電極/組織接触評価スキームおよび心電図フィルタリングを有するRF除去装置および方法
【課題】一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法。
【解決手段】前記生物学的液体中に前記除去電極を配置するステップと;参照電極を、前記第一の電極から離間させて配置するステップと;第一の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップと;第二の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップとを含む。前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスの間の差分パーセントは、電極/組織接触の状態の指標を与える。
【解決手段】前記生物学的液体中に前記除去電極を配置するステップと;参照電極を、前記第一の電極から離間させて配置するステップと;第一の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップと;第二の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップとを含む。前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスの間の差分パーセントは、電極/組織接触の状態の指標を与える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、生物学的組織にエネルギーを与えるための電気生理学的(「EP」)装置および方法に関し、更に特定すれば、除去電極と生物学的組織との間の接触の充分さを評価するためのEP装置および方法に関する。また、本発明は、生物学的組織にエネルギーを与えると同時に、該組織内の電気的活性をモニターするための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康な人間における心臓の鼓動は、右心房の壁に位置する洞房結節(「S-A結節」)によって制御される。このS-A結節は電気信号電位を発生し、これは心房内の導電性心臓組織の経路を通って房室結節(「A-V結節」)へと伝達され、次に該A-V結節は、Hisおよびプルキンエ導電性組織により、心室の全体に電気信号を伝達する。導電性組織の不適正な増殖または損傷は、S-A結節およびA-V結節からの規則的な電気信号の伝達を妨害する可能性がある。このような妨害から生じる電気信号の不規則性は、心臓の正常なリズムを乱し、心不整脈と称される異常な律動症状を起こす可能性がある。
【0003】
坑不整脈剤の適応を含む心不整脈の種々の治療法があるが、多くの症例において、損傷を受けた組織の除去は心臓の正しい動作を回復することができる。このような除去は皮下除去によって行うことができ、この処置では、単一または複数の診断、治療、および/または外科的処置を行うために、カテーテルが皮下的に患者の中に導入され、動脈を通して心臓の心房または心室に向けられる。このような場合、除去処置は、不整脈を起こす組織を破壊して電気信号の不規則性を排除し、または導電性組織ブロックを形成して正常な心臓の鼓動を修復し、または少なくとも心臓の鼓動を改善するために使用される。不整脈開始部位において、導電性組織が首尾良く除去されると、通常は不整脈が終結し、または少なくとも心臓の律動は許容可能なレベルにまで緩和される。不整脈のための広く受入れられている治療法には、導電性組織へのRFエネルギーの印加が含まれる。
【0004】
心房細動(「AF」)の場合、Cox et al.によって発行された「迷路処置」として知られる処置には、心房性再入を防止して、洞性活動電位が全体の心筋を活性化させることを可能にするための、連続的な心房切開が含まれる。この処置は成功することが認められているが、本来的に侵襲的なアプローチを含んでいる。RF除去療法を提供する適切なEPカテーテルシステムを使用する等、侵襲の小さいアプローチを使用することによって、迷路処置と同じ結果を達成することが望ましい。この療法では、再入を防止して全体の心筋を活性化するために、心房に経壁除去破壊が形成される。
【0005】
心臓組織にRFエネルギーを印加する二つの一般的方法、即ち、単極性の方法および二極性の方法が存在する。単極性の方法では、戻り電極として働く大表面積の電極、例えばバックプレートが、患者の胸部、背中または他の外部位置に配置される。このバックプレートは、通常はカテーテルを介して心臓の中に導入され且つ異常な導電性組織と密着して配置される一以上の電極と共に、電気回路を完成する。二極性法では、心臓の中に導入された複数の電極が異なる電位を有し、それらの間で電気回路を完成する。二極性法において、カテーテルの二つの電極間に伝達される電流が組織に除去を生じさせる。
【0006】
除去の間、電極は標的の心臓内組織に密着して配置される。標的組織の温度を生存不可状態にまで上昇させるために、RFエネルギーが電極に印加される。一般に、生存組織と非生存組織との間の温度境界は略48℃である。48℃を越える温度に加熱された組織は生存できなくなり、除去容積を画定する。その目的は、一般には37℃である組織温度を、48℃を越える除去温度にまで均一に上昇させる一方、組織表面温度および電極温度の両者を100℃未満に維持することである。
【0007】
効果的な経壁破壊を生じさせるためには、電極が組織と密着することを保証することが必要である。これら電極の配置は透視撮像の下で目視により行われ、従って、医師の訓練および経験に大きく依存する。充分な電極/組織接触の評価は、やや技術的および検証的な問題であり、現在のところ、典型的には除去の前後の心電図(「ECG」)分析によって推測されている。
【0008】
電極/組織接触の指標としてインピーダンスを使用することが、心室性不整頻脈のような限局性不整脈の治療において報告されている。これらの処置では、単一の組合せ除去/インピーダンス測定チップ電極カテーテルを備えたカテーテルが、心臓内の局部的血液プールの中に挿入され、インピーダンス測定が行われる。次いで、該チップ電極は除去位置に配置され、電極チップが心臓組織の中に深く押し込まれるように、カテーテルの軸に沿って力が加えられる。次いで、インピーダンス測定が行われ、血液のインピーダンスと比較される。後で行われるこのインピーダンス測定は、「接触評価」インピーダンスと称される。血液プールインピーダンスに対する接触評価インピーダンスの顕著な増大は、チップ電極が心臓組織と接触していることの指標として働く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この処置において、インピーダンスの顕著な増加は、チップ電極が心臓組織の中に深く押し込まれて、血液ではなく組織に大きく取囲まれる事実によるものと認められる。この電極/組織接触の評価技術は、限局的不整脈の治療には効果的であるが、心房細動のような非限局的不整脈の治療にはそれほど有効ではない。心房細動の除去療法には、経壁線形破壊の形成が含まれることが多い。この形態の除去療法においては、帯状電極の線形アレイが心房壁に当接して配置される。この帯状電極はある程度の力で組織に当接して保持されるが、帯状電極の一部は血液プール内に残留する傾向にある。帯状電極の一部に当接する血液の存在は、インピーダンス測定に悪影響を及ぼし、血液プールインピーダンスと接触評価インピーダンスとの間の有意差を減少させる。従って、組織の中に押し込まれるチップ電極の使用に依存する上記の電極/組織接触評価技術は、線形除去療法のためには有効でない。この公知の技術は、呼吸および心臓収縮に起因した電極の移動によって生じ得るインピーダンス測定の変動を説明しないので、線形除去のためには有効でない。
【0010】
先に述べたように、現在の除去処置では、除去療法が完了したら、心電図(「ECG」)分析によって該治療の効果が確認される。除去療法は、予め特定された時間の除去エネルギーが印加されたときに完了する。除去療法が完了したら、除去電極は除去エネルギー源から切断され、ECG増幅器/記録器に再接続される。ECC増幅器/記録器は、除去電極を介して心臓から電気的データを収集する。ECG増幅器/記録器は、この電気的データを分析して、心臓組織、特に除去された組織を介した電気的活性を示す信号を生じる。この除去の有効性を評価する現在の技術は、除去結果を評価する前に除去療法が完了することを必要とし、更に除去電源からECG増幅器/記録器への物理的切替えを必要とする点において不便である。
【0011】
従って、当業者は、生物学的組織と、該組織に当接して配置されるが完全に組織で取囲まれることを必要としない除去電極との間の、接触の充分さを評価するための装置および方法の必要性を認識している。また、生物学的組織に除去エネルギーを与えると同時に、組織内の電気的活性をモニターするための装置および方法についての必要性も認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
簡略に且つ一般的に言えば、本発明は、除去電極と生物学的組織との間の接触の充分差を評価するための装置および方法に向けられている。本発明はまた、生物学的組織にエネルギーを与えると同時に、該組織内の電気的活性をモニターするための装置および方法に向けられている。
【0013】
第一の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法に関する。この方法は、生物学的液体中に除去電極を配置するステップと;参照電極を、前記第一の電極および生物学的組織から離間させて配置するステップと;前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することによって、参照インピーダンス値を得るステップとを含む。この方法は更に、除去電極を、前記生物学的組織に接触させる必要はないが、その「近接した」位置、即ち、前記生物学的組織の近傍またはこれに隣接した位置に移動させるステップと;前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンス値を得るステップと;該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む。
【0014】
更に詳細な側面において、前記評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンス間の差分パーセントを計算するステップを含む。更に、電極/組織接触の状態を指示するステップは、前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;前記差分パーセントが5%〜10%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む。もう一つの小側面において、前記参照インピーダンス値は、所定の時間内に得られた複数の参照インピーダンス値の平均である。更にもう一つの小側面において、前記評価インピーダンス値は、所定の時間内に得られた複数の評価インピーダンス値の平均である。更にもう一つの小側面において、当該方法は更に、評価インピーダンス値を得る前に、電気絶縁体を除去電極に対して配置するステップを含んでおり、前記除去電極が前記生物学的組織の近傍にあるときには、前記電極が、前記電気絶縁体と前記組織との間に介在されるようになっている。
【0015】
第二の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される複数の除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法に関する。この方法は、前記複数の除去電極を前記生物学的液体の中に配置すること;第一の参照電極を、前記複数の除去電極および前記生物学的組織から離間させて配置すること;および少なくとも一つの除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、参照インピーダンス値を得るステップを含む。この方法はまた、前記複数の除去電極を前記生物学的組織に近接した位置に移動させるステップと;夫々の除去電極について、第二の参照電極を除去電極および生物学的組織から離間して配置し、また除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンスを得るステップと;該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む。
【0016】
第三の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される複数の除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法に関する。この方法は、前記複数の除去電極を前記生物学的液体の中に配置すること;第一の参照電極を、前記複数の除去電極および前記生物学的組織から離間させて配置すること;および少なくとも一つの除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、参照インピーダンス値を得るステップを含む。この方法は更に、前記複数の除去電極を前記生物学的組織に近接した位置に移動させるステップと;選択された除去電極対の間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンス値を得るステップと;該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む。
【0017】
第四の側面において、本発明は、除去電極と、生物学的液体を有する運動する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法に関する。この方法は、前記除去電極を前記生物学的組織に近接して配置するステップと;参照電極を前記除去電極から離間して配置し、前記除去電極に、前記器官の幾つかの運動を誘導するのに十分な時間だけ信号を印加するステップとを含む。この方法は更に、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを前記時間に亘って周期的に測定することにより、一連のインピーダンス値を得ることと、電極/組織接触を示す変動について、前記一連のインピーダンス値をモニターするステップとを含む。
【0018】
より詳細な側面においては、前記電極/組織接触を示す変動について前記一連のインピーダンス値をモニターするステップは、複数の前記インピーダンス値に基づいて平均インピーダンス値を得るステップと、前記平均インピーダンスに対する前記インピーダンス値の標準偏差を計算するステップと、「偏位パーセント」を計算するステップとを含む。偏位パーセントは、平均インピーダンスに対するパーセントで表された標準偏差である。更に、偏位パーセントが少なくとも略2%であるときには、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;偏位パーセントが略1%〜2%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;偏位パーセントが略1%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップが含まれる。
【0019】
第五の側面において、本発明は、除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法に関する。この方法は、前記除去電極を前記生物学的組織に近接して配置するステップと;参照電極を、前記除去電極から離間させて配置するステップと;第一の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定し、また第二の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するするステップとを含む。この方法は更に、前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップと、電極/組織接触の状態を指示するステップを含む。
【0020】
より詳細な側面において、前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップは、この二つのインピーダンス間の差分パーセントを計算するステップを含む。更に、電極/組織接触の状態を指示するステップは、前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;前記差分パーセントが5%〜10%であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む。もう一つの側面において、前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンスの比を計算するステップと、この比を既知の値と比較するステップとを含む。また、電極/組織接触の状態を指示するステップは、前記比が前記既知の値に略等しいときには、電極/組織接触がないことを指示するステップと;前記比が前記既知の値から略±0.1〜±0.15の量だけ偏位するときには、少なくとも一部の電極/組織接触を指示するステップと;前記比が前記既知の値から略±0.15よりも大きい量だけ偏位するときには、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップとを含む。
【0021】
第六の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置に関する。この装置は、出力として前記除去電極への駆動信号および参照電位を与える信号発生装置と、前記除去電極から離間し且つ前記参照電位に応答する参照電極とを含む。この装置は更に、前記除去電極が前記生物学的液体の中に位置するときには、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す参照インピーダンスを与え、また前記除去電極が前記生物学的組織に近接して位置するときには、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す評価インピーダンスを与えるためのインピーダンス測定装置と;前記参照インピーダンスおよび前記評価インピーダンスの信号に応答して、これらインピーダンス信号を分析し、電極/組織接触の状態を示すためのプロセッサとを含む。
【0022】
第七の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置に関する。この装置は、出力として前記除去電極への駆動信号および参照電位を与える信号発生装置と、前記除去電極から離間し且つ前記参照電位に応答する参照電極とを含む。この装置は更に、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す一連の評価インピーダンス値を与えるためのインピーダンス測定装置と、前記一連の評価インピーダンス信号に応答して、電極/組織接触を示す変動について前記一連のインピーダンス値をモニターするためのプロセッサとを含む。
【0023】
第八の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置に関する。この装置は、出力として、参照信号、および第一の時間内には前記除去電極への第一の駆動信号を与える信号発生装置を含み、前記第一の駆動信号は第一の振幅および第一の周波数を有する。また、前記信号発生装置は、第二の時間内には、前記除去電極への第二の駆動信号を出力として与え、該第二の駆動信号は第二の振幅および第二の周波数を有する。この装置は更に、前記第一の電極から離間し且つ前記参照信号に応答する参照電極と;出力として、第一の時間内には、前記除去電極と参照電極との間のインピーダンスを示す第一の評価インピーダンス信号を発生すると共に、第二の時間内には、前記第一および第二の電極の間のインピーダンスを示す第二の評価インピーダンス信号を発生するためのインピーダンス測定装置と;前記第一および第二の評価インピーダンス信号に応答して、これらインピーダンスを電極/組織接触を示す予め定められた値と比較するためのプロセッサとを含む。
【0024】
第九の側面において、本発明は、少なくとも一つの電極を有する電極装置を通して、生物学的組織に除去エネルギーを与えると共に、該組織の電気的活性をモニターする方法に関する。この方法は、少なくとも一つの電極を組織に近接して配置するステップと;第一のリードを介して前記少なくとも一つの電極に高周波成分を含む除去電力を印加するステップと;前記電極から前記第一のリードを通して、前記組織中の電気的活性を示すフィードバック信号を受信するステップとを含む。この方法はまた、何れかの高周波成分を除去するために前記フィードバック信号をフィルターするステップと、該フィルターされたフィードバック信号を、第二のリードを介して機器に与えるステップとを含む。
【0025】
第十の側面において、本発明は、生物学的組織に近接して配置された少なくとも一つの電極を有する電極装置を通して、前記組織に除去電力を与えるための装置に関する。この装置は、高周波成分を有する除去電力を生じるための発生器と;高周波フィルタと;前記少なくとも一つの電極および前記フィルタに除去電力を与えるための第一のリードとを含み、該第一のリードは更に、前記電極からのフィードバック信号を前記フィルタに与え、また第二のリードがフィルタ出力を器具に与える。
【0026】
第十一の側面において、本発明は、夫々が高周波成分を有する複数の除去電力信号を生じる発生器と;複数の高周波フィルタと;複数の電極を有する電極装置と;夫々が前記電極の一つおよび前記フィルタの一つに一つの除去電力信号を与える複数の第一のリードであって、該第一のリードは更に、前記電極からのフィードバック信号を前記フィルタに与える第一のリードと;それぞれが前記機器に第一の出力を与える複数の第二のリードとを含む装置に関する。
本発明のこれらの側面および利点は、本発明の特徴を実施例として示す、以下の詳細な説明および添付の図面から明かになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、心電図(「ECG」)フィルターシステムを備えた電力制御システム(「PCS」)、接触評価装置(「CAD」)カテーテルシステムおよびバックプレートを含む除去装置の概略ブロック図である。
【図2】図2は、ハンドルと、電極の線形アレイをもつプリフォームされた先端セグメントとを有するカテーテルシースを含む、図1のカテーテルシステムの図である。
【図3】図3は、図2の先端セグメントの一部を示す詳細な概略ブロック図であり、チップ電極および幾つかの帯状電極を図示している。
【図4−1】図4−1は、位相角度制御、デューティーサイクル制御、並びにインピーダンスおよび温度モニター回路を含むPCSと、矩形波調節、電流検知およびリレー制御回路を含むCADとの詳細を与えるブロック図を形成している。
【図4−2】図4−2は、位相角度制御、デューティーサイクル制御、並びにインピーダンスおよび温度モニター回路を含むPCSと、矩形波調節、電流検知およびリレー制御回路を含むCADとの詳細を与えるブロック図を形成している。
【図5−1】図5−1は、多重チャンネル除去装置の図を形成しており、ここでは単一のPCSマイクロプロセッサが、各チャンネルへの除去エネルギーの印加を個別に制御し、また単一のCADマイクロプロセッサが、選択された電極および/またはバックプレートの間のインピーダンスのモニタリングを制御する。
【図5−2】図5−2は、多重チャンネル除去装置の図を形成しており、ここでは単一のPCSマイクロプロセッサが、各チャンネルへの除去エネルギーの印加を個別に制御し、また単一のCADマイクロプロセッサが、選択された電極および/またはバックプレートの間のインピーダンスのモニタリングを制御する。
【図6A】図6Aは、図6B、6C、6D、6Eおよび6Fがどのように関係しているかを示している。
【図6B】図6Bは、ECGフィルタを含むPCSの実施例の概略図を形成している。
【図6C】図6Cは、ECGフィルタを含むPCSの実施例の概略図を形成している。
【図6D】図6Dは、ECGフィルタを含むPCSの実施例の概略図を形成している。
【図6E】図6Eは、ECGフィルタを含むPCSの実施例の概略図を形成している。
【図6F】図6Fは、ECGフィルタを含むPCSの実施例の概略図を形成している。
【図7−1】図7−1は、CADの実施例の概略ブロック図を形成している。
【図7−2】図7−2は、CADの実施例の概略ブロック図を形成している。
【図8a】図8aは、生物学的部位内に配置されて局部的血液プールの中に浮いている、図2のカテーテルシステムの先端セグメントを示す図である。
【図8b】図8bは、生物学的部位内で生物学的組織に近接して配置されて、殆どの電極が血液プール内にある、図2のカテーテルシステムの先端セグメントを示す図である。
【図8c】図8cは、生物学的部位内で生物学的組織に近接して配置されて、各電極が組織に密着している、図2のカテーテルシステムの先端セグメントを示す図である。
【図9a】図9aは、電気的に絶縁性であるが熱伝導性の材料で部分的にコートされた完全な環状の帯状電極を有する、カテーテルシステムの先端セグメントの一部を示す図である。
【図9b】図9bは、曲面の外径上に配置された半環状の帯状電極を有する、カテーテルシステムの先端セグメントの一部を示す図である。
【図9c】図9cは、帯状電極を部分的に取囲む絶縁材料からなる外部シースを有する、カテーテルシステムの先端セグメントの一部を示す図である。
【図10A】図10Aは、生物学的部位と接触した帯状電極の線形アレイを有し、前記生物学的部位の対向側にはバックプレートを有する除去装置の三次元図であり、該線形アレイにおける隣接する電極間の位相角度差はゼロ度である。
【図10B】図10Bは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の深さを描いており、該装置が複数の電極を備えた単極性装置として作用すること、および得られる破壊が不連続であることを示している。
【図10C】図10Cは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の深さを描いており、該装置が複数の電極を備えた単極性装置として作用すること、および得られる破壊が不連続であることを示している。
【図10D】図10Dは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の深さを描いており、該装置が複数の電極を備えた単極性装置として作用すること、および得られる破壊が不連続であることを示している。
【図11A】図11Aは、生物学的部位と接触した帯状電極の線形アレイを有し、前記生物学的部位の対向側にはバックプレートを有する除去装置の三次元図であり、該線形アレイにおける隣接する電極間の位相角度差は180°である。
【図11B】図11Bは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、該装置が二極性装置として働く複数の電極を備えた単極性装置として作用し、バックプレートには有意な量の電流が流れないことを示している。
【図11C】図11Cは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、該装置が二極性装置として働く複数の電極を備えた単極性装置として作用し、バックプレートには有意な量の電流が流れないことを示している。
【図11D】図11Dは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、該装置が二極性装置として働く複数の電極を備えた単極性装置として作用し、バックプレートには有意な量の電流が流れないことを示している。
【図12A】図12Aは、生物学的部位と接触した帯状電極の線形アレイを有し、前記生物学的部位の対向側にはバックプレートを有する除去装置の三次元図であり、該線形アレイにおける隣接する電極間の位相角度差は90°である。
【図12B】図12Bは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図11Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、位相角度差から生じるより大きな深さの破壊を示している。
【図12C】図12Cは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図11Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、位相角度差から生じるより大きな深さの破壊を示している。
【図12D】図12Dは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図11Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、位相角度差から生じるより大きな深さの破壊を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面を参照すると、そこでは幾つかの図面の間で、同様のまたは対応する要素を指定するために同様の参照番号が使用されており、図1には、生物学的部位、例えば心臓における心房または心室の除去療法に使用するための装置10が示されている。この装置10は、電力制御システム12、接触評価装置(「CAD」)14、一対のバックプレート16、およびカテーテルシステム18を含んでいる。カテーテルシステム18は、ハンドル20、および先端セグメント24を有する操縦可能なカテーテルシース22を含んでいる。先端セグメント24は、少なくとも一つの電極(図示せず)を担持している。先端セグメント24は、皮下的に生物学的部位の中に導入されることができる。
【0029】
電力制御システム12は、電力発生器26を具備しており、これはそれが電力またはドライブ28を与える幾つかの数の出力チャンネルを有していてもよい。電力発生器26の動作は、制御信号32を電力発生器26へ出力するコントローラ30によって制御される。コントローラ30は、電力発生器26によって与えられる電力28をモニターする。加えて、コントローラ30はまた、カテーテルシステム18から温度信号34を受取る。電力28および温度信号34に基づいて、コントローラ30は電力発生器26の動作を調節する。
【0030】
電力28はCAD 14に入力され、また電力制御システム12内に含まれる心電図(ECG)に入力される。以下で更に説明するように、ECGフィルターシステム36は、電力28をフィルターして、ECG分析のためのECG信号を与える。このECGフィルターシステム36は、ECG信号38を接触評価装置14へ出力する。次いで、ECG信号38はECG増幅器(図示せず)に送られる。接触評価装置14は、カテーテルシステム18に電力を与える。CAD 14はまた、バックプレート16から電力発生器26への戻り経路を与える。以下で更に説明するように、CAD 14は、カテーテルシステム18からのデータを収集し、それをコントローラ30に与える。このデータ42を用いて、カテーテルシステム18の電極(図示せず)と、除去すべき生物学的組織との間の接触の充分さが評価される。
【0031】
図2および図3に示すように、カテーテルシステム18の先端セグメント24は、電極装置44(図3)を含んでいる。電極装置44は、概略的な形態で示されており、部品は、部品間の関係をより明瞭に示すように描かれている。電極装置44の好ましい実施例は、カテーテルシース22の先端セグメント24に沿って実質的に線形アレイに配列された、12個の帯状電極46を含んでいる。電極装置44は、チップ電極48を含んでいてもよい(図示を明瞭にするために、図3には四つの帯状電極46だけが示されているが、上記で述べたように、好ましい実施例はより多くの電極を含むことができる)。帯状電極46は、隣接する電極間にスペース50が存在するように配置される。電極装置44の一つの構成において、帯状電極46の幅は3 mmであり、これら電極の間のスペース50は4 mmである。電極装置44の全長は、それ自体、略8 cmである。
【0032】
帯状電極46の配置は線形アレイに限定されず、他のパターンの形態をとってもよい。典型的には長さ4〜8 cmの破壊が望まれる心房細動の治療のような、一定の治療処置については実質的に線形のアレイが好ましい。線形アレイは、カテーテルシース22によってより容易に担持され、またカテーテルのサイズを小さくする。
【0033】
帯状電極46は、除去すべき生物学的組織よりも顕著に高い熱伝導性を有する材料で形成される。可能な材料には、銀、金、クロム、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニッケル、白金、および白金/10%イリジウムが含まれる。帯状電極46と組織との間の熱伝導性の差のために、該電極は、生物学的部位の流れる液体中でより迅速に冷却される。電極の冷却を可能にすると同時に、組織の温度が除去を生じる温度になるように、帯状電極46に供給される電力を除去の間に調節してもよい。帯状電極46は、心臓の中の液体、例えば血液との接触に利用可能な表面積が、電極から周囲の血液への効果的な熱の散逸を可能にするために充分であるようなサイズである。好ましい実施例において、電極46は7フレンチ(直径2.3 mm)で長さ3 mmである。
【0034】
電極装置44には、その長さに沿った種々の点において、電極装置44の温度をモニターするための熱センサ52が結合されている。一実施例において、各帯状電極46はこれに装着された熱センサ52を有している。各熱センサ52は、温度信号34(図1)をコントローラ30に提供し、これは当該センサにおける夫々の帯状電極46(図2および図3)の温度を指示する。電極装置44のもう一つの実施例において、熱センサ52は一つ置きの帯状電極46に装着される。従って、12個の電極を有するカテーテルについては、6個の電極に熱センサが存在する。電極装置44の更にもう一つの実施例では、一つの置きの電極が二つの熱センサ52を有している。各電極について一つの熱センサを有する図3の実施例には、各電極に除去のための電力を与えるように、各電極について一つの電力リード54と、熱カップル効果を確立するために各熱センサ52について二つの温度リード56が示されている。
【0035】
次に、図4−1および図4−2を参照すると、一つの帯状電極46を有するカテーテルシステムとともに使用するための、一つのCAD 14および一つのチャンネル電力制御システム12を備えた除去装置のブロック図が提示されている。他の図に関連して述べるように、除去装置は、複数の帯状電極46を有するカテーテルシステムと共に使用するための多重チャンネル電力制御システム12を含んでいてもよい。図4−1においては、コントローラ30(図1)の一部である電力制御システム(「PCS」)マイクロプロセッサ58が、デューティーサイクル制御信号60をデューティーサイクル発生器(「DCG」)62に与える。この場合、デューティーサイクル発生器62は、8ビットラッチ64によって制御信号を受取る。該ラッチ64は、8ビット信号66をデューティーサイクルコンパレータ68に与える。このコンパレータ68は、該8ビット信号を、8ビットデューティーサイクルカウンタ70からのカウント78と比較して、該カウントが同じであれば、デューティーサイクルオフ信号72をデューティーサイクルゲート74に与える。ゲート74は、500 kHzを生じるオシレータのような周波数源(「FS」)に接続される。ゲート74は、コンパレータ68からデューティーサイクルオフ信号72を受取ると、該ゲートを通してその周波数源信号の出力を停止し、従って出力は存在しない。
【0036】
500 kHzの周波数において、8ビット制御は0.5 msecの周期または時間フレームを有する。50%のデューティーサイクルでは、電極のオフ時間は0.25 msecに過ぎない。電極のより大きな冷却を可能にするために、周期または時間フレームは、周波数源76とカウンタ70との間に介在されたプレスケーラ80によって延長される。一つの実施例において、プレスケーラ80は周期を4 msecにまで延長して、50パーセントデューティーサイクルの際の4 msecのオフ時間を可能にする。これは、上記で述べた非常に薄い帯状電極のための充分な冷却時間をもたらす。状況に応じて、他の長さの周期を使用してもよい。心臓組織の除去においては、10%のデューティーサイクルが特に有効であることが分かった。高ピーク電力の印加、10%デューティーサイクル、帯状電極に高熱伝導性材料を使用すること、および帯状電極を通過して流れる該電極に対して冷却効果を有する液体の組合せは、組織への遥かに効率的な電力の印加をもたらす。
【0037】
最終カウント検出器82は最後の周期カウントを検出して、最終カウント信号82をゲート74に送り、これは周波数源信号の連続した出力のためにゲートをリセットする。次いで、これはデューティーサイクルのオン周期を開始し、カウンタ70がそのカウントを再開する。一つの好ましい実施例では、デューティーサイクルが50パーセントに設定され、従って8ビットラッチは128にセットされる。もう一つの実施例では、デューティーサイクルは10%に設定される。
【0038】
プログラム可能な論理アレイ(「PLA」)86は、PCSマイクロプロセッサ58から位相制御信号88を受取り、これに従って周波数源76の位相を制御する。一つの実施例において、PLA 86は、最終カウント検出器82から最終カウント信号84を受取り、該最終カウント信号を受取った後の位相変化のみを許可する。
【0039】
デューティーサイクルのオン周期の間、ゲート74からの出力信号は、信号を高レベル(この場合は24ボルト)にまで増大させる二極性電力増幅器(「BPA」)90に与えられる。次いで、この増幅された信号はバンドパスフィルタ(「BPF」)92でフィルターされて、ある程度の矩形波を正弦波に変換する。一実施例におけるバンドパスフィルタ92の中心は、500 kHzに設定される。次いで、フィルターされた信号は、信号をはるかに高いレベル(例えばピーク-ピークで350ボルト)に増幅する孤立した出力変圧器(「IOT」)94に与えられる。次いで、この信号は、電力出力信号OUTn 28としてCAD 14およびECGフィルターシステム36に与えられる前に、リレー接続器(「RI」)96に送られる。CAD 14において、電力出力信号28は、CADフィードスルー126を通して電極46に供給される。
【0040】
一つの実施例では、電極46でのインピーダンスを決定するために、孤立した出力変圧器94からの電力出力信号28がモニターされる。図4−1および図4−2に示した実施例では、電圧および電流モニター(「VCM」)98が使用される。モニター信号100は、A/Dコンバータ(「ADC」)102によってデジタル形態に変換されて、PCSマイクロプロセッサ58に与えられる。先に述べたように、電極46の幾つかまたは全部は、電極46での温度測定に使用される温度信号34(図4-2)を与えるための、熱センサ52(図3)を含んでいてもよい。本発明の一つの実施例において、電力28は温度信号34と組合せて、電極46での温度を測定するために使用される。温度信号34および電力28の両者は、PCSマイクロプロセッサ58に送られる前に、温度フィルタ(「FL」)104を通過する。或いは、温度フィルタ104は、コントローラ30とは別の印刷回路基板の中に含められ、それ自身のプロセッサを含む。何れの場合にも、フィルタ104は、この信号が温度モニタリングの目的で使用できるように、電力28の中に存在する如何なるRFノイズをもフィルターする。もう一つの実施例では、PCSマイクロプロセッサ58は、電力28のデューティーサイクルのオフ周期の間だけ、電力28および温度信号34をモニターする。従って、電力ラインには無視できるRFノイズだけが存在し、フィルタは必要ない。何れの実施例においても、PCSマイクロプロセッサ58は、インピーダンス信号または温度信号の何れかまたは両方に応答して、電力28のデューティーサイクルを変化させればよい。
【0041】
ECGフィルターシステム36では、電力信号28がフィルターされて500 kHzの周波数成分が除去され、高周波干渉のないECG信号38が与えられる。従って、このECG信号は、除去電極により生物学的組織内で検出される低周波数(典型的には0〜250 Hz)の電気信号を含んでいる。以下で説明するように、ECGフィルターシステム36は、除去エネルギーの印加と同時に、組織の連続的なECG分析を行うことを可能にする。
【0042】
CAD 14は、多重周波数の初期矩形波駆動信号108を発生するCADマイクロプロセッサ106を含んでいる。以下では駆動信号108を矩形波として説明するが、駆動信号は矩形波以外の形態を有していてもよいと理解される。初期駆動信号108は、矩形波調整回路110に入力される。この調整回路110は、矩形波駆動信号108をゼロボルト付近にセンタリングし、駆動信号の振幅を非ペースメーキングレベル、即ち心臓のペースメーキングを誘導するには不充分なレベルに低下させるように動作する。
【0043】
次いで、調整された駆動信号112は、電流検知回路114に入力される。電流検知回路114は、電流電池回路を通過する電流,即ち駆動電流を計算するために使用されるCADマイクロプロセッサ106に、電圧信号112,124を与える。この調整された駆動信号112は、ラインAリレー回路116に入力される。ラインAリレー回路116は、CADマイクロプロセッサ106によって制御される。図4に示したような単一電極のカテーテルシステムにおいては、調整された駆動信号112が、接触評価の際に駆動電極として働く単一電極46に与えられる。
【0044】
駆動電極46から離間して配置された参照電極120は、インピーダンス測定のための参照点を与える。単一電極装置において、参照電極120は、典型的にはバックプレート16である。或いは、カテーテルは、単一の駆動電極46に加えて専用の参照電極120を有していてもよい。この専用の参照電極120は、ラインBリレー回路122を介して、CAD接地または既知電圧VEIの信号に結合されてもよい。調整されたっ駆動信号112は、CADマイクロプロセッサ106にフィードバックされ、ここでデジタル化されてPCSマイクロプロセッサ58に送られる。フィードバックされた駆動信号の電圧値、参照電極の既知の電圧値(患者の接地電圧、機器の接地電圧、または既知の電圧)、および先に計算された駆動電流に基づいて、PCSマイクロプロセッサ58は、駆動電極46と参照電極120との間のインピーダンスを計算する。
【0045】
次に、図5−1および図5−2を参照すると、複数の除去電極46を有するカテーテルシステムと共に使用するための、CADおよび多重チャンネル電力制御システムを有する除去装置のブロック図が示されている。三つの完全なチャンネルだけが示されているが、後続のドットで示すように、当該装置は更に多くのチャンネルを含んでいてもよい。これらのチャンネルは、図示の明瞭さを保持するために、図5−1および図5−2には示されていない。
【0046】
これもコントローラ30(図1)の一部である単一のPCSマイクロプロセッサ58は、この実施例では、夫々のチャンネルのデューティーサイクルおよび位相を制御する。示された各チャンネルは同じ要素からなっており、各チャンネルは、夫々の電極リード(リード1、リード2、…、リードn:nはリードの総数)上で、個々のECGフィルタ108へのそれ自身の電力出力信号28(OUT1、OUT2、…、OUTn:nはチャンネルの合計数)、および電極46へのCADフィードスルー126を生じる。
【0047】
CADは、複数の電極リレー130を含んで入る。電極リレー130の夫々への入力は、ラインA 132、ラインB 134、およびリレー制御ライン136である。ラインA 132は、調整された駆動信号112、または外部的に印加される既知電圧の信号VE1の何れか一つを運ぶ。ラインA 132上で何れの信号を利用可能にするかの選択は、CADマイクロプロセッサ106の案内の下でラインAリレー116によって制御される。ラインA 132は、調整された駆動信号112または外部信号VE1を選択された一つの電極46に与え、次いで、該電極は接触評価のための駆動電極として作用する。
【0048】
ラインB 134は、駆動電極として作用する電極以外の一つの電極46に信号を与える。ラインB 134は、CAD接地、外部的に印加される既知電圧の信号VE2、またはバックプレートの何れか一つを与える。電極46の何れかの対の間でインピーダンスが測定される二極性動作において、ラインB 134は、電極46の一つについて、CAD接地または外部的に印加される既知電圧VE2の信号への接続経路を与える。単極性動作においては、ラインB 134 は、電極46の一つについて、バックプレート16への接続経路を与える。ラインB 134上で何れの信号を利用可能にするかの選択は、CADマイクロプロセッサ106の案内の下で、ラインBリレー122によって制御される。
【0049】
電極リレー130の動作は、CADマイクロプロセッサ106の案内の下で、リレー制御回路118によって制御される。ラインAリレー116およびラインB112の動作は、CADマイクロプロセッサ106によって直接制御される。以下で更に説明するように、CADはリレー116,118,130を制御して、電極40の何れかの対の間、または一つの電極46とバックプレート16との間でのインピーダンス測定を与えるようにプログラムすることができる。以下で説明するように、これらのインピーダンス測定は、電極/組織接触の充分さを評価するために使用される。
【0050】
図6A〜図6Fを参照すると、図2の電力制御システムの一実施例の概略図が、図6B〜図6Fに提示されている一方、図6Aは、図6B〜図6Fが如何にして相互に配向されるべきかを示している。周波数源76は、PCSマイクロプロセッサ58により位相角度を制御された典型的には500 kHzの信号138を、PLA 86を介してデューティーサイクル発生器62に与える。デューティーサイクル発生器62は、周波数源信号138を調節し、先に説明したデューティーサイクル制御信号60に従って、選択されたデューティーサイクルを生じる。デューティーサイクル発生器62は、二つの信号140および142を二極性増幅器90に出力する。二重MOSFETドライバU2はこれらの信号を受け取って、それらの5Vレベルを12Vレベルに変換し、その夫々を変圧器T2に送り、該変圧器はこれらの信号を24Vのピーク-ピーク電力に変換する。
【0051】
この24Vの信号は、次いで、FET Q2,Q3,Q4,Q5の構成を含む多重状態ドライバ144に送られる。典型的には電力周期にあるドライバ144の導通状態の間に、これらのFET Q2〜Q5が導通して、電力をセンスLCネットワークからなるバンドパスフィルタ92へと向ける。ドライバ144の高インピーダンス状態の際(典型的には電力のオフ周期の間)、これらのFET Q2〜Q5は非導通であり、電力はバンドパスフィルタ92へ送られない。その代りに、FET Q2〜Q5は、電極46を通して受信された何れかの信号に高インピーダンス負荷を与える。典型的には、これらFET、電極、および組織に続く回路によって与えられるFET Q2〜Q5に対する負荷インピーダンスは略50Ωであるが、出力変圧器T3を通して変圧され、略0.5〜1Ωの負荷インピーダンスをFET Q2〜Q5に与える。オフ状態において、これらのFETは略250Ωの負荷インピーダンスを与え、これは略0.5〜1Ωの変形された負荷インピーダンスに比較して大きい。従って、これらFETがオフ状態にあるときには非常に小さい電力が流れる。
【0052】
バンドパスフィルタ92は、二極性増幅器90によって与えられた出力信号を、矩形波から正弦波に成形するように動作する。次いで、このフィルターされた信号146は孤立した出力セクション94に送られ、ここでは、T3において350ボルトのピーク-ピーク正弦波電力に変形される。次いで、この電力は二つのの同一の電力信号OUT1AおよびOUT1Bに分割される。OUT1AおよびOUT1Bの夫々はLC直列共鳴回路148に与えられ、これは該信号が二極性周波数、例えば略500 kHzまたはその近傍にあることを保証する。次いで、OUT1AおよびOUT1Bは、出力ラインLEAD1AおよびLEAD1B上で、二以上の帯状電極46にそれぞれ与えられる。
【0053】
ECG分析の際に、帯状電極46からのフィードバック信号は、4次バターワースフィルタからなるECGフィルタに入力される。これらのフィードバック信号は、生物学的組織に存在する一般に低い周波数信号を含んでいる。また、フィルタ128への入力はLC共鳴回路148への出力であり、これは典型的には略500 kHzの本質的に高周波数の除去信号である。ECGフィルタ128は、高周波除去信号をフィルターして、低周波数成分のみを残す。次いで、この信号はECG増幅器/記録器に供給され、ここでは生物学的組織のECG活性をモニターすることができる。
【0054】
また、孤立した出力セクション94は、夫々の電極46で高温または高インピーダンスのような警告条件が検出されたときに、電力信号OUT1AおよびOUT1Bを電極リードLEAD1AおよびLEAD1Bから除去するように、個別的に開成し得るリレー150を含んでいる。先に述べたように、これらの条件は、夫々の電極46の温度およびインピーダンスを示す信号を受取るPCSマイクロプロセッサ58によって測定される。
【0055】
この孤立した出力セクション94からの電力はモニターされ、代表的な信号がRF電圧および電流モニター98に供給される。この場合、特定のチャンネルのインピーダンスを測定するために、各出力信号の電圧および電流が測定される。測定された信号は、インピーダンスモニタリングのためにPCSマイクロプロセッサ58へ送られる前に、A/Dコンバータ102(図2)に送られる。このインピーダンスが血液の凝結または沸騰を示す閾値レベルを超えるときは、PCSマイクロプロセッサ58はデューティーサイクル発生器62に信号を送り、電力OUT1AおよびOUT1Bのデューティーサイクルを減少または切断して、電極46への有効電力を低下させる。
【0056】
同様に、電極46における温度は、電力信号および温度信号をモニターし、また信号の間の電圧さを測定することによって決定される。先に述べたように、本発明の一実施例において、これらの信号はPCSマイクロプロセッサ58へ送られる前に、フィルタ104(図2)を通過する。この電圧値は温度に変換され、温度が閾値レベルを超えていれば、電力14のデューティーサイクルが減少される。単一のリードを用いて、温度を決定するために使用される信号を与え、また電極46に電力を与える場合、該リードからの信号は、リレー150の出力側で接続された温度リード87,89上で受信される。
【0057】
図5に示すように、各電極45のデューティーサイクルは、PCSマイクロプロセッサ58によって個別的に制御すればよい。先に述べたように、電極46での温度、並びに電極に与えられる出力信号の電流および電圧に基づいて、出力信号のデューティーサイクルを調節してもよい。例えば、一つの電極46は10%のデューティーサイクルを必要とする温度を有し得るのに対して、もう一つの電極は、50%のデューティーサイクルを可能にする温度を有していてもよい。一つ置きの電極46が温度センサ52を有する一つの実施例において、これらの電極は、同じデューティーサイクルを有する対において各電極との対でグループ分けされる。
【0058】
図6B〜6Eを参照すると、以下の装置が示されている。
装置 部品番号 製造業者
U1 GAL6002B Lattice社
U2 SN75372 多数
Q1 1RFZ34N 多数
Q2,Q3,Q4,Q5 1RFZ44N 多数
Q7,Q8,Q9 MPF6601 多数
R3,R5 1Ω 多数
T1,T4 CMI-4810 Corona Magnetics, Inc.社
T2 GFS97-0131-1 GFS Manufactruing社
T5 CMI-4809 Corona Magnetics, Inc.社
「T3」で指定される変圧器は、1:2の巻線比でTDKコアPC50EER23Z上に巻回された、単一の一次巻線ステップアップ変圧器である。
【0059】
次に、図7−1および図7−2を参照すると、CADマイクロプロセッサ106は、「矩形」出力108において、二重周波数の、5Vのピーク-ピーク矩形波を与える。信号の周波数は、CADマイクロプロセッサ105によって設定され、また該マイクロプロセッサを再プログラミングすることにより変更できる。好ましい実施例において、これらの周波数は10 kHzおよび500 kHzである。この夫々の周波数の持続時間もまた、CADマイクロプロセッサ106によって設定される。該信号は、典型的には、その信号の全持続時間の一部について、各周波数に設定される。例えば、信号が10秒間出力されるとすれば、この信号は5秒間は10 kHzであり、残りの5秒間は500 kHzである。
【0060】
5Vの矩形波は、オフセット電圧フォロワー152を含む矩形波調整回路110に入力される。このオフセット電圧フォロワー152は、5Vの矩形波をバッファーし、±2.5Vにセンタリングする。電圧フォロワー152の出力における電圧分割器は、±2.5Vの矩形波信号を±50 mVのピーク-ピーク矩形波信号112に制限する。この二重周波数、即ち50 mVの信号はドライブ信号として働き、また何れかのインピーダンス信号に先立って、CADマイクロプロセッサ106のピンVR1およびVR2の両方で利用可能である。
【0061】
CAD 14は、二極性インピーダンス測定が、電極46(図5)の選択された対の間で行われることを可能にするリレー回路116,122,130を含んでいる。このリレー回路116,122,130(図7−2)はまた、何れかの電極46(図5)とバックプレート16との間で二極性測定を行うことを可能にする。リレー116,122,130の状態は、CADマイクロプロセッサ106によって制御される。CADマイクロプロセッサは、リレー13A 116およびリレー13Bおよびリレー25 122を直接制御する。電極リレー回路130の状態は、三つの8ビットラッチ回路154を介して制御される。電極リレー130を制御するためのデータビットDBO-DB7は、EPROM 156に保存される。データビットDB0-DB7は、アドレスライン186を介して、CADマイクロプロセッサ106によって選択される。CADマイクロプロセッサ106は、追加の8ビットラッチ158を通してEPROM 156の一部にアドレスする。選択時に、データビットDB0-DB7は8ビットラッチ154の夫々に送られる。包括論理アレイ(GAL)160からのストロボA,B,Cライン188は、ラッチ154の活性化状態を制御する。実行中のGAL 160は、アドレスライン190を通してCADマイクロプロセッサ106により制御される。
【0062】
リレー13A 116は、ラインA上において、駆動電圧VR2または外部電圧VE1の何れかの利用可能性を与える。外部電圧VE1は、±50 mV矩形波信号とは異なる電圧で電極46を駆動するために使用される。インピーダンス測定を得るために、何れかの非ペースメーキング電圧を使用して電極46を駆動してもよい。例えば、電極/組織接触の評価において20 mV〜200 mVの電圧を使用してもよい。
【0063】
ラインA電極リレー130の閉鎖は、VR2またはVE1を電極46の一つに接続し、これは、次いでインピーダンス測定の目的のための駆動電極として作用する。このリレー130が閉じると、駆動電極からのフィードバック信号は僅かな電圧降下を受ける。以下で更に説明するように、この電圧降下は、駆動電極ともう一つの選択された電極(即ち、参照電極)との間を流れる電流を検知するために使用される。
【0064】
二極性モードのインピーダンス測定の際には、リレー13Bおよびリレー25 122が協働して、CAD接地または外部の非接地電圧VE2を与える。ラインB電極リレー130の一つの閉鎖は、電極46をCAD接地またはVE2に接続する。この電極46は参照電極として働く。単極性モードのインピーダンス測定に際し、リレー13Bおよびリレー25 122は協働して、バックプレート16(図5)へのアクセスを与える。ラインB電極リレー130の一つの閉鎖は、電極46をバックプレートに接続する。この電極46は参照電極として作用する。
【0065】
電圧VR1およびVR2は、CADマイクロプロセッサ106におけるアナログ/デジタルコンバータへの入力である。これらの電圧は、CADマイクロプロセッサ106によってデジタル化され、RS232チップ162を通してPCSマイクロプロセッサ58(図5)に送られる。当初、PCSマイクロプロセッサ58が最初に、フィードバック信号VR2および駆動信号VR1の電圧と、電流検知回路112に含まれる抵抗R4の既知の値との間の差に基づいて、電流検知回路114(図7)を通って流れる電流を決定する。この電流は、本質的には、駆動電極と参照電極との間を流れる電流と同じである。
【0066】
この電流値、および駆動電極と参照電極との間の電圧差を使用して、駆動電極と参照電極との間のインピーダンスが計算される。駆動電極がVR1(即ち、実質的に50 mV)に維持され、また参照電極がCAD接地またはバックプレート、即ち患者の接地に接続されるときには、この駆動電極と参照電極との間の電位差VD-Rは、通常は約50 mVである。或いは、駆動電極が外部から印加される電圧VE1に維持されるならば、VD-Rは50 mV以外の値でもよい。この値は、参照電極がCAD接地、患者接地、または他の既知電圧VE2の何れに接続されるかに依存する。
【0067】
図7−1および図7−2を参照すると、以下の装置が示されている。なお、リレー1A〜13Bおよび25は同一である。従って、リレー1Aのための部品だけが列記されている。
装置 部品番号 製造業者
U26 LM385-2-5 Texas Instruments社
U27,U28 1N5818 Motorola社
R1,R3 1.8 kΩ 多数
R2 3 kΩ 多数
R4,R7 10 kΩ 多数
R5 5.6 kΩ 多数
R6 300Ω 多数
Q28 TN0604N3 SuperTex.社
U11A LF353 Texas Instruments社
リレー1A
ダイオードDx 1N4004 多数
トランジスタQx TN0604N3 多数
リレー T795D-112-12 Potter & Bromfield社
【0068】
動作においては、RF除去エネルギーの印加に先立って、本発明の除去装置は、電極/組織接触評価を提供する。図8aおよび8cを参照すると、先端セグメント24が生物学的部位、例えば心臓の心房内に配置されたら、インピーダンスデータが収集および分析されて、電極/組織接触の充分さが決定される。
【0069】
本発明の一実施例では、先端セグメント24が心房の近傍または心房内に配置され、図8aに示すように、電極46の少なくとも一つが完全に血液プール164内にあるように、X線透視の下で配置される。CADマイクロプロセッサ106の制御の下で、駆動電極として作用するために、局部的血液プール164の中にある電極46の一つが選択される一方、参照電極として作用するために、パックプレート16または血液プール内の他の電極46の一つが選択される。例えば、図8aに示すように、電極Fが駆動電極として選択される一方、バックプレート16または電極Hが参照電極として選択されてもよい。次に、駆動電極に駆動信号を印加し、参照電極には参照電位を印加することにより、駆動電極と参照電極との間のインピーダンスが測定される。先に説明したように、この参照電位は、CAD接地または患者接地である可能性が最も高い。この初期計算は、局部血液プールのインピーダンス測定を提供し、この測定は、これとその後のインピーダンス測定を比較して電極/組織接触を評価するための参照として働く。
【0070】
実験によって、生物学的液体(例えば血液)の中に配置された電極間のインピーダンス測定は、一般的に生物学的組織に接触している電極間のインピーダンス測定よりも低いことが示されている。これをガイドラインに用いて、参照インピーダンスが測定されたら、再度X線透視下で先端セグメント24を再配置し、先に選択された駆動電極(例えばH)が、図8bおよび8cに示すように、組織に近接しまたは接触することが分かる位置に透視下で配置される。駆動電極と選択された参照電極との間のインピーダンスが計算される。この参照電極は、必ずしもそうである必要はないが、通常は、参照インピーダンスを計算するために使用したのと同じ参照電極である。この新たなインピーダンスは、「評価」インピーダンスと称される。
【0071】
次いで、評価インピーダンスおよび参照インピーダンスがPCSマイクロプロセッサ内で分析される。組織接触を示し得る有意な変化について、評価インピーダンスと参照インピーダンスとの間の差がモニターされる。これらの差は、インピーダンスの間の単純な機械的差異に基づくものであってもよく、またはインピーダンスの変化パーセントに基づくものであってもよい。実験により、参照インピーダンスに比較して、10%〜20%の評価インピーダンス増加は、電極/組織接触を示していることが示された。
【0072】
好ましい実施例においては、PCSマイクロプロセッサ58が、所定の時間内に、参照インピーダンスおよび評価インピーダンスの両方を連続的に計算し、夫々の平均インピーダンスを決定する。この時間は、例えば10秒である。従って、接触評価は平均インピーダンスに基づいている。平均値を使用することにおいて、この装置は、呼吸および/または心臓の収縮によって起きる電極の変位により生じ得るインピーダンス値の変動を説明する。
【0073】
PCSマイクロプロセッサは、評価インピーダンスおよび参照インピーダンスを分析し、電極/組織接触の状態の指標を提供する。この指標は、ディスプレー装置を介して、電力制御システムのフロントパネル上に与えてもよい。このディスプレー装置は、電極/組織接触の程度を示すパーセンテージの形態であってもよく、例えば、100%は完全な電極/組織接触を示し、減少するパーセンテージはより低い電極/組織接触を示す。同様の情報は、例えば棒グラフによって、グラフィックに提示されてもよい。
【0074】
PCSマイクロプロセッサは、二つのインピーダンスの間の差分パーセントを計算し、以下の指示を提供する。差分パーセントが少なくとも略10%であれば、PCSマイクロプロセッサは、実質的に完全な電極/組織接触が存在することを指示する。差分パーセントが大きいほど、電極/組織接触の信頼性レベルは大きい。差分パーセントが略5%〜10%であるときは、PCSマイクロプロセッサは、部分的な電極/組織接触が存在することを指示する。差分パーセントが略5%よりも低ければ、PCSマイクロプロセッサは電極/組織接触が存在しないことを指示する。
【0075】
除去装置10は、先端セグメント24に帯状電極46の線形アレイを有するカテーテルシステムと共に使用するために、特に良く適している。図8aおよび図8bを更に参照すると、局部的血液プール164の参照インピーダンスが決定されたら、線形アレイにおける各電極46について、電極/組織接触の評価を生じることができる。例えば、電極Aから始めて次々に電極Lまで続ければよく、各電極46と選択された参照電極との間のインピーダンスが測定される。夫々のインピーダンスを参照インピーダンスと比較して、電極/組織接触の充分さを評価する。
【0076】
先に述べたように、意味のあるインピーダンス平均を得るために、インピーダンスは、好ましくは連続的に数秒間測定される。この平均測定は、心臓収縮および呼吸によって誘起されるインピーダンス変動を効果的にフィルターする。次に説明する本発明のもう一つの実施例においては、これらインピーダンス変動が電極/組織接触評価を補助する。
【0077】
呼吸および心臓の収縮は、心臓組織に接触しているかもしれない電極を、心臓から動かしてしまう。このことを念頭に置けば、先端セグメント24が生物学的組織に近接して配置されると、インピーダンス測定のシーケンスは、心臓の何回かの収縮を含むのに充分な時間に亘って行われることになる。実験は、有意な変動についてこれらのシーケンスをモニターすることにより、電極/組織接触の評価を行い得ることを示している。呼吸/心臓収縮によるインピーダンスの変動は、電極組織接触が存在するときに最も顕著である。従って、平均インピーダンスからの大きな標準偏差は、組織接触の指標として働く可能性がある。他方、心臓の収縮により生じるインピーダンスのサンプル-サンプル変動の分析において、血液プール配置に対応する値は小さい範囲の変動を有しており、従って、平均インピーダンスからの小さい標準偏差を有していることが分かる。これについての理論は、カテーテルが「浮遊」しており、または組織に接触していないので動きが単純ではなく、また呼吸および心臓収縮によって少ししか影響されないということである。
【0078】
PCSマイクロプロセッサは、評価インピーダンスのシーケンスを分析して、電極/組織接触の状態の指標を提供する。PCSは最初に、複数のインピーダンスに基づいて平均インピーダンス値を得る。次いで、このPCSは平均インピーダンスに対するインピーダンスの標準偏差を計算する。次に、PCSは標準偏差を平均インピーダンスで割ることによって偏位パーセントを計算し、その結果をパーセント値として表す。次いで、PCSは次の指示を提供する。偏位パーセントが少なくとも略2%であれば、PCSマイクロプロセッサは、実質的に完全な電極/組織接触が存在することを指示する。偏位パーセントが大きいほど、電極/組織接触の信頼性レベルは大きい。偏位パーセントが略1%〜2%であれば、PCSマイクロプロセッサは、部分的な電極/組織接触が存在することを指示する。偏位パーセントが略1%未満であれば、PCSマイクロプロセッサは電極/組織接触がないことを指示する。
【0079】
右心房内での当該装置の一つの応用において、組織接触の際に、30秒間の平均インピーダンスは262Ωであったのに対して、インピーダンスのシーケンスの標準偏差は6.64であった。偏位パーセントは2.5%であった。組織接触がない場合、インピーダンスのシーケンスについて、1.78の標準偏差を伴う2.22Ωの平均インピーダンスが得られた。この場合の偏位パーセントは0.8%であった。なお、インピーダンスのシーケンスに基づいて接触を評価するときには、参照インピーダンス、即ち、血液プールのインピーダンスを得る必要はない。その代りに、先端瀬セグメント24を直ちに組織の近傍に配置して、電極/組織接触評価を行えばよい。
【0080】
実験は、駆動信号の周波数がインピーダンス測定に影響することを示している。一般に、周波数が低いほど、「選択性」、即ち、血液プールのインピーダンスと組織インピーダンスとの差は大きい。駆動信号の周波数が増大すると共に、選択性は減少する。接触評価分析のためには高い選択性を得るのが望ましいが、駆動信号周波数は、心臓のペースメーキングを回避するために充分に高く維持されるべきである。駆動信号の電圧および周波数の両方が、ペースメーキングに関与することが認められている。一般に、電圧レベルが増大するに伴って、それ以下ではペースメーキングが誘起される最小周波数は増大する。従って、例えば、50 mVの電圧レベルについては、10 kHzが可能性のある最小の非ペースメーキング周波数である。10 kHz未満の周波数は、ペースメーキングを誘導する可能性がある。電圧レベルが100 mVまで増大すると、最小の非ペースメーキング周波数は10 kHzよりも大きくなる。
【0081】
本発明のもう一つの実施例において、インピーダンス測定は二つの異なる周波数で行われ、この二つの間の変動を用いて電極/組織接触が評価される。この実施例は、「二重周波数」実施例と称される。二つの周波数は、低周波数および高周波数を含んでいる。低周波数は、一般に心臓のペースメーキング閾値よりも丁度上の周波数であり、高い選択性を与える。高周波数は、一般にはこの低周波数より少なくとも二倍だけ大きい周波数であり、低い選択性を与える。この高周波数は典型的には少なくとも100 kHzである。
【0082】
実験は、駆動信号の周波数における変動が、インピーダンスの対応する変動を生じることを示している。電極/組織接触の際の、高周波数インピーダンスおよび低周波数インピーダンスの間の差は、電極が血液プールの中にあるときの同じ二つの周波数でのインピーダンスの間の差よりも大きい。これらの観察は、低周波数インピーダンスおよび高周波数インピーダンスの間の差分パーセントに基づいて、或いは、低周波数インピーダンスに対する高周波数インピーダンスの比(または逆比)に基づいて組織接触を評価するために、本発明の二重周波数実施例において使用される。これらの二つのアプローチは、それぞれ「差分パーセント」アプローチ、および「比による」アプローチと称される。
【0083】
差分パーセントアプローチにおいて、先端セグメント24は、一以上の電極46が生物学的組織に、またはその近傍に配置されるように、透視下において配置される。本発明の他の実施例と同様に、電極46の一つは駆動電極として作用するのに対して、もうひとつの電極またはバックプレートは参照電極として作用する。第一の周波数を有する第一の駆動信号を所定時間だけ駆動電極に印加した後に、駆動電極と参照電極との間のインピーダンスが測定される。続いて、第一の周波数とは異なる第二の周波数を有する第二の駆動信号が所定時間だけ駆動電極に印加され、インピーダンス測定が行われる。好ましい実施例において、第一の周波数は10 kHzであり、第二の周波数は500 kHzであり、夫々の周波数のための時間は5秒である。
【0084】
PCSマイクロプロセッサは、二つのインピーダンス間の差分パーセントを計算することによって、第一周波数インピーダンスおよび第二周波数インピーダンスを分析する。差分パーセントが少なくとも10%であれば、PCSマイクロプロセッサは、実質的に完全な電極/組織接触が存在することを指示する。ここでも、差分パーセントが大きいほど、電極/組織接触の信頼性レベルは大きい。差分パーセントが略5%〜10%の範囲にあれば、PCSマイクロプロセッサは、部分的な電極/組織接触を指示する。差分パーセントが略5%未満であれば、PCSマイクロプロセッサは、電極/組織接触が存在しないことを指示する。
【0085】
比によるアプローチでは、PCSマイクロプロセッサは、二つのインピーダンスの比を計算することによって、第一周波数インピーダンスおよび第二周波数インピーダンスを分析する。次いで、この評価比は期待値、即ち、電極/組織接触がないことを示す「校正」値と比較される。CADの校正値は、通常はCADの以前の使用を通して決定される。例えば、最初にCADが使用されるときに、第一の周波数および第二の周波数の両方で血液のインピーダンスを測定し、これら二つの比を構成値として用いればよい。このCAD校正値は、典型的にはCAD EPROMの中に保存される。評価比が校正値に略等しければ、PCSマイクロプロセッサは電極/組織接触がないことを指示する。評価比が校正値から略±0.1〜±0.15だけ偏位したら、マイクロプロセッサは、少なくとも部分的な電極/組織接触を指示する。なお、この分析は比の比較に基づいているので、その後の測定が偏位する仕方(即ち、基底ラインよりも大きいか小さいか)は、接触評価分析とは無関係である。この評価比が校正値から略±0.5よりも大きい値だけ偏位すると共に、電極/組織接触の信頼性の程度は増大する。例えば、校正値より0.25だけ小さい評価比についての電極/組織接触の信頼性レベルは、校正値より0.16小さいだけの評価比についての信頼性レベルよりも大きい。一般に、評価比の偏位が略±0.15より大きいとき、マイクロプロセッサは、実質的に完全な電極/組織接触を指示する。
【0086】
別の比によるアプローチでは、電極を血液プールの中に配置し、次いで第一周波数インピーダンスおよび第二周波数インピーダンスの比を計算することにより、血液プールの比測定が最初に決定される。血液プール比測定は、その後の比測定が比較され得る基底ラインとして働く。その後の比測定が実質的に基底ラインに等しければ、PCSマイクロプロセッサは、電極/組織接触がないことを指示する。この比が略±0.1〜±0.15だけ基底ラインから偏位すれば、マイクロプロセッサは、少なくとも部分的な電極/組織接触を指示する。評価比の偏位が略±0.15よりも大きければ、マイクロプロセッサは、実質的に完全な電極/組織接触を指示する。
【0087】
これまでに説明した本発明の夫々の実施例において、駆動電極および参照電極の選択は、CADマイクロプロセッサ106によって制御される。このCADマイクロプロセッサ106は、駆動電極/参照電極の対として、隣接する電極対(例えばA-B、B-C、C-D等)、または遠く離れた電極対(例えばA-F、B-L、C-E等)を選択するようにプログラムすることができる。実験は、隣接する電極対間のインピーダンスが、遠く離れた電極対よりも、組織接触と血液プール接触状態との間のより大きな偏位を示し、従ってより正確な接触評価結果を提供することを示している。
【0088】
図9a〜図9cを参照すると、組織と接触したままで電極対間のインピーダンスを増大するために、電極46の血液側部分を、パリレン、ポリイミド、PTFEまたは他の誘電体薄膜のような、電気的に絶縁性であるが熱伝導性である材料166によってカバーし、または遮蔽してもよい。カバーまたは遮蔽のために選択された電極46の一部は、典型的には、電極の非カバー部分が組織と接触して配置されるように、カテーテルシース22の曲面170の内側にある。電極46のこの部分的なコーティングは、電極46の血液側168を電気的に絶縁して、殆どのインピーダンス測定電流を組織の中に注入させる。実験は、幾つかのタイプの電流反射技術を使用することにより、参照インピーダンスと評価インピーダンスとの間の差分パーセントが50%〜100%になることを示している。
【0089】
電流を組織の中に反射させるための幾つかのアプローチが存在する。一つのアプローチは、図9bに示すように、曲面の外径上に配置された半リング状電極46を使用して、カテーテルシース22が生物学的部位に配置されるときには、半リング状電極が組織に当接するようにすることである。図9aに示すもう一つのアプローチは、完全リング状電極46を電気的に絶縁性であるが熱伝導性の材料166で部分的にコートすることである。更にもう一つのアプローチは、図9cに示すように、絶縁性材料で構成得された外側シースを、カテーテルシース22と共に使用することである。外側シースの先端セグメント172は半パイプ管である。この半パイプ管セグメント172は、電極を血液部位168から遮蔽するために、電極46に対して配置される。
【0090】
充分な電極/組織接触が存在すると決定されたら、組織の除去療法を開始する。除去の際、図10〜図12に示すように、電極装置44およびバックプレート16は、生物学的部位が電極装置とバックプレートとの間に挿入されるように、除去を受けている生物学的部位174に近接して配置される。電極装置44の帯状電極46(図示を明瞭にするために、その一つだけが符号32で示されている)は、夫々が、LEAD1〜LEAD4上の一つの位相角度を有する電力OUT1、OUT2、OUT3、OUT4を受取る。一つの実施例では、一つ置きの電極46が同じ位相角度を受け取る。したがって、電極Dの位相角度は電極Bの位相角度と等しく、また電極Cの位相角度は電極Aの位相角度と等しい。この構成の利点を以下で説明する。好ましい実施例では、電極46は線形アレイに形成される。加えて、熱電対熱センサ46が、夫々の電極A,B,CおよびDに配置され、電極の電力リードLEAD1〜4をセンサリードの一部として使用する。該センサは、電力制御システム12が受取るための温度検知信号22を与える。
【0091】
もう一つの実施例では、別の電極46が一緒にグループ化され、夫々が同じ位相角度およびデューティーサイクルを有する同じ電力を受取る。電極46の他のグループは、一つのグループの電極が他のグループの電極と交互になるように、第一のグループとの間で間隔を置かれる。特定のグループの角電極46は、同じ位相角度およびデューティーサイクルを有する。例えば、電極AおよびCは同じ電力に接続される一方、間隔を置いた電極BおよびDは異なる電力出力信号に接続される。
【0092】
また、個別の電力信号の使用は、電極46の望ましい何れかの組合せを不能にする能力を与え、それによって電極装置24の長さを効果的に変化させる。例えば、本発明の一つの構成において、12個の電極46を持った電極装置24は、12チャンネルの電力制御システム12から12の電力信号を受け取る。電極46は長さが3 mmで、4 mm離間している。従って、種々の電極を不能にすることにより、3 mm〜8 cmの如何なる長さの仮想電極も、電極装置24によって製造することができる。何れの構成においても、出力OUT1〜OUTnの電圧レベルに関して、バックプレート16は参照電圧レベルに維持される。
【0093】
先に説明したように、夫々の電極46に供給される電力OUT1、OUT2の間の位相角度を変化させることにより、隣接した帯状電極の間に位相角度差が確立される。この位相角度差を調節して、隣接する帯状電極46の間の電圧電位を制御し、生物学的部位174を通る電流を制御してもよい。隣接する帯状電極46の間の電流Ie-eは、次式によって定義される。
【0094】
【数1】
ここで:ΔΦ=電極間の位相角度差
V=電力の電圧振幅
Ze-e=電極間のインピーダンス
f=ヘルツでの周波数
t=時間
帯状電極46の間での電流に加えて、帯状電極とバックプレート16の間に流れる電流がある。バックプレート16が参照レベルに設定されるとき、この電流Ie-bは次式によって定義される。
【0095】
【数2】
ここで:ΔΦ=電極間の位相角度差
V=電力の電圧振幅
Ze-b=電極とバックプレートとの間のインピーダンス
f=ヘルツでの周波数
t=時間
Ze-bおよびZe-eが等しいと仮定すれば、帯状電極46とバックプレート16との間を流れる電流Ie-bに対する帯状電極46の間を流れる電流Ie-eの比は、次式によって定義される。
【0096】
【数3】
ここで:ΔΦ=電極間の位相角度差
【0097】
図10A〜12Dは、生物学的部位内の種々の電流パターンを図示している。図10A〜12Dに描かれている破壊の深さおよび幅は、必ずしも縮尺通りではなく、また相互に比例した縮尺でもない。これらは、種々の電力印加技術における差の明瞭な区別のために提供されるものである。隣接する電極46の間の位相差がゼロ度のとき、上記の式2に従って電極間に電流は流れず、当該装置は単極性様式で動作して、図10A〜10Dに示すように電流はバックプレートに流れる。実質的に全ての電流が帯状電極46からバックプレート16に流れ、比較的深く且つ鋭い一連の破壊176が、電極装置24の長さに沿って形成される。図10Bの最上段の図および図10Dの側面図に見られるように、これらの破壊は分離されている。これらの破壊176は相互に不連続である。
【0098】
隣接する電極46の間の位相差が180°であるときは、当該装置は単極性様式および二極性様式の療法で動作し、電流の流れパターンは図11Aに示す通りである。この位相差では、隣接する帯状電極の間には、帯状電極からバックプレート16に流れる電流よりも多くの電流が流れる。得られる破壊178は浅いが、電極装置44の長さに沿って連続している。破壊178の連続性および浅い深度が、図11B〜11Dに示されている。しかし、破壊の深さは、従来の二極性除去法のみにより形成される場合よりも未だ大きい。
【0099】
隣接する電極46の間の位相さがゼロ〜180°の範囲内に設定されるときは、電流は深く且つ不連続な単極性パターンから、より連続的で且つ浅い二極性パターンへと変化する。例えば、隣接する電極46間の位相差が略90°のときは、電流は図12Aに示すように流れる。この位相差であれば、電流は隣接する帯状電極46の間を流れると共に、帯状電極とバックプレートとの間を流れる。従って、深く且つ連続的な破壊が電極装置24の長さに沿って形成される。破壊180の連続性および深さが、図12B〜12Dに図示されている。図12Aの一実施例において、隣接する電極は位相が交互に変わるが、グループにおける電力が与えられる。電極AおよびCには、第一の位相角度の電力が与えられ、また電極BおよびDには、第一の位相角度とは異なる第二の位相角度の電力が与えられた。
【0100】
こうして、異なる深さおよび連続性の特徴を有する破壊を形成するために、電力の位相角度を調節してもよい。可能な最大の深さを有する連続的な破壊を形成するのに必要な位相角度差を選択する際に、電極装置24の他の部品が考慮される。例えば、帯状電極46の幅、および電極間の間隔は、最適な位相角度を選択する際のファクターである。本発明の好ましい実施例においては、上記で指摘したように、帯状電極の幅は3 mm、電極の間隔は4 mmであり、また電極は、隣接する電極間に132°の位相差を確立する電力を受取る。この構成では、エネルギーを与えられた電極の数、用いたデューティーサイクル、および電力印加の持続時間に応じて、略3 mm〜8 cmの長さおよび5 mm以上の深さを有する長く且つ連続的な破壊が形成された。
【0101】
本発明のもう一つの実施例では、除去電力を電極に印加している間に、除去を受けている組織の電気的活性が捕捉されて、分析のために外部装置に送られる。生物学的組織、特に心臓組織は電気的に活性であり、従って電気的エネルギー源として働く。除去の際に、該組織に接触している電極は、該組織に電力を供給するだけでなく、該組織を通る電気的信号を検知して、これらの信号をECGフィルターシステム36(図4)にフィードバックする。従って、ECGフィルタ128での入力は、除去電力信号および組織フィードバック信号を含む組合せ信号である。本発明は、前記組合せ信号から高周波除去電力成分をフィルターすることにより、組織フィードバック信号を、ECG増幅器/記録器による即時分析のために利用可能にする。このフィルタリングプロセスは除去処置を通して継続され、従って、ECG分析が除去治療の最中に行われることを可能にする。除去電力が電極を通して印加されないときにも、電極は、組織フィードバック信号を該電極に結合されたECGフィルタに与える。フィルタへの除去電力信号がないから、組織フィードバック信号はECGフィルタを通過し、ECG増幅器/記録器による分析のために利用可能である。
【0102】
以上、本発明の特定の形態を例示および説明してきたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の変更を行うことができることが明かであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲により制限される場合を除き、制限されるものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、生物学的組織にエネルギーを与えるための電気生理学的(「EP」)装置および方法に関し、更に特定すれば、除去電極と生物学的組織との間の接触の充分さを評価するためのEP装置および方法に関する。また、本発明は、生物学的組織にエネルギーを与えると同時に、該組織内の電気的活性をモニターするための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
健康な人間における心臓の鼓動は、右心房の壁に位置する洞房結節(「S-A結節」)によって制御される。このS-A結節は電気信号電位を発生し、これは心房内の導電性心臓組織の経路を通って房室結節(「A-V結節」)へと伝達され、次に該A-V結節は、Hisおよびプルキンエ導電性組織により、心室の全体に電気信号を伝達する。導電性組織の不適正な増殖または損傷は、S-A結節およびA-V結節からの規則的な電気信号の伝達を妨害する可能性がある。このような妨害から生じる電気信号の不規則性は、心臓の正常なリズムを乱し、心不整脈と称される異常な律動症状を起こす可能性がある。
【0003】
坑不整脈剤の適応を含む心不整脈の種々の治療法があるが、多くの症例において、損傷を受けた組織の除去は心臓の正しい動作を回復することができる。このような除去は皮下除去によって行うことができ、この処置では、単一または複数の診断、治療、および/または外科的処置を行うために、カテーテルが皮下的に患者の中に導入され、動脈を通して心臓の心房または心室に向けられる。このような場合、除去処置は、不整脈を起こす組織を破壊して電気信号の不規則性を排除し、または導電性組織ブロックを形成して正常な心臓の鼓動を修復し、または少なくとも心臓の鼓動を改善するために使用される。不整脈開始部位において、導電性組織が首尾良く除去されると、通常は不整脈が終結し、または少なくとも心臓の律動は許容可能なレベルにまで緩和される。不整脈のための広く受入れられている治療法には、導電性組織へのRFエネルギーの印加が含まれる。
【0004】
心房細動(「AF」)の場合、Cox et al.によって発行された「迷路処置」として知られる処置には、心房性再入を防止して、洞性活動電位が全体の心筋を活性化させることを可能にするための、連続的な心房切開が含まれる。この処置は成功することが認められているが、本来的に侵襲的なアプローチを含んでいる。RF除去療法を提供する適切なEPカテーテルシステムを使用する等、侵襲の小さいアプローチを使用することによって、迷路処置と同じ結果を達成することが望ましい。この療法では、再入を防止して全体の心筋を活性化するために、心房に経壁除去破壊が形成される。
【0005】
心臓組織にRFエネルギーを印加する二つの一般的方法、即ち、単極性の方法および二極性の方法が存在する。単極性の方法では、戻り電極として働く大表面積の電極、例えばバックプレートが、患者の胸部、背中または他の外部位置に配置される。このバックプレートは、通常はカテーテルを介して心臓の中に導入され且つ異常な導電性組織と密着して配置される一以上の電極と共に、電気回路を完成する。二極性法では、心臓の中に導入された複数の電極が異なる電位を有し、それらの間で電気回路を完成する。二極性法において、カテーテルの二つの電極間に伝達される電流が組織に除去を生じさせる。
【0006】
除去の間、電極は標的の心臓内組織に密着して配置される。標的組織の温度を生存不可状態にまで上昇させるために、RFエネルギーが電極に印加される。一般に、生存組織と非生存組織との間の温度境界は略48℃である。48℃を越える温度に加熱された組織は生存できなくなり、除去容積を画定する。その目的は、一般には37℃である組織温度を、48℃を越える除去温度にまで均一に上昇させる一方、組織表面温度および電極温度の両者を100℃未満に維持することである。
【0007】
効果的な経壁破壊を生じさせるためには、電極が組織と密着することを保証することが必要である。これら電極の配置は透視撮像の下で目視により行われ、従って、医師の訓練および経験に大きく依存する。充分な電極/組織接触の評価は、やや技術的および検証的な問題であり、現在のところ、典型的には除去の前後の心電図(「ECG」)分析によって推測されている。
【0008】
電極/組織接触の指標としてインピーダンスを使用することが、心室性不整頻脈のような限局性不整脈の治療において報告されている。これらの処置では、単一の組合せ除去/インピーダンス測定チップ電極カテーテルを備えたカテーテルが、心臓内の局部的血液プールの中に挿入され、インピーダンス測定が行われる。次いで、該チップ電極は除去位置に配置され、電極チップが心臓組織の中に深く押し込まれるように、カテーテルの軸に沿って力が加えられる。次いで、インピーダンス測定が行われ、血液のインピーダンスと比較される。後で行われるこのインピーダンス測定は、「接触評価」インピーダンスと称される。血液プールインピーダンスに対する接触評価インピーダンスの顕著な増大は、チップ電極が心臓組織と接触していることの指標として働く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この処置において、インピーダンスの顕著な増加は、チップ電極が心臓組織の中に深く押し込まれて、血液ではなく組織に大きく取囲まれる事実によるものと認められる。この電極/組織接触の評価技術は、限局的不整脈の治療には効果的であるが、心房細動のような非限局的不整脈の治療にはそれほど有効ではない。心房細動の除去療法には、経壁線形破壊の形成が含まれることが多い。この形態の除去療法においては、帯状電極の線形アレイが心房壁に当接して配置される。この帯状電極はある程度の力で組織に当接して保持されるが、帯状電極の一部は血液プール内に残留する傾向にある。帯状電極の一部に当接する血液の存在は、インピーダンス測定に悪影響を及ぼし、血液プールインピーダンスと接触評価インピーダンスとの間の有意差を減少させる。従って、組織の中に押し込まれるチップ電極の使用に依存する上記の電極/組織接触評価技術は、線形除去療法のためには有効でない。この公知の技術は、呼吸および心臓収縮に起因した電極の移動によって生じ得るインピーダンス測定の変動を説明しないので、線形除去のためには有効でない。
【0010】
先に述べたように、現在の除去処置では、除去療法が完了したら、心電図(「ECG」)分析によって該治療の効果が確認される。除去療法は、予め特定された時間の除去エネルギーが印加されたときに完了する。除去療法が完了したら、除去電極は除去エネルギー源から切断され、ECG増幅器/記録器に再接続される。ECC増幅器/記録器は、除去電極を介して心臓から電気的データを収集する。ECG増幅器/記録器は、この電気的データを分析して、心臓組織、特に除去された組織を介した電気的活性を示す信号を生じる。この除去の有効性を評価する現在の技術は、除去結果を評価する前に除去療法が完了することを必要とし、更に除去電源からECG増幅器/記録器への物理的切替えを必要とする点において不便である。
【0011】
従って、当業者は、生物学的組織と、該組織に当接して配置されるが完全に組織で取囲まれることを必要としない除去電極との間の、接触の充分さを評価するための装置および方法の必要性を認識している。また、生物学的組織に除去エネルギーを与えると同時に、組織内の電気的活性をモニターするための装置および方法についての必要性も認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
簡略に且つ一般的に言えば、本発明は、除去電極と生物学的組織との間の接触の充分差を評価するための装置および方法に向けられている。本発明はまた、生物学的組織にエネルギーを与えると同時に、該組織内の電気的活性をモニターするための装置および方法に向けられている。
【0013】
第一の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法に関する。この方法は、生物学的液体中に除去電極を配置するステップと;参照電極を、前記第一の電極および生物学的組織から離間させて配置するステップと;前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することによって、参照インピーダンス値を得るステップとを含む。この方法は更に、除去電極を、前記生物学的組織に接触させる必要はないが、その「近接した」位置、即ち、前記生物学的組織の近傍またはこれに隣接した位置に移動させるステップと;前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンス値を得るステップと;該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む。
【0014】
更に詳細な側面において、前記評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンス間の差分パーセントを計算するステップを含む。更に、電極/組織接触の状態を指示するステップは、前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;前記差分パーセントが5%〜10%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む。もう一つの小側面において、前記参照インピーダンス値は、所定の時間内に得られた複数の参照インピーダンス値の平均である。更にもう一つの小側面において、前記評価インピーダンス値は、所定の時間内に得られた複数の評価インピーダンス値の平均である。更にもう一つの小側面において、当該方法は更に、評価インピーダンス値を得る前に、電気絶縁体を除去電極に対して配置するステップを含んでおり、前記除去電極が前記生物学的組織の近傍にあるときには、前記電極が、前記電気絶縁体と前記組織との間に介在されるようになっている。
【0015】
第二の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される複数の除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法に関する。この方法は、前記複数の除去電極を前記生物学的液体の中に配置すること;第一の参照電極を、前記複数の除去電極および前記生物学的組織から離間させて配置すること;および少なくとも一つの除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、参照インピーダンス値を得るステップを含む。この方法はまた、前記複数の除去電極を前記生物学的組織に近接した位置に移動させるステップと;夫々の除去電極について、第二の参照電極を除去電極および生物学的組織から離間して配置し、また除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンスを得るステップと;該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む。
【0016】
第三の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される複数の除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法に関する。この方法は、前記複数の除去電極を前記生物学的液体の中に配置すること;第一の参照電極を、前記複数の除去電極および前記生物学的組織から離間させて配置すること;および少なくとも一つの除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、参照インピーダンス値を得るステップを含む。この方法は更に、前記複数の除去電極を前記生物学的組織に近接した位置に移動させるステップと;選択された除去電極対の間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンス値を得るステップと;該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む。
【0017】
第四の側面において、本発明は、除去電極と、生物学的液体を有する運動する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法に関する。この方法は、前記除去電極を前記生物学的組織に近接して配置するステップと;参照電極を前記除去電極から離間して配置し、前記除去電極に、前記器官の幾つかの運動を誘導するのに十分な時間だけ信号を印加するステップとを含む。この方法は更に、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを前記時間に亘って周期的に測定することにより、一連のインピーダンス値を得ることと、電極/組織接触を示す変動について、前記一連のインピーダンス値をモニターするステップとを含む。
【0018】
より詳細な側面においては、前記電極/組織接触を示す変動について前記一連のインピーダンス値をモニターするステップは、複数の前記インピーダンス値に基づいて平均インピーダンス値を得るステップと、前記平均インピーダンスに対する前記インピーダンス値の標準偏差を計算するステップと、「偏位パーセント」を計算するステップとを含む。偏位パーセントは、平均インピーダンスに対するパーセントで表された標準偏差である。更に、偏位パーセントが少なくとも略2%であるときには、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;偏位パーセントが略1%〜2%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;偏位パーセントが略1%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップが含まれる。
【0019】
第五の側面において、本発明は、除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法に関する。この方法は、前記除去電極を前記生物学的組織に近接して配置するステップと;参照電極を、前記除去電極から離間させて配置するステップと;第一の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定し、また第二の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するするステップとを含む。この方法は更に、前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップと、電極/組織接触の状態を指示するステップを含む。
【0020】
より詳細な側面において、前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップは、この二つのインピーダンス間の差分パーセントを計算するステップを含む。更に、電極/組織接触の状態を指示するステップは、前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;前記差分パーセントが5%〜10%であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む。もう一つの側面において、前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンスの比を計算するステップと、この比を既知の値と比較するステップとを含む。また、電極/組織接触の状態を指示するステップは、前記比が前記既知の値に略等しいときには、電極/組織接触がないことを指示するステップと;前記比が前記既知の値から略±0.1〜±0.15の量だけ偏位するときには、少なくとも一部の電極/組織接触を指示するステップと;前記比が前記既知の値から略±0.15よりも大きい量だけ偏位するときには、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップとを含む。
【0021】
第六の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置に関する。この装置は、出力として前記除去電極への駆動信号および参照電位を与える信号発生装置と、前記除去電極から離間し且つ前記参照電位に応答する参照電極とを含む。この装置は更に、前記除去電極が前記生物学的液体の中に位置するときには、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す参照インピーダンスを与え、また前記除去電極が前記生物学的組織に近接して位置するときには、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す評価インピーダンスを与えるためのインピーダンス測定装置と;前記参照インピーダンスおよび前記評価インピーダンスの信号に応答して、これらインピーダンス信号を分析し、電極/組織接触の状態を示すためのプロセッサとを含む。
【0022】
第七の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置に関する。この装置は、出力として前記除去電極への駆動信号および参照電位を与える信号発生装置と、前記除去電極から離間し且つ前記参照電位に応答する参照電極とを含む。この装置は更に、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す一連の評価インピーダンス値を与えるためのインピーダンス測定装置と、前記一連の評価インピーダンス信号に応答して、電極/組織接触を示す変動について前記一連のインピーダンス値をモニターするためのプロセッサとを含む。
【0023】
第八の側面において、本発明は、一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置に関する。この装置は、出力として、参照信号、および第一の時間内には前記除去電極への第一の駆動信号を与える信号発生装置を含み、前記第一の駆動信号は第一の振幅および第一の周波数を有する。また、前記信号発生装置は、第二の時間内には、前記除去電極への第二の駆動信号を出力として与え、該第二の駆動信号は第二の振幅および第二の周波数を有する。この装置は更に、前記第一の電極から離間し且つ前記参照信号に応答する参照電極と;出力として、第一の時間内には、前記除去電極と参照電極との間のインピーダンスを示す第一の評価インピーダンス信号を発生すると共に、第二の時間内には、前記第一および第二の電極の間のインピーダンスを示す第二の評価インピーダンス信号を発生するためのインピーダンス測定装置と;前記第一および第二の評価インピーダンス信号に応答して、これらインピーダンスを電極/組織接触を示す予め定められた値と比較するためのプロセッサとを含む。
【0024】
第九の側面において、本発明は、少なくとも一つの電極を有する電極装置を通して、生物学的組織に除去エネルギーを与えると共に、該組織の電気的活性をモニターする方法に関する。この方法は、少なくとも一つの電極を組織に近接して配置するステップと;第一のリードを介して前記少なくとも一つの電極に高周波成分を含む除去電力を印加するステップと;前記電極から前記第一のリードを通して、前記組織中の電気的活性を示すフィードバック信号を受信するステップとを含む。この方法はまた、何れかの高周波成分を除去するために前記フィードバック信号をフィルターするステップと、該フィルターされたフィードバック信号を、第二のリードを介して機器に与えるステップとを含む。
【0025】
第十の側面において、本発明は、生物学的組織に近接して配置された少なくとも一つの電極を有する電極装置を通して、前記組織に除去電力を与えるための装置に関する。この装置は、高周波成分を有する除去電力を生じるための発生器と;高周波フィルタと;前記少なくとも一つの電極および前記フィルタに除去電力を与えるための第一のリードとを含み、該第一のリードは更に、前記電極からのフィードバック信号を前記フィルタに与え、また第二のリードがフィルタ出力を器具に与える。
【0026】
第十一の側面において、本発明は、夫々が高周波成分を有する複数の除去電力信号を生じる発生器と;複数の高周波フィルタと;複数の電極を有する電極装置と;夫々が前記電極の一つおよび前記フィルタの一つに一つの除去電力信号を与える複数の第一のリードであって、該第一のリードは更に、前記電極からのフィードバック信号を前記フィルタに与える第一のリードと;それぞれが前記機器に第一の出力を与える複数の第二のリードとを含む装置に関する。
本発明のこれらの側面および利点は、本発明の特徴を実施例として示す、以下の詳細な説明および添付の図面から明かになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、心電図(「ECG」)フィルターシステムを備えた電力制御システム(「PCS」)、接触評価装置(「CAD」)カテーテルシステムおよびバックプレートを含む除去装置の概略ブロック図である。
【図2】図2は、ハンドルと、電極の線形アレイをもつプリフォームされた先端セグメントとを有するカテーテルシースを含む、図1のカテーテルシステムの図である。
【図3】図3は、図2の先端セグメントの一部を示す詳細な概略ブロック図であり、チップ電極および幾つかの帯状電極を図示している。
【図4−1】図4−1は、位相角度制御、デューティーサイクル制御、並びにインピーダンスおよび温度モニター回路を含むPCSと、矩形波調節、電流検知およびリレー制御回路を含むCADとの詳細を与えるブロック図を形成している。
【図4−2】図4−2は、位相角度制御、デューティーサイクル制御、並びにインピーダンスおよび温度モニター回路を含むPCSと、矩形波調節、電流検知およびリレー制御回路を含むCADとの詳細を与えるブロック図を形成している。
【図5−1】図5−1は、多重チャンネル除去装置の図を形成しており、ここでは単一のPCSマイクロプロセッサが、各チャンネルへの除去エネルギーの印加を個別に制御し、また単一のCADマイクロプロセッサが、選択された電極および/またはバックプレートの間のインピーダンスのモニタリングを制御する。
【図5−2】図5−2は、多重チャンネル除去装置の図を形成しており、ここでは単一のPCSマイクロプロセッサが、各チャンネルへの除去エネルギーの印加を個別に制御し、また単一のCADマイクロプロセッサが、選択された電極および/またはバックプレートの間のインピーダンスのモニタリングを制御する。
【図6A】図6Aは、図6B、6C、6D、6Eおよび6Fがどのように関係しているかを示している。
【図6B】図6Bは、ECGフィルタを含むPCSの実施例の概略図を形成している。
【図6C】図6Cは、ECGフィルタを含むPCSの実施例の概略図を形成している。
【図6D】図6Dは、ECGフィルタを含むPCSの実施例の概略図を形成している。
【図6E】図6Eは、ECGフィルタを含むPCSの実施例の概略図を形成している。
【図6F】図6Fは、ECGフィルタを含むPCSの実施例の概略図を形成している。
【図7−1】図7−1は、CADの実施例の概略ブロック図を形成している。
【図7−2】図7−2は、CADの実施例の概略ブロック図を形成している。
【図8a】図8aは、生物学的部位内に配置されて局部的血液プールの中に浮いている、図2のカテーテルシステムの先端セグメントを示す図である。
【図8b】図8bは、生物学的部位内で生物学的組織に近接して配置されて、殆どの電極が血液プール内にある、図2のカテーテルシステムの先端セグメントを示す図である。
【図8c】図8cは、生物学的部位内で生物学的組織に近接して配置されて、各電極が組織に密着している、図2のカテーテルシステムの先端セグメントを示す図である。
【図9a】図9aは、電気的に絶縁性であるが熱伝導性の材料で部分的にコートされた完全な環状の帯状電極を有する、カテーテルシステムの先端セグメントの一部を示す図である。
【図9b】図9bは、曲面の外径上に配置された半環状の帯状電極を有する、カテーテルシステムの先端セグメントの一部を示す図である。
【図9c】図9cは、帯状電極を部分的に取囲む絶縁材料からなる外部シースを有する、カテーテルシステムの先端セグメントの一部を示す図である。
【図10A】図10Aは、生物学的部位と接触した帯状電極の線形アレイを有し、前記生物学的部位の対向側にはバックプレートを有する除去装置の三次元図であり、該線形アレイにおける隣接する電極間の位相角度差はゼロ度である。
【図10B】図10Bは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の深さを描いており、該装置が複数の電極を備えた単極性装置として作用すること、および得られる破壊が不連続であることを示している。
【図10C】図10Cは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の深さを描いており、該装置が複数の電極を備えた単極性装置として作用すること、および得られる破壊が不連続であることを示している。
【図10D】図10Dは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の深さを描いており、該装置が複数の電極を備えた単極性装置として作用すること、および得られる破壊が不連続であることを示している。
【図11A】図11Aは、生物学的部位と接触した帯状電極の線形アレイを有し、前記生物学的部位の対向側にはバックプレートを有する除去装置の三次元図であり、該線形アレイにおける隣接する電極間の位相角度差は180°である。
【図11B】図11Bは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、該装置が二極性装置として働く複数の電極を備えた単極性装置として作用し、バックプレートには有意な量の電流が流れないことを示している。
【図11C】図11Cは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、該装置が二極性装置として働く複数の電極を備えた単極性装置として作用し、バックプレートには有意な量の電流が流れないことを示している。
【図11D】図11Dは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図10Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、該装置が二極性装置として働く複数の電極を備えた単極性装置として作用し、バックプレートには有意な量の電流が流れないことを示している。
【図12A】図12Aは、生物学的部位と接触した帯状電極の線形アレイを有し、前記生物学的部位の対向側にはバックプレートを有する除去装置の三次元図であり、該線形アレイにおける隣接する電極間の位相角度差は90°である。
【図12B】図12Bは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図11Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、位相角度差から生じるより大きな深さの破壊を示している。
【図12C】図12Cは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図11Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、位相角度差から生じるより大きな深さの破壊を示している。
【図12D】図12Dは、図示のx、yおよびz軸に沿った、図11Aの除去装置により形成された破壊の連続性および深さを描いており、位相角度差から生じるより大きな深さの破壊を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図面を参照すると、そこでは幾つかの図面の間で、同様のまたは対応する要素を指定するために同様の参照番号が使用されており、図1には、生物学的部位、例えば心臓における心房または心室の除去療法に使用するための装置10が示されている。この装置10は、電力制御システム12、接触評価装置(「CAD」)14、一対のバックプレート16、およびカテーテルシステム18を含んでいる。カテーテルシステム18は、ハンドル20、および先端セグメント24を有する操縦可能なカテーテルシース22を含んでいる。先端セグメント24は、少なくとも一つの電極(図示せず)を担持している。先端セグメント24は、皮下的に生物学的部位の中に導入されることができる。
【0029】
電力制御システム12は、電力発生器26を具備しており、これはそれが電力またはドライブ28を与える幾つかの数の出力チャンネルを有していてもよい。電力発生器26の動作は、制御信号32を電力発生器26へ出力するコントローラ30によって制御される。コントローラ30は、電力発生器26によって与えられる電力28をモニターする。加えて、コントローラ30はまた、カテーテルシステム18から温度信号34を受取る。電力28および温度信号34に基づいて、コントローラ30は電力発生器26の動作を調節する。
【0030】
電力28はCAD 14に入力され、また電力制御システム12内に含まれる心電図(ECG)に入力される。以下で更に説明するように、ECGフィルターシステム36は、電力28をフィルターして、ECG分析のためのECG信号を与える。このECGフィルターシステム36は、ECG信号38を接触評価装置14へ出力する。次いで、ECG信号38はECG増幅器(図示せず)に送られる。接触評価装置14は、カテーテルシステム18に電力を与える。CAD 14はまた、バックプレート16から電力発生器26への戻り経路を与える。以下で更に説明するように、CAD 14は、カテーテルシステム18からのデータを収集し、それをコントローラ30に与える。このデータ42を用いて、カテーテルシステム18の電極(図示せず)と、除去すべき生物学的組織との間の接触の充分さが評価される。
【0031】
図2および図3に示すように、カテーテルシステム18の先端セグメント24は、電極装置44(図3)を含んでいる。電極装置44は、概略的な形態で示されており、部品は、部品間の関係をより明瞭に示すように描かれている。電極装置44の好ましい実施例は、カテーテルシース22の先端セグメント24に沿って実質的に線形アレイに配列された、12個の帯状電極46を含んでいる。電極装置44は、チップ電極48を含んでいてもよい(図示を明瞭にするために、図3には四つの帯状電極46だけが示されているが、上記で述べたように、好ましい実施例はより多くの電極を含むことができる)。帯状電極46は、隣接する電極間にスペース50が存在するように配置される。電極装置44の一つの構成において、帯状電極46の幅は3 mmであり、これら電極の間のスペース50は4 mmである。電極装置44の全長は、それ自体、略8 cmである。
【0032】
帯状電極46の配置は線形アレイに限定されず、他のパターンの形態をとってもよい。典型的には長さ4〜8 cmの破壊が望まれる心房細動の治療のような、一定の治療処置については実質的に線形のアレイが好ましい。線形アレイは、カテーテルシース22によってより容易に担持され、またカテーテルのサイズを小さくする。
【0033】
帯状電極46は、除去すべき生物学的組織よりも顕著に高い熱伝導性を有する材料で形成される。可能な材料には、銀、金、クロム、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニッケル、白金、および白金/10%イリジウムが含まれる。帯状電極46と組織との間の熱伝導性の差のために、該電極は、生物学的部位の流れる液体中でより迅速に冷却される。電極の冷却を可能にすると同時に、組織の温度が除去を生じる温度になるように、帯状電極46に供給される電力を除去の間に調節してもよい。帯状電極46は、心臓の中の液体、例えば血液との接触に利用可能な表面積が、電極から周囲の血液への効果的な熱の散逸を可能にするために充分であるようなサイズである。好ましい実施例において、電極46は7フレンチ(直径2.3 mm)で長さ3 mmである。
【0034】
電極装置44には、その長さに沿った種々の点において、電極装置44の温度をモニターするための熱センサ52が結合されている。一実施例において、各帯状電極46はこれに装着された熱センサ52を有している。各熱センサ52は、温度信号34(図1)をコントローラ30に提供し、これは当該センサにおける夫々の帯状電極46(図2および図3)の温度を指示する。電極装置44のもう一つの実施例において、熱センサ52は一つ置きの帯状電極46に装着される。従って、12個の電極を有するカテーテルについては、6個の電極に熱センサが存在する。電極装置44の更にもう一つの実施例では、一つの置きの電極が二つの熱センサ52を有している。各電極について一つの熱センサを有する図3の実施例には、各電極に除去のための電力を与えるように、各電極について一つの電力リード54と、熱カップル効果を確立するために各熱センサ52について二つの温度リード56が示されている。
【0035】
次に、図4−1および図4−2を参照すると、一つの帯状電極46を有するカテーテルシステムとともに使用するための、一つのCAD 14および一つのチャンネル電力制御システム12を備えた除去装置のブロック図が提示されている。他の図に関連して述べるように、除去装置は、複数の帯状電極46を有するカテーテルシステムと共に使用するための多重チャンネル電力制御システム12を含んでいてもよい。図4−1においては、コントローラ30(図1)の一部である電力制御システム(「PCS」)マイクロプロセッサ58が、デューティーサイクル制御信号60をデューティーサイクル発生器(「DCG」)62に与える。この場合、デューティーサイクル発生器62は、8ビットラッチ64によって制御信号を受取る。該ラッチ64は、8ビット信号66をデューティーサイクルコンパレータ68に与える。このコンパレータ68は、該8ビット信号を、8ビットデューティーサイクルカウンタ70からのカウント78と比較して、該カウントが同じであれば、デューティーサイクルオフ信号72をデューティーサイクルゲート74に与える。ゲート74は、500 kHzを生じるオシレータのような周波数源(「FS」)に接続される。ゲート74は、コンパレータ68からデューティーサイクルオフ信号72を受取ると、該ゲートを通してその周波数源信号の出力を停止し、従って出力は存在しない。
【0036】
500 kHzの周波数において、8ビット制御は0.5 msecの周期または時間フレームを有する。50%のデューティーサイクルでは、電極のオフ時間は0.25 msecに過ぎない。電極のより大きな冷却を可能にするために、周期または時間フレームは、周波数源76とカウンタ70との間に介在されたプレスケーラ80によって延長される。一つの実施例において、プレスケーラ80は周期を4 msecにまで延長して、50パーセントデューティーサイクルの際の4 msecのオフ時間を可能にする。これは、上記で述べた非常に薄い帯状電極のための充分な冷却時間をもたらす。状況に応じて、他の長さの周期を使用してもよい。心臓組織の除去においては、10%のデューティーサイクルが特に有効であることが分かった。高ピーク電力の印加、10%デューティーサイクル、帯状電極に高熱伝導性材料を使用すること、および帯状電極を通過して流れる該電極に対して冷却効果を有する液体の組合せは、組織への遥かに効率的な電力の印加をもたらす。
【0037】
最終カウント検出器82は最後の周期カウントを検出して、最終カウント信号82をゲート74に送り、これは周波数源信号の連続した出力のためにゲートをリセットする。次いで、これはデューティーサイクルのオン周期を開始し、カウンタ70がそのカウントを再開する。一つの好ましい実施例では、デューティーサイクルが50パーセントに設定され、従って8ビットラッチは128にセットされる。もう一つの実施例では、デューティーサイクルは10%に設定される。
【0038】
プログラム可能な論理アレイ(「PLA」)86は、PCSマイクロプロセッサ58から位相制御信号88を受取り、これに従って周波数源76の位相を制御する。一つの実施例において、PLA 86は、最終カウント検出器82から最終カウント信号84を受取り、該最終カウント信号を受取った後の位相変化のみを許可する。
【0039】
デューティーサイクルのオン周期の間、ゲート74からの出力信号は、信号を高レベル(この場合は24ボルト)にまで増大させる二極性電力増幅器(「BPA」)90に与えられる。次いで、この増幅された信号はバンドパスフィルタ(「BPF」)92でフィルターされて、ある程度の矩形波を正弦波に変換する。一実施例におけるバンドパスフィルタ92の中心は、500 kHzに設定される。次いで、フィルターされた信号は、信号をはるかに高いレベル(例えばピーク-ピークで350ボルト)に増幅する孤立した出力変圧器(「IOT」)94に与えられる。次いで、この信号は、電力出力信号OUTn 28としてCAD 14およびECGフィルターシステム36に与えられる前に、リレー接続器(「RI」)96に送られる。CAD 14において、電力出力信号28は、CADフィードスルー126を通して電極46に供給される。
【0040】
一つの実施例では、電極46でのインピーダンスを決定するために、孤立した出力変圧器94からの電力出力信号28がモニターされる。図4−1および図4−2に示した実施例では、電圧および電流モニター(「VCM」)98が使用される。モニター信号100は、A/Dコンバータ(「ADC」)102によってデジタル形態に変換されて、PCSマイクロプロセッサ58に与えられる。先に述べたように、電極46の幾つかまたは全部は、電極46での温度測定に使用される温度信号34(図4-2)を与えるための、熱センサ52(図3)を含んでいてもよい。本発明の一つの実施例において、電力28は温度信号34と組合せて、電極46での温度を測定するために使用される。温度信号34および電力28の両者は、PCSマイクロプロセッサ58に送られる前に、温度フィルタ(「FL」)104を通過する。或いは、温度フィルタ104は、コントローラ30とは別の印刷回路基板の中に含められ、それ自身のプロセッサを含む。何れの場合にも、フィルタ104は、この信号が温度モニタリングの目的で使用できるように、電力28の中に存在する如何なるRFノイズをもフィルターする。もう一つの実施例では、PCSマイクロプロセッサ58は、電力28のデューティーサイクルのオフ周期の間だけ、電力28および温度信号34をモニターする。従って、電力ラインには無視できるRFノイズだけが存在し、フィルタは必要ない。何れの実施例においても、PCSマイクロプロセッサ58は、インピーダンス信号または温度信号の何れかまたは両方に応答して、電力28のデューティーサイクルを変化させればよい。
【0041】
ECGフィルターシステム36では、電力信号28がフィルターされて500 kHzの周波数成分が除去され、高周波干渉のないECG信号38が与えられる。従って、このECG信号は、除去電極により生物学的組織内で検出される低周波数(典型的には0〜250 Hz)の電気信号を含んでいる。以下で説明するように、ECGフィルターシステム36は、除去エネルギーの印加と同時に、組織の連続的なECG分析を行うことを可能にする。
【0042】
CAD 14は、多重周波数の初期矩形波駆動信号108を発生するCADマイクロプロセッサ106を含んでいる。以下では駆動信号108を矩形波として説明するが、駆動信号は矩形波以外の形態を有していてもよいと理解される。初期駆動信号108は、矩形波調整回路110に入力される。この調整回路110は、矩形波駆動信号108をゼロボルト付近にセンタリングし、駆動信号の振幅を非ペースメーキングレベル、即ち心臓のペースメーキングを誘導するには不充分なレベルに低下させるように動作する。
【0043】
次いで、調整された駆動信号112は、電流検知回路114に入力される。電流検知回路114は、電流電池回路を通過する電流,即ち駆動電流を計算するために使用されるCADマイクロプロセッサ106に、電圧信号112,124を与える。この調整された駆動信号112は、ラインAリレー回路116に入力される。ラインAリレー回路116は、CADマイクロプロセッサ106によって制御される。図4に示したような単一電極のカテーテルシステムにおいては、調整された駆動信号112が、接触評価の際に駆動電極として働く単一電極46に与えられる。
【0044】
駆動電極46から離間して配置された参照電極120は、インピーダンス測定のための参照点を与える。単一電極装置において、参照電極120は、典型的にはバックプレート16である。或いは、カテーテルは、単一の駆動電極46に加えて専用の参照電極120を有していてもよい。この専用の参照電極120は、ラインBリレー回路122を介して、CAD接地または既知電圧VEIの信号に結合されてもよい。調整されたっ駆動信号112は、CADマイクロプロセッサ106にフィードバックされ、ここでデジタル化されてPCSマイクロプロセッサ58に送られる。フィードバックされた駆動信号の電圧値、参照電極の既知の電圧値(患者の接地電圧、機器の接地電圧、または既知の電圧)、および先に計算された駆動電流に基づいて、PCSマイクロプロセッサ58は、駆動電極46と参照電極120との間のインピーダンスを計算する。
【0045】
次に、図5−1および図5−2を参照すると、複数の除去電極46を有するカテーテルシステムと共に使用するための、CADおよび多重チャンネル電力制御システムを有する除去装置のブロック図が示されている。三つの完全なチャンネルだけが示されているが、後続のドットで示すように、当該装置は更に多くのチャンネルを含んでいてもよい。これらのチャンネルは、図示の明瞭さを保持するために、図5−1および図5−2には示されていない。
【0046】
これもコントローラ30(図1)の一部である単一のPCSマイクロプロセッサ58は、この実施例では、夫々のチャンネルのデューティーサイクルおよび位相を制御する。示された各チャンネルは同じ要素からなっており、各チャンネルは、夫々の電極リード(リード1、リード2、…、リードn:nはリードの総数)上で、個々のECGフィルタ108へのそれ自身の電力出力信号28(OUT1、OUT2、…、OUTn:nはチャンネルの合計数)、および電極46へのCADフィードスルー126を生じる。
【0047】
CADは、複数の電極リレー130を含んで入る。電極リレー130の夫々への入力は、ラインA 132、ラインB 134、およびリレー制御ライン136である。ラインA 132は、調整された駆動信号112、または外部的に印加される既知電圧の信号VE1の何れか一つを運ぶ。ラインA 132上で何れの信号を利用可能にするかの選択は、CADマイクロプロセッサ106の案内の下でラインAリレー116によって制御される。ラインA 132は、調整された駆動信号112または外部信号VE1を選択された一つの電極46に与え、次いで、該電極は接触評価のための駆動電極として作用する。
【0048】
ラインB 134は、駆動電極として作用する電極以外の一つの電極46に信号を与える。ラインB 134は、CAD接地、外部的に印加される既知電圧の信号VE2、またはバックプレートの何れか一つを与える。電極46の何れかの対の間でインピーダンスが測定される二極性動作において、ラインB 134は、電極46の一つについて、CAD接地または外部的に印加される既知電圧VE2の信号への接続経路を与える。単極性動作においては、ラインB 134 は、電極46の一つについて、バックプレート16への接続経路を与える。ラインB 134上で何れの信号を利用可能にするかの選択は、CADマイクロプロセッサ106の案内の下で、ラインBリレー122によって制御される。
【0049】
電極リレー130の動作は、CADマイクロプロセッサ106の案内の下で、リレー制御回路118によって制御される。ラインAリレー116およびラインB112の動作は、CADマイクロプロセッサ106によって直接制御される。以下で更に説明するように、CADはリレー116,118,130を制御して、電極40の何れかの対の間、または一つの電極46とバックプレート16との間でのインピーダンス測定を与えるようにプログラムすることができる。以下で説明するように、これらのインピーダンス測定は、電極/組織接触の充分さを評価するために使用される。
【0050】
図6A〜図6Fを参照すると、図2の電力制御システムの一実施例の概略図が、図6B〜図6Fに提示されている一方、図6Aは、図6B〜図6Fが如何にして相互に配向されるべきかを示している。周波数源76は、PCSマイクロプロセッサ58により位相角度を制御された典型的には500 kHzの信号138を、PLA 86を介してデューティーサイクル発生器62に与える。デューティーサイクル発生器62は、周波数源信号138を調節し、先に説明したデューティーサイクル制御信号60に従って、選択されたデューティーサイクルを生じる。デューティーサイクル発生器62は、二つの信号140および142を二極性増幅器90に出力する。二重MOSFETドライバU2はこれらの信号を受け取って、それらの5Vレベルを12Vレベルに変換し、その夫々を変圧器T2に送り、該変圧器はこれらの信号を24Vのピーク-ピーク電力に変換する。
【0051】
この24Vの信号は、次いで、FET Q2,Q3,Q4,Q5の構成を含む多重状態ドライバ144に送られる。典型的には電力周期にあるドライバ144の導通状態の間に、これらのFET Q2〜Q5が導通して、電力をセンスLCネットワークからなるバンドパスフィルタ92へと向ける。ドライバ144の高インピーダンス状態の際(典型的には電力のオフ周期の間)、これらのFET Q2〜Q5は非導通であり、電力はバンドパスフィルタ92へ送られない。その代りに、FET Q2〜Q5は、電極46を通して受信された何れかの信号に高インピーダンス負荷を与える。典型的には、これらFET、電極、および組織に続く回路によって与えられるFET Q2〜Q5に対する負荷インピーダンスは略50Ωであるが、出力変圧器T3を通して変圧され、略0.5〜1Ωの負荷インピーダンスをFET Q2〜Q5に与える。オフ状態において、これらのFETは略250Ωの負荷インピーダンスを与え、これは略0.5〜1Ωの変形された負荷インピーダンスに比較して大きい。従って、これらFETがオフ状態にあるときには非常に小さい電力が流れる。
【0052】
バンドパスフィルタ92は、二極性増幅器90によって与えられた出力信号を、矩形波から正弦波に成形するように動作する。次いで、このフィルターされた信号146は孤立した出力セクション94に送られ、ここでは、T3において350ボルトのピーク-ピーク正弦波電力に変形される。次いで、この電力は二つのの同一の電力信号OUT1AおよびOUT1Bに分割される。OUT1AおよびOUT1Bの夫々はLC直列共鳴回路148に与えられ、これは該信号が二極性周波数、例えば略500 kHzまたはその近傍にあることを保証する。次いで、OUT1AおよびOUT1Bは、出力ラインLEAD1AおよびLEAD1B上で、二以上の帯状電極46にそれぞれ与えられる。
【0053】
ECG分析の際に、帯状電極46からのフィードバック信号は、4次バターワースフィルタからなるECGフィルタに入力される。これらのフィードバック信号は、生物学的組織に存在する一般に低い周波数信号を含んでいる。また、フィルタ128への入力はLC共鳴回路148への出力であり、これは典型的には略500 kHzの本質的に高周波数の除去信号である。ECGフィルタ128は、高周波除去信号をフィルターして、低周波数成分のみを残す。次いで、この信号はECG増幅器/記録器に供給され、ここでは生物学的組織のECG活性をモニターすることができる。
【0054】
また、孤立した出力セクション94は、夫々の電極46で高温または高インピーダンスのような警告条件が検出されたときに、電力信号OUT1AおよびOUT1Bを電極リードLEAD1AおよびLEAD1Bから除去するように、個別的に開成し得るリレー150を含んでいる。先に述べたように、これらの条件は、夫々の電極46の温度およびインピーダンスを示す信号を受取るPCSマイクロプロセッサ58によって測定される。
【0055】
この孤立した出力セクション94からの電力はモニターされ、代表的な信号がRF電圧および電流モニター98に供給される。この場合、特定のチャンネルのインピーダンスを測定するために、各出力信号の電圧および電流が測定される。測定された信号は、インピーダンスモニタリングのためにPCSマイクロプロセッサ58へ送られる前に、A/Dコンバータ102(図2)に送られる。このインピーダンスが血液の凝結または沸騰を示す閾値レベルを超えるときは、PCSマイクロプロセッサ58はデューティーサイクル発生器62に信号を送り、電力OUT1AおよびOUT1Bのデューティーサイクルを減少または切断して、電極46への有効電力を低下させる。
【0056】
同様に、電極46における温度は、電力信号および温度信号をモニターし、また信号の間の電圧さを測定することによって決定される。先に述べたように、本発明の一実施例において、これらの信号はPCSマイクロプロセッサ58へ送られる前に、フィルタ104(図2)を通過する。この電圧値は温度に変換され、温度が閾値レベルを超えていれば、電力14のデューティーサイクルが減少される。単一のリードを用いて、温度を決定するために使用される信号を与え、また電極46に電力を与える場合、該リードからの信号は、リレー150の出力側で接続された温度リード87,89上で受信される。
【0057】
図5に示すように、各電極45のデューティーサイクルは、PCSマイクロプロセッサ58によって個別的に制御すればよい。先に述べたように、電極46での温度、並びに電極に与えられる出力信号の電流および電圧に基づいて、出力信号のデューティーサイクルを調節してもよい。例えば、一つの電極46は10%のデューティーサイクルを必要とする温度を有し得るのに対して、もう一つの電極は、50%のデューティーサイクルを可能にする温度を有していてもよい。一つ置きの電極46が温度センサ52を有する一つの実施例において、これらの電極は、同じデューティーサイクルを有する対において各電極との対でグループ分けされる。
【0058】
図6B〜6Eを参照すると、以下の装置が示されている。
装置 部品番号 製造業者
U1 GAL6002B Lattice社
U2 SN75372 多数
Q1 1RFZ34N 多数
Q2,Q3,Q4,Q5 1RFZ44N 多数
Q7,Q8,Q9 MPF6601 多数
R3,R5 1Ω 多数
T1,T4 CMI-4810 Corona Magnetics, Inc.社
T2 GFS97-0131-1 GFS Manufactruing社
T5 CMI-4809 Corona Magnetics, Inc.社
「T3」で指定される変圧器は、1:2の巻線比でTDKコアPC50EER23Z上に巻回された、単一の一次巻線ステップアップ変圧器である。
【0059】
次に、図7−1および図7−2を参照すると、CADマイクロプロセッサ106は、「矩形」出力108において、二重周波数の、5Vのピーク-ピーク矩形波を与える。信号の周波数は、CADマイクロプロセッサ105によって設定され、また該マイクロプロセッサを再プログラミングすることにより変更できる。好ましい実施例において、これらの周波数は10 kHzおよび500 kHzである。この夫々の周波数の持続時間もまた、CADマイクロプロセッサ106によって設定される。該信号は、典型的には、その信号の全持続時間の一部について、各周波数に設定される。例えば、信号が10秒間出力されるとすれば、この信号は5秒間は10 kHzであり、残りの5秒間は500 kHzである。
【0060】
5Vの矩形波は、オフセット電圧フォロワー152を含む矩形波調整回路110に入力される。このオフセット電圧フォロワー152は、5Vの矩形波をバッファーし、±2.5Vにセンタリングする。電圧フォロワー152の出力における電圧分割器は、±2.5Vの矩形波信号を±50 mVのピーク-ピーク矩形波信号112に制限する。この二重周波数、即ち50 mVの信号はドライブ信号として働き、また何れかのインピーダンス信号に先立って、CADマイクロプロセッサ106のピンVR1およびVR2の両方で利用可能である。
【0061】
CAD 14は、二極性インピーダンス測定が、電極46(図5)の選択された対の間で行われることを可能にするリレー回路116,122,130を含んでいる。このリレー回路116,122,130(図7−2)はまた、何れかの電極46(図5)とバックプレート16との間で二極性測定を行うことを可能にする。リレー116,122,130の状態は、CADマイクロプロセッサ106によって制御される。CADマイクロプロセッサは、リレー13A 116およびリレー13Bおよびリレー25 122を直接制御する。電極リレー回路130の状態は、三つの8ビットラッチ回路154を介して制御される。電極リレー130を制御するためのデータビットDBO-DB7は、EPROM 156に保存される。データビットDB0-DB7は、アドレスライン186を介して、CADマイクロプロセッサ106によって選択される。CADマイクロプロセッサ106は、追加の8ビットラッチ158を通してEPROM 156の一部にアドレスする。選択時に、データビットDB0-DB7は8ビットラッチ154の夫々に送られる。包括論理アレイ(GAL)160からのストロボA,B,Cライン188は、ラッチ154の活性化状態を制御する。実行中のGAL 160は、アドレスライン190を通してCADマイクロプロセッサ106により制御される。
【0062】
リレー13A 116は、ラインA上において、駆動電圧VR2または外部電圧VE1の何れかの利用可能性を与える。外部電圧VE1は、±50 mV矩形波信号とは異なる電圧で電極46を駆動するために使用される。インピーダンス測定を得るために、何れかの非ペースメーキング電圧を使用して電極46を駆動してもよい。例えば、電極/組織接触の評価において20 mV〜200 mVの電圧を使用してもよい。
【0063】
ラインA電極リレー130の閉鎖は、VR2またはVE1を電極46の一つに接続し、これは、次いでインピーダンス測定の目的のための駆動電極として作用する。このリレー130が閉じると、駆動電極からのフィードバック信号は僅かな電圧降下を受ける。以下で更に説明するように、この電圧降下は、駆動電極ともう一つの選択された電極(即ち、参照電極)との間を流れる電流を検知するために使用される。
【0064】
二極性モードのインピーダンス測定の際には、リレー13Bおよびリレー25 122が協働して、CAD接地または外部の非接地電圧VE2を与える。ラインB電極リレー130の一つの閉鎖は、電極46をCAD接地またはVE2に接続する。この電極46は参照電極として働く。単極性モードのインピーダンス測定に際し、リレー13Bおよびリレー25 122は協働して、バックプレート16(図5)へのアクセスを与える。ラインB電極リレー130の一つの閉鎖は、電極46をバックプレートに接続する。この電極46は参照電極として作用する。
【0065】
電圧VR1およびVR2は、CADマイクロプロセッサ106におけるアナログ/デジタルコンバータへの入力である。これらの電圧は、CADマイクロプロセッサ106によってデジタル化され、RS232チップ162を通してPCSマイクロプロセッサ58(図5)に送られる。当初、PCSマイクロプロセッサ58が最初に、フィードバック信号VR2および駆動信号VR1の電圧と、電流検知回路112に含まれる抵抗R4の既知の値との間の差に基づいて、電流検知回路114(図7)を通って流れる電流を決定する。この電流は、本質的には、駆動電極と参照電極との間を流れる電流と同じである。
【0066】
この電流値、および駆動電極と参照電極との間の電圧差を使用して、駆動電極と参照電極との間のインピーダンスが計算される。駆動電極がVR1(即ち、実質的に50 mV)に維持され、また参照電極がCAD接地またはバックプレート、即ち患者の接地に接続されるときには、この駆動電極と参照電極との間の電位差VD-Rは、通常は約50 mVである。或いは、駆動電極が外部から印加される電圧VE1に維持されるならば、VD-Rは50 mV以外の値でもよい。この値は、参照電極がCAD接地、患者接地、または他の既知電圧VE2の何れに接続されるかに依存する。
【0067】
図7−1および図7−2を参照すると、以下の装置が示されている。なお、リレー1A〜13Bおよび25は同一である。従って、リレー1Aのための部品だけが列記されている。
装置 部品番号 製造業者
U26 LM385-2-5 Texas Instruments社
U27,U28 1N5818 Motorola社
R1,R3 1.8 kΩ 多数
R2 3 kΩ 多数
R4,R7 10 kΩ 多数
R5 5.6 kΩ 多数
R6 300Ω 多数
Q28 TN0604N3 SuperTex.社
U11A LF353 Texas Instruments社
リレー1A
ダイオードDx 1N4004 多数
トランジスタQx TN0604N3 多数
リレー T795D-112-12 Potter & Bromfield社
【0068】
動作においては、RF除去エネルギーの印加に先立って、本発明の除去装置は、電極/組織接触評価を提供する。図8aおよび8cを参照すると、先端セグメント24が生物学的部位、例えば心臓の心房内に配置されたら、インピーダンスデータが収集および分析されて、電極/組織接触の充分さが決定される。
【0069】
本発明の一実施例では、先端セグメント24が心房の近傍または心房内に配置され、図8aに示すように、電極46の少なくとも一つが完全に血液プール164内にあるように、X線透視の下で配置される。CADマイクロプロセッサ106の制御の下で、駆動電極として作用するために、局部的血液プール164の中にある電極46の一つが選択される一方、参照電極として作用するために、パックプレート16または血液プール内の他の電極46の一つが選択される。例えば、図8aに示すように、電極Fが駆動電極として選択される一方、バックプレート16または電極Hが参照電極として選択されてもよい。次に、駆動電極に駆動信号を印加し、参照電極には参照電位を印加することにより、駆動電極と参照電極との間のインピーダンスが測定される。先に説明したように、この参照電位は、CAD接地または患者接地である可能性が最も高い。この初期計算は、局部血液プールのインピーダンス測定を提供し、この測定は、これとその後のインピーダンス測定を比較して電極/組織接触を評価するための参照として働く。
【0070】
実験によって、生物学的液体(例えば血液)の中に配置された電極間のインピーダンス測定は、一般的に生物学的組織に接触している電極間のインピーダンス測定よりも低いことが示されている。これをガイドラインに用いて、参照インピーダンスが測定されたら、再度X線透視下で先端セグメント24を再配置し、先に選択された駆動電極(例えばH)が、図8bおよび8cに示すように、組織に近接しまたは接触することが分かる位置に透視下で配置される。駆動電極と選択された参照電極との間のインピーダンスが計算される。この参照電極は、必ずしもそうである必要はないが、通常は、参照インピーダンスを計算するために使用したのと同じ参照電極である。この新たなインピーダンスは、「評価」インピーダンスと称される。
【0071】
次いで、評価インピーダンスおよび参照インピーダンスがPCSマイクロプロセッサ内で分析される。組織接触を示し得る有意な変化について、評価インピーダンスと参照インピーダンスとの間の差がモニターされる。これらの差は、インピーダンスの間の単純な機械的差異に基づくものであってもよく、またはインピーダンスの変化パーセントに基づくものであってもよい。実験により、参照インピーダンスに比較して、10%〜20%の評価インピーダンス増加は、電極/組織接触を示していることが示された。
【0072】
好ましい実施例においては、PCSマイクロプロセッサ58が、所定の時間内に、参照インピーダンスおよび評価インピーダンスの両方を連続的に計算し、夫々の平均インピーダンスを決定する。この時間は、例えば10秒である。従って、接触評価は平均インピーダンスに基づいている。平均値を使用することにおいて、この装置は、呼吸および/または心臓の収縮によって起きる電極の変位により生じ得るインピーダンス値の変動を説明する。
【0073】
PCSマイクロプロセッサは、評価インピーダンスおよび参照インピーダンスを分析し、電極/組織接触の状態の指標を提供する。この指標は、ディスプレー装置を介して、電力制御システムのフロントパネル上に与えてもよい。このディスプレー装置は、電極/組織接触の程度を示すパーセンテージの形態であってもよく、例えば、100%は完全な電極/組織接触を示し、減少するパーセンテージはより低い電極/組織接触を示す。同様の情報は、例えば棒グラフによって、グラフィックに提示されてもよい。
【0074】
PCSマイクロプロセッサは、二つのインピーダンスの間の差分パーセントを計算し、以下の指示を提供する。差分パーセントが少なくとも略10%であれば、PCSマイクロプロセッサは、実質的に完全な電極/組織接触が存在することを指示する。差分パーセントが大きいほど、電極/組織接触の信頼性レベルは大きい。差分パーセントが略5%〜10%であるときは、PCSマイクロプロセッサは、部分的な電極/組織接触が存在することを指示する。差分パーセントが略5%よりも低ければ、PCSマイクロプロセッサは電極/組織接触が存在しないことを指示する。
【0075】
除去装置10は、先端セグメント24に帯状電極46の線形アレイを有するカテーテルシステムと共に使用するために、特に良く適している。図8aおよび図8bを更に参照すると、局部的血液プール164の参照インピーダンスが決定されたら、線形アレイにおける各電極46について、電極/組織接触の評価を生じることができる。例えば、電極Aから始めて次々に電極Lまで続ければよく、各電極46と選択された参照電極との間のインピーダンスが測定される。夫々のインピーダンスを参照インピーダンスと比較して、電極/組織接触の充分さを評価する。
【0076】
先に述べたように、意味のあるインピーダンス平均を得るために、インピーダンスは、好ましくは連続的に数秒間測定される。この平均測定は、心臓収縮および呼吸によって誘起されるインピーダンス変動を効果的にフィルターする。次に説明する本発明のもう一つの実施例においては、これらインピーダンス変動が電極/組織接触評価を補助する。
【0077】
呼吸および心臓の収縮は、心臓組織に接触しているかもしれない電極を、心臓から動かしてしまう。このことを念頭に置けば、先端セグメント24が生物学的組織に近接して配置されると、インピーダンス測定のシーケンスは、心臓の何回かの収縮を含むのに充分な時間に亘って行われることになる。実験は、有意な変動についてこれらのシーケンスをモニターすることにより、電極/組織接触の評価を行い得ることを示している。呼吸/心臓収縮によるインピーダンスの変動は、電極組織接触が存在するときに最も顕著である。従って、平均インピーダンスからの大きな標準偏差は、組織接触の指標として働く可能性がある。他方、心臓の収縮により生じるインピーダンスのサンプル-サンプル変動の分析において、血液プール配置に対応する値は小さい範囲の変動を有しており、従って、平均インピーダンスからの小さい標準偏差を有していることが分かる。これについての理論は、カテーテルが「浮遊」しており、または組織に接触していないので動きが単純ではなく、また呼吸および心臓収縮によって少ししか影響されないということである。
【0078】
PCSマイクロプロセッサは、評価インピーダンスのシーケンスを分析して、電極/組織接触の状態の指標を提供する。PCSは最初に、複数のインピーダンスに基づいて平均インピーダンス値を得る。次いで、このPCSは平均インピーダンスに対するインピーダンスの標準偏差を計算する。次に、PCSは標準偏差を平均インピーダンスで割ることによって偏位パーセントを計算し、その結果をパーセント値として表す。次いで、PCSは次の指示を提供する。偏位パーセントが少なくとも略2%であれば、PCSマイクロプロセッサは、実質的に完全な電極/組織接触が存在することを指示する。偏位パーセントが大きいほど、電極/組織接触の信頼性レベルは大きい。偏位パーセントが略1%〜2%であれば、PCSマイクロプロセッサは、部分的な電極/組織接触が存在することを指示する。偏位パーセントが略1%未満であれば、PCSマイクロプロセッサは電極/組織接触がないことを指示する。
【0079】
右心房内での当該装置の一つの応用において、組織接触の際に、30秒間の平均インピーダンスは262Ωであったのに対して、インピーダンスのシーケンスの標準偏差は6.64であった。偏位パーセントは2.5%であった。組織接触がない場合、インピーダンスのシーケンスについて、1.78の標準偏差を伴う2.22Ωの平均インピーダンスが得られた。この場合の偏位パーセントは0.8%であった。なお、インピーダンスのシーケンスに基づいて接触を評価するときには、参照インピーダンス、即ち、血液プールのインピーダンスを得る必要はない。その代りに、先端瀬セグメント24を直ちに組織の近傍に配置して、電極/組織接触評価を行えばよい。
【0080】
実験は、駆動信号の周波数がインピーダンス測定に影響することを示している。一般に、周波数が低いほど、「選択性」、即ち、血液プールのインピーダンスと組織インピーダンスとの差は大きい。駆動信号の周波数が増大すると共に、選択性は減少する。接触評価分析のためには高い選択性を得るのが望ましいが、駆動信号周波数は、心臓のペースメーキングを回避するために充分に高く維持されるべきである。駆動信号の電圧および周波数の両方が、ペースメーキングに関与することが認められている。一般に、電圧レベルが増大するに伴って、それ以下ではペースメーキングが誘起される最小周波数は増大する。従って、例えば、50 mVの電圧レベルについては、10 kHzが可能性のある最小の非ペースメーキング周波数である。10 kHz未満の周波数は、ペースメーキングを誘導する可能性がある。電圧レベルが100 mVまで増大すると、最小の非ペースメーキング周波数は10 kHzよりも大きくなる。
【0081】
本発明のもう一つの実施例において、インピーダンス測定は二つの異なる周波数で行われ、この二つの間の変動を用いて電極/組織接触が評価される。この実施例は、「二重周波数」実施例と称される。二つの周波数は、低周波数および高周波数を含んでいる。低周波数は、一般に心臓のペースメーキング閾値よりも丁度上の周波数であり、高い選択性を与える。高周波数は、一般にはこの低周波数より少なくとも二倍だけ大きい周波数であり、低い選択性を与える。この高周波数は典型的には少なくとも100 kHzである。
【0082】
実験は、駆動信号の周波数における変動が、インピーダンスの対応する変動を生じることを示している。電極/組織接触の際の、高周波数インピーダンスおよび低周波数インピーダンスの間の差は、電極が血液プールの中にあるときの同じ二つの周波数でのインピーダンスの間の差よりも大きい。これらの観察は、低周波数インピーダンスおよび高周波数インピーダンスの間の差分パーセントに基づいて、或いは、低周波数インピーダンスに対する高周波数インピーダンスの比(または逆比)に基づいて組織接触を評価するために、本発明の二重周波数実施例において使用される。これらの二つのアプローチは、それぞれ「差分パーセント」アプローチ、および「比による」アプローチと称される。
【0083】
差分パーセントアプローチにおいて、先端セグメント24は、一以上の電極46が生物学的組織に、またはその近傍に配置されるように、透視下において配置される。本発明の他の実施例と同様に、電極46の一つは駆動電極として作用するのに対して、もうひとつの電極またはバックプレートは参照電極として作用する。第一の周波数を有する第一の駆動信号を所定時間だけ駆動電極に印加した後に、駆動電極と参照電極との間のインピーダンスが測定される。続いて、第一の周波数とは異なる第二の周波数を有する第二の駆動信号が所定時間だけ駆動電極に印加され、インピーダンス測定が行われる。好ましい実施例において、第一の周波数は10 kHzであり、第二の周波数は500 kHzであり、夫々の周波数のための時間は5秒である。
【0084】
PCSマイクロプロセッサは、二つのインピーダンス間の差分パーセントを計算することによって、第一周波数インピーダンスおよび第二周波数インピーダンスを分析する。差分パーセントが少なくとも10%であれば、PCSマイクロプロセッサは、実質的に完全な電極/組織接触が存在することを指示する。ここでも、差分パーセントが大きいほど、電極/組織接触の信頼性レベルは大きい。差分パーセントが略5%〜10%の範囲にあれば、PCSマイクロプロセッサは、部分的な電極/組織接触を指示する。差分パーセントが略5%未満であれば、PCSマイクロプロセッサは、電極/組織接触が存在しないことを指示する。
【0085】
比によるアプローチでは、PCSマイクロプロセッサは、二つのインピーダンスの比を計算することによって、第一周波数インピーダンスおよび第二周波数インピーダンスを分析する。次いで、この評価比は期待値、即ち、電極/組織接触がないことを示す「校正」値と比較される。CADの校正値は、通常はCADの以前の使用を通して決定される。例えば、最初にCADが使用されるときに、第一の周波数および第二の周波数の両方で血液のインピーダンスを測定し、これら二つの比を構成値として用いればよい。このCAD校正値は、典型的にはCAD EPROMの中に保存される。評価比が校正値に略等しければ、PCSマイクロプロセッサは電極/組織接触がないことを指示する。評価比が校正値から略±0.1〜±0.15だけ偏位したら、マイクロプロセッサは、少なくとも部分的な電極/組織接触を指示する。なお、この分析は比の比較に基づいているので、その後の測定が偏位する仕方(即ち、基底ラインよりも大きいか小さいか)は、接触評価分析とは無関係である。この評価比が校正値から略±0.5よりも大きい値だけ偏位すると共に、電極/組織接触の信頼性の程度は増大する。例えば、校正値より0.25だけ小さい評価比についての電極/組織接触の信頼性レベルは、校正値より0.16小さいだけの評価比についての信頼性レベルよりも大きい。一般に、評価比の偏位が略±0.15より大きいとき、マイクロプロセッサは、実質的に完全な電極/組織接触を指示する。
【0086】
別の比によるアプローチでは、電極を血液プールの中に配置し、次いで第一周波数インピーダンスおよび第二周波数インピーダンスの比を計算することにより、血液プールの比測定が最初に決定される。血液プール比測定は、その後の比測定が比較され得る基底ラインとして働く。その後の比測定が実質的に基底ラインに等しければ、PCSマイクロプロセッサは、電極/組織接触がないことを指示する。この比が略±0.1〜±0.15だけ基底ラインから偏位すれば、マイクロプロセッサは、少なくとも部分的な電極/組織接触を指示する。評価比の偏位が略±0.15よりも大きければ、マイクロプロセッサは、実質的に完全な電極/組織接触を指示する。
【0087】
これまでに説明した本発明の夫々の実施例において、駆動電極および参照電極の選択は、CADマイクロプロセッサ106によって制御される。このCADマイクロプロセッサ106は、駆動電極/参照電極の対として、隣接する電極対(例えばA-B、B-C、C-D等)、または遠く離れた電極対(例えばA-F、B-L、C-E等)を選択するようにプログラムすることができる。実験は、隣接する電極対間のインピーダンスが、遠く離れた電極対よりも、組織接触と血液プール接触状態との間のより大きな偏位を示し、従ってより正確な接触評価結果を提供することを示している。
【0088】
図9a〜図9cを参照すると、組織と接触したままで電極対間のインピーダンスを増大するために、電極46の血液側部分を、パリレン、ポリイミド、PTFEまたは他の誘電体薄膜のような、電気的に絶縁性であるが熱伝導性である材料166によってカバーし、または遮蔽してもよい。カバーまたは遮蔽のために選択された電極46の一部は、典型的には、電極の非カバー部分が組織と接触して配置されるように、カテーテルシース22の曲面170の内側にある。電極46のこの部分的なコーティングは、電極46の血液側168を電気的に絶縁して、殆どのインピーダンス測定電流を組織の中に注入させる。実験は、幾つかのタイプの電流反射技術を使用することにより、参照インピーダンスと評価インピーダンスとの間の差分パーセントが50%〜100%になることを示している。
【0089】
電流を組織の中に反射させるための幾つかのアプローチが存在する。一つのアプローチは、図9bに示すように、曲面の外径上に配置された半リング状電極46を使用して、カテーテルシース22が生物学的部位に配置されるときには、半リング状電極が組織に当接するようにすることである。図9aに示すもう一つのアプローチは、完全リング状電極46を電気的に絶縁性であるが熱伝導性の材料166で部分的にコートすることである。更にもう一つのアプローチは、図9cに示すように、絶縁性材料で構成得された外側シースを、カテーテルシース22と共に使用することである。外側シースの先端セグメント172は半パイプ管である。この半パイプ管セグメント172は、電極を血液部位168から遮蔽するために、電極46に対して配置される。
【0090】
充分な電極/組織接触が存在すると決定されたら、組織の除去療法を開始する。除去の際、図10〜図12に示すように、電極装置44およびバックプレート16は、生物学的部位が電極装置とバックプレートとの間に挿入されるように、除去を受けている生物学的部位174に近接して配置される。電極装置44の帯状電極46(図示を明瞭にするために、その一つだけが符号32で示されている)は、夫々が、LEAD1〜LEAD4上の一つの位相角度を有する電力OUT1、OUT2、OUT3、OUT4を受取る。一つの実施例では、一つ置きの電極46が同じ位相角度を受け取る。したがって、電極Dの位相角度は電極Bの位相角度と等しく、また電極Cの位相角度は電極Aの位相角度と等しい。この構成の利点を以下で説明する。好ましい実施例では、電極46は線形アレイに形成される。加えて、熱電対熱センサ46が、夫々の電極A,B,CおよびDに配置され、電極の電力リードLEAD1〜4をセンサリードの一部として使用する。該センサは、電力制御システム12が受取るための温度検知信号22を与える。
【0091】
もう一つの実施例では、別の電極46が一緒にグループ化され、夫々が同じ位相角度およびデューティーサイクルを有する同じ電力を受取る。電極46の他のグループは、一つのグループの電極が他のグループの電極と交互になるように、第一のグループとの間で間隔を置かれる。特定のグループの角電極46は、同じ位相角度およびデューティーサイクルを有する。例えば、電極AおよびCは同じ電力に接続される一方、間隔を置いた電極BおよびDは異なる電力出力信号に接続される。
【0092】
また、個別の電力信号の使用は、電極46の望ましい何れかの組合せを不能にする能力を与え、それによって電極装置24の長さを効果的に変化させる。例えば、本発明の一つの構成において、12個の電極46を持った電極装置24は、12チャンネルの電力制御システム12から12の電力信号を受け取る。電極46は長さが3 mmで、4 mm離間している。従って、種々の電極を不能にすることにより、3 mm〜8 cmの如何なる長さの仮想電極も、電極装置24によって製造することができる。何れの構成においても、出力OUT1〜OUTnの電圧レベルに関して、バックプレート16は参照電圧レベルに維持される。
【0093】
先に説明したように、夫々の電極46に供給される電力OUT1、OUT2の間の位相角度を変化させることにより、隣接した帯状電極の間に位相角度差が確立される。この位相角度差を調節して、隣接する帯状電極46の間の電圧電位を制御し、生物学的部位174を通る電流を制御してもよい。隣接する帯状電極46の間の電流Ie-eは、次式によって定義される。
【0094】
【数1】
ここで:ΔΦ=電極間の位相角度差
V=電力の電圧振幅
Ze-e=電極間のインピーダンス
f=ヘルツでの周波数
t=時間
帯状電極46の間での電流に加えて、帯状電極とバックプレート16の間に流れる電流がある。バックプレート16が参照レベルに設定されるとき、この電流Ie-bは次式によって定義される。
【0095】
【数2】
ここで:ΔΦ=電極間の位相角度差
V=電力の電圧振幅
Ze-b=電極とバックプレートとの間のインピーダンス
f=ヘルツでの周波数
t=時間
Ze-bおよびZe-eが等しいと仮定すれば、帯状電極46とバックプレート16との間を流れる電流Ie-bに対する帯状電極46の間を流れる電流Ie-eの比は、次式によって定義される。
【0096】
【数3】
ここで:ΔΦ=電極間の位相角度差
【0097】
図10A〜12Dは、生物学的部位内の種々の電流パターンを図示している。図10A〜12Dに描かれている破壊の深さおよび幅は、必ずしも縮尺通りではなく、また相互に比例した縮尺でもない。これらは、種々の電力印加技術における差の明瞭な区別のために提供されるものである。隣接する電極46の間の位相差がゼロ度のとき、上記の式2に従って電極間に電流は流れず、当該装置は単極性様式で動作して、図10A〜10Dに示すように電流はバックプレートに流れる。実質的に全ての電流が帯状電極46からバックプレート16に流れ、比較的深く且つ鋭い一連の破壊176が、電極装置24の長さに沿って形成される。図10Bの最上段の図および図10Dの側面図に見られるように、これらの破壊は分離されている。これらの破壊176は相互に不連続である。
【0098】
隣接する電極46の間の位相差が180°であるときは、当該装置は単極性様式および二極性様式の療法で動作し、電流の流れパターンは図11Aに示す通りである。この位相差では、隣接する帯状電極の間には、帯状電極からバックプレート16に流れる電流よりも多くの電流が流れる。得られる破壊178は浅いが、電極装置44の長さに沿って連続している。破壊178の連続性および浅い深度が、図11B〜11Dに示されている。しかし、破壊の深さは、従来の二極性除去法のみにより形成される場合よりも未だ大きい。
【0099】
隣接する電極46の間の位相さがゼロ〜180°の範囲内に設定されるときは、電流は深く且つ不連続な単極性パターンから、より連続的で且つ浅い二極性パターンへと変化する。例えば、隣接する電極46間の位相差が略90°のときは、電流は図12Aに示すように流れる。この位相差であれば、電流は隣接する帯状電極46の間を流れると共に、帯状電極とバックプレートとの間を流れる。従って、深く且つ連続的な破壊が電極装置24の長さに沿って形成される。破壊180の連続性および深さが、図12B〜12Dに図示されている。図12Aの一実施例において、隣接する電極は位相が交互に変わるが、グループにおける電力が与えられる。電極AおよびCには、第一の位相角度の電力が与えられ、また電極BおよびDには、第一の位相角度とは異なる第二の位相角度の電力が与えられた。
【0100】
こうして、異なる深さおよび連続性の特徴を有する破壊を形成するために、電力の位相角度を調節してもよい。可能な最大の深さを有する連続的な破壊を形成するのに必要な位相角度差を選択する際に、電極装置24の他の部品が考慮される。例えば、帯状電極46の幅、および電極間の間隔は、最適な位相角度を選択する際のファクターである。本発明の好ましい実施例においては、上記で指摘したように、帯状電極の幅は3 mm、電極の間隔は4 mmであり、また電極は、隣接する電極間に132°の位相差を確立する電力を受取る。この構成では、エネルギーを与えられた電極の数、用いたデューティーサイクル、および電力印加の持続時間に応じて、略3 mm〜8 cmの長さおよび5 mm以上の深さを有する長く且つ連続的な破壊が形成された。
【0101】
本発明のもう一つの実施例では、除去電力を電極に印加している間に、除去を受けている組織の電気的活性が捕捉されて、分析のために外部装置に送られる。生物学的組織、特に心臓組織は電気的に活性であり、従って電気的エネルギー源として働く。除去の際に、該組織に接触している電極は、該組織に電力を供給するだけでなく、該組織を通る電気的信号を検知して、これらの信号をECGフィルターシステム36(図4)にフィードバックする。従って、ECGフィルタ128での入力は、除去電力信号および組織フィードバック信号を含む組合せ信号である。本発明は、前記組合せ信号から高周波除去電力成分をフィルターすることにより、組織フィードバック信号を、ECG増幅器/記録器による即時分析のために利用可能にする。このフィルタリングプロセスは除去処置を通して継続され、従って、ECG分析が除去治療の最中に行われることを可能にする。除去電力が電極を通して印加されないときにも、電極は、組織フィードバック信号を該電極に結合されたECGフィルタに与える。フィルタへの除去電力信号がないから、組織フィードバック信号はECGフィルタを通過し、ECG増幅器/記録器による分析のために利用可能である。
【0102】
以上、本発明の特定の形態を例示および説明してきたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、種々の変更を行うことができることが明かであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲により制限される場合を除き、制限されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって: 前記生物学的液体中に前記除去電極を配置するステップと;
参照電極を、前記第一の電極および生物学的組織から離間させて配置するステップと;
前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することによって、参照インピーダンス値を得るステップと;
前記除去電極を、前記生物学的組織に近接した位置に移動させるステップと;
前記除去電極と前記前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンス値を得るステップと;
該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;
電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前期評価インピーダンスおよび参照インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンスの間の差分パーセントを計算するステップを含み、また前記電極/組織接触の状態を指示するステップは、
前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが5%〜10%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記参照電極は前記生物学的液体の中に配置される方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記参照電極は前記生物学的器官の外部に配置される方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記電極装置は複数の電極を有しており、そのうちの一つは除去電極を構成し、もう一つ一つは参照電極を構成する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記参照インピーダンス値は、所定の時間内に得られた複数の参照インピーダンス値の平均である方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記評価インピーダンス値は、所定の時間内に得られた複数の評価インピーダンス値の平均である方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記器官は心臓であり、また前記参照インピーダンスおよび前記評価インピーダンスは、それを超えると心臓のペースメーキングを誘起する周波数を有し、またそれ未満では心臓のペースメーキングを誘起する電圧レベルを有する駆動信号を使用して得られる方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、更に、前記評価インピーダンス値を得る前に、電気絶縁体を除去電極に対して配置するステップを含んでおり、前記除去電極が前記生物学的組織に近接しているときには、前記電極が、前記電気絶縁体と前記組織との間に挟まれるようになっている方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記除去電極はリング状電極からなり、前記電気絶縁体は、前記リング状電極の一部に付着された正常な熱伝導性を有する誘電性材料からなる方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記除去電極はリング状電極からなり、前記電気絶縁体は前記リング状電極を取囲む半パイプ状シースからなる方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記除去電極は半リング状電極からなり、前記電気絶縁体は、その上に前記半リング状電極が装着されるカテーテルシースからなる方法。
【請求項13】
一つの電極装置によって保持される複数の除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって: 下記により参照インピーダンス値を得るステップと;
・前記複数の除去電極を前記生物学的液体の中に配置することにより、参照インピーダンス値を得ること;
・第一の参照電極を、前記複数の除去電極および前記生物学的組織から離間させて配置すること;および
・少なくとも一つの除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定すること;
前記複数の除去電極を、前記生物学的組織に近接した位置に移動させるステップと;
夫々の除去電極について、
・第二の参照電極を除去電極および生物学的組織から離間して配置し、また除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンスを得るステップと;
・該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;
・電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンスの間の差分パーセントを計算するステップを含み、また前記電極/組織接触の状態を指示するステップは、 前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが5%〜10%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、前記第二の参照電極は、前記複数の除去電極の一つからなる方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、前記第二の参照電極はバックプレートからなる方法。
【請求項17】
本発明は、一つの電極装置によって保持される複数の除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって: 下記により参照インピーダンス値を得るステップと;
・前記複数の除去電極を前記生物学的液体の中に配置することにより、参照インピーダンス値を得ること;
・第一の参照電極を、前記複数の除去電極および前記生物学的組織から離間させて配置すること;および ・少なくとも一つの除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定すること;
前記複数の除去電極を前記生物学的組織に近接した位置に移動させるステップと;
選択された除去電極対の間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンス値を得るステップと;
該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;
電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンス間の差分パーセントを計算するステップを含み、また前記電極/組織接触の状態見込みを指示するステップは、 前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが5%〜10%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、前記除去電極は線形アレイに配置され、また前記除去電極の対は隣接する電極からなる方法。
【請求項20】
除去電極と、生物学的液体を有する運動する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって:
前記除去電極を前記生物学的組織に近接して配置するステップと;
参照電極を、前記除去電極から離間して配置するステップと;
前記除去電極に、前記器官の幾つかの運動を誘導するのに十分な時間だけ信号を印加するステップと;
前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを前記時間に亘って周期的に測定することにより、一連のインピーダンス値を得るステップと;
電極/組織接触を示す変動について前記一連のインピーダンス値をモニターするステップとを含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって:前記電極/組織接触を示す変動について前記一連のインピーダンス値をモニターするステップは、 複数の前記インピーダンス値に基づいて平均インピーダンス値を得るステップと;
前記平均インピーダンスに対する前記インピーダンス値の標準偏差を計算するステップと、 偏位パーセントを計算するステップと;
前記偏位パーセントが少なくとも略2%であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;
前記偏位パーセントが略1%〜2%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;
前記偏位パーセントが略1%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む方法。
【請求項22】
除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって:
前記除去電極を前記生物学的組織に近接して配置するステップと;
参照電極を、前記除去電極から離間させて配置するステップと;
第一の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップと;
第二の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するするステップと;
前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップと;
電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって:前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンス間の差分パーセントを計算するステップを含み、また前記電極/組織接触の状態を指示するステップは、
前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが5%〜10%であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって:前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンスの比を計算するステップと、この比を既知の値と比較するステップを含み、また、前記電極/組織接触の状態を指示するステップは、
前記比が前記既知の値に略等しいときは、電極/組織接触がないことを指示するステップと;
前記比が前記既知の値から略±0.1〜±0.15の量だけ偏位するときは、少なくとも一部の電極/組織接触を指示するステップと;
前記比が前記既知の値から略±0.15より大きい量だけ偏位するときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップとを含む方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法であって、前記第一の周波数および第二の周波数の間に少なくとも二倍の差が存在する方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記周波数のうちの一つは、それを超えると心臓のペースメーキングを誘起する低周波数であり、前記周波数の他方は該低周波数よりも大きい方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法であって、前記第一周波数インピーダンスは、第一の時間内に測定された複数のインピーダンスの平均であり、前記第二周波数インピーダンスは、第二の時間内に測定された複数のインピーダンスの平均である方法。
【請求項28】
一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって: 前記生物学的液体中に前記除去電極を配置するステップと;
参照電極を、前記除去電極から離間させて配置するステップと;
第一の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップと;
第二の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するするステップと;
前記第一周波数インピーダンスと前記第二周波数インピーダンスの比を計算することにより、基底ライン比を得るステップと;
前記除去電極を前記生物学的組織に近接して配置するステップと;
前記参照電極を、前記除去電極から離間させて配置するステップと;
第一の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップと;
第二の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップと;
前記第一周波数インピーダンスと前記第二周波数インピーダンスの比を計算することにより、接触評価比を得るステップと;
前記基底ライン比および前記接触評価比を分析するステップと;
電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって:前記基底ライン比および接触評価比を分析するステップは、これら比を比較するステップを含み、また前記電極/組織接触の状態を指示するステップは、
前記評価比が前記基底ライン比に略等しいときは、電極/組織接触がないことを指示するステップと;
前記評価比が前記基底ライン比から略±0.1〜±0.15の量だけ偏位するときは、少なくとも一部の電極/組織接触を指示するステップと;
前記評価比が前記基底ライン比から略±0.15より大きい量だけ偏位するときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップとを含む方法。
【請求項30】
一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置であって: 出力として前記除去電極への駆動信号および参照電位を与える信号発生装置と;
前記除去電極から離間し且つ前記参照電位に応答する参照電極と;
前記除去電極が前記生物学的液体の中に位置するときには、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す参照インピーダンスを与え、また前記除去電極が前記生物学的組織に近接して位置するときには、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す評価インピーダンスを与えるためのインピーダンス測定装置と;
前記参照インピーダンスおよび前記評価インピーダンスの信号に応答して、これらインピーダンス信号を分析し、電極/組織接触の状態を示すためのプロセッサとを含む装置。
【請求項31】
請求項30に記載の装置であって:前記プロセッサは、
前記参照インピーダンスと前記評価インピーダンスとの間の差分パーセントを決定するように構成された計算機と;
前記差分パーセントを複数の予め定められた接触評価基準と比較して、結果の表示を与えるように構成されたコンパレータとを含み、前記基準および結果は、少なくとも略10%の差分パーセントについては実質的に完全な電極/組織接触を指示し、略5%〜10%の範囲の差分パーセントについては部分的な電極/組織接触を指示し、略5%未満の差分パーセントについては電極/組織接触がないことを指示することを含む装置。
【請求項32】
請求項30に記載の装置であって、前記電極装置は複数の電極を有し、その中の一つは除去電極を含み、その中のもう一つは参照電極を含む装置。
【請求項33】
請求項30に記載の装置であって、前記駆動信号の振幅は、心臓のペースメーキングを誘起するレベル未満のレベルに制限される装置。
【請求項34】
請求項33に記載の装置であって、前記電圧レベルは20 mV〜200 mVである装置。
【請求項35】
請求項34に記載の装置であって、前記電圧レベルは略50 mVである装置。
【請求項36】
請求項30に記載の装置であって、前記電極装置は、前記除去電極に対しては位置された電気絶縁体を含み、前記除去電極が前記生物学的組織に近接しているときに、前記電極が前記電気絶縁体と前記組織との間に挿入されるようになっている装置。
【請求項37】
請求項36に記載の装置であって、前記除去電極はリング状電極からなり、また前記電気絶縁体は、前記リング状電極の一部に付着された正常な熱伝導性を有する誘電体材料からなる装置。
【請求項38】
請求項36に記載の装置であって、前記除去電極はリング状電極からなり、前記電気絶縁体は前記リング状電極の一部を取り囲む半パイプ状のシースからなる装置。
【請求項39】
請求項36に記載の装置であって、前記除去電極は半リング状電極からなり、前記電気絶縁体は、その上に前記半リング状電極が装着されるカテーテルシースからなる装置。
【請求項40】
一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置であって:
出力として前記除去電極への駆動信号および参照電位を与える信号発生装置と、
前記除去電極から離間し且つ前記参照電位に応答する参照電極と;
前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す一連の評価インピーダンス値を与えるように構成されたインピーダンス測定装置と;
前記一連の評価インピーダンス信号に応答して、電極/組織接触を示す変動について、前記一連のインピーダンス値をモニターするためのプロセッサとを含む装置。
【請求項41】
請求項40に記載の装置であって: 前記複数のインピーダンス値に基づいて平均インピーダンス値を決定し、該平均インピーダンスに対する前記インピーダンス値の標準偏差を計算し、且つ偏位パーセントを計算するように構成された計算機と;
前記偏位パーセントを複数の予め定められた接触評価基準と比較して、結果の表示を与えるように構成されたコンパレータとを含み、前記基準および結果は、少なくとも略2%の偏位パーセントについては実質的に完全な電極/組織接触を指示し、略1%〜2%の範囲の偏位パーセントについては部分的な電極/組織接触を指示し、略1%未満の差分パーセントについては電極/組織接触がないことを指示することを含む装置。
【請求項42】
一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置であって:
出力として、参照信号、および第一の時間内には前記除去電極への第一の駆動信号を与える信号発生装置であって、前記第一の駆動信号は第一の振幅および第一の周波数を有し、また前記信号発生装置は、第二の時間内には、前記除去電極への第二の駆動信号を出力として与え、該第二の駆動信号は第二の振幅および第二の周波数を有する信号発生装置と;
前記第一の電極から離間し且つ前記参照信号に応答する参照電極と;
出力として、第一の時間内には、前記除去電極と参照電極との間のインピーダンスを示す第一の評価インピーダンス信号を発生すると共に、第二の時間内には、前記第一および第二の電極の間のインピーダンスを示す第二の評価インピーダンス信号を発生するためのインピーダンス測定装置と;
前記第一および第二の評価インピーダンス信号に応答して、これらインピーダンスを、電極/組織接触を示す予め定められた値と比較するためのプロセッサとを含む装置。
【請求項43】
請求項42に記載の装置であって:前記プロセッサは、
前記第一周波数インピーダンスと前記第二周波数インピーダンスとの間の差分パーセントを決定するように構成された計算機と;
前記差分パーセントを複数の予め定められた接触評価基準と比較して、結果の表示を与えるように構成されたコンパレータとを含み、前記基準および結果は、少なくとも略10%の差分パーセントについては実質的に完全な電極/組織接触を指示し、略5%〜10%の範囲の差分パーセントについては部分的な電極/組織接触を指示し、略5%未満の差分パーセントについては電極/組織接触がないことを指示することを含む装置。
【請求項44】
請求項42に記載の装置であって:前記プロセッサは、
前記第一周波数インピーダンスと前記第二周波数インピーダンスとの間の比を決定するように構成された計算機と;
前記比を複数の予め定められた接触評価基準と比較して、結果の表示を与えるように構成されたコンパレータとを含み、前記基準および結果は、略1の比については電極/組織接触がないことを指示し、1から有意に偏位した比については電極/組織接触を指示することを含む装置。
【請求項45】
少なくとも一つの電極を有する電極装置を通して、生物学的組織に除去エネルギーを与えると共に、該組織の電気的活性をモニターする方法であって:
少なくとも一つの電極を組織に近接して配置するステップと;
第一のリードを介して前記少なくとも一つの電極に高周波成分を含む除去電力を印加するステップと;
前記電極から前記第一のリードを通して、前記組織中の電気的活性を示すフィードバック信号を受信するステップと;
前記フィードバック信号をフィルターして、何等かの高周波成分を除去するステップと;
該フィルターされたフィードバック信号を、第二のリードを介して機器に与えるステップとを含む方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、前記除去電力はRF成分を含み、前記フィルタは、該RF成分を前記フィードバック信号からフィルターする方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法であって、前記RF成分は略500 kHzの周波数を有する方法。
【請求項48】
請求項45に記載の方法であって、前記フィルターされたフィードバック信号は250 Hz未満の周波数を有する心電図信号を含み、前記機器は心電図の増幅器/記録器である方法。
【請求項49】
生物学的組織に近接して配置された少なくとも一つの電極を有する電極装置を通して、前記組織に除去電力を与えるための装置であって:
高周波成分を有する除去電力を生じるための発生器と;
高周波フィルタと;
前記少なくとも一つの電極および前記フィルタに除去電力を与えるための第一のリードであって、該第一のリードは更に、前記電極からのフィードバック信号を前記フィルタに与える第一のリードと;
フィルタ出力を器具に与える第二のリードとを含む装置。
【請求項50】
請求項49に記載の装置であって、前記除去電力はRF成分を含み、前記高周波フィルタは該RF成分をフィルターする装置。
【請求項51】
請求項50に記載の装置であって、前記RF成分は略500 kHzの周波数を有する装置。
【請求項52】
請求項49に記載の装置であって、前記フィルタの出力は250 Hz未満の周波数を有する心電図信号を含み、前記機器は心電図の増幅器/記録器を含む装置。
【請求項53】
夫々が高周波成分を有する複数の除去電力信号を生じる発生器と;
複数の高周波フィルタと;
複数の電極を有する電極装置と;
夫々が前記電極の一つおよび前記フィルタの一つに一つの除去電力信号を与える複数の第一のリードであって、該第一のリードは更に、前記電極からのフィードバック信号を前記フィルタに与える第一のリードと;
夫々が前記機器に第一の出力を与える複数の第二のリードとを含む装置。
【請求項1】
一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって: 前記生物学的液体中に前記除去電極を配置するステップと;
参照電極を、前記第一の電極および生物学的組織から離間させて配置するステップと;
前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することによって、参照インピーダンス値を得るステップと;
前記除去電極を、前記生物学的組織に近接した位置に移動させるステップと;
前記除去電極と前記前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンス値を得るステップと;
該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;
電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前期評価インピーダンスおよび参照インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンスの間の差分パーセントを計算するステップを含み、また前記電極/組織接触の状態を指示するステップは、
前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが5%〜10%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記参照電極は前記生物学的液体の中に配置される方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記参照電極は前記生物学的器官の外部に配置される方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記電極装置は複数の電極を有しており、そのうちの一つは除去電極を構成し、もう一つ一つは参照電極を構成する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記参照インピーダンス値は、所定の時間内に得られた複数の参照インピーダンス値の平均である方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記評価インピーダンス値は、所定の時間内に得られた複数の評価インピーダンス値の平均である方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記器官は心臓であり、また前記参照インピーダンスおよび前記評価インピーダンスは、それを超えると心臓のペースメーキングを誘起する周波数を有し、またそれ未満では心臓のペースメーキングを誘起する電圧レベルを有する駆動信号を使用して得られる方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、更に、前記評価インピーダンス値を得る前に、電気絶縁体を除去電極に対して配置するステップを含んでおり、前記除去電極が前記生物学的組織に近接しているときには、前記電極が、前記電気絶縁体と前記組織との間に挟まれるようになっている方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記除去電極はリング状電極からなり、前記電気絶縁体は、前記リング状電極の一部に付着された正常な熱伝導性を有する誘電性材料からなる方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記除去電極はリング状電極からなり、前記電気絶縁体は前記リング状電極を取囲む半パイプ状シースからなる方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記除去電極は半リング状電極からなり、前記電気絶縁体は、その上に前記半リング状電極が装着されるカテーテルシースからなる方法。
【請求項13】
一つの電極装置によって保持される複数の除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって: 下記により参照インピーダンス値を得るステップと;
・前記複数の除去電極を前記生物学的液体の中に配置することにより、参照インピーダンス値を得ること;
・第一の参照電極を、前記複数の除去電極および前記生物学的組織から離間させて配置すること;および
・少なくとも一つの除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定すること;
前記複数の除去電極を、前記生物学的組織に近接した位置に移動させるステップと;
夫々の除去電極について、
・第二の参照電極を除去電極および生物学的組織から離間して配置し、また除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンスを得るステップと;
・該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;
・電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンスの間の差分パーセントを計算するステップを含み、また前記電極/組織接触の状態を指示するステップは、 前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが5%〜10%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、前記第二の参照電極は、前記複数の除去電極の一つからなる方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、前記第二の参照電極はバックプレートからなる方法。
【請求項17】
本発明は、一つの電極装置によって保持される複数の除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって: 下記により参照インピーダンス値を得るステップと;
・前記複数の除去電極を前記生物学的液体の中に配置することにより、参照インピーダンス値を得ること;
・第一の参照電極を、前記複数の除去電極および前記生物学的組織から離間させて配置すること;および ・少なくとも一つの除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定すること;
前記複数の除去電極を前記生物学的組織に近接した位置に移動させるステップと;
選択された除去電極対の間のインピーダンスを測定することにより、評価インピーダンス値を得るステップと;
該評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップと;
電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記評価インピーダンスおよび前記参照インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンス間の差分パーセントを計算するステップを含み、また前記電極/組織接触の状態見込みを指示するステップは、 前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが5%〜10%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、前記除去電極は線形アレイに配置され、また前記除去電極の対は隣接する電極からなる方法。
【請求項20】
除去電極と、生物学的液体を有する運動する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって:
前記除去電極を前記生物学的組織に近接して配置するステップと;
参照電極を、前記除去電極から離間して配置するステップと;
前記除去電極に、前記器官の幾つかの運動を誘導するのに十分な時間だけ信号を印加するステップと;
前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを前記時間に亘って周期的に測定することにより、一連のインピーダンス値を得るステップと;
電極/組織接触を示す変動について前記一連のインピーダンス値をモニターするステップとを含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって:前記電極/組織接触を示す変動について前記一連のインピーダンス値をモニターするステップは、 複数の前記インピーダンス値に基づいて平均インピーダンス値を得るステップと;
前記平均インピーダンスに対する前記インピーダンス値の標準偏差を計算するステップと、 偏位パーセントを計算するステップと;
前記偏位パーセントが少なくとも略2%であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;
前記偏位パーセントが略1%〜2%の範囲であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;
前記偏位パーセントが略1%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む方法。
【請求項22】
除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって:
前記除去電極を前記生物学的組織に近接して配置するステップと;
参照電極を、前記除去電極から離間させて配置するステップと;
第一の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップと;
第二の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するするステップと;
前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップと;
電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって:前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンス間の差分パーセントを計算するステップを含み、また前記電極/組織接触の状態を指示するステップは、
前記差分パーセントが略10%以上であるときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが5%〜10%であるときは、部分的な電極/組織接触を指示するステップと;
前記差分パーセントが略5%未満であるときは、電極/組織接触がないことを指示するステップとを含む方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって:前記第一周波数インピーダンスおよび前記第二周波数インピーダンスを分析するステップは、これら二つのインピーダンスの比を計算するステップと、この比を既知の値と比較するステップを含み、また、前記電極/組織接触の状態を指示するステップは、
前記比が前記既知の値に略等しいときは、電極/組織接触がないことを指示するステップと;
前記比が前記既知の値から略±0.1〜±0.15の量だけ偏位するときは、少なくとも一部の電極/組織接触を指示するステップと;
前記比が前記既知の値から略±0.15より大きい量だけ偏位するときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップとを含む方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法であって、前記第一の周波数および第二の周波数の間に少なくとも二倍の差が存在する方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記周波数のうちの一つは、それを超えると心臓のペースメーキングを誘起する低周波数であり、前記周波数の他方は該低周波数よりも大きい方法。
【請求項27】
請求項22に記載の方法であって、前記第一周波数インピーダンスは、第一の時間内に測定された複数のインピーダンスの平均であり、前記第二周波数インピーダンスは、第二の時間内に測定された複数のインピーダンスの平均である方法。
【請求項28】
一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価する方法であって: 前記生物学的液体中に前記除去電極を配置するステップと;
参照電極を、前記除去電極から離間させて配置するステップと;
第一の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップと;
第二の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するするステップと;
前記第一周波数インピーダンスと前記第二周波数インピーダンスの比を計算することにより、基底ライン比を得るステップと;
前記除去電極を前記生物学的組織に近接して配置するステップと;
前記参照電極を、前記除去電極から離間させて配置するステップと;
第一の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップと;
第二の周波数において、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを測定するステップと;
前記第一周波数インピーダンスと前記第二周波数インピーダンスの比を計算することにより、接触評価比を得るステップと;
前記基底ライン比および前記接触評価比を分析するステップと;
電極/組織接触の状態を指示するステップとを含む方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって:前記基底ライン比および接触評価比を分析するステップは、これら比を比較するステップを含み、また前記電極/組織接触の状態を指示するステップは、
前記評価比が前記基底ライン比に略等しいときは、電極/組織接触がないことを指示するステップと;
前記評価比が前記基底ライン比から略±0.1〜±0.15の量だけ偏位するときは、少なくとも一部の電極/組織接触を指示するステップと;
前記評価比が前記基底ライン比から略±0.15より大きい量だけ偏位するときは、実質的に完全な電極/組織接触を指示するステップとを含む方法。
【請求項30】
一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置であって: 出力として前記除去電極への駆動信号および参照電位を与える信号発生装置と;
前記除去電極から離間し且つ前記参照電位に応答する参照電極と;
前記除去電極が前記生物学的液体の中に位置するときには、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す参照インピーダンスを与え、また前記除去電極が前記生物学的組織に近接して位置するときには、前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す評価インピーダンスを与えるためのインピーダンス測定装置と;
前記参照インピーダンスおよび前記評価インピーダンスの信号に応答して、これらインピーダンス信号を分析し、電極/組織接触の状態を示すためのプロセッサとを含む装置。
【請求項31】
請求項30に記載の装置であって:前記プロセッサは、
前記参照インピーダンスと前記評価インピーダンスとの間の差分パーセントを決定するように構成された計算機と;
前記差分パーセントを複数の予め定められた接触評価基準と比較して、結果の表示を与えるように構成されたコンパレータとを含み、前記基準および結果は、少なくとも略10%の差分パーセントについては実質的に完全な電極/組織接触を指示し、略5%〜10%の範囲の差分パーセントについては部分的な電極/組織接触を指示し、略5%未満の差分パーセントについては電極/組織接触がないことを指示することを含む装置。
【請求項32】
請求項30に記載の装置であって、前記電極装置は複数の電極を有し、その中の一つは除去電極を含み、その中のもう一つは参照電極を含む装置。
【請求項33】
請求項30に記載の装置であって、前記駆動信号の振幅は、心臓のペースメーキングを誘起するレベル未満のレベルに制限される装置。
【請求項34】
請求項33に記載の装置であって、前記電圧レベルは20 mV〜200 mVである装置。
【請求項35】
請求項34に記載の装置であって、前記電圧レベルは略50 mVである装置。
【請求項36】
請求項30に記載の装置であって、前記電極装置は、前記除去電極に対しては位置された電気絶縁体を含み、前記除去電極が前記生物学的組織に近接しているときに、前記電極が前記電気絶縁体と前記組織との間に挿入されるようになっている装置。
【請求項37】
請求項36に記載の装置であって、前記除去電極はリング状電極からなり、また前記電気絶縁体は、前記リング状電極の一部に付着された正常な熱伝導性を有する誘電体材料からなる装置。
【請求項38】
請求項36に記載の装置であって、前記除去電極はリング状電極からなり、前記電気絶縁体は前記リング状電極の一部を取り囲む半パイプ状のシースからなる装置。
【請求項39】
請求項36に記載の装置であって、前記除去電極は半リング状電極からなり、前記電気絶縁体は、その上に前記半リング状電極が装着されるカテーテルシースからなる装置。
【請求項40】
一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置であって:
出力として前記除去電極への駆動信号および参照電位を与える信号発生装置と、
前記除去電極から離間し且つ前記参照電位に応答する参照電極と;
前記除去電極と前記参照電極との間のインピーダンスを示す一連の評価インピーダンス値を与えるように構成されたインピーダンス測定装置と;
前記一連の評価インピーダンス信号に応答して、電極/組織接触を示す変動について、前記一連のインピーダンス値をモニターするためのプロセッサとを含む装置。
【請求項41】
請求項40に記載の装置であって: 前記複数のインピーダンス値に基づいて平均インピーダンス値を決定し、該平均インピーダンスに対する前記インピーダンス値の標準偏差を計算し、且つ偏位パーセントを計算するように構成された計算機と;
前記偏位パーセントを複数の予め定められた接触評価基準と比較して、結果の表示を与えるように構成されたコンパレータとを含み、前記基準および結果は、少なくとも略2%の偏位パーセントについては実質的に完全な電極/組織接触を指示し、略1%〜2%の範囲の偏位パーセントについては部分的な電極/組織接触を指示し、略1%未満の差分パーセントについては電極/組織接触がないことを指示することを含む装置。
【請求項42】
一つの電極装置によって保持される一つの除去電極と、生物学的液体を有する生物学的器官内の生物学的組織との間の接触の充分さを評価するための装置であって:
出力として、参照信号、および第一の時間内には前記除去電極への第一の駆動信号を与える信号発生装置であって、前記第一の駆動信号は第一の振幅および第一の周波数を有し、また前記信号発生装置は、第二の時間内には、前記除去電極への第二の駆動信号を出力として与え、該第二の駆動信号は第二の振幅および第二の周波数を有する信号発生装置と;
前記第一の電極から離間し且つ前記参照信号に応答する参照電極と;
出力として、第一の時間内には、前記除去電極と参照電極との間のインピーダンスを示す第一の評価インピーダンス信号を発生すると共に、第二の時間内には、前記第一および第二の電極の間のインピーダンスを示す第二の評価インピーダンス信号を発生するためのインピーダンス測定装置と;
前記第一および第二の評価インピーダンス信号に応答して、これらインピーダンスを、電極/組織接触を示す予め定められた値と比較するためのプロセッサとを含む装置。
【請求項43】
請求項42に記載の装置であって:前記プロセッサは、
前記第一周波数インピーダンスと前記第二周波数インピーダンスとの間の差分パーセントを決定するように構成された計算機と;
前記差分パーセントを複数の予め定められた接触評価基準と比較して、結果の表示を与えるように構成されたコンパレータとを含み、前記基準および結果は、少なくとも略10%の差分パーセントについては実質的に完全な電極/組織接触を指示し、略5%〜10%の範囲の差分パーセントについては部分的な電極/組織接触を指示し、略5%未満の差分パーセントについては電極/組織接触がないことを指示することを含む装置。
【請求項44】
請求項42に記載の装置であって:前記プロセッサは、
前記第一周波数インピーダンスと前記第二周波数インピーダンスとの間の比を決定するように構成された計算機と;
前記比を複数の予め定められた接触評価基準と比較して、結果の表示を与えるように構成されたコンパレータとを含み、前記基準および結果は、略1の比については電極/組織接触がないことを指示し、1から有意に偏位した比については電極/組織接触を指示することを含む装置。
【請求項45】
少なくとも一つの電極を有する電極装置を通して、生物学的組織に除去エネルギーを与えると共に、該組織の電気的活性をモニターする方法であって:
少なくとも一つの電極を組織に近接して配置するステップと;
第一のリードを介して前記少なくとも一つの電極に高周波成分を含む除去電力を印加するステップと;
前記電極から前記第一のリードを通して、前記組織中の電気的活性を示すフィードバック信号を受信するステップと;
前記フィードバック信号をフィルターして、何等かの高周波成分を除去するステップと;
該フィルターされたフィードバック信号を、第二のリードを介して機器に与えるステップとを含む方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、前記除去電力はRF成分を含み、前記フィルタは、該RF成分を前記フィードバック信号からフィルターする方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法であって、前記RF成分は略500 kHzの周波数を有する方法。
【請求項48】
請求項45に記載の方法であって、前記フィルターされたフィードバック信号は250 Hz未満の周波数を有する心電図信号を含み、前記機器は心電図の増幅器/記録器である方法。
【請求項49】
生物学的組織に近接して配置された少なくとも一つの電極を有する電極装置を通して、前記組織に除去電力を与えるための装置であって:
高周波成分を有する除去電力を生じるための発生器と;
高周波フィルタと;
前記少なくとも一つの電極および前記フィルタに除去電力を与えるための第一のリードであって、該第一のリードは更に、前記電極からのフィードバック信号を前記フィルタに与える第一のリードと;
フィルタ出力を器具に与える第二のリードとを含む装置。
【請求項50】
請求項49に記載の装置であって、前記除去電力はRF成分を含み、前記高周波フィルタは該RF成分をフィルターする装置。
【請求項51】
請求項50に記載の装置であって、前記RF成分は略500 kHzの周波数を有する装置。
【請求項52】
請求項49に記載の装置であって、前記フィルタの出力は250 Hz未満の周波数を有する心電図信号を含み、前記機器は心電図の増幅器/記録器を含む装置。
【請求項53】
夫々が高周波成分を有する複数の除去電力信号を生じる発生器と;
複数の高周波フィルタと;
複数の電極を有する電極装置と;
夫々が前記電極の一つおよび前記フィルタの一つに一つの除去電力信号を与える複数の第一のリードであって、該第一のリードは更に、前記電極からのフィードバック信号を前記フィルタに与える第一のリードと;
夫々が前記機器に第一の出力を与える複数の第二のリードとを含む装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4−1】
【図4−2】
【図5−1】
【図5−2】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7−1】
【図7−2】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図2】
【図3】
【図4−1】
【図4−2】
【図5−1】
【図5−2】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7−1】
【図7−2】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【公開番号】特開2009−101240(P2009−101240A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35300(P2009−35300)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【分割の表示】特願2001−504308(P2001−504308)の分割
【原出願日】平成12年6月15日(2000.6.15)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【分割の表示】特願2001−504308(P2001−504308)の分割
【原出願日】平成12年6月15日(2000.6.15)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】
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