説明

電気または油圧モータにより駆動される陸上車両

添付図面を参照するに、本発明は陸上車両(10)を提供し、当該車両は少なくとも1個の駆動輪を駆動する電気モータまたは油圧モータ(15〜18)と、電力または油圧動力のソースを供給する電池(19)と、電気モータまたは油圧モータの動作を制御する電子コントローラ(26)と、運転者により操作されるスロットルコントロール(40)とを含んでいる。電子コントローラ(26)は、運転者により操作されるスロットルコントロール(40)の動作を表す入力信号を含む複数の入力信号を受信し、複数の異なる仮想ギア比に対応する複数の異なる動作方式を実現する。電子コントローラ(26)は、受信した複数の入力信号に基づいてある動作方式を選択する。電子コントローラ(26)は、電気モータ(15〜1)を車両の回生制動を実現する発電機として、または油圧モータをポンプとして動作させることができる。各動作方式が特有の回生制動のレベルを有している。追加的または代替的に、流体圧力源または電池(19)とは別個である短期エネルギ貯蔵器(34)を提供し、コントローラ(26)は、ある仮想ギア比からより低い仮想ギア比への変更が車両の加速が要求されていることを示すスロットルコントロールの位置を伴うことを検知したならば、短期エネルギ貯蔵器(34)からエネルギを放出することにより電気または油圧モータ(15〜18)のトルクおよび/またはパワー出力を上昇させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は陸上車両に関し、特に、電気モータまたは油圧モータにより駆動される陸上車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の陸上車両は、ギアトランスミッションにより駆動される車輪に結合された内燃機関を使用する。ギア比のシフトは、運転者がシフトレバーとクラッチを用いて手動で、または従来の自動トランスミッションにより自動で、あるいは運転者が半自動トランスミッションを用いて制御するパワーシフトを介して行われる。これに対し、電気モータまたは油圧モータにより駆動される車両は通常、1また2通りのギア比しかないトランスミッションを備えているため、運転者が陸上車両の操縦に関わる度合が小さく、運転体験が大幅に異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
手動トランスミッションを備えた従来の陸上車両は運転者に対し、ジャンクションに接近している陸上車両の速度を落とすか、または下り坂で速度を抑制すべくエンジンブレーキを用いる機能を提供する。運転者は、エンジンブレーキを効かせるためにスロットルを閉じたまま、エンジンの回転速度を上げるために最大ギア比より低いギア比を選択する。エンジンブレーキの効き具合は、運転者が選択したギアに依存する。スロットルが閉じた状態でのトップギアでエンジンブレーキの効き具合は最低であり、スロットルが閉じた状態における最低ギアでエンジンブレーキの効き具合が最も高い。例えば、車を高速道路で運転していて、前に遅い車両がいるために運転者が車を減速させたい場合、運転者は車をトップギアに保ちながら車両を緩やかに減速する。一方、例えば環状交差点への入口で車が停止状態まで減速するにつれて、運転者は、エンジンブレーキの効き具合を段階的に高めるように手動で段階的に低いギアを選択する。更に、下り坂で運転者は通常、車両速度を抑えるためにエンジンブレーキを効かせるべく低いギアを選択する。電気および油圧で駆動される陸上車両は、従来、エンジンブレーキと同等の働きをする回生制動、すなわち車両の運動エネルギを電力または油圧に変換して後で利用可能なように貯蔵すべく構成されている。しかし、通常は1レベルの回生制動しか提供されない。これは、通常、一段階のレベルに設定されている。このレベルは、ある状況、例えば上述の高速道路速度で穏やかに減速するような場合は高過ぎであり、他の状況、例えば環状交差点に接近して停止状態まで減速するような場合では低過ぎてしまうかもしれない。一部のレクサス(商標)車では、運転者に2レベルの回生制動を選択するスイッチを提供することが知られているが、これは、例えば、車両の運転時に最初に発進する前に、車両の運転中に回生制動のレベルが連続的に変化しないようにするために用いる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は第1の態様において、請求項1または請求項17に記載の陸上車両、および請求項12または請求項28に記載の陸上車両の操作方法を提供する。
【0005】
内燃機関を備えた従来の陸上車両は、運転者が、他の車両を追い越す際に加速すべくエンジンからより大きなトルクおよびパワー出力が得られるようにより低いギアにシフトダウンできるようにする。この機能は、電気または油圧モータにより動力が供給される陸上車両では、通常、モータと車輪の間の変速比が固定されているために利用できなかった。例えば、電気モータには専ら回転速度に依存するトルク曲線が設定されている。
【0006】
本発明は第2の態様において、請求項14および請求項30に記載の陸上車両を提供する。
【発明の効果】
【0007】
このように、低めに仮想ギアを選択する際に、運転者は、たとえモータと駆動輪の間の変速比が一定のままでも、加速の強さを体験できるため、内燃機関および多段トランスミッションを有する公知の従来方式の車の運転を再体験することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による車両の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好適な実施形態について、本発明による車両の模式図である添付図面を参照しつつ以下に述べる。
【0010】
図において、4個の駆動輪11、12、13、14を含む陸上車両10が示されている。各々の車輪は、各電気ハブモータ15、16、17、18により駆動される。電気ハブモータは、車両の主要な長期エネルギ貯蔵器である電気バッテリーパック19に導線20、21、22、23を介して接続されていて、バッテリーパック19から供給される電力により駆動される。小型の内燃機関24が発電機25に結合されていて、バッテリーパック19に補給する電力を提供すべく動作させることができる。短期エネルギ貯蔵器34、例えばコンデンサが、導線35、36、37、38によりハブモータ15、16、17、18に接続されている。好適な短期エネルギ貯蔵器の主な特徴は、車両の主エネルギ貯蔵器と比較して、保存できるエネルギ量は相対的に少ないが、主エネルギ貯蔵器よりも高速に充電および放電できることである。短期エネルギ貯蔵器は、例えば200KJのエネルギを保存することができる。短期エネルギ貯蔵器は、主エネルギ貯蔵器、例えばバッテリーパックに接続可能であって、通常はその最大容量の平均30%の電荷に維持されるよう制御され、これを超える電荷は時間経過に伴い中継されて主エネルギ貯蔵器を再充電することができる。このように、短期エネルギ貯蔵器は、回生制動により生成されたエネルギを車両の大部分の動作のために受容すべく利用できる。
【0011】
電子コントローラ26が、制御線27、28、29、30によりハブモータ15、16、17、18に接続されていて、ハブモータの動作を制御する。電子コントローラ26はまた、コントローラ26がバッテリーパック19の充電状態を監視できるように通信線31によりバッテリーパック19に接続されている。電子コントローラ26は、制御線32、33により発電機25およびエンジン24に接続されていてその動作を制御する。コントローラ26はまた、通信線39により短期エネルギ記憶装置34に接続されていてその動作を制御すると共に、(上述のように)その充電状態を監視して短期エネルギ貯蔵器とバッテリーパック19およびハブモータの間のエネルギの流れを制御する。
【0012】
図において、運転者により操作可能なスロットルペダル40およびブレーキペダル41が示されている。これらは、通信線42、43によりコントローラ26に接続されている。ブレーキペダル41もまた、通常は従来の油圧式ブレーキ(図示せず)に接続されている。「仮想ギアシフトセレクタ」45(その動作については後述)もまた、運転者が操作するコントロールとして提供され、通信線44によりコントローラに接続されている。
【0013】
車両10は回生制動により動作可能である。すなわち、モータ15〜18は、発電機としての動作に切替わって、車両の運動エネルギをバッテリーパック19への補給に利用できる電気エネルギに変換することにより、車両を減速させることができる。車両10はまた、回生制動によっても充電可能な短期エネルギ貯蔵器34を備えている。最初に短期エネルギ貯蔵器34が完全に充電されるまで充電を行ない、次いで残りのエネルギを用いてバッテリーパック19を充電するか、あるいはバッテリーパック19と一時エネルギ貯蔵器19を並行的に充電することできる。コントローラ26は、短期エネルギ貯蔵器34およびバッテリーパック19の充電を管理して、例えば短期エネルギ貯蔵器に当該貯蔵器の総容量の平均30%である電荷維持することにより、回収されたエネルギを保存するのに充分な容量があることを保証する。制動力が常に、運転者がセレクタ45を用いて選択した各々の仮想ギア比に整合するレベルで得られることが重要であり、これはコントローラ26により管理される。車両は通常、5,6又は7通りの仮想ギア比を備えている。回生制動の選択されたレベルが各々の選択された仮想ギア比に関連付けられている。最も低い仮想ギア比の選択は、例えば回生制動が起動されたときに(下記参照)最大100%の回生制動力を選択する。次いで、6通りの仮想ギア比を有する車両の場合、第2の仮想ギア比(第1の仮想ギア比より高くなるようにシミュレートされた)の選択は最大回生制動力の80%を選択し、第3の仮想ギア比(第2の仮想ギア比より高くなるようにシミュレートされた)の選択は最大回生制動力の60%選択し、第4の仮想ギア比(第3の仮想ギア比より高くなるようにシミュレートされた)の選択は最大回生制動力の40%を選択し、第5の仮想ギア比(第4の仮想ギア比より高くなるようにシミュレートされた)の選択は最大回生制動力の20%を選択し、第6の仮想ギア比(最大ギア比となるようにシミュレートされた)の選択は回生制動を完全に停止させることにより0%の回生制動力が印加される。このように、電気自動車は様々な程度の仮想エンジン制動により動作可能であって、内燃機関および多段トランスミッションギアボックスを備えた車の運転に慣れた運転者には電気自動車において同様な体験が得られる。
【0014】
車両は任意の数の仮想ギア比を備えていてよいが、典型的には4、5、6または7段であり、ギア間の回生制動力のパーセンテージの低下は、シミュレートされるギア比の数に依存する。上述の例では、より高いギアを選択した際に、回生制動力の量は線形に、20%だけ低下するが、これに限らず、あるギア比同士、例えば第1と第2のギア比の間の方が、他のギア比同士、例えば第5と第6のギア比の間よりも大幅なパーセンテージで低下する場合がある。また、仮想ギア比同士の差について、より高いギア比が選択された際の低下の観点から上で議論したが、より低い仮想ギア比が選択された際はこれに対応して回生制動力が上昇するであろう。例えば、運転者が第3の仮想ギア比から第2の仮想ギア比までシミュレートされたシフトダウンを選択した場合、回生制動力は60%から80%まで上昇する。
【0015】
本システムはまた、極端な場合に必要に応じてエネルギを「一斉放出」すべく構成されていても、および/または、コントローラが、一時エネルギ貯蔵器34とバッテリーパック19の両方が完全に充電されたときに(例えば長い下り坂の後で)、基礎ブレーキを適用する油圧制動系(図示せず)と対話すべく構成されていてもよい。
【0016】
図において、運転者用の座席46が示されている。アクチュエータ47、例えば電子アクチュエータが座席46に結合されていて、コントローラ26により制御線48を介して制御される。
【0017】
図に示す車両の駆動輪11〜14はハブモータ15〜18により直接駆動され、駆動系には多段トランスミッションは含まれていない。しかし、本発明の電気自動車は、運転者が仮想ギアシフトを選択する(セレクタは実際に異なるギア比の変更を選択するのではなく、ギア比のシフトのシミュレーションを選択する)ことができる手動操作可能な仮想ギアシフトセレクタ45を提供することにより、およびコントローラ26が、手動操作可能な仮想ギアシフトセレクタ45の動作に、および以下の一つ以上により受信された他の信号に応答して反応するアルゴリズムを実行することにより、ギアシフトのシミュレーションを行なう。
1.電気モータ15〜18のトルクを瞬間的に低下させて、車両乗員が自身に掛かる力の変化を感じるように、従来の陸上車両におけるクラッチ動作を再現する。
2.アクチュエータ47を制御して座席46に対して小さな揺れを誘発させる。
3.電気モータ15〜18のトルク特性、すなわち典型的には電気モータの最大トルクおよびパワー出力を、通常の車両で必要とされるよりも大幅に上回る程度に変化させることにより、コントローラは、通常使用時には第1の制御方式を動作させてモータ15〜18のパワーおよびトルク出力を制限し、アクセルペダル40およびギア比セレクタ45から受信した入力に応答して、モータからのより高いパワーおよびトルク出力を有する第2の制御方式を動作させることにより、より低いギアへのシフトをシミュレートして、例えば追い越し走行時に更なる加速を与える。
4.コントローラ26は、加速を上昇させるべく短期エネルギ貯蔵器34からエネルギを放出してバッテリーパックからの電力を補充することができる。従来型車両において、ギア比のシフトダウンによりエンジンの回転速度が上がり、加速に利用できるより多くのパワーを発生する。電気自動車では実際にはギア比の変化は無い。従ってどのようにして電気自動車の運転者に同様の体験をさせるという技術的な課題がある。これは、本発明において、運転者がスロットルペダルを踏み込んで車両の加速が要求すると共により低い仮想ギア比を選択したことをコントローラが認識した場合に、コントローラが短期エネルギ貯蔵器から保存されたエネルギを放出することにより実現される。
5.スロットルペダル40およびギア比セレクタ45からの入力の組合せ(例:スロットルペダルを踏み込まないシフトダウン)に応答して、通常の車における「エンジンブレーキ」をシミュレートすべく回生制動を実現する。これは運転者による回生制動の制御を可能にすると共に、運転者が例えばジャンクションへの接近または下り坂での速度制御において減速の必要性を予測するため効率的である。上記のように、各々の選択された仮想ギア比に対して異なる程度の回生制動が提供される。回生制動は、スロットルペダル位置が、内燃機関を搭載した従来型車両のスロットルを完全に閉じる位置に該当する場合に適用される。各仮想ギア比において、スロットルペダルが全く踏み込まれていない場合に第1の程度の回生制動を行なうことが可能であるのに対し、ブレーキペダル40も踏み込まれている場合は第2の、より高い程度の回生が行なわれる。
【0018】
上記により、コントローラ26は、ギアシフトトランスミッションを有する既存の車両の運転体験を再現する運転体験を車両10の運転者に与える制御方式を実行することができる。
【0019】
上記に加え、コントローラは、上記のように2通りの動作方式だけでなく、運転者が仮想ギアシフトセレクタを用いて選択した特定の選択された仮想ギア比に各々対応する3通り以上の動作方式も有するようにプログラミングでき、コントローラは各動作方式において、各々の選択された仮想ギア比に特有の回生制動のレベルを有することに加え、当該方式に特有のトルクおよび/またはパワー出力を有するように電気モータを制御する。各動作方式内で、2通りの動作モード、すなわちモータのトルク/パワー出力が第1のレベルに制限される第1の動作モード、およびモータのトルク/パワー出力が無制限であるかまたは第1のレベルより高い第2のレベルに制限される第2の動作モードを提供できる。
【0020】
上記に代えて、ギア比選択者45をステアリングコラム上のパドルで代替してもよい。
【0021】
上記に代えて、コントローラは、スロットルペダル40からの入力および電気モータ15〜18の速度およびトルクを示す入力を用いることにより、標準的な自動ギアボックスで行なえるギアチェンジおよび「キックダウン」を模倣すべくプログラミングすることができる。この場合も、ギアシフトは瞬間的なトルク低下により、および/または座席46を揺らすアクチュエータ47によりシミュレートされる。各仮想ギア比に関連付けられた異なるレベル回生制動が依然として存在する。運転者がスロットルペダルを急激に深く踏み込むことでより低いギア比が選択されることにより従来の自動ギアボックスで得られる「キックダウン」感覚は、コントローラが短期エネルギ貯蔵器から保存されたエネルギを放出するにより再現される。コントローラは、手動ギアボックス、全自動ギアボックス、または半自動ギアボックスを再現すべく構成することができる。半自動ギアボックスの再現において、コントローラは仮想ギア比の自動変更を行なうが、手動操作可能なギアセレクタを介した手動介入も可能である。コントローラは、自動または半自動ギアボックスを再現すべく機能する場合、加速時にギアシフトアップをシミュレートして、車両が加速するにつれて回生レベルの自動低下を可能にすることにより、車両の速度が増すにつれて回生をより低いレベルに設定し、運転者がシフトダウン動作により回生を要求したときは再び上昇させる。この特徴により、回生レベルの自動リセットおよびこれによる仮想エンジンブレーキのレベル変更が可能になる。同様に、車両が速度を落とすにつれて、自動ギアボックスシミュレーションにより車両をより低い仮想ギアにシフトして回生制動のレベルを上昇させる。この特徴により、回生レベルが運転速度に対して不適切な設定に放置されることが自動的に防止されるが、運転者が回生レベルを名目的な設定から上下に手動で選択する(全自動ギアボックスのシミュレーションにおける「キックダウン」または手動操作可能なギアセレクタの操作により手動で)ことができるため運転性能が向上する。全自動トランスミッションのシミュレーションにおいて、回生制動のレベルは通常、主に車両速度の関数として、すなわち、選択される仮想ギア比が速度に応じて変化する際に、変化する。これにより、半自動機能ギアボックスのシミュレーションにおけるよりも運転者の即時的制御性は低下するものの、完全に固定された回生制動レベルよりも向上している。
【0022】
コントローラは、運転者に所望の仮想ギア比、従って所望の回生制動レベルを選択させることにより、運転者が下り坂で車両速度を制御するのを支援する回生制動レベルを選択できるようになる。更に、中〜高速のコーナおよびカーブを有する道路での運転に際して、内燃機関を搭載した従来型車両の運転者は多くの場合、車両をミドルギアに保ちながらある程度スロットルペダルを上げることにより若干のエンジンブレーキを効かせてコーナに入るときの制御レベルを上げることができる。本発明は、運転者に所望の程度の回生制動を選択させることにより、電気自動車において内燃機関自動車のこの特徴を再現し、従ってトラックまたはレースにおける運転性能を向上させる。
【0023】
電気的に駆動される車両についてこれまで説明してきたが、本発明はまた、油圧モータを有する車両にも適用できる。すなわち、電気ハブモータ15〜18を油圧ハブモータで代替し、バッテリーパック19を加圧流体の貯蔵器で代替し、発電機25をポンプ(加圧流体の貯蔵器およびポンプが一緒に車両用の加圧流体のソースとなる)で代替して、コンデンサ34をはずみ車または第2の油圧貯蔵器で代替することができる。
【0024】
車両は、内燃機関が通常備えている毎分回転数インジケータと同等の視覚インジケータ、例えばゲージまたはカウンタを備えていてよい。視覚インジケータの出力は、電気モータまたは油圧ポンプの回転速度、および選択される仮想ギア比の両方に関係する電子コントローラにより制御される。電子コントローラは各仮想ギア比についてモータ/ポンプ回転速度の異なるスカラーを用いる。必要ならば、視覚インジケータの出力を計算する際にモータ/ポンプ速度の代用として車両速度を用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
10 陸上車両、11,12,13,14 駆動輪、15,16,17,18 電気ハブモータ、19 電気バッテリーパック、20,21,22,23 導線、24 内燃機関、25 発電機、26 電子コントローラ、27,28,29,30 制御線、31 通信線、32,33 制御線、34 短期エネルギ貯蔵器、35,36,37,38 導線、39 通信線、40 スロットルペダル、41 ブレーキペダル、42,43、44 通信線、45 セレクタ、46 座席、47 アクチュエータ、48 制御線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の駆動輪を駆動する少なくとも1個の電気モータと、
前記電気モータに電力を供給する電池と、
前記電気モータの動作を制御する電子コントローラと、
運転者により操作されるスロットルコントロールとを含む陸上車両であって、
前記電子コントローラが前記運転者により操作されるスロットルコントロールの動作を表す入力信号を含む複数の入力信号を受信し、
前記電子コントローラが複数の異なる仮想ギア比に対応する複数の異なる動作方式を実現すると共に、前記電子コントローラが受信した前記複数の入力信号に基づいてある動作方式を選択し、
前記電子コントローラが前記電気モータを前記車両の回生制動を実現する発電機として動作させることができ、前記モータが前記車両に対して制動力を加えることによりエンジンブレーキをシミュレートしながら、前記車両の運動エネルギから電力を発生させる発電機として機能し、
各動作方式が特有の回生制動のレベルを有し、ある動作方式が最高レベルの回生制動を有する最低仮想ギア比に対応し、ある動作方式が最低レベルの回生制動を有する最高仮想ギア比に対応し、他の動作方式が、最高レベルと最低レベルの間で回生制動が得られる、最高および最低レベル以外の仮想ギア比に対応している陸上車両。
【請求項2】
前記コントローラが、前記スロットルコントロールが速度の低下が要求されていることを示しながらより低い仮想ギア比が選択されたならば、前記電気モータを制御して回生制動を実現させる、請求項1に記載の陸上車両。
【請求項3】
前記コントローラが各動作方式において、前記動作方式に特有のパワーおよび/またはトルク出力特性により前記電気モータを動作させる、請求項1または2に記載の陸上車両。
【請求項4】
前記コントローラが各動作方式に対して、前記電気モータのトルクおよび/またはパワー出力が前記コントローラにより制限される第1の動作モード、および前記電気モータがパワーおよび/またはトルク出力制限が上昇した状態で動作されるか、または前記コントローラが前記電気モータのパワーおよび/またはトルク出力に制限を課すことなく前記電気モータが動作される第2の動作モードを有する、請求項3に記載の陸上車両。
【請求項5】
前記運転者により操作されたスロットルコントロールが、ある仮想ギア比からより低い仮想ギア比への変化に追随して前記車両の加速が要求されていることを示す場合、各動作方式の前記コントローラが第2の動作モードを選択する、請求項4に記載の陸上車両。
【請求項6】
前記電子コントローラが、仮想ギア比間のシフトが前記電気モータのトルク出力の一時的低下を伴う制御方式を用いて前記電気モータの動作を制御する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の陸上車両。
【請求項7】
運転席と、
前記運転席に接続されたアクチュエータとを更に含み、
前記電子コントローラが前記アクチュエータを制御し、仮想ギア比が変化する間、前記アクチュエータが前記運転席を移動すべく制御される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の陸上車両。
【請求項8】
前記電池とは別個であって、前記コントローラにより制御される短期エネルギ貯蔵器を更に含み、
前記コントローラが、スロットルコントロールの位置が車両の加速が要求されていることを示す間に、より低い仮想ギア比の選択を検知したならば、前記短期エネルギ貯蔵器からエネルギを放出することにより前記電気モータのトルクおよび/またはパワー出力を上昇させる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の陸上車両。
【請求項9】
前記短期エネルギ貯蔵器が、回生制動の間に前記電気モータが発電機として動作する際に生成したエネルギを受容および貯蔵する、請求項8に記載の陸上車両。
【請求項10】
前記短期エネルギ貯蔵器が、電気エネルギの貯蔵器であって、電池に接続されていて電気エネルギを前記電池へ中継および/または前記電池から受容し、前記電子コントローラが、前記短期エネルギ貯蔵器を所望の部分的に充電されたレベルに維持し、前記所望の部分的に充電されたレベルを超える余分のエネルギが前記電池に中継される目的で、前記短期エネルギ貯蔵器と前記電池との間での電気エネルギの交換を制御する、請求項9に記載の陸上車両。
【請求項11】
運転者により操作可能であって、前記運転者が仮想ギア比を選択できるようにするギアセレクタを含み、前記ギアセレクタが、前記電子コントローラへ送られて処理されるギア選択信号を生成する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の陸上車両。
【請求項12】
少なくとも1個の駆動輪を駆動する少なくとも1個の電気モータを有する陸上車両を動作させる方法であって、電子コントローラを用いて、運転者により操作されるスロットルコントロールの動作を表す信号を含む複数の入力信号に応答して前記電気モータの動作を制御するステップを含み、
前記電子コントローラが複数の異なる仮想ギア比に対応する複数の異なる動作方式を実現すると共に、前記電子コントローラが受信した前記複数の入力信号に基づいてある動作方式を選択し、
前記電子コントローラが前記電気モータを前記車両の回生制動を実現する発電機として動作させることができ、前記モータが前記車両に対して制動力を加えることによりエンジンブレーキをシミュレートしながら、前記車両の運動エネルギから電力を発生させる発電機として機能し、
前記電子コントローラにより実現された各動作方式が特有の回生制動のレベルを有し、ある動作方式が最高レベルの回生制動を有する最低仮想ギア比に対応し、ある動作方式が最低レベルの回生制動を有する最高仮想ギア比に対応し、他の動作方式が、最高レベルと最低レベルの間で回生制動が得られる、最高および最低レベル以外の仮想ギア比に対応している方法。
【請求項13】
前記コントローラが、前記スロットルコントロールの操作により加速の要求が無いにも拘わらずより低い仮想ギア比への変更が選択されたことを検知した場合、前記コントローラが回生制動を実現すべく前記電気モータを制御する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1個の駆動輪を駆動する少なくとも1個の電気モータと、
前記電気モータに電力を供給する電池と、
前記電気モータの動作を制御する電子コントローラと、
運転者により操作されるスロットルコントロールと、
前記電池とは別個であって、前記コントローラにより制御されて前記電池よりも高速に充電および放電可能な短期エネルギ貯蔵器とを含む陸上車両であって、
前記電子コントローラが前記運転者により操作されるスロットルコントロールの動作を表す入力信号を含む複数の入力信号を受信して、複数の異なる仮想ギア比に対応する複数の異なる動作方式を実現すると共に、前記電子コントローラが受信した前記複数の入力信号に基づいてある動作方式を選択し、
前記コントローラが、ある仮想ギア比からより低い仮想ギア比への変更に、車両の加速が要求されていることを示すスロットルコントロールの位置に伴うことを検知したならば、前記短期エネルギ貯蔵器からエネルギを放出することにより前記電気モータのトルクおよび/またはパワー出力を上昇させる陸上車両。
【請求項15】
前記短期エネルギ貯蔵器が、回生制動の間に前記電気モータが発電機として動作する際に生成したエネルギを受容および貯蔵する、請求項14に記載の陸上車両。
【請求項16】
前記短期エネルギ貯蔵器が、電気エネルギの貯蔵器であって、電池に接続されていて電気エネルギを前記電池へ中継および/または前記電池から受容し、前記電子コントローラが、前記短期エネルギ貯蔵器を所望の部分的に充電されたレベルに維持し、前記所望の部分的に充電されたレベルを超える余分のエネルギが前記電池に中継される目的で、前記短期エネルギ貯蔵器と前記電池との間での電気エネルギの交換を制御する、請求項15に記載の陸上車両。
【請求項17】
運転者により操作可能であって、前記運転者が仮想ギア比を選択できるようにするギアセレクタを含み、前記ギアセレクタが、前記電子コントローラへ送られて処理されるギア選択信号を生成する、請求項14〜16のいずれか1項に記載の陸上車両。
【請求項18】
少なくとも1個の駆動輪を駆動する少なくとも1個の油圧モータと、
前記油圧モータに流体動力を供給する流体圧力源と、
前記油圧モータの動作を制御する電子コントローラと、
運転者により操作されるスロットルコントロールとを含む陸上車両であって、
前記電子コントローラが複数の異なる仮想ギア比に対応する複数の異なる動作方式を実現すると共に、前記電子コントローラが受信した前記複数の入力信号に基づいてある動作方式を選択し、
前記電子コントローラが前記油圧モータを前記車両の回生制動を実現するポンプとして動作させることができ、前記モータが前記車両に対して制動力を加えることによりエンジンブレーキをシミュレートしながら、前記車両の運動エネルギから油圧動力を発生させるポンプとして機能し、
各動作方式が特有の回生制動のレベルを有し、ある動作方式が最高レベルの回生制動を有する最低仮想ギア比に対応し、ある動作方式が最低レベルの回生制動を有する最高仮想ギア比に対応し、他の動作方式が、最高レベルと最低レベルの間で回生制動が得られる、最高および最低レベル以外の仮想ギア比に対応している陸上車両。
【請求項19】
前記コントローラが、前記スロットルコントロールの操作が速度の低下が要求されていることを示しながらより低い仮想ギア比が選択されたならば、前記油圧モータを制御して回生制動を実現させる、請求項18に記載の陸上車両。
【請求項20】
前記コントローラが各動作方式において、前記動作方式に特有のパワーおよび/またはトルク出力特性により前記油圧モータを動作させる、請求項18または19に記載の陸上車両。
【請求項21】
前記コントローラが各動作方式に対して、前記油圧モータのトルクおよび/またはパワー出力が前記コントローラにより制限される第1の動作モード、および前記油圧モータがパワーおよび/またはトルク出力制限が上昇した状態で動作されるか、または前記コントローラが前記油圧モータのパワーおよび/またはトルク出力に制限を課すことなく前記油圧モータが動作される第2の動作モードを有する、請求項20に記載の陸上車両。
【請求項22】
前記運転者により操作されたスロットルコントロールが、ある仮想ギア比からより低い仮想ギア比への変化に追随して前記車両の加速が要求されていることを示す場合、各動作方式の前記コントローラが第2の動作モードを選択する、請求項21に記載の陸上車両。
【請求項23】
前記電子コントローラが、仮想ギア比間のシフトが前記油圧モータのトルク出力の一時的低下を伴う制御方式を用いて前記油圧モータの動作を制御する、請求項18〜22のいずれか1項に記載の陸上車両。
【請求項24】
運転席と、
前記運転席に接続されたアクチュエータとを更に含み、
前記電子コントローラが前記アクチュエータを制御し、仮想ギア比が変化する間、前記アクチュエータが前記運転席を移動すべく制御される、請求項18〜23のいずれか1項に記載の陸上車両。
【請求項25】
前記流体圧力源とは別個であって、前記コントローラにより制御される短期エネルギ貯蔵器を更に含み、
前記コントローラが、車両の加速が要求されていることを示すスロットルコントロールの位置を伴う、より低い仮想ギア比の選択を検知したならば、前記短期エネルギ貯蔵器からエネルギを放出することにより前記油圧モータのトルクおよび/またはパワー出力を上昇させる、請求項18〜24のいずれか1項に記載の陸上車両。
【請求項26】
前記短期エネルギ貯蔵器が、回生制動の間に前記油圧モータがポンプとして動作する際に加圧された油圧流体を受容および貯蔵する、請求項25に記載の陸上車両。
【請求項27】
運転者により操作可能であって、前記運転者が仮想ギア比を選択できるようにするギアセレクタを含み、前記ギアセレクタが、前記電子コントローラへ送られて処理されるギア選択信号を生成する、請求項18〜26のいずれか1項に記載の陸上車両。
【請求項28】
少なくとも1個の駆動輪を駆動する少なくとも1個の油圧モータを有する陸上車両を動作させる方法であって、電子コントローラを用いて、運転者により操作されるスロットルコントロールの動作を表す信号を含む複数の入力信号に応答して前記油圧モータの動作を制御するステップを含み、
前記電子コントローラが複数の異なる仮想ギア比に対応する複数の異なる動作方式を実現すると共に、前記電子コントローラが受信した前記複数の入力信号に基づいてある動作方式を選択し、
前記電子コントローラが前記油圧モータを前記車両の回生制動を実現するポンプとして動作させることができ、前記モータが前記車両に対して制動力を加えることによりエンジンブレーキをシミュレートしながら、前記車両の運動エネルギを用いて油圧流体を加圧するポンプとして機能し、
前記電子コントローラにより実現された各動作方式が特有の回生制動のレベルを有し、ある動作方式が最高レベルの回生制動を有する最低仮想ギア比に対応し、ある動作方式が最低レベルの回生制動を有する最高仮想ギア比に対応し、他の動作方式が、最高レベルと最低レベルの間で回生制動が得られる、最高および最低レベル以外の仮想ギア比に対応している方法。
【請求項29】
前記コントローラが、前記スロットルコントロールの操作により加速の要求が無いにも拘わらずより低い仮想ギア比への変更が選択されたことを検知した場合、前記コントローラが回生制動を実現すべく前記モータを制御する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1個の駆動輪を駆動する少なくとも1個の油圧モータと、
前記油圧モータに電力を供給する流体圧力源と、
前記油圧モータの動作を制御する電子コントローラと、
運転者により操作されるスロットルコントロールと、
前記流体圧力源とは別個であって、前記コントローラにより制御される短期エネルギ貯蔵器とを含む陸上車両であって、
前記電子コントローラが前記運転者により操作されるスロットルコントロールの動作を表す入力信号を含む複数の入力信号を受信して、複数の異なる仮想ギア比に対応する複数の異なる動作方式を実現すると共に、前記電子コントローラが受信した前記複数の入力信号に基づいてある動作方式を選択し、
前記コントローラが、ある仮想ギア比からより低い仮想ギア比への変更に、車両の加速が要求されていることを示すスロットルコントロールの位置に伴うことを検知したならば、前記短期エネルギ貯蔵器からエネルギを放出することにより前記油圧モータのトルクおよび/またはパワー出力を上昇させる陸上車両。
【請求項31】
前記短期エネルギ貯蔵器が、回生制動の間に前記油圧モータがポンプとして動作する際に生成したエネルギを受容および貯蔵する、請求項30に記載の陸上車両。
【請求項32】
運転者により操作可能であって、前記運転者が仮想ギア比を選択できるようにするギアセレクタを含み、前記ギアセレクタが、前記電子コントローラへ送られて処理されるギア選択信号を生成する、請求項30または31に記載の陸上車両。

【図1】
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【公表番号】特表2013−520152(P2013−520152A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553399(P2012−553399)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【国際出願番号】PCT/GB2011/000236
【国際公開番号】WO2011/101646
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(500061408)ロータス カーズ リミテッド (12)
【Fターム(参考)】