説明

電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法

【課題】賦活時に炭素粒子の融着が起こらず、粒子径が小さく、かつ粒子径の揃った比較的比表面積の大きい活性炭を工業的に容易かつ安価に製造する方法を提供するとともに、単位体積当たりの静電容量の大きい活性炭を提供する。
【解決手段】易黒鉛化性炭素材を、焼成処理後の炭素材の水素/炭素原子比(H/C)の減少率が4%以上もしくは揮発分の減少率が5%以上となるよう焼成処理した後、賦活処理することを特徴とする平均粒子径が0.5〜5μmでBET比表面積が1500〜3000m/gの電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気二重層キャパシタ電極用炭素材である活性炭の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭は炭化処理をしたヤシガラや、石油コークス、石炭コークスなどの炭素材料を賦活して多孔質構造としたものである。表面積の大きい多孔質の活性炭は、吸着剤や触媒担体、電気二重層キャパシタ、リチウム二次電池などの電極材料などに多用されている。特に、ハイブリッドカーなどに使用する電気二重層キャパシタにおいて、エネルギー密度、即ち、静電容量を増大するために、その電極材料として微細孔が効果的に形成された結晶化度が高く、かつ表面積の大きい活性炭が求められている。
【0003】
かかる電気二重層キャパシタの電極材料に使用可能な微細孔が効果的に形成された活性炭の工業生産には、石油コークスなどの炭素材料と水酸化カリウムなどのアルカリ金属化合物とを不活性ガス雰囲気中などで、例えば、600〜1200℃の範囲で加熱し、アルカリ金属を黒鉛結晶層間に侵入させて反応させる賦活方法が一般的に使用されている。このような賦活において、層状の縮合多環炭素化合物が積層された層状構造にアルカリ金属が侵入し、微細孔が形成される。
アルカリ賦活して得られる活性炭は比較的比表面積が大きく、しかも電気二重層キャパシタ用電極を作製するに当たっては、活性炭の粒度が揃っており、粗大粒子を含まないことが求められる。
【0004】
特許文献1においては、電気二重層キャパシタ用電極を作製するに当たっては、活性炭の粒度を揃えるために、活性炭をボールミルにより粉砕し、BET法による比表面積が1300m/g以上2200m/g以下、平均粒径1μm以上7μm以下の活性炭を得ている。特許文献2においても、ボールミル粉砕法により平均粒径100nm〜10μmの活性炭を得ている。
【特許文献1】特開2000−182904号公報
【特許文献2】特開2006−324183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
活性炭の粒子径を小さくする方法としては、活性炭を目的粒度まで粉砕する方法と、原料の細かなものを賦活して活性炭を得る方法があるが、前者は粉砕により細孔が潰され比表面積の低下を招くため好ましくなく、後者では賦活において粒子同士の融着が起こるために得られた活性炭の粒子径は原料のそれよりも大きくなってしまう問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、粒子径が小さく、かつ粒子径の揃った比較的比表面積が大きい活性炭を工業的に容易に、しかも、賦活工程後の粉砕工程を省略でき、コストを安く製造する方法について鋭意研究した結果、焼成処理後の炭素材の水素/炭素原子比(H/C)の減少率および揮発分の減少率を一定以上に調整することにより、賦活工程における粒子同士の融着が防止できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0007】
すなわち、本発明は、易黒鉛化性炭素材を、焼成処理後の炭素材の水素/炭素原子比(H/C)の減少率が4%以上および揮発分の減少率が5%以上となるよう焼成処理した後、賦活処理することを特徴とする平均粒子径が0.5〜5μmでBET比表面積が1500〜3000m/gの電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法に関する。
また本発明は、焼成処理温度が500〜700℃であることを特徴とする上記の活性炭の製造方法に関する。
また本発明は、上記の製造方法で得られる電気二重層キャパシタ電極用活性炭に関する。
さらに本発明は、上記の活性炭を用いた電気二重層キャパシタに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、粒子径が小さく、かつ粒度の揃った、比表面積が比較的大きい電気二重層キャパシタ用活性炭を容易に、かつ安いコストで製造することができる。また本発明により得られる活性炭を電極に用いることにより、単位体積当たりの静電容量の大きい活性炭が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳述する。
本発明においては、易黒鉛化性炭素材を原料とし、それを焼成処理後の炭素材の水素/炭素原子比(H/C)の減少率が4%以上および揮発分の減少率が5%以上となるよう焼成処理することが重要である。
本発明において出発原料として用いる易黒鉛化性炭素材としては、石油コークスや石炭ピッチコークス等を炭素化したもの、メソフェーズピッチやそれを紡糸したメソフェーズ系炭素繊維を不融化・炭素化したもの等を挙げることができるが、本発明においては石油コークスが好ましく、石油生コークスが特に好ましい。
本発明で出発原料として好ましく使用される石油生コークスは、アルキル側鎖を持つ多環芳香族化合物の積層した集合体で、熱不融の固体である。
【0010】
石油コークスは石油の重質留分を500℃程度の高温で熱分解(コーキング)して得られる固形の炭素を主成分とする製品であり、通常の石炭系のコークスに対して石油コークスと呼ぶ。石油コークスにはディレード・コーキング法によるものとフルイド・コーキング法によるものとがあり、現在においては前者によるものが大半を占めている。本発明においては、この石油コークスでコーカーから取り出されたままの状態である石油生コークス(生コークス)を用いるのが好ましい。ディレード・コーキング法により生産される生コークスは揮発分が6〜13質量%であり、フルイド・コーキング法により生産される生コークスは揮発分が4〜7質量%である。本発明においてはいずれの方法による生コークスを用いてもよいが、容易に入手が可能でかつ品質の安定したディレード・コーキング法により生産される生コークスが特に好適である。
【0011】
上記石油の重質留分としては、特に限定されないが、石油類を減圧蒸留したときに残渣油として得られる重質油、石油類を流動接触分解して得られる重質油、石油類を水素化脱硫して得られる重質油、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0012】
本発明においては、易黒鉛化性炭素材を500〜700℃で焼成し、焼成処理後の炭素材の水素/炭素原子比(H/C)の減少率を4%以上および揮発分の減少率を5%以上となるように調整することにより、目的とする平均粒径が0.5〜5μmで、BET比表面積が1500〜3000m/gである活性炭を得ることができる。
なお、本発明でいう水素/炭素原子比(H/C)の減少率が4%以上とは、焼成処理前の炭素材の水素/炭素原子比をAとし、焼成処理後の炭素材の水素/炭素原子比をBとしたときに、(A−B)/Aの値が4%以上であることをいい、揮発分の減少率が5%以上とは、焼成処理前の炭素材の揮発分の含有量をXとし、焼成処理後の揮発分の含有量をYとしたときに、(X−Y)/Xの値が5%以上であることをいう。
【0013】
炭素材の水素/炭素原子比(H/C)の減少率を4%以上および揮発分の減少率を5%以上とするためには、焼成温度と焼成時間をコントロールすることにより達成することができる。具体的には、焼成温度が500〜700℃の範囲では、焼成時間としては通常0.01〜10時間が採用されるが、温度条件により焼成時間を適宜調整する。
【0014】
焼成処理後の活性炭の水素/炭素原子比(H/C)の減少率が4%未満の場合や、焼成処理後の揮発分の減少率が5%未満の場合には、焼成工程で発生した成分が揮散せずに粒子内に残存するため、賦活時にバインダーとして作用して炭素粒子同士の融着を引き起こし、目的とする平均径の小さな粒子を得ることができない。一方、焼成処理後の炭素材(以後、炭化物とも呼ぶ。)の水素/炭素原子比(H/C)の減少率があまり大きくても炭素化が進むため賦活反応の進行が不十分となり、目的のBET比表面積が得られないおそれがあるために好ましくなく、上限は好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは20%以下である。また、焼成処理後の揮発分の減少率があまり大きくても上記と同様の理由で好ましくなく、上限は好ましくは35%以下であり、さらに好ましくは25%以下である。
【0015】
次に、このように焼成して得られた炭化物を公知の方法にて賦活処理して活性炭とする。
賦活工程における賦活反応の反応条件はこの反応を充分に進行させることができれば特に限定されず、通常の活性炭の製造で行われる公知の賦活反応と同様の反応条件のもとで賦活反応を行うことができる。例えば、賦活工程における賦活反応は、通常の活性炭の製造で行われるアルカリ金属水酸化物を焼成後の炭化物に混合し、好ましくは400℃以上、より好ましくは600℃以上、更に好ましくは700℃以上の高温の温度条件のもと加熱することにより行うことができる。なお、この加熱温度の上限は賦活反応が支障なく進行する温度であれば特に限定されないが、通常900℃以下が好ましい。
【0016】
賦活工程における賦活反応に使用するアルカリ金属水酸化物としては、例えば、KOH、NaOH、RbOH、CsOHが挙げられる。中でも賦活効果の観点からKOHが好ましい。
アルカリ賦活方法は、通常、アルカリ金属化合物等の賦活剤と炭化物を混合し、加熱することにより行われる。炭化物と賦活剤との混合割合は特に限定されるものではないが、通常、両者の質量比(炭化物:賦活剤)が1:0.5〜1:5の範囲が好ましく、1:1〜1:3の範囲がより好ましい。
【0017】
炭化物は賦活処理された後、通常、アルカリ洗浄、酸洗浄、水洗、乾燥、粉砕工程を経て活性炭となる。賦活剤として、アルカリ金属化合物を使用した場合、炭化物中に残留するアルカリ金属の量については、電気二重層キャパシタとした場合に悪影響を及ぼす可能性のある水準よりも低い量(好ましくは1000質量ppm以下)であれば特に限定されないが、通常、例えば、洗浄排水のpHが7〜8程度になるように洗浄すると共に、できるだけアルカリ金属分を除去するように洗浄することが望ましい。洗浄後は通常行われる乾燥工程を経て、目的の活性炭を得ることができる。
【0018】
本発明により、かくして得られる活性炭は、ボールミル等を使用してさらに粉砕する工程を省略しても、粒度が揃った微粒子であることが特徴である。すなわち本発明により得られる活性炭は、平均粒径が0.5〜5μm、比表面積が1500〜3000m/gであり、賦活処理後の活性炭の窒素ガス吸着法による細孔直径が0.1〜50nmの細孔容積が0.1〜3ml/g、水銀圧入法による細孔直径が0.05〜300μmの細孔容積が0.4〜5ml/g、アルカリ金属量は200質量ppm以下である。
【0019】
次に、本発明の電気二重層キャパシタについて説明する。
本発明の電気二重層キャパシタは、前記のように調製された活性炭を含む電極を備えることを特徴とするものである。
該電極は、例えば、活性炭と結着剤、さらに好ましくは導電剤を加えて構成され、またさらに集電体と一体化した電極であっても良い。
ここで使用する結着剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体架橋ポリマー等のフッ素化ポリマー、カルボキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等のビニル系ポリマー、ポリアクリル酸等が挙げられる。電極中における結着剤の含有量は特に限定されないが、活性炭と結着剤の合計量に対して、通常0.1〜30質量%程度の範囲内で適宜選択される。
【0020】
導電剤としては、カーボンブラック、粉末グラファイト、酸化チタン、酸化ルテニウム等の粉末が用いられる。電極中における導電剤の配合量は、配合目的に応じて適宜選択されるが、活性炭、結着剤及び導電剤の合計量に対して、通常1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%程度の範囲内で適宜選択される。
なお、活性炭、結着剤、導電剤を混合する方法としては、公知の方法が適宜適用され、例えば、結着剤を溶解する性質を有する溶媒を上記成分に加えてスラリー状としたものを集電体上に均一に塗布する方法や、あるいは溶媒を加えないで上記成分を混練した後に常温または加熱下で加圧成形する方法が採用される。
また、集電体としては、公知の材質および形状のものを使用することができ、例えば、アルミニウム、チタン、タンタル、ニッケル等の金属、あるいはステンレス等の合金を用いることができる。
【0021】
本発明の電気二重層キャパシタの単位セルは、一般に上記電極を正極及び負極として一対用い、セパレータ(ポリプロピレン繊維不織布、ガラス繊維不織布、合成セルロース紙等)を介して対向させ、電解液中に浸漬することによって形成される。
電解液としては、公知の水系電解液、有機系電解液を使用することができるが、有機系電解液を用いることがより好ましい。このような有機系電解液としては、電気化学の電解液の溶媒として使用されているものを用いることができ、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、スルホラン誘導体、3−メチルスルホラン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、グルタロニトリル、バレロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、メチルフォルメート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等を挙げることができる。なお、これらの電解液を混合して使用してもよい。
【0022】
また、有機電解液中の支持電解質としては、特に限定されないが、電気化学の分野又は電池の分野で通常使用される塩類、酸類、アルカリ類等の各種のものが使用でき、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩、4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられ、(CNBF、(C(CH)NBF、(CPBF、(C(CH)PBF等が好ましいものとして挙げられる。電解液中のこれらの塩の濃度は、通常0.1〜5mol/l、好ましくは0.5〜3mol/l程度の範囲内で適宜選択される。
電気二重層キャパシタのより具体的な構成は特に限定されないが、例えば、厚さ10〜500μmの薄いシート状またはディスク状の一対の電極(正極と負極)の間にセパレータを介して金属ケースに収容したコイン型、一対の電極をセパレータを介して捲回してなる捲回型、セパレータを介して多数の電極群を積み重ねた積層型等が挙げられる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0024】
<実施例1>
使用した原料である石油生コークスは、ディレードコーカーを用いてミナス原油の減圧残渣油30vol%と中東系原油の減圧軽油を流動接触分解したときの重質油70vol%を混合して500〜600℃で熱分解して製造したものである。石油生コークスの物性を表1に示す。
石油生コークスを表1に示す条件、すなわち、550℃で3時間焼成した。その際、昇温速度は、200℃/時間とした。焼成後の炭化物の物性を表1に示す。この炭化物をボールミルで8時間粉砕したときの粒度分布を表2に示す。平均粒径(D50)は1.7μmであった。この粉砕物100質量部に対して水酸化カリウムが220重量部となるように混合し、窒素ガス雰囲気中、700℃で1時間賦活反応を進行せしめ、反応後に水洗及び酸洗浄(塩酸を使用)を繰り返し、炭素材中に残存する金属カリウムを除去し、乾燥して賦活物(EDLC電極用炭素材)を得た。得られた賦活物について、以下の方法で比表面積を求め、また、粒度分布についても測定した(図1)。平均粒径は1.8μmであった。
【0025】
水素/炭素原子比:有機元素分析装置(住化分析センター社製SUMIGRAPH、NCH―22F)を用いて試料中の炭素重量%、水素重量%を求め、水素/炭素原子比を算出した。
揮発分:JIS M8812「石炭類及びコークス類−工業分析法」に記載の方法に準拠して測定した。
真密度:JIS K2151に準拠して測定した。
比表面積:窒素ガス吸着法(BET法)により測定した。
粒度分布測定:レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−950型)を用いて水を分散媒として少量の界面活性剤を添加し超音波を照射した後、測定した。得られた体積基準の粒度積分曲線より10%粒子径、50%粒子径(平均粒子径)、90%粒子径を求めた。
【0026】
上記賦活品80質量部にカーボンブラックを10質量部、ポリテトラフルオロエチレン粉末を10質量部加え、乳鉢でペースト状となるまで混錬した。次いで、得られたペーストを180kPaのローラープレスで圧延して、厚さ200μmの電極シートを作製した。
上記電極シートから直径16mmの円盤状ディスクを2枚打ち抜き、120℃、13.3Pa(0.1Torr)で2時間真空乾燥した後、露点−85℃の窒素雰囲気下のグローブボックス中にて、有機電解液(トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートのプロピレンカーボネート溶液、濃度:1モル/リットル)を真空含浸せしめた。次に、2枚の電極を各々正極、負極とし、両極間にセルロース系セパレータ(ニッポン高度紙工業社製、商品名:TF40−50、厚さ:50μm)、両端にはアルミ箔の集電体を取り付け、宝泉社製の2極式セルに組み込んで電気二重層キャパシタ(コイン型セル)を作製した。得られた各キャパシタについて、以下の方法により、静電容量を測定した。結果を表3に示す。
【0027】
静電容量:上記コイン型セルに1F当たり2mAの定電流で2.7Vまで充電した。充電終了後30分2.7Vに保持した後、1mAの定電流放電を20℃で行った。そして、放電カーブにおいて、充電電圧の80%をV1、40%をV2、80%から40%まで電圧が降下するまでにかかる時間をΔT、放電電流値をIとしたとき、以下の式:
静電容量C[F]=IΔT/(V1−V2)
に従って静電容量C[F]を算出し、これを電極に含まれる活性炭の質量(正極、負極の合計)で割ると、質量あたり静電容量[F/g]が算出される。このF/gに、電極密度[g/cc]を掛けてF/ccを算出した。
【0028】
<実施例2>
石油重質油の流動接触分解装置のボトム油90vol%と減圧蒸留残渣油10vol%の混合物を500℃、1時間でコーキング化して原料を得た。これを焼成温度600℃、保持時間1時間として炭化物を得た。以下は実施例1と同様の操作を行った。
【0029】
<比較例1>
実施例1の条件で焼成温度550℃、保持時間1時間として炭化物を得た。以下は実施例1と同様の操作を行った。図3に示すように、アルカリ賦活前の炭化物の粒子径に比較して、アルカリ賦活後の活性炭の粒子径は著しく増大していた。、
【0030】
<比較例2>
実施例2の条件で焼成温度600℃、保持時間0.3時間として炭化物を得た。以下は実施例1と同様の操作を行った。
【0031】
以上より、焼成後のH/C原子比の減少率が4%以上、または揮発分減少率が5%以上の場合は、それらを賦活して得られた活性炭を用いた電気二重層キャパシタの単位体積当たりの静電容量が比較的大きかった。
【0032】
【表1】

【表2】

【表3】

【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1の活性炭および賦活前の炭化物の粒度分布曲線を示す。
【図2】実施例2の活性炭および賦活前の炭化物の粒度分布曲線を示す。
【図3】比較例1の活性炭および賦活前の炭化物の粒度分布曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
易黒鉛化性炭素材を、焼成処理後の炭素材の水素/炭素原子比(H/C)の減少率が4%以上および揮発分の減少率が5%以上となるよう焼成処理した後、賦活処理することを特徴とする平均粒子径が0.5〜5μmでBET比表面積が1500〜3000m/gの電気二重層キャパシタ電極用活性炭の製造方法。
【請求項2】
焼成処理温度が500〜700℃であることを特徴とする請求項1に記載の活性炭の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製造方法で得られる電気二重層キャパシタ電極用活性炭。
【請求項4】
請求項3に記載の活性炭を用いた電気二重層キャパシタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−13012(P2009−13012A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176468(P2007−176468)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】