説明

電子部品実装装置

【課題】各トレイに収容された部品の部品残数を管理することにより、部品残数の少ないトレイより順番に使用できるようにした電子部品実装装置を提供する。
【解決手段】複数のトレイ42に収容された電子部品Pの部品種および部品残数をトレイ毎に記憶する部品残数データ記憶手段と、部品残数データ記憶手段に記憶された電子部品の部品種および部品残数に基づいて同じ部品種の電子部品を収容したトレイのうち部品残数の少ない順にトレイの使用順序を決定する使用順序決定手段S106を備え、使用順序決定手段で決定されたトレイの使用順序に従って部品実装ヘッド25により電子部品を順次取り出し、基板Bに実装するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ型部品供給装置に装着された複数のトレイより電子部品を吸着ノズルにより吸着して基板に実装する電子部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にトレイ型部品供給装置を備えた電子部品実装装置においては、トレイ型部品供給装置のパレットに、電子部品を収容した複数のトレイが装着され、これらトレイより電子部品を部品実装ヘッドに設けた吸着ノズルによって吸着し、回路基板上の定められた座標位置に実装するようになっている。この種の電子部品実装装置として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−251705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のこの種の電子部品実装装置においては、同一の部品種の電子部品が複数のトレイに収容されている場合、若いスロットに配置されたトレイより順番に電子部品を取り出すようにしたり、あるいは、予め登録した順番に電子部品を取り出すようにしている。
【0005】
しかしながら、ジョブ切り替え等に伴う部品の補給時に、部品残数の少ない使いかけの電子部品を収容したトレイがパレットにセットされる場合があり、この使いかけのトレイがいつまでも使用されずに、取り残されることがある。
【0006】
ユーザにとっては、電子部品の使用期限や部品管理の観点から、使いかけの電子部品を収容したトレイから順次使用していきたいが、そのようにするためには、部品残数が少ないトレイから部品が取り出されるように電子部品の配置替え等を行わなければならず、オペレータの作業負担が大きくなり、段取り作業に多大の時間を要してしまう問題がある。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたもので、各トレイに収容された部品の部品残数を管理することにより、部品残数の少ないトレイより順番に使用できるようにした電子部品実装装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、基台に設けられ基板の搬入、搬出および位置決め保持を行う基板搬送装置と、前記基台に対し移動可能に支持された移動台と、前記基板に実装する電子部品を収容した複数のトレイを備えた部品供給装置と、前記移動台に取付けられ電子部品を吸着する吸着ノズルを保持し該吸着ノズルに吸着した電子部品を前記基板搬送装置に位置決め保持された前記基板上に実装する部品実装ヘッドと、前記吸着ノズルに吸着された電子部品を撮像する部品検出手段とを備えた電子部品実装装置において、前記複数のトレイに収容された電子部品の部品種および部品残数を含むデータを前記トレイ毎に記憶する部品残数データ記憶手段と、該部品残数データ記憶手段に記憶された電子部品の部品種および部品残数に基づいて同じ部品種の電子部品を収容したトレイのうち部品残数の少ない順にトレイの使用順序を決定する使用順序決定手段を備え、該使用順序決定手段で決定された前記トレイの使用順序に従って前記部品実装ヘッドにより電子部品を順次取り出し、前記基板に実装するようにしたことである。
【0009】
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記部品供給装置は、複数の平板状のパレットを備え、これらパレットに前記トレイがそれぞれ複数ずつ装着されていることである。
【0010】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1において、前記部品供給装置は、複数のパレットを上下方向に収納したマガジンを備え、これらパレットに前記トレイが段積み状に装着されていることである。
【0011】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、ジョブ切り替え等の部品の補給時に、前記使用順序決定手段による使用順序決定処理を実行するようにしたことである。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、複数のトレイに収容された電子部品の部品種および部品残数を含むデータをトレイ毎に記憶する部品残数データ記憶手段と、部品残数データ記憶手段に記憶された電子部品の部品種および部品残数に基づいて同じ部品種の電子部品を収容したトレイのうち部品残数の少ない順にトレイの使用順序を決定する使用順序決定手段を備え、使用順序決定手段で決定されたトレイの使用順序に従って部品実装ヘッドにより電子部品を順次取り出し、基板に実装するようにした。
【0013】
この構成により、使いかけの電子部品を収容したトレイが長期間使用されずに残存することがなくなり、しかも、これが自動で行われるので、オペレータがトレイに部品残数を調べて古い順にセットする等の必要がなく、オペレータの作業を軽減できるとともに、ジョブ切り替え時の段取り作業時間を削減することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、部品供給装置は、複数の平板状のパレットを備え、これらパレットにトレイがそれぞれ複数ずつ装着されているので、各トレイの部品残数を比較して、トレイの使用順序を決定することにより、部品残数の少ないトレイから順に使用することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、部品供給装置は、複数のパレットを上下方向に収納したマガジンを備え、これらパレットにトレイが段積み状に装着されているので、段積みされた最上面にあるトレイの部品残数を比較して、トレイの使用順序を決定することにより、部品残数の少ないトレイから順に使用することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、部品の補給時に、使用順序決定手段による使用順序決定処理を実行するようにしたので、ジョブ切り替え等に、オペレータによる段取り作業を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子部品実装装置の全体を示す平面図である。
【図2】実施の形態に係る部品実装ヘッドの吸着ノズル部を示す図である。
【図3】実施の形態に係るトレイ型部品供給装置のパレットに装着されたトレイを示す図である。
【図4】実施の形態に係る電子部品実装装置を制御する制御装置を示す図である。
【図5】部品データを示す図である。
【図6】複数のトレイより予め定められた使用順序に従って電子部品を取り出す動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】実施の形態に係る部品残数データを示す図である。
【図8】本発明の変形例を示すトレイ型部品供給装置を示す図である。
【図9】変形例におけるトレイ使用順序を決定する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、電子部品実装装置10の全体平面図を示すもので、電子部品実装装置10は、トレイ型部品供給装置11と、フィーダ型部品供給装置12と、部品移載装置13と、基板保持装置14と、基板搬送装置15を備えている。
【0019】
基板搬送装置15は、電子部品実装装置10の基台21上に設けられ、回路基板Bを搬送するベルトコンベヤ22を備え、回路基板Bをベルトコンベア22に沿って搬送して基板保持装置14上に搬入するとともに、基板保持装置14より搬出するものである。図1においては、基板搬送方向をX軸方向とし、基板搬送方向に直交する方向をY軸方向としている。基板保持装置14は、図示を省略するが、回路基板Bを下方から支持する基板支持装置と、回路基板Bをクランプするクランプ装置とを含んでいる。
【0020】
部品移載装置13はXYロボットからなり、基台21の上方位置にY軸方向に移動可能に支持されたY軸移動台23と、Y軸移動台23上にX軸方向に移動可能に支持されたX軸移動台24と、X軸移動台24上に取付けられた部品実装ヘッド25とを備えている。X軸移動台24およびY軸移動台23は、X軸サーボモータ27およびY軸サーボモータ28(図4参照)により、X軸方向およびY軸方向への移動が制御されるようになっている。
【0021】
部品実装ヘッド25には、図2に示すように、昇降軸30がX軸およびY軸方向と直交するZ軸方向(上下方向)に昇降可能に、かつZ軸線の回りに回転可能に支持されている。昇降軸30は、Z軸サーボモータ31およびθ軸サーボモータ32(図4参照)により、Z軸方向への移動および回転角度が制御されるようになっている。昇降軸30には、電子部品Pを吸着する吸着ノズル33が保持されている。
【0022】
図1において、X軸移動台24上には、基板カメラ35が取付けられ、基板カメラ35は、基板保持装置14上に位置決めされた回路基板Bに設けられた基準マークおよび基板IDマークを撮像し、基板位置基準情報および基板ID情報を取得するようになっている。そして、基板カメラ35によって取得された基板位置基準情報に基づいて、部品実装ヘッド25を回路基板Bに対してXY方向に位置補正するとともに、基板ID情報に基づいて、電子部品Pの実装作業を制御するようになっている。
【0023】
また、基台21上には、吸着ノズル33によって吸着された電子部品Pを下方より撮像する部品検出手段としての部品カメラ36が設けられている。部品カメラ36は、部品実装ヘッド25の吸着ノズル33に吸着した電子部品Pを、部品供給装置11、12から回路基板B上に移動する途中で撮像し、吸着ノズル33の中心に対する電子部品Pの芯ずれおよび角度ずれ等を検出し、この芯ずれ等に基づいて部品実装ヘッド25のXY方向等の移動量を補正し、電子部品Pが回路基板B上の定められた座標位置に正確に装着できるようにしている。
【0024】
トレイ型部品供給装置11とフィーダ型部品供給装置12は、Y軸方向に互いに隔たって、基板搬送装置15の両側に設けられている。トレイ型部品供給装置11は、デバイス台11a上の複数のスロットSに着脱可能に載置される平板状の複数のパレット41を備え、これらパレット41に、電子部品Pを収容した複数のトレイ42がそれぞれ装着されている。
【0025】
一方、フィーダ型部品供給装置12には、テーピングされた電子部品Pを供給する複数のテープフィーダ43がデバイス台12a上に着脱可能に装着されており、複数のテープフィーダ43はX軸方向に並設されてデバイス台12aの定められたスロットにそれぞれ装着されている。
【0026】
トレイ型部品供給装置11の各パレット41には、図3に示すように、識別コードとしてのバーコード41aが貼付されており、バーコード41aは、パレット41のシリアルIDを表示する情報表示子として機能している。また、パレット41に装着された各トレイ42には、識別コードとしてのバーコード42aがそれぞれ貼付されており、バーコード42aは、各トレイ42に収容された電子部品PのシリアルID(部品種)を表示する情報表示子として機能している。これらバーコード41a、42aは、部品補給時に図略のバーコードリーダによって読取られ、これによりパレット41のシリアルID、およびトレイ42のシリアルIDが取得され、後述する部品管理サーバに記憶されるようになっている。
【0027】
各トレイ42には、横方向にX1列(実施の形態においては4列)、縦方向にY1列(実施の形態においては3列)の電子部品Pが収容され、各トレイ42に収容された部品数(部品残数)が、後述する部品データに登録されるようになっている。なお、一例として、図3の上方に位置するトレイ42は、電子部品Pが一部消費された使いかけのトレイ42で示している。
【0028】
図4は、電子部品実装装置10を制御する制御装置50を示し、制御装置50は、CPU51と、ROM52およびRAM53からなる記憶装置と、それらを接続するバス54を備えている。バス54には、入出力インタフェース55が接続され、入出力インタフェース55に、入出力装置56が接続されている。入出力装置56は、作業者に必要な案内(表示)を行う表示装置56aと、キーボードおよびマウス等を備えている。
【0029】
また、入出力インタフェース55には、部品実装ヘッド25を駆動する各サーボモータ27、28、31、32を制御するモータ制御ユニット57が接続されているとともに、基板カメラ35および部品カメラ36によって撮像された画像データを画像処理する画像処理装置58等が接続されている。なお、制御装置50のROM52には、電子部品実装装置10の実装作業を制御する実装制御プログラム等が格納されている。
【0030】
さらに、制御装置50には、ホストコンピュータ60が接続されている。ホストコンピュータ60は、複数の電子部品実装装置10およびこれに付随する印刷機および検査機等を統括制御するものであるとともに、各電子部品実装装置10で使用する電子部品Pを一元的に管理する部品管理サーバとしての機能を有するものである。部品管理サーバで管理される部品データDPとしては、図5に示すように、各基板種の回路基板Bを生産するに必要な部品に関するデータ(電子部品Pの型番,寸法、実装座標位置等)と、部品の部品種および部品残数を表わすデータを、トレイ42(およびフィーダ43)のシリアルID毎に対応付けたテーブルからなっており、当該部品データDPが部品管理サーバに記憶されている。そして、各電子部品実装装置10においてジョブの切り替えが行われた際に、指定された回路基板Bを生産するに必要な部品の情報が、ホストコンピュータ60より各電子部品実装装置10の制御装置50に送信されるようになっている。これに基づいて、ある基板種の回路基板Bの生産に必要な部品残数を含むデータが作成され、制御装置50のRAM53に記憶される。
【0031】
次に、トレイ型部品供給装置11のトレイ42より予め定められた使用順序に従って、電子部品Pを取り出す動作を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0032】
まず、ステップS100において、トレイ42に収容される電子部品Pの登録作業が実施される。部品登録作業は、図5の部品データDBに示すように、トレイ42のIDと、各IDのトレイ42に収容される電子部品Pに関する各種部品データと、部品種と、トレイ42に収容された部品収容数(部品残数)との対応表からなっている。これらの部品登録作業は、通常、トレイ42を保管する部品倉庫で実施される。
【0033】
ステップS102において、回路基板Bを生産するジョブ(Job)が切り替えられると、ホストコンピュータ60にジョブが伝送され、ホストコンピュータ60より電子部品実装装置10に、指定された基板種の回路基板Bを生産するに必要な電子部品Pに関する情報が通知され、制御装置50の入出力装置56の表示装置56aに表示される。具体的には、どのIDのトレイ42をどのIDのパレット41に装着し、それらパレット41をトレイ型部品供給装置11のどのスロットSに装着するかが案内される。
【0034】
かかる案内に基づき、ステップS104において、オペレータは、トレイ型部品供給装置11に必要なパレット41およびトレイ42をセットし、回路基板Bを生産するに必要な電子部品Pをトレイ型部品供給装置11に準備する。
【0035】
この場合、パレット41に貼付されたバーコード41a、およびトレイ42に貼付されたバーコード42aが、図略のバーコードリーダによって読み取られ、パレット41およびトレイ42が定められた位置に正しくセットされているか否かの照合(ベリファイ)が行われる。これにより、図7(A)に示すように、各トレイ42毎に、装着されたパレットID、収容された電子部品Pの部品種、収容された部品残数を含む部品残数データDP1が作成され、制御装置50のRAM53に記憶される。かかる制御装置50の記憶装置(RAM)53によって、部品残数データ記憶手段を構成している。
【0036】
ここで、図7(A)においては、ある基板種の回路基板Bを生産するに必要な部品種は、PAとPBの2種類からなり、各トレイ42には、未だ電子部品Pが使用されていない部品残数が満杯のN1(=X1×Y1)のトレイ42と、電子部品Pが一部消費され、部品残数がN2あるいはN3(N1>N2>N3)のトレイ42が存在している例で示している。すなわち、部品種PAを収容したトレイIDが「3」のトレイ42と、トレイIDが「6」のトレイ42は使いかけであり、部品種PBを収容したトレイIDが「5」のトレイ42は使いかけであることを示している。
【0037】
次いで、ステップS106において、トレイ42に収容された部品種毎に、部品残数(部品収容数)の少ない順にトレイ42がソートされ、トレイ42の使用順序を決定する使用順序決定処理が実施される。かかる使用順序決定処理によって、上記部品残数データDP1が図7(B)に示すように編集される。すなわち、部品種PAについては、トレイ42の使用順序が、まず最初に、部品残数の最も少ない使いかけのトレイIDが「6」のトレイ42に決定され、次いで、部品残数の少ないトレイIDが「3」のトレイ42に決定される。そして、それ以外の未使用のトレイ42については、スロットNo.の若い順序に使用順序が決定される。
【0038】
部品種PBについても、上記したと同様に、トレイ42の使用順序が、まず最初に、部品残数の最も少ない使いかけのトレイIDが「5」のトレイ42に決定される。上記したステップS106によって、請求項における使用順序決定手段を構成している。
【0039】
しかる後、ステップS108において、回路基板Bの生産が開始される。これにより、部品種PAの電子部品Pを回路基板Bに実装する場合には、部品実装装置25は、トレイIDが「6」のトレイ42上の所定位置に移動制御され、トレイIDが「6」のトレイ42より吸着ノズル33によって電子部品Pがピックアップされ、回路基板Bの定められた座標位置に実装される。そして、トレイIDが「06」のトレイ42より電子部品Pが取り出される毎に、該当するトレイIDの部品残数が1つずつ減算され、この部品残数が0になると、トレイIDが「3」のトレイ42より電子部品Pを取り出すように、部品実装ヘッド25が制御され、部品実装動作が実行される。
【0040】
同様にして、部品種PBの電子部品Pを回路基板Bに実装する場合には、トレイIDが「5」のトレイ42より電子部品Pを取り出して回路基板Bに実装するための部品実装動作が実行される。このようにして、部品実装動作が継続され、部品供給装置20に収容された電子部品Pの残数が少なくなると、部品の補給が案内され、補給作業が実施される。
【0041】
このように、回路基板Bを生産するジョブの切り替えにより、ホストコンピュータ60より電子部品実装装置10に、基板生産に必要な部品残数を含む情報が案内され、各電子部品実装装置10において、トレイ42に収容された部品種毎に、部品残数(部品収容数)の少ない順にトレイ42がソートされ、トレイ42の使用順序が決定される。
【0042】
従って、上記した実施の形態によれば、部品残数が少ないトレイ42より、電子部品実装装置10が自動で電子部品を消費していくようにしたので、使いかけの電子部品を収容したトレイ42が長期間使用されずに残存することがなくなり、しかも、これが自動で行われるので、オペレータがトレイ42に部品残数を調べて古い順にセットする等の必要がなく、オペレータの作業を軽減できるとともに、ジョブ切り替え時の段取り作業時間を削減できるようになる。
【0043】
次に、段積みのトレイを備えたトレイ型部品供給装置111に適用した本発明の変形例を、図8および図9に基づいて説明する。
【0044】
図8に示すように、トレイ型部品供給装置111の収納箱112内には、マガジン113が上下方向に移動可能に設けられ、このマガジン113内に複数枚のパレット141が複数段のスロットSに1枚ずつ収納されている。各パレット141上には、電子部品を収容した複数枚のトレイ142がそれぞれ段積み状態もしくは平積み状態で載置されている。
【0045】
かかる変形例においても、上記した実施の形態で述べたと同様に、ホストコンピュータ62において部品残数を含む部品データDPが作成され、ある基板種の回路基板Bの生産時に、その回路基板Bの生産に必要な部品残数を含む部品残数データDP1が、ホストコンピュータ62より電子部品実装装置10の制御装置に通知され、これにより、各トレイ142に収容された部品残数に基づいて、トレイ142の使用順序が決定される。
【0046】
ただし、変形例のように複数のトレイ142を段積みしたものにおいては、通常、部品残数は、段積みしたトレイ142すべての部品残数を足し合わせた総残数としているので、その部品残数(総残数)をそのまま用いて使用順序を決定すると、段積みされたトレイ142は平積みされたトレイより使用順序が後回しになってしまう。
【0047】
そこで、本発明の変形例においては、例えば、図9に示すように、最上面にあるトレイ142A、142B、142Cの部品残数を比較して使用順序を決定することにより、段積みされたトレイ142の使用順序が後回しになってしまうことを予防している。
【0048】
なお、最上面にあるトレイ142の部品残数Nxは、下記式で求められる。
Nx=総残数−トレイ1枚当たりの部品収容数×(トレイ段積み数−1)
【0049】
ここで、各トレイ142に収容される部品収容数を、実施の形態で述べたように、縦3列、横4列の12個、段積みされたトレイ142の段数を3とすれば、総残数が28個であれば、最上面にあるトレイ142の部品残数Nxは、上記式より4個(28−12×(3−1))となる。
【0050】
従って、段積みされた最上面のトレイ142に収容された部品残数と、平積みされたトレイ142に収容された部品残数を、部品残数の少ない順にソートして使用順序を決定することにより、部品残数が少ないトレイ142より順番に電子部品Pが取り出され、使いかけの部品がトレイ142に長期間残存する事態を防止できるようになる。
【0051】
上記した実施の形態においては、パレット41にそれぞれ複数ずつのトレイ42を装着した例で説明したが、必ずしも複数である必要はなく、1つであってもよい。
【0052】
また、上記した実施の形態においては、トレイ型部品供給装置11とフィーダ型部品供給装置12とを備えた電子部品実装装置10を例に説明したが、少なくとも、トレイ型部品供給装置11を備えた電子部品実装装置10に適用可能である。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る電子部品実装装置は、トレイ型部品供給装置に装着された複数のトレイより電子部品を吸着ノズルにより吸着して基板に実装するものに用いるのに適している。
【符号の説明】
【0055】
10…電子部品実装装置、11、111…トレイ型部品供給装置、12…フィーダ型部品供給装置、13…部品移載装置、15…基板搬送装置、25…部品実装ヘッド、33…吸着ノズル、36…部品検出手段(部品カメラ)、41、141…パレット、42、142…トレイ、50…制御装置、54…部品残数データ記憶手段(RAM)、60…ホストコンピュータ、S106…使用順序決定手段、P…電子部品、B…基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に設けられ基板の搬入、搬出および位置決め保持を行う基板搬送装置と、前記基台に対し移動可能に支持された移動台と、前記基板に実装する電子部品を収容した複数のトレイを備えた部品供給装置と、前記移動台に取付けられ電子部品を吸着する吸着ノズルを保持し該吸着ノズルに吸着した電子部品を前記基板搬送装置に位置決め保持された前記基板上に実装する部品実装ヘッドと、前記吸着ノズルに吸着された電子部品を撮像する部品検出手段とを備えた電子部品実装装置において、
前記複数のトレイに収容された電子部品の部品種および部品残数を含むデータを前記トレイ毎に記憶する部品残数データ記憶手段と、該部品残数データ記憶手段に記憶された電子部品の部品種および部品残数に基づいて同じ部品種の電子部品を収容したトレイのうち部品残数の少ない順にトレイの使用順序を決定する使用順序決定手段を備え、該使用順序決定手段で決定された前記トレイの使用順序に従って前記部品実装ヘッドにより電子部品を順次取り出し、前記基板に実装するようにしたことを特徴とする電子部品実装ヘッド。
【請求項2】
請求項1において、前記部品供給装置は、複数の平板状のパレットを備え、これらパレットに前記トレイがそれぞれ複数ずつ装着されていることを特徴とする電子部品実装ヘッド。
【請求項3】
請求項1において、前記部品供給装置は、複数のパレットを上下方向に収納したマガジンを備え、これらパレットに前記トレイが段積み状に装着されていることを特徴とする電子部品実装ヘッド。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、ジョブ切り替え等の部品の補給時に、前記使用順序決定手段による使用順序決定処理を実行するようにしたことを特徴とする電子部品実装ヘッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−8729(P2013−8729A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138610(P2011−138610)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】