説明

電子部品用透明包装袋体

【課題】電子部品の包装に適した気密性、水蒸気バリヤー性、ガスバリヤー性等に優れた透明袋体を提供することにある。
【解決手段】無機化合物蒸着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム及び直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが順次積層されてなる2枚の透明フィルムを、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを内側にして重ね合わせ、両側部及び一端部を熱融着した袋体本体の開口端部に開口端と平行に雄雌一対の鈎爪を有する2本のプラスチックチャックを平行に設けた袋体であって、開口側のプラスチックチャック及び内容物側のプラスチックチャックのいずれもが、雄鉤爪の内側に該爪と平行な連続締付壁を、雌鉤爪の内側に該爪と平行な連続押付けリブを、各々有するプラスチックチャックであることを特徴とする電子部品用透明包装袋体とすること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリー、CPU、フレキシブルプリント基板、磁気記録媒体等の電子部品の包装に適した気密性、水蒸気バリヤー性、ガスバリヤー性等に優れた透明袋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メモリー、CPU、フレキシブルプリント基板、磁気記録媒体等の電子部品を包装する包装袋体には、湿気の侵入による電子部品の性能低下を防止し得る水蒸気バリヤー性や、その他の電子部品の性能低下をもたらす可能性のあるガスの侵入を防ぐガスバリヤー性、気密性を有すること、及び、包装した電子部品を視認でき、また電子部品に記されたバーコード等の情報を読み取り得る透明性が望まれている。
【0003】
従来から、プラスチックフィルムを袋体本体とし、更にプラスチックチャックを備えた開閉可能なプラスチック袋体が、電子部品に限らず、食品、薬品その他の各種の物品の包装材として多く使用されている。
しかしながら、従来のプラスチック袋体は、透明性はあるものの、水蒸気その他のガスに対するバリヤー性に欠しく、高機能化に伴って水蒸気その他のガスの影響を受け易くなっている電子部品の包装袋体としては、不適当である。
【0004】
プラスチック袋体のガスバリヤー性、気密性を高める為に、ガスバリヤー性の高いプラスチックからなるフィルムや、金属や金属酸化物を蒸着したプラスチックフィルムを袋体本体に使用する試みがなされているが(例えば、特許文献1参照。)、透明性に劣る等の問題があり、電子部品用の包装袋体としては、必ずしも満足し得るものではない。
【0005】
【特許文献1】特開2001−37846
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような状況下で、電子部品の包装に適した気密性、水蒸気バリヤー性、ガスバリヤー性等に優れた透明袋体を提供することを目的とするものである。
また、好ましくは、上記特性に加えて、気密性を高めてしかも開封が容易である機能、及び密閉包装後の不正開封を検知し得る機能を有する透明袋体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、無機化合物蒸着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム及び直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが順次積層されてなる透明フィルムを袋体本体に使用し、且つ、高い気密性を有するチャックを含む2本のチャックを設けることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.無機化合物蒸着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム及び直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが順次積層されてなる2枚の透明フィルムを、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを内側にして重ね合わせ、両側部及び一端部を熱融着した袋体本体の開口端部に開口端と平行に雄雌一対の鈎爪を有する2本のプラスチックチャックを平行に設けた袋体であって、開口側のプラスチックチャック及び内容物側のプラスチックチャックのいずれもが、雄鉤爪の内側に該爪と平行な連続締付壁を、雌鉤爪の内側に該爪と平行な連続押付けリブを、各々有するプラスチックチャックであることを特徴とする電子部品用透明包装袋体。
2.開口側のプラスチックチャック及び/又は内容物側のプラスチックチャックが、チャックが契合された状態で、連続締付壁と連続押付けリブの少なくとも一方の表面に予め設けられた易剥離プラスチック層を介して連続締付壁と連続押付けリブとが接着されている、上記1の電子部品用透明包装袋体。
3.無機化合物蒸着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム及び直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが順次積層されてなる2枚の透明フィルムを、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを内側にして重ね合わせ、両側部及び一端部を熱融着した袋体本体の開口端部に開口端と平行に雄雌一対の鈎爪からなるプラスチックチャックを2本平行に設けた袋体であって、開口側のプラスチックチャックが雄鉤爪の内側に該爪と平行な連続締付壁を雌鉤爪の内側に該爪と平行な連続押付けリブを各々有するプラスチックチャックであり、内容物側のプラスチックチャックが、内容物側からの開口強度が開口側からの開口強度より大きい非対称形の鈎爪を有するプラスチックチャックであることを特徴とする電子部品用透明包装袋体。
4.開口側のプラスチックチャックが、チャックが契合された状態で、連続締付壁と連続押付けリブの少なくとも一方の表面に予め設けられた易剥離プラスチック層を介して連続締付壁と連続押付けリブとが接着されている、上記3の電子部品用透明包装袋体。
5.内容物側のプラスチックチャックが、チャックが契合された状態で、雄爪鈎の頂部と雌爪鈎の底部の少なくとも一方の表面に予め設けられた易剥離プラスチック層を介して雄爪鈎の頂部と雌爪鈎の底部とが接着されている上記3又は4の電子部品用透明包装袋体。
6.内容物側のプラスチックチャックの内容物側からの開口強度と開口側からの開口強度との差が20N/50mm以上であるより上記3〜5のいずれかの電子部品用透明包装袋体。
7.互いに接合される部分の表面の色が異なった2色である上記1〜6のいずれかの電子部品用透明包装袋体。
8.プラスチックチャックが低融点プラスチックで形成されるか又はプラスチックチャックの透明フィルム側に低融点プラスチックからなる層が形成されてなる上記1〜7のいずれかの電子部品用透明包装袋体。
9.低融点プラスチックが、融点105℃以下の、直鎖状のエチレン・αオレフィン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・ビニルアルコール共重合体又はメタロセン触媒で合成されたポリエチレンである、上記8の電子部品用透明包装袋体。
10.透明フィルムにおいて、無機化合物蒸着層を最表層とし、更にその上に保護有機物層を積層した、上記1〜9のいずれかの電子部品用透明包装袋体。
11.透明フィルムにおける無機化合物蒸着層の厚みが50〜100nmである、上記1〜10のいずれかの電子部品用透明包装袋体。
12.透明フィルムにおける無機化合物蒸着層が酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムから選ばれる無機化合物を蒸着した層である、上記1〜11のいずれかの電子部品用透明包装袋体。
13.透明フィルムの光線透過率が60〜95%である、上記1〜12のいずれかの電子部品用透明包装袋体。
14.透明フィルムの水蒸気透過率が20g/m2・24hr以下である、上記1〜13のいずれかの電子部品用透明包装袋体。
15.透明フィルムの表面固有抵抗が1×106〜5×1013Ωである、上記1〜14のいずれかの電子部品用透明包装袋体。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品の包装に適した気密性、水蒸気バリヤー性、ガスバリヤー性等に優れた透明袋体を提供することができる。
更に、気密性を高めてしかも開封が容易である機能、及び密閉包装後に開封されたことが検知し得る機能を併せ持つ透明袋体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態を図面によってさらに詳しく説明する。
図1は、本発明の電子部品用透明包装袋体を示す斜視図であり、無機化合物蒸着層を有するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリアミドフィルム及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムが順次積層されてなる2枚の透明フィルムS、S' を、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを内側にして重ね合わせ、両側部S1、S2及び一端部S3を熱融着して形成した袋体本体の開口端部Oに、開口端と平行に、2本のプラスチックチャックT1(開口側)、T2(内容物側)を平行に設けている。
【0011】
透明フィルムS、S' を構成する無機化合物蒸着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルムにおける、無機化合物蒸着層を形成する無機化合物としては、酸化珪素又は酸化アルミニウム、酸化マグネシウム若しくは酸化カルシウム等の金属酸化物が好ましい。これらの内、酸化珪素又は酸化アルミニウムが特に好ましい。無機化合物蒸着層の厚みとしては、50〜100nmであることが好ましく、基材であるポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みとして10〜40μmが好ましく、10〜30μmがさらに好ましい。
【0012】
透明フィルムS、S' を構成するポリアミドフィルムとしては、2軸延伸されたポリアミドフィルム、特に6ナイロンフィルム及び66ナイロンフィルムが好ましい。また、その厚みとして10〜40μmが好ましく、10〜30μmがさらに好ましい。
【0013】
透明フィルムS、S' を構成する直鎖状低密度ポリエチレンフィルムとしては、チーグラー触媒によるもの又はメタロセン触媒によるポリエチレンのフィルムが好ましく、メタロセン触媒直鎖状低密度ポリエチレンのフィルムがさらに好ましい。また、その厚みとして40〜60μmが好ましく、45〜60μmがさらに好ましい。
【0014】
透明フィルムS、S' において、PETフィルム上の無機化合物蒸着層をポリアミドフィルム側にして積層するか、その逆の最外層にするかは任意であるが、無機化合物蒸着層を最外層とする場合は、保護有機物層を設けるのが好ましい。
保護有機物層としては、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、シリコン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。保護有機物層の厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜10μmであることがより好ましい。
【0015】
透明フィルムS、S' は、帯電防止効果を奏することが好ましく、この表面固有抵抗が1×106〜5×1013Ω、特に、1×106〜5×1011Ωであることがさらに好ましい。
帯電防止効果を奏するために、透明フィルムS、S'を構成する層のいずれか(保護有機物層を設ける場合は、保護有機物層も含む)に帯電防止剤を含有させることが好ましく、帯電防止剤としては、各種の非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤が用いられる。これらの内、カチオン性、両性界面活性剤等が帯電防止、吸湿性の面で好ましい。
【0016】
透明フィルムS、S' は、無機化合物蒸着層を有するので、優れた水蒸気透過防止効果を奏するが、水蒸気透過率が20g/m2・24h以下、特に5g/m2・24h以下であるのが好ましい。
また、透明フィルムS、S'の光線透過率は、60〜95%、特に、70〜95%であることが好ましい。
【0017】
図2は、開口側(図における上方側)及び内容物側(図における下方側)の何れにも、特許第29838784号として提案されている、雄雌一対の鈎爪を有し、且つ雄鉤爪の内側に該爪と平行な連続締付壁を、雌鉤爪の内側に該爪と平行な連続押付けリブを、各々有するプラスチックチャック(以下「密閉型チャック」を用いた態様(第1の発明)における結合状態でのプラスチックチャックを示す断端面図である。
図2において、開口側のプラスチックチャックT1は、雄爪(M1−1、M1−2)と雌爪(F1−1、F1−2)との一対の鈎爪を有し、且つ雄鉤爪の内側に該爪と平行な連続締付壁R1−1を、雌鉤爪の内側に該爪と平行な連続押付けリブR2−1を、各々有している。内容物側のプラスチックチャックT2も、同様に、雄爪(M2−1、M2−2)と雌爪(F2−1、F2−2)との一対の鈎爪を有し、且つ雄鉤爪の内側に該爪と平行な連続締付壁R1−2を、雌鉤爪の内側に該爪と平行な連続押付けリブR2−2を、各々有している。
【0018】
図3は、開口側のプラスチックチャックとして密閉型チャックを用い、内容物側のプラスチックチャックとして、内容物側からの開口強度が開口側からの開口強度より大きい非対称形の鈎爪を有するプラスチックチャックを用いた態様(第2の発明)における結合状態でのプラスチックチャックを示す断端面図である。
図3において、開口側のプラスチックチャックT1は、雄爪(M1−1、M1−2)と雌爪(F1−1、F1−2)との一対の鈎爪を有し、且つ雄鉤爪の内側に該爪と平行な連続締付壁R1−1を、雌鉤爪の内側に該爪と平行な連続押付けリブR2−1を、各々有している。一方、内容物側のプラスチックチャックT2は、雄爪(M3)と雌爪(F3−1、F3−2)との一対の鈎爪を有しているが、雄爪、雌爪の何れもが非対称形となっており、内容物側からの開口強度が開口側からの開口強度より大きくなっている。
このプラスチックチャックにおける内容物側からの開口強度と開口側からの開口強度との差は20N/50mm以上であるのが好ましい。
なお、第1の発明及び第2の発明のいずれにおいて、図2及び図3に示すように、開口側のプラスチックチャックの雄爪と内容物側のプラスチックチャックの雄爪とを、また、開口側のプラスチックチャックの雌爪と内容物側のプラスチックチャックの雌爪とを、同じ側にする必要はなく、互いに逆にしても差し支えない。
【0019】
プラスチックチャックの接合面、即ち、密閉型チャックにおける連続締付壁と連続押し付けリブとの接合面、または、第2の発明における内容物側のプラスチックチャックにおける雄爪と雌爪との接合面は、いずれか一方または両方にあらかじめ設けた易剥離プラスチック層を介して接着(ヒートシール)すると、気密性が高められると共に、易剥離であるのでプラスチックチャックの開く場合にも大きな力を要しないので、好ましい。
図4は、連続押し付けリブに易剥離プラスチック層Aを設けた場合を示す断端面図であり、図5は連続締付壁に易剥離プラスチック層Bを設けた場合を示す、断端面図である。
【0020】
この、易剥離プラスチック層とは一般的にはJIS Z0238に記載の測定方法でヒートシールしたフィルムの剥離強度が6N/15mm以下であるプラスチック層のことであるが、かかる易剥離プラスチック層を形成する材料としては、ポリブテン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン/ポリプロピレン混合物、及びこれらの樹脂を含む樹脂の混合物など、通常易剥離プラスチックとして使用される樹脂組成物ならば特に制限は無いが、易剥離の形式は凝集剥離に比べて界面剥離の方が開封後にチャックを開閉する際のチャック密閉性の保持の点で優れている。
【0021】
また、易剥離プラスチック層を介して接着する部分において、予め設けておく易剥離プラスチック層の樹脂の色とそれと接着する相手方の部分の樹脂(両方の側に易剥離プラスチック層が予め設けられている場合は易剥離プラスチックであり、一方の側だけに易剥離プラスチック層が予め設けられている場合は、チャックを構成する樹脂である)の色を異なった2色とする事で、密閉包装後に開封されたことを検知する機能を付与することができる。即ち、例えば2色として黄色と青を選んだ場合、これらを接着(ヒートシール)した状態では接着部分が緑色となるが、剥離した後は黄色と青色となり、しかも再度接着する操作を行なわない限り緑色に戻ることはないので、開封されたことが明示される。
【0022】
本発明の電子部品用透明包装袋体においては、プラスチックチャックを透明フィルムに融着する際の熱により無機化合物蒸着層が損傷を受けることを避ける為には、プラスチックチャックを低融点プラスチックで形成するか、又はプラスチックチャックの透明フィルム側に低融点プラスチック、好ましくは、融点105℃以下のプラスチックの層を形成するのが好ましくい。かかる、低融点プラスチックとしては、直鎖状のエチレン・αオレフィン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・ビニルアルコール共重合体及びメタロセン触媒で合成されたポリエチレンを例示することができる。
【0023】
なお、袋体本体において、両側部及び一端部(下端部)の全てを熱融着した後にプラスチックチャックを設けてもよいが、両側部のみを熱融着した後にプラスチックチャックを設けておき、内容物である電子部品を下端から入れてから、下端部を熱融着してもよい。特に、上記のように、易剥離プラスチック層を介して接着して閉じたプラスチックチャックを使用する場合は、後者の方法を採ることとなる。
【0024】
本発明の電子部品用透明包装袋体における、プラスチックチャックの開閉は、スライダーを用い行うのが適当である。
図6は、スライダーを袋体に装着した状態を示す斜視図であり、図7〜9は、スライダーの移動(スライド)に従って、プラスチックチャックが閉じた状態から開いた状態に移行する行程を示す断端面図である。
図6に示すように、スライダーGは、外側ガイドOGと内側ガイドIGとを有しており、
袋体の開口に沿って移動することにより、プラスチックチャックの開閉をするようになっている。
先ず、図7は、プラスチックチャックが、スライダーの外側ガイドOGによって挟み付けられ閉まっている状態を示している。
図8は、スライダーの楔型の内側ガイドIGが、2本のプラスチックチャックの間の部分に入り込み、外側に押し広げてプラスチックチャックの鉤爪の結合の一部を外している状態を示している。
図9は、プラスチックチャックの鉤爪の結合が、内側ガイドIGにより完全に外された状態を示している。
なお、図6〜9に示すような方法ではなく、外側ガイドのみを有し、内側ガイドを有しないスライダーを用いて、チャックの契合のみをスライダーで行い、チャックの開放は開口部を手で拡げることにより行う形であっても差し支えない。
【実施例】
【0025】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
厚さ60nmの酸化珪素の蒸着層を有する厚さ12μmのPETフィルム、厚さ15μmの66ナイロンフィルム及び厚さ50μmの融点120℃のLLDPEフィルムが順次積層されてなる2枚の透明フィルム(但し、酸化珪素の蒸着層は66ナイロンフィルム側に位置する)を、LLDPEフィルムを内側にして重ね合わせ、両側部を熱融着して、底の開いた袋体本体を形成した。
透明フィルムの表面固有抵抗は1×108、水蒸気透過率は0.3g/m2・24hr、光線透過率は80%である。
【0026】
プラスチックチャックとしては、材質が融点120℃のLLDPEで、契合状態におけるチャックの幅が3.9mm、厚さが2.6mmのテープ状の密閉型チャックであって、開口側のプラスチックチャックは、雌チャックの連続押付けリブの表面のみに、10μmの厚みで材質がLLDPE、エチレン酢酸ビニル共重合体及びポリブテンの混合物で剥離強度を3.1N/15mmに調整した青色透明の易剥離プラスチック層を設け、黄色透明の雄爪の連続締付壁と易剥離プラスチック層とを接着(ヒートシール)することにより、接着面が緑色となっており、且つ、いずれのプラスチックチャックにおいても、袋体本体を形成する透明フィルムとの接合面に融点90℃のメタロセン触媒で合成されたポリエチレンからなる低融点プラスチック層を設けたプラスチックチャックを使用した。
この袋体本体の開口端部に、上記のプラスチックチャックを2本、開口端に平行で且つ互いに平行に設けた。開口側のプラスチックチャックの中心と開口端との距離は9.0mmであり、開口側のプラスチックチャックの中心と内容物側のプラスチックチャックの中心との距離は8.0mmである。
更に、図6に示すようなスライダーを装着した。
【0027】
この透明包装袋体に底部から電子部品を入れ、下端を熱シールして、密閉状態とした。
内容物である電子部品の様子は充分に視認でき、電子部品に付されたバーコード情報も支障なく読み取ることができた。
また、2日間に亘って、温度23℃、相対湿度50%の環境下に置いても、水蒸気等のガスの侵入による電子部品への影響は見られなかった。
また、プラスチックチャックの開口はスライダーに対する大きな抵抗がなく、スムースに行うことができ、しかも、プラスチックチャックの連続押付けリブと連続締付壁との接合部は、プラスチックチャックが閉じた状態では緑色であったが、開口すると元の青色と黄色となり、しかも、再び閉じても開口前の色に戻らず、不正な開封を検知する機能が確認できた。
【0028】
実施例2
図3に示すように、内容物側のプラスチックチャックを、内容物側からの開口強度が開口側からの開口強度より大きい非対称形の鈎爪を有するプラスチックチャックに代えた以外は実施例1と同様に実施した。
非対称形の鈎爪を有するプラスチックチャックは、材質が融点120℃のLLDPEで、契合状態におけるチャックの幅が3.9mm、厚さが2.6mmのテープ状であり、内容物側からの開口強度が10N/50mm、開口側のからの開口強度が40N/50mmのものである。
実施例と同様に電子部品を封入して観察し、また開封したが、実施例と全く同じ結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の電子部品用透明包装袋体は、IC、LSI、CPU,フラッシュメモリー、RAMメモリー、ROMメモリー、マザーボード等の半導体部品、ハードディスクドライブ、MOドライブ、CVDドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ等の各種ドライブ装置、各種プリント基板等の広範囲な電子部品の包装等として好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の電子部品用透明包装袋体を示す斜視図
【図2】電子部品用透明包装袋体の第1の態様における、結合状態でのプラスチックチャックを示す断面図
【図3】電子部品用透明包装袋体の第2の態様における、結合状態でのプラスチックチャックを示す断面図
【図4】連続押し付けリブに易剥離プラスチック層を設けた場合を示す断端面図
【図5】連続締付壁に易剥離プラスチック層を設けた場合を示す断端面図
【図6】スライダーを袋体に装着した状態を示す斜視図
【図7】プラスチックチャックが、スライダーの外側ガイドOGによって挟み付けられ閉まっている状態を示す断端面図
【図8】スライダーの楔型の内側ガイドが、2本のプラスチックチャックの間の部分に入り込み、外側に押し広げてプラスチックチャックの鉤爪の結合の一部を外している状態を示す断端面図
【図9】プラスチックチャックの鉤爪の結合が、内側ガイドにより完全に外された状態を示す断端面図
【符号の説明】
【0031】
O:開口端部
S、S' :透明フィルム
T1:開口側プラスチックチャック
T2:内容物側プラスチックチャック
M1−1、M1−2、M2−1、M2−2、M3:雄爪
F1−1、F1−2、F2−1、F2−2、F3−1、F3−2:雌爪
R1−1、R1−2:連続押付けリブ
R2−1、R2−2:連続締付壁
A、B:易剥離プラスチック層
G:スライダー
OG:外側ガイド
IG:内側ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機化合物蒸着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム及び直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが順次積層されてなる2枚の透明フィルムを、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを内側にして重ね合わせ、両側部及び一端部を熱融着した袋体本体の開口端部に開口端と平行に雄雌一対の鈎爪を有する2本のプラスチックチャックを平行に設けた袋体であって、開口側のプラスチックチャック及び内容物側のプラスチックチャックのいずれもが、雄鉤爪の内側に該爪と平行な連続締付壁を、雌鉤爪の内側に該爪と平行な連続押付けリブを、各々有するプラスチックチャックであることを特徴とする電子部品用透明包装袋体。
【請求項2】
開口側のプラスチックチャック及び/又は内容物側のプラスチックチャックが、チャックが契合された状態で、連続締付壁と連続押付けリブの少なくとも一方の表面に予め設けられた易剥離プラスチック層を介して連続締付壁と連続押付けリブとが接着されている、請求項1に記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項3】
無機化合物蒸着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム及び直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが順次積層されてなる2枚の透明フィルムを、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを内側にして重ね合わせ、両側部及び一端部を熱融着した袋体本体の開口端部に開口端と平行に雄雌一対の鈎爪からなるプラスチックチャックを2本平行に設けた袋体であって、開口側のプラスチックチャックが雄鉤爪の内側に該爪と平行な連続締付壁を雌鉤爪の内側に該爪と平行な連続押付けリブを各々有するプラスチックチャックであり、内容物側のプラスチックチャックが、内容物側からの開口強度が開口側からの開口強度より大きい非対称形の鈎爪を有するプラスチックチャックであることを特徴とする電子部品用透明包装袋体。
【請求項4】
開口側のプラスチックチャックが、チャックが契合された状態で、連続締付壁と連続押付けリブの少なくとも一方の表面に予め設けられた易剥離プラスチック層を介して連続締付壁と連続押付けリブとが接着されている、請求項3に記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項5】
内容物側のプラスチックチャックが、チャックが契合された状態で、雄爪鈎の頂部と雌爪鈎の底部の少なくとも一方の表面に予め設けられた易剥離プラスチック層を介して雄爪鈎の頂部と雌爪鈎の底部とが接着されている請求項3又は4に記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項6】
内容物側のプラスチックチャックの内容物側からの開口強度と開口側からの開口強度との差が20N/50mm以上である請求項3〜5のいずれかに記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項7】
易剥離プラスチック層とそれに接着される部分の表面の色が異なった2色である請求項2、4及び5のいずれかに記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項8】
プラスチックチャックが低融点プラスチックで形成されるか又はプラスチックチャックの透明フィルム側に低融点プラスチックからなる層が形成されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項9】
低融点プラスチックが、融点105℃以下の、直鎖状のエチレン・αオレフィン共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・ビニルアルコール共重合体又はメタロセン触媒で合成されたポリエチレンである、請求項8に記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項10】
透明フィルムにおいて、無機化合物蒸着層を最表層とし、更にその上に保護有機物層を積層した、請求項1〜9のいずれかに記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項11】
透明フィルムにおける無機化合物蒸着層の厚みが50〜100nmである、請求項1〜10のいずれかに記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項12】
透明フィルムにおける無機化合物蒸着層が酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及び酸化カルシウムから選ばれる無機化合物を蒸着した層である、請求項1〜11のいずれかに記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項13】
透明フィルムの光線透過率が60〜95%である、請求項1〜12のいずれかに記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項14】
透明フィルムの水蒸気透過率が20g/m2・24hr以下である、請求項1〜13のいずれかに記載の電子部品用透明包装袋体。
【請求項15】
透明フィルムの表面固有抵抗が1×106〜5×1013Ωである、請求項1〜14のいずれかに記載の電子部品用透明包装袋体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−176542(P2007−176542A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376562(P2005−376562)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000187068)昭和高分子株式会社 (224)
【Fターム(参考)】