説明

電子部品接続箱及び電子部品内蔵ユニット

【課題】電線の噛み込みを防止した電線部品接続箱及び電子部品内蔵ユニットを提供する。
【解決手段】接地部材12の接地部12fがケース11の一面と同一平面となるようにケース11から突出して設けられる。電線4を狭持する二対の電線保持部23c、23dが、ケース11の一面と対向する底壁23からケース11外に向かって突設されている。また、ケース11の底壁23には、コンデンサの端子及び電線4に電気的に接続されたバスバの両者を露出する溶接穴23aが設けられている。一対の電線保持部23cは、溶接穴23aを挟むように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品接続箱及び電子部品内蔵ユニットに係り、特に、電子部品と電線を収容して接地する電子部品接続箱及び電子部品内蔵ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等に装備される各種センサ等は、ホーンやワイパモータのような高周波成分を持った雑音源からの電動ノイズや、ネオンサイン等からの外来ノイズや、誘導ノイズ等が電線に伝わって入力されることがあり、これによって誤動作を引き起こしてしまうという問題が生じていた。
【0003】
そのため、自動車等に搭載されるワイヤハーネス等においては、そのノイズ対策として、当該ワイヤハーネスに含まれるアース用電線をコンデンサを介して適当な接地部分(例えば車両のボディ等)に接続されることが知られている。このようにコンデンサを介して所定の電線を接地するためのコンデンサ内蔵コネクタとしては、特許文献1に記載されているものが知られている。
【0004】
特許文献1に示すコンデンサ内蔵コネクタは、ケースとしての絶縁ハウジングと接地部材としてのアース接続導体とを備えている。絶縁ハウジングは、箱型に形成されていて、コンデンサなどの電子部品、及び、電子部品の端子と電気的に接続される電線の中央部、が収容される。アース接続導体は、接続部と接地部とが設けられている。
【0005】
アース接続導体の接続部は、電子部品の接地端子と接続された状態で絶縁ハウジング内に収容されている。また、アース接続導体の接地部は、扁平状に形成されていて、ボルト挿通穴が設けられている。そして、このボルト挿通穴に挿通されるボルトによってアース接続導体を例えば車両のボディに締結することが可能となっている。上記アース接続導体は、絶縁ハウジングの底面と平行になるようにケースから突出して設けられている。よって、絶縁ハウジングは、底面を車両ボディに向けて車両ボディに取り付けられている。
【特許文献1】特開2006−100061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した電線は、コンデンサ内蔵コネクタで折り返して配索されることがある。このように電線を折り曲げて配索すると、車両のボディにボルトで締結する際にボディと絶縁ハウジングとの間に電線を噛み込んでしまう、という問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、電線の噛み込みを防止した電線部品接続箱及び電子部品内蔵ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、電子部品、及び、該電子部品の端子と電気的に接続された電線の中間部、が収容される箱型のケースと、前記電子部品の接地端子と接続された状態で前記ケース内に収容される第1接続部、及び、前記ケースの一面と同一平面となるように前記ケースから突出して設けられた接地部、が設けられた接地部材と、を有する電子部品接続箱において、前記電線を狭持する一対の電線保持部が、前記ケースの一面と対向する対向面から前記ケース外に向かって突設されていることを特徴とする電子部品接続箱に存する。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記電線の導体に電気的に接続された電線端子と、前記電線端子と嵌合する嵌合部、及び、前記ケースの対向面上に配置された電子部品の端子に重ねて前記ケース内に収容される第2接続部、が設けられたバスバと、前記電子部品の端子及び前記第2接続部の両者を露出する前記ケースの対向面に設けられた露出穴と、を備え、そして、前記一対の電線保持部が、前記露出穴を挟んで設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品接続箱に存する。
【0010】
請求項3記載の発明は、開口部から前記電線を収容すると共に前記開口部を前記ケースの対向面に向けた状態で前記接地部材の第1接続部に重ねて前記ケース内に嵌合される絶縁性のカバー部材と、ヒンジにより前記カバー部材に取り付けられて前記カバー部材の開口部を開閉可能に塞ぐ絶縁性のヒンジカバーと、が設けられて、そして、前記ヒンジカバーに前記電線を支持する凸部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品接続箱に存する。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3何れか1項に記載の電子部品接続箱と、前記ケースに収容される電子部品と、前記ケースに収容され且つ前記電子部品及び前記接地部材を介して接地される電線と、を有することを特徴とする電子部品内蔵ユニットに存する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように請求項1及び4記載の発明によれば、電線を挟持する一対の電線保持部が、ケースの一面と対向する対向面からケース外に向かって突設されているので、折り返した電線をケースの一面と対向する対向面に保持することができるため、電線の噛み込みを防止することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、露出穴を介して電子部品の端子及びバスバの第2接続部とを溶接することができ、電子部品の端子及びバスバの第2接続部とを確実に接続することができる。また、露出穴を挟んで一対の電線保持部を設けることにより、電線によって露出穴を塞ぐことができるので、絶縁性の向上を図ることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、絶縁性のヒンジカバーによりほつれた電線の導体が接地部材の接続部に接触することを防止することができる。しかも、ヒンジカバーをヒンジによりカバー部材の開口部を開閉可能に設けることにより、開口部から簡単に電線をカバー部材内部に収容するこができる。また、ヒンジカバーに電線を支持する凸部を設けることにより、電線を押さえつけて電線の下がりを防止することができ、電線の導体ほつれを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る電子部品接続箱及び電子部品内蔵ユニットの一実施形態を図1〜図7の図面に基づいて以下に説明する。図1〜図3に示すように、電子部品内蔵ユニット1は、電子部品接続箱2と、該電子部品接続箱2の電子部品収容部21に収容される電子部品としてのコンデンサ3と、電子部品接続箱2の電線収容部22に収容される電線4と、を有して構成されている。そして、電子部品内蔵ユニット1は、後述の説明からも分かるようになるが、本実施形態においてノイズフィルタとして機能するように構成されており、車両のボディ等の相手部材に固定されて接地される。
【0016】
コンデンサ3は、公知であるように、図1に示すような略座布団形状の本体31と、一対の端子32、33とを有している。コンデンサ3は、車両の振動等によってガタツキが生じない状態で電子部品接続箱2を構成する後述するケース11内に収容される。そして、端子32は、図3に示す電線4と電気的に接続される。端子33は、後述する接地部材12と電気的に接続される。即ち、本実施形態では、端子33が請求項中の接地端子に相当している。
【0017】
なお、本実施形態では、電子部品をコンデンサ3とする場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、例えばダイオード、抵抗等の各種電子部品とすることもできる。
【0018】
電線4は、公知であるワイヤハーネスを構成する複数の電線のうちの一本、又は単独の電線であって、導体41と、この導体41を被覆する絶縁性の被覆部42とを有して構成されている。このような電線4の中間には、後述する電線端子15が電気的に接続されている。具体的に電線端子15は、電線4の中間における被覆部42を所定範囲で除去することにより剥き出しになった導体41に対して接続されている。
【0019】
電子部品接続箱2は、図1等に示すように、ケース11と、接地部材12と、係止部材13と、バスバ14と、電線端子15と、カバー部材としての電線カバー16と、を有して構成されている。ケース11は、絶縁性を有する合成樹脂部材等で箱型に形成されている。箱型のケース11には、開口部21aが設けられていて、この開口部21aからコンデンサ3などをケース11内に収容する。
【0020】
また、ケース11は、底壁23と、この底壁23の縁部から起立する側壁24と、底壁23から起立する隔壁25と、を有している。上記隔壁25は、底壁23及び側壁24によって囲まれた凹状の空間を電子部品収容部21と電線収容部22とに隔てるように設けられている。上記コンデンサ3の本体31は、上記電子部品収容部21内に収容される。上記コンデンサ3の端子32、33は、隔壁25に設けたスリット25aを通じて電線収容部22内に突出し、電線収容部22の底壁23上に配置される。
【0021】
上記側壁24には、一対のケース側係止部26、27が設けられている。上記一対のケース側係止部26、27は、隔壁25が交わり且つ電子部品収容部21側の側壁24の各々に形成されている。一方のケース側係止部26は、図1〜図3に示すように、例えば接地部材12の係止部の肉厚分等だけ周囲の側壁24の外側よりも奥まって形成された係止基部26aと、該係止基部26aから外部に向かって突出する突起26bと、係止基部26aの高さ方向(図中上下方向)に延びる縁部である一対の案内部26cと、突起26bの両側に位置するように係止基部26aに設けられた一対のスリット26dと、を有している。このように構成されたケース側係止部26は、一対のスリット26dによって係止基部26aにおける突起26bが形成された部分が撓む構成となっている。
【0022】
他方のケース側係止部27は、図4に示すように、係止基部27aと、該係止基部27aから外部に向かって突出する突起27bと、該突起27bの両側に位置するように係止基部27aに設けられた一対のスリット27dと、を有している。このように構成されたケース側係止部27は、一対のスリット27dによって係止基部27aにおける突起27bが形成された部分が撓む構成となっている。
【0023】
底壁23には、図5及び図6に示すように、一対の溶接穴23a、23b(=露出穴)と、二対の電線保持部23c、23dと、が設けられている。一方の溶接穴23aは、コンデンサ3の端子32及び後述するバスバ14の両者を露出するように設けられている。他方の溶接穴23bは、コンデンサ3の端子33及び後述する接地部材12の両者を露出するように設けられている。そして、溶接穴23aを介してケース11外から溶接、半田等によりコンデンサ3の端子32及びバスバ14の電気的接続を行うことができる。また、溶接穴23bを介してケース11外から溶接、半田等によりコンデンサ3の端子33及び接地部材12の電気的接続を行うことができる。
【0024】
二対の電線保持部23c、23dは、電線4を狭持するものであり、底壁23からケース11外に向けて突出されて設けられている。一方の電線保持部23cは、溶接穴23aを挟むように底壁23に突設された一対の立壁23c1と、高さ方向に沿って互いに近づく方向に突設された二対の挟持部23c2と、二対の狭持部23c2の底壁23から離れた側に突設された二対の突起23c3と、から構成されている。二対の狭持部23c2間の距離は各々、電線4の被覆部42の太さとほぼ同じ長さに設けられている。二対の突起23c3間の距離は、電線4の被覆部42の太さより短く設けられている。電線4の被覆部42は、二対の突起23c3よりも底壁23側の二対の狭持部23c2に狭持されて保持されている。
【0025】
他方の電線保持部23dは、溶接穴23bを挟むように底壁23に突設された一対の立壁23d1と、高さ方向に沿って互いに近づく方向に突設された二対の狭持部23d2と、二対の狭持部23d2の底壁23から離れた側に突設された二対の突起23d3と、から構成されている。二対の狭持部23d2間の距離は各々、電線4の被覆部42の太さとほぼ同じ長さに設けられている。二対の突起23d3間の距離は、電線4の被覆部42の太さより短く設けられている。電線4の被覆部42は、二対の突起23d3よりも底壁23側の二対の狭持部23d2に狭持されて保持されている。
【0026】
接地部材12は、導電性を有する金属板等を加工することにより形成されており、コンデンサ3の接地用の端子33と電気的に接続され、且つ、車両のボディ等の相手部材(図示せず)に電気的に接続されることで、端子33を接地する。即ち、接地部材12は、図1〜図3に示すように、第1接続部としての接続部12aと、カバー部12bと、係止部12c、12dと、撓み防止部12eと、接地部12fと、を一体に有して構成されている。
【0027】
接続部12aは、電子部品収容部21に収容されて電線収容部22に延在するコンデンサ3の端子33の上に重ねて位置付けられるように、カバー部12bの縁部から略L字状のアームとして形成されている。接続部12aは、ケース11の底壁23に平行な接続タブ121と、この接続タブ121に直交してケース11の隔壁25と平行な連結部122と、を有している。そして、接続部12aの接続タブ121は、上記溶接穴23bからコンデンサ3の端子33と溶接、半田付け等によって電気的に接続されている。
【0028】
カバー部12bは、電子部品収容部21の開口部21aを塞いで嵌合するように蓋状に形成されている。カバー部12bは、後述する係止部材13を係止するスリット状の取付部12gを有している。そして、取付部12gは、電子部品収容部21の開口部21aを塞いでいない状態では前記係止部材13が着脱自在に装着され且つ電子部品収容部21の開口部21aを塞いだときに電子部品収容部21の内壁等に前記係止部材13を当接させて脱落を防止するように形成されている。具体的には、取付部12gが、ケース11の隔壁25と平行にスライドできるように、カバー部12bの中央から係止部12dに向かうスリットとして形成されている。
【0029】
係止部12cは、ケース側係止部26の突起26bを係止するために、カバー部12bの縁部からケース11の側壁24に沿って延びる略U字状に切り欠けて形成されている。係止部12cは、ケース側係止部26の案内部26cによって移動が規制されて位置決めされる。
【0030】
係止部12dは、図4に示すように、ケース側係止部27の突起27bを係止するために、カバー部12bの縁部からケース11の側壁24に沿って延びる略U字状に切り欠けて形成されている。係止部12dは、電子部品収容部21を形成するケース11の側壁24と略同一の幅となるように、係止部12cよりも幅が広くなるように形成されている。
【0031】
撓み防止部12eは、図4に示すように、係止部12dに対する係止解除方向Xへ前記ケース側係止部27の撓みを防止している。具体的には、接地部材12のカバー部12bが電子部品収容部21に係止されたときに、撓み防止部12eがケース11の側壁24の内面と当接して係止解除方向Xへの前記ケース側係止部27の移動を規制している。
【0032】
接地部12fは、螺子止め用の貫通孔を有しており、側壁24の端面(一面)と同一平面となるようにケース11から突出して設けられている。接地部12fは、車両のボディ等の相手部材に螺子止めされることで、相手部材に固定されて接続部12aをカバー部12bを介して接地する。即ち、接続部12aに電気的に接続された電線4が接地されることになる。
【0033】
係止部材13は、電子部品接続箱2(電子部品内蔵ユニット1)を前記相手部材に対して係止するための部材であり、その形状は一例を示している。係止部材13は、図1に示すように、前記相手部材に係止するための係止凸部13aと、該係止凸部13aとの間に取付部12g(カバー部12b)の縁部をスライド自在に挟持するための隙間を形成するベース部13bと、を有している。そして、本実施例では、カバー部12bの取付部12gに係止部12d側から挿入されて、カバー部12bの中央にスライドされることで、係止部材13を取付部12gに係止して保持する構造となっている。
【0034】
バスバ14は、導電性を有する金属部材等を加工することによって図1に示す形状に形成されている。バスバ14は、第2接続部としての基部14aと、複数(図1中では2つ)の固定部14bと、嵌合部としての起立部14cと、を一体に有している。基部14aは、コンデンサ3の端子32の上に重ねて電線収容部22の底壁23上に配置される。基部14aは、上記溶接穴23aからコンデンサ3の端子32と溶接、半田付け等によって電気的に接続される。固定部14bは、基部14aから突出してケース11にバスバ14を固定する。起立部14cは、基部14aからケース11の隔壁25と平行に起立し且つ電線端子15と電気的に接続される。
【0035】
電線端子15は、導電性を有する金属部材等を加工することによって図1に示す形状に形成されている。電線端子15は、電線4の被覆部42から剥き出しになった導体41に直接接続される電線接続部15aと、該電線接続部15aに連続する連続部15bと、該連続部15bの側部に起立して前記起立部14cと電気的に接続される接触部15cと、を有している。
【0036】
電線カバー16は、絶縁性を有する合成樹脂製の部材であって、電線収容部22に収容された電線端子15を押さえ付けて電線収容部22の開口部21aを塞いでいる。電線カバー16は、図1及び図7に示すように、天井壁16aと、該天井壁16aの縁部に形成される一対の側壁16bと、電線4や電線端子15を収容するための開口部16cと、各側壁16bの外側に設けられ且つ電線収容部22への差し込みをガイドするガイド部16dと、電線収容部22の側壁24の嵌合孔24aと嵌合するカバー側突起16eと、一対の側壁16bの間に形成されて電線4を係止する電線係止部16fと、ヒンジカバー16gと、を有している。
【0037】
また、電線係止部16fに対応したケース11の側壁24には、略U字状に切り欠かれた電線支持部28が一対対向して形成されている。電線支持部28は、組み付けにより差し込まれた電線4を保持できるように形成されている。そして、電線係止部16fが保持している電線4は、上述した電線カバー16の電線係止部16fによって押さえ付けられることで、電子部品接続箱2に固定される。
【0038】
ヒンジカバー16gは、図7に示すように、ヒンジ16g1により電線カバー16の開口部16cを開閉可能に塞ぐことができる。また、図6及び図7に示すように、接地部材12の上方に配置されるヒンジカバー16gには、電線4の被覆部42を支持する凸部としてのリブ16hが設けられている。
【0039】
次に、上記構成に基づいて、電子部品内蔵ユニット1における電子部品接続箱2の組み付けの一例を以下に説明する。
【0040】
まず、コンデンサ3が電子部品収容部21の開口部21aから挿入され、電線収容部22にコンデンサ3の端子32、33が突出した状態で電子部品収容部21内の底壁23上に配置される。そして、電線収容部22にバスバ14が挿入されてケース11に固定される。このとき、図6に示すように、バスバ14の基部14aが端子32上に重ねられる。これにより、溶接穴23aを通じて溶接などによりバスバ14の基部14aとコンデンサ3の端子32とが電気的に接続できるようになる。また、接地部材12のカバー部12bに係止部材13が結合される。具体的には、係止部材13が取付部12gに挿入され、カバー部12bの中央までスライドされることで、接地部材12に係止される。
【0041】
この接地部材12が、電線収容部22の開口部21aを塞ぐように案内部26cに沿ってケース11に近づけると、係止部12cとケース側係止部26及び係止部12dとケース側係止部27がそれぞれ係止される。このとき、係止部12cは、ケース側係止部26の案内部26cに双方とも当接した状態となっている。また、図6に示すように、接続タブ121が端子33上に重ねられる。これにより、溶接穴23bを通じて溶接などにより接地部材12の接続部12aとコンデンサ3の端子33とが電気的に接続できるようになる。
【0042】
電線4は、所望の位置となる電線4の中間において、被覆部42を所定の範囲で除去して導体41を露出され、そこを電線端子15の電線接続部15aが覆うように電線端子15が圧着され、導体41と電線端子15とが電気的に接続される。そして、ヒンジカバー16gが開けられた状態の電線カバー16の開口部16cから電線端子15を電線カバー16に挿入する。次に、ヒンジカバー16gを開口部16cに近づけてヒンジカバー16gを閉じる。その後、該電線カバー16はヒンジカバー16gをケース11の底壁23に向けて電線収容部22に挿入される。このとき、電線端子15の接触部15cが起立部14cと嵌合して、電線4と前記バスバ14とが電線端子15を介して電気的に接続された状態で、電線4が電線収容部22に収容されて電子部品内蔵ユニット1の組み立てが完了する。また、電線4を電子部品接続箱2で折り返して配索する場合は、電線4の被覆部42を二対の電線保持部23c、23d間にそれぞれ狭持させる。
【0043】
このように組み立てられた電子部品内蔵ユニット1は、前記相手部材の取付穴に係止部材13が挿入されて仮固定され、接地部材12の接地部12fの貫通孔と前記相手部材の螺子穴を合わせ、螺子で締められて固定されることで、ノイズフィルタとして機能することになる。
【0044】
以上説明した電子部品内蔵ユニット1によれば、電線4を挟持する二対の電線保持部23c、23dが、ケース11の底壁23からケース11外に向かって突設されているので、折り返した電線4をケース11の底壁23に保持することができる。このため、係止部13を車体側に向けて接地部12fを螺子で締める際にケース11と車体との間に折り返した電線4が噛み込むのを防止することができる。
【0045】
また、ケース11にコンデンサ3の端子32とバスバ14の基部14aとを露出する溶接穴23aを設けることにより、溶接穴23aを介してコンデンサ3の端子32及びバスバ14の基部14aとを溶接することができ、コンデンサ3の端子32及びバスバ14の基部14aとを確実に接続することができる。また、溶接穴23aを挟んで一対の電線保持部23cを設けることにより、電線4の被覆部42によって溶接穴23aを塞ぐことができる。この電線4の被覆部42により、溶接穴23aから露出したコンデンサ3とバスバ14の基部14aが車体に接触する恐れがないので、絶縁性の向上を図ることができる。
【0046】
さらに、ヒンジカバー16gがないと、ほつれた導体41が電線カバー16の開口部16cを通じて接地部材12の接続部12aに接触する恐れがある。しかしながら、本発明の電子部品内蔵ユニット1によれば、電線カバー16の開口部16cを覆うヒンジカバー16gを設けることにより、ほつれた電線4の導体41が接地部材12の接続部12aに接触することを防止することができる。しかも、ヒンジカバー16gをヒンジ16g1により電線カバー16の開口部16cを開閉可能に設けることにより、開口部16cから簡単に電線4を電線カバー16内部に収容するこができる。
【0047】
また、リブ16hがないと、図6に示すように、ケース11内において電線4の電線端子15が接続されている部分から電線支持部28までの間が底壁23側に下がって、電線4の導体ほつれが生じる恐れがある。しかしながら、本発明の電子部品内蔵ユニット1にひよれば、ヒンジカバー16gに電線4を支持するリブ16hを設けることにより、電線4を押さえつけて電線4の下がりを防止することができ、電線4の導体ほつれを防止することができる。
【0048】
なお、上述した実施形態では、一対の電線保持部23cが溶接穴23aを挟むように底壁23上に立設されているが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、底壁23に溶接穴23aが設けられていなければ、一対の電線保持部23cを溶接穴23aを挟んで設ける必要はない。
【0049】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の電子部品接続箱及び電子部品内蔵ユニットの一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1の電子部品接続箱の外観斜視図である。
【図3】図1の電子部品内蔵ユニットの外観斜視図である。
【図4】図1中のケースと接地部材を示す斜視図である。
【図5】図5(a)は、図1に示すような電子部品接続箱の外観斜視図である。図5(b)は、図5(a)のI−I線断面斜視図である。
【図6】図5(a)のII−II線断面図である。
【図7】図1のP矢視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 電子部品内蔵ユニット
2 電子部品接続箱
3 コンデンサ(電子部品)
4 電線
11 ケース
12 接地部材
12a 接続部
12f 接地部
14 バスバ
14a 基部(第2接続部)
14c 起立部(嵌合部)
15 電線端子
16 電線カバー(カバー部材)
16g ヒンジカバー
16h リブ(凸部)
16c 開口部
23 底壁(対向面)
23a 溶接穴(露出穴)
23c 電線保持部
23d 電線保持部
32 端子
33 端子(接地端子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品、及び、該電子部品の端子と電気的に接続された電線の中間部、が収容される箱型のケースと、前記電子部品の接地端子と接続された状態で前記ケース内に収容される第1接続部、及び、前記ケースの一面と同一平面となるように前記ケースから突出して設けられた接地部、が設けられた接地部材と、を有する電子部品接続箱において、
前記電線を狭持する一対の電線保持部が、前記ケースの一面と対向する対向面から前記ケース外に向かって突設されていることを特徴とする電子部品接続箱。
【請求項2】
前記電線の導体に電気的に接続された電線端子と、
前記電線端子と嵌合する嵌合部、及び、前記ケースの対向面上に配置された電子部品の端子に重ねて前記ケース内に収容される第2接続部、が設けられたバスバと、
前記電子部品の端子及び前記第2接続部の両者を露出する前記ケースの対向面に設けられた露出穴と、を備え、そして、
前記一対の電線保持部が、前記露出穴を挟んで設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品接続箱。
【請求項3】
開口部から前記電線を収容すると共に前記開口部を前記ケースの対向面に向けた状態で前記接地部材の第1接続部に重ねて前記ケース内に嵌合される絶縁性のカバー部材と、
ヒンジにより前記カバー部材に取り付けられて前記カバー部材の開口部を開閉可能に塞ぐ絶縁性のヒンジカバーと、が設けられて、そして、
前記ヒンジカバーに前記電線を支持する凸部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品接続箱。
【請求項4】
請求項1〜3何れか1項に記載の電子部品接続箱と、
前記ケースに収容される電子部品と、
前記ケースに収容され且つ前記電子部品及び前記接地部材を介して接地される電線と、
を有することを特徴とする電子部品内蔵ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−117274(P2009−117274A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291595(P2007−291595)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】