示した図である。
本発明に係る電子部品実装装置50は、電子部品供給装置61から供給されたチップ形電子部品6を、把持部14において図示しない吸着ヘッドによりバキューム把持して、コンベア51により搬送された図示しないプリント配線基板に実装するものである。
【0049】
本発明に係る電子部品実装装置50は、本発明に係る電子部品供給装置61を用いた以外は一般的なチップ形電子部品を実装する電子部品実装装置であっても良い。一般的なチップ形電子部品の電子部品実装装置は、市販されており、特開平11−46089号公報、特開平08−242094号公報等の多くの文献が存在するので、これ以上の説明を省略する。
【0050】
(チップ形電子部品の吸着テスト結果)
図6に示す様に、本発明に係る電子部品供給装置61を、電子部品実装装置(ヤマハ発動機社製I−CUBE2)の台に取付け、カバー34の内部の湿度を変えて、チップ形電子部品(KOA株式会社製RK73B1ETTP)の吸着テストを実施した。その結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
キャリアテープの含有水分量を3.5%以下、4.8%、5.8%、6.8%、7.4%、7.6%、8.0%となるようにカバー34内部の湿度を調整し、それぞれのデータを採取した。
含有水分量は、吸着ヘッドがチップ形電子部品を吸着した直後のキャリアテープに水分計のプローブを接触させて測定した。尚、キャリアテープの含有水分量の測定は、サンコウ電子社製の水分計MR−200を用いて行った。
【0053】
その結果、キャリアテープの含有水分量が4.8%以上7.6%以下の場合に吸着成功率が99.3%以上となることがわかった。
ここで、キャリアテープの含有水分量とキャリアテープの表面抵抗値は比例関係にあるので、キャリアテープの含有水分量が4.8%の場合と、7.6%の場合の表面抵抗値を測定したところ、それぞれ1×1012Ω、1×1010Ωであった。
【0054】
以上より、本発明に係る電子部品供給装置61を用いて、電子部品搬送体を加湿することにより、キャリアテープの表面抵抗値が1×1010Ω以上1×1012Ω以下になるようにキャリアテープの含有水分量を調整すれば、電子部品実装装置の吸着成功率が99.3%以上にすることができることが分かる。
【実施例2】
【0055】
本発明の他の実施例を図7を用いて詳細に説明する。
図7は、電子部品供給装置の正面図である。説明を容易にするため、図7のカバーは透明であるものと仮定して図示している。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係る電子部品供給装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
本実施例2に係る電子部品供給装置62における実施例1との主な相違点は、カバー34の内部に、さらに除湿装置38を設けた点である。すなわち、本実施例2においては、湿度調整装置は、カバー34の内部に設けられた加湿装置31および除湿装置38により構成されている。
【0057】
実施例1に係る電子部品供給装置61は、カバー34の内部に加湿装置31しか無いため、電子部品搬送体1のキャリアテープ2の含有水分量を上げることしかできない。しかし、雨期においては、電子部品実装装置の周囲の湿度が高い場合があり得るので、この場合にキャリアテープ2の含有水分量を調整して、キャリアテープ2の表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下にすることは困難である。
【0058】
そこで、リール8を覆ったカバー34の内部に除湿装置38があれば、リール8に巻かれた電子部品搬送体1を乾燥させることができるので、キャリアテープ2の含有水分量を減らすことが可能である。
つまり、本実施例2に係る電子部品供給装置62は、キャリアテープ2の含有水分量がいかなる値あっても、湿度調整装置としての加湿装置31および除湿装置38によりカバー内部の湿度を調整することにより、キャリアテープ2の表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下にして、電子部品供給装置62をセットした電子部品実装装置の安定した高い吸着成功率を維持させることができる。
【実施例3】
【0059】
本発明の他の実施例を図8を用いて詳細に説明する。
図8は、電子部品供給装置の正面図である。説明を容易にするため、図8のカバーが透明であるものと仮定して図示している。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係る電子部品供給装置、電子部品実装装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
本実施例3に係る電子部品供給装置63における実施例1との主な相違点は、カバー34の内部に、キャリアテープ2の含有水分量を測定するセンサ33(水分計)と、このセンサ33の出力に基づいて湿度調整装置としての加湿装置31を制御する制御装置39を設けた点である。
【0061】
センサ33は、キャリアテープ2の2箇所にプローブ32を接触させ、キャリアテープ2の含有水分量を測定する。その測定データは、制御装置39に送られる。そして、制御装置39は、キャリアテープ2の表面抵抗値が1×1010Ω未満となるようなキャリアテープ2の含有水分量であれば、加湿装置31に対して、加湿装置31の動作を停止させる信号を送る。
その反対に、キャリアテープ2の表面抵抗値が1×1012Ωを超えるようなキャリアテープ2の含有水分量であれば、制御装置39は、加湿装置31に対して加湿量を多くするような動作をさせる信号を送る。
【0062】
つまり、電子部品供給装置33は、前記した電子部品供給装置31よりも高精度にキャリアテープ2の含有水分量を調整することができるので、キャリアテープ2の表面抵抗値を、より確実に1×1010Ω以上1×1012Ω以下にして、電子部品供給装置63をセットした電子部品実装装置の安定した高い吸着成功率を維持させることができる。
尚、本第3実施例において、センサ33は、前記したサンコウ電子社製の水分計MR−200を用いた。
【実施例4】
【0063】
本発明の他の実施例を図9を用いて詳細に説明する。
図9は、電子部品供給装置の正面図である。説明を容易にするため、図9のカバーが透明であるものと仮定して図示している。
尚、説明を分かり易くするため、実施例2に係る電子部品供給装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
本実施例4に係る電子部品供給装置64における実施例2との主な相違点は、カバー34の内部に、カバー34の内部の湿度を測定するセンサ40と、このセンサ40の出力に基づいて湿度調整装置としての加湿装置31および除湿装置38を制御する制御装置41を設けた点である。
センサ40の測定データは、制御装置39に送られる。そして、制御装置39は、キャリアテープ2の表面抵抗値が1×1010Ω未満となるような測定データ(湿度)であれば、加湿装置31に対して、加湿装置31の動作を停止させ、かつ、除湿装置38を動作させる信号を送る。
【0065】
その反対に、キャリアテープ2の表面抵抗値が1×1012Ωを超えるような測定データ(湿度)であれば、制御装置39は、除湿装置38の動作を停止させ、かつ、加湿装置31を動作をさせる信号を送る。
つまり、電子部品供給装置34は、前記した電子部品供給装置32よりも高精度にキャリアテープ2の含有水分量を調整することができるので、キャリアテープ2の表面抵抗値を、より確実に1×1010Ω以上1×1012Ω以下にして、電子部品供給装置64をセットした電子部品実装装置の安定した高い吸着成功率を維持させることができる。
【実施例5】
【0066】
本発明の他の実施例を図10を用いて詳細に説明する。
図10は、電子部品供給装置の正面図である。説明を容易にするため、図10のカバーが透明であるものと仮定して図示している。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係る電子部品供給装置、電子部品実装装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
本実施例5に係る電子部品供給装置65における実施例1との主な相違点は、カバー34を、リール保持部17ではなく、リール保持部17からテープ剥離部としての板12に至る電子部品搬送体1の搬送路に設けた点である。
つまり、カバー34は、2箇所の開口部を有しており、一方の開口部42からリール8から引き出された直後の電子部品搬送体1をカバー34の内部に受け入れ、他方の開口部(排出口37)から電子部品搬送体を排出し、電子部品搬送体1のトップカバーテープ3がテープ剥離部としての板12により剥離されるまで覆っている。
【0068】
そして、カバー34の内部には湿度調整装置としての加湿装置31が設けられているので、カバー34内部の電子部品搬送体1のキャリアテープ2の含有水分量を上昇させ、所定の値にすることができる。このため、実施例1に記載したように、キャリアテープ2の表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下にすることができるので、電子部品供給装置65をセットした電子部品実装装置の安定した高い吸着成功率を維持させることができる。
【実施例6】
【0069】
本発明の他の実施例を図11を用いて詳細に説明する。
図11は、電子部品供給装置の正面図である。説明を容易にするため、図11のカバーが透明であるものと仮定して図示している。
尚、説明を分かり易くするため、実施例5に係る電子部品供給装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
本実施例6に係る電子部品供給装置66における実施例5との主な相違点は、カバー34の内部にセンサ33(水分計)をリール保持部17からテープ剥離部としての板12に至る電子部品搬送体1の搬送路に設け、かつ、センサ33の出力に応じて湿度調整装置としての加湿装置31を動作させる制御装置39を本体16に設けた点である。
かかる構成であっても、前記した実施例3と同じ効果を得ることができる。
【0071】
また、図示は省略するが、さらに、カバー34の内部に除湿装置38を設け、加湿装置31および除湿装置38により湿度調整装置を構成しても良い。この場合は、前記した実施例4と同じ効果を得ることができる。
【実施例7】
【0072】
本発明の他の実施例を図12を用いて詳細に説明する。
図12は、電子部品供給装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係る電子部品供給装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
本実施例7に係る電子部品供給装置67における実施例1との主な相違点は、カバー34を無くして、湿度調整装置としての加湿装置31から出されるミスト加湿エアーを直接電子部品搬送体1に吹き付けている点である。
かかる構成により、キャリアテープ2の含有水分量を上昇させ、キャリアテープ2の表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下にすることができるので、電子部品供給装置67をセットした電子部品実装装置の安定した高い吸着成功率を維持させることができる。
【実施例8】
【0074】
本発明の他の実施例を図13を用いて詳細に説明する。
図13は、電子部品供給装置の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例7に係る電子部品供給装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
本実施例8に係る電子部品供給装置68における実施例7との主な相違点は、湿度調整装置としての加湿装置31から出されるミスト加湿エアーをリール8に巻かれた電子部品搬送体1に直接吹き付け、リール8から引き出された電子部品搬送体1の含有水分量を測定するセンサ32を設けた点である。
【0076】
センサ32の出力に応じて加湿装置31を動作させることにより、より高精度にキャリアテープ2の含有水分量を上昇させ、キャリアテープ2の表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下にすることができるので、電子部品供給装置67をセットした電子部品実装装置の安定した高い吸着成功率を維持させることができる。
尚、図示は省略するが、前記した構成に加えて、電子部品搬送体1に乾燥エアーを直接吹き付ける除湿装置38をリール保持部17、または電子部品搬送体1の搬送路に設け、加湿装置31および除湿装置38により湿度調整装置を構成しても良い。さらに、センサ32の出力に応じて、加湿装置31および除湿装置38を制御する制御装置を電子部品供給装置に設けても良い。
【実施例9】
【0077】
本発明の他の実施例を図14および図15を用いて詳細に説明する。
図14は電子部品供給装置および電子部品実装装置の斜視図、図15は蓋48を外したカバー47の一部の正面図である。
尚、説明を分かり易くするため、実施例1に係る電子部品供給装置および電子部品実装装置と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
本実施例9に係る電子部品供給装置69と実施例1に係る電子部品供給装置61との主な違いは、リール保持部が電子部品供給装置の本体から離れている点である。
すなわち、図14に示す様に、電子部品供給装置69は、部品供給カセット45と、複数のリール保持部46と、この複数のリール保持部46を囲ったカバー47とを有する。
【0079】
図15に示す様に、カバー47の内部は、複数のリール保持部46が設置されており、湿度調整装置としての加湿装置31および除湿装置38と、カバー47の内部の湿度を測定するセンサ40が、カバー47の内部に固定されている。
カバー47は、蓋48を閉じることにより、上面にあけられた排出口18以外が密閉されるので、センサ40の測定データに基づいて制御装置41が加湿装置31および除湿装置38を動作させることにより、カバー47の内部を一定の湿度に保つことができる。
【0080】
このため、カバー47の内部にある複数のリール8に巻かれた電子部品搬送体1のキャリアテープの含有水分量を一定にすることができるので、キャリアテープの表面抵抗値を1×1010Ω以上1×1012Ω以下にすることができる。
したがって、本実施例9に係る電子部品供給装置69および電子部品実装装置により、トップカバーテープ3をキャリアテープ2から剥離した際に生じる静電気を小さく抑えることができるので、キャリアテープ2の収納部に収納されたチップ形電子部品は静電気を帯びることが少なく、安定した高い吸着成功率を維持させることができる。
尚、排出口18は、カバー47の内部のリール保持部46に保持されたリール8から電子部品搬送体1をカバー47の外に引き出すための開口部である。
【0081】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0082】
前記した実施例においては、図1乃至図3に示したように電子部品搬送体1として、キャリアテープ2とトップカバーテープ3とボトムテープ4とからなるものを示した、つまり、キャリアテープの収納部がキャリアテープにあけた貫通孔の側面とボトムテープにより形成されるものを示したが、これに限定されるものではない。例えば、電子部品搬送体1が、凹部が形成されたキャリアテープ2とトップカバーテープ3とから構成され、ボトムテープの無いものであっても良い。
【0083】
また、前記した実施例9において、湿度調整装置としての加湿装置31および除湿装置40を設けたカバーを示したが、カバー内に少なくとも加湿装置31があれば良く、除湿装置は無くても良い。
また、センサとして湿度またはキャリアテープ2の含有水分量を測定するものを示したが、センサはキャリアテープ2の表面抵抗値を直接測定するものであっても良い。
さらに、前記した実施例9において、カバー47内に複数のリール保持部46を有するものを示したが、リール保持部46は1個であっても良い。
【0084】
また、前記した実施例においては、リール保持部の全部、またはリール保持部からテープ剥離部に至る搬送路の全部を前記電子部品搬送体の排出口を有するカバーで覆い、このカバー内部に、カバー内部の湿度を調整する湿度調整装置を設けたものを示したが、リール保持部の一部、またはリール保持部からテープ剥離部に至る搬送路の一部をカバーで覆っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、プリント配線基板にチップ形電子部品を実装するために用いる電子部品供給装置および電子部品実装装置に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】電子部品搬送体の斜視図である。(実施例1)
【図2】キャリアテープの平面図である。(実施例1)
【図3】キャリアテープの正面図である。(実施例1)
【図4】電子部品供給装置の正面図である。(実施例1)
【図5】カバーを付けた電子部品供給装置の正面図である。(実施例1)
【図6】電子部品実装装置の斜視図である。(実施例1)
【図7】電子部品供給装置の正面図である。(実施例2)
【図8】電子部品供給装置の正面図である。(実施例3)
【図9】電子部品供給装置の正面図である。(実施例4)
【図10】電子部品供給装置の正面図である。(実施例5)
【図11】電子部品供給装置の正面図である。(実施例6)
【図12】電子部品供給装置の正面図である。(実施例7)
【図13】電子部品供給装置の正面図である。(実施例8)
【図14】電子部品供給装置および電子部品実装装置の斜視図である。(実施例9)
【図15】蓋48を外したカバー47の一部の正面図である。(実施例9)
【図16】電子部品供給装置の取り付け状態を示す斜視図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0087】
1 電子部品搬送体
2 キャリアテープ
3 トップカバーテープ
5 貫通穴
6 チップ形電子部品
9 電子部品供給装置
17 リール保持部
19 カバー
31 加湿装置
38 除湿装置
41 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品をキャリアテープの収納部に収納し、該キャリアテープの表面をトップカバーテープで覆った電子部品搬送体を巻いたリールを保持するリール保持部と、
該リール保持部に保持された前記リールから引き出された前記電子部品搬送体から前記トップカバーテープを剥離するテープ剥離部とを有し、
前記リール保持部、または該リール保持部から前記テープ剥離部に至る搬送路に、湿度調整装置を設けたことを特徴とする電子部品供給装置
【請求項2】
さらに、前記リール保持部または前記搬送路における湿度、前記キャリアテープの含有水分量、または前記キャリアテープの表面抵抗値を測定するセンサと、
該センサの出力に応じて前記湿度調整装置を制御する制御装置とを設けた請求項1に記載の電子部品供給装置
【請求項3】
電子部品をキャリアテープの収納部に収納し、該キャリアテープの表面をトップカバーテープで覆った電子部品搬送体を巻いたリールを保持するリール保持部と、
該リール保持部に保持された前記リールから引き出された前記電子部品搬送体から前記トップカバーテープを剥離するテープ剥離部とを有し、
前記リール保持部、または該リール保持部から前記テープ剥離部に至る搬送路を前記電子部品搬送体の排出口を有するカバーで覆い、
該カバー内部に、該カバー内部の湿度を調整する湿度調整装置を設けたことを特徴とする電子部品供給装置
【請求項4】
さらに、前記カバー内部における湿度、前記キャリアテープの含有水分量、または前記キャリアテープの表面抵抗値を測定するセンサと、
該センサの出力に応じて前記湿度調整装置を制御する制御装置とを設けた請求項3に記載の電子部品供給装置
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の電子部品供給装置を搭載した電子部品実装装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−231521(P2009−231521A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74833(P2008−74833)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000251288)鈴鹿富士ゼロックス株式会社 (156)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【出願人】(000105350)コーア株式会社 (201)
【Fターム(参考)】