説明

電子部品接合構造

【課題】電子部品リードを配線用バスバーにカシメ接合した電子部品接合構造を提供する。
【解決手段】フラックスを使用する必要はないため、高温中で使用してもフラックスの溶解による気泡は発生せず、この気泡の膨張による接合部の破損は防止できる。バスバーの先端に嵌挿凹部を介して支持片と折り曲げ片を形成し、この嵌挿凹部にリード31を嵌め込み、折り曲げ片を折り曲げることにより折り曲げ片の先端部をリードの周縁に巻きつけるようにカシメるようにすれば、簡単な作業でカシメ接合をすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電子部品接合構造に関し、例えば、ホールICのリードを配線用バスバーに接合する場合に使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ホールICを接合する場合、主として、配線用バスバーに半田付けしていた。
【0003】
【特許文献1】特開2010−34204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の接合構造にあっては、半田付けによって接合していたため、高温中(165°C)で使用した場合、半田のフラックスが溶け気泡が生じ、この気泡が膨張蒸発する際の力により接合部に負荷を与え破損しやすいという不都合を有した。
【0005】
この発明の課題はこれらの不都合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記不都合を解消するために、この発明に係る電子部品接合構造においては、電子部品リードを配線用バスバーにカシメ接合したものである。
【0007】
この場合、前記バスバーの先端に嵌挿凹部を介して支持片と折り曲げ片を形成し、この嵌挿凹部に前記リードを嵌め込み、前記折り曲げ片を折り曲げることにより前記折り曲げ片の先端部を前記リードの周縁に巻きつけるようにカシメることができる。
【0008】
また、 前記バスバーの横断面が角形にすることができる。
【0009】
また、前記嵌挿凹部の奥辺の隅部を弧状に形成することもできる。

【発明の効果】
【0010】
この発明に係る電子部品接合構造は、電子部品リードを配線用バスバーにカシメ接合したため、フラックスを使用する必要はないものである。
【0011】
よって、この電子部品接合構造を使用すれば、高温中で使用してもフラックスの溶解による気泡は発生せず、この気泡の膨張による接合部の破損は防止できるものである。
【0012】
この場合、前記バスバーの先端に嵌挿凹部を介して支持片と折り曲げ片を形成し、この嵌挿凹部に前記リードを嵌め込み、前記折り曲げ片を折り曲げることにより前記折り曲げ片の先端部を前記リードの周縁に巻きつけるようにカシメるようにすれば、簡単な作業でカシメ接合をすることができるものである。
【0013】
また、 前記バスバーの横断面を角形にすれば、前記リードは前記嵌挿凹部内で回転することは無いため、その保持力は向上する。
【0014】
また、前記嵌挿凹部の奥辺の隅部を弧状に形成すれば、カシメる際に、前記バスバーの角部がこの弧状の隅部に食い込むため、その保持力はより一層向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明に係る、この発明に係る電子部品接合構造は実施するにあたって下記の構成に最も主要な特徴を有する。
【0016】
「カシメる」にあたって、前記バスバーの先端に嵌挿凹部を介して支持片と折り曲げ片を形成する。この嵌挿凹部に前記リードを嵌め込み、前記折り曲げ片を折り曲げる。この際、前記折り曲げ片の先端部を前記リードの周縁に巻きつけるようする。
【0017】
前記バスバーはプレス成形によって横断面を角形に形成する。
【0018】
前記嵌挿凹部の奥辺を弧状にすれば一回の作業で両隅部を弧状に形成することができる。
【実施例】
【0019】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明に係る電子部品接合構造の接合前の斜視図、図2は同接合状態の斜視図、図3は接合工程を示す斜視図、図4は図2におけるIV部拡大図、図5は図3におけるV矢視の部分図、図6は図4におけるVI矢視の部分図である。
【0020】
図1において、10は樹脂(射出成形)製バスバーブロック、20,20,…はこのバスバーブロック10にインサート成型された銅製バスバーである。21はバスバー本体であり、前記バスバー20,20,…の主要部を構成し、前記バスバーブロック10の表面に露出している。このバスバー本体21には素子(図示せず)が半田付けされる。
【0021】
22,22,…は端子であり、前記バスバーブロック10に突設されている。これらの端子22,22,…は相応する前記バスバー20,20,…と一体形成され、バスバー20,20,…とともに前記バスバーブロック10にインサート成型されている。
【0022】
30はホールIC、31,31,…はそのリードである。このリード31は断面四角形状の銅線に錫メッキをしたものである。
【0023】
次に、23,23,…はバスバー接続部であり、前記バスバー20,20,…の先端に形成されている。このバスバー接続部22,22,…は前記バスバーブロック10の端部に位置し、垂直方向に延びている。
【0024】
図5において、41は支持片、42は折り曲げ片であり、前記バスバー接続部22の先端に嵌挿凹部43を介して形成されている。この嵌挿凹部43には前記リード31が嵌めこまれる。なお、記嵌挿凹部43の奥辺の隅部44,44は弧状に形成されている。この場合、仮想線で示すように、前記嵌挿凹部43の奥辺を弧状にすれば一回の作業で両隅部44,44を弧状に形成することができる。
【0025】
図2〜図6に基づいて、前記ホールIC30のリード31,31,…を前記バスバー接続部22,22,…に接合する工程を説明する。
【0026】
前記嵌挿凹部43,43,…に相応する前記リード31,31,…を嵌め込む(図3の状態)。その後、前記折り曲げ片42を、前記リード31の周縁に巻きつけるようにカシメる(図4の状態)。このとき、前記リード31は侵入に伴ってその下端角部が前記嵌挿凹部43における弧状の隅部44,44に食い込み、接合の保持力は向上する。その後、ケーシング50を樹脂成型する際に、前記ホールIC30のリード31,31,…が接合された状態に前記バスバーブロック10をインサート成型する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明に係る電子部品接合構造は、従来と必要としたフラックスは不用となり、この結果、高温中で使用してもフラックスの溶解による気泡は発生せず、この気泡の膨張による接合部の破損は防止できるものである。よって、産業上の利用可能性は高いものである。

【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1はこの発明に係る電子部品接合構造の接合前の斜視図である。
【図2】図2は同接合状態の斜視図である。
【図3】図3は接合工程を示す斜視図である。
【図4】図4は図2におけるIV部拡大図である。
【図5】図5は図3におけるV矢視の部分図である。
【図6】図6は図4におけるVI矢視の部分図である。
【符号の説明】
【0029】
10 … 樹脂製バスバーブロック
20 … 銅製バスバー
21 … バスバー本体
22 … 端子
30 … ホールIC
31 … リード
23 … バスバー接続部
41 … 支持片
42 … 折り曲げ片
43 … 嵌挿凹部
44 … 隅部
50 … ケーシング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品リードを配線用バスバーにカシメ接合したことを特徴とする電子部品接合構造。
【請求項2】
前記バスバーの先端に嵌挿凹部を介して支持片と折り曲げ片を形成し、この嵌挿凹部に前記リードを嵌め込み、前記折り曲げ片を折り曲げることにより前記折り曲げ片の先端部を前記リードの周縁に巻きつけるようにカシメたことを特徴とする請求項1の電子部品接合構造。
【請求項3】
前記バスバーの横断面が角形であることを特徴とする請求項1又は請求項2の電子部品接合構造。
【請求項4】
前記嵌挿凹部の奥辺の隅部が弧状に形成されていることを特徴とする請求項3の電子部品接合構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−248800(P2012−248800A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121700(P2011−121700)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(596177630)株式会社日本ロック (21)
【Fターム(参考)】