説明

電子部品搭載用部材および電子装置

【課題】電子部品の電気的接続に関する信頼性を向上させつつ電子部品の放熱性を向上させた電子部品搭載用部材および電子装置を提供すること。
【解決手段】電子部品搭載用部材1は、絶縁基体11と、絶縁基体11の上面に設けられており電子部品2が搭載される搭載用導体層12と、絶縁基体11の上面に設けられておりボンディングワイヤ3によって電子部品2に電気的に接続される接続用導体層13とを備えている。搭載用導体層12は、接続用導体層13よりも厚い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光素子等の電子部品を搭載するための電子部品搭載用部材および電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば発光素子または固体撮像素子等の電子部品を搭載するための電子部品搭載用部材は、絶縁基体と、絶縁基体の上面に設けられた搭載用導体層と、搭載用導体層の周囲領域に設けられた接続用導体層とを含んでいる。電子部品は、接合部材によって搭載用導体層に接合されるとともに、例えばボンディングワイヤ等の接続部材によって接続用導体層に電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−009401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年の電子装置の高出力化に伴い、電子部品の発熱量が高くなってきている。例えば電子部品として発光素子を用いる場合、発光装置の高輝度化に伴い、発光素子の発熱量が高くなってきている。さらに、電子装置の小型化に伴って電子部品搭載用部材の絶縁基体が小さくなってきており、電子部品の放熱が困難になってきている。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み案出されたもので、その目的は、電子部品の電気的接続に関する信頼性を向上させつつ電子部品の放熱性を向上させた電子部品搭載用部材および電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様による電子部品搭載用部材は、絶縁基体と、絶縁基体の上面に設けられており電子部品が搭載される搭載用導体層と、絶縁基体の上面に設けられておりボンディングワイヤによって電子部品に電気的に接続される接続用導体層とを備えている。搭載用導体層は、接続用導体層よりも厚い。
【0007】
本発明の他の態様による電子装置は、上記電子部品搭載用部材と、電子部品搭載用部材の搭載用導体層に搭載されておりボンディングワイヤによって接続用導体層に電気的に接続された電子部品とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様による電子部品搭載用部材において、絶縁基体の上面に設けられた搭載用導体層が、絶縁基体の上面に設けられた接続用導体層よりも厚ことによって、接続用導体層におけるワイヤボンディングに必要な所望の硬度を維持しつつ搭載用導体層における熱伝導量を増大させることができ、電子部品の電気的接続に関する信頼性を向上させつつ電子部品の放熱性を向上させた電子部品搭載用部材を実現することができる。
【0009】
本発明の他の態様による電子装置は、上記電子部品搭載用部材と、電子部品搭載用部材の搭載用導体層に搭載されておりボンディングワイヤによって接続用導体層に電気的に接続された電子部品とを備えていることによって、電子部品の電気的接続に関する信頼性が向上されているとともに電子部品の放熱性が向上されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態における電子装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示された電子装置のA−Aにおける縦断面図である。
【図2】図1(b)に示された電子装置において符号Bによって示された部分の拡大図である。
【図3】図2に示された電子装置の変形例を示している。
【図4】(a)は本発明の第2の実施形態における電子装置を示す平面図であり、(b)は(a)に示された電子装置のA−Aにおける縦断面図である。
【図5】図4(b)に示された電子装置において符号Bによって示された部分の拡大図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の電子装置における搭載用導体層の構造を示す縦断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の電子装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1(a)および(b)に示されているように、本発明の第1の実施形態における電子装置は、電子部品搭載用部材1と、電子部品搭載用部材1に実装された電子部品2と、電子部品搭載用部材1上に設けられた封入部材4とを含んでいる。電子部品2は、複数のボンディングワイヤ3によって電子部品搭載用部材1に電気的に接続されている。以下、電子部品2の例として発光素子を用いて説明する。
【0013】
電子部品搭載用部材1は、絶縁基体11と、絶縁基体11の上面に設けられた搭載用導体層12および複数の接続用導体層13と、絶縁基体11の下面に設けられた複数の端子導体層14と、絶縁基体11の傾斜面に設けられた光反射層15とを含んでいる。
【0014】
絶縁基体11は、下部基体11aと下部基体11a上に設けられた上部基体11bとを含んでいる。下部基体11aは平板形状を有しており、上部基体11bは枠形状を有している。絶縁基体11は、キャビティを有している。絶縁基体11は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス),窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体またはガラスセラミックス質焼結体等のセラミックスから成る。下部基体11aおよび上部基体11bは、焼成によって一体的に形成されている。
【0015】
図2に示されているように、搭載用導体層12は、メタライズ層12aとめっき層12bとを含んでいる。メタライズ層12aは、例えばタングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag),銅(Cu)等の金属から成り、焼成によって絶縁基体11と一体的に形成されている。メタライズ層12aは、例えば5〜15μmの範囲に含まれる厚みを有している。めっき層12bは、電界めっき法または無電解めっき法によってメタライズ層12aの表面上に形成されている。めっき層12bは、例えば、タングステンまたはモリブデンを主成分とするメタライズ層12a上に形成されており1〜10μmの範囲に含まれる厚みを有するニッケル層と、ニッケル層上に形成されており20〜80μmの範囲に含まれる厚みを有する銅層と、銅層上に形成されており1〜10μmの範囲に含まれる厚みを有するニッケル層と、ニッケル層上に形成されており0.1〜3μmの範囲に含まれる厚みを有する
金層とを含んでいる。搭載用導体層12は、絶縁基体11よりも高い熱伝導率を有している。搭載用導体層12の他の例として、搭載用導体層12が電子部品2に電気的に接続されているものであってもよい。
【0016】
接続用導体層13は、メタライズ層13aとめっき層13bとを含んでいる。メタライズ層13aは、例えばタングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag),銅(Cu)等の金属から成り、焼成によって絶縁基体11と一体的に形成されている。メタライズ層13aは、例えば5〜15μmの範囲に含まれる厚みを有している。めっき層13bは、電界めっき法または無電解めっき法によってメタライズ層12aの表面上に形成されている。めっき層13bは、例えば、タングステンまたはモリブデンを主成分とするメタライズ層13a上に形成されており1〜10μmの範囲に含まれる厚みを有するニッケル層と、ニッケル層上に形成されており5〜20μmの範囲に含まれる厚みを有する銅層と、銅層上に形成されており1〜10μmの範囲に含まれる厚みを有するニッケル層と、ニッケル層上に形成されており0.1〜3μmの範囲に含まれる厚みを有する金層とを含んでいる。
【0017】
搭載用導体層12の厚み12Hは、接続用導体層13の厚み13Hよりも大きい。上述の搭載用導体層12および接続用導体層13の例において、搭載用導体層12の厚み12Hは、搭載用導体層12のめっき層12bに含まれる銅層の厚み20〜80μmと接続用導体層13のめっき層13bに含まれる銅層の厚み5〜20μmとの差の分だけ接続用導体層13の厚み13Hよりも大きい。
【0018】
再び図1を参照して、複数の端子導体層14は、例えば下部基体11a内に設けられたビア導体を介して複数の接続用導体層13に電気的に接続されている。複数の端子導体層14には、例えば電源電圧および接地電圧が印加される。複数の端子導体層14は、例えば、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag)または銅(Cu)等のメタライズ層と、メタライズ層上に形成されたニッケル層とニッケル層上に形成された金層とを含むめっき層とを含んでいる。
【0019】
光反射層15は、枠形状の上部基体11bの内周面に設けられている。光反射層15は、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag)または銅(Cu)等のメタライズ層と、メタライズ層上に形成されためっき層とを含んでいる。めっき層は、メタライズ層上に形成されたニッケル層と、ニッケル層上に形成された金層と、金層上に形成された銀層とを含んでいる。光反射層15は、電子部品2が発光素子である場合、電子部品から放射された光を上方へ反射する。
【0020】
電子部品2は、例えば発光素子である。発光素子の例は、半導体材料から成る発光ダイオード(LED)である。電子部品2は、搭載用導体層12上に設けられており、複数のボンディングワイヤによって複数の接続用導体層13に電気的に接続されている。電子部品2は、接合部材によって搭載用導体層12に接合されている。
【0021】
封入部材4は、上部基体11bの内側に設けられており、電子部品2を覆っている。電子部品2が発光素子である場合、封入部材4は、例えばシリコーン等の透光性を有する樹脂部材と、樹脂部材内に含有された蛍光部材とを含んでいる。蛍光部材は、電子部品2から放射された一次光に応じて二次光を放射する。
【0022】
本実施形態における電子部品搭載用部材1は、絶縁基体11の上面に設けられており電子部品2が搭載される搭載用導体層12と、絶縁基体11の上面に設けられておりボンディングワイヤ3によって電子部品2に電気的に接続される接続用導体層13とを含んでおり、搭載用導体層12が接続用導体層13よりも厚いことによって、接続用導体層13におけるワイヤボンディングに必要な所望の硬度を維持しつつ搭載用導体層12における熱伝導量を増大させることができ、電子部品2の電気的接続に関する信頼性を向上させつつ電子部品2の放熱性を向上させた電子部品搭載用部材1を実現することができる。
【0023】
なお、絶縁基体1が酸化アルミニウム質焼結体からなる場合、搭載用導体層12のメタライズ層12aとして銅(Cu)または銅タングステン(CuW)等から成るメタライズ層を
用いること、または、搭載用導体層12のめっき層12bの内部に銅層等から成るめっき層を介在させておくことによって、搭載用導体層12における熱伝導量をさらに向上させることができる。
【0024】
本実施形態における電子装置は、上述の電子部品搭載用部材1と、搭載用導体層12に搭載されておりボンディングワイヤ3によって接続用導体層13に電気的に接続された電子部品2とを含んでいることによって、電子部品2の電気的接続に関する信頼性が向上されているとともに電子部品2の放熱性が向上されている。
【0025】
なお、図3に示されているように、搭載用導体層12の厚み12Hを接続用導体層13の厚み13Hよりも大きくするためには、搭載用導体層12のメタライズ層12aを接続用導体層13のメタライズ層13aよりも厚くした構造であってもよい。
【0026】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図4(a)、(b)および図5を参照して説明する。第2の実施形態の電子装置において、第1の実施形態の電子装置と異なる構成は、放熱部材16をさらに含んでいることである。その他の構成は、第1の実施形態における電子装置と同様である。
【0027】
放熱部材16は、絶縁基体11の内部において搭載用導体層12の直下に設けられており、平面透視において搭載用導体層12よりも面積の大きい上端部を有している。図4(a)において、放熱部材16は、絶縁基体11等を透視した状態で破線によって示されている。放熱部材16は、例えば銅タングステン(CuW)等の絶縁基体11よりも高い熱伝導率を有する材料から成る。
【0028】
本実施形態の電子部品搭載用部材1は、絶縁基体11の内部において搭載用導体層12の直下に設けられた放熱部材16をさらに含んでおり、放熱部材16が平面透視において搭載用導体層12よりも大きい上端部を有していることによって、搭載用導体層12の下方に放熱部材16の上端部が広がっているため搭載用導体層12から放熱部材16への熱の伝導効率が向上されているとともに、放熱部材16の上端部の縁が搭載用導体層12の形成領域よりも外に位置するため例えば絶縁基体11と放熱部材16との熱膨張率または熱収縮率の違いによる搭載用導体層12の変形が低減されている。従って、本実施形態の電子部品搭載用部材1は、搭載用導体層12に搭載される電子部品2の放熱性に関して向上されているとともに、搭載用導体層12への電子部品2の実装信頼性に関して向上されている。
【0029】
本実施形態の電子装置は、上述の電子部品搭載用部材1と、搭載用導体層12に搭載された電子部品2とを含んでいることによって、電子部品2の放熱性に関して向上されているとともに、電子部品2の実装信頼性に関して向上されている。
【0030】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について図6を参照して説明する。第3の実施形態の電子装置において、第1の実施形態の電子装置と異なる構成は、搭載用導体層12の構造である。その他の構成は、第1の実施形態における電子装置と同様である。
【0031】
搭載用導体層12は、絶縁基体11上に設けられた下部導体層と、下部導体層上に設けられており下部導体層よりも寸法の小さい上部導体層とを含んでいる。図6に示された例において、下部導体層は下部メタライズ層12aであり、上部導体層は上部メタライズ層12aである。図7に示されているように、上部メタライズ層12aが下部メタライズ層12aよりも小さいとは、平面透視において上部メタライズ層12aが下部メタライズ層12aに重なっていることをいう。
【0032】
本実施形態の電子素子搭載用部材1において、搭載用導体層12は、絶縁基体11上に設けられた下部導体層と、下部導体層上に設けられており下部導体層よりも寸法の小さい上部導体層とを含んでいることによって、例えば搭載用導体層12が一つの層から成る構造に比べて特定の部分に熱応力が集中することが低減されるため、搭載用導体層12に比較的発熱量の大きい電子部品2が搭載される場合にも、熱応力の集中による搭載用導体層12の変形が低減されて、電子部品2の実装信頼性の高い電子素子搭載用部材1を提供することができる。
【0033】
本実施形態の電子装置は、上述の電子部品搭載用部材1と、搭載用導体層12に搭載された電子部品2とを含んでいることによって、電子部品2の発熱による搭載用導体層12の変形が低減されており、電子部品2の実装信頼性が向上されている。
【0034】
なお、本発明は、上述の例に限定されるものではなく、種々の変更は可能である。例えば、端子導体層14として絶縁基体11の側面に形成されたキャスタレーション導体を用いてても構わないし、端子導体層14を絶縁基体11の上面における外周部に形成しても構わない。
【0035】
また、図1および図4に示す例においては、1つの搭載用導体層12に1つの電子部品2が搭載されているが、1つの搭載用導体層12に複数の電子部品2が搭載されていても良いし、複数の電子部品2の数に合わせて複数の搭載用導体層12が設けられていても構わない。
【符号の説明】
【0036】
1 電子部品搭載用部材
11 絶縁基体
12 搭載用導体層
13 接続用導体層
14 端子導体層
15 光反射層
16 放熱部材
2 電子部品
3 ボンディングワイヤ
4 封入部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基体と、
該絶縁基体の上面に設けられており、電子部品が搭載される搭載用導体層と、
前記絶縁基体の上面に設けられており、ボンディングワイヤによって前記電子部品に電気的に接続される接続用導体層とを備えており、
前記搭載用導体層が、前記接続用導体層よりも厚いことを特徴とする電子部品搭載用部材。
【請求項2】
前記絶縁基体の内部において前記搭載用導体層の直下に設けられた放熱部材をさらに備えており、
該放熱部材が、平面透視において前記搭載用導体層よりも大きい上端部を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子部品搭載用部材。
【請求項3】
前記搭載用導体層が、前記絶縁基体上に設けられた下部導体層と、該下部導体層上に設けられており前記下部導体層よりも寸法の小さい上部導体層とを含んでいることを特徴とする請求項1記載の電子部品搭載用部材。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された電子部品搭載用部材と、
該電子部品搭載用部材の前記搭載用導体層に搭載されており、ボンディングワイヤによって前記接続用導体層に電気的に接続された電子部品とを備えていることを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−12531(P2013−12531A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143110(P2011−143110)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】