説明

電子部品特性測定装置

【課題】単位時間当たりの測定数を向上させた電子部品特性測定装置を提供する。
【解決手段】
第1及び第2回転テーブル(11,51)と、第1及び第2回転駆動手段(17,57)と、第1及び第2プローブ(20,60)と、第1及び第2進退駆動手段(23,62)と、測定手段(80)と、制御手段(82)と、を有し、第1前進開始動作(M13)より後であって第1前進完了動作(M14)より前に第1回転停止動作(M12)が行われ、第1後退開始動作(M15)より後であって第1後退完了動作(M16)より前に第1回転開始動作(M11)が行われ、第2前進開始動作(M23)より後であって第2前進完了動作(M24)より前に、第2回転停止動作(M22)が行われ、第2後退開始動作(M25)より後であって第2後退完了動作(M26)より前に第2回転開始動作(M21)が行われる電子部品特性測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多量の電子部品の特性を測定することができる電子部品特性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品、特にチップコンデンサ、チップインダクタ等のチップ状電子部品(以下、チップ部品と言う)は、電気的特性を測定して良品の選別等を実施する検査工程を経た後に出荷される。このような検査工程で使用される特性測定装置には、所定の測定精度を達成し得ることを前提としたうえで、単位時間当たりの処理能力の高さが求められる。また、処理能力が同様であれば、より単純で安価な構成であることが望ましい。
【0003】
従来技術に係る電子部品特性測定装置としては、例えばチップ部品を間欠的に搬送する回転テーブルと、回転テーブルによって搬送されるチップ部品に接触及び離間するプローブと、プローブを介して電子部品の電気的特性を測定する測定手段を有するものが知られている(特許文献1等参照)。また、2つの回転テーブルを備え、双方の回転テーブルで搬送される電子部品を、共通の測定手段を用いて測定する電子部品特性測定装置が提案されている(特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−54134号公報
【特許文献2】特開2004−20338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の特性測定装置は、例えば1つの回転テーブルに関する技術に着目した場合、回転テーブルの移動完了を検出した後にプローブの接近を開始し、プローブが離間位置まで移動を完了した後に回転テーブルの移動を開始させるものであった。したがって、このような従来技術は、回転テーブルの回転速度や、プローブの移動速度を上げない限り、単位時間当たりの測定数を向上させることが困難である。また、2つの回転テーブルに関する従来技術では、測定時間の長さの違いを利用して2種類の特性測定装置を交互に使用すること等が提案されているが、プローブの移動に必要な時間が測定能力に及ぼす影響については、何の示唆もない。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、単位時間当たりの測定数を向上させた電子部品特性測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係る電子部品特性測定装置は、
周方向に沿って複数の第1収納部が設けられており、回転可能な第1回転テーブルと、
前記第1回転テーブルの回転を開始させる第1回転開始動作と、前記第1収納部が所定の間隔移動するように前記第1回転テーブルの回転を停止させる第1回転停止動作と、を行う第1回転駆動手段と、
少なくとも1つの前記第1収納部に対して離間している第1離間位置と、前記第1離間位置より前記第1収納部に対して近接している第1近接位置との間を移動可能な第1プローブと、
前記第1離間位置から前記第1近接位置に向かって前記第1プローブの移動を開始させる第1前進開始動作と、前記第1プローブを前記第1近接位置で停止させる第1前進完了動作と、前記第1近接位置から前記第1離間位置に向かって前記第1プローブの移動を開始させる第1後退開始動作と、前記第1プローブを前記第1離間位置に到達させる第1後退完了動作と、を行う第1進退駆動手段と、
前記第1プローブに対して電気的に接続しており、前記第1プローブが接触する電子部品の特性測定を行う測定手段と、
前記第1回転駆動手段及び前記第1進退駆動手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第1前進開始動作より後であって前記第1前進完了動作より前に前記第1回転停止動作が行われ、前記第1後退開始動作より後であって前記第1後退完了動作より前に前記第1回転開始動作が行われるように、前記第1回転駆動手段及び前記第1進退駆動手段を制御することを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の観点に係る特性測定装置は、プローブの移動動作と回転テーブルの回転動作を時間的にオーバーラップさせることにより、単位時間当たりの電子部品の測定数を上昇させることができる。このような特性測定装置は、測定手段が特性測定を行っていない時間を減少させ、測定手段稼働率を上昇させることができる。
【0009】
本発明の第2の観点に係る電子部品特性測定装置は、
周方向に沿って第1の間隔で複数の第1収納部が設けられており、回転可能な第1回転テーブルと、
周方向に沿って第2の間隔で複数の第2収納部が設けられており、前記第1回転テーブルとは独立して回転可能な第2回転テーブルと、
前記第1回転テーブルの回転を開始させる第1回転開始動作と、前記第1収納部が前記第1の間隔移動するように前記第1回転テーブルの回転を停止させる第1回転停止動作と、を行う第1回転駆動手段と、
前記第2回転テーブルの回転を開始させる第2回転開始動作と、前記第2収納部が前記第2の間隔移動するように前記第2回転テーブルの回転を停止させる第2回転停止動作と、を行う第2回転駆動手段と、
少なくとも1つの前記第1収納部に対して離間している第1離間位置と、前記第1離間位置より前記第1収納部に対して近接している第1近接位置との間を移動可能な第1プローブと、
少なくとも1つの前記第2収納部に対して離間している第2離間位置と、前記第2離間位置より前記第2収納部に対して近接している第2近接位置との間を移動可能な第2プローブと、
前記第1離間位置から前記第1近接位置に向かって前記第1プローブの移動を開始させる第1前進開始動作と、前記第1プローブを前記第1近接位置で停止させる第1前進完了動作と、前記第1近接位置から前記第1離間位置に向かって前記第1プローブの移動を開始させる第1後退開始動作と、前記第1プローブを前記第1離間位置に到達させる第1後退完了動作と、を行う第1進退駆動手段と、
前記第2離間位置から前記第2近接位置に向かって前記第2プローブの移動を開始させる第2前進開始動作と、前記第2プローブを前記第2近接位置で停止させる第2前進完了動作と、前記第2近接位置から前記第2離間位置に向かって前記第2プローブの移動を開始させる第2後退開始動作と、前記第2プローブを前記第2離間位置に到達させる第2後退完了動作と、を行う第2進退駆動手段と、
前記第1プローブ及び前記第2プローブに対して電気的に接続しており、前記第1プローブ及び前記第2プローブが接触する電子部品の特性測定を行う測定手段と、
前記第1回転駆動手段及び前記第2回転駆動手段並びに前記第1進退駆動手段及び前記第2進退駆動手段を制御する制御手段と、を有し、
前記測定手段は、前記第1近接位置に位置する前記第1プローブによって前記第1収納部にある電子部品の特性測定を行う動作と、前記第2近接位置に位置する前記第2プローブによって前記第2収納部にある電子部品の特性測定を行う動作とを交互に行い、
前記制御手段は、前記第1前進開始動作より後であって前記第1前進完了動作より前に前記第1回転停止動作が行われ、前記第1後退開始動作より後であって前記第1後退完了動作より前に前記第1回転開始動作が行われるように、前記第1回転駆動手段及び前記第1進退駆動手段を制御し、
前記制御手段は、前記第2前進開始動作より後であって前記第2前進完了動作より前に、前記第2回転停止動作が行われ、前記第2後退開始動作より後であって前記第2後退完了動作より前に前記第2回転開始動作が行われるように、前記第2回転駆動手段及び前記第2進退駆動手段を制御する。
【0010】
本発明の第2の観点に係る特性測定装置は、共通の測定手段を用いて、第1の回転テーブルにある電子部品の特性測定と、第2回転テーブルにある電子部品の特性測定とを、交互に行う。これにより、本発明に係る特性測定装置は、例えば一方の回転テーブルが所定の間隔(第1の間隔又は第2の間隔)だけ電子部品を送っている間に、他方の回転テーブルにある電子部品の特性測定を行うことができ、測定手段が特性測定を行っていない時間を大きく減少させることが可能である。
【0011】
また、本発明に係る特性測定装置は、プローブの移動動作と回転テーブルの回転動作を時間的にオーバーラップさせることにより、単位時間当たりの電子部品の測定数を上昇させることができる。2つの回転テーブルについて交互に特性測定を行い、かつ、プローブの移動動作と回転テーブルの回転動作を時間的にオーバーラップさせることにより、本発明に係る特性測定装置は、測定手段が特性測定を行っていない時間を更に減少させることができる。
【0012】
また、例えば、前記制御手段は、前記第1プローブが前記第1近接位置にある間には前記第2プローブが前記第2近接位置に位置しないように、前記第1進退駆動手段及び前記第2進退駆動手段を制御しても良い。
【0013】
第1プローブが第1近接位置にある時間と、第2プローブが第2近接位置にある時間が重ならないように制御することによって、本発明に係る特性測定装置は、測定手段とプローブの間に別途切り換えスイッチ等を設けなくても、電子部品の特性を精度良く測定することが可能である。
【0014】
また、例えば、前記制御手段は、前記第1前進開始動作と前記第2後退開始動作とが同期し、前記第1後退開始動作と前記第2前進開始動作とが同期するように、前記第1進退駆動手段及び前記第2進退駆動手段を制御しても良い。このような特性測定装置は、第1プローブと第2プローブとが同時に電子部品に接触することを確実に回避し、電子部品の特性を精度良く測定することが可能である。
【0015】
また、例えば、前記制御手段は、前記第1回転開始動作および前記第1回転停止動作のうち少なくとも一方が、前記第2回転開始動作より後であって前記第2回転停止動作より前に行われるように、前記第1回転駆動手段及び前記第2回転駆動手段を制御しても良い。
【0016】
このような特性測定装置は、プローブの移動動作と回転テーブルの回転動作を時間的にオーバーラップさせるだけでなく、更に第1回転テーブルと第2回転テーブルの回転動作を時間的にオーバーラップさせることにより、より効果的に測定手段が特性測定を行っていない時間を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品特性測定装置の概略平面図である。
【図2】図2は、図1に示す特性測定装置における第2回転テーブル周辺を表す概略部分断面図である。
【図3】図3は、図2における第2プローブ周辺を拡大した拡大側面図である。
【図4】図4は、第2収納部周辺を表す断面図であり、第2プローブが離間位置にある状態を表している。
【図5】図5は、第2収納部周辺を表す断面図であり、第2プローブが近接位置にある状態を表している。
【図6】図6は、第1実施例に係る特性測定のタイムチャートである。
【図7】図7は、第2実施例に係る特性測定のタイムチャートである。
【図8】図8は、第1及び第2参考例に係る特性測定のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品特性測定装置10の概略平面図である。特性測定装置10は、第1回転テーブル11、第2回転テーブル51、第1回転駆動手段17、第2回転駆動手段57、第1プローブ20、第2プローブ60、第1進退駆動手段23、第2進退駆動手段63等を有する。
【0019】
第1回転テーブル11は略円形の平面形状を有している。第1回転テーブル11は、後述する第1回転駆動手段17からの駆動力を受けて、矢印86で示す方向に回転する。第1回転テーブル11には、チップ部品を収納する第1収納部15が複数設けられている。第1収納部15は、周方向に沿って第1の間隔16で設けられている。図1に示す例では、第1収納部15は、放射方向に4周分設けられており、第1の間隔16は360/1000度であるため、第1回転テーブル11には合計4000個の第1収納部15が設けられている。ただし、第1回転テーブル11に設けられる第1収納部15の数や、第1収納部15を設ける第1の間隔16は、第1回転テーブル11の大きさや、特性測定の対象となるチップ部品の大きさ等によって調整され、特に限定されない。
【0020】
第1回転テーブル11の各第1収納部15には、矢印92で示す位置で、不図示の供給装置からチップ部品が供給される。各第1収納部15に供給されたチップ部品は、第1回転テーブル11の回転とともに矢印86方向(時計回り)に搬送され、第1プローブ20が設けられている位置で電気的特性等を計測される。さらに、電気的特性が計測されたチップ部品は、矢印93〜矢印94で示す位置まで搬送され、不図示の排出装置によって第1収納部15から排出される。不図示の排出装置は、第1回転テーブル11からチップ部品を排出する際に、搬送の間に測定された特性結果に基づき、これらのチップ部品を選別することができる。
【0021】
第2回転テーブル51は、第1回転テーブル11とほぼ同様の形状を有しており、第1回転テーブル11と並んで配置されている。第2回転テーブル51は、後述する第2回転駆動手段57からの駆動力を受けて、矢印88で示す方向(反時計回り)に回転する。第2回転テーブル51には、第1回転テーブル11と同様に、チップ部品を収納する第2収納部55が、複数設けられている。なお、図1に示す例では、第2回転テーブル51に設けられる第2収納部55の数及び間隔(第2の間隔56)は、第1回転テーブル11における第1収納部15の数および間隔(第1の間隔16)と同様であるが、これらは必ずしも同様である必要はなく、互いに異なっていても良い。
【0022】
第2回転テーブル51においても、第1回転テーブル11と同様に、チップ部品の供給、特性測定及び排出が実施される。すなわち、第2回転テーブル51の各第2収納部55に供給されたチップ部品は、第2回転テーブル51とともに矢印88方向(半時計回り)に搬送され、第2プローブ60が設けられている位置で電気的特性を計測された後に、不図示の排出装置から排出される。排出時にチップ部品の選別が可能な点も、第1回転テーブル11と同様である。
【0023】
第1回転テーブル11には、第1回転テーブル11を間欠的に回転させる第1回転駆動手段17が接続されており、第2回転テーブル51には、第2回転テーブル51を間欠的に回転させる第2回転駆動手段57が接続されている。第1回転駆動手段17及び第2回転駆動手段57は、後述する制御手段82に対して電気的に接続されており、制御手段82からの制御を受ける。
【0024】
図2は、特性測定装置10における第2回転テーブル51周辺を表す概略側面図である。第2回転テーブル51を回転させる第2回転駆動手段57は、第2回転テーブル51の中央部下方に配置されている。第2回転駆動手段57は、第2サーボモータ58と、第2サーボモータ58の駆動を第2回転テーブル51に伝えるカップリング59を有する。
【0025】
図3に示すように、第2回転テーブル51は、第2収納部55が形成されており当該第2収納部55にチップ部品を保持しながら回転する回転盤54を有する。図2に示す第2サーボモータ58の駆動力は、カップリング59を介して第2回転テーブル51の回転盤54(図3参照)に伝えられる。これにより、第2回転テーブル51の回転駆動及びこれに伴うチップ部品の搬送が実施される。なお、第1回転駆動手段17は、第2回転テーブル51ではなく第1回転テーブル11に接続されている点が異なることを除き、第2回転駆動手段57と同様の構成を有している(第1サーボモータ及びカップリングを含む)ため、説明を省略する。
【0026】
図1に示すように、第1回転テーブル11には複数の第1プローブ20が取り付けられている。各第1プローブ20は、プローブ支持ブロック33に固定されており、プローブ支持ブロック33と共に上下に動き、第1回転テーブル11の第1収納部15に対して接近・離間する。プローブ支持ブロック33及びこれに固定された第1プローブ20は、第1進退駆動手段23からの駆動力を受けて駆動される。第1進退駆動手段23は、モータ取付台25を介して設置されている第3サーボモータ24等を有しており、第3サーボモータ24の駆動力を使って、第1プローブ20を移動させることができる。なお、第1進退駆動手段23及び第1プローブ20の詳細構造は、後述する第2進退駆動手段63及び第2プローブ60と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
第2回転テーブル51には、第1回転テーブル11と同様に、複数の第2プローブ60が取り付けられている。図2に示すように、第2プローブ60は、第2回転テーブル51の上方から第2収納部55に接近・離間する第2上プローブ61と、第2回転テーブル51の下方から第2収納部55に接近・離間する第2下プローブ62によって構成される。各第2上プローブ61及び第2下プローブ62は、それぞれプローブ支持ブロック73,74に固定されており、プローブ支持ブロック73,74と共に上下に移動する。
【0028】
第2上プローブ61及び第2下プローブ62を移動させる第2進退駆動手段63は、第4サーボモータ64、開閉用カム66、カムフォロア69,70及び直動軸受71,72等を有する。第4サーボモータ64は、図1に示すようにモータ取付台65を用いて設置されており、制御手段82によってその回転量を制御される。
【0029】
図2に示すように、第4サーボモータ64の駆動軸には開閉用カム66が取り付けられている。開閉用カム66は、回転中心からの距離が変化するカム面を有しており、開閉用カム66のカム面には、上下方向からカムフォロア69,70が押し付けられている。
【0030】
開閉用カム66に対して上方向から押し当てられているカムフォロア69には、ガイドシャフト67に沿って上下動する直動軸受71が接続されている。また、開閉用カム66に対して下方向から押し当てられているカムフォロア70には、直動軸受71と同様にガイドシャフト67に沿って上下動する直動軸受72が接続されている。第4サーボモータ64の回転は、開閉用カム66、カムフォロア69,70、直動軸受71,72によって、上下方向の直線運動に変換される。なお、ガイドシャフト67の両端部には、押し付け用バネ75,76及びバネ押さえ77,78が取り付けられており、押し付け用バネ75,76は、直動軸受71,72及びカムフォロア69,70を、開閉用カム66に向かって付勢している。
【0031】
図3に示すように、直動軸受71は、第2上プローブ61が固定されているプローブ支持ブロック73を支持しており、第2上プローブ61は、直動軸受71の上下動に合わせて上下に移動する。また、直動軸受72は、第2下プローブ62が固定されているプローブ支持ブロック74を支持しており、第2下プローブ62は、直動軸受72の上下動に合わせて上下に移動する。
【0032】
第2回転テーブル51は、回転しない固定部52,53を有しており、固定部52,53は、回転移動する回転盤54を上下方向に挟むように配置されている。第2上プローブ61及び第2下プローブ62の先端は、固定部52,53に形成された貫通孔を通って、回転盤54の第2収納部55に収納されているチップ部品の電極部に到達することができる。
【0033】
図2に示す第2進退駆動手段63による第2プローブ60の移動は、第2収納部55を挟む上下方向の動きであるため、第2収納部55に対する接近・離間であると言い換えることができる。すなわち、第2プローブ60を構成する第2上プローブ61及び第2下プローブ62は、第2収納部55に対して離間している第2離間位置と、第2離間位置より第2収納部55に対して近接している第2近接位置との間を往復移動する。
【0034】
図4は、第2収納部55の周辺を表す断面図であり、第2プローブ60が第2離間位置P21にある状態を表している。第2プローブ60が第2離間位置P21にある時、第2上プローブ61の先端61aは、固定部52のプローブガイド52bに収納されており、第2収納部55に収納されているチップ部品84の表面から離れている。また、この時、第2下プローブ62の先端62aは、固定部53のプローブガイド53bに収納されており、第2上プローブ61の先端61aと同様、第2収納部55に収納されているチップ部品84の表面から離れている。
【0035】
図5は、第2収納部55の周辺を表す断面図であり、第2プローブ60が第2近接位置P22にある状態を表している。第2プローブ60が第2近接位置P22にある時、第2上プローブ61の先端61aは、第2収納部55へ向かって進出しており、第2収納部55に収納されているチップ部品84の表面(一方の電極面)に接触している。また、この時、第2下プローブ62の先端62aも、第2収納部55へ向かって進出しており、第2上プローブ61の先端61aと同様、チップ部品84の表面(他方の電極面)に接触している。
【0036】
図5に示すように、第2プローブ60が第2近接位置P22にある状態では、各先端61a,62aがチップ部品84の電極に接触するため、第2プローブ60と電気的に接続されている測定手段80によって、チップ部品84の電気的特性を計測することが可能である。また、図4に示すように、第2プローブ60が第2離間位置P21にある状態では、各先端61a,62aがチップ部品84の電極から離れて固定部52,53へ退避しているため、回転盤54を回転させ、第2収納部55に収納されたチップ部品84を搬送することができる。このように、第2プローブ60を構成する第2上プローブ61及び第2下プローブ62は、第2収納部55を中心として略対称な動きを繰り返すことによって、第2回転テーブル51によって次々に搬送されるチップ部品84の特性測定を実施することができる。
【0037】
図1に示す第1プローブ20も、第2プローブ60と同様に、第1収納部15に対して離間している第1離間位置と、第1離間位置より第1収納部15に対して近接している第1近接位置との間を往復移動する。第1プローブ20は、第2プローブ60と同様に、測定手段80に電気的に接続されており、第1収納部15に収納されたチップ部品の電気的特性も、測定手段80によって測定される。
【0038】
図1に示す測定手段80は、第1プローブ20及び第2プローブ60の双方と電気的に接続されているが、第1プローブ20を用いる特性測定と第2プローブ60を用いる特性測定とを、同時に行うことはできない。すなわち、測定手段80は、第1回転テーブル11と第2回転テーブル51との共通の測定手段ではあるが、第1回転テーブル11のチップ部品の特性測定と、第2回転テーブル51のチップ部品の特性測定とを、時間をずらして行う必要がある。このような測定手段80は、第1プローブ20を用いる特性測定と第2プローブ60を用いる特性測定とを同時に行えるものより、安価に構成することができる。
【0039】
第1プローブ20を移動させる第1進退駆動手段23と、第2プローブ60を移動させる第2進退駆動手段63は、双方とも制御手段82によって制御される。制御手段82は、第1及び第2進退駆動手段23,63だけでなく、第1及び第2回転テーブル11,51を回転させる第1及び第2回転駆動手段17,57や、測定手段80の制御を行うことができる。すなわち、制御手段82は、第1及び第2回転テーブル11,51の回転、第1及び第2プローブ20,60の移動及び測定手段80による測定タイミングを、包括的に制御することができる。
【0040】
図6から図8は、実施例1、実施例2、参考例1及び参考例2に係る特性測定装置において実施される特性測定のタイムチャートを表したものである。図6は実施例1に係る特性測定装置のタイムチャートであり、図7は実施例2に係る特性測定装置のタイムチャートであり、図8は参考例1及び参考例2に係る特性測定装置のタイムチャートである。図1に示す特性測定装置10は、制御手段82の設定を変更することにより、実施例1、実施例2、参考例1及び参考例2に係る各特性測定装置として動作することができる。
【0041】
図6〜図8における「第1回転テーブル」の欄は、図1に示す第1回転テーブル11の動作(速度)を表している。「第1回転テーブル」のチャートがローレベルにある時間は、第1回転テーブル11が「停止」している時間に対応しており、ローレベルより上の位置にある時間は、第1回転テーブル11が「回転」している時間に対応している。
【0042】
図6〜図8における「第1回転テーブル」の欄に示すように、第1回転駆動手段17(図1参照)は、第1回転テーブル11の回転を開始させる第1回転開始動作M11と、第1回転テーブル11の回転を停止させる第1回転停止動作M12を交互に行う。第1回転テーブル11は、第1回転開始動作M11から第1回転停止動作M12の間、回転移動を行う。第1回転開始動作M11から第1回転停止動作M12までの時間を一回経過すると、各第1収納部15は、第1の間隔16(図1参照)移動する。図6〜図8に示す例では、第1回転テーブル11及びこれを駆動する第1回転駆動手段17は、第1回転開始動作M11から第1回転停止動作M12までの間に、すなわち第1回転テーブル11の第1収納部15を第1の間隔16だけ回転させるために、20msecを要する。
【0043】
図6〜図8における「第1プローブ」の欄は、図1に示す第1プローブ20の位置を表している。「第1プローブ」のチャートがハイレベルにある時間は、第1プローブ20が「第1離間位置P11」(第2プローブ60における「第2離間位置P21」に対応(図4参照))にある時間に対応しており、ローレベルにある時間は、第1プローブ20が「第1近接位置P12」(第2プローブ60における「第2近接位置P22」に対応(図5参照))にある時間に対応している。
【0044】
図6〜図8における「第1プローブ」の欄に示すように、第1進退駆動手段23(図1参照)は、第1離間位置P11から第1近接位置P12に向かって第1プローブ20の移動を開始させる第1前進開始動作M13と、第1プローブ20を第1近接位置P12で停止させる第1前進完了動作M14とを行う。また、第1進退駆動手段23は、第1近接位置P12から第1離間位置P11に向かって第1プローブ20の移動を開始させる第1後退開始動作M15と、第1プローブ20を第1離間位置P11に到達させる第1後退完了動作M16とを行う。第1進退駆動手段23は、第1前進開始動作M13、第1前進完了動作M14、第1後退開始動作M15及び第1後退完了動作M16を順に行うことにより、第1収納部15に収納されたチップ部品に対して、プローブの先端を接触・離間させることができる。
【0045】
図6〜図8に示す例では、第1プローブ20を駆動する第1進退駆動手段23は、第1前進開始動作M13から第1前進完了動作M14までの間に、すなわち第1プローブ20を第1離間位置P11から第1近接位置P12に移動させるために、10msecを要する。また、第1進退駆動手段23は、第1後退開始動作M15から第1後退完了動作M16までの間に、すなわち第1プローブ20を第1近接位置P12から第1離間位置P11に移動させるために、同じく10msecを要する。
【0046】
図6〜図8における「測定A」の欄は、測定手段80(図1参照)が、第1収納部15に収納されたチップ部品の特性を測定しているか否かを表している。「測定A」の欄のチャートがローレベル(「非測定中」)にある時間は、測定手段80が、少なくとも第1収納部15のチップ部品に対しては特性測定を実施していない時間に対応している。また、「測定A」の欄のチャートがハイレベル(「測定中」)の位置にある時間は、測定手段80が、第1収納部15のチップ部品に対して、特性の測定を実施している時間に対応している。
【0047】
測定手段80が第1収納部15のチップ部品に対して特性の測定を実施するためには、その前提条件として、第1プローブ20が第1近接位置P12にあることを要する。なお、図6〜図8に示す例では、測定手段80は、第1収納部15のチップ部品の特性を測定するために、10msecを要する。
【0048】
図6〜図8における「第2回転テーブル」の欄は、図1に示す第2回転テーブル51の動作(速度)を表しており、詳細については「第1回転テーブル」の欄と同様である。第2回転駆動手段57(図1参照)は、第2回転テーブル51の回転を開始させる第2回転開始動作M21と、第2回転テーブル51の回転を停止させる第2回転停止動作M22を交互に行い、各第2収納部55を第2の間隔56ずつ移動させる。第2回転駆動手段57及び第2回転テーブル51の能力は、第1回転駆動手段17及び第1回転テーブル11と基本的に同様であり、第2回転駆動手段57は、第2回転テーブル51を第2の間隔56だけ回転させるために、20msecを要する。
【0049】
図6〜図8における「第2プローブ」の欄は、図1に示す第2プローブ60の位置を表しており、詳細については「第1プローブ」の欄と同様である。第2進退駆動手段63は、第2離間位置P21から第2近接位置P22に向かって第2プローブ60の移動を開始させる第2前進開始動作M23と、第2プローブ60を第2近接位置P22で停止させる第2前進完了動作M24と、第2近接位置P22から第2離間位置P21に向かって第2プローブ60の移動を開始させる第2後退開始動作M25と、第2プローブ60を第2離間位置P21に到達させる第2後退完了動作M26とを行う。第2進退駆動手段63は、第2前進開始動作M23、第2前進完了動作M24、第2後退開始動作M25及び第2後退完了動作M26を順に行うことにより、第2収納部55に収納されているチップ部品に対して、プローブの先端61a,62aを接触・離間させることができる。第2進退駆動手段63は、第1進退駆動手段23と同様の能力を有しており、第2プローブ60を第2離間位置P21から第2近接位置P22に移動させるため、及び第2プローブ60を第2近接位置P22から第2離間位置P21に移動させるために、それぞれ10msecを要する。
【0050】
図6〜図8における「測定B」の欄は、測定手段80(図1参照)が、第2収納部55に収納されたチップ部品の特性を測定しているか否かを表しており、詳細は「測定A」の欄と同様である。測定手段80が第2収納部55のチップ部品に対して特性の測定を実施するためには、その前提条件として、第2プローブ60が第2近接位置P22にあることを要する。また、測定手段80は、任意の時点に着目した場合、第1収納部15に収納されたチップ部品の測定か、第2収納部55に収納されたチップ部品の測定か、いずれか一方しか行うことができないため、一方が測定中であれば、他方は非測定中である必要がある。
【0051】
表1は、実施例1、実施例2、参考例1及び参考例2の各特性測定装置で実施される特性測定の実施条件、測定周期及び測定手段稼働率を表したものである。
【0052】
【表1】

【0053】
表1に示すように、参考例1は、回転テーブルを1台だけ用いて、プローブの前進及び後退動作と、回転テーブルの回転動作を時間的にオーバーラップさせることなく特性測定を行っている。図8に示すタイムチャートの上半分のみ(若しくは下半分のみ)が、参考例1に係る特性測定装置のタイムチャートに対応する。
【0054】
図8における「第1回転テーブル」及び「第1プローブ」の欄に示すように、参考例1に係る特性測定装置では、第1回転停止動作M12と同時に第1前進開始動作M13を行うことにより、第1回転テーブル11の停止を待って第1プローブ20が移動を開始する。また、第1後退完了動作M16と同時に第1回転開始動作M11を行うことにより、第1プローブ20が第1離間位置P11まで移動するのを待って第1回転テーブル11の回転を開始する。
【0055】
表1に示すように、参考例1における測定周期Tは、搬送時間(第1回転テーブル11が第1の間隔16だけ回転するために要する時間)と、プローブ前進移動時間(第1プローブ20を第1離間位置P11から第1近接位置P12に移動させるために要する時間)と、測定時間(第1収納部15のチップ部品の特性を測定するために要する時間)と、プローブ後退移動時間(第1プローブ20を第1近接位置P12から第1離間位置P11に移動させるために要する時間)とを足し合わせた時間であり、50msecである。また、参考例1における測定手段稼働率(実際に測定手段80がチップ部品の特性を行っている時間が測定周期Tに占める割合)は、20%である。
【0056】
参考例1のように、回転テーブルの回転とプローブの移動を時間的にオーバーラップさせることなく特性測定を行う装置は、測定周期Tを、搬送時間、プローブ前進移動時間、測定時間及びプローブ後退移動時間の和より小さくすることができない。したがって、参考例1では、搬送時間、プローブ前進移動時間、測定時間及びプローブ後退移動時間のいずれかを短縮しない限り、測定手段稼働率を向上させることが困難である。
【0057】
表1に示すように、参考例2は、参考例1と同様に回転テーブルの回転とプローブの移動とをオーバーラップさせない状態で、回転テーブルを2台用いて特性測定を行っている。図8に示すタイムチャート全体が、参考例2に係る特性測定装置のタイムチャートに対応する。
【0058】
図8に示すように、参考例2は、第1回転テーブル11及び第1プローブ20における測定タイミングと、第2回転テーブル51及び第2プローブ60における測定タイミングをずらすことによって、参考例1と同様の測定周期Tを有する。これにより、参考例2における測定手段稼働率は、参考例1のそれに対して2倍の40%である。このように、参考例2は、一方の回転テーブルが回転しており当該一方の回転テーブルでは測定を行うことができない時間に、他方の回転テーブルで特性測定を行うことにより、測定手段稼働率を上昇させることができる。
【0059】
しかし、参考例2も、参考例1と同様に、測定周期Tを、いずれかの回転テーブル11,51に関する搬送時間、プローブ前進移動時間、測定時間及びプローブ後退移動時間の和より小さくすることができないという問題点を有する。したがって、参考例2でも、搬送時間、プローブ前進移動時間、測定時間及びプローブ後退移動時間のいずれかを短縮しない限り、回転テーブルの数を維持したまま測定手段稼働率を向上させることは困難である。
【0060】
表1に示すように、実施例1は、回転テーブルを2台用いて、プローブの前進及び後退動作と、回転テーブルの回転動作を時間的にオーバーラップさせて特性測定を実施するものである。図6に示すタイムチャートは、実施例1に係る特性測定装置のタイムチャートである。
【0061】
図6における「第1回転テーブル」及び「第1プローブ」の欄に示すように、実施例1に係る特性測定装置では、第1前進開始動作M13より後であって第1前進完了動作M14より前に第1回転停止動作12を行うことにより、第1回転テーブル11の回転動作と第1プローブ20の前進移動とを時間的にオーバーラップさせている。また、第1後退開始動作M15より後であって第1後退完了動作M16より前に第1回転開始動作M11を行うことにより、第1回転テーブル11の回転動作と第1プローブ20の後退移動とを時間的にオーバーラップさせている。第1回転テーブル11の回転動作と第1プローブ20の前進移動とのオーバーラップ時間(搬送−前進重複時間)と、第1回転テーブル11の回転動作と第1プローブ20の後退移動とのオーバーラップ時間(搬送−後退重複時間)は、いずれも5msecである。
【0062】
また、実施例1における第2回転テーブル51及び第2プローブ60に対する制御は、制御の位相(電子部品の測定タイミング等)が異なることを除き、第1回転テーブル11及び第1プローブ20に対する制御と同様である。すなわち、図6における「第2回転テーブル」及び「第2プローブ」の欄に示すように、実施例1に係る特性測定装置では、第2前進開始動作M23より後であって第2前進完了動作M24より前に第2回転停止動作M22を行うことにより、第2回転テーブル51の回転動作と第2プローブ60の前進移動とを時間的にオーバーラップさせている。また、第2後退開始動作M25より後であって第2後退完了動作M26より前に第2回転開始動作M21を行うことにより、第2回転テーブル51の回転動作と第2プローブ60の後退移動とを時間的にオーバーラップさせている。第2回転テーブル51の回転動作と第2プローブ60の前進・後退移動のオーバーラップ時間(搬送−前進重複時間及び搬送−後退重複時間)は、それぞれ5msecである。
【0063】
実施例1は、プローブの前進及び後退動作と、回転テーブルの回転動作を時間的にオーバーラップさせることによって、測定周期Tを、搬送時間、プローブ前進移動時間、測定時間及びプローブ後退移動時間の和より小さくすることができる。これにより、実施例1は、搬送時間、プローブ前進移動時間、測定時間及びプローブ後退移動時間がすべて参考例2と同様であるにもかかわらず、参考例2より測定手段稼働率を向上させることができる。
【0064】
実施例1におけるオーバーラップ時間(搬送−前進重複時間及び搬送−後退重複時間)は、図4に示すプローブ先端61a,62aが、回転中のチップ部品84に接触しない範囲で設定することができる。図4に示すように、第1及び第2離間位置P11,P21は、プローブ先端61a,62aが回転盤54及び収納部55から固定部52,53に退避した位置に設定される。そのため、実施例1に係る特性測定装置は、オーバーラップ時間をある程度有していても、その割合を調整することにより、回転中のチップ部品84に対する先端61a,62aの接触を避け、チップ部品に摩擦傷が発生する問題を防止することができる。なお、プローブ20,60のストローク(第1及び第2離間位置P11,P21と第1及び第2近接位置P12,P22との距離)は、チップ部品の寸法バラツキ、チップ部品の上下動、チップ部品の電極部表面に形成される酸化被膜の存在等を考慮し、適切なマージンを有するように設定されることが好ましい。
【0065】
また、実施例1では、図6に示すように、第1プローブ20の第1前進開始動作M13と第2後退開始動作M25とが同期し、第1後退開始動作M15と第2前進開始動作M23とが同期する。これにより、実施例1は、第1プローブ20が第1近接位置P12にある時間と、第2プローブ60が第2近接位置P22にある時間とが重複することを確実に回避することができる。このように、実施例1は、第1プローブ20と第2プローブ60が同時にチップ部品に接触することを回避することができる。そのため、実施例1は、測定手段80と第1又は第2プローブ20,60との間に切り換えスイッチ等を設けず、測定手段80が第1及び第2プローブ20,60と常時接続された状態であっても、チップ部品の特性を精度良く測定することができる。
【0066】
表1に示すように、実施例2は、実施例1と同様に、回転テーブルを2台用いて、プローブの前進及び後退動作と、回転テーブルの回転動作を時間的にオーバーラップさせて特性測定を実施するものである。図7に示すタイムチャートは、実施例2に係る特性測定装置のタイムチャートである。
【0067】
図7に示すように、実施例2に係る特性測定装置では、実施例1と同様に、第1回転テーブル11の回転動作と第1プローブ20の前進・後退移動とを時間的にオーバーラップさせている。図7及び表1に示すように、第1回転テーブル11の回転動作と第1プローブ20の前進・後退移動とのオーバーラップ時間(搬送−前進重複時間,搬送−後退重複時間)は、それぞれ7.5msecである。
【0068】
また、実施例2における第2回転テーブル51及び第2プローブ60に対する制御は、制御の位相(電子部品の測定タイミング等)が異なることを除き、第1回転テーブル11及び第1プローブ20に対する制御と同様である。すなわち、実施例2に係る特性測定装置では、実施例1と同様に、第2回転テーブル51の回転動作と第2プローブ60の前進・後退移動とを時間的にオーバーラップさせている。図7及び表1に示すように、第2回転テーブル51の回転動作と第2プローブ60の前進・後退移動とのオーバーラップ時間(搬送−前進重複時間,搬送−後退重複時間)は、それぞれ7.5msecである。
【0069】
さらに、図7における「第1回転テーブル」及び「第2回転テーブル」の欄に示すように、実施例2に係る特性測定装置では、第1回転開始動作M11及び第1回転停止動作M12が、第2回転開始動作M21より後であって第2回転停止動作M22より前に行われる。したがって、実施例2は、プローブ20,60の移動動作と回転テーブル11,51の回転動作を時間的にオーバーラップさせるだけでなく、更に第1回転テーブル11と第2回転テーブル51の回転動作を時間的にオーバーラップさせている。第1回転テーブル11と第2回転テーブル51の回転動作がオーバーラップしている時間(第1−第2重複時間)は、5.0msec(第1回転開始動作M11から第2回転停止動作M22までの重複時間と、第2回転開始動作M21から第1回転停止動作M12までの重複時間がそれぞれ2.5msecずつ)である。
【0070】
表1及び図7に示すように、実施例2は、測定周期Tを、プローブ前進移動時間、プローブの後退移動時間、第1回転テーブル11のチップ部品の測定時間及び第2回転テーブル51のチップ部品の測定時間の和(実施例1)より小さくすることも可能である。これにより、実施例2は、搬送時間、プローブ前進移動時間、測定時間及びプローブ後退移動時間がすべて参考例2及び実施例1と同様であるにもかかわらず、これらより測定手段稼働率を向上させることができる。
【0071】
また、実施例2は、参考例1、参考例2及び実施例1と同様に、第1プローブ20が第1近接位置P12にある間には第2プローブ60が第2近接位置P22に位置せず、第2プローブ60が第2近接位置P22にある間には第1プローブ20が第1近接位置P12に位置しない。したがって、実施例2に係る特性測定装置は、測定手段80が第1及び第2プローブ20,60と常時接続された状態であっても、チップ部品の特性を精度良く測定することができる。
【符号の説明】
【0072】
10…特性測定装置
11,51…回転テーブル
15,55…収納部
16…第1の間隔
17,57…回転駆動手段
20,60…プローブ
52,53…固定部
52b,53b…プローブガイド
54…回転盤
61…第2上プローブ
61a,62a…プローブ先端
62…第2下プローブ
23,63…進退駆動手段
24,58,64…サーボモータ
25,65…モータ取付台
33,73,74…プローブ支持ブロック
56…第2の間隔
59…カップリング
66…開閉用カム
67…ガイドシャフト
69,70…カムフォロア
71,72…直動軸受
80…測定手段
82…制御手段
84…チップ部品
M11…第1回転開始動作
M12…第1回転停止動作
M13…第1前進開始動作
M14…第1前進完了動作
M15…第1後退開始動作
M16…第1後退完了動作
P11…第1離間位置
P12…第1近接位置
M21…第2回転開始動作
M22…第2回転停止動作
M23…第2前進開始動作
M24…第2前進完了動作
M25…第2後退開始動作
M26…第2後退完了動作
P21…第2離間位置
P22…第2近接位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に沿って複数の第1収納部が設けられており、回転可能な第1回転テーブルと、
前記第1回転テーブルの回転を開始させる第1回転開始動作と、前記第1収納部が所定の間隔移動するように前記第1回転テーブルの回転を停止させる第1回転停止動作と、を行う第1回転駆動手段と、
少なくとも1つの前記第1収納部に対して離間している第1離間位置と、前記第1離間位置より前記第1収納部に対して近接している第1近接位置との間を移動可能な第1プローブと、
前記第1離間位置から前記第1近接位置に向かって前記第1プローブの移動を開始させる第1前進開始動作と、前記第1プローブを前記第1近接位置で停止させる第1前進完了動作と、前記第1近接位置から前記第1離間位置に向かって前記第1プローブの移動を開始させる第1後退開始動作と、前記第1プローブを前記第1離間位置に到達させる第1後退完了動作と、を行う第1進退駆動手段と、
前記第1プローブに対して電気的に接続しており、前記第1プローブが接触する電子部品の特性測定を行う測定手段と、
前記第1回転駆動手段及び前記第1進退駆動手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第1前進開始動作より後であって前記第1前進完了動作より前に前記第1回転停止動作が行われ、前記第1後退開始動作より後であって前記第1後退完了動作より前に前記第1回転開始動作が行われるように、前記第1回転駆動手段及び前記第1進退駆動手段を制御することを特徴とする電子部品特性測定装置。
【請求項2】
周方向に沿って第1の間隔で複数の第1収納部が設けられており、回転可能な第1回転テーブルと、
周方向に沿って第2の間隔で複数の第2収納部が設けられており、前記第1回転テーブルとは独立して回転可能な第2回転テーブルと、
前記第1回転テーブルの回転を開始させる第1回転開始動作と、前記第1収納部が前記第1の間隔移動するように前記第1回転テーブルを停止させる第1回転停止動作と、を行う第1回転駆動手段と、
前記第2回転テーブルの回転を開始させる第2回転開始動作と、前記第2収納部が前記第2の間隔移動するように前記第2回転テーブルを停止させる第2回転停止動作と、を行う第2回転駆動手段と、
少なくとも1つの前記第1収納部に対して離間している第1離間位置と、前記第1離間位置より前記第1収納部に対して近接している第1近接位置との間を移動可能な第1プローブと、
少なくとも1つの前記第2収納部に対して離間している第2離間位置と、前記第2離間位置より前記第2収納部に対して近接している第2近接位置との間を移動可能な第2プローブと、
前記第1離間位置から前記第1近接位置に向かって前記第1プローブの移動を開始させる第1前進開始動作と、前記第1プローブを前記第1近接位置で停止させる第1前進完了動作と、前記第1近接位置から前記第1離間位置に向かって前記第1プローブの移動を開始させる第1後退開始動作と、前記第1プローブを前記第1離間位置に到達させる第1後退完了動作と、を行う第1進退駆動手段と、
前記第2離間位置から前記第2近接位置に向かって前記第2プローブの移動を開始させる第2前進開始動作と、前記第2プローブを前記第2近接位置で停止させる第2前進完了動作と、前記第2近接位置から前記第2離間位置に向かって前記第2プローブの移動を開始させる第2後退開始動作と、前記第2プローブを前記第2離間位置に到達させる第2後退完了動作と、を行う第2進退駆動手段と、
前記第1プローブ及び前記第2プローブに対して電気的に接続しており、前記第1プローブ及び前記第2プローブが接触する電子部品の特性測定を行う測定手段と、
前記第1回転駆動手段及び前記第2回転駆動手段並びに前記第1進退駆動手段及び前記第2進退駆動手段を制御する制御手段と、を有し、
前記測定手段は、前記第1近接位置に位置する前記第1プローブによって前記第1収納部にある電子部品の特性測定を行う動作と、前記第2近接位置に位置する前記第2プローブによって前記第2収納部にある電子部品の特性測定を行う動作とを交互に行い、
前記制御手段は、前記第1前進開始動作より後であって前記第1前進完了動作より前に前記第1回転停止動作が行われ、前記第1後退開始動作より後であって前記第1後退完了動作より前に前記第1回転開始動作が行われるように、前記第1回転駆動手段及び前記第1進退駆動手段を制御し、
前記制御手段は、前記第2前進開始動作より後であって前記第2前進完了動作より前に、前記第2回転停止動作が行われ、前記第2後退開始動作より後であって前記第2後退完了動作より前に前記第2回転開始動作が行われるように、前記第2回転駆動手段及び前記第2進退駆動手段を制御することを特徴とする電子部品特性測定装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1プローブが前記第1近接位置にある間には前記第2プローブが前記第2近接位置に位置しないように、前記第1進退駆動手段及び前記第2進退駆動手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の電子部品特性測定装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1前進開始動作と前記第2後退開始動作とが同期し、前記第1後退開始動作と前記第2前進開始動作とが同期するように、前記第1進退駆動手段及び前記第2進退駆動手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の電子部品特性測定装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1回転開始動作および前記第1回転停止動作のうち少なくとも一方が、前記第2回転開始動作より後であって前記第2回転停止動作より前に行われるように、前記第1回転駆動手段及び前記第2回転駆動手段を制御することを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれかに記載の電子部品特性測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−88359(P2013−88359A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231022(P2011−231022)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】