説明

電柱標識板

【課題】歩行者等においても電柱の位置を容易に認識可能であり、安全性の向上した電柱標識板を提供すること。
【解決手段】本発明の電柱標識板1は、光を反射する反射部材21と、太陽光を電力に変換する太陽電池パネル22とを交互に配置して縞模様を形成するシート状の標識板本体2と、標識板本体2の裏面側に配置され、太陽電池パネル22により太陽光から変換された前記電力を蓄電する蓄電池3と、標識板本体2の下方側に配置され、蓄電池3により蓄電された電力により、標識板本体2よりも下方を照射する照射装置4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱の下部を照射する照射装置を備える電柱標識板に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電力会社や通信会社が所有する電柱のほとんどは、道路沿いに設置されている。そのため、狭い道路等においては、電柱が自動車の通行の妨げになり、例えば、夜間に電柱と自動車とが接触する事故を起こすおそれがある。
一方、道路には、公衆街路灯が設置されている。公衆街路灯は、夜間に点灯して道路等を照らすことにより、夜間に発生する接触事故等を防止する。例えば、自動車を運転するドライバーに歩行者や自転車の位置を認識させたり、道路沿いに設置された電柱の位置を認識させることにより、自動車と歩行者や電柱等との接触事故等を防止する。
【0003】
しかしながら、公衆街路灯は、すべての道路に設置されてはいない。例えば、公衆街路灯は、所定間隔毎に道路に設置されていたり、公衆街路灯が設置されていない道路もある。その場合、ドライバーは、暗い中で自動車を運転することとなり、道路沿いに設置された電柱の存在に気付くのが遅れるおそれがある。
【0004】
そのため、そのような道路に設置された電柱には、ドライバーに電柱の存在を認識させて注意を促すため、電柱標識板が装着される場合がある(例えば、特許文献1参照)。
電柱標識板は、通常、電柱の地上約2mの位置に装着されており、自動車のヘッドライトの光を反射することにより、ドライバーに電柱の位置を認識させ、自動車と電柱との接触事故を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平07−27244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電柱標識板は、自動車のヘッドライトのような強力な光を反射するのみの構成である。そのため、歩行者等は、夜間における電柱の存在及び位置を容易に認識することができない。その結果、歩行者等は、電柱の存在に気付くのが遅れる等により、電柱と接触して怪我をするおそれがある。
【0007】
本発明は、歩行者等が電柱の位置を容易に認識可能であり、安全性の向上した電柱標識板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光を反射する反射部材と、太陽光を電力に変換する太陽電池パネルとを交互に配置して縞模様を形成するシート状の標識板本体と、前記標識板本体の裏面側に配置され、前記太陽電池パネルにより前記太陽光から変換された前記電力を蓄電する蓄電池と、前記標識板本体の下方側に配置され、前記蓄電池により蓄電された前記電力により、前記標識板本体よりも下方を照射する照射装置と、を備える電柱標識板に関する。
【0009】
また、前記反射部材は、前記太陽電池パネルよりも前記標識板本体における表面側に突出するように配置されることが好ましい。
【0010】
また、前記照射装置は、所定の明るさを感知した場合に点灯することが好ましい。
【0011】
また、前記照射装置の光源は、発光ダイオードであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、歩行者等が電柱の位置を容易に認識可能であり、安全性の向上した電柱標識板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る電柱標識板を電柱に装着した状態を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る電柱標識板における標識板本体の一部を切り欠いて蓄電池の一部を露出させた状態を示す正面図である。
【図3】図2のA−A矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る電柱標識板1について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電柱標識板1を電柱10に取り付けた状態を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る電柱標識板1における標識板本体2の一部を切り欠いて蓄電池3の一部を露出させた状態を示す正面図である。図3は、図2のA−A矢視断面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る電柱標識板1は、電柱10の地上約1.5〜2mの位置に装着される。電柱標識板1の装着は、ステンレス製の固定バンド5a,5bを用いて行われる。具体的には、電柱標識板1を電柱10の外周面に沿って配置させた後、固定バンド5a,5bを電柱標識板1の両側に連結し、電柱10の外周面に沿って締め付ける。これにより、電柱標識板1は、電柱10に固定される。
【0016】
電柱標識板1は、反射部材21で自動車のヘッドライトの光を反射することにより、自動車を運転するドライバーに電柱10の位置を認識させて注意を促す。また、電柱標識板1は、照射装置4で電柱標識板1よりも下方を照らすことにより、歩行者等に電柱10の位置を認識させて注意を促す。
以下、電柱標識板1について詳述する。
【0017】
図2に示すように、本実施形態に係る電柱標識板1は、シート状の標識板本体2と、電力を蓄電する蓄電池3と、標識板本体2よりも下方側を照射する照射装置4と、を備える。
図3に示すように、標識板本体2は、ベース部材20と、複数の反射部材21と、複数の太陽電池パネル22と、を備える。
【0018】
ベース部材20は、複数の反射部材21と複数の太陽電池パネル22とを交互に配置して縞模様を形成するための基礎部分を構成する。
ベース部材20は、可撓性を有するシート状に形成されている。本実施形態においては、ベース部材20は、耐候性及び耐熱性に優れるポリエチレン樹脂により形成されている。また、ベース部材20は、矩形状に形成されている。ベース部材20の幅方向における長さは、電柱10に装着した場合に、電柱10の外周面の約半周を覆うことが可能な長さに形成されている。
【0019】
複数の反射部材21は、自動車のヘッドライト等の光を反射する。本実施形態においては、複数の反射部材21は、黄色に着色され、黄色の反射光を発する。
複数の反射部材21は、帯状に形成されている。複数の反射部材21は、所定間隔離間した状態でベース部材20の表面20aに並列に配置され、貼り付けられる。本実施形態においては、複数の反射部材21は、電柱標識板1を電柱10に装着した場合に、長手方向が鉛直方向となるようにベース部材20の表面20aに貼り付けられる。
【0020】
また、反射部材21は、太陽電池パネル22よりも標識板本体2における表面側に突出するように配置されている。具体的には、図3に示すように、反射部材21は、その表面(ベース部材20に貼り付けられる側と反対側の面)21aが標識板本体2の表面側に隆起している。反射部材21の頂点は、太陽電池パネル22の表面(ベース部材20に貼り付けられる側と反対側の面)よりも標識板本体2における表面側に突出している。
【0021】
複数の太陽電池パネル22は、太陽光を電力に変換して蓄電池3に出力する。
複数の太陽電池パネル22は、矩形状に形成されている。複数の太陽電池パネル22は、反射部材21と反射部材21との間に配置され、ベース部材20の表面20aに貼り付けられる。また、太陽電池パネル22は、ベース部材20の鉛直方向における上下端(反射部材21が配置されていない側の上下端)にも配置され、ベース部材20の表面20aに貼り付けられている。
【0022】
太陽電池パネル22は、太陽光から変換した電力を蓄電池3に出力するための正極(図示せず)及び負極(図示せず)を備える。また、複数の太陽電池パネル22は、直列に接続されている。
【0023】
以上のように、標識板本体2は、反射部材21と太陽電池パネル22とをベース部材20に交互に配置して縦縞模様を形成する。本実施形態においては、電柱標識板1は、黄色の反射部材21と黒色の太陽電池パネル22とにより、黄色と黒色の縦縞模様が形成されている。
【0024】
蓄電池3は、太陽電池パネル22から出力される電力を蓄電する。
蓄電池3は、可撓性を有するシート状に形成されており、標識板本体2の裏面20b側に配置されている。
蓄電池3は、正極(図示せず)及び負極(図示せず)を備える。蓄電池3の正極は太陽電池パネル22の正極に接続されている。また、蓄電池3の負極は太陽電池パネル22の負極に接続されている。
【0025】
照射装置4は、電柱標識板1よりも下方側である電柱10の根本近傍や電柱10と地面Gとの地際等を照射する。
照射装置4は、照射装置本体40と、発光ダイオード(図示せず)と、明るさセンサ(図示せず)と、を備える。
照射装置本体40は、下方側が開放した矩形箱状に形成されており、その内部に発光ダイオードや明るさセンサを収容する。
照射装置本体40は、ベース部材20の下方側に配置されており、ベース部材20の下方側において、ベース部材20の表面20aに貼り付けられている。
【0026】
発光ダイオードは、照射装置4における光源を構成する。つまり、発光ダイオードは、照射装置本体40の内部で発光することにより、ベース部材20の下方側から電柱10の根本近傍や電柱10と地面Gとの地際等を照射する。
なお、発光ダイオードは、蓄電池3と電気的に接続されており、蓄電池に蓄電された電力により発光するように構成されている。
【0027】
明るさセンサは、所定の明るさを感知した場合に発光ダイオードを発光させる。
明るさセンサは、センサ部(図示せず)と、スイッチ部(図示せず)とを備える。センサ部は、所定の明るさを感知する。例えば、電柱10の周囲が所定の明るさ以下であることを感知する。スイッチ部は、蓄電池3と発光ダイオードとの間に接続されており、センサ部が所定の明るさを感知した場合に蓄電池3と発光ダイオードとを電気的に接続する。
【0028】
次に、本実施形態に係る電柱標識板1の作用について説明する。
電柱標識板1に太陽光が照射すると、標識板本体2の太陽電池パネル22が太陽光を電力に変換する。そして、太陽電池パネル22は、変換した電力を蓄電池3に出力する。太陽電池パネル22が電力を出力すると、蓄電池3は、太陽電池パネル22から出力された電力を蓄電する。
【0029】
また、電柱標識板1に太陽光が照射すると、標識板本体2の反射部材21が太陽光を乱反射する。ここで、反射部材21は、太陽電池パネル22の表面よりも標識板本体2における表面側に突出するように配置されている。反射部材21の表面21aは、ベース部材20の表面20aから標識板本体2の表面側に隆起している。そのため、反射部材21で乱反射した太陽光の一部は、太陽電池パネル22に照射される。これにより、太陽電池パネル22は、直接照射された太陽光と、反射部材21を介して乱反射により照射された太陽光と、を電力に変換し、蓄電池3に出力する。太陽電池パネル22により出力された電力は、蓄電池3に蓄電される。
【0030】
電柱標識板1が装着された電柱10の周りが暗くなり、明るさセンサのセンサ部が所定の明るさ(規定の明るさ以下であること)を感知すると、スイッチ部は、発光ダイオードと蓄電池3とを電気的に接続する。蓄電池3には、太陽電池パネル22から出力された電力が蓄電されている。これにより、発光ダイオードと蓄電池3とを電気的に接続すると、照射装置本体40の内部に収容された発光ダイオードが発光する。その結果、電柱標識板1の装着された電柱10の根本近傍や電柱10と地面Gとの地際が発光ダイオードにより照射され、夜間でも電柱10の周りが明るくなる。
【0031】
同様に、夜間走行中の自動車のヘッドライトの光が電柱標識板1に照射すると、標識板本体2の反射部材21が自動車のヘッドライトの光を反射して、ドライバーに注意を促す。
【0032】
一方、電柱標識板1が装着された電柱10の周りが明るくなり、明るさセンサのセンサ部が所定の明るさ(規定の明るさ以下であること)を感知しなくなる(規定の明るさ以上になる)と、スイッチ部は、発光ダイオードと蓄電池3との電気的な接続を解除する。これにより、照射装置本体40の内部に収容された発光ダイオードが発光しなくなる。つまり、照射装置4による電柱標識板1の装着された電柱10の根本近傍や電柱10と地面Gとの地際への照射が終了する。
【0033】
以上のような構成を有する本実施形態に係る電柱標識板1によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態に係る電柱標識板1は、電柱標識板1よりも下方側を照射する照射装置4を備える。そのため、例えば、公衆街路灯がない道路においても、歩行者等に容易に電柱を認識させ、注意を促すことができる。これにより、例えば、歩行者が電柱の存在に気付くのが遅れる等により、電柱と接触して怪我をすることを抑制することできる。その結果、例えば、自動車のヘッドライトの光を反射する反射部材のみが設けられている電柱標識板よりも安全性を向上させることができる。
【0034】
また、照射装置4で電柱10の周りを照射することにより、夜間における電柱10の周域の治安を向上させることができる。その結果、このような道路を歩行する歩行者に安心感を与えることができる。
【0035】
また、電柱標識板1は、太陽光を電力に変換する太陽電池パネル22と、太陽電池パネル22により変換された電力を蓄電する蓄電池3と、を備える。そのため、照射装置4を照射させるための電力源を別途設けることなく設置することができる。
【0036】
また、上述のような効果を奏することより、例えば、電柱10が通行の妨げになる等の理由による電柱10の移設工事を減少させることができる。その結果、無駄な工事等を削減することにより、電気料金の低料金化が期待できる。
【0037】
また、反射部材は、反射部材21の表面21aは、太陽電池パネル22の表面よりも標識板本体2の表面側に突出している。そのため、反射部材21で乱反射した太陽光の一部を太陽電池パネル22に照射することができる。これにより、太陽電池パネル22は、直接照射された太陽光と、反射部材21を介して乱反射により照射された太陽光と、を電力に変換し、蓄電池3に出力することができる。
【0038】
また、照射装置4は、所定の明るさを感知した場合に発光ダイオードを点灯させる明るさセンサを備える。そのため、必要なとき(暗くなったとき)にのみ発光ダイオードを点灯させることができ、蓄電池3に蓄電される電力の消費を抑えることができる。
【0039】
また、照射装置4の光源には、消費電力の少ない発光ダイオードが用いられる。そのため、太陽電池パネル22により変換された電力が少ない場合においても、発光ダイオードを発光させることができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0041】
例えば、本実施形態においては、明るさセンサのセンサ部が規定の明るさ以下であることを感知すると、スイッチ部が発光ダイオードと蓄電池3とを電気的に接続するが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、明るさセンサは、規定の明るさ以上であることを感知すると、スイッチ部が発光ダイオードと蓄電池3との接続を解除する構成であってもよい。
【0042】
また、本実施形態においては、蓄電池3は、可撓性を有するシート状のものを用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、蓄電池3は、箱状のものであってもよい。蓄電池3は、標識板本体2の裏面20b側に配置可能であればよい。
【符号の説明】
【0043】
1 電柱標識板
2 標識板本体
3 蓄電池
4 照射装置
10 電柱
20 ベース部材
21 反射部材
22 太陽電池パネル
40 照射装置本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を反射する反射部材と、太陽光を電力に変換する太陽電池パネルとを交互に配置して縞模様を形成するシート状の標識板本体と、
前記標識板本体の裏面側に配置され、前記太陽電池パネルにより前記太陽光から変換された前記電力を蓄電する蓄電池と、
前記標識板本体の下方側に配置され、前記蓄電池により蓄電された前記電力により、前記標識板本体よりも下方を照射する照射装置と、
を備える電柱標識板。
【請求項2】
前記反射部材は、前記太陽電池パネルよりも前記標識板本体における表面側に突出するように配置される請求項1に記載の電柱標識板。
【請求項3】
前記照射装置は、所定の明るさを感知した場合に点灯する請求項1又は2に記載の電柱標識板。
【請求項4】
前記照射装置の光源は、発光ダイオードである請求項1から3のいずれかに記載の電柱標識板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−113782(P2011−113782A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268381(P2009−268381)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】