説明

電子部品実装ラインの管理システム

【課題】電子部品の装着に係る各生産作業装置の稼動状態の各状態を容易に把握して、もって基板生産運転効率の向上を図ること。
【解決手段】コンピュータ5は、データサーバ2から電子部品実装装置1Bの各イベント名情報と、そのイベントの開始時刻情報及び終了時刻情報とを取得し、作業管理者が入力手段5Aを操作して、時系列稼動データ、即ち指定された作成すべき期間内で時系列に前記各状態(各イベント)を示す稼動状態グラフを表示装置5Bに表示させることができる。即ち、作業管理者は入力手段5Aを操作して、先ず時系列稼動データを表示装置5Bに表示させるためのメニューを選択して、上段の電子部品実装ライン1の電子部品実装装置1Bについての時系列稼動データか、またこの時系列稼動データを表示装置5Bに表示させるための期間を指定し、またタブの切替えでグラフ表示を指定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に電子部品を装着するための複数の生産作業装置を備えた電子部品実装ラインの管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子部品実装ラインの管理システムは、例えば特許文献1などに開示されている。従来、各電子部品実装ライン毎にライン管理コンピュータが接続されて、電子部品装着に係る各種データが格納され管理されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−347859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、ラインの稼動状況については、電子部品の装着に係る各生産作業装置の稼動状態の各状態を、所定期間における累計時間などをモニタに表示させているのが、一般的である。これでは、ある時間帯における稼動状態がどのようなかを把握できず、基板の生産性の解析をして、運転時間を向上させることによる基板生産運転効率の向上が図れない。
【0005】
そこで本発明は、電子部品の装着に係る各生産作業装置の稼動状態の各状態を容易に把握して、もって基板生産運転効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため第1の発明は、基板上に電子部品を装着するための複数の生産作業装置を備えた電子部品実装ラインの管理システムにおいて、
前記各生産作業装置の稼動状態における各状態とこの各状態の開始時刻又は終了時刻に係る稼動データを格納する記憶装置と、
この記憶装置に格納された前記稼動データに基づいて指定された作成すべき期間内で時系列に前記各状態を示す稼動状態グラフを作成する作成装置と、
この作成装置により作成された時系列稼動状態グラフを表示する表示装置と
を設けたことを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、基板上に電子部品を装着するための複数の生産作業装置を備えた電子部品実装ラインの管理システムにおいて、
前記各生産作業装置の稼動状態における各状態とこの各状態の開始時刻又は終了時刻に係る稼動データを格納する記憶装置と、
この記憶装置に格納された前記稼動データに基づいて指定された作成すべき期間内で日列に前記各状態の比率を表す稼動状態グラフを作成する作成装置と、
この作成装置により作成された稼動状態グラフを表示する表示装置と
を設けたことを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、基板上に電子部品を装着するための複数の生産作業装置を備えた電子部品実装ラインの管理システムにおいて、
前記各生産作業装置の稼動状態における各状態とこの各状態の開始時刻又は終了時刻に係る稼動データを格納する記憶装置と、
この記憶装置に格納された前記稼動データに基づいて指定された前記生産作業装置、前記基板、作成すべき期間内でOEEチャートを作成する作成装置と、
この作成装置により作成されたOEEチャートを表示する表示装置と
を設けたことを特徴とする。
【0009】
第4の発明は、第3の発明において、前記OEEチャートは、横軸が時間で前記各生産作業装置の稼動状態における各状態の割合を示し、縦軸が前記基板の枚数でシミュレーションに対する実際の前記基板の生産枚数の割合を示すものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、電子部品の装着に係る各生産作業装置の稼動状態の各状態を容易に把握して、もって基板生産運転効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】複数の電子部品実装ラインの管理システムの概略図を示す。
【図2】稼動状態における作業状態の解析に係るフローチャートを示す図である。
【図3】終点イベント分類に係るフローチャートを示す図である。
【図4】時系列稼動データが表示された画面を示す図である。
【図5】日別の稼動情報集計データが表示された画面を示す図である。
【図6】プリント基板の生産機種別稼動情報集計データが表示された画面を示す図である。
【図7】OEEチャートが表示された画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき本発明の実施形態につき説明する。図1は基板上に電子部品を装着する電子部品実装ラインの管理システムの概略図であり、図1では2つの電子部品実装ライン1があり、各電子部品実装ライン1は基板であるプリント基板上に半田クリームを塗布する印刷機1Aと、プリント基板上に電子部品を装着する電子部品実装装置1B、1C、1Dとを備えているが、これらの生産作業装置に限らず、実装ライン1に電子部品の実装に係る他の生産作業装置も含んでもよく、各生産作業装置は記憶装置、計算装置及び制御装置などを備え、また時計機能も備えている。
【0013】
図1における上段、下段の電子部品実装ライン1は通信回線を介してそれぞれデータサーバ2、3に接続され、この両データサーバ2、3は通信回線を介してコンピュータ5に接続されている。前記データサーバ2、3は各電子部品実装ライン1を構成する各生産作業装置で作業をした生産に係るデータを記憶し、コンピュータ5がこの前記データサーバ2、3に格納された前記データを取得し、稼動状態の集計などを行う。
【0014】
そして、前記データサーバ2、3は担当する電子部品実装ライン1で扱う電子部品ID毎の電子部品の特徴に関する部品ライブラリデータと、担当する電子部品実装ライン1で生産するプリント基板Pの機種毎の生産作業装置を動かすためのパターンプログラムデータとが格納されている。また、コンピュータ5も担当する上段及び下段の電子部品実装ライン1で扱う電子部品ID毎の電子部品の特徴に関する部品ライブラリデータと、担当する電子部品実装ライン1で生産するプリント基板Pの機種毎の生産作業装置を動かすためのパターンプログラムデータとを格納する。
【0015】
そして、前記コンピュータ5にはキーボード等の入力手段5A及びモニターなどの表示装置5Bが接続されており、これらの部品ライブラリデータやパターンプログラムデータを作成することもできる。
【0016】
前記部品ライブラリデータは、形状データ・認識データ・制御データ・部品供給データから構成される。即ち、この部品ライブラリデータとして、この部品ID毎に電子部品の特徴を表す電子部品のX方向、Y方向の長さ、厚さ情報等のデータ(前記形状データ)や及び使用吸着ノズルのノズルIDに関するデータ(前記制御データ)等が格納されている。
【0017】
前記パターンプログラムデータは、プリント基板PのX方向・Y方向のサイズ、厚み、基板認識の有無などから構成される基板情報データと、その装着順序毎(ステップ番号毎)に、プリント基板P内でのX座標、Y座標、角度情報、電子部品を供給する部品供給ユニットの配置番号等から構成される装着データと、各部品供給ユニットのフィーダベース上における配置番号に対応した各電子部品の種類の情報である部品配置データと、どの装着ヘッドのどの位置にどの種類の吸着ノズル(電子部品を部品供給ユニットから吸着して取出す)が装着されているかを示すノズル配置データと、電子部品実装ライン1における何番目の装置のどの装置機種かに係る装置情報などから構成される。
【0018】
先ず、前記データサーバ2、3は担当する電子部品実装ライン1を構成する各生産作業装置で作業をした生産に係るデータを各生産作業装置から受信して記憶し、例えば何時から何時まで、どんなプリント基板を生産したかなどのデータが各生産作業装置から受信して記憶している。
【0019】
次に、図2のフローチャートに基づいて、例えばこの生産作業装置としての電子部品実装装置1Bの稼動状態を解析する動作について、以下説明する。初めに、前記コンピュータ5には入力手段5Aを操作して、どの電子部品実装ライン1におけるどの生産作業装置の稼動状態を解析するかを選択を行う。ここで、上段の電子部品実装装置1Bを構成する電子部品実装装置1Bが選択されたものとして、以下説明する。
【0020】
そして、前記コンピュータ5は、前記データサーバ2に行毎に格納されている電子部品実装装置1Bの稼動状態の各状態(以下、「イベント」という。)に係る全ての行のデータを取得する(ステップS1)。なお、このイベントには、「運転」、「待ち」、「段取り」、「計画外停止」、「計画停止」というようなものがあり、行毎に「イベント」名と開始時刻又は終了時刻が格納されている。
【0021】
この「運転」は電子部品実装装置1Bが実際にプリント基板上に電子部品を装着するために生産運転をしている状態を意味し、「待ち」は広い意味では運転中ではあるが、プリント基板を待っている状態とかで実際には生産運転をしていない待ちの状態を意味し、「段取り」はプリント基板の機種切替えのために段取り動作をしている状態を意味し、「計画外停止」は装置にトラブルが発生して運転を停止している状態を意味し、「計画停止」は生産計画に従い運転を停止している状態を意味する。
【0022】
そして、次に、コンピュータ5は起点イベント分類検索を行う(ステップS2)。即ち、電子部品実装装置1Bの稼動状態の各イベントに係る全ての行のデータのうち、最初のイベントの起点を検索し、そのイベントが「運転」であれば運転の開始時刻を取得する(ステップS3)。
【0023】
そして、そのイベントが「運転」であれば、その生産をしているプリント基板の生産機種名を取得する(ステップS4)。次に、次のイベント行を取得し(ステップS5)、1枚のプリント基板の生産が完了した場合には、図示しないカウンタで基板の生産枚数を「1」インクリメントする(ステップS6)。
【0024】
次に、終点イベント分類検索を行う(ステップS7)。即ち、前述したような起点イベントが「運転」であれば、終了イベントは「停止」か「待ち」であり、この終了イベントを検索できない場合にはステップS5に戻り、例えばイベント「待ち」を検索したら(ステップS7)、運転の終了時刻を取得する(ステップS8)。この終了イベント分類検索については、図3に基づき、後述する。
【0025】
この運転の終了時刻を取得したら、次にそのイベント「運転」の経過時間を算出する(ステップS9)。そして、この終了イベント「待ち」を起点イベントとして(ステップS10)、ステップS2に戻る。
【0026】
ここで、終了イベント分類検索について、図3に基づき説明すると、コンピュータ5は先ずイベントが「運転」か否かを判断し(ステップS11)、「運転」の場合には、終了イベントは「停止」イベントか「待ち」イベントである。
【0027】
また、イベントが「運転」でないと判断した場合には、次にイベントが「待ち」か否かを判断し(ステップS12)、「待ち」の場合には、終了イベントは「運転」イベントか「停止」(「計画外停止」、「計画停止」のどちらでもよい。)イベントである。
【0028】
また、イベントが「待ち」でないと判断した場合には、次にイベントが「段取り」か否かを判断し(ステップS13)、「段取り」の場合には、終了イベントは「運転」イベント、「待ち」イベント、「停止」(「計画外停止」、「計画停止」のどちらでもよい。)イベントのいずれかである。
【0029】
そして、イベントが「段取り」でないと判断した場合には、次にイベントが「計画外停止」か否かを判断し(ステップS14)、「計画外停止」の場合には、終了イベントは「運転」イベント、「待ち」イベント、「段取り」イベントのいずれかである。
【0030】
また、イベントが「計画外停止」でないと判断した場合には、次にイベントが「計画停止」か否かを判断し(ステップS15)、「計画停止」の場合には、終了イベントは「運転」イベント、「待ち」イベント、「段取り」イベントのいずれかである。
【0031】
以上のように、図2及び図3のフローチャートからわかるように、前記コンピュータ5は各データサーバ2、3にアクセスして、各生産作業装置の稼動状態がどの状態であるか、即ち「運転」、「待ち」、「段取り」、「計画外停止」、「計画停止」のいずれかの状態であることがわかり、しかもその開始時刻及び終了時刻もわかる。
【0032】
従って、前記コンピュータ5は、前記データサーバ2から電子部品実装装置1Bの各イベント名情報と、そのイベントの開始時刻情報及び終了時刻情報とを取得し、作業管理者が入力手段5Aを操作して、図4に示すような時系列稼動データ、即ち指定された作成すべき期間内で時系列に前記各状態(各イベント)を示す稼動状態グラフを表示装置5Bに表示させることができる。
【0033】
即ち、作業管理者は入力手段5Aを操作して、先ず時系列稼動データを表示装置5Bに表示させるためのメニューを選択して、どの電子部品実装ライン1のどの生産作業装置(例えば、上段の電子部品実装ライン1の電子部品実装装置1B)についての時系列稼動データか、またこの時系列稼動データを表示装置5Bに表示させるための期間(例えば、7月23日の午前10:00〜午後10:00)を指定し、またタブ7Bの切替えでグラフ表示を指定する。
【0034】
そして、作業管理者が表示装置5Bに表示されたタッチパネルスイッチである「集計」スイッチ部7Aを押圧操作すると、前記コンピュータ(作成装置)5は前記データサーバ2から上段の電子部品実装ライン1の電子部品実装装置1Bの各イベント名情報と、そのイベントの開始時刻情報及び終了時刻情報とを取得し、図4に示すような時系列に稼動状態を示すグラフを作成し、表示装置5Bに表示させる。
【0035】
この図4によれば、7月23日の午前10:00から「運転」が開始して、1時間程度「運転」を継続した後に運転を停止して、午前11:00から「待ち」となってこの「待ち」を6分間程度継続した後に「待ち」を終了し、次に「段取り」に移行したというようなことが、時系列で各生産作業装置の稼動状態がどの状態であるかが一目瞭然に理解することができる。
【0036】
また、前記コンピュータ5が前記データサーバ2から電子部品実装装置1Bの各イベント名情報と、そのイベントの開始時刻情報及び終了時刻情報とを取得し、作業管理者が入力手段5Aを操作して、図5に示すような日別の稼動情報集計データ、即ち指定された作成すべき期間内で日列に前記各状態(各イベント)の比率を表す稼動状態グラフを表示装置5Bに表示させることができる。
【0037】
即ち、作業管理者は入力手段5Aを操作して、先ず日別の稼動情報集計データを表示装置5Bに表示させるためのメニューを選択して、どの電子部品実装ライン1のどの生産作業装置(例えば、上段の電子部品実装ライン1の電子部品実装装置1B)についての日別の稼動情報集計データか、またこの日別の稼動情報集計データを表示装置5Bに表示させるための期間(例えば、12月1日から12月6日までの期間)を指定し、またタブ7Bの切替えでグラフ表示を指定する。
【0038】
そして、作業管理者が表示装置5Bに表示されたタッチパネルスイッチである「集計」スイッチ部7Aを押圧操作すると、前記コンピュータ5は前記データサーバ2から上段の電子部品実装ライン1の電子部品実装装置1Bの各イベント名情報と、そのイベントの開始時刻情報及び終了時刻情報とを取得し、図5に示すような日別の稼動状態を示すグラフを作成し、表示装置5Bに表示させる。
【0039】
この図5によれば、12月1日から12月6日までの期間において、日別に各生産作業装置の稼動状態がどの状態であるかが一目瞭然に理解することができる。なお、この各日のグラフにおける最下部分は、「運転」で、その上部分は「待ち」で、順にその上部分は、「段取り」、「計画外停止」、「計画停止」(最上部分)であり、特に日毎に1日における夫々の状態が占める割合が容易に理解できる。
【0040】
さらに、前記コンピュータ5が前記データサーバ2から電子部品実装装置1Bの各イベント名情報と、そのイベントの開始時刻情報及び終了時刻情報とを取得し、作業管理者が入力手段5Aを操作して、図6に示すようなプリント基板の生産機種別稼動情報集計データを表示装置5Bに表示させることができる。
【0041】
即ち、作業管理者は入力手段5Aを操作して、先ずプリント基板の生産機種別稼動情報集計データを表示装置5Bに表示させるためのメニューを選択して、どの電子部品実装ライン1のどの生産作業装置(例えば、上段の電子部品実装ライン1の電子部品実装装置1B)についての生産機種別稼動情報集計データか、またこの生産機種別稼動情報集計データを表示装置5Bに表示させるための期間(例えば、7月10日から7月11日までの期間)を指定し、図6に示す表を表示させる。
【0042】
そして、図6に示す表において、作業管理者は入力手段5Aを操作して、行を指定して、結果としてどの生産作業装置(上段の電子部品実装ライン1の電子部品実装装置1B)の、どのくらいの期間(7月10日の22:05〜7月11日の06:33)の、プリント基板のどの機種(PP DATA1)についてのOEE(Overall Equipment Efficiency)チャートを作成するかを指定する。すると、コンピュータ5は図7に示すOEEチャートを作成することとなる。
【0043】
前記OEEとは、設備総合効率のことである。生産作業装置の稼動時間の中で、生産作業装置の故障、段取り替え等のロスタイムを減少させることによって、生産作業装置がプリント基板の生産に利用される時間の比率を高めるための手法である。
【0044】
そして、このOEEチャートの横軸は時間で、縦軸はプリント基板の枚数であって、このOEEは(運転時間÷総時間)×((基板生産枚数−不良基板枚数)÷理論生産枚数)で表される。ここで、総時間は7月10日の22:05〜7月11日の06:33の8時間28分(8:28、508分)で、「運転」時間は4時間18分(4:18、258分)で、「待ち」時間は1時間47分(1:47、107分)で、「段取り」時間は53分(0:53)で、「計画外停止」時間は18分(0:18)で、「計画停止」時間は1時間12分(1:12、72分)である。
【0045】
そして、上段の電子部品実装ライン1の電子部品実装装置1Bが生産処理したプリント基板の生産機種名PP DATA1に係る前記パターンプログラムデータ(基板情報データ、装着データ、部品配置データ、ノズル配置データ等)に従って、総時間の8時間28分をシミュレーション時間として、コンピュータ5がシミュレーションすると、理論生産枚数は1000枚となる。この場合、実際の基板生産枚数510枚であるが、不良基板枚数は作業管理者が確認したら40枚(品質ロス)であった。このため、(運転時間÷総時間)は258分÷508分で約0.51となり、(基板生産枚数−不良基板枚数)÷理論生産枚数は(510枚−40枚)÷1000枚で0.47であり、OEEは約0.24(24%)となる。
【0046】
従って、電子部品実装装置1Bにおけるプリント基板の生産機種名PP DATA1に係る稼動状態の各状態は総時間に占める割合が、「運転」時間が約51%、「待ち」時間は約21%、「段取り」時間は約10%、「計画外停止」時間は約4%、「計画停止」時間は約14%で、OEEは約24%であり、この作成されたOEEチャートの横軸を見ると、稼動状態の各状態が容易に理解できる。
【0047】
また、縦軸を見ると、理論生産枚数が1000枚で、実際の基板生産枚数が510枚で、不良生産枚数が40枚であり、稼動ロスは490枚(49%)、品質ロスは40枚(4%)、OEEは470枚(47%)であり、OEEは約0.24(24%)であることが、容易に理解できる。
【0048】
このため、作業管理者はこの設備総合効率の度合を理解し、電子部品実装装置の稼動時間の中で、この実装装置の故障等のロスタイムを減少させることによって、実装装置がプリント基板の生産に利用される時間の比率を高めることができる。
【0049】
なお、電子部品実装ライン1の各生産作業装置に設けられた記憶装置に前記各生産作業装置の稼動状態における各状態とこの各状態の開始時刻又は終了時刻に係る稼動データを格納するばかりか、この各生産作業装置の記憶装置に格納された前記稼動データをコンピュータ5が取得するようにしてもよく、この場合には必ずしもデータサーバ2、3を設けなくともよい。
【0050】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0051】
1 電子部品実装ライン
1B、C、D 電子部品実装装置
2、3 データサーバ
5 コンピュータ
5A 入力手段
5B 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に電子部品を装着するための複数の生産作業装置を備えた電子部品実装ラインの管理システムにおいて、
前記各生産作業装置の稼動状態における各状態とこの各状態の開始時刻又は終了時刻に係る稼動データを格納する記憶装置と、
この記憶装置に格納された前記稼動データに基づいて指定された作成すべき期間内で時系列に前記各状態を示す稼動状態グラフを作成する作成装置と、
この作成装置により作成された時系列稼動状態グラフを表示する表示装置と
を設けたことを特徴とする電子部品実装ラインの管理システム。
【請求項2】
基板上に電子部品を装着するための複数の生産作業装置を備えた電子部品実装ラインの管理システムにおいて、
前記各生産作業装置の稼動状態における各状態とこの各状態の開始時刻又は終了時刻に係る稼動データを格納する記憶装置と、
この記憶装置に格納された前記稼動データに基づいて指定された作成すべき期間内で日列に前記各状態の比率を表す稼動状態グラフを作成する作成装置と、
この作成装置により作成された稼動状態グラフを表示する表示装置と
を設けたことを特徴とする電子部品実装ラインの管理システム。
【請求項3】
基板上に電子部品を装着するための複数の生産作業装置を備えた電子部品実装ラインの管理システムにおいて、
前記各生産作業装置の稼動状態における各状態とこの各状態の開始時刻又は終了時刻に係る稼動データを格納する記憶装置と、
この記憶装置に格納された前記稼動データに基づいて指定された前記生産作業装置、前記基板、作成すべき期間内でOEEチャートを作成する作成装置と、
この作成装置により作成されたOEEチャートを表示する表示装置と
を設けたことを特徴とする電子部品実装ラインの管理システム。
【請求項4】
前記OEEチャートは、横軸が時間で前記各生産作業装置の稼動状態における各状態の割合を示し、縦軸が前記基板の枚数でシミュレーションに対する実際の前記基板の生産枚数の割合を示すものであることを特徴とする請求項3に記載の電子部品実装ラインの管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−33070(P2012−33070A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173086(P2010−173086)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】