電気光学装置の駆動方法、電気光学装置および電子機器
【課題】反射型の装置にも適用可能であり、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制する技術を提供すること。
【解決手段】電気光学装置は、第1基板と、第1基板と対向する第2基板と、第1基板と第2基板との間に挟持された電気光学層と、第1基板上において電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域に属する第1電極群と、第1基板上において面に設けられ、第1領域の外周に沿って、第1領域の外側に設けられた第2領域に属する第2電極群と、第1基板上において面に設けられ、第2領域に対して第1領域と反対側に設けられた第3領域に属する第3電極群とを有し、第1電極群に第1階調に相当する信号が供給され、第3電極群に第1階調よりも低い第2階調に相当する信号が供給されるとき、第2電極群に第1階調よりも低く第2階調よりも高い第3階調に相当する信号が供給される。
【解決手段】電気光学装置は、第1基板と、第1基板と対向する第2基板と、第1基板と第2基板との間に挟持された電気光学層と、第1基板上において電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域に属する第1電極群と、第1基板上において面に設けられ、第1領域の外周に沿って、第1領域の外側に設けられた第2領域に属する第2電極群と、第1基板上において面に設けられ、第2領域に対して第1領域と反対側に設けられた第3領域に属する第3電極群とを有し、第1電極群に第1階調に相当する信号が供給され、第3電極群に第1階調よりも低い第2階調に相当する信号が供給されるとき、第2電極群に第1階調よりも低く第2階調よりも高い第3階調に相当する信号が供給される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置における表示品位の低下を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置において、液晶セル内のイオン性不純物により表示品位が低下する現象が知られている。特許文献1は、イオン性不純物による表示品位の低下を抑制するため、画素領域の周辺の周辺領域において、隣り合う電極間で異なる電圧を印加することを開示している。特許文献2は、イオン性不純物による表示品位の低下を抑制するため、周辺電極の駆動周波数を最適化することを開示している。特許文献3は、イオン性不純物による表示品位の低下を抑制するため、表示領域に画像を表示しない動作モードにおいて、電子見切り領域に不純物イオンを掃き寄せることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−58497号公報
【特許文献2】特開2008−268253号公報
【特許文献3】特開2007−316119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術においては、周辺領域の画素に印加する電圧が均一にならないので反射型の装置に適用することは難しかった。特許文献2および3に記載の技術においては、表示領域と周辺領域(電子見切り領域)との電位差が大きくなり、イオン性不純物の移動による表示品位の低下が起こるという問題があった。
本発明は、反射型の装置にも適用可能であり、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された電気光学層と、前記第1基板上において前記電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域に属する第1電極群と、前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第1領域の外周に沿って、前記第1領域の外側に設けられた第2領域に属する第2電極群と、前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第2領域に対して前記第1領域と反対側に設けられた第3領域に属する第3電極群とを有する電気光学装置の駆動方法であって、前記第1電極群に第1階調に相当する信号が供給され、前記第3電極群に前記第1階調よりも低い第2階調に相当する信号が供給されるとき、前記第2電極群に前記第1階調よりも低く前記第2階調よりも高い第3階調に相当する信号が供給されることを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
この駆動方法によれば、第2電極群に第3電極群と同じ階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【0006】
好ましい態様において、前記第1領域に表示される画像が動画であり、前記第2階調は、相対階調で0%であり、前記第3階調は、相対階調で0%以上7%以下であってもよい。
この駆動方法によれば、動画を表示するときに、第2電極群に第3電極群と同じ階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【0007】
別の好ましい態様において、前記第1階調は、相対階調で100%であり、前記第2階調は、相対階調で0%であり、前記第3階調は、相対階調で7%以上70%以下であってもよい。
この駆動方法によれば、相対階調で100%の画像を表示するときに、第2電極群に第3電極群と同じ階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【0008】
さらに別の好ましい態様において、前記第1電極群および前記第3電極群に第1階調に相当する信号が供給されるとき、前記第2電極群に前記第1階調に相当する信号が供給されてもよい。
この駆動方法によれば、第1領域と第3領域とを同じ階調にするときに、第2電極群と第3電極群に異なる階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【0009】
また、本発明は、第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された電気光学層と、前記第1基板上において前記電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域に属する第1電極群と、前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第1領域の外周に沿って、前記第1領域の外側に設けられた第2領域に属する第2電極群と、前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第2領域に対して前記第1領域と反対側に設けられた第3領域に属する第3電極群と、前記第1電極群に第1階調に相当する信号を供給し、前記第3電極群に前記第1階調よりも低い第2階調に相当する信号を供給するとき、前記第2電極群に前記第1階調よりも低く前記第2階調よりも高い第3階調に相当する信号を供給する電極駆動回路とを有する電気光学装置を提供する。
この電気光学装置によれば、第2電極群に第3電極群と同じ階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【0010】
さらに、本発明は、上記の電気光学装置を有する電子機器を提供する。
この電子機器によれば、第2電極群に第3電極群と同じ階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る電気光学装置1の構成を示す図。
【図2】液晶パネル100の構造を示す図。
【図3】画素110の等価回路を示す図。
【図4】電気光学装置1における電極の配置を例示する図。
【図5】液晶パネル100の各領域における駆動条件を例示する図。
【図6】液晶素子120における電圧−反射率特性を例示する図。
【図7】走査信号Giの波形を例示する図。
【図8】サンプリング信号Sの波形を例示する図。
【図9】液晶パネル100の各領域における階調値を示す模式図。
【図10】比較例に係る液晶パネルの問題点を説明する図。
【図11】プロジェクター2100の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.構成
図1は、一実施形態に係る電気光学装置1の構成を示す図である。電気光学装置1は、例えば、プロジェクターのライトバルブとして用いられる、反射型の電気光学装置である。電気光学装置1は、制御回路2と、メモリー3と、D/A変換回路4と、液晶パネル100とを有する。電気光学装置1には、図示省略した上位装置から、映像データDa、垂直走査信号Vs、水平走査信号Hsおよびドットクロック信号Clkが供給される。電気光学装置1は、垂直走査信号Vs、水平走査信号Hsおよびドットクロック信号Clkに応じたタイミングで、映像データDaに応じた画像を表示する。映像データDaは、例えば8ビットのデジタルデータであり、表示画素の濃淡(階調値)を256階調で示す。最も暗い階調値は「0」であり、最も明るい階調値は「255」である。
【0013】
液晶パネル100は、m×n個の画素110と、m本の走査線112と、n本のデータ線114と、周辺電極51と、走査線駆動回路130と、データ線駆動回路140と、周辺電極駆動回路150とを有する。走査線112は行方向(x方向)に沿って設けられている。データ線114は、列方向(y方向)に沿って設けられている。走査線112とデータ線114とは、電気的に絶縁されている。画素110は、走査線112とデータ線114との交差に対応して設けられている。
【0014】
図1の例では、画素110は、486行646列に配置されている(m=486、n=646)。このうち、外側の3行および3列の画素110は、表示に寄与しない画素(以下「非有効画素」という)である。非有効画素は、表示に寄与する画素(以下「表示画素」または「有効画素」という)と比較して、電気的な構成に相違はない。表示画素と非有効画素とを区別する必要がないときは、単に画素110という。両者を区別するときは、表示画素を画素110aといい、非有効画素を画素110bという。画素110に含まれる要素についても同様である。走査線112および画素110の行を区別するときは、図1において上から順に、a行、b行、c行、1行、2行、…、480行、d行、e行、f行という。同様に、データ線114および画素110の列を区別するときは、図1において左から順に、a列、b列、c列、1列、2列、…、640列、d列、e列、f列という。周辺電極51は、画素110が配置されている領域の周辺を囲む位置に設けられている。周辺電極51は、走査線112およびデータ線114に接続されていない。
【0015】
走査線駆動回路130は、m本の走査線112の中から一の走査線112を選択するための走査信号を出力する回路である。走査線駆動回路130は、制御回路2から供給される制御信号に従って、走査信号Ga、Gb、Gc、G1、G2、…、G480、Gd、Ge、およびGfを、走査線112に出力する。走査信号は、m本の走査線112の中から一の走査線112を順次排他的に選択するための信号である。走査信号は、選択される走査線112に対しては選択電圧(例えば、H(High)レベルの電圧VH)となり、選択されない走査線112に対しては非選択電圧(例えば、L(Low)レベルの電圧VL)となる信号である。なお、一の走査線112を順次排他的に選択される駆動に代わり、複数の走査線112が同時に選択される、いわゆるMLS(Multiple Line Selection)駆動が用いられてもよい。
【0016】
データ線駆動回路140は、データ信号Vidに応じた信号を出力する回路である。データ線駆動回路140は、サンプリング信号出力回路142と、スイッチング素子としてn個のTFT144とを有する。第j列のTFT144のゲートは、第j列のサンプリング信号線に接続されている。第j列のTFT144のソースおよびドレインは、信号線146および第j列のデータ線114に接続されている。サンプリング信号出力回路142は、制御回路2から供給される制御信号に応じて、サンプリング信号Sa、Sb、Sc、S1、S2、…、S640、Sd、Se、およびSfを出力する。サンプリング信号は、n本のデータ線114の中から、一のデータ線114を順次排他的に選択するための信号である。サンプリング信号は、選択されるデータ線114に対しては選択電圧(例えばHレベル)となり、選択されないデータ線114に対しては非選択電圧(例えばLレベル)となる信号である。
【0017】
周辺電極駆動回路150は、制御回路2から供給される制御信号に従って、周辺電極51の電位を制御する回路である。なお後述するように周辺電極51の各電極は電気的に短絡されているが、電極間の配線は図示を省略している。
【0018】
図2は、液晶パネル100の構造を示す図である。図2(a)は、液晶パネル100の構造を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)におけるH−h線で破断した断面図である。液晶パネル100は、素子基板101と、対向基板102と、液晶105とを有する。
【0019】
素子基板101は、液晶105に電圧を印加するための画素電極118および画素電極118に印加される電圧を制御するためのスイッチング素子を有する基板である。画素電極118およびスイッチング素子は、ガラスまたは石英などの光透過性を有する基板上に形成されている。画素電極118は、光反射性を有する金属(例えばAl(アルミニウム))により形成される。画素電極118は、画素110と一対一に対応してパターニングされている。素子基板101において、対向基板102と対向する面には、液晶105の液晶分子の配向を制御するための配向膜が形成されている(図示略)。素子基板101にあっては、図2(a)においてY方向のサイズが対向基板102よりも長い。素子基板101と対向基板102とは、奥側(h側)が揃えられている。したがって、素子基板101の手前側(H側)の一辺が対向基板102から張り出している。この張り出した領域においてX方向に沿って複数の端子107が設けられている。複数の端子107は、FPC(Flexible Printed Circuits)基板に接続されている。端子107を介して液晶パネル100に各種の信号が供給される。なお、走査線駆動回路130およびデータ線駆動回路140は、図1においては、それぞれ周辺電極51の外側に図示されている、これは、電気的な構成を説明するための模式的な図である。実際には、走査線駆動回路130およびデータ線駆動回路140は、素子基板101を断面視したときに、周辺電極51の下層側(対向基板102とは反対側)に形成されている。
【0020】
対向基板102は、液晶105に電圧を印加するためのコモン電極108(対向電極)を有する基板である。コモン電極108は、ガラスまたは石英などの光透過性を有する基板上に形成されている。コモン電極108は、例えばITO(Indium Tin Oxide、酸化インジウムスズ)などの透明性を有する導電性材料により形成されている。コモン電極108は、すべての画素110について共通の、いわゆるベタ状に形成された電極である。対向基板102において、素子基板101と対向する面には、液晶105の液晶分子の配向を制御するための配向膜が形成されている(図示略)。
【0021】
液晶105は、印加される電圧に応じて光学状態が変化する、電気光学層の一例である。素子基板101および対向基板102は、スペーサー(図示省略)を含むシール材90によって一定の間隙を保ちつつ互いに電極形成面が対向するように貼り合わせられている。液晶105は、この間隙に挟持されている。液晶105は、例えばVA(Vertical Alignment)型の液晶である。
【0022】
図3は、画素110の等価回路を示す図である。画素110は、TFT116と、液晶素子120と、補助容量125とを有する。TFT116は、画素電極118に印加される電圧を制御するためのスイッチング素子の一例であり、この例ではnチャネル型のTFTである。第i行第j列の画素110において、TFT116のゲートは第i行の走査線112に接続されている。TFT116のソースは第j列のデータ線114に接続され、ドレインは画素電極118に接続されている。液晶素子120は、画素電極118と、コモン電極108と、液晶105とを有する。液晶素子120は、印加される電圧に応じて光学状態が変化する、電気光学素子の一例である。コモン電極108には、電圧LCcomが印加される。画素電極118には、各画素のデータに応じたデータ電圧が印加される。液晶105には、データ電圧と電圧LCcomとの差に応じた電圧が印加される。この例で液晶105はVA型液晶であるので、液晶素子120は、電圧を印加しない状態では黒色となるノーマリーブラックモードで動作する。補助容量125は、データ電圧を保持するための容量素子であり、液晶素子120に並列に接続されている。補助容量125の一端はTFT116に、他端は共通電位線72に、それぞれ接続されている。共通電位線72はすべての画素110に共通であり、共通電位Vcomが与えられる。この例では、Vcom=LCcomである。
【0023】
再び図1を参照する。制御回路2は、D/A変換回路4、走査線駆動回路130、データ線駆動回路140、および周辺電極駆動回路150を制御するための制御信号を出力する回路である。
【0024】
メモリー3は、画素110の階調値を示すデータを記憶する装置である。メモリー3は、格納および読出が並列的に実行可能なデュアルポート型のDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。メモリー3は、m行n列(この例では、486行646列)の画素110の各々に対応した記憶領域を有する。これらの記憶領域のうち、表示画素に対応する記憶領域には、表示画素に対応した映像データDaが格納される。非有効画素に対応する記憶領域には、表示画素の階調値に応じた階調値のデータが格納される。これらの記憶領域に記憶されているデータは、映像データDaが格納されてから、所定の期間(1フレーム以内の期間)経過した後、液晶パネル100における書込走査に応じて映像データDbとして読み出される。
【0025】
D/A変換回路4は、読み出された映像データDbを、極性指示信号Polによって指定された極性のデータ信号Vidに変換する回路である。極性指示信号Polが正極性を示している場合、D/A変換回路4は、映像データDbを、電圧Vcを基準として高電位の電圧に変換する。極性指示信号Polが負極性を示している場合、D/A変換回路4は、映像データDbを、電圧Vcを基準として低電位の電圧に変換する。D/A変換回路4は、変換された電圧を示す信号を、データ信号Vidとして信号線146に出力する。なお、電圧Vcは、データ信号の振幅中心電位である。極性指示信号Polによりデータ信号の極性を反転させている理由は、画素を交流駆動するためである。本実施形態にあっては、フレーム毎にすべての画素を極性反転させる面反転方式が用いられる。
【0026】
図4は、電気光学装置1における電極の配置を例示する図である。図4において四角枠で簡易的に示されているものが画素電極118である。画素電極118は、486行686列のマトリクス状に配置されている。このうち、a〜f行を除いた1〜480行と、a〜f列を除いた1〜640列との交差に対応するものが、画素電極118aであり、a〜f行と、a〜f列との交差に対応するものが、画素電極118bである。この例で、周辺電極51は、画素電極118と同じ形状およびサイズの電極と、これらの電極間を電気的に短絡させるための電極間配線(図示略)とを有する。画素電極118と同じ形状およびサイズを有していることから、周辺電極51を「ダミー画素」という。画素電極118と似た形状を有しているが、周辺電極51においてこれらの電極は短絡されていて個別に制御されることはなく、共通の電位が与えられる。以下の説明において、表示画素(画素110a)が占める領域を「表示領域」または「有効領域」といい、非表示画素(画素110b)が占める領域を「非表示領域」といい、ダミー画素(周辺電極51)が占める領域を「ダミー領域」という。
【0027】
2.動作
図5は、駆動時の液晶パネル100の各領域における駆動条件を例示する図である。この例では、「全黒表示」、「全白表示」、および「映像表示」の3つの場合のぞれぞれについて、ダミー領域、非有効領域、および表示領域における反射率を用いて、駆動条件が示されている。「全黒表示」とは、駆動が停止されるまでの間、すべての表示画素が黒に相当する反射率(例えば、相対反射率で0%)となるように駆動されていることをいう。同様に、「全白表示」とは、駆動が停止されるまでの間、すべての表示画素が白に相当する反射率(例えば、相対反射率で100%)となるように駆動されていることをいう。また、「映像表示」とは、動画や静止画等、任意の画像を表示するように駆動されていることをいう。図5の例では、全黒表示において、表示画素、非有効画素、およびダミー画素の反射率は、すべて0%である。全白表示において、表示画素の反射率は100%であり、非有効画素の反射率は7%以上70%以下であり、ダミー画素の反射率は0%である。映像表示において、表示画素の反射率は約70%であり、非有効画素の反射率は0%以上7%以下であり、ダミー画素の反射率は0%である。
【0028】
図6は、液晶素子120における電圧−反射率特性(V−R特性)を例示する図である。横軸は液晶素子120に印加される電圧を、縦軸は液晶素子120の相対反射率を示している。相対反射率とは、基準となる反射率(例えば、ある温度、電圧条件における最大反射率)に対する割合をいう。この例で、液晶素子120は、印加電圧が0Vから約2Vの範囲では相対反射率は約0%であり、印加電圧が約2Vを超えると反射率が上昇し、印加電圧が約5Vのときに相対反射率が約100%となる特性を示す。この電圧−反射率特性を有する液晶素子120を用いた場合、図5で例示した駆動条件は、以下のように読み替えられる。全黒表示において、表示画素、非有効画素、およびダミー画素に印加される実効電圧は0Vである。すなわち、これらの画素の画素電極の電位はVcである。電位Vcは、交流駆動の振幅中心の電位であり、TFT116のプッシュダウンおよび光リークを考慮して、共通電位LCcomより若干高位となるように設定されている。以下、電位Vcを基準として電圧+Vdまたは電圧−Vdが画素に印加されることを、「画素の電圧がVc±Vdである」という。特に、Vd=0Vの場合、単にVcと表す。全白表示において、表示画素の電圧はVc±5Vであり、非有効画素の電圧はVc±2.5〜3.6Vであり、ダミー画素の電圧はVcである。映像表示において、表示画素の電圧は平均値でVc±3.6Vであり、非有効画素の電圧はVc±1.5〜2.5Vであり、ダミー画素の電圧はVcである。なお、液晶素子120における電圧−反射率特性は、用いられる液晶材料、用いられるカラーフィルタ、セルギャップ等の条件に応じて変化するので、図5の条件の反射率から印加電圧への読み替えは、液晶素子120の構造に依存する。
【0029】
まず、制御回路2は、電気光学装置1が、全黒表示、全白表示、および映像表示のうち、どの表示を行っているか判断する。例えば、上位装置は、全黒表示、全白表示、および映像表示のうちどの表示を行っているかを示す信号を出力する。制御回路2は、上位装置から出力される出力される信号に基づいて、どの表示を行っているか判断する。全黒表示を行っていると判断された場合、制御回路2は、メモリー3のうち、非有効画素に対応する記憶領域に、階調値「0」(反射率約0%相当)を示すデータを書き込む。全白表示を行っていると判断された場合、制御回路2は、メモリー3のうち、非有効画素に対応する記憶領域に、階調値「102」(反射率約40%相当)を示すデータを書き込む。映像表示を行っていると判断された場合、制御回路2は、メモリー3のうち、非有効画素に対応する記憶領域に、階調値「8」(反射率約3%相当)を示すデータを書き込む。メモリー3のうち、表示画素に対応する記憶領域には、上位装置により画像データDaが書き込まれる。なお、これらの階調値はあくまで例示であり、図5に示した条件に適合するのであれば、これら以外の階調値が用いられてもよい。
【0030】
図7は、走査信号Giの波形を例示する図である。図中縦軸は電圧を、横軸は時間を示している。走査信号Giは、水平走査期間(H)ずつ順次遅延して排他的にHレベルになる信号である。Hレベルは電圧VHであり、Lレベルは電圧VLである。本実施形態において、電圧VLは接地電位Gndすなわち電圧0Vである。面反転方式が用いられているので、極性指示信号Polの論理レベルは1フレーム毎に反転している。図7において、第nフレームは、極性指示信号PolがHレベルの期間(すなわち、正極性書込が指定されている期間)であり、第(n+1)フレームは、極性指示信号PolがLレベルである期間(すなわち、負極性書込が指定されている期間)である。
【0031】
図7には、ダミー画素に供給される信号も示されている。ダミー画素には、中心電位Vcと同じ電位にするための電圧が印加される。対向基板102においてダミー画素と対向する領域にもコモン電極108が形成されているから、ダミー画素の領域において、液晶素子120は、実効値0Vの電圧で駆動される。
【0032】
図8は、サンプリング信号Sの波形を例示する図である。サンプリング信号Sjは、ある走査信号GiがHレベルとなる水平走査期間(H)にわたって、順次遅延して排他的にHレベルになる信号である。フレームの始期において、メモリー3から、第a行の映像データDbが、第a、b、c、1、2、…、640、d、e、f列の順番で読み出される。この例で、第a行の画素110は、すべて非有効画素である。例えば、映像表示時において、メモリー3に記憶されている映像データDbは、全ての列について、階調値「8」を示す。極性指定信号Polが正極性を示していた場合、D/A変換回路4は、正極性のデータ電圧Vidを信号線146に出力する。
【0033】
以下、第i行第j列の画素110の映像データDbを、映像データDb(i,j)と表す。データ信号Vidについても同様である。D/A変換回路4は、映像データDb(a,a)をメモリー3から読み出し、データ信号Vid(a,a)に変換する。D/A変換回路4は、データ信号Vid(a,a)を信号線146に出力する。このとき、サンプリング信号出力回路142は、Hレベルのサンプリング信号Saを出力し、第a列のTFT144をオンさせる。これにより、信号線146に供給されたデータ信号Vid(a,a)は、第a列のデータ線114にサンプリングされる。次に、同様にして、D/A変換回路4は、映像データDb(a,b)をメモリー3から読み出し、データ信号Vid(a,b)に変換する。D/A変換回路4は、データ信号Vid(a,b)を信号線146に出力する。このとき、サンプリング信号出力回路142は、Hレベルのサンプリング信号Sbを出力し、第b列のTFT144をオンさせる(他の列のサンプリング信号SはLレベルとし、TFT144をオフさせる)。以降同様にして、最終的には、データ信号Vid(a,a)〜Vid(a,f)が、第a列〜第f列のデータ線114に、それぞれサンプリングされる。
【0034】
メモリー3から映像データDb(a,j)が読み出されている期間において、走査線駆動回路130は、Hレベルの走査信号Saを出力し、第a行のTFT116をオンさせる。TFT116がオンすると、データ線114にサンプリングされたデータ信号Vidは、第a行の画素電極118に供給される。第a行の画素110(非有効画素)は、メモリー3に記憶されている階調値に応じた反射率になる。第b行以降も同様である。第1行から第480行までは、表示画素を含んでいる。表示画素については、映像データDaにより示される階調値に応じた反射率になる。
【0035】
以上まとめると、電気光学装置1は、第1基板(素子基板101)と、第1基板と対向する第2基板(対向基板102)と、第1基板と第2基板との間に挟持された電気光学層(液晶105)と、第1基板上において電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域(表示領域)に属する第1電極群(画素電極118a)と、第1基板上において上述の面に設けられ、第1領域の外周に沿って、第1領域の外側に設けられた第2領域(非有効領域)に属する第2電極群(画素電極118b)と、第1基板上において上述の面に設けられ、第2領域に対して第1領域と反対側に設けられた第3領域(ダミー領域)に属する第3電極群(周辺電極51)とを有する。ここで、第1電極群に第1階調に相当する信号が供給され、第3電極群に第1階調よりも低い第2階調に相当する信号が供給されるとき、第2電極群に第1階調よりも低く第2階調よりも高い第3階調に相当する信号が供給される。ここで、「電極群」とは、電気的に分離された複数の電極だけでなく、電気的に接続された複数の電極および単一の電極も含む概念である。
【0036】
映像表示において、第1領域に表示される画像が動画(平均反射率で70%)であり、第2階調は、相対階調(相対反射率)で0%であり、第3階調は、相対階調で0%以上7%以下である。全白表示において、第1階調は、相対階調で100%であり、第2階調は、相対階調で0%であり、第3階調は、相対階調で7%以上70%以下である。全黒表示において、第1電極群および第3電極群に第1階調(反射率0%)に相当する信号が供給されるとき、第2電極群に第1階調に相当する信号が供給される。
【0037】
図9は、液晶パネル100の各領域における階調値を示す模式図である。図9(A)は全黒表示を、図9(B)は全白表示を、図9(C)は映像表示を、それぞれ示している。液晶パネル100においては、ダミー領域と表示領域との間に、非有効領域が設けられている。非有効領域は、表示領域の階調値に応じた階調値を有する。
【0038】
図10は、比較例に係る液晶パネルの問題点を説明する図である。この例の液晶パネルも、ダミー領域と、非有効領域と、表示領域とを有する。比較例の液晶パネルは、非有効領域は、いわゆる電子見切りである。すなわち、非有効領域のすべての画素は、表示画素の階調値によらず、常に反射率0%(すなわち黒または階調値ゼロ)である。液晶中のイオン性不純物は、基板上の配向膜に形成された配向の方向に移動しやすい性質を持つことが知られている。例えば、表示領域の辺に対して45°の方向に配向が形成されていると、イオン性不純物は45°方向に移動しやすい性質を持つ。例えば、表示領域の左下隅周辺部分(図10の部分A)を考える。表示領域の階調値は反射率100%(すなわち白または階調値255)である。図6の電圧−反射率特性によれば、表示領域の画素に印加される電圧は5Vである。一方で、非有効領域の画素に印加される電圧は0Vである。液晶中の不純物イオンは、この電位差に起因する電界による力を受け、45°方向に移動する。移動したイオン性不純物は、電位障壁すなわち電位差の大きい境界部分に溜まる傾向がある。すなわち、イオン性不純物は、表示領域の左下隅周辺部分(および右上隅周辺部分)に溜まりやすい傾向にあるイオン性不純物の濃度に偏りがあると、例えばイオン性不純物濃度の高い部分の反射率が、イオン性不純物の濃度が低い部分よりも低下する、いわゆる角シミによる表示品位の低下を招く。
【0039】
これに対して、本実施形態に係る液晶パネル100によれば、表示画素の階調値とダミー画素の階調値とが異なる場合には、非有効領域は、表示画素の階調値とダミー画素の階調値との間の階調値を有している。例えば、前白表示の場合において、表示画素の反射率を100%、非有効画素の反射率を40%に設定したときは、表示画素の電圧は5.0Vであり、非有効画素の電圧は3.1Vである(図6の電圧−反射率特性による)。別の例で、映像表示の場合において、表示画素の反射率を(平均値で)70%、非有効画素の反射率を3%に設定したときは、表示画素の電圧は平均で3.6Vであり、非有効画素の電圧は2.1Vである。これにより、表示領域の左下隅部分(右上隅部分)における電位障壁が低くなり(電位差が小さくなり)、図10の構成と比較してイオン性不純物が溜まりにくくなる。すなわち、図10の構成と比較すると角シミが発生しにくくなり、表示品位が向上する。特に、反射型の液晶パネルにおいては、反射率がほぼゼロの材料を用いることが困難であり、透過型の液晶パネルで用いられるような遮光膜(ブラックマトリクス)を形成することができない。そのため、液晶の光学状態の変化を用いて、ダミー領域における遮光が行われる。したがって、ダミー領域と表示領域とで電位差が生じやすいという問題がある。電気光学装置1によれば、反射型の電気光学装置においても、表示品位の低下を抑制することができる。
【0040】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0041】
全黒表示、全白表示、および映像表示のうちどの表示が行われているか判断する方法および判断を行う主体は、実施形態で説明したものに限定されない。実施形態においては、制御回路2が、上位装置から出力される信号に基づいて判断を行う例を説明した。別の例で、制御回路2が、メモリー3に記憶されている映像データDaに基づいて判断を行ってもよい。この場合、制御回路2は、メモリー3から映像データDaを読み出し、映像データDaが示す階調値の時間平均を算出する。制御回路2は、階調値の時間平均に応じて、全黒表示、全白表示、および映像表示のうちどの表示が行われているか判断する。別の例で、電気光学装置1の上位装置、例えばCPU(Central Processing Unit)が、この判断を行ってもよい。この場合、CPUは、判断結果に応じて、非有効領域の階調値のデータをメモリー3に書き込む。
【0042】
全黒表示、全白表示、および映像表示における各画素群の相対階調は、実施形態で説明したものに限定されない。例えば、全黒表示時の相対階調は90%、実施形態で例示した階調値と異なっていてもよい。また、このとき、全ての画素の相対階調が等しく90%である必要はなく、画素全体の平均値として、階調値が90%であってもよい。
【0043】
電気光学装置1の構成は、図1に例示したものに限定されない。図1に例示した電気光学装置1の構成要素のうちの一部が省略されてもよい。例えば、液晶パネル100は、周辺電極駆動回路150を有していなくてもよい。この場合、制御回路2が、周辺電極51に信号を供給してもよい。別の例で、素子基板101は、Si(シリコン)等の光透過性を有さない材料で形成された基板の上にスイッチング素子や配線層が形成されたものであってもよい。さらに別の例で、周辺電極51の構造は、図4に例示したものに限定されない。周辺電極51は、画素電極118と同じ形状およびサイズの電極を有していなくてもよい。例えば、周辺電極51は、画素に区分されていない、ダミー領域の全面に均一なベタ電極であってもよい。また、非有効領域およびダミー領域の大きさは、実施形態で説明したものに限定されない。実施形態では、非有効領域が3画素分の大きさを有している例を説明したが、これより大きくても小さくてもよい。ダミー領域についても同様である。
【0044】
図11は、プロジェクター2100の構成を示す図である。プロジェクター2100は、電気光学装置1を用いた電子機器の一例である。プロジェクター2100は、ランプユニット2102と、3枚のミラー2106と、2枚のダイクロイックミラー2108と、ダイクロイックプリズム2112と、リレーレンズ系2121とを有する。リレーレンズ系2121は、入射レンズ2122と、リレーレンズ2123と、出射レンズ2124と、ライトバルブ100Rと、ライトバルブ100Gと、ライトバルブ100Bとを有する。ランプユニット2102は、ハロゲンランプ等の白色光源を有する。ランプユニット2102から出力された光は、3枚のミラー2106と2枚のダイクロイックミラー2108によって、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3原色に分離される。分離された光は、それぞれ、ライトバルブ100R、100G、および100Bに導かれる。青色の光は、他の色と比較すると光路が長いので、その損失を防ぐために、リレーレンズ系を介して導かれる。
【0045】
プロジェクター2100において、実施形態で説明した電気光学装置1が、赤色、緑色、青色のそれぞれに対応して、計3組設けられている。これらの電気光学装置1には、赤色、緑色、青色のそれぞれに対応する映像データが、上位回路から供給される。ライトバルブ100R、100G、および100Bは、実施形態で説明した液晶パネル100と同様の構成を有しており、それぞれ、赤色、緑色、および青色に対応するデータ信号によって駆動される。ライトバルブ100R、100G、および100Bで変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、ダイクロイックプリズム2112において、赤色および青色の光は90°屈折し、緑色の光は直進する。各色の画像は合成され、スクリーン2120には、投射レンズ2114によってカラー画像が投射される。なお、ライトバルブ100Rおよび100Bの透過像はダイクロイックプリズム2112により反射された後で投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射されるので、ライトバルブ100Rおよび100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を形成する構成となっている。なお、電子機器は、図11で説明したプロジェクターの他、電子ビューファインダーや、リヤ・プロジェクション型のテレビジョン受像器、ヘッドマウントディスプレイなどであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…電気光学装置、2…制御回路、3…メモリー、4…D/A変換回路、51…周辺電極、72…共通電位線、90…シール材、100…液晶パネル、101…素子基板、102…対向基板、105…液晶、107…端子、108…コモン電極、110…画素、112…走査線、114…データ線、116…TFT、118…画素電極、120…液晶素子、125…補助容量、130…走査線駆動回路、140…データ線駆動回路、142…サンプリング信号出力回路、144…TFT、146…信号線、150…周辺電極駆動回路、2100…プロジェクター、2102…ランプユニット、2106…ミラー、2108…ダイクロイックミラー、2112…ダイクロイックプリズム、2114…投射レンズ、2120…スクリーン、2121…リレーレンズ系、2122…入射レンズ、2123…リレーレンズ、2124…出射レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置における表示品位の低下を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置において、液晶セル内のイオン性不純物により表示品位が低下する現象が知られている。特許文献1は、イオン性不純物による表示品位の低下を抑制するため、画素領域の周辺の周辺領域において、隣り合う電極間で異なる電圧を印加することを開示している。特許文献2は、イオン性不純物による表示品位の低下を抑制するため、周辺電極の駆動周波数を最適化することを開示している。特許文献3は、イオン性不純物による表示品位の低下を抑制するため、表示領域に画像を表示しない動作モードにおいて、電子見切り領域に不純物イオンを掃き寄せることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−58497号公報
【特許文献2】特開2008−268253号公報
【特許文献3】特開2007−316119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術においては、周辺領域の画素に印加する電圧が均一にならないので反射型の装置に適用することは難しかった。特許文献2および3に記載の技術においては、表示領域と周辺領域(電子見切り領域)との電位差が大きくなり、イオン性不純物の移動による表示品位の低下が起こるという問題があった。
本発明は、反射型の装置にも適用可能であり、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された電気光学層と、前記第1基板上において前記電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域に属する第1電極群と、前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第1領域の外周に沿って、前記第1領域の外側に設けられた第2領域に属する第2電極群と、前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第2領域に対して前記第1領域と反対側に設けられた第3領域に属する第3電極群とを有する電気光学装置の駆動方法であって、前記第1電極群に第1階調に相当する信号が供給され、前記第3電極群に前記第1階調よりも低い第2階調に相当する信号が供給されるとき、前記第2電極群に前記第1階調よりも低く前記第2階調よりも高い第3階調に相当する信号が供給されることを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
この駆動方法によれば、第2電極群に第3電極群と同じ階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【0006】
好ましい態様において、前記第1領域に表示される画像が動画であり、前記第2階調は、相対階調で0%であり、前記第3階調は、相対階調で0%以上7%以下であってもよい。
この駆動方法によれば、動画を表示するときに、第2電極群に第3電極群と同じ階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【0007】
別の好ましい態様において、前記第1階調は、相対階調で100%であり、前記第2階調は、相対階調で0%であり、前記第3階調は、相対階調で7%以上70%以下であってもよい。
この駆動方法によれば、相対階調で100%の画像を表示するときに、第2電極群に第3電極群と同じ階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【0008】
さらに別の好ましい態様において、前記第1電極群および前記第3電極群に第1階調に相当する信号が供給されるとき、前記第2電極群に前記第1階調に相当する信号が供給されてもよい。
この駆動方法によれば、第1領域と第3領域とを同じ階調にするときに、第2電極群と第3電極群に異なる階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【0009】
また、本発明は、第1基板と、前記第1基板と対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された電気光学層と、前記第1基板上において前記電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域に属する第1電極群と、前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第1領域の外周に沿って、前記第1領域の外側に設けられた第2領域に属する第2電極群と、前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第2領域に対して前記第1領域と反対側に設けられた第3領域に属する第3電極群と、前記第1電極群に第1階調に相当する信号を供給し、前記第3電極群に前記第1階調よりも低い第2階調に相当する信号を供給するとき、前記第2電極群に前記第1階調よりも低く前記第2階調よりも高い第3階調に相当する信号を供給する電極駆動回路とを有する電気光学装置を提供する。
この電気光学装置によれば、第2電極群に第3電極群と同じ階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【0010】
さらに、本発明は、上記の電気光学装置を有する電子機器を提供する。
この電子機器によれば、第2電極群に第3電極群と同じ階調に相当する信号が供給される場合と比較して、イオン性不純物の移動に起因する表示品位の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る電気光学装置1の構成を示す図。
【図2】液晶パネル100の構造を示す図。
【図3】画素110の等価回路を示す図。
【図4】電気光学装置1における電極の配置を例示する図。
【図5】液晶パネル100の各領域における駆動条件を例示する図。
【図6】液晶素子120における電圧−反射率特性を例示する図。
【図7】走査信号Giの波形を例示する図。
【図8】サンプリング信号Sの波形を例示する図。
【図9】液晶パネル100の各領域における階調値を示す模式図。
【図10】比較例に係る液晶パネルの問題点を説明する図。
【図11】プロジェクター2100の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.構成
図1は、一実施形態に係る電気光学装置1の構成を示す図である。電気光学装置1は、例えば、プロジェクターのライトバルブとして用いられる、反射型の電気光学装置である。電気光学装置1は、制御回路2と、メモリー3と、D/A変換回路4と、液晶パネル100とを有する。電気光学装置1には、図示省略した上位装置から、映像データDa、垂直走査信号Vs、水平走査信号Hsおよびドットクロック信号Clkが供給される。電気光学装置1は、垂直走査信号Vs、水平走査信号Hsおよびドットクロック信号Clkに応じたタイミングで、映像データDaに応じた画像を表示する。映像データDaは、例えば8ビットのデジタルデータであり、表示画素の濃淡(階調値)を256階調で示す。最も暗い階調値は「0」であり、最も明るい階調値は「255」である。
【0013】
液晶パネル100は、m×n個の画素110と、m本の走査線112と、n本のデータ線114と、周辺電極51と、走査線駆動回路130と、データ線駆動回路140と、周辺電極駆動回路150とを有する。走査線112は行方向(x方向)に沿って設けられている。データ線114は、列方向(y方向)に沿って設けられている。走査線112とデータ線114とは、電気的に絶縁されている。画素110は、走査線112とデータ線114との交差に対応して設けられている。
【0014】
図1の例では、画素110は、486行646列に配置されている(m=486、n=646)。このうち、外側の3行および3列の画素110は、表示に寄与しない画素(以下「非有効画素」という)である。非有効画素は、表示に寄与する画素(以下「表示画素」または「有効画素」という)と比較して、電気的な構成に相違はない。表示画素と非有効画素とを区別する必要がないときは、単に画素110という。両者を区別するときは、表示画素を画素110aといい、非有効画素を画素110bという。画素110に含まれる要素についても同様である。走査線112および画素110の行を区別するときは、図1において上から順に、a行、b行、c行、1行、2行、…、480行、d行、e行、f行という。同様に、データ線114および画素110の列を区別するときは、図1において左から順に、a列、b列、c列、1列、2列、…、640列、d列、e列、f列という。周辺電極51は、画素110が配置されている領域の周辺を囲む位置に設けられている。周辺電極51は、走査線112およびデータ線114に接続されていない。
【0015】
走査線駆動回路130は、m本の走査線112の中から一の走査線112を選択するための走査信号を出力する回路である。走査線駆動回路130は、制御回路2から供給される制御信号に従って、走査信号Ga、Gb、Gc、G1、G2、…、G480、Gd、Ge、およびGfを、走査線112に出力する。走査信号は、m本の走査線112の中から一の走査線112を順次排他的に選択するための信号である。走査信号は、選択される走査線112に対しては選択電圧(例えば、H(High)レベルの電圧VH)となり、選択されない走査線112に対しては非選択電圧(例えば、L(Low)レベルの電圧VL)となる信号である。なお、一の走査線112を順次排他的に選択される駆動に代わり、複数の走査線112が同時に選択される、いわゆるMLS(Multiple Line Selection)駆動が用いられてもよい。
【0016】
データ線駆動回路140は、データ信号Vidに応じた信号を出力する回路である。データ線駆動回路140は、サンプリング信号出力回路142と、スイッチング素子としてn個のTFT144とを有する。第j列のTFT144のゲートは、第j列のサンプリング信号線に接続されている。第j列のTFT144のソースおよびドレインは、信号線146および第j列のデータ線114に接続されている。サンプリング信号出力回路142は、制御回路2から供給される制御信号に応じて、サンプリング信号Sa、Sb、Sc、S1、S2、…、S640、Sd、Se、およびSfを出力する。サンプリング信号は、n本のデータ線114の中から、一のデータ線114を順次排他的に選択するための信号である。サンプリング信号は、選択されるデータ線114に対しては選択電圧(例えばHレベル)となり、選択されないデータ線114に対しては非選択電圧(例えばLレベル)となる信号である。
【0017】
周辺電極駆動回路150は、制御回路2から供給される制御信号に従って、周辺電極51の電位を制御する回路である。なお後述するように周辺電極51の各電極は電気的に短絡されているが、電極間の配線は図示を省略している。
【0018】
図2は、液晶パネル100の構造を示す図である。図2(a)は、液晶パネル100の構造を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)におけるH−h線で破断した断面図である。液晶パネル100は、素子基板101と、対向基板102と、液晶105とを有する。
【0019】
素子基板101は、液晶105に電圧を印加するための画素電極118および画素電極118に印加される電圧を制御するためのスイッチング素子を有する基板である。画素電極118およびスイッチング素子は、ガラスまたは石英などの光透過性を有する基板上に形成されている。画素電極118は、光反射性を有する金属(例えばAl(アルミニウム))により形成される。画素電極118は、画素110と一対一に対応してパターニングされている。素子基板101において、対向基板102と対向する面には、液晶105の液晶分子の配向を制御するための配向膜が形成されている(図示略)。素子基板101にあっては、図2(a)においてY方向のサイズが対向基板102よりも長い。素子基板101と対向基板102とは、奥側(h側)が揃えられている。したがって、素子基板101の手前側(H側)の一辺が対向基板102から張り出している。この張り出した領域においてX方向に沿って複数の端子107が設けられている。複数の端子107は、FPC(Flexible Printed Circuits)基板に接続されている。端子107を介して液晶パネル100に各種の信号が供給される。なお、走査線駆動回路130およびデータ線駆動回路140は、図1においては、それぞれ周辺電極51の外側に図示されている、これは、電気的な構成を説明するための模式的な図である。実際には、走査線駆動回路130およびデータ線駆動回路140は、素子基板101を断面視したときに、周辺電極51の下層側(対向基板102とは反対側)に形成されている。
【0020】
対向基板102は、液晶105に電圧を印加するためのコモン電極108(対向電極)を有する基板である。コモン電極108は、ガラスまたは石英などの光透過性を有する基板上に形成されている。コモン電極108は、例えばITO(Indium Tin Oxide、酸化インジウムスズ)などの透明性を有する導電性材料により形成されている。コモン電極108は、すべての画素110について共通の、いわゆるベタ状に形成された電極である。対向基板102において、素子基板101と対向する面には、液晶105の液晶分子の配向を制御するための配向膜が形成されている(図示略)。
【0021】
液晶105は、印加される電圧に応じて光学状態が変化する、電気光学層の一例である。素子基板101および対向基板102は、スペーサー(図示省略)を含むシール材90によって一定の間隙を保ちつつ互いに電極形成面が対向するように貼り合わせられている。液晶105は、この間隙に挟持されている。液晶105は、例えばVA(Vertical Alignment)型の液晶である。
【0022】
図3は、画素110の等価回路を示す図である。画素110は、TFT116と、液晶素子120と、補助容量125とを有する。TFT116は、画素電極118に印加される電圧を制御するためのスイッチング素子の一例であり、この例ではnチャネル型のTFTである。第i行第j列の画素110において、TFT116のゲートは第i行の走査線112に接続されている。TFT116のソースは第j列のデータ線114に接続され、ドレインは画素電極118に接続されている。液晶素子120は、画素電極118と、コモン電極108と、液晶105とを有する。液晶素子120は、印加される電圧に応じて光学状態が変化する、電気光学素子の一例である。コモン電極108には、電圧LCcomが印加される。画素電極118には、各画素のデータに応じたデータ電圧が印加される。液晶105には、データ電圧と電圧LCcomとの差に応じた電圧が印加される。この例で液晶105はVA型液晶であるので、液晶素子120は、電圧を印加しない状態では黒色となるノーマリーブラックモードで動作する。補助容量125は、データ電圧を保持するための容量素子であり、液晶素子120に並列に接続されている。補助容量125の一端はTFT116に、他端は共通電位線72に、それぞれ接続されている。共通電位線72はすべての画素110に共通であり、共通電位Vcomが与えられる。この例では、Vcom=LCcomである。
【0023】
再び図1を参照する。制御回路2は、D/A変換回路4、走査線駆動回路130、データ線駆動回路140、および周辺電極駆動回路150を制御するための制御信号を出力する回路である。
【0024】
メモリー3は、画素110の階調値を示すデータを記憶する装置である。メモリー3は、格納および読出が並列的に実行可能なデュアルポート型のDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。メモリー3は、m行n列(この例では、486行646列)の画素110の各々に対応した記憶領域を有する。これらの記憶領域のうち、表示画素に対応する記憶領域には、表示画素に対応した映像データDaが格納される。非有効画素に対応する記憶領域には、表示画素の階調値に応じた階調値のデータが格納される。これらの記憶領域に記憶されているデータは、映像データDaが格納されてから、所定の期間(1フレーム以内の期間)経過した後、液晶パネル100における書込走査に応じて映像データDbとして読み出される。
【0025】
D/A変換回路4は、読み出された映像データDbを、極性指示信号Polによって指定された極性のデータ信号Vidに変換する回路である。極性指示信号Polが正極性を示している場合、D/A変換回路4は、映像データDbを、電圧Vcを基準として高電位の電圧に変換する。極性指示信号Polが負極性を示している場合、D/A変換回路4は、映像データDbを、電圧Vcを基準として低電位の電圧に変換する。D/A変換回路4は、変換された電圧を示す信号を、データ信号Vidとして信号線146に出力する。なお、電圧Vcは、データ信号の振幅中心電位である。極性指示信号Polによりデータ信号の極性を反転させている理由は、画素を交流駆動するためである。本実施形態にあっては、フレーム毎にすべての画素を極性反転させる面反転方式が用いられる。
【0026】
図4は、電気光学装置1における電極の配置を例示する図である。図4において四角枠で簡易的に示されているものが画素電極118である。画素電極118は、486行686列のマトリクス状に配置されている。このうち、a〜f行を除いた1〜480行と、a〜f列を除いた1〜640列との交差に対応するものが、画素電極118aであり、a〜f行と、a〜f列との交差に対応するものが、画素電極118bである。この例で、周辺電極51は、画素電極118と同じ形状およびサイズの電極と、これらの電極間を電気的に短絡させるための電極間配線(図示略)とを有する。画素電極118と同じ形状およびサイズを有していることから、周辺電極51を「ダミー画素」という。画素電極118と似た形状を有しているが、周辺電極51においてこれらの電極は短絡されていて個別に制御されることはなく、共通の電位が与えられる。以下の説明において、表示画素(画素110a)が占める領域を「表示領域」または「有効領域」といい、非表示画素(画素110b)が占める領域を「非表示領域」といい、ダミー画素(周辺電極51)が占める領域を「ダミー領域」という。
【0027】
2.動作
図5は、駆動時の液晶パネル100の各領域における駆動条件を例示する図である。この例では、「全黒表示」、「全白表示」、および「映像表示」の3つの場合のぞれぞれについて、ダミー領域、非有効領域、および表示領域における反射率を用いて、駆動条件が示されている。「全黒表示」とは、駆動が停止されるまでの間、すべての表示画素が黒に相当する反射率(例えば、相対反射率で0%)となるように駆動されていることをいう。同様に、「全白表示」とは、駆動が停止されるまでの間、すべての表示画素が白に相当する反射率(例えば、相対反射率で100%)となるように駆動されていることをいう。また、「映像表示」とは、動画や静止画等、任意の画像を表示するように駆動されていることをいう。図5の例では、全黒表示において、表示画素、非有効画素、およびダミー画素の反射率は、すべて0%である。全白表示において、表示画素の反射率は100%であり、非有効画素の反射率は7%以上70%以下であり、ダミー画素の反射率は0%である。映像表示において、表示画素の反射率は約70%であり、非有効画素の反射率は0%以上7%以下であり、ダミー画素の反射率は0%である。
【0028】
図6は、液晶素子120における電圧−反射率特性(V−R特性)を例示する図である。横軸は液晶素子120に印加される電圧を、縦軸は液晶素子120の相対反射率を示している。相対反射率とは、基準となる反射率(例えば、ある温度、電圧条件における最大反射率)に対する割合をいう。この例で、液晶素子120は、印加電圧が0Vから約2Vの範囲では相対反射率は約0%であり、印加電圧が約2Vを超えると反射率が上昇し、印加電圧が約5Vのときに相対反射率が約100%となる特性を示す。この電圧−反射率特性を有する液晶素子120を用いた場合、図5で例示した駆動条件は、以下のように読み替えられる。全黒表示において、表示画素、非有効画素、およびダミー画素に印加される実効電圧は0Vである。すなわち、これらの画素の画素電極の電位はVcである。電位Vcは、交流駆動の振幅中心の電位であり、TFT116のプッシュダウンおよび光リークを考慮して、共通電位LCcomより若干高位となるように設定されている。以下、電位Vcを基準として電圧+Vdまたは電圧−Vdが画素に印加されることを、「画素の電圧がVc±Vdである」という。特に、Vd=0Vの場合、単にVcと表す。全白表示において、表示画素の電圧はVc±5Vであり、非有効画素の電圧はVc±2.5〜3.6Vであり、ダミー画素の電圧はVcである。映像表示において、表示画素の電圧は平均値でVc±3.6Vであり、非有効画素の電圧はVc±1.5〜2.5Vであり、ダミー画素の電圧はVcである。なお、液晶素子120における電圧−反射率特性は、用いられる液晶材料、用いられるカラーフィルタ、セルギャップ等の条件に応じて変化するので、図5の条件の反射率から印加電圧への読み替えは、液晶素子120の構造に依存する。
【0029】
まず、制御回路2は、電気光学装置1が、全黒表示、全白表示、および映像表示のうち、どの表示を行っているか判断する。例えば、上位装置は、全黒表示、全白表示、および映像表示のうちどの表示を行っているかを示す信号を出力する。制御回路2は、上位装置から出力される出力される信号に基づいて、どの表示を行っているか判断する。全黒表示を行っていると判断された場合、制御回路2は、メモリー3のうち、非有効画素に対応する記憶領域に、階調値「0」(反射率約0%相当)を示すデータを書き込む。全白表示を行っていると判断された場合、制御回路2は、メモリー3のうち、非有効画素に対応する記憶領域に、階調値「102」(反射率約40%相当)を示すデータを書き込む。映像表示を行っていると判断された場合、制御回路2は、メモリー3のうち、非有効画素に対応する記憶領域に、階調値「8」(反射率約3%相当)を示すデータを書き込む。メモリー3のうち、表示画素に対応する記憶領域には、上位装置により画像データDaが書き込まれる。なお、これらの階調値はあくまで例示であり、図5に示した条件に適合するのであれば、これら以外の階調値が用いられてもよい。
【0030】
図7は、走査信号Giの波形を例示する図である。図中縦軸は電圧を、横軸は時間を示している。走査信号Giは、水平走査期間(H)ずつ順次遅延して排他的にHレベルになる信号である。Hレベルは電圧VHであり、Lレベルは電圧VLである。本実施形態において、電圧VLは接地電位Gndすなわち電圧0Vである。面反転方式が用いられているので、極性指示信号Polの論理レベルは1フレーム毎に反転している。図7において、第nフレームは、極性指示信号PolがHレベルの期間(すなわち、正極性書込が指定されている期間)であり、第(n+1)フレームは、極性指示信号PolがLレベルである期間(すなわち、負極性書込が指定されている期間)である。
【0031】
図7には、ダミー画素に供給される信号も示されている。ダミー画素には、中心電位Vcと同じ電位にするための電圧が印加される。対向基板102においてダミー画素と対向する領域にもコモン電極108が形成されているから、ダミー画素の領域において、液晶素子120は、実効値0Vの電圧で駆動される。
【0032】
図8は、サンプリング信号Sの波形を例示する図である。サンプリング信号Sjは、ある走査信号GiがHレベルとなる水平走査期間(H)にわたって、順次遅延して排他的にHレベルになる信号である。フレームの始期において、メモリー3から、第a行の映像データDbが、第a、b、c、1、2、…、640、d、e、f列の順番で読み出される。この例で、第a行の画素110は、すべて非有効画素である。例えば、映像表示時において、メモリー3に記憶されている映像データDbは、全ての列について、階調値「8」を示す。極性指定信号Polが正極性を示していた場合、D/A変換回路4は、正極性のデータ電圧Vidを信号線146に出力する。
【0033】
以下、第i行第j列の画素110の映像データDbを、映像データDb(i,j)と表す。データ信号Vidについても同様である。D/A変換回路4は、映像データDb(a,a)をメモリー3から読み出し、データ信号Vid(a,a)に変換する。D/A変換回路4は、データ信号Vid(a,a)を信号線146に出力する。このとき、サンプリング信号出力回路142は、Hレベルのサンプリング信号Saを出力し、第a列のTFT144をオンさせる。これにより、信号線146に供給されたデータ信号Vid(a,a)は、第a列のデータ線114にサンプリングされる。次に、同様にして、D/A変換回路4は、映像データDb(a,b)をメモリー3から読み出し、データ信号Vid(a,b)に変換する。D/A変換回路4は、データ信号Vid(a,b)を信号線146に出力する。このとき、サンプリング信号出力回路142は、Hレベルのサンプリング信号Sbを出力し、第b列のTFT144をオンさせる(他の列のサンプリング信号SはLレベルとし、TFT144をオフさせる)。以降同様にして、最終的には、データ信号Vid(a,a)〜Vid(a,f)が、第a列〜第f列のデータ線114に、それぞれサンプリングされる。
【0034】
メモリー3から映像データDb(a,j)が読み出されている期間において、走査線駆動回路130は、Hレベルの走査信号Saを出力し、第a行のTFT116をオンさせる。TFT116がオンすると、データ線114にサンプリングされたデータ信号Vidは、第a行の画素電極118に供給される。第a行の画素110(非有効画素)は、メモリー3に記憶されている階調値に応じた反射率になる。第b行以降も同様である。第1行から第480行までは、表示画素を含んでいる。表示画素については、映像データDaにより示される階調値に応じた反射率になる。
【0035】
以上まとめると、電気光学装置1は、第1基板(素子基板101)と、第1基板と対向する第2基板(対向基板102)と、第1基板と第2基板との間に挟持された電気光学層(液晶105)と、第1基板上において電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域(表示領域)に属する第1電極群(画素電極118a)と、第1基板上において上述の面に設けられ、第1領域の外周に沿って、第1領域の外側に設けられた第2領域(非有効領域)に属する第2電極群(画素電極118b)と、第1基板上において上述の面に設けられ、第2領域に対して第1領域と反対側に設けられた第3領域(ダミー領域)に属する第3電極群(周辺電極51)とを有する。ここで、第1電極群に第1階調に相当する信号が供給され、第3電極群に第1階調よりも低い第2階調に相当する信号が供給されるとき、第2電極群に第1階調よりも低く第2階調よりも高い第3階調に相当する信号が供給される。ここで、「電極群」とは、電気的に分離された複数の電極だけでなく、電気的に接続された複数の電極および単一の電極も含む概念である。
【0036】
映像表示において、第1領域に表示される画像が動画(平均反射率で70%)であり、第2階調は、相対階調(相対反射率)で0%であり、第3階調は、相対階調で0%以上7%以下である。全白表示において、第1階調は、相対階調で100%であり、第2階調は、相対階調で0%であり、第3階調は、相対階調で7%以上70%以下である。全黒表示において、第1電極群および第3電極群に第1階調(反射率0%)に相当する信号が供給されるとき、第2電極群に第1階調に相当する信号が供給される。
【0037】
図9は、液晶パネル100の各領域における階調値を示す模式図である。図9(A)は全黒表示を、図9(B)は全白表示を、図9(C)は映像表示を、それぞれ示している。液晶パネル100においては、ダミー領域と表示領域との間に、非有効領域が設けられている。非有効領域は、表示領域の階調値に応じた階調値を有する。
【0038】
図10は、比較例に係る液晶パネルの問題点を説明する図である。この例の液晶パネルも、ダミー領域と、非有効領域と、表示領域とを有する。比較例の液晶パネルは、非有効領域は、いわゆる電子見切りである。すなわち、非有効領域のすべての画素は、表示画素の階調値によらず、常に反射率0%(すなわち黒または階調値ゼロ)である。液晶中のイオン性不純物は、基板上の配向膜に形成された配向の方向に移動しやすい性質を持つことが知られている。例えば、表示領域の辺に対して45°の方向に配向が形成されていると、イオン性不純物は45°方向に移動しやすい性質を持つ。例えば、表示領域の左下隅周辺部分(図10の部分A)を考える。表示領域の階調値は反射率100%(すなわち白または階調値255)である。図6の電圧−反射率特性によれば、表示領域の画素に印加される電圧は5Vである。一方で、非有効領域の画素に印加される電圧は0Vである。液晶中の不純物イオンは、この電位差に起因する電界による力を受け、45°方向に移動する。移動したイオン性不純物は、電位障壁すなわち電位差の大きい境界部分に溜まる傾向がある。すなわち、イオン性不純物は、表示領域の左下隅周辺部分(および右上隅周辺部分)に溜まりやすい傾向にあるイオン性不純物の濃度に偏りがあると、例えばイオン性不純物濃度の高い部分の反射率が、イオン性不純物の濃度が低い部分よりも低下する、いわゆる角シミによる表示品位の低下を招く。
【0039】
これに対して、本実施形態に係る液晶パネル100によれば、表示画素の階調値とダミー画素の階調値とが異なる場合には、非有効領域は、表示画素の階調値とダミー画素の階調値との間の階調値を有している。例えば、前白表示の場合において、表示画素の反射率を100%、非有効画素の反射率を40%に設定したときは、表示画素の電圧は5.0Vであり、非有効画素の電圧は3.1Vである(図6の電圧−反射率特性による)。別の例で、映像表示の場合において、表示画素の反射率を(平均値で)70%、非有効画素の反射率を3%に設定したときは、表示画素の電圧は平均で3.6Vであり、非有効画素の電圧は2.1Vである。これにより、表示領域の左下隅部分(右上隅部分)における電位障壁が低くなり(電位差が小さくなり)、図10の構成と比較してイオン性不純物が溜まりにくくなる。すなわち、図10の構成と比較すると角シミが発生しにくくなり、表示品位が向上する。特に、反射型の液晶パネルにおいては、反射率がほぼゼロの材料を用いることが困難であり、透過型の液晶パネルで用いられるような遮光膜(ブラックマトリクス)を形成することができない。そのため、液晶の光学状態の変化を用いて、ダミー領域における遮光が行われる。したがって、ダミー領域と表示領域とで電位差が生じやすいという問題がある。電気光学装置1によれば、反射型の電気光学装置においても、表示品位の低下を抑制することができる。
【0040】
3.他の実施形態
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち、2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0041】
全黒表示、全白表示、および映像表示のうちどの表示が行われているか判断する方法および判断を行う主体は、実施形態で説明したものに限定されない。実施形態においては、制御回路2が、上位装置から出力される信号に基づいて判断を行う例を説明した。別の例で、制御回路2が、メモリー3に記憶されている映像データDaに基づいて判断を行ってもよい。この場合、制御回路2は、メモリー3から映像データDaを読み出し、映像データDaが示す階調値の時間平均を算出する。制御回路2は、階調値の時間平均に応じて、全黒表示、全白表示、および映像表示のうちどの表示が行われているか判断する。別の例で、電気光学装置1の上位装置、例えばCPU(Central Processing Unit)が、この判断を行ってもよい。この場合、CPUは、判断結果に応じて、非有効領域の階調値のデータをメモリー3に書き込む。
【0042】
全黒表示、全白表示、および映像表示における各画素群の相対階調は、実施形態で説明したものに限定されない。例えば、全黒表示時の相対階調は90%、実施形態で例示した階調値と異なっていてもよい。また、このとき、全ての画素の相対階調が等しく90%である必要はなく、画素全体の平均値として、階調値が90%であってもよい。
【0043】
電気光学装置1の構成は、図1に例示したものに限定されない。図1に例示した電気光学装置1の構成要素のうちの一部が省略されてもよい。例えば、液晶パネル100は、周辺電極駆動回路150を有していなくてもよい。この場合、制御回路2が、周辺電極51に信号を供給してもよい。別の例で、素子基板101は、Si(シリコン)等の光透過性を有さない材料で形成された基板の上にスイッチング素子や配線層が形成されたものであってもよい。さらに別の例で、周辺電極51の構造は、図4に例示したものに限定されない。周辺電極51は、画素電極118と同じ形状およびサイズの電極を有していなくてもよい。例えば、周辺電極51は、画素に区分されていない、ダミー領域の全面に均一なベタ電極であってもよい。また、非有効領域およびダミー領域の大きさは、実施形態で説明したものに限定されない。実施形態では、非有効領域が3画素分の大きさを有している例を説明したが、これより大きくても小さくてもよい。ダミー領域についても同様である。
【0044】
図11は、プロジェクター2100の構成を示す図である。プロジェクター2100は、電気光学装置1を用いた電子機器の一例である。プロジェクター2100は、ランプユニット2102と、3枚のミラー2106と、2枚のダイクロイックミラー2108と、ダイクロイックプリズム2112と、リレーレンズ系2121とを有する。リレーレンズ系2121は、入射レンズ2122と、リレーレンズ2123と、出射レンズ2124と、ライトバルブ100Rと、ライトバルブ100Gと、ライトバルブ100Bとを有する。ランプユニット2102は、ハロゲンランプ等の白色光源を有する。ランプユニット2102から出力された光は、3枚のミラー2106と2枚のダイクロイックミラー2108によって、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3原色に分離される。分離された光は、それぞれ、ライトバルブ100R、100G、および100Bに導かれる。青色の光は、他の色と比較すると光路が長いので、その損失を防ぐために、リレーレンズ系を介して導かれる。
【0045】
プロジェクター2100において、実施形態で説明した電気光学装置1が、赤色、緑色、青色のそれぞれに対応して、計3組設けられている。これらの電気光学装置1には、赤色、緑色、青色のそれぞれに対応する映像データが、上位回路から供給される。ライトバルブ100R、100G、および100Bは、実施形態で説明した液晶パネル100と同様の構成を有しており、それぞれ、赤色、緑色、および青色に対応するデータ信号によって駆動される。ライトバルブ100R、100G、および100Bで変調された光は、ダイクロイックプリズム2112に3方向から入射する。そして、ダイクロイックプリズム2112において、赤色および青色の光は90°屈折し、緑色の光は直進する。各色の画像は合成され、スクリーン2120には、投射レンズ2114によってカラー画像が投射される。なお、ライトバルブ100Rおよび100Bの透過像はダイクロイックプリズム2112により反射された後で投射されるのに対し、ライトバルブ100Gの透過像はそのまま投射されるので、ライトバルブ100Rおよび100Bによる水平走査方向は、ライトバルブ100Gによる水平走査方向と逆向きにして、左右を反転させた像を形成する構成となっている。なお、電子機器は、図11で説明したプロジェクターの他、電子ビューファインダーや、リヤ・プロジェクション型のテレビジョン受像器、ヘッドマウントディスプレイなどであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…電気光学装置、2…制御回路、3…メモリー、4…D/A変換回路、51…周辺電極、72…共通電位線、90…シール材、100…液晶パネル、101…素子基板、102…対向基板、105…液晶、107…端子、108…コモン電極、110…画素、112…走査線、114…データ線、116…TFT、118…画素電極、120…液晶素子、125…補助容量、130…走査線駆動回路、140…データ線駆動回路、142…サンプリング信号出力回路、144…TFT、146…信号線、150…周辺電極駆動回路、2100…プロジェクター、2102…ランプユニット、2106…ミラー、2108…ダイクロイックミラー、2112…ダイクロイックプリズム、2114…投射レンズ、2120…スクリーン、2121…リレーレンズ系、2122…入射レンズ、2123…リレーレンズ、2124…出射レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された電気光学層と、
前記第1基板上において前記電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域に属する第1電極群と、
前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第1領域の外周に沿って、前記第1領域の外側に設けられた第2領域に属する第2電極群と、
前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第2領域に対して前記第1領域と反対側に設けられた第3領域に属する第3電極群と
を有する電気光学装置の駆動方法であって、
前記第1電極群に第1階調に相当する信号が供給され、前記第3電極群に前記第1階調よりも低い第2階調に相当する信号が供給されるとき、前記第2電極群に前記第1階調よりも低く前記第2階調よりも高い第3階調に相当する信号が供給される
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項2】
前記第1領域に表示される画像が動画であり、
前記第2階調は、相対階調で0%であり、
前記第3階調は、相対階調で0%以上7%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項3】
前記第1階調は、相対階調で100%であり、
前記第2階調は、相対階調で0%であり、
前記第3階調は、相対階調で7%以上70%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項4】
前記第1電極群および前記第3電極群に前記第1階調に相当する信号が供給されるとき、前記第2電極群に前記第1階調に相当する信号が供給される
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項5】
第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された電気光学層と、
前記第1基板上において前記電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域に属する第1電極群と、
前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第1領域の外周に沿って、前記第1領域の外側に設けられた第2領域に属する第2電極群と、
前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第2領域に対して前記第1領域と反対側に設けられた第3領域に属する第3電極群と、
前記第1電極群に第1階調に相当する信号を供給し、前記第3電極群に前記第1階調よりも低い第2階調に相当する信号を供給するとき、前記第2電極群に前記第1階調よりも低く前記第2階調よりも高い第3階調に相当する信号を供給する電極駆動回路と、
を有する電気光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学装置を有する電子機器。
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された電気光学層と、
前記第1基板上において前記電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域に属する第1電極群と、
前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第1領域の外周に沿って、前記第1領域の外側に設けられた第2領域に属する第2電極群と、
前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第2領域に対して前記第1領域と反対側に設けられた第3領域に属する第3電極群と
を有する電気光学装置の駆動方法であって、
前記第1電極群に第1階調に相当する信号が供給され、前記第3電極群に前記第1階調よりも低い第2階調に相当する信号が供給されるとき、前記第2電極群に前記第1階調よりも低く前記第2階調よりも高い第3階調に相当する信号が供給される
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項2】
前記第1領域に表示される画像が動画であり、
前記第2階調は、相対階調で0%であり、
前記第3階調は、相対階調で0%以上7%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項3】
前記第1階調は、相対階調で100%であり、
前記第2階調は、相対階調で0%であり、
前記第3階調は、相対階調で7%以上70%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項4】
前記第1電極群および前記第3電極群に前記第1階調に相当する信号が供給されるとき、前記第2電極群に前記第1階調に相当する信号が供給される
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項5】
第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された電気光学層と、
前記第1基板上において前記電気光学層側の面に設けられ、画像が表示される領域である第1領域に属する第1電極群と、
前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第1領域の外周に沿って、前記第1領域の外側に設けられた第2領域に属する第2電極群と、
前記第1基板上において前記面に設けられ、前記第2領域に対して前記第1領域と反対側に設けられた第3領域に属する第3電極群と、
前記第1電極群に第1階調に相当する信号を供給し、前記第3電極群に前記第1階調よりも低い第2階調に相当する信号を供給するとき、前記第2電極群に前記第1階調よりも低く前記第2階調よりも高い第3階調に相当する信号を供給する電極駆動回路と、
を有する電気光学装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気光学装置を有する電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−226251(P2012−226251A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95997(P2011−95997)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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