電工ドラム
【課題】 電気コードを敷設する区間の電波の状態が悪い場合であっても、作業者間で音声通話を行うことを可能とする電工ドラムを提供する。
【解決手段】 ドラム本体に設けられる通信装置10aを有する。通信装置10aは、音声の入出力を行う音声入力部11a、音声出力部14aを有する。また、音声入力部11a、音声出力部14aが入出力する音声についての音声信号を、電気コードc1を介して電力線通信により送受信する電力線通信部12aを有する。
【解決手段】 ドラム本体に設けられる通信装置10aを有する。通信装置10aは、音声の入出力を行う音声入力部11a、音声出力部14aを有する。また、音声入力部11a、音声出力部14aが入出力する音声についての音声信号を、電気コードc1を介して電力線通信により送受信する電力線通信部12aを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源から離れた場所で使用される電気機器に対して、電気コードを介してドラム本体のコンセントから電力を供給するための電工ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工事現場などで、電力会社が供給する商用電源のコンセントから離れた場所で電動工具等の電気機器を使用して作業を行うための道具として電工ドラムが知られていた。この電工ドラムは、一端にプラグが設けられた数十メートルの電気コードの他端がドラム本体に接続されており、プラグを商用電源のコンセントに差し込むと、ドラム本体に電力が供給され、商用電源のコンセントから離れた場所からでも電気機器を使用することが可能になるというものであった。
また、距離の離れた二者間で通話を行う技術として、特許文献1に記載されている遠隔管理方法が知られていた(特許文献1)。この遠隔管理方法は、管理対象施設を監視する監視センタ内又は巡回監視車内の監視担当者と、管理対象施設内の管理対象施設関係者が、有線ネットワーク又は無線ネットワークを利用して、相手方と音声通話等を行うことを可能にするものであった。
【特許文献1】特開2002−133559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の電工ドラムは、商用電源のコンセントから離れた場所で電気機器に対して電力を供給する目的でのみ使用されていた。また、電工ドラムが使用される工事現場では、電波の状態が悪いことが多いため、携帯電話を使うことができない場合があり、電気機器を使用する作業者と、建物内で作業する作業者の間での意思の疎通が図りにくいという問題があった。
また、特許文献1に記載されている遠隔管理方法では、監視担当者と管理対象施設関係者との間で、有線ネットワークを利用する場合には、予め有線ネットワークが敷設されている地点間でしか音声通話ができないという問題があった。一方、監視担当者と管理対象施設関係者との間で、無線ネットワークを利用する場合には、両者間に電波の状態の悪い区間があると、音声通話ができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気コードを敷設する区間の電波の状態が悪い場合であっても、作業者間で音声通話を行うことを可能とする電工ドラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ドラム本体に設けられるコンセントに接続される電気機器に対して、前記ドラム本体に接続される電気コードを介して電力を供給する電工ドラムであって、前記ドラム本体に設けられる第1の通信装置を有し、前記第1の通信装置は、音声の入出力を行う第1の音声入出力手段と、前記第1の音声入出力手段が入出力する音声についての音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により送受信する第1の電力線通信手段とを有することを特徴とする電工ドラムである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記電気コードに接続される第2の通信装置を更に有し、前記第2の通信装置は、音声の入出力を行う第2の音声入出力手段と、前記第2の音声入出力手段が入出力する音声についての音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により前記第1の電力線通信手段との間で送受信する第2の電力線通信手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の電工ドラムである。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、ドラム本体に設けられるコンセントに接続される電気機器に対して、前記ドラム本体に接続される電気コードを介して電力を供給する電工ドラムであって、前記ドラム本体に設けられる第1の通信装置を有し、前記第1の通信装置は、無線通信により音声信号の送受信を行う第1の無線通信手段と、前記第1の無線通信手段が送受信する音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により送受信する第1の電力線通信手段とを有することを特徴とする電工ドラムである。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、前記電気コードに接続される第2の通信装置を更に有し、前記第2の通信装置は、無線通信により音声信号の送受信を行う第2の無線通信手段と、前記第2の無線通信手段が送受信する音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により前記第1の電力線通信手段との間で送受信する第2の電力線通信手段とを有することを特徴とする請求項3に記載の電工ドラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、電工ドラムのドラム本体に設けられる第1の音声入出力手段で入出力される音声信号を、ドラム本体に接続されている電気コードを利用して電力線通信による送受信を行うようにした。
これにより、電気コードを敷設する区間の電波の状態が悪く、無線通信を行うことができない場合であっても、電工ドラムを使用する作業者の間で、音声通話を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による電工ドラム1aの構成を示す斜視図である。この電工ドラム1aは、円板状の側板2a、2bそれぞれの中心が回転軸により接続されている。その回転軸には、円筒状の回転部3が回転可能なように取り付けられている。また、側板2bには、取手部4が取り付けられている。電工ドラム1aの利用者は、この取手部4を手で持つことにより、電工ドラム1aを容易に持ち運ぶことができる。また、側板2bには、支持部5が取り付けられている。この支持部5により、電工ドラム1aを安定させて地面に設置することができる。
【0011】
プラグ6は、電工ドラム1aの使用時に、建物の壁などに設けられている商用電源のコンセントに差し込まれる。これにより、電工ドラム1aには、コンセントから電力が供給される。電気コードc1は、数メートル〜数十メートルの長さのコードであり、導電性の金属線の周囲を絶縁性の材料で被覆されている。電気コードc1の一端はプラグ6により構成されており、電気コードc1の他端はドラム本体に接続されている。ドラム本体は、プラグ6とは逆側の電気コードc1の端が接続されている筐体(側板2a、2b、回転部3、取手部4、支持部5、コンセント7a、7bなど)をいう。電気コードc1は、回転部3を回転させることにより、回転部3の周囲に巻き付けて収納することができるようになっている。
【0012】
ここでは、側板2aにコンセントが2つ設けられている場合について説明するが、これに限定されるものではなく1つ又は3つ以上設けることも可能である。
電工ドラム1aのドラム本体には、通信装置10aが備え付けられている。また、プラグ6の近傍の電気コードc1からは、電気コードc2が分岐している。電気コードc2は、数メートルのコードであり、先端には通信装置10bが接続されている。通信装置10a、10bの具体的な構成については、図2を参照して説明する。
【0013】
図2は、本実施形態による電工ドラム1aの構成を示すブロック図である。通信装置10aは、音声入力部11a、電力線通信部12a、電力線接続部13a、音声出力部14a、電力供給部15aを有する。また、通信装置10bは、音声入力部11b、電力線通信部12b、電力線接続部13b、音声出力部14b、電力供給部15bを有する。
音声入力部11a(11b)は、マイクなどにより構成され、通信装置10a(10b)の周囲の音声に基づいて音声信号を生成し、電力線通信部12a(12b)に出力する。電力線通信部12a(12b)は、音声入力部11a(11b)から出力される音声信号を、数十(MHz)の高周波信号に変換して、電力線接続部13a(13b)に出力する。また、電力線通信部12a(12b)は、電力線接続部13a(13b)から出力される高周波信号を音声信号に変換し、音声出力部14a(14b)に出力する。
【0014】
電力線接続部13a(13b)は、電気コードc1(c2)に接続されている。電力線接続部13a(13b)は、建物などの壁に設けられている商用電源のコンセントからプラグ6に供給される50〜60(Hz)の周波数の交流電圧に対して、電力線通信部12a(12b)から出力される高周波信号を重畳した信号を、通信装置10b(10a)の電力線接続部13b(13a)に対して電力線通信により送信する。また、電力線接続部13a(13b)は、通信装置10b(10a)から信号を受信すると、その信号から交流電圧を取り出して、電力供給部15a(15b)に出力する。また、受信した信号から高周波信号を取り出して、電力線通信部12a(12b)に出力する。
【0015】
音声出力部14a(14b)は、スピーカなどにより構成され、電力線通信部12a(12b)から出力される音声信号に基づいて、音声を出力する。電力供給部15a(15b)は、建物の壁などに設けられる商用電源のコンセントから、プラグ6、電気コードc1(c2)を介して供給される電力を、通信装置10a(10b)を構成する音声入力部11a(11b)、電力線通信部12a(12b)、電力線接続部13a(13b)、音声出力部14a(14b)に電力を供給する。また、電力供給部15aは、コンセント7a、7bに対して電力を供給する。
【0016】
次に、本実施形態による電工ドラム1aの動作について説明する。
図3は、本実施形態による電工ドラム1aを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、電工ドラム1aのプラグ6が建物の壁などに設けられる商用電源のコンセントに接続され、電工ドラム1aに電力が供給されている場合について説明する。
始めに、音声入力部11a(11b)は、通信装置10a(10b)の周囲の音声を収音して、その音声に対応する音声信号を電力線通信部12a(12b)に出力する(ステップS11)。次に、電力線通信部12a(12b)は、音声入力部11a(11b)から出力された音声信号を、数(MHz)〜数十(MHz)の高周波信号に変換して、電力線接続部13a(13b)に出力する(ステップS12)。
【0017】
そして、電力線接続部13a(13b)は、50(Hz)〜60(Hz)の交流電圧に、電力線通信部12a(12b)から出力された高周波信号を重畳し、通信装置10b(10a)に電気コードc1、c2を介して送信する(ステップS13)。
電力線接続部13b(13a)は、電力線接続部13a(13b)から受信した信号から、高周波信号を取り出して、電力線通信部12b(12a)に出力する(ステップS14)。
そして、電力線通信部12b(12a)は、高周波信号を音声信号に変換して、音声出力部14b(14a)に出力する(ステップS15)。音声出力部14b(14a)は、電力線通信部12b(12a)から出力された音声信号に基づいて、音声を出力する(ステップS16)。
【0018】
上述した第1の実施形態による電工ドラム1aを使用すれば、電気コードc1が敷設される区間の電波の状態が悪く、携帯電話などの無線通信による音声通話ができない場合であっても、ドラム本体に取り付けられている通信装置10aと、プラグ6の近傍の電気コードc2に接続されている通信装置10bとの間で音声通話を行うことができる。
また、本実施形態による電工ドラム1aを使用すれば、プラグ6が接続される商用電源のコンセントから通信装置10a(10b)の音声入力部11a(11b)、音声出力部14a(14b)に電力が供給されるため、別途電力をそれらに供給する必要がなくなり、利用者の利便性を向上させることができる。
【0019】
図4は、本発明の第2の実施形態による電工ドラム1bの構成を示す斜視図である。本実施形態による電工ドラム1bが、第1の実施形態による電工ドラム1a(図1参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の電工ドラム1bは、通信装置10b、電気コードc2を有しない点において、第1の実施形態による電工ドラム1aと相違している。また、通信装置10cの機能が、第1の実施形態による通信装置10aと相違している。
【0020】
図5は、本実施形態による電工ドラム1bの構成を示すブロック図である。本実施形態による通信装置10cが、第1の実施形態による通信装置10a(図2参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の通信装置10cは、電力線接続部13cの機能が、第1の実施形態による電力線接続部13aと相違している。
つまり、電力線接続部13cは、建物などの壁に設けられている商用電源のコンセントからプラグ6に供給される50〜60(Hz)の周波数の交流電圧に対して、電力線通信部12aから出力される高周波信号を重畳した信号を、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に接続されている他の電工ドラム1bに対して電力線通信により送信する。また、電力線接続部13cは、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に接続されている他の電工ドラム1bから信号を受信すると、その信号から交流電圧を取り出して、電力供給部15aに出力する。また、受信した信号から高周波信号を取り出して、電力線通信部12aに出力する。
【0021】
次に、本実施形態による電工ドラム1bの動作について説明する。
図6(a)、(b)は、本実施形態による電工ドラム1bを使用する場合の処理の流れを示すフローチャート図である。ここでは、電工ドラム1bのプラグ6が建物の壁などに設けられる商用電源のコンセントに接続され、電工ドラム1bに電力が供給されている場合について説明する。
図6(a)は、商用電源の電力線に2台の電工ドラムが接続されている場合であって、一方の電工ドラムから他方の電工ドラムに対して電力線通信により音声信号を送信する場合を示している。
始めに、音声入力部11aは、通信装置10cの周囲の音声を収音して、その音声に対応する音声信号を電力線通信部12aに出力する(ステップS21)。次に、電力線通信部12aは、音声入力部11aから出力された音声信号を、数(MHz)〜数十(MHz)の高周波信号に変換して、電力線接続部13cに出力する(ステップS22)。
そして、電力線接続部13cは、50(Hz)〜60(Hz)の交流電圧の信号に、電力線通信部12aから出力された高周波信号を重畳し、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に接続されている他の電工ドラムに対して電力線通信により送信する(ステップS23)。
【0022】
図6(b)は、商用電源の電力線に2台の電工ドラムが接続されている場合であって、一方の電工ドラムが他方の電工ドラムから電力線通信により音声信号を受信する場合を示している。
始めに、電力線接続部13cは、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に接続されている他の電工ドラムから受信した信号から、高周波信号を取り出して、電力線通信部12aに出力する(ステップS24)。
そして、電力線通信部12aは、高周波信号を音声信号に変換して、音声出力部14aに出力する(ステップS25)。音声出力部14aは、電力線通信部12aから出力された音声信号に基づいて、音声を出力する(ステップS26)。
【0023】
上述した第2の実施形態による電工ドラム1bを使用すれば、電気コードc1が敷設される区間や、2台の電工ドラム1bが電力線を介して接続される区間の電波の状態が悪く、携帯電話などの無線通信による音声通話ができない場合であっても、2台の電工ドラム1bの間で音声通話を行うことができる。
また、本実施形態による電工ドラム1bを使用すれば、プラグ6が接続される商用電源のコンセントから通信装置10cの音声入力部11a、音声出力部14aに電力を供給するようにしたので、別途電力をそれらに供給する必要がなくなり、利用者の利便性を向上させることができる。
【0024】
図7は、本発明の第3の実施形態による電工ドラム1cの構成を示す斜視図である。本実施形態による電工ドラム1cが、第1、第2の実施形態による電工ドラム1a、1b(図1、図4参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の電工ドラム1cは、通信装置10d、10eの機能が、第1の実施形態による通信装置10a、10bと相違している。
【0025】
図8は、本実施形態による電工ドラム1cの構成を示すブロック図である。本実施形態による通信装置10d、10eが、第1の実施形態による通信装置10a、10b(図2参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の通信装置10dは、音声入力部11a、音声出力部14aの代わりに無線通信部16aを有する点において、第1の実施形態による通信装置10aと相違している。また、本実施形態の通信装置10eは、音声入力部11b、音声出力部14bの代わりに無線通信部16bを有する点において、第1の実施形態による通信装置10bと相違している。
【0026】
無線通信部16a(16b)は、アンテナなどにより構成され、通信装置10d(10e)の周辺にいる作業者等が使用するトランシーバなどの無線機T1(T2)との間で無線通信を行う。つまり、音声信号が乗せられた電波を無線機T1(T2)から受信し、音声信号を電力線通信部12a(12b)に出力する。また、電力線通信部12a(12b)から音声信号が出力されると、その音声信号を電波に乗せて、無線機T1(T2)に送信する。
【0027】
次に、本実施形態による電工ドラム1cの動作について説明する。
図9は、本実施形態による電工ドラム1cを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、電工ドラム1cのプラグ6が建物の壁などに設けられる商用電源のコンセントに接続され、電工ドラム1cに電力が供給されている場合について説明する。
始めに、無線通信部16a(16b)は、通信装置10d(10e)の周辺にいる作業者等が使用するトランシーバなどの無線機T1(T2)から送信される電波を受信して、その電波から音声信号を取り出し、電力線通信部12a(12b)に出力する(ステップS31)。図9のステップS32〜S34の処理については、図3のステップS12〜S14とそれぞれ同じであるため、それらの処理についての説明を省略する。
ステップS34の処理の後、電力線通信部12b(12a)は、高周波信号を音声信号に変換して、無線通信部16b(16a)に出力する(ステップS35)。無線通信部16b(16a)は、電力線通信部12b(12a)から出力された音声信号を電波に乗せて、通信装置10e(10d)の周辺にいる作業者等が使用するトランシーバなどの無線機T2(T1)に送信する(ステップS36)。
【0028】
上述した本実施形態による電工ドラム1cを使用すれば、電気コードc1が敷設される区間の電波の状態が悪く、携帯電話などの無線通信による音声通話ができない場合であっても、ドラム本体に取り付けられている通信装置10dと、プラグ6の近傍の電気コードc2に接続されている通信装置10eとの間で音声通話を行うことができる。
また、通信装置10dと無線機T1の間、通信装置10eと無線機T2の間の電波の状態が良ければ、作業者が通信装置10d、10eの近くにいない場合であっても、音声通話を行うことができる。
また、本実施形態による電工ドラム1cを使用すれば、プラグ6が接続されるコンセントから通信装置10d(10e)の無線通信部16a(16b)に電力を供給するようにしたので、別途電力をそれらに供給する必要がなくなり、利用者の利便性を向上させることができる。
【0029】
図10は、本発明の第4の実施形態による電工ドラム1dの構成を示す斜視図である。本実施形態による電工ドラム1dが、第1〜第3の実施形態による電工ドラム1a〜1c(図1、図4、図7参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の電工ドラム1dは、通信装置10e、電気コードc2を有しない点において、第3の実施形態による電工ドラム1cと相違している。また、通信装置10fの機能が、第3の実施形態による通信装置10dと相違している。
【0030】
図11は、本実施形態による電工ドラム1dの構成を示すブロック図である。本実施形態による通信装置10fが、第1〜第3の実施形態による通信装置10a〜10e(図2、図5、図8参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
次に、本実施形態による電工ドラム1dの動作について説明する。
図12(a)、(b)は、本実施形態による電工ドラム1dを使用する場合の処理の流れを示すフローチャート図である。ここでは、電工ドラム1dのプラグ6が建物の壁などに設けられる商用電源のコンセントに接続され、電工ドラム1dに電力が供給されている場合について説明する。
図12(a)は、商用電源の電力線に2台の電工ドラムが接続されている場合であって、一方の電工ドラムから他方の電工ドラムに対して電力線通信により音声信号を送信する場合を示している。
始めに、無線通信部16aは、通信装置10fの周辺にいる作業者等が使用するトランシーバなどの無線機T1から送信される電波を受信して、その電波に含まれる音声信号を電力線通信部12aに出力する(ステップS41)。図12のステップS42、S43の処理については、図6(a)のステップS22、S23とそれぞれ同じであるため、それらの処理についての説明を省略する。
【0032】
図12(b)は、商用電源の電力線に2台の電工ドラムが接続されている場合であって、一方の電工ドラムが他方の電工ドラムから電力線通信により音声信号を受信する場合を示している。図12のステップS44、S45の処理については、図6(b)のステップS24、S25とそれぞれ同じであるため、それらの処理についての説明を省略する。ステップS45の後、無線通信部16aは、電力線通信部12aから出力された音声信号を電波に乗せて、通信装置10fの周辺にいる作業者等が使用するトランシーバなどの無線機T1に送信する(ステップS46)。
【0033】
上述した本実施形態による電工ドラム1dを使用すれば、電気コードc1が敷設される区間や、2台の電工ドラム1dが電力線を介して接続される区間の電波の状態が悪く、携帯電話などの無線通信による音声通話ができない場合であっても、2台の電工ドラム1dの間で音声通話を行うことができる。
また、通信装置10fと無線機T1の間の電波の状態が良ければ、作業者が通信装置10fの近くにいない場合であっても、音声通話を行うことができる。
また、本実施形態による電工ドラム1dを使用すれば、プラグ6が接続される商用電源のコンセントから通信装置10fの無線通信部16aに電力を供給するようにしたので、別途電力をそれらに供給する必要がなくなり、利用者の利便性を向上させることができる。
【0034】
なお、上述した第1、第3の実施形態による電工ドラム1b、1dを使用すれば、プラグ6を発電装置に接続することにより、電力会社が提供する商用電源のコンセントが近くにない場合であっても、通信装置10aと通信装置10bの間、通信装置10dと通信装置10eの間で音声通話を行うことができる。また、ビル等の建築物内で複数階にまたがって工事を行うような場合であっても、作業者間で音声通話を行いながら作業を進めることができる。
【0035】
なお、上述した第2の実施形態では、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に2台の電工ドラムを接続して、それらの電工ドラム間で音声通話を行う場合について説明したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に複数台の電工ドラムを接続して、ある電工ドラムから送信する音声信号を、他の全ての電工ドラムの音声出力部から出力するものや、あるいは、特定の1台の電工ドラムの音声出力部から出力するものであってもよい。
【0036】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態による電工ドラム1aの構成を示す斜視図である。
【図2】本実施形態による電工ドラム1aの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態による電工ドラム1aを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態による電工ドラム1bの構成を示す斜視図である。
【図5】本実施形態による電工ドラム1bの構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態による電工ドラム1bを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態による電工ドラム1cの構成を示す斜視図である。
【図8】本実施形態による電工ドラム1cの構成を示すブロック図である。
【図9】本実施形態による電工ドラム1cを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施形態による電工ドラム1dの構成を示す斜視図である。
【図11】本実施形態による電工ドラム1dの構成を示すブロック図である。
【図12】本実施形態による電工ドラム1dを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1a〜1d・・・電工ドラム、2a、2b・・・側板、3・・・回転部、4・・・取手部、5・・・支持部、6・・・プラグ、10a〜10f・・・通信装置、11a、11b・・・音声入力部、12a、12b・・・電力線通信部、13a〜13c・・・電力線接続部、14a、14b・・・音声出力部、15a、15b・・・電力供給部、c1、c2・・・電気コード、T1、T2・・・無線機
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源から離れた場所で使用される電気機器に対して、電気コードを介してドラム本体のコンセントから電力を供給するための電工ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工事現場などで、電力会社が供給する商用電源のコンセントから離れた場所で電動工具等の電気機器を使用して作業を行うための道具として電工ドラムが知られていた。この電工ドラムは、一端にプラグが設けられた数十メートルの電気コードの他端がドラム本体に接続されており、プラグを商用電源のコンセントに差し込むと、ドラム本体に電力が供給され、商用電源のコンセントから離れた場所からでも電気機器を使用することが可能になるというものであった。
また、距離の離れた二者間で通話を行う技術として、特許文献1に記載されている遠隔管理方法が知られていた(特許文献1)。この遠隔管理方法は、管理対象施設を監視する監視センタ内又は巡回監視車内の監視担当者と、管理対象施設内の管理対象施設関係者が、有線ネットワーク又は無線ネットワークを利用して、相手方と音声通話等を行うことを可能にするものであった。
【特許文献1】特開2002−133559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の電工ドラムは、商用電源のコンセントから離れた場所で電気機器に対して電力を供給する目的でのみ使用されていた。また、電工ドラムが使用される工事現場では、電波の状態が悪いことが多いため、携帯電話を使うことができない場合があり、電気機器を使用する作業者と、建物内で作業する作業者の間での意思の疎通が図りにくいという問題があった。
また、特許文献1に記載されている遠隔管理方法では、監視担当者と管理対象施設関係者との間で、有線ネットワークを利用する場合には、予め有線ネットワークが敷設されている地点間でしか音声通話ができないという問題があった。一方、監視担当者と管理対象施設関係者との間で、無線ネットワークを利用する場合には、両者間に電波の状態の悪い区間があると、音声通話ができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気コードを敷設する区間の電波の状態が悪い場合であっても、作業者間で音声通話を行うことを可能とする電工ドラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ドラム本体に設けられるコンセントに接続される電気機器に対して、前記ドラム本体に接続される電気コードを介して電力を供給する電工ドラムであって、前記ドラム本体に設けられる第1の通信装置を有し、前記第1の通信装置は、音声の入出力を行う第1の音声入出力手段と、前記第1の音声入出力手段が入出力する音声についての音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により送受信する第1の電力線通信手段とを有することを特徴とする電工ドラムである。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、前記電気コードに接続される第2の通信装置を更に有し、前記第2の通信装置は、音声の入出力を行う第2の音声入出力手段と、前記第2の音声入出力手段が入出力する音声についての音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により前記第1の電力線通信手段との間で送受信する第2の電力線通信手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の電工ドラムである。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、ドラム本体に設けられるコンセントに接続される電気機器に対して、前記ドラム本体に接続される電気コードを介して電力を供給する電工ドラムであって、前記ドラム本体に設けられる第1の通信装置を有し、前記第1の通信装置は、無線通信により音声信号の送受信を行う第1の無線通信手段と、前記第1の無線通信手段が送受信する音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により送受信する第1の電力線通信手段とを有することを特徴とする電工ドラムである。
【0008】
また、請求項4に記載の発明は、前記電気コードに接続される第2の通信装置を更に有し、前記第2の通信装置は、無線通信により音声信号の送受信を行う第2の無線通信手段と、前記第2の無線通信手段が送受信する音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により前記第1の電力線通信手段との間で送受信する第2の電力線通信手段とを有することを特徴とする請求項3に記載の電工ドラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、電工ドラムのドラム本体に設けられる第1の音声入出力手段で入出力される音声信号を、ドラム本体に接続されている電気コードを利用して電力線通信による送受信を行うようにした。
これにより、電気コードを敷設する区間の電波の状態が悪く、無線通信を行うことができない場合であっても、電工ドラムを使用する作業者の間で、音声通話を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による電工ドラム1aの構成を示す斜視図である。この電工ドラム1aは、円板状の側板2a、2bそれぞれの中心が回転軸により接続されている。その回転軸には、円筒状の回転部3が回転可能なように取り付けられている。また、側板2bには、取手部4が取り付けられている。電工ドラム1aの利用者は、この取手部4を手で持つことにより、電工ドラム1aを容易に持ち運ぶことができる。また、側板2bには、支持部5が取り付けられている。この支持部5により、電工ドラム1aを安定させて地面に設置することができる。
【0011】
プラグ6は、電工ドラム1aの使用時に、建物の壁などに設けられている商用電源のコンセントに差し込まれる。これにより、電工ドラム1aには、コンセントから電力が供給される。電気コードc1は、数メートル〜数十メートルの長さのコードであり、導電性の金属線の周囲を絶縁性の材料で被覆されている。電気コードc1の一端はプラグ6により構成されており、電気コードc1の他端はドラム本体に接続されている。ドラム本体は、プラグ6とは逆側の電気コードc1の端が接続されている筐体(側板2a、2b、回転部3、取手部4、支持部5、コンセント7a、7bなど)をいう。電気コードc1は、回転部3を回転させることにより、回転部3の周囲に巻き付けて収納することができるようになっている。
【0012】
ここでは、側板2aにコンセントが2つ設けられている場合について説明するが、これに限定されるものではなく1つ又は3つ以上設けることも可能である。
電工ドラム1aのドラム本体には、通信装置10aが備え付けられている。また、プラグ6の近傍の電気コードc1からは、電気コードc2が分岐している。電気コードc2は、数メートルのコードであり、先端には通信装置10bが接続されている。通信装置10a、10bの具体的な構成については、図2を参照して説明する。
【0013】
図2は、本実施形態による電工ドラム1aの構成を示すブロック図である。通信装置10aは、音声入力部11a、電力線通信部12a、電力線接続部13a、音声出力部14a、電力供給部15aを有する。また、通信装置10bは、音声入力部11b、電力線通信部12b、電力線接続部13b、音声出力部14b、電力供給部15bを有する。
音声入力部11a(11b)は、マイクなどにより構成され、通信装置10a(10b)の周囲の音声に基づいて音声信号を生成し、電力線通信部12a(12b)に出力する。電力線通信部12a(12b)は、音声入力部11a(11b)から出力される音声信号を、数十(MHz)の高周波信号に変換して、電力線接続部13a(13b)に出力する。また、電力線通信部12a(12b)は、電力線接続部13a(13b)から出力される高周波信号を音声信号に変換し、音声出力部14a(14b)に出力する。
【0014】
電力線接続部13a(13b)は、電気コードc1(c2)に接続されている。電力線接続部13a(13b)は、建物などの壁に設けられている商用電源のコンセントからプラグ6に供給される50〜60(Hz)の周波数の交流電圧に対して、電力線通信部12a(12b)から出力される高周波信号を重畳した信号を、通信装置10b(10a)の電力線接続部13b(13a)に対して電力線通信により送信する。また、電力線接続部13a(13b)は、通信装置10b(10a)から信号を受信すると、その信号から交流電圧を取り出して、電力供給部15a(15b)に出力する。また、受信した信号から高周波信号を取り出して、電力線通信部12a(12b)に出力する。
【0015】
音声出力部14a(14b)は、スピーカなどにより構成され、電力線通信部12a(12b)から出力される音声信号に基づいて、音声を出力する。電力供給部15a(15b)は、建物の壁などに設けられる商用電源のコンセントから、プラグ6、電気コードc1(c2)を介して供給される電力を、通信装置10a(10b)を構成する音声入力部11a(11b)、電力線通信部12a(12b)、電力線接続部13a(13b)、音声出力部14a(14b)に電力を供給する。また、電力供給部15aは、コンセント7a、7bに対して電力を供給する。
【0016】
次に、本実施形態による電工ドラム1aの動作について説明する。
図3は、本実施形態による電工ドラム1aを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、電工ドラム1aのプラグ6が建物の壁などに設けられる商用電源のコンセントに接続され、電工ドラム1aに電力が供給されている場合について説明する。
始めに、音声入力部11a(11b)は、通信装置10a(10b)の周囲の音声を収音して、その音声に対応する音声信号を電力線通信部12a(12b)に出力する(ステップS11)。次に、電力線通信部12a(12b)は、音声入力部11a(11b)から出力された音声信号を、数(MHz)〜数十(MHz)の高周波信号に変換して、電力線接続部13a(13b)に出力する(ステップS12)。
【0017】
そして、電力線接続部13a(13b)は、50(Hz)〜60(Hz)の交流電圧に、電力線通信部12a(12b)から出力された高周波信号を重畳し、通信装置10b(10a)に電気コードc1、c2を介して送信する(ステップS13)。
電力線接続部13b(13a)は、電力線接続部13a(13b)から受信した信号から、高周波信号を取り出して、電力線通信部12b(12a)に出力する(ステップS14)。
そして、電力線通信部12b(12a)は、高周波信号を音声信号に変換して、音声出力部14b(14a)に出力する(ステップS15)。音声出力部14b(14a)は、電力線通信部12b(12a)から出力された音声信号に基づいて、音声を出力する(ステップS16)。
【0018】
上述した第1の実施形態による電工ドラム1aを使用すれば、電気コードc1が敷設される区間の電波の状態が悪く、携帯電話などの無線通信による音声通話ができない場合であっても、ドラム本体に取り付けられている通信装置10aと、プラグ6の近傍の電気コードc2に接続されている通信装置10bとの間で音声通話を行うことができる。
また、本実施形態による電工ドラム1aを使用すれば、プラグ6が接続される商用電源のコンセントから通信装置10a(10b)の音声入力部11a(11b)、音声出力部14a(14b)に電力が供給されるため、別途電力をそれらに供給する必要がなくなり、利用者の利便性を向上させることができる。
【0019】
図4は、本発明の第2の実施形態による電工ドラム1bの構成を示す斜視図である。本実施形態による電工ドラム1bが、第1の実施形態による電工ドラム1a(図1参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の電工ドラム1bは、通信装置10b、電気コードc2を有しない点において、第1の実施形態による電工ドラム1aと相違している。また、通信装置10cの機能が、第1の実施形態による通信装置10aと相違している。
【0020】
図5は、本実施形態による電工ドラム1bの構成を示すブロック図である。本実施形態による通信装置10cが、第1の実施形態による通信装置10a(図2参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の通信装置10cは、電力線接続部13cの機能が、第1の実施形態による電力線接続部13aと相違している。
つまり、電力線接続部13cは、建物などの壁に設けられている商用電源のコンセントからプラグ6に供給される50〜60(Hz)の周波数の交流電圧に対して、電力線通信部12aから出力される高周波信号を重畳した信号を、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に接続されている他の電工ドラム1bに対して電力線通信により送信する。また、電力線接続部13cは、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に接続されている他の電工ドラム1bから信号を受信すると、その信号から交流電圧を取り出して、電力供給部15aに出力する。また、受信した信号から高周波信号を取り出して、電力線通信部12aに出力する。
【0021】
次に、本実施形態による電工ドラム1bの動作について説明する。
図6(a)、(b)は、本実施形態による電工ドラム1bを使用する場合の処理の流れを示すフローチャート図である。ここでは、電工ドラム1bのプラグ6が建物の壁などに設けられる商用電源のコンセントに接続され、電工ドラム1bに電力が供給されている場合について説明する。
図6(a)は、商用電源の電力線に2台の電工ドラムが接続されている場合であって、一方の電工ドラムから他方の電工ドラムに対して電力線通信により音声信号を送信する場合を示している。
始めに、音声入力部11aは、通信装置10cの周囲の音声を収音して、その音声に対応する音声信号を電力線通信部12aに出力する(ステップS21)。次に、電力線通信部12aは、音声入力部11aから出力された音声信号を、数(MHz)〜数十(MHz)の高周波信号に変換して、電力線接続部13cに出力する(ステップS22)。
そして、電力線接続部13cは、50(Hz)〜60(Hz)の交流電圧の信号に、電力線通信部12aから出力された高周波信号を重畳し、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に接続されている他の電工ドラムに対して電力線通信により送信する(ステップS23)。
【0022】
図6(b)は、商用電源の電力線に2台の電工ドラムが接続されている場合であって、一方の電工ドラムが他方の電工ドラムから電力線通信により音声信号を受信する場合を示している。
始めに、電力線接続部13cは、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に接続されている他の電工ドラムから受信した信号から、高周波信号を取り出して、電力線通信部12aに出力する(ステップS24)。
そして、電力線通信部12aは、高周波信号を音声信号に変換して、音声出力部14aに出力する(ステップS25)。音声出力部14aは、電力線通信部12aから出力された音声信号に基づいて、音声を出力する(ステップS26)。
【0023】
上述した第2の実施形態による電工ドラム1bを使用すれば、電気コードc1が敷設される区間や、2台の電工ドラム1bが電力線を介して接続される区間の電波の状態が悪く、携帯電話などの無線通信による音声通話ができない場合であっても、2台の電工ドラム1bの間で音声通話を行うことができる。
また、本実施形態による電工ドラム1bを使用すれば、プラグ6が接続される商用電源のコンセントから通信装置10cの音声入力部11a、音声出力部14aに電力を供給するようにしたので、別途電力をそれらに供給する必要がなくなり、利用者の利便性を向上させることができる。
【0024】
図7は、本発明の第3の実施形態による電工ドラム1cの構成を示す斜視図である。本実施形態による電工ドラム1cが、第1、第2の実施形態による電工ドラム1a、1b(図1、図4参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の電工ドラム1cは、通信装置10d、10eの機能が、第1の実施形態による通信装置10a、10bと相違している。
【0025】
図8は、本実施形態による電工ドラム1cの構成を示すブロック図である。本実施形態による通信装置10d、10eが、第1の実施形態による通信装置10a、10b(図2参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の通信装置10dは、音声入力部11a、音声出力部14aの代わりに無線通信部16aを有する点において、第1の実施形態による通信装置10aと相違している。また、本実施形態の通信装置10eは、音声入力部11b、音声出力部14bの代わりに無線通信部16bを有する点において、第1の実施形態による通信装置10bと相違している。
【0026】
無線通信部16a(16b)は、アンテナなどにより構成され、通信装置10d(10e)の周辺にいる作業者等が使用するトランシーバなどの無線機T1(T2)との間で無線通信を行う。つまり、音声信号が乗せられた電波を無線機T1(T2)から受信し、音声信号を電力線通信部12a(12b)に出力する。また、電力線通信部12a(12b)から音声信号が出力されると、その音声信号を電波に乗せて、無線機T1(T2)に送信する。
【0027】
次に、本実施形態による電工ドラム1cの動作について説明する。
図9は、本実施形態による電工ドラム1cを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、電工ドラム1cのプラグ6が建物の壁などに設けられる商用電源のコンセントに接続され、電工ドラム1cに電力が供給されている場合について説明する。
始めに、無線通信部16a(16b)は、通信装置10d(10e)の周辺にいる作業者等が使用するトランシーバなどの無線機T1(T2)から送信される電波を受信して、その電波から音声信号を取り出し、電力線通信部12a(12b)に出力する(ステップS31)。図9のステップS32〜S34の処理については、図3のステップS12〜S14とそれぞれ同じであるため、それらの処理についての説明を省略する。
ステップS34の処理の後、電力線通信部12b(12a)は、高周波信号を音声信号に変換して、無線通信部16b(16a)に出力する(ステップS35)。無線通信部16b(16a)は、電力線通信部12b(12a)から出力された音声信号を電波に乗せて、通信装置10e(10d)の周辺にいる作業者等が使用するトランシーバなどの無線機T2(T1)に送信する(ステップS36)。
【0028】
上述した本実施形態による電工ドラム1cを使用すれば、電気コードc1が敷設される区間の電波の状態が悪く、携帯電話などの無線通信による音声通話ができない場合であっても、ドラム本体に取り付けられている通信装置10dと、プラグ6の近傍の電気コードc2に接続されている通信装置10eとの間で音声通話を行うことができる。
また、通信装置10dと無線機T1の間、通信装置10eと無線機T2の間の電波の状態が良ければ、作業者が通信装置10d、10eの近くにいない場合であっても、音声通話を行うことができる。
また、本実施形態による電工ドラム1cを使用すれば、プラグ6が接続されるコンセントから通信装置10d(10e)の無線通信部16a(16b)に電力を供給するようにしたので、別途電力をそれらに供給する必要がなくなり、利用者の利便性を向上させることができる。
【0029】
図10は、本発明の第4の実施形態による電工ドラム1dの構成を示す斜視図である。本実施形態による電工ドラム1dが、第1〜第3の実施形態による電工ドラム1a〜1c(図1、図4、図7参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態の電工ドラム1dは、通信装置10e、電気コードc2を有しない点において、第3の実施形態による電工ドラム1cと相違している。また、通信装置10fの機能が、第3の実施形態による通信装置10dと相違している。
【0030】
図11は、本実施形態による電工ドラム1dの構成を示すブロック図である。本実施形態による通信装置10fが、第1〜第3の実施形態による通信装置10a〜10e(図2、図5、図8参照)と同じ構成を採る部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
次に、本実施形態による電工ドラム1dの動作について説明する。
図12(a)、(b)は、本実施形態による電工ドラム1dを使用する場合の処理の流れを示すフローチャート図である。ここでは、電工ドラム1dのプラグ6が建物の壁などに設けられる商用電源のコンセントに接続され、電工ドラム1dに電力が供給されている場合について説明する。
図12(a)は、商用電源の電力線に2台の電工ドラムが接続されている場合であって、一方の電工ドラムから他方の電工ドラムに対して電力線通信により音声信号を送信する場合を示している。
始めに、無線通信部16aは、通信装置10fの周辺にいる作業者等が使用するトランシーバなどの無線機T1から送信される電波を受信して、その電波に含まれる音声信号を電力線通信部12aに出力する(ステップS41)。図12のステップS42、S43の処理については、図6(a)のステップS22、S23とそれぞれ同じであるため、それらの処理についての説明を省略する。
【0032】
図12(b)は、商用電源の電力線に2台の電工ドラムが接続されている場合であって、一方の電工ドラムが他方の電工ドラムから電力線通信により音声信号を受信する場合を示している。図12のステップS44、S45の処理については、図6(b)のステップS24、S25とそれぞれ同じであるため、それらの処理についての説明を省略する。ステップS45の後、無線通信部16aは、電力線通信部12aから出力された音声信号を電波に乗せて、通信装置10fの周辺にいる作業者等が使用するトランシーバなどの無線機T1に送信する(ステップS46)。
【0033】
上述した本実施形態による電工ドラム1dを使用すれば、電気コードc1が敷設される区間や、2台の電工ドラム1dが電力線を介して接続される区間の電波の状態が悪く、携帯電話などの無線通信による音声通話ができない場合であっても、2台の電工ドラム1dの間で音声通話を行うことができる。
また、通信装置10fと無線機T1の間の電波の状態が良ければ、作業者が通信装置10fの近くにいない場合であっても、音声通話を行うことができる。
また、本実施形態による電工ドラム1dを使用すれば、プラグ6が接続される商用電源のコンセントから通信装置10fの無線通信部16aに電力を供給するようにしたので、別途電力をそれらに供給する必要がなくなり、利用者の利便性を向上させることができる。
【0034】
なお、上述した第1、第3の実施形態による電工ドラム1b、1dを使用すれば、プラグ6を発電装置に接続することにより、電力会社が提供する商用電源のコンセントが近くにない場合であっても、通信装置10aと通信装置10bの間、通信装置10dと通信装置10eの間で音声通話を行うことができる。また、ビル等の建築物内で複数階にまたがって工事を行うような場合であっても、作業者間で音声通話を行いながら作業を進めることができる。
【0035】
なお、上述した第2の実施形態では、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に2台の電工ドラムを接続して、それらの電工ドラム間で音声通話を行う場合について説明したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、プラグ6が差し込まれるコンセントに繋がっている電力線に複数台の電工ドラムを接続して、ある電工ドラムから送信する音声信号を、他の全ての電工ドラムの音声出力部から出力するものや、あるいは、特定の1台の電工ドラムの音声出力部から出力するものであってもよい。
【0036】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態による電工ドラム1aの構成を示す斜視図である。
【図2】本実施形態による電工ドラム1aの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態による電工ドラム1aを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態による電工ドラム1bの構成を示す斜視図である。
【図5】本実施形態による電工ドラム1bの構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態による電工ドラム1bを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態による電工ドラム1cの構成を示す斜視図である。
【図8】本実施形態による電工ドラム1cの構成を示すブロック図である。
【図9】本実施形態による電工ドラム1cを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施形態による電工ドラム1dの構成を示す斜視図である。
【図11】本実施形態による電工ドラム1dの構成を示すブロック図である。
【図12】本実施形態による電工ドラム1dを使用する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1a〜1d・・・電工ドラム、2a、2b・・・側板、3・・・回転部、4・・・取手部、5・・・支持部、6・・・プラグ、10a〜10f・・・通信装置、11a、11b・・・音声入力部、12a、12b・・・電力線通信部、13a〜13c・・・電力線接続部、14a、14b・・・音声出力部、15a、15b・・・電力供給部、c1、c2・・・電気コード、T1、T2・・・無線機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム本体に設けられるコンセントに接続される電気機器に対して、前記ドラム本体に接続される電気コードを介して電力を供給する電工ドラムであって、
前記ドラム本体に設けられる第1の通信装置を有し、
前記第1の通信装置は、
音声の入出力を行う第1の音声入出力手段と、
前記第1の音声入出力手段が入出力する音声についての音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により送受信する第1の電力線通信手段と、
を有することを特徴とする電工ドラム。
【請求項2】
前記電気コードに接続される第2の通信装置を更に有し、
前記第2の通信装置は、
音声の入出力を行う第2の音声入出力手段と、
前記第2の音声入出力手段が入出力する音声についての音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により前記第1の電力線通信手段との間で送受信する第2の電力線通信手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の電工ドラム。
【請求項3】
ドラム本体に設けられるコンセントに接続される電気機器に対して、前記ドラム本体に接続される電気コードを介して電力を供給する電工ドラムであって、
前記ドラム本体に設けられる第1の通信装置を有し、
前記第1の通信装置は、
無線通信により音声信号の送受信を行う第1の無線通信手段と、
前記第1の無線通信手段が送受信する音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により送受信する第1の電力線通信手段と、
を有することを特徴とする電工ドラム。
【請求項4】
前記電気コードに接続される第2の通信装置を更に有し、
前記第2の通信装置は、
無線通信により音声信号の送受信を行う第2の無線通信手段と、
前記第2の無線通信手段が送受信する音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により前記第1の電力線通信手段との間で送受信する第2の電力線通信手段と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の電工ドラム。
【請求項1】
ドラム本体に設けられるコンセントに接続される電気機器に対して、前記ドラム本体に接続される電気コードを介して電力を供給する電工ドラムであって、
前記ドラム本体に設けられる第1の通信装置を有し、
前記第1の通信装置は、
音声の入出力を行う第1の音声入出力手段と、
前記第1の音声入出力手段が入出力する音声についての音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により送受信する第1の電力線通信手段と、
を有することを特徴とする電工ドラム。
【請求項2】
前記電気コードに接続される第2の通信装置を更に有し、
前記第2の通信装置は、
音声の入出力を行う第2の音声入出力手段と、
前記第2の音声入出力手段が入出力する音声についての音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により前記第1の電力線通信手段との間で送受信する第2の電力線通信手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の電工ドラム。
【請求項3】
ドラム本体に設けられるコンセントに接続される電気機器に対して、前記ドラム本体に接続される電気コードを介して電力を供給する電工ドラムであって、
前記ドラム本体に設けられる第1の通信装置を有し、
前記第1の通信装置は、
無線通信により音声信号の送受信を行う第1の無線通信手段と、
前記第1の無線通信手段が送受信する音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により送受信する第1の電力線通信手段と、
を有することを特徴とする電工ドラム。
【請求項4】
前記電気コードに接続される第2の通信装置を更に有し、
前記第2の通信装置は、
無線通信により音声信号の送受信を行う第2の無線通信手段と、
前記第2の無線通信手段が送受信する音声信号を、前記電気コードを介して電力線通信により前記第1の電力線通信手段との間で送受信する第2の電力線通信手段と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の電工ドラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−67609(P2007−67609A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248919(P2005−248919)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【Fターム(参考)】
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