説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】カイラル剤の添加量を少なくして駆動電圧を低減させると共に、温度変化によるコントラストの低下を防止した電気光学装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】液晶層13は、電界の非印加時において光学的に等方性を示すと共に電界の印加時において電界強度に応じた光学異方性を示し、さらに一の回転方向を有する円偏光を選択反射する特性を有し、偏光部14を透過した光は、前記円偏光とは回転方向が逆の円偏光である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カー効果による電子分極を利用した電気光学装置が知られている。カー効果とは、電界を印加したときに電界の方向を軸として電界強度の2乗に比例する大きさの光学異方性を示す現象である。このようなカー効果を示す電気光学物質として、例えばブルー相と呼ばれる液晶材料が知られている。ブルー相を液晶層として用いた液晶装置は、応答速度が速いことで知られている。ブルー相は、電界が印加されていない状態で光学等方性を示し、所定の温度範囲にあるときに印加した電界強度の2乗に比例する光学異方性を示す。
【0003】
ここで、ブルー相を示す液晶材料は、液晶層に向けて進行する円偏光であってその回転方向が液晶材料の螺旋の旋回方向と同じ回転方向である円偏光を選択的に反射する(選択反射)。選択反射される光の波長は、液晶材料における螺旋ピッチと平均屈折率とに依存する。したがって、選択反射される光の波長が可視光である場合には、液晶層と透過する光が液晶層によって呈色する。
【0004】
ところで、液晶層には、ブルー相の発現や擬似等方相における散乱特性の改善を目的として、カイラル剤が添加されている。カイラル剤の添加量が所定の量を超え螺旋ピッチが短く(500nm以下)なるとブルー相が発現する。また、カイラル剤の添加量を多くするほど、選択反射される光の波長が短くなる。
【特許文献1】特開2000−275605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の液晶装置においても、以下の課題が残されている。すなわち、選択反射の波長を可視光領域よりも短波長側とするためにカイラル剤の添加量を多くすると、カイラル剤が析出するという問題がある。また、コレステリックブルー相の飽和電圧が高電圧側に変化するため、コレステリックブルー相を駆動させるためにより高い電界強度を要するという問題がある。さらに、選択反射の波長を可視光領域よりも短波長側としても、温度変化により選択反射の波長が可視光領域にシフトしてコントラストが低下する場合があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明にかかる電気光学装置は、第1基板と第2基板との間に電気光学物質層を挟持し、前記第1基板の外面に照明光を照射する照明手段と、前記第1基板の外面に設けられた偏光手段と、を備えた電気光学装置であって、前記電気光学物質層は、電界の非印加時において光学的に等方性を示すと共に電界の印加時において電界強度に応じた光学異方性を示し、さらに一の回転方向を有する円偏光を選択反射する特性を有し、前記偏光手段を透過した光は、前記円偏光とは回転方向が逆の円偏光であることを特徴とする。
【0008】
この発明では、偏光手段を透過した円偏光を、電気光学物質層が選択反射しない回転方向を有する円偏光とすることで、カイラル剤の添加量にかかわらず選択反射を防止できる。したがって、駆動電圧の低減と、温度変化によるコントラストの低減防止とが図れる。
すなわち、偏光手段を透過した円偏光は、電気光学物質層によって選択反射されない回転方向を有する円偏光である。このため、電気光学物質層に選択反射されずに入射する。そして、電気光学物質層に入射した光は、電気光学物質層で適宜のリタデーション量が付与され、電気光学物質層から射出する。
このとき、電気光学物質層に入射する円偏光の回転方向は電気光学物質層によって選択反射されない回転方向であるため、本発明においては選択反射そのものが起こらない。したがって、本発明による電気光学装置の表示特性は電気光学物質層が有している選択反射の波長領域に依存しないため、従来のように選択反射の波長を可視光帯域から可視光帯域外にずらすためにカイラル剤を過剰に添加する必要がなくなる。これにより、カイラル剤の析出や、駆動電圧の上昇を防止できる。また、電気光学物質層の材料設計が容易になる。そして、入射した円偏光が電気光学物質層によって選択反射されないため、温度変化により選択反射される波長が可視光帯域にシフトしてコントラストが低下することもない。
【0009】
また、本発明における電気光学装置は、前記電気光学物質が、電界強度の2乗に比例する光学異方性を示すことが好ましい。
この発明では、電界強度の2乗に比例して光学異方性を示すため、駆動電圧の低減が図れる。
【0010】
また、本発明における電気光学装置は、前記電気光学物質が、コレステリックブルー相を含むこととしてもよい。
この発明では、電界の非印加時において光学的に等方性を示し、電界の印加時において電界強度の2乗に比例する光学異方性を示すコレステリックブルー相を用いる。
【0011】
また、本発明における電気光学装置は、前記電気光学物質が、擬似等方相、スメティックブルー相、キュービック相、スメティックD相及びミセル相のうち少なくとも1つを含むこととしてもよい。
この発明では、電界の非印加時において光学的に等方性を示し、電界の印加時において電界強度の2乗に比例する光学異方性を示す擬似等方相、スメティックブルー相、キュービック相、スメティックD相及びミセル相を用いる。
【0012】
また、本発明における電気光学装置は、前記第1基板が、前記電気光学物質層に電界を印加する一対の電極を有することとしてもよい。
この発明では、第1基板に設けられた一対の電極間に電圧を印加することによって発生した電界により、電気光学物質に電界強度に応じた光学異方性を発生させる。
【0013】
また、本発明における電子機器は、上記記載の電気光学装置を備えることを特徴とする。
この発明では、上述と同様に、駆動電圧の低減と、温度変化によるコントラストの低減防止とが図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明における液晶装置の一実施形態を、図面を用いて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。ここで、図1は電気光学装置を示す概略斜視図、図2は図1の等価回路図、図3(a)は画素領域示す平面図、図3(b)は図3(a)のA−A矢視断面図である。
【0015】
〔液晶装置〕
本実施形態における液晶装置(電気光学装置)1は、図1に示すように、素子基板(第1基板)11及び対向基板(第2基板)12と、素子基板11及び対向基板12の間に挟持された液晶層13とを備えている。また、液晶装置1は、素子基板11及び対向基板12が対向する対向領域の外周部に設けられた枠状のシール材(図示略)によって素子基板11と対向基板12とを貼り合わせている。そして、液晶装置1におけるシール材の内側に、画像表示領域が形成されている。
【0016】
また、液晶装置1は、素子基板11の外面側(液晶層13から離間する側)に設けられた偏光部(偏光手段)14と、対向基板12の外面側に設けられた偏光部15とを備えている。さらに、液晶装置1は、素子基板11の外面側に設けられて素子基板11の外面に向けて照明光を照射する照明手段16を備えている。
そして、液晶装置1は、素子基板11に設けられたICチップなどの半導体装置であるデータ線駆動回路17及び走査線駆動回路18を備えている。
【0017】
液晶装置1の画像表示領域には、図2に示すように、複数の画素領域がマトリックス状に配置されている。複数の画素領域それぞれは、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色光を出力する3個のサブ画素領域を有している。
この複数のサブ画素領域それぞれには、画素電極(一方の電極)21及び後述する共通電極(他方の電極)43と、画素電極21をスイッチング制御するためのTFT素子22とが形成されている。また、画像表示領域には、複数のデータ線23、走査線24及び共通線25が格子状に配置されている。
【0018】
TFT素子22は、ソースがデータ線23に接続され、ゲートが走査線24に接続されると共に、ドレインが画素電極21に接続されている。
データ線23は、データ線駆動回路17から画像信号S1〜Snがサブ画素領域それぞれに供給される構成となっている。また、走査線24は、走査線駆動回路18から走査信号G1〜Gmがサブ画素領域それぞれに供給される構成となっている。そして、共通線25は、各サブ画素領域に設けられた共通電極43同士を接続する構成となっている。
【0019】
次に、液晶装置1の詳細な構成について説明する。ここで、平面視でほぼ矩形状のサブ画素領域において短軸方向をX軸方向、長軸方向をY軸方向とする。
素子基板11は、図3(b)に示すように、例えばガラスや石英などの透光性材料からなる基板本体31と、基板本体31の内側(液晶層13側)から順に積層されたゲート絶縁膜32、層間絶縁膜33及び配向膜34とを備えている。
また、素子基板11は、基板本体31の内側の表面に配置された走査線24と、ゲート絶縁膜32の内側の表面に配置されたデータ線23(図3(a)に示す)、半導体層41及びドレイン電極42と、層間絶縁膜33の内側の表面に配置された画素電極21、共通電極43及び共通線25とを備えている。
【0020】
ゲート絶縁膜32は、例えばSiO(酸化シリコン)などの透光性材料で形成されており、基板本体31上に形成された走査線24を覆っている。
層間絶縁膜33は、例えば感光性のアクリル樹脂などの透光性材料で形成されており、ゲート絶縁膜32上に形成されたデータ線23、半導体層41及びドレイン電極42を覆っている。
配向膜34は、例えばポリイミドなどの樹脂材料で形成されており、層間絶縁膜33上に形成された画素電極21、共通電極43及び共通線25を覆っている。また、配向膜34の表面には、液晶層13を構成する液晶材料の電圧印加時における配向を補助的に規制するラビング処理が施されている。ここで、ラビング方向は、画素電極21及び共通電極43の間で発生する電界方向であるサブ画素領域の短軸方向(図3(a)に示すX方向)となっている。すなわち、配向膜34のラビング方向は、後述する枝状部21b、43bの配列方向とほぼ同方向となっている。
【0021】
走査線24は、図3(a)に示すように、平面視でサブ画素領域の短軸方向(X方向)に沿って配置されている。そして、走査線24は、図3(a)及び図3(b)に示すように、平面視においてゲート絶縁膜32を介して半導体層41のチャネル領域と重なっている。
データ線23は、図3(a)に示すように、平面視でサブ画素領域の長軸方向(Y方向)に沿って配置されている。そして、データ線23には、半導体層41のソース領域と重なる分岐部23aが設けられている。
半導体層41は、図3(a)及び図3(b)に示すように、アモルファスシリコンなどの半導体で形成されており、不純物を注入しないことで形成されたチャネル領域と不純物を注入することで形成されたソース領域及びドレイン領域と有している。
ドレイン電極42は、図3(b)に示すように、一部が半導体層41のドレイン領域を覆っている。
【0022】
画素電極21は、図3(a)及び図3(b)に示すように、例えばITOなどの透光性導電材料で形成されており、平面視でほぼ櫛歯形状となっている。そして、画素電極21は、平面視で直線状の本線部21aと、本線部21aから分岐して設けられた複数(図3(a)では3本)の枝状部21bとを備えている。
本線部21aは、図3(a)に示すように、平面視において走査線24に近接してサブ画素領域の短軸方向(X方向)に沿って配置されている。そして、本線部21aには、層間絶縁膜33を貫通するコンタクトホールHを介してドレイン電極42に接続される分岐部が設けられている。これにより、画素電極21は、半導体層41のドレイン領域と接続される。
枝状部21bは、平面視においてサブ画素領域の長軸方向(Y方向)に沿って互いに平行となるように配置されている。
【0023】
共通電極43は、画素電極21と同様に例えばITOなどの透光性導電材料で形成されており、平面視でほぼ櫛歯形状となっている。そして、共通電極43は、平面視で直線状の本線部43aと、本線部43aから分岐して設けられた複数(図3(a)では2本)の枝状部43bとを備えている。
本線部43aは、平面視において本線部21aよりも走査線24から離間してサブ画素領域の短軸方向(X方向)に沿って配置されている。そして、本線部43aには、共通線25に接続される分岐部が設けられている。
枝状部43bは、平面視においてサブ画素領域の長軸方向(Y方向)に沿って互いに平行となるように配置されている。したがって、枝状部21b、43bは、互いに平行となるように配置されている。そして、枝状部43bは、隣り合う2つの本線部21aの間に配置されている。したがって、サブ画素領域の短軸方向に沿って枝状部21bと枝状部43bとが交互に配置されることとなる。
【0024】
ここで、枝状部21bとこれと隣り合う枝状部43bとの間隔は、赤を表示するサブ画素領域、緑を表示するサブ画素領域、青を表示するサブ画素領域の順で広くなっている。すなわち、サブ画素領域で表示される色の波長が短いほど、枝状部21bとこれと隣り合う枝状部43bとの間隔が広くなっている。これは、液晶層13において液晶層13に入射した光に付与されるリタデーション量が、光の波長が短いほど大きくなるためである。なお、液晶層13において液晶層13に入射した光に付与されるリタデーション量は、液晶層13における電界強度の2乗に比例する。
そこで、サブ画素領域で表示される色の波長が短いほど枝状部21bとこれと隣り合う枝状部43bとの間隔を広くし、画素電極21及び共通電極43の間で発生する電界強度を小さくすることにより、各色のサブ画素領域の間で液晶層13に入射した光に付与されるリタデーション量を揃えることができる。
【0025】
一方、対向基板12は、図3(b)に示すように、例えばガラスや石英などの透光性材料からなる基板本体51と、基板本体51の内側の表面に順次積層された遮光膜52、カラーフィルタ層53及び配向膜54とを備えている。
遮光膜52は、基板本体51の表面において平面視でサブ画素領域の縁部と重なる領域に形成されており、サブ画素領域を縁取っている。
カラーフィルタ層53は、各サブ画素領域に対応して配置されており、例えばアクリル樹脂などで形成されて、各サブ画素領域で表示する色に対応する色材を含有している。
配向膜54は、配向膜34と同様に、例えばポリイミドなどの樹脂材料で形成されており、カラーフィルタ層53及び遮光膜52を覆っている。また、配向膜54の表面には、ラビング処理が施されている。ラビング方向は、上述と同様に、サブ画素領域の短軸方向(図3(a)に示すX方向)となっている。
【0026】
偏光部14は、一方向の直線偏光を透過させる偏光板14aと、偏光板14aよりも素子基板11に近接して設けられた1/4波長板14bとを備えている。これにより、偏光部14の外面から入射した光は、一の回転方向を有する円偏光となる。
また、偏光部15は、偏光部14と同様に、一方向の直線偏光を透過させる偏光板15aと、偏光板15aよりも対向基板12に近接して設けられた1/4波長板15bとを備えている。ここで、偏光部15は、偏光部15の内面から入射した一の回転方向を有する円偏光を1/4波長板15bにおいて偏光板15aの透過軸と直交する直線偏光に変換して偏光板15aを透過させない構成となっている。
【0027】
液晶層13は、電界の印加時において電界強度の2乗に比例する光学異方性を示す(カー効果を示す)液晶材料で形成されている。このような液晶材料として、例えばコレステリックブルー相を示す液晶材料などが挙げられる。なお、液晶層13における液晶分子の誘電率は、正(ε>0)となっている。このような液晶材料では、下記の式1に示すように、リタデーション量Δnが電界Eの2乗に比例する。ここで、式1において、Kはカー係数、λは光の波長を示している。
【0028】
【数1】

【0029】
コレステリックブルー相を示す液晶材料は、電界の非印加時において光学的におおむね等方性を示す。そして、コレステリックブルー相を示す液晶材料は、電界印加により液晶分子が電界方向に沿って配向しようとするため、配向秩序が変化して光学異方性を発現する。なお、コレステリックブルー相を示す液晶材料は、上述したように、液晶材料における螺旋ピッチと平均屈折率とに応じた波長の光を選択的に反射する(選択反射)。ここで、液晶層13は、液晶層13に入射する円偏光のうち液晶材料における螺旋の旋回方向と同じ回転方向の円偏光を選択反射する。すなわち、液晶材料の捩れ方向が右回りであれば、液晶材料の螺旋ピッチと平均屈折率とによって決まる波長の右回りの円偏光を選択反射する。このとき、液晶層13は、左回りの円偏光を透過させる。
【0030】
また、液晶層13には、擬似等方相における散乱特性やコレステリックブルー相の発現を改善するため、カイラル剤が添加されている。上述したように、カイラル剤の添加量を多くするほど、コレステリックブルー相を発現しやすくなると共に、液晶材料の螺旋ピッチが短くなる。したがって、カイラル剤の添加量を多くするほど、選択反射される光の波長が短くなる。
なお、液晶層13では、選択反射される光の波長のピークが例えば450nmであって可視光の範囲となっている。
【0031】
〔液晶装置の動作〕
次に、上述した液晶装置1の動作について説明する。
素子基板11の外面に向かう照明光は、偏光部14により円偏光に変換されて液晶層13に入射する。ここで、入射する円偏光の回転方向は、液晶層13が選択反射する円偏光の回転方向と逆方向となっている。そのため、液晶層13に入射する円偏光は、液晶層13が選択反射する光の波長が可視光の範囲内であっても、液晶層13において選択反射されることなく液晶層13に入射する。
【0032】
そして、液晶層13に入射した円偏光は、画素電極21及び共通電極43間に電圧を印加していない状態において液晶層13が光学的に等方性を示すため、偏光状態が変化することなく円偏光のまま液晶層13から射出する。そして、射出した円偏光は、1/4波長板15bにより偏光板15aの透過軸と直交する直線偏光に変換されるため、偏光部15によって吸収される。したがって、液晶装置1は、画素電極21及び共通電極43間に電圧を印加しない状態において黒表示となる(ノーマリブラック)。
一方、液晶層13に入射した円偏光は、画素電極21及び共通電極43間に電圧を印加する状態において液晶層13が光学的に異方性を示すため、楕円偏光に変換され、偏光部15を透過する。したがって、液晶装置1は、画素電極21及び共通電極43間に電圧を印加した状態において白表示となる。このとき、素子基板11及び対向基板12それぞれに配向膜34、54を設けることで、画素電極21及び共通電極43間に電圧を印加したときに液晶層13を構成する液晶材料を容易に電界方向に沿って配向させることができる。
【0033】
〔電子機器〕
そして、上述した液晶装置1は、例えば図4に示すような携帯電話機(電子機器)100の表示部101として用いられる。ここで、図4は、携帯電話機を示す斜視図である。
この携帯電話機100は、表示部101、複数の操作ボタン102、受話口103、送話口104及び上記表示部101を有する本体部を備えている。
【0034】
以上のような構成の液晶装置1及び携帯電話機100によれば、偏光部14を透過した円偏光の回転方向を、液晶層13が選択反射する円偏光の回転方向と逆方向とすることで、カイラル剤の添加量を多くすることなく選択反射を防止できる。したがって、駆動電圧の低減と、温度変化によるコントラストの低減防止とが図れる。ここで、液晶層13を構成する液晶材料が電界強度の2乗に比例して光学異方性を示すため、さらに駆動電圧の低減が図れる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、液晶層を構成する液晶材料は、コレステリックブルー相を示す液晶材料に限らず、擬似等方相、スメティックブルー相、キュービック相、スメティックD相及びミセル相のうち少なくとも1つを含む液晶材料を用いてもよい。
また、電気光学物質層は、電界の非印加時において光学的に等方性を示すと共に電界の印加時において電界強度に応じた光学異方性を示す電気光学物質で形成されていれば、電界強度の2乗に比例する光学異方性を示すようなカー効果を示す電気光学物質に限られない。
そして、素子基板及び対向基板それぞれに配向膜を形成しているが、電界の印加時において液晶材料を配向できれば、いずれか一方のみに配向膜を形成した構成としてもよく、双方に配向膜を形成しない構成としてもよい。
【0036】
また、液晶装置を備える電子機器としては、携帯電話機に限らず、プロジェクタなどの投射表示装置であってもよい。この投射表示装置は、例えば超高圧水銀ランプで構成される照明装置から照射された光を光学系によって素子基板、対向基板及び液晶層からなる液晶パネルに導光させる構成となっている。そして、投射表示装置は、液晶パネルを透過した光をスクリーンなどに投射する構成となっている。このとき、対向基板には、液晶パネルの外部にカラーフィルタが別途設けられているため、上述した実施形態における対向基板の構成のようにカラーフィルタ層が設けられていない。
そして、液晶装置を備える電子機器としては、上述した携帯電話機や投射型表示装置に限らず、PDA(携帯情報端末機)やハンディターミナル、電子ブック、ノート型パーソナルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末など、種々の電子機器であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の液晶装置を示す概略斜視図である。
【図2】図1の等価回路図である。
【図3】サブ画素領域を示す(a)平面図及び(b)断面図である。
【図4】液晶装置を備える携帯電話機を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 液晶装置、11 素子基板(第1基板)、12 対向基板(第2基板)、13 液晶層(電気光学物質層)、14 偏光部(偏光手段)、16 照明手段、21 画素電極(一方の電極)、43 共通電極(他方の電極)、100 携帯電話機(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と第2基板との間に電気光学物質層を挟持し、
前記第1基板の外面に照明光を照射する照明手段と、
前記第1基板の外面に設けられた偏光手段と、を備えた電気光学装置であって、
前記電気光学物質層は、電界の非印加時において光学的に等方性を示すと共に電界の印加時において電界強度に応じた光学異方性を示し、さらに一の回転方向を有する円偏光を選択反射する特性を有し、
前記偏光手段を透過した光は、前記円偏光とは回転方向が逆の円偏光であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記電気光学物質が、電界強度の2乗に比例する光学異方性を示すことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記電気光学物質が、コレステリックブルー相を含むことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記電気光学物質が、擬似等方相、スメティックブルー相、キュービック相、スメティックD相及びミセル相のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1基板が、前記電気光学物質層に電界を印加する一対の電極を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−104061(P2009−104061A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277758(P2007−277758)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】