説明

電子部品

【課題】リード線を表面実装可能に折り曲げた固定抵抗器が、実装の際に踊ることを抑制できる重量バランスのよい固定抵抗器を提供する。
【解決手段】円柱状の抵抗器本体部11の両側面からリード線12が出ている。リード線12は、抵抗器本体部の端面から軸方向に延伸し、垂直な面内で斜め下方に折り曲げられた部分12bと、折曲部12dによって水平に折り曲げられた水平部分12cとから構成されている。Gは固定抵抗器10の全体の重心を通り、抵抗器本体部11の軸心と平行する軸線の位置である。この軸線Gの、2つの水平部分で決定される平面への正射影(「水平部分への正射影」という。)は、水平部分12cの中点を通っている。したがって、長さLの水平部分12cの両端と軸線G上の1点を結んでできる三角形は二等辺三角形となり、固定抵抗器10を回路基板上に載置する際に、図の左右に揺動しても、重量バランスがとれた動きであり、転倒しにくい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボステープのポケット内に、リード線を面実装可能に折り曲げた固定抵抗器を収納して搬送する包装テープ、ならびに、包装テープに収納された表面実装用の電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場で生産されたリード線を表面実装可能に折り曲げた固定抵抗器は、一般に包装テープに包装されて生産工場から出荷される。生産工場から出荷された固定抵抗器は、需要先の工場にて、包装テープのカバーテープが剥がされ、固定抵抗器はマウンタ等によりエンボステープのポケットから取り出され、回路基板等に実装される。
【0003】
ところで、エンボステープのポケットに電子部品を収納して搬送する包装テープについては、搬送中に電子部品がポケット内で位置ズレが生じることを防止するための種々の提案があり、例えば下記公報に記載のものが知られている。
【特許文献1】特開平7−96966号公報
【特許文献2】特開平5−213365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リード線を表面実装可能に折り曲げた円柱状の電子部品においても、エンボステープのポケットに電子部品を収納して搬送する包装テープにおいては、搬送中に電子部品がポケット内で、回転し、傾き、あるいは反転してしまう等の問題がある。このような問題が生じると、需要先の工場にてエンボステープのポケットから電子部品をマウンタ等により取り出して、回路基板に実装する際に、マウンタで所定位置に運ばれて、回路基板の上方から基板上に落下するようにして回路基板上に載置される。したがって、電子部品が回転し、傾き、あるいは反転した状態で回路基板上に載置されることになり、実装に支障を生じることになる。
【0005】
したがって、搬送中の電子部品が包装テープのポケット内で、回転や位置ずれが生じないようにして、マウンタで取り出された姿勢が常に一定の姿勢となるようにすること、さらに、回路基板上に落下した際に電子部品が踊るようなことが生じたとしても、直ちに安定に所望の姿勢をとれるようにすることが重要である。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、リード線を表面実装可能に折り曲げた電子部品において、重量バランスがよく、回路基板上に落下の際に踊りが生じにくく、リード線の水平部分を確実に回路基板上に載置できる表面実装用の電子部品を提供し、さらには、この電子部品をポケットに収容して、搬送中に電子部品がポケット内で、回転し、位置ずれを生じてしまう等の問題が生ぜず、かつ、ポケット内への挿入およびポケットからの取り出しがスムーズに行える包装テープに収納された表面実装用の電子部品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、表面実装用の電子部品において、円柱状の電子部品本体部と、その両端面からそれぞれ前記電子部品本体部の軸方向に延伸し、斜め下方に折り曲げられた部分と前記軸方向に垂直な面内でさらに水平方向に折り曲げた折曲部と該折曲部から延伸した水平部分および端部を有するリード線を有し、前記水平部分の長さが前記電子部品本体部の直径より大きく、前記電子部品本体部軸心と平行し前記電子部品の重心を通る軸線の水平部分への正射影が前記水平部分と交わる交点から前記折曲部までの距離と前記端部までの距離が略等しいことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の表面実装用の電子部品が包装テープのポケットに収納されて、トップテープで封止された表面実装用の電子部品であって、前記ポケットは、前記包装テープの長手方向に直交する方向の両端部側にそれぞれ第1の壁面と第2の壁面に囲まれた第1の空間と、該第1の空間の内側に位置してそれぞれ第3の壁面と第4の壁面に囲まれた第2の空間と、該第2の空間の内側に位置して第5の壁面と第6の壁面に囲まれた第3の空間を有し、前記第5の壁面および前記第6の壁面の前記包装テープの長手方向位置が前記第1の壁面および前記第2の壁面と同一位置であり、かつ、前記第3の壁面の前記第1の壁面に対する突出量が、前記電子部品本体部軸心と平行し前記電子部品の重心を通る軸線の水平部分への正射影が前記水平部分と交わる交点から前記折曲部までの距離と前記端部までの距離に応じて、前記第4の壁面の前記第2の壁面に対する突出量よりも大きく、前記第1の空間に前記第1の壁面と前記第2の壁面とにより前記リード線の水平部分が僅かな隙間を隔てて挟み込むように収納され、前記第2の空間に前記電子部品本体部の端部が前記第3の壁面と前記第4の壁面とにより僅かな隙間を隔てて挟み込むように収納され、前記第3の空間に前記電子部品本体部の中央部が収納されて、前記ポケット内において前記電子部品の動きが規制されるよう収納されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の表面実装用の電子部品において、前記第1の空間、前記第2の空間、および、前記第3の空間の底面が同一の平面であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
円柱状の電子部品本体部と、その両端面からそれぞれ前記電子部品本体部の軸方向に延伸し、斜め下方に折り曲げられた部分と前記軸方向に垂直な面内でさらに水平方向に折り曲げた折曲部と該折曲部から延伸した水平部分および端部を有するリード線を有する電子部品において、前記水平部分の長さが前記電子部品本体部の直径より大きく、前記電子部品本体部軸心と平行し前記電子部品の重心を通る軸線の水平部分への正射影が前記水平部分と交わる交点から前記折曲部までの距離と前記端部までの距離が略等しいことにより、重量バランスをとることができ、電子部品が回路基板上に載置された際に、揺動現象が生じても、転んでしまうことを抑えることができ、揺動を短時間で収めることができる。
【0011】
また、包装テープに収納された電子部品においては、リード線を面実装可能に折り曲げた電子部品は、リード線が第1の壁面と第2の壁面とに囲まれた第1の空間に収納され、電子部品本体部の端部を挟み込むように配置された第3の壁面と第4の壁面とに囲まれた第2の空間に収納される。したがって、電子部品がポケット内で回転しようとすると、電子部品本体部が第3の壁面と第4の壁面により動きが規制され、回転が防止される。
【0012】
ポケット中央部の第3の空間は、第2の空間よりも包装テープの長手方向に沿って拡大された空間となっているので、マウンタの搭載部品吸着ノズルの挿入が容易であり、ポケット内への電子部品の挿入およびポケットからの取り出しがスムーズに行えるとともに、ポケット内において、回路基板等に実装される姿勢で収納されているから、取り出したままの姿勢で実装することができる。
【0013】
また、第3の壁面の第1の壁面に対する突出量が第4の壁面の第2の壁面に対する突出量よりも大きくなるように形成されているので、ポケットの形状は包装テープの長手方向に直交する方向からみて、非対称となっていることから、電子部品がポケットに収納される方向が一義的に定まり、反対方向(図5(a)でいえば、固定抵抗器10が水平面内で180度回転して、折曲部が右側となる方向)に収納されることがない。したがって、マウンタの搭載部品吸着ノズルで吸着されたときの電子部品の姿勢が常に一定となり、実装の際の位置決めが正確にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、各図中、同一の機能を有する部材または要素には同一の符号を付して、その重複した説明を省略する。
【0015】
リード線を表面実装可能に折り曲げた固定抵抗器の形状について、図1を参照して説明する。固定抵抗器10は、例えば金属皮膜固定抵抗器、あるいは酸化金属皮膜固定抵抗器であり、円柱状の抵抗器本体部11とリード線12とから構成されている。リード線12は、表面実装可能に折り曲げられ、抵抗器本体部11の両端面に設けられ、軸方向に延伸する部分12aと、軸方向に垂直な面内で斜め下方に折り曲げられた部分12bと、折曲部12dによって軸方向に垂直な面内で水平に折り曲げられた水平部分12cとから構成されている。水平部分12cの端部が12eである。
【0016】
そして、リード線12の水平部分12cが回路基板のランドパターンにハンダにより固定される部分であり、水平部分12cをランドパターンに固定することで、固定抵抗器10が表面実装される。水平部分12cの長さは抵抗器本体部11の直径よりも大きく、また、斜め下方に伸びる部分12bの長さよりも長くなっている。
【0017】
このように構成された固定抵抗器10をマウンタから回路基板に載置するとき、固定抵抗器10がランドパターンに密着するまで、マウンタが固定抵抗器10を保持するようにすれば、回路基板上で固定抵抗器10が転ぶようなことはないが、マウンタの位置制御に高精度が要求されるため、ランドパターンの上方の所定の高さの位置で、保持を解除して、ランドパターン上に落とすようにしている。
【0018】
固定抵抗器10がランドパターン上に落ちた際に、固定抵抗器10が踊るように揺動することがあり、転倒する事態を招くことがある。これを避けるためには、固定抵抗器10の重心を低くすることが考えられるが、固定抵抗器10の表面と回路基板との距離が小さくなり、電流が流れることによって生じる発熱により固定した半田が溶融する。これを避けるために、固定抵抗器10の抵抗器本体部の高さを一定値以下にすることはできない。水平部分10cの長さを長くすれば、安定性が向上するが、実装密度の制約から、水平部分10cの長さにも、制限が課せられている。
【0019】
本発明の表面実装用の電子部品は、上述した、回路基板との距離、ならびに、リード線の水平部分の長さの制約のもとに、円柱状の電子部品本体部と、その両端面からそれぞれ前記電子部品本体部の軸方向に延伸し、斜め下方に折り曲げられた部分と前記軸方向に垂直な面内でさらに水平方向に折り曲げた折曲部と該折曲部から延伸した水平部分および端部を有するリード線を有する電子部品において、前記水平部分の長さが前記電子部品本体部の直径より大きく、前記電子部品本体部軸心と平行し前記電子部品の重心を通る軸線の水平部分への正射影が前記水平部分と交わる交点から前記折曲部までの距離と前記端部までの距離を略等しくしたものである。すなわち、電子部品本体部の軸心と平行し電子部品の重心を通る軸線の水平部分への正射影が、水平部分の略中点を通るものである。したがって、前記正射影が水平部分の中点を通るのがベストであるが、必ずしも、正確に中点を通らなくても、本発明の作用・効果もたらすことができるものであり、中点を中心として、その両側に水平部分の1/2の長さの10%範囲内は許容でき、より好ましくは、5%以内、さらには、3%以内がもっとも好ましい範囲である。
【0020】
図2は、本発明を固定抵抗器に適用した実施例の側面図である。Oは抵抗器本体部11の中心軸線、Gは固定抵抗器10の全体、すなわち、抵抗器本体部11とリード線との全体の重心を通り、抵抗器本体部11の軸心と平行する軸線の位置である。この軸線Gの、2つの水平部分で決定される平面への正射影(「水平部分への正射影」という。)は、水平部分12cの中点を通っている。したがって、長さLの水平部分12cの両端と軸線G上の1点を結んでできる三角形は二等辺三角形である。固定抵抗器10を回路基板上に載置する際に、固定抵抗器10が踊った場合、その動きは、水平部分12c、すなわち、二等辺三角形の底辺を底部として図2の左右に揺動する動きであり、左右の揺動が対称となって、重量バランスがとれた動きであり、転倒しにくい動きである。
【0021】
なお、上述したように、重心を通る軸線Gの正射影が水平部分12cの長さLの中点を通るのがベストであるが、必ずしも、正確に中点を通らなくても、本発明の作用・効果もたらすことができるものであり、中点を中心として、その両側に水平部分12cの長さLの1/2である、L/2の10%の範囲内を軸線Gの正射影が通ればよいが、より好ましくは、5%の範囲内、さらには、3%の範囲内がもっとも好ましい範囲である。
【0022】
これに対して、特開平10−177901号公報や特開2003−204134号公報などに記載されているように、固定抵抗器の中心軸心の水平部分への正射影が、水平部分の略中点を通るものでは、上述した重量バランスをとることができないことを図3で説明する。
【0023】
図3は、図2と水平部分12cの長さLを同じとし、抵抗器本体部11の中心軸線Oの正射影が、水平部分12cの中点を通っている固定抵抗器10の側面図である。すなわち、長さLの水平部分12cの両端と中心軸線O上の1点を結んでできる三角形は二等辺三角形である。この固定抵抗器10では、重心を通り中心軸線と平行な軸線Gの位置は、中心軸線Oの左側、すなわち、斜め下方に折り曲げられた部分12b側にあるから、この固定抵抗器10が左右に揺動運動をした場合は、左への揺動が右への揺動より大きい角度となって、アンバランスの動きとなり、左側へ転倒しやすい。
【0024】
したがって、水平部分12cの長さLが同じ固定抵抗器10では、本発明の固定抵抗器10の方がマウンタから落とされた場合の安定性がよいことが分かる。
【0025】
図4は、図1,図2で説明した固定抵抗器を収納する包装テープを示す。この包装テープ20は、多数のポケット(エンボスパターン)23を有するボトムテープ21と、これに接着したトップテープ22とから構成されている。すなわち、ポケット23に、固定抵抗器本体部11と表面実装可能に折り曲げたリード線12からなる固定抵抗器10が挿入され、トップテープ22をボトムテープ21の上面に熱圧着等により接着して封止することで、固定抵抗器10が包装テープ20に収納される。
【0026】
この包装テープ20では、後述するように、ポケット23に、抵抗器本体部11を挟み込むように、包装テープ20の長手方向(X方向)内方に突出する壁面28,29が設けられ、この壁面28,29により抵抗器本体部11のポケット23内での動きが規制され、搬送中に固定抵抗器10が回転し、位置ズレが生じることが防止される。なお、壁面28,29のそれぞれの突出量は、リード線12の折り曲げ形状に合わせて、壁面28の突出量を大きく、壁面29の突出量を小さくして、収納状態においてリード線の水平部分12cが底面に密着する。
【0027】
ボトムテープ21には、多数の送り穴19が設けられ、送り穴19でボトムテープ21を送りつつ、固定抵抗器10をポケット23に挿入して、トップテープ22で封止する作業が、順次行われる。固定抵抗器10を収納した包装テープ20は、リールに巻き取られ、需要先の工場等に出荷される。需要先の工場では、トップテープ22を剥がし、ポケット23から固定抵抗器10をマウンタ等により取り出し、実装基板に固定抵抗器10を表面実装する作業が行われる。一般に、ボトムテープ21は、透明,半透明、あるいは、不透明のプラスチック材料で形成され、トップテープ22は、熱圧着可能な樹脂フィルムにより形成されている。トップテープ22は、内部が見易いので、透明な材料が好ましい。図4では、ボトムテープ21およびトップテープ22に透明な材料を用いたので、内部が透視でき、固定抵抗器10の状態を外部から見ることができる。
【0028】
図5は、包装テープにおけるポケットの一例の構造の詳細を説明するためのもので、図5(A)は固定抵抗器を挿入していない状態を上から見た平面図、図5(B)は図5(A)のポケットに固定抵抗器を挿入した状態を上から見た平面図、図5(C)は図5(B)のC−C線断面図である。包装テープの短手方向(Y方向)に沿って、ポケット23の両端部に、固定抵抗器10の表面実装可能に折り曲げられたリード線12,12を収納する第1の空間24,24が配置されている。第1の空間24は、X方向側が第1の壁面25と第2の壁面26に囲まれた空間である。第1の空間24における、収納するリード線の水平部分12cの両側の第1の壁面25と第2の壁面26との間の隙間の合計が1.5mm以下と僅かな距離を隔てて配置されるようになっている。
【0029】
Y方向に沿って、第1の空間24,24の内側に位置し、抵抗器本体部11の端部を収納する第2の空間27,27が配置されている。第2の空間27は、X方向側が第3の壁面28と第4の壁面29とに囲まれた空間である。第3の壁面28と第4の壁面29は、第1の壁面25と第2の壁面26に対して突出している。それぞれの突出量は、図2で説明した重心を通る軸線Gの位置に応じて決定されるものであり、図2で説明すれば、抵抗器本体部11の、2つの水平部分で決定される平面への正射影における左方の側部の正射影から折曲部12dの先端までの距離と、右方の側部の正射影から端部12eまでの距離に応じて決定されるものであり、寸法公差等を考慮しなければ、幾何学的には、上述したそれぞれの距離に等しい値となるが、寸法公差等を考慮して余裕をもって決定される。第2の空間27における、抵抗器本体部11の両側の第3の壁面28と第4の壁面29との間の隙間の合計は、例えば、1.5mm以下とし、僅かな距離を隔てて抵抗器本体部11が第2の空間に配置されるようになっている。
【0030】
さらに、Y方向に沿って、第2の空間の内側(ポケットの中央部)には、抵抗器本体部11の中央部を収納する第3の空間30が配置されている。第3の空間30は、X方向側が第5の壁面31と第6の壁面32とに囲まれた空間である。第5の壁面31は、包装テープの長手方向(X方向)位置が第1の壁面25と同一位置となっている。また、第6の壁面32は、X方向位置が第2の壁面26と同一位置となっている。すなわち、第2の空間27よりもテープの長手方向(X方向)に沿って拡大された空間となっている。この拡大された空間は、マウンタの搭載部品吸着ノズルの挿入が容易な寸法となっていて、ポケット内への固定抵抗器の挿入およびポケットからの取り出しがスムーズに行える。これら第1,第2,第3の空間の底面は、図5(B),図3(C)に示すように同じ高さとなっており、段差はない。底面を同じ高さにして段差を設けないようにすると、図4(B)に示すように、包装テープの底面側も外表面が上面側と平行となる部分が大きく、巻かれた状態において、巻き崩れを防止することができるという利点がある。
【0031】
次に、ポケットの寸法例について説明する。第1の空間24のX方向長さは、6.5mmであり、収納するリード線の水平部分12cの長さは、6.0mmである。したがって、第1の空間24におけるリード線の水平部分12cの両側における壁面25,26との隙間の合計は、0.5mmであるが、この隙間の合計は、寸法公差等を考慮して、1.5mm以下であることが好ましい。また、第2の空間27のX方向長さは、4.75mmであり、収納する抵抗器本体部11の直径は4.0mmである。したがって、第2の空間27における抵抗器本体部11の両側における壁面28,29との隙間の合計は0.75mmであるが、隙間の合計は、寸法公差等を考慮して、1.5mm以下であることが好ましい。
【0032】
このポケットの構造によれば、リード線12の水平部分12cはポケット23内の最下部(底面)に載置され、抵抗器本体部11の軸心Cは、ポケット23内の上半部に位置している。そして、高さの異なるリード線の水平部分12cと抵抗器本体部11とが、それぞれ僅かな隙間を隔ててポケット両側の壁面間に挟み込むように配置されるようにして固定抵抗器10がポケット内に収納される。したがって、固定抵抗器10がポケット内で回転しようとすると、そのリード線の水平部分12cの端部のいずれかの動きが第1の壁面25または第2の壁面26に規制され、抵抗器本体部11の側面の動きが第3の壁面28または第4の壁面29に規制され、ポケット内での固定抵抗器10の回転が防止される。
【0033】
これにより、包装テープ20に固定抵抗器10を収納し、搬送する際に、搬送中の振動、あるいは衝撃により、固定抵抗器が位置ズレを生じ、需要先の工場でマウンタによる実装時に支障をきたすという問題が完全に防止される。
【0034】
なお、図5で説明したポケットでは、抵抗器本体部11の端面位置が第2の空間に位置するように配置されているが、抵抗器本体部11の端面位置を必ずしも第2の空間内に配置するようにポケットを構成する必要はなく、図4で説明したポケットのように、抵抗器本体部11の端面位置が第1の空間に入り込んでもよく、要は、抵抗器本体部11の端部の一部が第2の空間において位置規制され、かつ、抵抗器本体部11の中央部が、第2の空間よりも包装テープの長手方向に沿って拡大された空間となっている第3の空間に配置されればよい。
【0035】
図6(A)は、比較例として、第3の壁面および第4の壁面がX方向の内方に突出していない場合を示す。この場合には、固定抵抗器10が回転して、位置ズレを生じる場合がある。すなわち、図6(A)は、固定抵抗器10をポケット23に挿入し、装填した状態を示す。しかしながら、抵抗器本体部11の外表面に当接し、その回転を拘束する壁面28,29が存在しないため、図6(B)(C)(D)に示すように、固定抵抗器10が回転し、位置ズレを生じる場合がある。
【0036】
なお、上述した実施形態では、リード線を表面実装可能に折り曲げた固定抵抗器を包装テープに収納する例について説明したが、リード線を表面実装可能に折り曲げた、例えばインダクタ、コンデンサ等の抵抗器以外の電子部品についても、ポケットの構造により、回転、位置ズレを防止することができる。
【0037】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】リード線を表面実装可能に折り曲げた固定抵抗器の斜視図である。
【図2】本発明の固定抵抗器の一実施例の側面図である。
【図3】比較例の固定抵抗器の一例の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態の、(A)は包装テープの平面図であり、(B)は側面図である。
【図5】図4の包装テープのポケット構造の詳細を示す図であり、(A)は固定抵抗器を挿入していない状態の平面図、(B)は固定抵抗器を挿入した状態の平面図、(C)は(B)のC−C線断面図である。
【図6】比較例のポケット構造を示し、(A)は正規の装填状態を示し、(B)〜(D)は固定抵抗器が位置ズレを生じた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0039】
10…固定抵抗器、11…抵抗器本体部、12…リード線、12c…水平部分、12d…折曲部、12e…端部、20…包装テープ、21…ボトムテープ、22…トップテープ、23…ポケット、24…第1の空間、25…第1の壁面、26…第2の壁面、27…第2の空間、28…第3の壁面、29…第4の壁面、30…第3の空間、31…第5の壁面、32…第6の壁面、C…抵抗器本体部の軸心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の電子部品本体部と、その両端面からそれぞれ前記電子部品本体部の軸方向に延伸し、斜め下方に折り曲げられた部分と前記軸方向に垂直な面内でさらに水平方向に折り曲げた折曲部と該折曲部から延伸した水平部分および端部を有するリード線を有し、
前記水平部分の長さが前記電子部品本体部の直径より大きく、前記電子部品本体部軸心と平行し前記電子部品の重心を通る軸線の水平部分への正射影が前記水平部分と交わる交点から前記折曲部までの距離と前記端部までの距離が略等しいことを特徴とする表面実装用の電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の表面実装用の電子部品が包装テープのポケットに収納されて、トップテープで封止された表面実装用の電子部品であって、
前記ポケットは、前記包装テープの長手方向に直交する方向の両端部側にそれぞれ第1の壁面と第2の壁面に囲まれた第1の空間と、該第1の空間の内側に位置してそれぞれ第3の壁面と第4の壁面に囲まれた第2の空間と、該第2の空間の内側に位置して第5の壁面と第6の壁面に囲まれた第3の空間を有し、
前記第5の壁面および前記第6の壁面の前記包装テープの長手方向位置が前記第1の壁面および前記第2の壁面と同一位置であり、かつ、前記第3の壁面の前記第1の壁面に対する突出量が、前記電子部品本体部軸心と平行し前記電子部品の重心を通る軸線の水平部分への正射影が前記水平部分と交わる交点から前記折曲部までの距離と前記端部までの距離に応じて、前記第4の壁面の前記第2の壁面に対する突出量よりも大きく、
前記第1の空間に前記第1の壁面と前記第2の壁面とにより前記リード線の水平部分が僅かな隙間を隔てて挟み込むように収納され、前記第2の空間に前記電子部品本体部の端部が前記第3の壁面と前記第4の壁面とにより僅かな隙間を隔てて挟み込むように収納され、前記第3の空間に前記電子部品本体部の中央部が収納されて、
前記ポケット内において前記電子部品の動きが規制されるよう収納されていることを特徴とする表面実装用の電子部品。
【請求項3】
前記第1の空間、前記第2の空間、および、前記第3の空間の底面が同一の平面であることを特徴とする請求項2に記載の表面実装用の電子部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−44619(P2008−44619A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218913(P2006−218913)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000105350)コーア株式会社 (201)
【Fターム(参考)】