説明

電子部品実装体の製造方法

【課題】樹脂コアを有するバンプ電極を備えた電子部品を簡便かつ確実に実装でき、歩留まりよく電子部品実装体を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明の電子部品実装体の製造方法は、コアとなる樹脂の表面に導電膜が形成されたバンプ電極を有する電子部品と、金属端子を有する基板とを電気的に接続してなる電子部品実装体の製造方法であって、電子部品の少なくともバンプ電極を加熱し、樹脂の硬度を上昇させる加熱工程と、硬度を上昇させたバンプ電極を金属端子に接触させた状態で電子部品を基板に押圧し、電子部品を実装する実装工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドライバーIC等の電子部品をフレキシブル基板上に実装する、いわゆるCOF(Chip On FPC)構造と称される実装構造が知られている。
このような実装構造に用いられるフレキシブル基板には、配線パターンに接続するAu、Sn等の金属からなるランド(端子)が形成されている。一方、電子部品の表面には、絶縁膜を介してランドと電気的接続を得るためのバンプ電極が形成され、このバンプ電極は、絶縁膜上に露出した電極に導通されることで電子部品の電極としての機能を有する。
バンプ電極としては、コアとなる凸条形状の樹脂の表面がAuまたはAu合金からなる導電膜で覆われた構造の樹脂コアバンプが多く用いられている。そして、このランドにバンプ電極を接続させた状態で、フレキシブル基板上に電子部品を実装することにより、電子部品の実装構造体が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記の電子部品の実装構造体においては、フレキシブル基板上に電子部品がより強固にかつ確実に接続していることが望まれている。特に、ランドやバンプ電極がそれぞれ複数ずつあり、複数のランド−バンプ電極間をそれぞれ接続させる場合には、全てのランド−バンプ電極間が良好に接続していることが、信頼性を確保するうえで重要となっている。
この実装構造体のバンプ電極は、コアとなる樹脂の表面が導電膜で覆われた構造であるから、従来のAu等の金属からなるバンプと比べて狭ピッチ化が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−049225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の電子部品の実装方法では、バンプ電極(樹脂コア)を加熱加圧により変形させて基板との接続を行うが、Au−Au接合などの金属接合によりバンプ電極と基板上の端子とを接続するためにバンプ電極を加熱すると、樹脂コアが軟化して潰れ過ぎてしまう場合があった。このように樹脂コアが潰れてしまうと、電子部品の能動面と基板上の配線とがショートしてしまうため、実装条件の設定が難しくなる場合があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、樹脂コアを有するバンプ電極を備えた電子部品を簡便かつ確実に実装でき、歩留まりよく電子部品実装体を製造する方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品実装体の製造方法は、コアとなる樹脂の表面に導電膜が形成されたバンプ電極を有する電子部品と、金属端子を有する基板とを電気的に接続してなる電子部品実装体の製造方法であって、前記電子部品の少なくとも前記バンプ電極を加熱し、前記樹脂の硬度を上昇させる加熱工程と、硬度を上昇させた前記バンプ電極を前記金属端子に接触させた状態で前記電子部品を前記基板に押圧し、前記電子部品を実装する実装工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
この製造方法によれば、電子部品を実装する実装工程に先立って、バンプ電極の樹脂の硬度を上昇させる加熱工程を有していることで、実装工程において電子部品を加熱したときに樹脂が軟化するのを防止することができ、実装時の基板上の金属端子の押圧力によって樹脂が過度に変形してしまうのを防止することができる。これにより、実装条件を厳密に制御する必要がなくなり、電子部品実装体を容易に製造することができる。また、バンプ電極が潰れるのを防止できることから、基板上の金属端子と電子部品の表面とが接触するのを防止できるので、金属端子と電子部品の短絡等の不具合の発生を防止でき、歩留まりよく電子部品実装体を製造することができる。
【0009】
前記加熱工程が、前記電子部品が載置された載置台から圧着ツールを用いて前記電子部品を搬出し、前記圧着ツールに支持された前記電子部品を加熱する工程であり、前記実装工程が、加熱後の前記電子部品を前記圧着ツールを用いて前記基板上に移動させ、前記基板に実装する実装工程である製造方法としてもよい。
この製造方法によれば、電子部品の実装に用いる圧着ツールに支持した状態で電子部品を加熱するので、実装処理の直前にバンプ電極の樹脂を適切な硬度に調整することができる。
【0010】
前記加熱工程が、前記圧着ツールに設けられた加熱手段により前記電子部品を加熱する工程である製造方法としてもよい。
この製造方法によれば、従来と同様の実装装置を用いて容易に実施できる製造方法となる。
【0011】
前記加熱工程が、加熱手段を有する載置台に前記電子部品を載置した状態で前記加熱手段により前記電子部品を加熱する工程であり、前記実装工程が、前記電子部品を圧着ツールを用いて前記載置台から前記基板上へ搬送し、前記基板に実装する工程である製造方法としてもよい。
この製造方法によれば、複数の電子部品を一括して加熱することができるので、効率良く電被部品実装体を製造することができる。
【0012】
前記加熱工程が、加熱装置を用いて前記電子部品を加熱する工程であり、加熱後の前記電子部品を前記加熱装置から載置台へ搬送する搬送工程を有し、前記実装工程が、前記電子部品を圧着ツールを用いて前記載置台から前記基板上へ搬送し、前記基板に実装する工程である製造方法としてもよい。
この製造方法によれば、載置台からの電子部品のピックアップ動作中にも加熱装置を用いて電子部品の加熱を行うことができるので、さらに効率良く電子部品実装体を製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る製造方法を実施可能な実装装置を示す図。
【図2】製造対象の電子部品実装体(実装構造体)を示す側面図。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図。
【図4】電子部品及びフレキシブル基板を示す図。
【図5】第1実施形態の製造方法のフローチャート。
【図6】実装工程の説明図。
【図7】実装工程の説明図。
【図8】第2の実施形態に係る製造工程を示すフローチャート。
【図9】第3の実施形態に係る実装装置を示す図。
【図10】第3の実施形態に係る製造工程を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0015】
(第1の実施形態)
[実装装置]
図1は、第1の実施形態に係る製造方法を実施可能な実装装置を示す図である。
図1に示す実装装置100は、実装部101と、ウェハ供給部102と、制御部103とを備えている。
実装部101は、基台110と、載置台111と、カメラ114と、実装ステージ115と、圧着ツール116と、カメラ117と、搬送レール118とを備えて構成されている。
ウェハ供給部102は、マガジン載置部121と、ウェハ搬送部122とを備えている。
制御部103は、実装装置100を総合的に制御する装置であり、各部の動作状況を管理しつつ電子部品の実装動作を実行する。
【0016】
実装部101において、概略平板状の基台110上に、載置台111、カメラ114及び実装ステージ115が設けられている。載置台111には、ダイシングシート202上に保持されたウェハ201が載置される。ウェハ201は、ダイシングにより個片化された複数の電子部品4を含む。カメラ114は圧着ツール116に保持された電子部品4を撮像する。実装ステージ115には、電子部品4が実装されるフレキシブル基板2が載置される。
【0017】
圧着ツール116は、略鉛直方向に移動自在の加熱保持部119を備えている。本実施形態の場合、加熱保持部119は、電子部品4を真空吸着させるとともに、図示略の加熱手段を動作させることにより、吸着保持した電子部品4を所定温度に加熱可能に構成されている。加熱手段としては、電熱ヒーター等の公知の構成を採用することができる。加熱手段は、加熱保持部119に内蔵されていてもよく、圧着ツール116の本体部に設けられ、加熱保持部119に熱を供給する構成であってもよい。
【0018】
カメラ117は、載置台111上のウェハ201及び実装ステージ115上のフレキシブル基板2を撮像する。圧着ツール116とカメラ117は、図示略のキャリッジに支持されており、このキャリッジを搬送レール118上で走行させることにより、載置台111と実装ステージ115との間を往復移動可能に構成されている。
【0019】
ウェハ供給部102において、マガジン載置部121は、上面にマガジン210を載置した状態で図示略の昇降手段によりマガジン210を実装部101に対して昇降させ、内部に収容しているウェハ201を載置台111に対して位置合わせする。
【0020】
ウェハ搬送部122は、ウェハ201(ダイシングシート202)の形状に応じた先端形状を有するアーム123を備えている。アーム123は、図示略の駆動機構により水平方向に移動され、マガジン載置部121上のマガジン210内へ挿脱可能である。ウェハ搬送部122は、アーム123を水平移動させることにより、ウェハ201をマガジン210と載置台111との間で搬送する。
【0021】
[電子部品実装体の製造方法]
次に、実装装置100を用いて製造可能な電子部品実装体とその製造方法について説明する。
図2は、製造対象の電子部品実装体(実装構造体)を示す側面図である。図3は、図1のA−A線に沿う断面図である。図4は、電子部品及びフレキシブル基板を示す図である。
【0022】
<電子部品実装体>
まず、製造対象の電子部品実装体について説明する。
電子部品実装体10は、図2及び図3に示すように、フレキシブル基板(可撓性基板)2と電子部品4とを接続した構成を備えている。かかる電子部品実装体10は、実装装置100を用いて製造することができる。
【0023】
フレキシブル基板2は、プラスチックフィルム基板等の可撓性を有する基板11と、基板11上に形成された複数の金属端子12とを備えている。金属端子12は、基板11上に形成された配線パターンと接続されている。なお、基板11は、ガラス基板やプリント基板、半導体基板などの可撓性を有しない基板であってもよい。
【0024】
金属端子12は、Au、Sn、Al、Cu等の単体金属や、Au合金、Sn合金、Al合金、Cu合金等の合金により形成されたストライプ状の金属膜により形成されている。金属端子12は数μm程度の厚い金属膜からなり、その横断面(幅方向の断面)の形状は、略台形状である。
【0025】
電子部品4は、ドライバーIC等の半導体素子(図示略)が内蔵された絶縁材料からなるパッケージ21と、パッケージ21の能動面21aに形成された絶縁膜22と、絶縁膜22上に突設されるとともに上記半導体素子と導通するバンプ電極23と、を備えている。
【0026】
なお、本実施形態では能動面21a上にバンプ電極23が形成された電子部品4を例示しているが、能動面21aと反対側の面にバンプ電極23が形成された構成であってもよい。またバンプ電極23が、半導体素子ではなくパッケージ上に併設されたキャパシタやインダクタなどの受動素子に接続されている構成であってもよい。
【0027】
バンプ電極23は、図2及び図4(a)に示すように、絶縁膜22上に形成された断面略半円状の凸条である樹脂24と、樹脂24の外周面に形成された複数の帯状の導電膜25と、を備えている。バンプ電極23は、樹脂24をコアとし、その表面に形成された導電膜25を電極とする樹脂コアバンプである。
【0028】
樹脂24は、絶縁性を有する熱硬化成分を含む樹脂材料からなるもので、具体的には、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。樹脂24は、公知のリソグラフィ技術やエッチング技術により断面半円状の凸条に形成されている。
なお、樹脂の材質(硬度)や形状については、フレキシブル基板2の金属端子12の形状や大きさ等により適宜、選択・設計される。例えば、樹脂24は、断面半楕円状、断面略台形状の凸条であってもよい。
【0029】
導電膜25は、図4(a)に示すように、樹脂24の外周面に所定の間隔で複数形成され、樹脂24の外周面から幅方向の両側へ延びている。そして、導電膜25は、絶縁膜22に形成された図示略のコンタクトホールを介して、能動面21aの半導体素子等と電気的に接続されている。したがって導電膜25は、電子部品4の外部接続端子として機能する。また複数の導電膜25は樹脂24の長手方向に沿って間隔を空けて設けられており、各々の導電膜25が能動面21aに形成された半導体素子の端子に接続されている。
【0030】
導電膜25は、金属又は合金により構成され、例えば、Au、Cu、Cr、Ni、Ti、W、Al、Pd、及びそれらの合金(例えば、TiW、NiV等)、鉛フリーはんだ等を用いることができる。導電膜25は、単層の金属からなるものとしてもよく、複数の金属膜を積層した積層膜としてもよい。
【0031】
導電膜25の形成方法は特に限定されず、スパッタ法等の公知の成膜法で成膜し、その後帯状にパターニングしたものであってもよく、無電解メッキにより選択的に形成したものであってもよい。また、スパッタ法や無電解メッキにより下地膜を形成し、その後電解メッキにより下地膜上に上層膜を形成し、これら下地膜と上層膜とからなる積層膜により導電膜25を形成してもよい。
導電膜25を構成する金属あるいは合金の種類、層構造、形成方法、膜厚、幅等については、上述した樹脂24と同様に、フレキシブル基板2の金属端子12の形状や大きさ等により適宜、選択・設計される。
【0032】
フレキシブル基板2は、図4(b)に示すように、基板11上に、先端に金属端子12を有する複数の配線が形成された構成を備えている。基板11の辺縁から基板中央部へ向かって延びる配線が互いに対向して配置された領域が、電子部品4が実装される実装領域11Aである。
【0033】
上記構成を備えた電子部品4とフレキシブル基板2との接続構造は、図3に示すように、バンプ電極23の導電膜25に対してフレキシブル基板2の金属端子12が押し込まれ、樹脂24が一部変形した状態で金属端子12の上面と導電膜25とが金属接合している。かかる構造により、導電膜25と金属端子12とが電気的に接続されている。本実施形態の電子部品実装体10では、金属端子12と導電膜25とが金属接合されているため、端子の接合部で十分な強度を得ることができ、NCP(Non-Conductive Paste)などのアンダーフィル材を充填することなく簡便に低抵抗の接合部を形成することができる。
【0034】
また、バンプ電極23の樹脂24が過度に変形していない(潰れていない)ため、フレキシブル基板2の金属端子12は、電子部品4の絶縁膜22には接触していない。これにより、金属端子12と能動面21aの半導体素子との絶縁を良好に確保することができる。
【0035】
次に、電子部品実装体の製造方法について、図5から図7を参照して説明する。
図5は、本実施形態の製造方法のフローチャートである。図6は、実装工程を示す斜視図。図7は、実装工程の説明図である。なお、図7には、図1のA−A線に沿う位置に対応する断面図が示されている。
【0036】
本実施形態の製造方法は、図5に示すように、工程S11から工程S17を有する。
まず、工程S11では、ダイシングシート202上に保持されたウェハ201(電子部品4)を収容したマガジン210を用意する。そして、図1に示したマガジン載置部121に、マガジン210を載置する。
本実施形態では、ダイシングシート202上のウェハ201はダイシングにより複数の電子部品4に個片化されている。したがって、マガジン210内には、複数の電子部品4がダイシングシート202上に並べられたものが収容されている。
【0037】
次に、工程S12では、制御部103によりウェハ供給部102が制御され、ウェハ201を実装部101へ搬送する動作が実行される。具体的には、マガジン載置部121の昇降動作により、処理対象のウェハ201を搬出可能な位置に、マガジン210の高さが設定される。その後、ウェハ搬送部122によりアーム123が駆動され、アーム123の水平移動してマガジン210内に挿入される。そして、アーム123の先端によりマガジン210内のウェハ201及びダイシングシート202が押し出され、実装部101の載置台111上に載置される。
なお、載置台111には、ウェハ201を支持しているダイシングシート202を固定するとともに引き延ばすエキスパンド機構や、ウェハ201の下面から電子部品4を上方に押し上げるチップ押し上げ機構が備えられている。
【0038】
次に、工程S13では、制御部103により実装部101が制御され、ウェハ201から個片の電子部品4をピックアップする動作が実行される。具体的には、圧着ツール116及びカメラ117が載置台111上に移動し、カメラ117により載置台111上の電子部品4が撮像される。制御部103は、取得された電子部品4の画像データに基づいて電子部品4の良否を判定し、良品の電子部品4を選択する。上記良否の判定は、例えば検査結果に基づいて電子部品4上に付与されたマークの識別や、画像処理による割れや欠けの検出に基づいて行うことができる。
次いで、選択された良品の電子部品4に対して圧着ツール116の加熱保持部119を降下させて吸着させ、加熱保持部119を再び上昇させることでピックアップ動作は完了する。
【0039】
次に、工程S14では、加熱保持部119を介した電子部品4の加熱動作が開始される。具体的には、圧着ツール116に設けられた電熱ヒーター等の加熱手段を動作させ、電子部品4を設定温度(例えば200℃〜500℃)に加熱する。
次に、工程S15では、加熱時間の経過が判定される。すなわち、電子部品4の加熱動作が、予め設定した加熱時間を経過するまで持続される。設定加熱時間の経過後、工程S16へ移行する。
【0040】
上記の工程S14及びS15により、バンプ電極23の樹脂24が加熱され、樹脂24の硬度が上昇する。これにより、後段の実装工程における加熱加圧によってバンプ電極23が潰れてしまうのを防止することが可能になる。
本実施形態の樹脂24は熱硬化成分を含んでおり、加熱量に応じて硬度が上昇する範囲を有する。例えば、熱硬化性のポリイミド樹脂であれば、400℃以上の温度で数分加熱することで、硬度が大きく上昇する。その一方で、上記のような400℃以上の高温に保持する時間が長すぎると、樹脂が軟化したり劣化することにより硬度が低下する場合があるため、工程S15における保持時間はこのような硬度の低下が生じない範囲に設定することが好ましい。
【0041】
次に、工程S16では、圧着ツール116により電子部品4が実装ステージ115上へ搬送される。実装ステージ115上には、図示略の搬送手段によりフレキシブル基板2が載置されている。
【0042】
次に、工程S17では、制御部103により実装部101が制御され、電子部品4をフレキシブル基板2に実装する動作が実行される。具体的には、図6に示すように、フレキシブル基板2上の実装領域11Aに対して電子部品4を圧着する動作が実行される。
【0043】
図7(a)に示すように、電子部品4のバンプ電極23が形成された面と、フレキシブル基板2の金属端子12が形成された面とを対向配置され、バンプ電極23の導電膜25と、対応する金属端子12との位置合わせが行われる。
【0044】
より詳しくは、まず、カメラ114による電子部品4及び加熱保持部119の撮像動作が実行され、取得された画像データは制御部103へ送信される。制御部103では、取得された電子部品4及び加熱保持部119の画像データに基づいて、加熱保持部119に対する電子部品4(導電膜25)の相対位置及び姿勢が検出される。
また、圧着ツール116とともに移動するカメラ117によるフレキシブル基板2の撮像動作が実行され、取得された画像データは制御部103へ送信される。制御部103では、取得されたフレキシブル基板2の画像データに基づいて、加熱保持部119(圧着ツール116)に対するフレキシブル基板2(金属端子12)の相対位置及び姿勢が検出される。
そして、制御部103において、上記位置情報及び姿勢情報に基づいて、導電膜25と金属端子12との位置合わせが実行される。
【0045】
電子部品4とフレキシブル基板2との位置合わせが完了したならば、図7(b)に示すように、加熱保持部119に保持された電子部品4を降下させてフレキシブル基板2に密着させる。これにより、金属端子12と、導電膜25とが当接する。この状態から、加熱状態に保持されている電子部品4をフレキシブル基板2に押圧する。すると、図7(c)に示すように、金属端子12が導電膜25に押し込まれて樹脂24の一部と導電膜25とが変形するとともに、上記の加圧加熱により、導電膜25と金属端子12とが金属接合され、電子部品4とフレキシブル基板2とが電気的に接続される。
【0046】
ここで、図7(c)に示す加圧加熱工程では、押圧力によってバンプ電極23が変形するが、本実施形態では、工程S14、S15において電子部品4を加熱し、バンプ電極23の樹脂24の硬度を上昇させている。そのため、樹脂24が過度に変形して潰れてしまうことがなく、金属端子12と絶縁膜22(能動面21a)とが接触しない状態で電子部品4を実装することができる。
【0047】
なお、加圧加熱工程におけるバンプ電極23の変形量(樹脂24の潰れ量)は、工程S15における保持時間(加熱時間)によって制御することができる。先に記載のように、加熱開始からある時間までは加熱時間の長さに比例して樹脂24の硬度が上昇する。したがって、加圧加熱工程における圧力が一定であれば、加熱時間の長さを変更することで、樹脂24の硬度を調整することができ、バンプ電極23の変形量を調整することができる。
【0048】
上記の加圧加熱工程が完了したならば、加熱保持部119の吸着が解除され、加熱保持部119が上昇される。また、圧着ツール116の加熱手段による加熱が停止され、加熱保持部119の温度が下げられる。これにより、実装部101が次の電子部品4の実装動作を実行可能な状態とされる。
【0049】
以上の工程により、電子部品4のバンプ電極23の導電膜25がフレキシブル基板2の金属端子12に電気的に接続された電子部品実装体10を作製することができる。作製された電子部品実装体10は、図示略の搬送機構により実装ステージ115から搬出される。
【0050】
以上、詳細に説明したように、本実施形態の電子部品実装体の製造方法では、圧着ツール116に保持した電子部品4をフレキシブル基板2に実装する前に、工程S14、S15において、電子部品4を所定温度にて所定時間保持する加熱動作を行い、バンプ電極23の樹脂24の硬度を上昇させている。これにより、電子部品4をフレキシブル基板2に実装する加圧加熱工程において電子部品4を加熱したときに樹脂24が軟化してしまうのを防止でき、バンプ電極23が過度に変形するのを防止することができる。したがって本実施形態の製造方法では、実装条件を厳密に制御しなくともバンプ電極23と金属端子12とを適切な状態で実装することができる。
また、樹脂24が潰れてしまうのを防止できることから、金属端子12と電子部品4の能動面21aとが接触する不具合を低減することができ、歩留まりよく電子部品実装体を製造することができる。
【0051】
また本実施形態の製造方法では、電子部品4の実装時にバンプ電極23を加熱して樹脂24の硬度を上昇させるので、電子部品4の製造工程を変更することなく、他品種の電子部品実装体を製造することが可能である。
例えば、フレキシブル基板2ではなくガラス基板上に電子部品4をCOG(Chip On Glass)実装する場合、ガラス基板上の接続端子はスパッタ膜などを用いて形成された膜厚100〜500nm程度の薄膜である。そのため、樹脂24の硬度が低くても電子部品4の能動面21aとガラス基板上の接続端子や配線とが接触してしまう可能性は低く、むしろ樹脂24が軟らかい方が、導電膜25とガラス基板上の接続端子との接触面積を増やす上で有利である。
【0052】
このように、COG実装とCOF実装とでは、樹脂24の硬度についての最適条件が異なることが想定される。従来は、樹脂24の硬度を変更するには、バンプ電極23を構成する樹脂24の形成条件や構成材料を変更する必要があり、製品毎に電子部品4の製造工程を変更する必要があった。
これに対して本実施形態の製造方法では、樹脂24の材質を変更しなくとも、実装時の加熱条件を変更するのみで樹脂24の硬度を調整することができ、異なる基板への最適条件での実装が可能である。
【0053】
なお、上記実施の形態では、圧着ツール116に備えられた加熱手段を用いて電子部品4を加熱することとしたが、圧着ツール116に保持された電子部品4のバンプ電極23を加熱する手段としては、圧着ツール116とは別に儲けられた加熱装置であってもよい。例えば、図1に示すように、加熱保持部119と対向可能な位置にランプヒーターなどの加熱手段120を設け、圧着ツール116で電子部品4をピックアップした後、圧着ツール116を加熱手段120上に移動させて電子部品4のバンプ電極23を加熱し、その後に実装ステージ115上に移動して実装工程を実施する製造方法とすることもできる。
【0054】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、圧着ツール116に設けられた加熱手段を用いて電子部品4を加熱し、樹脂24の硬度を上昇させる場合について説明したが、バンプ電極23を加熱する方法は、上記実施形態に限られない。
例えば、図1に示すように、載置台111に電熱ヒーター等の加熱手段112を設置し、かかる加熱手段112によりウェハ201(電子部品4)を加熱する製造方法としてもよい。かかる製造方法を、第2の実施形態として、図8を参照しつつ以下に説明する。
【0055】
図8は、第2の実施形態に係る製造工程を示すフローチャートである。
まず、図8に示す工程S21及び工程S22は、図5に示した工程S11、S12と同様である。具体的には、マガジン載置部121にウェハ201を収容したマガジン210が載置される。次いで、ウェハ搬送部122によりウェハ201が押し出され、実装部101の載置台111上に載置される。
【0056】
次に、工程S23では、載置台111に備えられた加熱手段112によりウェハ201の加熱動作が開始される。加熱手段112は、制御部103により制御される電熱ヒーター等からなり、載置台111のウェハ201が載置される台座部分を所定温度(例えば200℃〜500℃)に加熱可能に構成されている。
次に、工程S24では、加熱時間の経過が判定される。すなわち、電子部品4の加熱動作が、予め設定した加熱時間を経過するまで持続される。設定加熱時間の経過後、工程S25へ移行する。
【0057】
上記の工程S23及びS24により、先の実施形態と同様に、バンプ電極23の樹脂24が加熱され、樹脂24の硬度が上昇する。これにより、後段の実装工程における加熱加圧によってバンプ電極23が潰れてしまうのを防止することが可能になる。
なお、加熱状態に保持する時間が長すぎると、樹脂が軟化したり劣化することにより硬度が低下する場合がある点も先の実施形態と同様であり、工程S24における保持時間はこのような硬度の低下が生じない範囲に設定することが好ましい。また、工程S24の終了後には、加熱手段112の動作条件を変更し、樹脂24の硬度が変化しない温度範囲まで載置台111の温度を低下させる。
【0058】
次に、工程S25では、図5に示した工程S14と同様に、ウェハ201から個片の電子部品4をピックアップする動作が実行される。制御部103は、圧着ツール116及びカメラ117を載置台111上に移動させ、良品の電子部品4を選択する。そして、選択された良品の電子部品4に対して圧着ツール116の加熱保持部119を降下させて吸着させ、加熱保持部119を再び上昇させる。
【0059】
次に、工程S26では、圧着ツール116により電子部品4が実装ステージ115上へ搬送される。実装ステージ115上には、図示略の搬送手段によりフレキシブル基板2が載置されている。
次に、工程S27では、制御部103により実装部101が制御され、電子部品4をフレキシブル基板2に実装する動作が実行される。具体的な実装動作は、図6及び図7に示した第1実施形態の実装動作と同様である。
【0060】
本実施形態の製造方法では、工程S23及びS24において、載置台111に備えられた加熱手段112によりバンプ電極23を加熱することで、樹脂24の硬度を所定の硬度にまで上昇させている。これにより、工程S27の実装工程で電子部品4をフレキシブル基板2に押圧したときに、フレキシブル基板2の金属端子12の押圧力によって樹脂24が過度に変形してしまうのを防止することができる。その結果、金属端子12によって樹脂24が潰れてしまうのを防止でき、金属端子12と絶縁膜22(能動面21a)とが接触しない状態で電子部品4を実装することができる。
【0061】
また本実施形態の製造方法では、載置台111上に載置されたウェハ201の全体を加熱するので、数個から数百個の電子部品4を一括して加熱することができる。したがって先の実施形態と比較するとタクトタイムを短縮することができ、効率良く電子部品実装体10を製造することができる。
【0062】
(第3の実施形態)
上記第2の実施形態では、載置台111に設けられた加熱手段112によりウェハ201を加熱する場合について説明したが、ウェハ201を加熱する手段としては、載置台111に設けられたものに限られない。
例えば、図9に示すように、載置台111とは別に、電熱ヒーター等の加熱手段112を備えた加熱装置113を設け、加熱装置113によりウェハ201(電子部品4)を加熱する製造方法としてもよい。かかる製造方法を、第3の実施形態として、図9及び図10を参照しつつ以下に説明する。
【0063】
図9は、第3の実施形態に係る実装装置を示す図である。図10は、第3の実施形態の製造工程を示すフローチャートである。
図9に示す実装装置100Aは、基台110上に加熱装置113が備えられている点で第1実施形態の実装装置100と異なる。
加熱装置113は、載置台111とほぼ同等の高さにウェハ201を支持可能な台座部分と、かかる台座部分を加熱する電熱ヒーター等の加熱手段112とを備えている。加熱装置113は、マガジン載置部121と載置台111との間に配置されている。
【0064】
本実施形態の製造方法は、図10に示す工程S31〜S38を有している。
まず、工程S31において、ウェハ201を収容したマガジン210がマガジン載置部121にセットされる。次いで、工程S32において、ウェハ搬送部122のアーム123によりウェハ201がマガジン210から押し出され、実装部101へ供給される。アーム123により押し出されたウェハ201は、加熱装置113の台座部分に載置される。
【0065】
次に、工程S33では、ウェハ201が加熱装置113上に載置されたウェハ201の加熱動作が開始される。加熱手段112は、制御部103の制御のもと、ウェハ201を所定温度(例えば200℃〜500℃)に加熱する。
次に、工程S34では、加熱時間の経過が判定される。すなわち、電子部品4の加熱動作が、予め設定した加熱時間を経過するまで持続される。設定加熱時間の経過後、工程S35へ移行する。
【0066】
上記の工程S33及びS34により、先の実施形態と同様に、バンプ電極23の樹脂24が加熱され、樹脂24の硬度が上昇する。これにより、後段の実装工程における加熱加圧によってバンプ電極23が潰れてしまうのを防止することが可能になる。
なお、加熱状態に保持する時間が長すぎると、樹脂が軟化したり劣化することにより硬度が低下する場合がある点も先の実施形態と同様であり、工程S34における保持時間はこのような硬度の低下が生じない範囲に設定することが好ましい。また、工程S34の終了後には、加熱手段112の動作条件を変更し、樹脂24の硬度が変化しない温度範囲まで加熱装置113の温度を低下させる。
【0067】
次に、工程S35では、ウェハ201の移載動作が実行される。具体的には、制御部103による制御のもとで動作する図示略の移載装置により、加熱装置113から載置台111へ加熱処理後のウェハ201が搬送される。なお、上記の移載装置としては、特に限定されず、公知の搬送装置を用いることができる。例えば、ウェハ201を載置して水平移動する移載テーブルを備えたものや、ウェハ201を水平方向に搬送する搬送ベルトを備えたもの、あるいは、ウェハ201を支持又は吸着して搬送する搬送ロボットなどを用いることができる。
【0068】
次に、工程S36では、図5に示した工程S14と同様に、ウェハ201から個片の電子部品4をピックアップする動作が実行される。制御部103は、圧着ツール116及びカメラ117を載置台111上に移動させ、良品の電子部品4を選択する。そして、選択された良品の電子部品4に対して圧着ツール116の加熱保持部119を降下させて吸着させ、加熱保持部119を再び上昇させる。
【0069】
次に、工程S37では、圧着ツール116により電子部品4が実装ステージ115上へ搬送される。実装ステージ115上には、図示略の搬送手段によりフレキシブル基板2が載置されている。
次に、工程S38では、制御部103により実装部101が制御され、電子部品4をフレキシブル基板2に実装する動作が実行される。具体的な実装動作は、図6及び図7に示した第1実施形態の実装動作と同様である。
【0070】
本実施形態の製造方法では、工程S33及びS34において、加熱装置113に備えられた加熱手段112によりバンプ電極23を加熱することで、樹脂24の硬度を所定の硬度にまで上昇させている。これにより、工程S38の実装工程で電子部品4をフレキシブル基板2に押圧したときに、フレキシブル基板2の金属端子12の押圧力によって樹脂24が過度に変形してしまうのを防止することができる。その結果、金属端子12によって樹脂24が潰れてしまうのを防止でき、金属端子12と絶縁膜22(能動面21a)とが接触しない状態で電子部品4を実装することができる。
【0071】
また本実施形態の製造方法では、加熱装置113上に載置されたウェハ201の全体を加熱するので、数個から数百個の電子部品4を一括して加熱することができる。また、電子部品4のピックアップ動作が行われている期間中に、加熱装置113により次のウェハ201を加熱することができる。
したがって、先の第1実施形態及び第2実施形態と比較してもタクトタイムを短縮することができ、効率良く電子部品実装体10を製造することができる。
【符号の説明】
【0072】
4…電子部品、10…電子部品実装体、11…基板、12…金属端子、23…バンプ電極、24…樹脂、25…導電膜、111…載置台、112…加熱手段、113…加熱装置、116…圧着ツール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアとなる樹脂の表面に導電膜が形成されたバンプ電極を有する電子部品と、金属端子を有する基板とを電気的に接続してなる電子部品実装体の製造方法であって、
前記電子部品の少なくとも前記バンプ電極を加熱し、前記樹脂の硬度を上昇させる加熱工程と、
硬度を上昇させた前記バンプ電極を前記金属端子に接触させた状態で前記電子部品を前記基板に押圧し、前記電子部品を実装する実装工程と、
を有することを特徴とする電子部品実装体の製造方法。
【請求項2】
前記加熱工程が、前記電子部品が載置された載置台から圧着ツールを用いて前記電子部品を搬出し、前記圧着ツールに支持された前記電子部品を加熱する工程であり、
前記実装工程が、加熱後の前記電子部品を前記圧着ツールを用いて前記基板上に移動させ、前記基板に実装する実装工程であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装体の製造方法。
【請求項3】
前記加熱工程が、前記圧着ツールに設けられた加熱手段により前記電子部品を加熱する工程であることを特徴とする請求項2に記載の電子部品実装体の製造方法。
【請求項4】
前記加熱工程が、加熱手段を有する載置台に前記電子部品を載置した状態で前記加熱手段により前記電子部品を加熱する工程であり、
前記実装工程が、前記電子部品を圧着ツールを用いて前記載置台から前記基板上へ搬送し、前記基板に実装する工程であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装体の製造方法。
【請求項5】
前記加熱工程が、加熱装置を用いて前記電子部品を加熱する工程であり、
加熱後の前記電子部品を前記加熱装置から載置台へ搬送する搬送工程を有し、
前記実装工程が、前記電子部品を圧着ツールを用いて前記載置台から前記基板上へ搬送し、前記基板に実装する工程であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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