電気光学デバイス及びその製造方法
本発明は、プレーナ型電気光学デバイス及びその作製方法に関する。プレーナ型電気光学デバイスは、基板(7)の頂面のところどころに隣接して位置する導電性ワイヤ(3)から成る埋め込み織物構造体を有する。この位置で種々の電極層をワイヤに接続するのが良い。この場合、ワイヤを用いると、電極それ自体が非常に薄い場合であっても、例えば電極表面全体にわたって一様な電位を生じさせることができる。この種の基板は、アドレス指定目的にも利用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレーナ型基板と、基板の第1の表面上に設けられた少なくとも1つの電極層及び活性層とを有する電気光学デバイスに関する。本発明は、更に、このようなデバイスの製造方法及び基板に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した種類のデバイスは、例えば、「アプライド・フィジィックス・レット(Appl.
Phys. Lett.)」,第51巻,1987年,p.913−915にシー・ダブリュ・タン(C. W. Tang)及びエス・エー・ヴァン・スライク(S. A. Van. Slyke)によって開示されている。このようなデバイスは、照明目的用のOLED(有機発光ダイオード)デバイスであり、透明な基板上に配置された透明なアノードとカソードとの間でサンドイッチされた活性有機発光層を有している。電圧がアノードとカソードとの間に印加されると、有機層は、アノード及び基板を介して光を放出する。
【0003】
このようなデバイスに関する1つの問題は、活性表面が広くなると、電極表面全体にわたり電圧降下が生じることである。これは、電極層が非常に薄いことに起因している。このことは、OLEDデバイスに関する上述の場合、電流密度及びその結果としての光放出が、デバイス表面全体にわたり一様ではないようになることを意味している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この問題を解決する明らかな手法は、厚い電極層を設けることである。しかしながら、これは、いつでも有用な解決策ではない。第1に、電極層が厚くなると、光の透過度が減少する。これは、特に、光が極めて薄い金属カソード層を通って伝搬されるいわゆる頂面発光OLEDについては特に適しているが、例えば透明なITO(インジウム錫酸化物)アノード層についても同様である。
【0005】
第2に、蒸着法により厚い層を被着させることは、高価な基材を用いてサイクル時間が長くなることを意味し、それ故に、製品が高価になることを意味している。
【0006】
したがって、本発明の目的は、電極層が薄く、しかもその表面全体にわたり一様な電圧をもたらす冒頭に述べた種類の有機ダイオードデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項14に記載された方法により作製できる請求項1記載のデバイスによって達成される。この目的は、更に、請求項16に記載された基板を用いて達成できる。
【0008】
具体的に説明すると、この場合、本発明は、プレーナ型基板と、基板の第1の表面上に設けられた少なくとも1つの電極層及び活性層とを有する電気光学デバイスに関する。基板は、基板中に埋め込まれていて、構造体をなすよう配置された複数本の導電性ワイヤを有し、ワイヤは、曲がりくねった状態で基板の第1の表面に近づいたりこれから遠ざかったりすると共に第1の表面の多くの場所で第1の表面に隣接して位置するようになっており、少なくとも1つの電極層は、複数の場所で複数本のワイヤに接続されている。
【0009】
このような電気光学デバイスでは、織物構造体をなすワイヤは、分巻接続部を提供することにより非常に薄い電極層の表面全体にわたり電位を一様にするよう使用できる。
【0010】
さらに又、互いに異なる電圧を互いに異なるワイヤにもたらすことにより、互いに異なる電極を電極層の互いに異なる部分又は互いに異なる電極層にもたらすことが可能である。
【0011】
ワイヤは、織物構造体をなして配置されるのが良く、このような織物構造体により、本来的にワイヤは、適当な仕方で曲がりくねった状態になり、ワイヤは、織物構造体中で互いに交差した状態で、互いに電気的に絶縁できる。
【0012】
第1のセットをなすワイヤが、織物構造体中で第1の方向に延びた状態で第1の電極層に接続されるのが良く、第2のセットをなすワイヤが、織物構造体中で第2の方向に延びた状態で、第1の電極層に設けられた孔を通って第2の電極層に接続されるのが良い。この場合、第1の電極セット又は第2の電極セットのうち少なくとも一方のワイヤは、同一の電位の状態のままであるよう互いに接続されるのが良い。
【0013】
第1のワイヤセット又は第2のワイヤセットのうちの少なくとも一方のワイヤのサブセットが、別々に制御されるよう配置されるのが良い。
【0014】
これにより、例えばOLEDデバイスにおいて、電極層の互いに異なる部分への互いに異なる電圧の印加が可能である。
【0015】
第1の電極層又は第2の電極層のうちの少なくとも一方は、相互に絶縁された小部分の状態に分割されるのが良く、互いに異なる小部分は、織物構造体中の互いに異なるワイヤに接続されるのが良い。これにより、個々にアドレス指定可能な画素をデバイス中に提供することが可能になり、これは、デバイスがディスプレイ又はイメージセンサである場合に有用である。
【0016】
さらに、基板は、フレキシブルであるのが良い。
【0017】
デバイスは、照明デバイス、例えばOLEDデバイス、太陽電池、OLEDディスプレイ、TFTディスプレイ又はイメージセンサとして実現できる。
【0018】
本発明は又、電気光学デバイスを作製する方法であって、
複数本の導電性ワイヤを平板状ベース基板パート上に構造体をなして配置するステップと、
ベース基板パートの頂部上にトップ基板層を形成して構造体がベース基板パート及びトップ基板パートによって形成された基板内に埋め込まれるようにするステップと、
トップ基板層の上方部分を除去して構造体中の導電性ワイヤの部分が、基板表面においてところどころの場所で露出されるようにするステップと、
少なくとも1つの電極層及び活性層を基板上に被着させて、少なくとも1つの電極層が複数の場所で複数本のワイヤに接続されるようにするステップとを有することを特徴とする方法に関する。
【0019】
さらに、構造体をなすよう配置された複数本の導電性ワイヤが埋め込まれた電気光学デバイス用のプレーナ型基板の実現を達成できる。ワイヤは、曲がりくねった状態で基板の第1の表面に近づいたりこれから遠ざかったりすると共に第1の表面の多くの場所で第1の表面に隣接して位置するようになっている。この基板により、上述の利点を提供することができる。
【0020】
本発明の上記観点及び他の観点は、以下に説明する実施形態から明らかであり、この実施形態を参照してこれら観点を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
まず最初に、織物ワイヤ構造体をどのようにガラス又はプラスチック基板中に埋め込むことができるかについて説明する。次に、この種の基板をプレーナ型電気光学デバイス、例えばOLED(有機発光ダイオード)及びLCD(液晶ディスプレイ)中にどのように使用すれば良いかについて説明する。
【0022】
図1a及び図1bは、基板中への織物ワイヤ構造体の埋め込み状態を示している。図1aでは、平板状基板ベースパート1が、示されており、このベースパートは、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス又は硼珪酸ガラス)又はプラスチック(例えば、ポリイミド又はポリカーボネート)で作られるのが良い。ベースパート1は、厚さが例えば0.6mmであるのが良い。フレキシブルプラスチック基板が望ましい場合、その厚さは、例えば0.1mmであるのが良い。
【0023】
底部パートの頂面上には、細いワイヤ3から成る織物構造体が配置されている。ワイヤは、直径が例えば25μmであるのが良く、これらワイヤは、変圧器を巻回構成するために用いられる場合が多い形式のものであるのが良い。
【0024】
本明細書において、織物構造体という用語は、織成により得られる任意の全体的に平べったいワイヤ組立体を意味している。織物を作る技術分野においては、多くの有用な織成技術が知られている。図1aに示す単純なたて糸とよこ糸の構造体に加えて、他の二軸構造体、三軸構造体の等の構造体を考慮することができる。織物構造体の使用により、個々のワイヤ3は、曲がりくねった状態で、ベースパートの頂面に組織化された仕方で又は整然とベースパートの頂面に近づいたりこれから遠ざかったりすることになる。
【0025】
ワイヤの太さは、説明を分かりやすくするために、図1では、2本の隣り合う互いに平行なワイヤ相互間の距離に比して誇張されている。代表的には、2本の隣り合うワイヤ相互間の距離は、例えば、10mmであるのが良く、ワイヤの厚さは、25μmに過ぎない。この結果、織物構造体は、ベースパートを垂直な方向に通る光を大幅に遮ることはないであろう。以下に説明するように、絶縁体が施されたワイヤと絶縁体が施されていないワイヤの両方を用いることができる。
【0026】
ワイヤが本来的に曲がりくねっている織物構造体の代替手段として、当然のことながら、同様な特性を示す他の考えられる構造体が存在する。例えば、基板ベースパートは、溝を備えていても良く、この場合、ワイヤをベースパート上に溝に垂直に配置するのが良い。次に、ワイヤを溝内に押し込むと共に変形させると、ワイヤは、曲がりくねった状態でベースパートの平面に近づいたりこれから遠ざかったりする構造体をなして配列されることになる。
【0027】
次に、図1aの織物構造体を基板内に埋め込むために、基板トップパート5を図1bに示すように基板ベースパート1の頂部上に形成する。ベースパートがガラスで作られている場合、ガラスペーストを織物構造体の頂部上に塗布するのが良く、そして部分的に織物構造体中に押し込むのが良い。織物構造体を完全に覆うほどの厚さのペーストの層を被着する。ガラスペーストの代替手段として、ポリマー混合物を被着させても良い。このような混合物は、ガラスの頂部上とプラスチックベースパート上の両方に塗布可能である。
【0028】
ガラスペーストは、ガラス粒子と溶剤で構成されるのが良く、基板を例えば400℃まで加熱することにより、溶剤は、除去され、固体層が、ペーストの残存物質によって形成されることになる。この結果、織物構造体は、図1bに示すように基板中に完全に埋め込み可能である。この状態での基板の頂面は、粗い場合があり、図1bに示すほど平坦ではない。
【0029】
基板7は、ベースパート1及びトップパート5を有し、ワイヤから成る織物構造体は、トップパート5中に埋め込まれている。図1cは、研磨により基板の上方部分をどのように除去して織物構造体中の導体を部分的に露出させ、この結果、図示のようにワイヤ接触面を形成するかを示している。研磨は、種々の技術、例えばシリコーン研磨で達成できる。さらに、基板が適切なレベルまで研磨されるようにし、即ち、埋め込み状態の導体が部分的に露出され、基板頂面に隣接して位置するようにする種々の手法が存在する。光学的方法では、基板表面をカメラで走査して所望の導体パターンが表面のところで目に見えるようになる時期を検出する。また、研磨が導体に達したときに増大し始めるワイヤ抵抗を測定することにより適切なレベルが達成されたことを検出することが可能である。また、研磨器具の研磨ヘッドに生じる摩擦を測定することにより研磨深さを測定することが可能である。埋め込み及び研磨は、更に、適度に再現性のあるプロセスであり、したがって研磨時間を研磨深さを突き止める手段として利用することができる。
【0030】
研磨が完了すると、完成状態の基板は、図1dに示す外観を呈する。上述したように曲がりくねった状態で基板頂面に近づいたりこれから遠ざかったりする導電性ワイヤは、この表面の多くの場所に隣接して位置し、したがって、ワイヤの導電性部分が、この表面のワイヤ接触領域として接近できるようになる。この基板を多くの互いに異なるプレーナ型電気光学デバイスに利用することができ、これについては更に説明する。注目されることとして、研磨以外に、基板の上方部分を除去する他の方法、例えばプラズマエッチングが可能である。
【0031】
ワイヤは、用途に応じて、基板の外部で、互いに又は別の電圧源に接続できる。また、埋め込み状態のワイヤだけを用いて電極の互いに異なる部分又は互いに異なる電極を相互に接続することが可能である。
【0032】
幾つかのデバイスでは、織物構造体は、1つだけの連続した電極層をシャントするよう使用されるべきである。このような場合、織物構造体中の全てのワイヤ3を相互に接続するのが良く、したがってこれらワイヤは、同一の電位を有することができる。このため、ワイヤをこれらが交差する場所で互いに絶縁状態にしておく理由は存在しない。この結果、ワイヤは、図2に示すように互いに接触しても良く、図2は、図1dのI−I線に沿った断面図である。この構造体は、単純な非絶縁状態のワイヤにより実現できる。
【0033】
しかしながら、以下に説明するように、他の状況では、ワイヤを互いに絶縁することが必要である。これは、種々の仕方で達成できる。
【0034】
図3は、各ワイヤ3を絶縁すると共に絶縁材11がワイヤを露出させるよう基板表面9を研磨した場所を除き、元のままの状態である第1の例を示している。これは、代表的には、基板トップパートが硬化させるのに高温を必要としないポリマーから成る場合であろう。
【0035】
これとは異なり、基板トップパートがガラスで作られている場合、図4の状況を実現するのが良い。この場合、プラスチックワイヤ絶縁材は、比較的高いプロセス温度により、少なくとも或る程度ガス化される。しかしながら、プロセス中、ポリマー材料は、絶縁ガラス粒子で置き換えられ、その結果、ワイヤは、互いに絶縁された状態のままになり、交差導体3相互間には隙間13が維持される。プラスチック絶縁材は又、この場合、或る程度まで残存する場合がある。
【0036】
次に、OLEDデバイスの作製について説明するが、この場合、カソードとアノードの両方は、基板中のワイヤに接続される。このようなデバイスは、照明及びディスプレイ目的に利用できるが、太陽電池としても使用できる。
【0037】
図1aに示す基板と類似した研磨基板が用いられるが、この場合、ワイヤは、これら交差する場所では相互に絶縁される。織物構造体は、ワイヤが実質的に直角をなして2つの方向15,17(たて糸及びよこ糸)に延びる二軸構造体である。この基板上には、従来型スパッタリング法によりITO層19が被着される。エッチングにより、ITO層19は、ワイヤ(たて糸)が表面に隣接して一方の方向15に延びる場所を被覆するよう作られる一方で、ワイヤ3″(よこ糸)が表面に隣接して他方の方向17に延びる場所は、図5aに示すように、小さな周囲領域21と一緒に開いた状態に残される。
【0038】
図5bは、アノード層を被着させる別の方法を示している。この場合、ITO層を多数本のストリップとして被着させ、これらストリップをたて糸及びよこ糸方向と45°の角度をなして差し向けるのが良く、そしてたて糸方向かよこ糸方向かのいずれかのワイヤが基板表面に隣接した場所の頂部上に配置する。ストリップは、2番目ごとの斜めの列をなすワイヤ接触面を覆う。
【0039】
図6は、図5aのデバイスのII−II線矢視断面図である。見て明らかなように、たて糸方向のワイヤ3′は、幾つかの場所でITO層19に電気的に接触している。
【0040】
次に、有機層23を、これが図7に示すように、よこ糸ワイヤが表面に隣接した場所の周りの自由領域中に幾分延びた状態でITO層の頂部に被着させる。有機層を適切な場所で再現するためにシャドーマスクを用いて有機層を被着させる。
【0041】
次のステップでは、Ba又はLiFサブレーヤと共にアルミニウムから成るのが良いカソード層25を蒸着法の利用により表面全体にわたって被着させる。カソード層は、よこ糸ワイヤが基板表面に隣接した領域まで下方に延び、その結果、カソードは、これらワイヤに電気的に接続されるようになる。図7の記載は、説明目的で概略的であることに注意されたい。代表的な実施形態では、ITO層の厚さは、100nmであるのが良く、中間有機層の厚さは、100〜200nmであるのが良く、カソードの厚さは、100nmであるのが良い。上述したように、2本の隣り合うワイヤ相互間の距離は、10mmであるのが良く、これは、略図を用いて構造体を説明しなければならない理由である。
【0042】
このデバイスでは、アノード層とカソード層の両方は、シャントされ、その結果、アノード電圧とカソード電圧は、表面全体にわたって実質的に一様になることができる。
【0043】
これとは異なり、第1の電極層が図5bのように被着された基板を用いる場合、有機材料は、ストリップ上に被着される。
【0044】
他方、互いに異なる電圧をたて糸及びよこ糸の互いに異なるワイヤにそれぞれ印加することにより、OLEDデバイスの互いに異なる領域も又制御して互いに異なる輝度レベルを出力することができる。しかしながら、このようにするには通常、アノード層及び(又は)カソード層が、複数個の相互に絶縁されたセグメントの状態に分割される必要がある。
【0045】
図3に示す基板は、例えば、ワイヤを用いてアクティブマトリックス方式で互いに異なる画素(ピクセル)をアドレス指定するTFT(薄膜トランジスタ)LCDデバイスにも利用できる。図9は、これをどのようにすれば実施できるかを概略的に示している。この場合、TFT27のゲートを基板中で第1の方向に延びるワイヤ31に接続するのが良く、他方、電圧源は、他方の方向に延びるワイヤ33に接続されている。TFTドレインは、各々、ITO電極29に接続されており、このITO電極は、それ自体周知であるように、ITO電極の頂部上に位置する液晶(図示せず)の偏光効果を制御する。電極層は、トランジスタを介して基板中のワイヤに接続される。基板は、当業者の認識するように、改造した従来型TFT作製プロセスに使用できる。この関連で基板に関する利点は、行ライン及び列ラインを基板の頂部上に設ける必要はなく、それにより作製は単純化されるということにある。従来型TFT LCDパネルの場合のように、対応のゲートワイヤを高に設定し、画像情報信号をそれぞれの画素/サブピクセルのソースワイヤのところに印加することにより画素又はサブピクセルのラインが更新される。
【0046】
無機LEDディスプレイをTFT無しでも同様な仕方でアドレス指定することができる。
【0047】
上述の基板は、例えば、複数の電極層を有する種々の電気光学デバイスに使用することができる。
【0048】
OLEDについては既に上述した。開示した基板構造体は、照明又はディスプレイ目的に使用される形式に利用できる。照明用のOLEDでは、一様な光放出が達成され、ディスプレイ形式では、ワイヤは、簡単且つ確実なアドレス指定を可能にする。太陽電池及びイメージセンサ用途も又可能である。上述したように、基板構造体は、TFT LCDデバイスにも有用である。
【0049】
以上要約すると、本発明は、プレーナ型電気光学デバイス及びその作製方法に関する。電気光学デバイスは、基板の頂面にそのところどころで隣接した導電性ワイヤから成る埋め込み織物構造体を有する。種々の電極層をこれらの場所でワイヤに接続することができる。この場合、ワイヤは、例えば、電極それ自体がたとえ非常に薄くても、電極表面全体にわたり一様な電位をもたらすよう使用できる。この種の基板は、アドレス指定目的にも使用できる。
【0050】
本発明は、上述の実施形態には限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の仕方で変形できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1a】基板内への織物ワイヤ構造体の埋め込み状態を示す図である。
【図1b】基板内への織物ワイヤ構造体の埋め込み状態を示す図である。
【図1c】織物構造体がどのように基板の表面のところで部分的に露出状態になっているかを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレーナ型基板と、基板の第1の表面上に設けられた少なくとも1つの電極層及び活性層とを有する電気光学デバイスに関する。本発明は、更に、このようなデバイスの製造方法及び基板に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した種類のデバイスは、例えば、「アプライド・フィジィックス・レット(Appl.
Phys. Lett.)」,第51巻,1987年,p.913−915にシー・ダブリュ・タン(C. W. Tang)及びエス・エー・ヴァン・スライク(S. A. Van. Slyke)によって開示されている。このようなデバイスは、照明目的用のOLED(有機発光ダイオード)デバイスであり、透明な基板上に配置された透明なアノードとカソードとの間でサンドイッチされた活性有機発光層を有している。電圧がアノードとカソードとの間に印加されると、有機層は、アノード及び基板を介して光を放出する。
【0003】
このようなデバイスに関する1つの問題は、活性表面が広くなると、電極表面全体にわたり電圧降下が生じることである。これは、電極層が非常に薄いことに起因している。このことは、OLEDデバイスに関する上述の場合、電流密度及びその結果としての光放出が、デバイス表面全体にわたり一様ではないようになることを意味している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この問題を解決する明らかな手法は、厚い電極層を設けることである。しかしながら、これは、いつでも有用な解決策ではない。第1に、電極層が厚くなると、光の透過度が減少する。これは、特に、光が極めて薄い金属カソード層を通って伝搬されるいわゆる頂面発光OLEDについては特に適しているが、例えば透明なITO(インジウム錫酸化物)アノード層についても同様である。
【0005】
第2に、蒸着法により厚い層を被着させることは、高価な基材を用いてサイクル時間が長くなることを意味し、それ故に、製品が高価になることを意味している。
【0006】
したがって、本発明の目的は、電極層が薄く、しかもその表面全体にわたり一様な電圧をもたらす冒頭に述べた種類の有機ダイオードデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項14に記載された方法により作製できる請求項1記載のデバイスによって達成される。この目的は、更に、請求項16に記載された基板を用いて達成できる。
【0008】
具体的に説明すると、この場合、本発明は、プレーナ型基板と、基板の第1の表面上に設けられた少なくとも1つの電極層及び活性層とを有する電気光学デバイスに関する。基板は、基板中に埋め込まれていて、構造体をなすよう配置された複数本の導電性ワイヤを有し、ワイヤは、曲がりくねった状態で基板の第1の表面に近づいたりこれから遠ざかったりすると共に第1の表面の多くの場所で第1の表面に隣接して位置するようになっており、少なくとも1つの電極層は、複数の場所で複数本のワイヤに接続されている。
【0009】
このような電気光学デバイスでは、織物構造体をなすワイヤは、分巻接続部を提供することにより非常に薄い電極層の表面全体にわたり電位を一様にするよう使用できる。
【0010】
さらに又、互いに異なる電圧を互いに異なるワイヤにもたらすことにより、互いに異なる電極を電極層の互いに異なる部分又は互いに異なる電極層にもたらすことが可能である。
【0011】
ワイヤは、織物構造体をなして配置されるのが良く、このような織物構造体により、本来的にワイヤは、適当な仕方で曲がりくねった状態になり、ワイヤは、織物構造体中で互いに交差した状態で、互いに電気的に絶縁できる。
【0012】
第1のセットをなすワイヤが、織物構造体中で第1の方向に延びた状態で第1の電極層に接続されるのが良く、第2のセットをなすワイヤが、織物構造体中で第2の方向に延びた状態で、第1の電極層に設けられた孔を通って第2の電極層に接続されるのが良い。この場合、第1の電極セット又は第2の電極セットのうち少なくとも一方のワイヤは、同一の電位の状態のままであるよう互いに接続されるのが良い。
【0013】
第1のワイヤセット又は第2のワイヤセットのうちの少なくとも一方のワイヤのサブセットが、別々に制御されるよう配置されるのが良い。
【0014】
これにより、例えばOLEDデバイスにおいて、電極層の互いに異なる部分への互いに異なる電圧の印加が可能である。
【0015】
第1の電極層又は第2の電極層のうちの少なくとも一方は、相互に絶縁された小部分の状態に分割されるのが良く、互いに異なる小部分は、織物構造体中の互いに異なるワイヤに接続されるのが良い。これにより、個々にアドレス指定可能な画素をデバイス中に提供することが可能になり、これは、デバイスがディスプレイ又はイメージセンサである場合に有用である。
【0016】
さらに、基板は、フレキシブルであるのが良い。
【0017】
デバイスは、照明デバイス、例えばOLEDデバイス、太陽電池、OLEDディスプレイ、TFTディスプレイ又はイメージセンサとして実現できる。
【0018】
本発明は又、電気光学デバイスを作製する方法であって、
複数本の導電性ワイヤを平板状ベース基板パート上に構造体をなして配置するステップと、
ベース基板パートの頂部上にトップ基板層を形成して構造体がベース基板パート及びトップ基板パートによって形成された基板内に埋め込まれるようにするステップと、
トップ基板層の上方部分を除去して構造体中の導電性ワイヤの部分が、基板表面においてところどころの場所で露出されるようにするステップと、
少なくとも1つの電極層及び活性層を基板上に被着させて、少なくとも1つの電極層が複数の場所で複数本のワイヤに接続されるようにするステップとを有することを特徴とする方法に関する。
【0019】
さらに、構造体をなすよう配置された複数本の導電性ワイヤが埋め込まれた電気光学デバイス用のプレーナ型基板の実現を達成できる。ワイヤは、曲がりくねった状態で基板の第1の表面に近づいたりこれから遠ざかったりすると共に第1の表面の多くの場所で第1の表面に隣接して位置するようになっている。この基板により、上述の利点を提供することができる。
【0020】
本発明の上記観点及び他の観点は、以下に説明する実施形態から明らかであり、この実施形態を参照してこれら観点を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
まず最初に、織物ワイヤ構造体をどのようにガラス又はプラスチック基板中に埋め込むことができるかについて説明する。次に、この種の基板をプレーナ型電気光学デバイス、例えばOLED(有機発光ダイオード)及びLCD(液晶ディスプレイ)中にどのように使用すれば良いかについて説明する。
【0022】
図1a及び図1bは、基板中への織物ワイヤ構造体の埋め込み状態を示している。図1aでは、平板状基板ベースパート1が、示されており、このベースパートは、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス又は硼珪酸ガラス)又はプラスチック(例えば、ポリイミド又はポリカーボネート)で作られるのが良い。ベースパート1は、厚さが例えば0.6mmであるのが良い。フレキシブルプラスチック基板が望ましい場合、その厚さは、例えば0.1mmであるのが良い。
【0023】
底部パートの頂面上には、細いワイヤ3から成る織物構造体が配置されている。ワイヤは、直径が例えば25μmであるのが良く、これらワイヤは、変圧器を巻回構成するために用いられる場合が多い形式のものであるのが良い。
【0024】
本明細書において、織物構造体という用語は、織成により得られる任意の全体的に平べったいワイヤ組立体を意味している。織物を作る技術分野においては、多くの有用な織成技術が知られている。図1aに示す単純なたて糸とよこ糸の構造体に加えて、他の二軸構造体、三軸構造体の等の構造体を考慮することができる。織物構造体の使用により、個々のワイヤ3は、曲がりくねった状態で、ベースパートの頂面に組織化された仕方で又は整然とベースパートの頂面に近づいたりこれから遠ざかったりすることになる。
【0025】
ワイヤの太さは、説明を分かりやすくするために、図1では、2本の隣り合う互いに平行なワイヤ相互間の距離に比して誇張されている。代表的には、2本の隣り合うワイヤ相互間の距離は、例えば、10mmであるのが良く、ワイヤの厚さは、25μmに過ぎない。この結果、織物構造体は、ベースパートを垂直な方向に通る光を大幅に遮ることはないであろう。以下に説明するように、絶縁体が施されたワイヤと絶縁体が施されていないワイヤの両方を用いることができる。
【0026】
ワイヤが本来的に曲がりくねっている織物構造体の代替手段として、当然のことながら、同様な特性を示す他の考えられる構造体が存在する。例えば、基板ベースパートは、溝を備えていても良く、この場合、ワイヤをベースパート上に溝に垂直に配置するのが良い。次に、ワイヤを溝内に押し込むと共に変形させると、ワイヤは、曲がりくねった状態でベースパートの平面に近づいたりこれから遠ざかったりする構造体をなして配列されることになる。
【0027】
次に、図1aの織物構造体を基板内に埋め込むために、基板トップパート5を図1bに示すように基板ベースパート1の頂部上に形成する。ベースパートがガラスで作られている場合、ガラスペーストを織物構造体の頂部上に塗布するのが良く、そして部分的に織物構造体中に押し込むのが良い。織物構造体を完全に覆うほどの厚さのペーストの層を被着する。ガラスペーストの代替手段として、ポリマー混合物を被着させても良い。このような混合物は、ガラスの頂部上とプラスチックベースパート上の両方に塗布可能である。
【0028】
ガラスペーストは、ガラス粒子と溶剤で構成されるのが良く、基板を例えば400℃まで加熱することにより、溶剤は、除去され、固体層が、ペーストの残存物質によって形成されることになる。この結果、織物構造体は、図1bに示すように基板中に完全に埋め込み可能である。この状態での基板の頂面は、粗い場合があり、図1bに示すほど平坦ではない。
【0029】
基板7は、ベースパート1及びトップパート5を有し、ワイヤから成る織物構造体は、トップパート5中に埋め込まれている。図1cは、研磨により基板の上方部分をどのように除去して織物構造体中の導体を部分的に露出させ、この結果、図示のようにワイヤ接触面を形成するかを示している。研磨は、種々の技術、例えばシリコーン研磨で達成できる。さらに、基板が適切なレベルまで研磨されるようにし、即ち、埋め込み状態の導体が部分的に露出され、基板頂面に隣接して位置するようにする種々の手法が存在する。光学的方法では、基板表面をカメラで走査して所望の導体パターンが表面のところで目に見えるようになる時期を検出する。また、研磨が導体に達したときに増大し始めるワイヤ抵抗を測定することにより適切なレベルが達成されたことを検出することが可能である。また、研磨器具の研磨ヘッドに生じる摩擦を測定することにより研磨深さを測定することが可能である。埋め込み及び研磨は、更に、適度に再現性のあるプロセスであり、したがって研磨時間を研磨深さを突き止める手段として利用することができる。
【0030】
研磨が完了すると、完成状態の基板は、図1dに示す外観を呈する。上述したように曲がりくねった状態で基板頂面に近づいたりこれから遠ざかったりする導電性ワイヤは、この表面の多くの場所に隣接して位置し、したがって、ワイヤの導電性部分が、この表面のワイヤ接触領域として接近できるようになる。この基板を多くの互いに異なるプレーナ型電気光学デバイスに利用することができ、これについては更に説明する。注目されることとして、研磨以外に、基板の上方部分を除去する他の方法、例えばプラズマエッチングが可能である。
【0031】
ワイヤは、用途に応じて、基板の外部で、互いに又は別の電圧源に接続できる。また、埋め込み状態のワイヤだけを用いて電極の互いに異なる部分又は互いに異なる電極を相互に接続することが可能である。
【0032】
幾つかのデバイスでは、織物構造体は、1つだけの連続した電極層をシャントするよう使用されるべきである。このような場合、織物構造体中の全てのワイヤ3を相互に接続するのが良く、したがってこれらワイヤは、同一の電位を有することができる。このため、ワイヤをこれらが交差する場所で互いに絶縁状態にしておく理由は存在しない。この結果、ワイヤは、図2に示すように互いに接触しても良く、図2は、図1dのI−I線に沿った断面図である。この構造体は、単純な非絶縁状態のワイヤにより実現できる。
【0033】
しかしながら、以下に説明するように、他の状況では、ワイヤを互いに絶縁することが必要である。これは、種々の仕方で達成できる。
【0034】
図3は、各ワイヤ3を絶縁すると共に絶縁材11がワイヤを露出させるよう基板表面9を研磨した場所を除き、元のままの状態である第1の例を示している。これは、代表的には、基板トップパートが硬化させるのに高温を必要としないポリマーから成る場合であろう。
【0035】
これとは異なり、基板トップパートがガラスで作られている場合、図4の状況を実現するのが良い。この場合、プラスチックワイヤ絶縁材は、比較的高いプロセス温度により、少なくとも或る程度ガス化される。しかしながら、プロセス中、ポリマー材料は、絶縁ガラス粒子で置き換えられ、その結果、ワイヤは、互いに絶縁された状態のままになり、交差導体3相互間には隙間13が維持される。プラスチック絶縁材は又、この場合、或る程度まで残存する場合がある。
【0036】
次に、OLEDデバイスの作製について説明するが、この場合、カソードとアノードの両方は、基板中のワイヤに接続される。このようなデバイスは、照明及びディスプレイ目的に利用できるが、太陽電池としても使用できる。
【0037】
図1aに示す基板と類似した研磨基板が用いられるが、この場合、ワイヤは、これら交差する場所では相互に絶縁される。織物構造体は、ワイヤが実質的に直角をなして2つの方向15,17(たて糸及びよこ糸)に延びる二軸構造体である。この基板上には、従来型スパッタリング法によりITO層19が被着される。エッチングにより、ITO層19は、ワイヤ(たて糸)が表面に隣接して一方の方向15に延びる場所を被覆するよう作られる一方で、ワイヤ3″(よこ糸)が表面に隣接して他方の方向17に延びる場所は、図5aに示すように、小さな周囲領域21と一緒に開いた状態に残される。
【0038】
図5bは、アノード層を被着させる別の方法を示している。この場合、ITO層を多数本のストリップとして被着させ、これらストリップをたて糸及びよこ糸方向と45°の角度をなして差し向けるのが良く、そしてたて糸方向かよこ糸方向かのいずれかのワイヤが基板表面に隣接した場所の頂部上に配置する。ストリップは、2番目ごとの斜めの列をなすワイヤ接触面を覆う。
【0039】
図6は、図5aのデバイスのII−II線矢視断面図である。見て明らかなように、たて糸方向のワイヤ3′は、幾つかの場所でITO層19に電気的に接触している。
【0040】
次に、有機層23を、これが図7に示すように、よこ糸ワイヤが表面に隣接した場所の周りの自由領域中に幾分延びた状態でITO層の頂部に被着させる。有機層を適切な場所で再現するためにシャドーマスクを用いて有機層を被着させる。
【0041】
次のステップでは、Ba又はLiFサブレーヤと共にアルミニウムから成るのが良いカソード層25を蒸着法の利用により表面全体にわたって被着させる。カソード層は、よこ糸ワイヤが基板表面に隣接した領域まで下方に延び、その結果、カソードは、これらワイヤに電気的に接続されるようになる。図7の記載は、説明目的で概略的であることに注意されたい。代表的な実施形態では、ITO層の厚さは、100nmであるのが良く、中間有機層の厚さは、100〜200nmであるのが良く、カソードの厚さは、100nmであるのが良い。上述したように、2本の隣り合うワイヤ相互間の距離は、10mmであるのが良く、これは、略図を用いて構造体を説明しなければならない理由である。
【0042】
このデバイスでは、アノード層とカソード層の両方は、シャントされ、その結果、アノード電圧とカソード電圧は、表面全体にわたって実質的に一様になることができる。
【0043】
これとは異なり、第1の電極層が図5bのように被着された基板を用いる場合、有機材料は、ストリップ上に被着される。
【0044】
他方、互いに異なる電圧をたて糸及びよこ糸の互いに異なるワイヤにそれぞれ印加することにより、OLEDデバイスの互いに異なる領域も又制御して互いに異なる輝度レベルを出力することができる。しかしながら、このようにするには通常、アノード層及び(又は)カソード層が、複数個の相互に絶縁されたセグメントの状態に分割される必要がある。
【0045】
図3に示す基板は、例えば、ワイヤを用いてアクティブマトリックス方式で互いに異なる画素(ピクセル)をアドレス指定するTFT(薄膜トランジスタ)LCDデバイスにも利用できる。図9は、これをどのようにすれば実施できるかを概略的に示している。この場合、TFT27のゲートを基板中で第1の方向に延びるワイヤ31に接続するのが良く、他方、電圧源は、他方の方向に延びるワイヤ33に接続されている。TFTドレインは、各々、ITO電極29に接続されており、このITO電極は、それ自体周知であるように、ITO電極の頂部上に位置する液晶(図示せず)の偏光効果を制御する。電極層は、トランジスタを介して基板中のワイヤに接続される。基板は、当業者の認識するように、改造した従来型TFT作製プロセスに使用できる。この関連で基板に関する利点は、行ライン及び列ラインを基板の頂部上に設ける必要はなく、それにより作製は単純化されるということにある。従来型TFT LCDパネルの場合のように、対応のゲートワイヤを高に設定し、画像情報信号をそれぞれの画素/サブピクセルのソースワイヤのところに印加することにより画素又はサブピクセルのラインが更新される。
【0046】
無機LEDディスプレイをTFT無しでも同様な仕方でアドレス指定することができる。
【0047】
上述の基板は、例えば、複数の電極層を有する種々の電気光学デバイスに使用することができる。
【0048】
OLEDについては既に上述した。開示した基板構造体は、照明又はディスプレイ目的に使用される形式に利用できる。照明用のOLEDでは、一様な光放出が達成され、ディスプレイ形式では、ワイヤは、簡単且つ確実なアドレス指定を可能にする。太陽電池及びイメージセンサ用途も又可能である。上述したように、基板構造体は、TFT LCDデバイスにも有用である。
【0049】
以上要約すると、本発明は、プレーナ型電気光学デバイス及びその作製方法に関する。電気光学デバイスは、基板の頂面にそのところどころで隣接した導電性ワイヤから成る埋め込み織物構造体を有する。種々の電極層をこれらの場所でワイヤに接続することができる。この場合、ワイヤは、例えば、電極それ自体がたとえ非常に薄くても、電極表面全体にわたり一様な電位をもたらすよう使用できる。この種の基板は、アドレス指定目的にも使用できる。
【0050】
本発明は、上述の実施形態には限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の仕方で変形できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1a】基板内への織物ワイヤ構造体の埋め込み状態を示す図である。
【図1b】基板内への織物ワイヤ構造体の埋め込み状態を示す図である。
【図1c】織物構造体がどのように基板の表面のところで部分的に露出状態になっているかを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーナ型基板(7)と、前記基板の第1の表面上に設けられた少なくとも1つの電極層(19,25;29)及び活性層(23)とを有する電気光学デバイスであって、
前記基板は、前記基板(7)中に埋め込まれていて、構造体をなすよう配置された複数本の導電性ワイヤ(3,3′,3″)を有し、前記ワイヤは、曲がりくねった状態で前記基板の前記第1の表面に近づいたりこれから遠ざかったりすると共に前記第1の表面の多くの場所で前記第1の表面に隣接して位置するようになっており、
前記少なくとも1つの電極層は、複数の前記場所で複数本の前記ワイヤに接続されている、電気光学デバイス。
【請求項2】
前記ワイヤは、織物構造体の状態に配列されている、請求項1記載の電気光学デバイス。
【請求項3】
前記ワイヤは、前記織物構造体中で互いに交差した状態で、互いに電気的に絶縁されている、請求項2記載の電気光学デバイス。
【請求項4】
第1のセットをなすワイヤが、前記織物構造体中で第1の方向に延びた状態で第1の電極層に接続され、第2のセットをなすワイヤが、前記織物構造体中で第2の方向に延びた状態で、前記第1の電極層に設けられた孔を通って第2の電極層に接続されている、請求項3記載の電気光学デバイス。
【請求項5】
前記第1の電極セット又は前記第2の電極セットのうち少なくとも一方の前記ワイヤは、同一の電位の状態のままであるよう互いに接続されている、請求項4記載の電気光学デバイス。
【請求項6】
前記第1のワイヤセット又は前記第2のワイヤセットのうちの少なくとも一方のワイヤのサブセットが、別々に制御されるよう配置されている、請求項3記載の電気光学デバイス。
【請求項7】
前記第1の電極層又は前記第2の電極層のうちの少なくとも一方は、相互に絶縁された小部分の状態に分割され、互いに異なる前記小部分は、前記織物構造体中の互いに異なるワイヤに接続されている、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項8】
前記基板は、フレキシブルである、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項9】
前記電気光学デバイスは、照明デバイスである、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項10】
前記電気光学デバイスは、太陽電池である、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項11】
前記電気光学デバイスは、OLEDディスプレイである、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項12】
前記電気光学デバイスは、TFTディスプレイである、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項13】
前記電気光学デバイスは、イメージセンサである、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項14】
電気光学デバイスを作製する方法であって、
複数本の導電性ワイヤ(3)を平板状ベース基板パート(1)上に構造体をなして配置するステップと、
前記ベース基板パートの頂部上にトップ基板層(5)を形成して前記構造体が前記ベース基板パート及び前記トップ基板パートによって形成された基板(7)内に埋め込まれるようにするステップと、
前記トップ基板層の上方部分を除去して前記構造体中の前記導電性ワイヤの部分が、前記基板表面においてところどころの場所で露出されるようにするステップと、
少なくとも1つの電極層(19,25;29)及び活性層(23)を前記基板上に被着させて、前記少なくとも1つの電極層が複数の前記場所で複数本の前記ワイヤに接続されるようにするステップとを有する、方法。
【請求項15】
前記ワイヤは、織物構造体の状態に配列されている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
電気光学デバイス用のプレーナ型基板であって、前記基板(7)中に埋め込まれていて、構造体をなすよう配置された複数本の導電性ワイヤ(3)を有し、前記ワイヤは、曲がりくねった状態で前記基板の前記第1の表面に近づいたりこれから遠ざかったりすると共に前記第1の表面の多くの場所で前記第1の表面に隣接して位置するようになっている、平板状基板。
【請求項17】
前記ワイヤは、織物構造体の状態に配列されている、請求項16記載のプレーナ型基
【請求項1】
プレーナ型基板(7)と、前記基板の第1の表面上に設けられた少なくとも1つの電極層(19,25;29)及び活性層(23)とを有する電気光学デバイスであって、
前記基板は、前記基板(7)中に埋め込まれていて、構造体をなすよう配置された複数本の導電性ワイヤ(3,3′,3″)を有し、前記ワイヤは、曲がりくねった状態で前記基板の前記第1の表面に近づいたりこれから遠ざかったりすると共に前記第1の表面の多くの場所で前記第1の表面に隣接して位置するようになっており、
前記少なくとも1つの電極層は、複数の前記場所で複数本の前記ワイヤに接続されている、電気光学デバイス。
【請求項2】
前記ワイヤは、織物構造体の状態に配列されている、請求項1記載の電気光学デバイス。
【請求項3】
前記ワイヤは、前記織物構造体中で互いに交差した状態で、互いに電気的に絶縁されている、請求項2記載の電気光学デバイス。
【請求項4】
第1のセットをなすワイヤが、前記織物構造体中で第1の方向に延びた状態で第1の電極層に接続され、第2のセットをなすワイヤが、前記織物構造体中で第2の方向に延びた状態で、前記第1の電極層に設けられた孔を通って第2の電極層に接続されている、請求項3記載の電気光学デバイス。
【請求項5】
前記第1の電極セット又は前記第2の電極セットのうち少なくとも一方の前記ワイヤは、同一の電位の状態のままであるよう互いに接続されている、請求項4記載の電気光学デバイス。
【請求項6】
前記第1のワイヤセット又は前記第2のワイヤセットのうちの少なくとも一方のワイヤのサブセットが、別々に制御されるよう配置されている、請求項3記載の電気光学デバイス。
【請求項7】
前記第1の電極層又は前記第2の電極層のうちの少なくとも一方は、相互に絶縁された小部分の状態に分割され、互いに異なる前記小部分は、前記織物構造体中の互いに異なるワイヤに接続されている、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項8】
前記基板は、フレキシブルである、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項9】
前記電気光学デバイスは、照明デバイスである、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項10】
前記電気光学デバイスは、太陽電池である、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項11】
前記電気光学デバイスは、OLEDディスプレイである、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項12】
前記電気光学デバイスは、TFTディスプレイである、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項13】
前記電気光学デバイスは、イメージセンサである、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の電気光学デバイス。
【請求項14】
電気光学デバイスを作製する方法であって、
複数本の導電性ワイヤ(3)を平板状ベース基板パート(1)上に構造体をなして配置するステップと、
前記ベース基板パートの頂部上にトップ基板層(5)を形成して前記構造体が前記ベース基板パート及び前記トップ基板パートによって形成された基板(7)内に埋め込まれるようにするステップと、
前記トップ基板層の上方部分を除去して前記構造体中の前記導電性ワイヤの部分が、前記基板表面においてところどころの場所で露出されるようにするステップと、
少なくとも1つの電極層(19,25;29)及び活性層(23)を前記基板上に被着させて、前記少なくとも1つの電極層が複数の前記場所で複数本の前記ワイヤに接続されるようにするステップとを有する、方法。
【請求項15】
前記ワイヤは、織物構造体の状態に配列されている、請求項14記載の方法。
【請求項16】
電気光学デバイス用のプレーナ型基板であって、前記基板(7)中に埋め込まれていて、構造体をなすよう配置された複数本の導電性ワイヤ(3)を有し、前記ワイヤは、曲がりくねった状態で前記基板の前記第1の表面に近づいたりこれから遠ざかったりすると共に前記第1の表面の多くの場所で前記第1の表面に隣接して位置するようになっている、平板状基板。
【請求項17】
前記ワイヤは、織物構造体の状態に配列されている、請求項16記載のプレーナ型基
【図1b】織物構造体がどのように基板の表面のところで部分的に露出状態になっているかを示す図である。
【図2】図1dのI−I線に沿った断面図である。
【図3】図2に類似した図であって、一変形実施形態を示す図である。
【図4】図2に類似した図であって、別の変形実施形態を示す図である。
【図5a】アノード層が被着された基板を示す図である。
【図5b】アノード層を被着する別の手法を示す図である。
【図6】図5aの基板の断面図である。
【図7】有機層が被着された図6のデバイスを示す図である。
【図8】カソード層が被着された図7のデバイスを示す図である。
【図9】本発明の一実施形態としての基板をTFT LCDデバイスにどのように使用すれば良いかを示す図である。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】図1dのI−I線に沿った断面図である。
【図3】図2に類似した図であって、一変形実施形態を示す図である。
【図4】図2に類似した図であって、別の変形実施形態を示す図である。
【図5a】アノード層が被着された基板を示す図である。
【図5b】アノード層を被着する別の手法を示す図である。
【図6】図5aの基板の断面図である。
【図7】有機層が被着された図6のデバイスを示す図である。
【図8】カソード層が被着された図7のデバイスを示す図である。
【図9】本発明の一実施形態としての基板をTFT LCDデバイスにどのように使用すれば良いかを示す図である。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2009−534705(P2009−534705A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506000(P2009−506000)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051266
【国際公開番号】WO2007/119200
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【国際出願番号】PCT/IB2007/051266
【国際公開番号】WO2007/119200
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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