説明

電子部品実装用パッケージ

【課題】半導体素子等の電子部品の実装時などに発生し得る基板の反りを有効に低減し、高信頼度の実装に寄与すること。
【解決手段】電子部品実装用パッケージ50は、複数の配線層11,13,15,17,19が絶縁層12,14,16,18を介在させて積層され、該絶縁層に形成されたビアホールを介して層間接続された構造体(コアレス基板)10を有している。このコアレス基板10の最外層の配線層11,19の所要箇所に画定されたパッド部11P,19Pを除いて表面全体がモールド樹脂25で覆われている。さらに、コアレス基板10の電子部品実装面側にインターポーザ30が搭載され、モールド樹脂25の一部がその間隙に充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等の電子部品を実装するのに用いられる配線基板に関し、より詳細には、複数の配線層が絶縁層を介在させて積層され、該絶縁層に形成されたビアホールを介して層間接続された多層配線基板の構造体を有し、電子部品を熱硬化性材料を用いて実装するのに適応された配線基板(以下、「電子部品実装用パッケージ」もしくは単に「パッケージ」ともいう。)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多層構造の配線基板を製造する技術として、ビルドアップ工法が広く用いられている。このビルドアップ工法を用いた多層配線基板は、層間絶縁層の材料(代表的には、熱硬化性樹脂)とビアホール形成プロセスの組合せにより多種類のものが作製可能であり、その典型的な製造プロセスは、支持基材としてのコア基板を中心としてその両面もしくは一方の面に、絶縁層の形成、絶縁層におけるビアホールの形成、ビアホールの内部を含めた配線パターンの形成を順次繰り返して積み上げていくものである。かかる構造では、配線層と絶縁層の部分はビルドアップ工法で積層しているので薄く形成することができるが、コア基板の部分は配線基板に剛性をもたせるために相応の厚さを必要とし、パッケージ全体としての薄型化に限界があった。
【0003】
そのため、最近では、配線基板(パッケージ)の更なる薄型化を図るべく、支持基材であるコア基板を除去した構造が採用されている。かかる構造の配線基板は、「コア」の部分が無いという意味で、「コアレス基板」とも呼ばれている。
【0004】
かかるコアレス基板の製造方法については後で説明するが、基本的なプロセスは、支持体としての仮基板を用意し、この仮基板上に所要数のビルドアップ層(ビアホールを含む絶縁層、ビアホールの内部を含めた配線パターン)を順次形成した後、最終的に仮基板を除去するものである。
【0005】
かかる従来技術に関連する技術としては、例えば、特許文献1に記載されるように、半導体装置用多層基板において、半導体素子が搭載される搭載面を可及的に平坦に形成し、且つ厚さを可及的に薄く形成し得るようにしたものがある。この半導体装置用多層基板においては、導体配線が絶縁層を介して多層に形成されて成る多層基板の一面側が、搭載される半導体素子の電極端子と接続される半導体素子用パッドが形成された半導体素子搭載面であり、且つ前記多層基板の他面側が、外部接続端子用パッドが形成された外部接続端子装着面であり、前記絶縁層の両面に形成された導体配線及び/又はパッドを電気的に接続するビアが、絶縁層を貫通して形成され、且つ当該絶縁層の外部接続端子装着面側に開口されていると共に、半導体素子搭載面側に形成された導体配線又はパッドの外部接続端子装着面側の内面に底面が形成された、開口面積が底面面積よりも大の円錐台状の凹部に形成されている。
【0006】
また、特許文献2に記載されるように、仮基板の上に剥離できる状態でビルドアップ配線層を形成する配線基板(コアレス基板)の製造方法において、何ら不具合が発生することなく、信頼性よく低コストで製造できるようにしたものがある。それまでの従来技術では仮基板の上に剥離できる状態で金属薄膜等を接着層で接着する工程が必要であったために工程の煩雑化及びコストの上昇を招くといった課題があったが、この特許文献2に開示されている技術では、特別に接着層を設けることなく、接着機能をもつプリプレグを硬化させることで仮基板上に下地層と金属箔の周縁部とが接着された構造を形成しておくことで、その課題を解決している。
【特許文献1】特開2000−323613号公報
【特許文献2】特開2007−158174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように従来のコアレス基板(半導体パッケージ)では、コア基板を不要とするので薄型化という点では有利であるが、その反面、コア基板がないためにパッケージ全体の剛性が小さく、基板に「反り」が発生し易いといった不利がある。このような問題は、特にチップを実装したときに一層顕著に表れる。
【0008】
すなわち、チップを実装する場合、先ず、搭載すべきチップにバンプ(電極端子)を形成した後、コアレス基板のチップ搭載面に露出しているパッド部にチップの電極端子を電気的に接続(フリップチップ接続)し、次に、基板とチップの隙間にアンダーフィル樹脂を充填して、両者の接続部分(パッド部と電極端子)を外部から絶縁保護する。その際、アンダーフィル樹脂を熱硬化させるべくベーキング(加熱処理)を施すが、基板との熱膨張係数が異なるため、アンダーフィル樹脂が収縮し、基板の周囲部分がチップ搭載面側に反ってしまう。
【0009】
このように従来のコアレス基板(半導体パッケージ)の構造では、パッケージ全体の剛性が小さいことに起因してチップ実装の際に「反り」が発生し、その反り具合の程度によってはチップが剥がれてしまうこともあり、チップ実装を高信頼度で行うことができないといった課題があった。このような課題については、上記の特許文献1、特許文献2のいずれにも言及されていない。
【0010】
また、基板の反りは、チップ実装時にのみ発生するとは限らず、チップを実装する前の段階であっても発生し得る。例えば、コアレス基板を出荷し、その後でチップを実装する場合、コアレス基板は元々剛性が小さくフレキシブルな状態にあるため、出荷から実装までの途中の取扱いの態様次第では、基板に反りが発生することも考えられる。
【0011】
また、このような問題は、必ずしもコアレス基板に特有のものではなく、コア基板を有したビルドアップ多層配線基板においても同様に起こり得る。すなわち、配線層を構成する銅(Cu)等の材料と絶縁層を構成するエポキシ樹脂等の材料とでは熱膨張係数が大きく異なるため、配線層と絶縁層を交互に時間をおいて積み重ねていく手法(ビルドアップ工法)をコア基板の一方の面について施すと、その積み重ねていく過程において配線層と絶縁層の界面に熱膨張係数の違いに応じた熱応力が各層の厚さ方向に発生し、その結果、基板に反りが発生するおそれがある。
【0012】
本発明は、かかる従来技術における課題に鑑み創作されたもので、半導体素子等の電子部品の実装時などに発生し得る基板の反りを有効に低減し、高信頼度の実装に寄与することができる電子部品実装用パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の従来技術の課題を解決するため、本発明の基本形態によれば、複数の配線層が絶縁層を介在させて積層され、該絶縁層に形成されたビアホールを介して層間接続された構造体を有し、該構造体の電子部品実装面側の最外層の配線層の所要箇所に画定されたパッド部と該構造体の電子部品実装面と反対側の最外層の配線層の所要箇所に画定されたパッド部とを除いて表面全体がモールド樹脂で覆われていることを特徴とする電子部品実装用パッケージが提供される。
【0014】
本発明に係る電子部品実装用パッケージの構成によれば、配線層と絶縁層が交互に積層された構造体(配線基板)の所定の部分(外部端子が接続されるパッド部)を除いて表面全体がモールド樹脂で覆われているので、基板全体としての剛性が高められている。従って、本パッケージに熱硬化性材料を用いて電子部品を実装したときにその界面に熱膨張係数の違いに応じた応力(つまり、基板の反りの原因となる応力)が発生しても、モールド樹脂の被覆によって基板全体が補強されているので、その応力が基板内を伝播するのを有効に阻止することができる。
【0015】
これによって、基板全体の反りを有効に低減させることができ、従来技術に見られたような、チップの「剥がれ」といった不都合も解消され、電子部品を高信頼度で実装することが可能となる。
【0016】
また、上記の形態に係る電子部品実装用パッケージにおいて、さらに、前記構造体の電子部品実装面側にインターポーザを当該パッド部に接続させて搭載し、前記モールド樹脂の一部を、前記構造体と前記インターポーザとの間隙に充填するようにしてもよい。
【0017】
この形態によれば、インターポーザの介在により、その電子部品を実装したときの配線基板との熱膨張係数の違いに起因した影響(基板の反り)を効果的に緩和できると共に、インターポーザの本来の機能に基づいて配線基板の高密度化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の他の形態によれば、複数の配線層が絶縁層を介在させて積層され、該絶縁層に形成されたビアホールを介して層間接続された構造体を有し、該構造体が、モールド樹脂で表面全体が覆われた配線基板に固定的に搭載されていることを特徴とする電子部品実装用パッケージが提供される。
【0019】
この形態に係る電子部品実装用パッケージの構成によれば、上記の形態に係る電子部品実装用パッケージとは違い、当該構造体自体を直接モールド樹脂で覆ってはいないが、この構造体を固定的に搭載する配線基板の表面全体がモールド樹脂で被覆されているので、構造体を含めたパッケージ全体の剛性を高めることができる。これにより、上記の形態に係るパッケージと同様に、基板全体の反りを有効に低減させることができ、電子部品の実装を信頼性良く行うことができる。
【0020】
本発明に係る電子部品実装用パッケージの他の構成上の特徴及びそれに基づく有利な利点等については、以下に記述する発明の実施の形態を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0022】
(第1の実施形態…図1、図2参照)
図1は本発明の第1の実施形態に係る電子部品実装用パッケージの構成を断面図の形態で示したものである。
【0023】
本実施形態に係る電子部品実装用パッケージ50は、基本的には、支持基材を含まない配線基板(コアレス基板)10と、このコアレス基板10に実装されたインターポーザ30とを備えて構成されている。本実施形態のパッケージ50は、図示のようにコアレス基板10にインターポーザ30が実装された状態で、図中破線で示すように半導体素子等のチップ(代表的にはシリコン(Si)チップ)1をインターポーザ30上に搭載して、半導体装置等の電子部品装置を構成する。
【0024】
本パッケージ50の主要部を構成するコアレス基板10は、図示のように複数の配線層11,13,15,17,19が絶縁層12,14,16,18を介在させて積層され、各絶縁層12,14,16,18にそれぞれ形成されたビアホールに充填された導体(それぞれ、配線層13,15,17,19を構成する材料の一部分)を介して層間接続された構造を有している。コアレス基板10の最外層の配線層(図示の例では、配線層11,19)には、それぞれ所定の箇所にパッド部11P,19Pが画定されており、各パッド部11P,19Pはコアレス基板10の両面(絶縁層12,18上)に露出している。
【0025】
下側の絶縁層18から露出するパッド部19Pには、本パッケージ50をマザーボード等のプリント配線板(実装用基板)に実装する際に使用されるはんだボール等の外部接続端子20が接合されている。なお、図示の例では外部接続端子20を設けているが、これは必ずしも設ける必要はない。要は、必要なときに外部接続端子を接合できるように当該パッド部19Pが露出していれば十分である。もちろん、各パッド部11P,19Pの表面には金(Au)めっき等の表面処理が施されている。
【0026】
また、コアレス基板10の上面(チップ実装面側)には、所要の個数(図示の例では、2個)のチップキャパシタ21が搭載されている。各チップキャパシタ21は、それぞれ1対の電極端子22を介して、上側の絶縁層12から露出するパッド部11Pに接続されている。チップキャパシタ21は、配線のインダクタンスを下げて所要の「デカップリング」を奏するために設けられている。本実施形態では、本パッケージ50に搭載するチップ1がマイクロプロセッサ(CPU)である場合を想定しており、かかるCPUにおいては高速動作が要求されるため、信号線の配線長によるインダクタンスの増大を低減させる必要があり、それを実現する一手段としての「デカップリング」を奏するために所要の個数のチップキャパシタ21が設けられている。
【0027】
さらに、本発明を特徴付ける部材として、モールド樹脂25が、チップキャパシタ21を搭載したコアレス基板10の表面全体を覆うようにして設けられている。すなわち、モールド樹脂25は、図示のようにコアレス基板10の下面(外部接続端子接合用のパッド部19Pを除いた領域)、側面及び上面(チップキャパシタ21を含む領域)を覆い、さらに、上面とインターポーザ30との間隙に充填されている。
【0028】
充填する樹脂25の材料としては、モールド樹脂として一般に使用されている熱硬化性エポキシ樹脂が用いられる。熱硬化性エポキシ樹脂の場合、弾性率が10〜30GPa、熱膨張係数(CTE)が5〜15ppm/℃であり、さらに、樹脂の弾性率やCTE等を調整するためにフィラー(シリカ、アルミナ、ケイ酸カルシウム等の無機物の微粒子)を70〜90%程度添加して使用する。熱硬化性エポキシ樹脂以外にも、例えば、アンダーフィル樹脂として一般に使用されている液状エポキシ樹脂などを使用してもよい。液状エポキシ樹脂の場合、弾性率が5〜15GPa、CTEが20〜40ppm/℃であり、フィラーを60〜80%程度添加して使用する。樹脂25を充填する方法としては、好適にはトランスファモールドを用いることができる。トランスファモールド以外に、インジェクションモールド、アンダーフィルフロー等の方法を用いてもよい。
【0029】
インターポーザ30は、搭載する半導体素子等のチップ1と実装用基板(この場合、コアレス基板10)との間で所要のファンアウト構造を実現するためのものであり、機能的には配線基板と同等である。このインターポーザ30については、本発明に直接関連する部材ではないので、その内部構成については図示を省略している。
【0030】
インターポーザ30を構成する材料として、本実施形態では、代表的な半導体材料であるシリコン(Si)を使用している。これは、Siチップ1を搭載した場合にその構成材料と同等の熱膨張係数を有しているため、両者間に熱収縮の差に起因する反りや捻れ等の不都合が生じないようにするためである。インターポーザ30を構成する材料としては、シリコン(Si)以外にも、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂、セラミックス、ガラスセラミックス等の低温焼成セラミックスなどを適宜使用可能であることはもちろんである。
【0031】
また、インターポーザ30の両面には、それぞれ絶縁層31,32を介在させて、それぞれ所要の形状に配線パターン(例えば、銅(Cu)のめっき層)33,34が形成されており、各配線パターン33,34は、インターポーザ30の所要の位置に形成されたビアホールを介して電気的に接続されている(つまり、インターポーザ30の両面が電気的に導通している)。各配線パターン33,34は、それぞれ所要の箇所にパッド部を含むように形成されている。本実施形態に係る構成では、チップ1が搭載される側の配線パターン33は、搭載するチップ1の電極端子2(例えば、はんだバンプ、金(Au)バンプ等)の位置に対応する箇所にパッド部が画定されるように形成され、これと反対側の配線パターン34は、コアレス基板10に実装する際に用いられるはんだバンプ等の接続端子35の位置に対応する箇所にパッド部が画定されるように形成されている。図示の例では、インターポーザ30の両面に1層ずつ配線パターン33,34が形成された構造を示しているが、必要に応じて、ビルドアップ法等により更なる多層配線化を行ってもよいことはもちろんである。
【0032】
また、図1には明示していないが、インターポーザ30の両面には、各配線パターン33,34(パッド部)を露出させて全面を覆うようにして保護膜(例えば、ソルダレジスト層)が形成されており、さらに、各保護膜から露出している配線パターン(パッド部)上にニッケル(Ni)/金(Au)のめっき層が被着されている。
【0033】
このようなインターポーザ30を製造する方法については、詳細な説明は省略するが、簡単に説明すると以下の通りである。すなわち、Siウエハの状態で、先ず所要の箇所にスルーホールを形成し、次にスルーホールの内壁面及びウエハ表面に絶縁層31,32を形成し、次にスルーホール内を含めて絶縁層31,32上へシード層を形成した後、このシード層を給電層として利用した電解めっきによりスルーホール内へ導体を充填してビアホールを形成し、両面にめっき層を形成して表裏(ウエハ両面)を導通させ、両面に配線パターン33,34を形成し、さらに保護膜を形成した後、ウエハを各インターポーザ単位にダイシング(個片化)し、はんだバンプ等の接続端子35を接合することで、インターポーザ30を得ることができる。
【0034】
一方、コアレス基板10を製造する方法についても、詳細な説明は省略するが、一例を説明すると以下の通りである。以下に説明するプロセスは、前述した特許文献2(特開2007−158174号公報)に記載されている方法を抜粋したものである。先ず、銅(Cu)からなる仮基板を用意し、この仮基板上に、形成すべき所要の配線層(パターン)の形状に応じた開口部を備えためっきレジストを形成し、次に、このめっきレジスト層の開口部から露出している仮基板(Cu)上に、例えば、Auめっき層とNiめっき層の2層構造からなる配線層11(パッド部11P)を形成し、めっきレジスト層を除去した後、仮基板及び配線層11(パッド部11P)上にエポキシ系樹脂等の絶縁層12を形成し、所要の箇所にビアホールを形成した後、セミアディティブ法などにより、ビアホールを充填して配線層11(パッド部11P)に接続される所要の配線層(パターン)13を形成し、以降、所要の層数となるまで、絶縁層14,16,18と配線層15,17,19を交互に積み重ねて積層し、最外層の配線層19についてはその表面にNi/Auめっきを施した後、仮基板(Cu)を、配線層11(その表層部にAuめっき層が形成されている)及び絶縁層12に対して選択的にエッチングすることで、コアレス基板10を得ることができる。
【0035】
本実施形態では、上述したようなプロセスを経てコアレス基板10及びインターポーザ30をそれぞれ製造し、コアレス基板10の上面(チップ1が搭載される領域に対応する部分)にインターポーザ30を実装した後、所要のモールディング(モールド樹脂25によるコアレス基板10全体の被覆)を行うことで、電子部品実装用パッケージ50を得ている。さらに、このパッケージ50(インターポーザ30上)にシリコン(Si)チップ1等の電子部品を搭載することで、半導体装置等の電子部品装置を得ることができる。
【0036】
コアレス基板10上へのインターポーザ30の実装は、通常のフリップチップ接続の場合と同様にして行うことができる。すなわち、インターポーザ30の下側の保護膜から露出している配線パターン34のパッド部に接続端子35としてのはんだボールをリフローにより接合し(はんだバンプの形成)、このはんだバンプを介してコアレス基板10上の対応するパッド部11Pに接続する。
【0037】
モールディングについても、当該技術分野において通常行われているトランスファモールド、インジェクションモールド、アンダーフィルフロー等の方法を用いて実施することができる。この場合、モールディングに使用する封止金型(上型及び下型)のコアレス基板10に接する側の面は、図1に示すモールド樹脂25の形状が得られるような表面形状にそれぞれ成形されている。
【0038】
また、インターポーザ30にSiチップ1を搭載する場合には、インターポーザ30の上側の保護膜から露出している配線パターン33のパッド部に、Siチップ1のパッド上に接合された金バンプ等の電極端子2が電気的に接続されるように当該チップをフリップチップ接続し、さらに当該保護膜との間にアンダーフィル樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を充填し、熱硬化させて固定(実装)する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る電子部品実装用パッケージ50(図1)の構成によれば、チップキャパシタ21を搭載したコアレス基板10の表面全体がモールド樹脂25で覆われているので、基板全体としての剛性が高められている(つまり、基板全体が補強されている)。従って、本パッケージ50にアンダーフィル樹脂を用いてチップ1を実装したときにその界面に熱膨張係数の違いに応じた応力(つまり、基板の反りの原因となる応力)が発生しても、モールド樹脂25の被覆によって基板全体が補強されているので、その応力が基板全体の反りを有効に阻止することができる。
【0040】
これにより、基板全体の反りを大いに低減させることが可能となり、従来技術に見られたような、チップの「剥がれ」といった不都合も解消され、チップ実装を高信頼度で行うことができる。
【0041】
また、典型的なインターポーザにおいては、もともと薄型化されていることもあり、チップの実装時に両者間に熱収縮の差に起因する反りや捻れ、しわ等が生じないようにするために、好適にはチップの材料と同等の熱膨張係数を有する材料で構成するのが一般的である。この場合、搭載するチップの構成材料としては代表的にシリコン(Si)が使用されているので、インターポーザを構成する材料としてSiを使用するのが望ましい。
【0042】
これに対し、本実施形態に係るパッケージ50の構成では、インターポーザ30は、本来の配線基板であるコアレス基板10の電子部品搭載領域に対応する部分にモールド樹脂25を介して固定的に搭載されており、コアレス基板10と一体化されている。そして、このコアレス基板10は上記のように外表面が全体的にモールド樹脂25で覆われていて補強されているので、インターポーザ30が薄型化されていてもその構成材料にかかわらず、上記のような熱収縮の差に起因する反りや捻れなどが生じることはない。言い換えると、インターポーザ30を構成する材料として、搭載するチップの熱膨張係数にマッチングさせた材料を必ずしも使用する必要はなく、他の材料も自由に選定して使用することができる。例えば、ポリイミド樹脂やガラスセラミックス等の絶縁体材料を使用することができる。
【0043】
このように材料の選定に自由度をもたせたインターポーザ30を介在させることで、チップ1を実装したときの配線基板(コアレス基板10)との熱膨張係数の違いに起因した影響(基板の反り)を効果的に緩和できるとともに、インターポーザの本来の機能に基づいて配線基板10の高密度化(高機能化)を図ることが可能となる。
【0044】
上述した実施形態に係る電子部品実装用パッケージ50(図1)の構成では、コアレス基板10の下面(外部接続端子接合用のパッド部19Pを除いた領域)を含めて基板全体をモールド樹脂25で被覆した場合を例にとって説明したが、本発明の要旨からも明らかなように、モールド樹脂の被覆の態様がこれに限定されないことはもちろんである。図2はその一変形例を示したものである。
【0045】
この実施形態に係る電子部品実装用パッケージ50a(図2)の構成では、上述した実施形態に係るパッケージ50(図1)と比べて、コアレス基板10aの表層の露出する側の面(マザーボード等に実装される側の面)に保護膜として機能する絶縁層(ソルダレジスト層)23を形成している点、そのため、このソルダレジスト層23が形成されている基板下面を除いてコアレス基板10aの全体(側面、上面(チップキャパシタ21を含む領域)、上面とインターポーザ30との間隙)をモールド樹脂25aで覆っている点で相違している。他の構成については、図1の実施形態に係る構成と同じであるのでその説明は省略する。
【0046】
本実施形態では、コアレス基板10aの上面にインターポーザ30を実装し、コアレス基板10aの下面に、外部接続端子接合用のパッド部19Pが露出するように開口部を備えたソルダレジスト層23を形成した後に、モールディングを行っている。モールディングの方法は、基本的に図1の実施形態の場合と同様である。ただし、本実施形態では、モールディングに使用する封止金型のうち上型は同じであるが、下型については、コアレス基板10aに接する側の面が平坦な形状となっている点で相違する。
【0047】
この実施形態では、コアレス基板10aの表面を覆うモールド樹脂25aの被覆面積が図1の実施形態におけるモールド樹脂25の場合と比べて少なくなっているが、その少なくなった分、保護膜及び補強層として機能し得るソルダレジスト層23で覆われているので、図1の実施形態の場合と同等の作用効果を奏することができる。
【0048】
(第2の実施形態…図3、図4参照)
上述した第1の実施形態及びその変形例(図1、図2)に係る電子部品実装用パッケージ50,50aの構成では、コアレス基板10,10aに対して直接的にモールド樹脂25,25aを被覆することで当該基板の補強を図り、反りを低減させるようにした場合を例にとって説明したが、本発明の要旨からも明らかなように、モールド樹脂で覆うべき対象物が必ずしもコアレス基板10,10a自体である必要がないことはもちろんである。要は、モールド樹脂で被覆することによって当該パッケージ全体の剛性が高められれば十分である。以下、その場合の実施形態について説明する。
【0049】
図3は本発明の第2の実施形態に係る電子部品実装用パッケージの構成を断面図の形態で示したものである。
【0050】
本実施形態に係る電子部品実装用パッケージ50bは、図示のように支持基材を含まない配線基板(コアレス基板)10bと、このコアレス基板10bを搭載する2層プリント基板40とを備えて構成されている。本実施形態のパッケージ50bは、図示のように2層プリント基板40にコアレス基板10bが搭載された状態で、図中破線で示すように半導体素子等のチップ(代表的にはシリコン(Si)チップ)1aをコアレス基板10bに搭載して、半導体装置等の電子部品装置を構成する。
【0051】
本パッケージ50bの主要部を構成するコアレス基板10bは、上述した第1の実施形態等に示されているコアレス基板10,10aと実質的に同じ構造を有している。すなわち、複数の配線層が絶縁層を介在させて積層され、各絶縁層にそれぞれ形成されたビアホールに充填された導体(それぞれ、当該配線層を構成する材料の一部分)を介して層間接続された構造を有している。コアレス基板10bの最外層の配線層には、それぞれ所定の箇所にパッド部が画定されており、各パッド部は、コアレス基板10bの両面に露出している。
【0052】
ただし、本実施形態では、コアレス基板10bの表層(上下)に、保護膜として機能する絶縁層(ソルダレジスト層)24a,24bが、最外層の配線層の所定の箇所に画定されたパッド部を除いて全面を覆うように形成されている。コアレス基板10bの上側の絶縁層24aから露出するパッド部には、本パッケージ50bに搭載されるチップ1aの電極端子2aが金バンプ等を介してフリップチップ接続され、下側の絶縁層24bから露出するパッド部には、コアレス基板10bを2層プリント基板40に実装する際に用いられるはんだバンプ等の接続端子35aが接合されるようになっている。
【0053】
一方、2層プリント基板40は、支持基材としてのコア基板41を有しており、このコア基板41の両面には、それぞれ所要の形状にパターニングされた配線層(例えば、銅(Cu)のめっき層)42,43が形成されており、各配線層42,43は、コア基板41の所要の位置に形成されたスルーホール(に充填された導体)を介して電気的に接続されている(つまり、コア基板41の両面が電気的に導通している)。各配線層42,43は、それぞれ所要の箇所にパッド部を含むように形成されている。さらに、コア基板41の両面に、保護膜として機能する絶縁層(ソルダレジスト層)44,45が、各配線層42,43の所定の箇所に画定されたパッド部を除いて全面を覆うように形成されている。
【0054】
本実施形態に係る構成では、コアレス基板10bが実装される側の配線層42は、コアレス基板10bを実装する際に用いられるはんだバンプ等の接続端子35aの位置に対応する箇所にパッド部が画定されるように形成され、これと反対側の配線層43は、本パッケージ50bをマザーボード等の実装用基板に実装する際に使用されるはんだボール等の外部接続端子20aの接合位置に対応する箇所にパッド部が画定されるように形成されている。同様に、図示の例では外部接続端子20aを設けているが、これは必ずしも設ける必要はなく、必要なときに外部接続端子を接合できるように当該パッド部(配線層43の一部分)が露出していれば十分である。
【0055】
また、本実施形態に係るパッケージ50bの構成では、2層プリント基板40の上面に所要の個数のチップキャパシタ21が搭載されている。各チップキャパシタ21は、それぞれ1対の電極端子22を介して、コア基板41上のパッド部(配線層42の一部分)に接続されている。
【0056】
さらに、本発明を特徴付ける部材として、モールド樹脂25bが、チップキャパシタ21を搭載した2層プリント基板40の表面全体を覆うようにして設けられている。すなわち、モールド樹脂25bは、図示のようにソルダレジスト層45が形成されている基板下面を除いて、2層プリント基板40の側面及び上面(チップキャパシタ21を含む領域)を覆い、上面とコアレス基板10bとの間隙に充填されている。充填する樹脂25bの材料及びその充填方法については、上述した第1の実施形態等(図1、図2)の場合と同じであるので、その説明は省略する。
【0057】
本実施形態に係る電子部品実装用パッケージ50b(図3)の構成によれば、コアレス基板10bを実装し、かつチップキャパシタ21を搭載した2層プリント基板40の表面全体がモールド樹脂25bで被覆されているので、上述した第1の実施形態(図1、図2)の場合と同様に、コアレス基板10bを含めたパッケージ50b全体の剛性を高めることができる。従って、コアレス基板10bにアンダーフィル樹脂を用いてチップ1aを実装したときにその界面に熱膨張係数の違いに応じた応力(つまり、基板の反りの原因となる応力)が発生しても、このコアレス基板10bに固定的に接続された2層プリント基板40自体が補強されているので、その応力が基板内を伝播するのを有効に阻止することができる。これにより、基板全体の反りを大いに低減させることができ、チップ実装を高信頼度で行うことが可能となる。
【0058】
図4は、上述した第2の実施形態に係る電子部品実装用パッケージ50bの変形例を断面図の形態で示したものである。
【0059】
この実施形態に係る電子部品実装用パッケージ50c(図4)の構成では、上述した第2の実施形態に係るパッケージ50b(図3)と比べて、コアレス基板10bを搭載する基板として4層プリント基板40aを備えた点で相違している。この4層プリント基板40aについても、通常のビルドアップ工法を用いて形成することができる。なお、図中、46,47はコア基板41(両面銅張り基板など)の両面にそれぞれ設けられた第1層目の配線層、48,49は更にその両面にビルドアップ法で形成された第2層目の配線層を示す。他の構成については、図3の実施形態に係るパッケージ50bの構成と同じであるのでその説明は省略する。
【0060】
本実施形態においても、上述した第2の実施形態(図3)の場合と同様に、コアレス基板10bを含めたパッケージ50c全体の剛性が高められているので、基板全体の反りを有効に低減させることができ、チップ実装を高信頼度で行うことができる。
【0061】
なお、上述した第2の実施形態及びその変形例(図3、図4)に係る電子部品実装用パッケージ50b,50cにおいては、コアレス基板10bを搭載する基板としてそれぞれ2層プリント基板40、4層プリント基板40aを使用した場合について説明したが、プリント基板の層数がこれら2層、4層に限定されないことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子部品実装用パッケージの構成を示す断面図である。
【図2】図1のパッケージの変形例を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る電子部品実装用パッケージの構成を示す断面図である。
【図4】図3のパッケージの変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1,1a…チップ(電子部品)、
10,10a,10b…コアレス基板(構造体)、
11,13,15,17,19,33,34,42,43,46〜49…配線層、
12,14,16,18,31,32…絶縁層、
11P,19P…パッド部、
20,20a…外部接続端子、
21…チップキャパシタ、
23,24a,24b、44,45…ソルダレジスト層(絶縁層)、
25,25a,25b,25c…モールド樹脂、
30…インターポーザ、
35,35a…接続端子、
40,40a…(コアレス基板を搭載する)プリント基板、
41…コア基板(支持基材)、
50,50a,50b,50c…電子部品実装用パッケージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線層が絶縁層を介在させて積層され、該絶縁層に形成されたビアホールを介して層間接続された構造体を有し、該構造体の電子部品実装面側の最外層の配線層の所要箇所に画定されたパッド部と該構造体の電子部品実装面と反対側の最外層の配線層の所要箇所に画定されたパッド部とを除いて表面全体がモールド樹脂で覆われていることを特徴とする電子部品実装用パッケージ。
【請求項2】
複数の配線層が絶縁層を介在させて積層され、該絶縁層に形成されたビアホールを介して層間接続された構造体を有し、該構造体の電子部品実装面と反対側の面に、最外層の配線層の所要箇所に画定されたパッド部を露出させて保護膜が形成されており、該保護膜が形成されている部分を除いて表面全体がモールド樹脂で覆われていることを特徴とする電子部品実装用パッケージ。
【請求項3】
前記構造体の電子部品実装面側にインターポーザが当該パッド部に接続されて搭載されており、前記モールド樹脂の一部が、前記構造体と前記インターポーザとの間隙に充填されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品実装用パッケージ。
【請求項4】
複数の配線層が絶縁層を介在させて積層され、該絶縁層に形成されたビアホールを介して層間接続された構造体を有し、該構造体が、モールド樹脂で表面全体が覆われた配線基板に固定的に搭載されていることを特徴とする電子部品実装用パッケージ。
【請求項5】
前記構造体を搭載する前記配線基板は、支持基材としてのコア基板を有していることを特徴とする請求項4に記載の電子部品実装用パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−141041(P2009−141041A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314280(P2007−314280)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】