説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】例えば、フロントライトから出射されや光を液晶装置等の電気光学パネルで変調し、複数の画素相互において均一な輝度で画像を表示する。
【解決手段】開口部(PA)及び開口部(PB)の夫々のサイズは、開口部(PA)を介して液晶パネル(100)に出射される第1出射光の光量と、開口部(PB)を介して液晶パネル(100)に出射される第2出射光の光量とが相互に等しくなるように設定されている。より具体的には、第1接続経路部(270A)の電気抵抗が、第2接続経路部(270B)の電気抵抗より大きいため、開口部(PA)のサイズは、開口部(PB)のサイズより大きく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フロントライト等の照明装置から出射された光を液晶装置等の電気光学パネルで変調することによって画像を表示する電気光学装置、及びそのような電気光学装置を具備してなる携帯電話等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置では、発光ダイオード等の複数の発光素子がマトリクス状に配列されたフロントライトから液晶装置等の電気光学パネルに光が出射される。発光素子は、フロントライトに設けられた端子部と、当該端子部に電気的に接続された配線部とを介して供給された電源によって駆動される。特許文献1は、フロントライトから出射される光の光取り出し効率を高めることが可能な技術の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−77865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の発光素子の夫々と、端子部との間の電気抵抗は、複数の発光素子の夫々の位置によって相互に異なるため、複数の発光素子の夫々に流れる電流が相互に異なる。より具体的には、複数の発光素子の夫々に共通の端子部と、当該複数の発光素子の夫々とを電気的に接続する配線部の電気抵抗は、端子部及び発光素子間の距離によって相互に異なるため、配線部の電気抵抗の違いが、各発光素子に流れる電流の違いとなってあらわれる。このため、複数の発光素子の夫々から出射される光の光量を相互に揃えることが困難であり、フロントライト及び液晶装置を含む表示装置の複数の画素相互で輝度を揃えることが困難になる技術的問題点がある。
【0005】
加えて、複数の発光素子の夫々と、端子部とを相互に電気的に接続する配線部は、発光素子から出射された光を遮らないようにITO等の透明導電材料で構成される。このような透明導電材料は、アルミニウム或いは銅等の不透明な導電材料に比べて、相対的に電気抵抗が大きいため、複数の発光素子の夫々と、これら発光素子に共通の端子部との間の電気抵抗の相違はより一層顕著となり、複数の発光素子相互で光量を相互に揃えることがより一層困難になる。
【0006】
よって、本発明は上記問題点等に鑑みてなされたものであり、例えば、フロントライトから出射されや光を液晶装置等の電気光学パネルで変調し、複数の画素相互において均一な輝度で画像を表示可能な電気光学装置、及びそのような電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、(i)基板と、(ii)前記基板上に形成されており、電源の陽極及び陰極のうち一方の極に電気的に接続された第1端子部と、(iii)前記基板上に形成されており、前記陽極及び前記陰極の他方の極に電気的に接続された第2端子部と、(iv)前記基板上に形成された第1発光素子と、(v)前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と前記第1発光素子とを電気的に接続する第1接続経路部と、(vi)前記基板上において前記第1発光素子の位置と相互に異なる位置に形成された第2発光素子と、(vii)前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と前記第2発光素子とを電気的に接続しており、前記第1接続経路部の電気抵抗と異なる電気抵抗を有する第2接続経路部と、(viii)前記第1発光素子に重なっており、前記第1発光素子から出射された第1出射光を透過可能な第1開口部と、(ix)前記第2発光素子に重なっており、前記第2発光素子から出射された第2出射光を透過可能な第2開口部とを有する照明装置と、(i)前記第1出射光及び前記第2出射光を変調する光学層と、(ii)前記第1開口部及び前記第2開口部の夫々に各々が重なっており、前記変調された第1出射光及び第2出射光の夫々を、前記照明装置側に反射する第1反射電極及び第2反射電極とを有する電気光学パネルとを備え、前記第1開口部及び第2開口部の夫々のサイズは、前記第1出射光の光量と、前記第2出射光の光量とが相互に等しくなるように設定されており、前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々のサイズは、前記変調された第1出射光及び第2出射光のうち前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々によって反射された第1反射光及び第2反射光の夫々の光量が相互に等しくなるように設定されている。
【0008】
本発明に係る電気光学装置によれば、照明装置は、電気光学パネルに第1出射光及び第2出射光を出射する光源として機能すると共に、電気光学パネルで反射された第1反射光及び第2反射光を透過させる。当該透過した光によって画像が表示される。
【0009】
第1端子部は、基板上に形成されており、電源の陽極及び陰極のうち一方の極に電気的に接続されている。第1端子部は、例えば、矩形状の平面形状を有する基板の一辺に沿った中心部に配置されたり、或いは、当該一辺に沿って対称な位置に配置された複数の部分から構成されたりする。
【0010】
第2端子部は、前記基板上に形成されており、前記陽極及び前記陰極の他方の極に電気的に接続されており、第1端子部と同様に、矩形状の平面形状を有する基板の一辺に沿った中心部に配置されたり、或いは、当該一辺に沿って対称な位置に配置された複数の部分から構成されたりする。
【0011】
第1発光素子は、例えば、有機EL素子等の電流駆動型の自発光素子であり、前記基板上に形成されている。
【0012】
第1接続経路部は、前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と前記第1発光素子とを電気的に接続しており、例えば、前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と前記第1発光素子とを電気的に接続する配線部の一部である。
【0013】
第2発光素子は、前記基板上において前記第1発光素子の位置と相互に異なる位置に形成されており、第1発光素子と同様に、例えば、有機EL素子等の電流駆動型の自発光素子である。
【0014】
第2接続経路部は、前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と前記第2発光素子とを電気的に接続しており、前記第1接続経路部の電気抵抗と異なる電気抵抗を有している。第1接続経路部及び第2接続経路部の夫々の電気抵抗が相違する理由は、第1接続経路部及び第2接続経路部が同一配線部のうち相互に異なる部分から構成されている場合、各端子部から第1発光素子及び第2発光素子の夫々までの距離の相違による。加えて、基板上に形成され、且つ第1接続経路部及び第2接続経路部を構成する配線部の平面的なレイアウトも一因となる。
【0015】
第1開口部は、前記第1発光素子に重なっており、前記第1発光素子から出射された第1出射光を透過可能である。このような第1開口部は、第1発光素子のサイズ或いは第1発光素子から出射された光の光量を規制する遮光膜によって規定されている。
【0016】
第2開口部は、前記第2発光素子に重なっており、前記第2発光素子から出射された第2出射光を透過可能である。このような第2開口部は、第1開口部と同様に、第2発光素子のサイズ或いは第2発光素子から出射された光の光量を規制する遮光膜によって規定されている。
【0017】
電気光学パネルは、液晶層等の光学層を備えており、前記第1出射光及び前記第2出射光を変調する。加えて、電気光学パネルは、変調された第1出射光及び第2出射光の夫々を、前記照明装置側に反射する第1反射電極及び第2反射電極とを有している。第1反射電極及び第2反射電極は、前記第1開口部及び前記第2開口部の夫々に各々が重なっている。
【0018】
ここで、第1接続経路部及び第2接続経路部の夫々の電気抵抗の相違に起因して、第1発光素子及び第2発光素子の夫々が発光する発光量が互いに異なるため、各発光素子から電気光学パネルに出射される光の光量が相違し、最終的に表示される画像に輝度ムラが生じてしまう恐れがある。
【0019】
そこで、本発明に係る電気光学装置によれば、前記第1開口部及び第2開口部の夫々のサイズが、前記第1出射光の光量と、前記第2出射光の光量とが相互に等しくなるように設定されており、前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々のサイズが、前記変調された第1出射光及び第2出射光のうち前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々によって反射された第1反射光及び第2反射光の夫々の光量が相互に等しくなるように設定されている。
【0020】
よって、本発明の第1の発明に係る電気光学装置によれば、各端子部から各発光素子までの接続経路部の電気抵抗の相違に起因して生じうる画像の輝度むらを低減でき、高品位の画像表示が可能になる。
【0021】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置の一の態様では、記第1接続経路部の電気抵抗が、前記第2接続経路部の電気抵抗より大きい場合に、前記第1反射電極のサイズは、前記第2反射電極のサイズより大きくてもよい。
【0022】
この態様によれば、電気抵抗の違いを一因として、第1出射光の光量が、第2出射光の光量より低い場合でも、最終的に表示される画像の輝度むらを低減できる。
【0023】
本発明の第2の発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、(i)基板と、(ii)前記基板上に形成されており、電源の陽極及び陰極のうち一方の極に電気的に接続された第1端子部と、(iii)前記基板上に形成されており、前記陽極及び前記陰極の他方の極に電気的に接続された第2端子部と、(iv)前記基板上に形成された第1発光素子と、(v)前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と前記第1発光素子とを電気的に接続する第1接続経路部と、(vi)前記基板上において前記第1発光素子の位置と相互に異なる位置に形成された第2発光素子と、(vii)前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と前記第2発光素子とを電気的に接続しており、前記第1接続経路部の電気抵抗と異なる電気抵抗を有する第2接続経路部と、(viii)前記第1発光素子に重なっており、前記第1発光素子から出射された第1出射光を透過可能な第1開口部と、(ix)前記第2発光素子に重なっており、前記第2発光素子から出射された第2出射光を透過可能な第2開口部とを有する照明装置と、(i)前記第1出射光及び前記第2出射光を変調する光学層と、(ii)前記第1開口部及び前記第2開口部の夫々に各々が重なっており、前記変調された第1出射光及び第2出射光の夫々を、前記照明装置側に反射する第1反射電極及び第2反射電極とを有する電気光学パネルとを備え、前記第1開口部及び第2開口部の夫々のサイズは、前記第1出射光の光量と、前記第2出射光の光量とが相互に等しくなるように設定されており、前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々の光反射率は、前記変調された第1出射光及び第2出射光のうち前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々によって反射された第1反射光及び第2反射光の夫々の光量が相互に等しくなるように設定されている。
【0024】
本発明に係る電気光学装置によれば、前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々の光反射率は、前記変調された第1出射光及び第2出射光のうち前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々によって反射された第1反射光及び第2反射光の夫々の光量が相互に等しくなるように設定されている点で、上述の電気光学装置と相違する。第1反射電極及び第2反射電極の夫々の光反射率は、例えば、光反射率が相互に異なる金属材料を用いて第1反射電極及び第2反射電極を構成したり、第1反射電極及び第2反射電極の夫々の表面に相互に異なる凹凸形状を形成したりすることによって変更できる。
【0025】
よって、本発明に係る電気光学装置によれば、上述の電気光学装置と同様に、各端子部から各発光素子までの接続経路部の電気抵抗の相違に起因して生じうる画像の輝度むらを低減でき、高品位の画像表示が可能になる。
【0026】
本発明の第2の発明に係る電気光学装置の一の態様では、前記第1接続経路部の電気抵抗が、前記第2接続経路部の電気抵抗より大きい場合に、前記第1反射電極の光反射率は、前記第2反射電極の光反射率より大きくてもよい。
【0027】
この態様によれば、電気抵抗の違いを一因として、第1出射光の光量が、第2出射光の光量より低い場合でも、最終的に表示される画像の輝度むらを低減できる。
【0028】
本発明の第1及び第2の発明に係る電気光学装置の他の態様では、記第1接続経路部の電気抵抗が、前記第2接続経路部の電気抵抗より大きい場合に、前記第1開口部のサイズは、前記第2開口部のサイズより大きくてもよい。
【0029】
この態様によれば、電気抵抗の違いを一因として、第1発光素子の発光量が、第2発光素子の発光量より低い場合でも、最終的に表示される画像の輝度むらを低減できる。できる。
【0030】
本発明の第1及び第2の発明に係る電気光学装置の他の態様では、記第1発光素子及び前記第2発光素子の夫々のサイズは相互に等しく、前記第1開口部及び前記第2開口部の夫々のサイズは、遮光部によって規定されていてもよい。
【0031】
この態様によれば、各発光素子に流れる駆動電流を相互に均一にできるため、各発光素子相互の寿命を均一にできる。
【0032】
本発明の第3の発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述の電気光学装置を具備してなる。
【0033】
本発明に係る電子機器によれば、高品位の画像を表示可能な携帯電話、モバイルノードパーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カムコーダ等の電子機器を提供できる。
【0034】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の発明の一実施形態である液晶装置の平面図である。
【図2】図1のII−II´断面図である。
【図3】本発明の第1の発明の一実施形態である液晶装置が備えるフロントライトの概略構造を図式的に示した平面図である。
【図4】本発明の第1の発明の一実施形態である液晶装置が備えるフロントライトの一部の構造を図式的に示した部分平面図である。
【図5】図4のV−V´断面図である。
【図6】本発明の第1の発明の一実施形態である液晶装置が備えるフロントライトの他の部分の構造を図式的に示した部分平面図である。
【図7】本発明の第1の発明の一実施形態である液晶装置の構造を図式的に示した断面図である。
【図8】本発明の第1の発明の一実施形態である液晶装置が備えるフロントライトの変形例の一部の構造を図式的に示した部分平面図である。
【図9】図8のIX−IX´断面図である。
【図10】本発明の第2の発明の一実施形態である液晶装置の構造を図式的に示した断面図である。
【図11】本実施形態に係る電子機器の一例であるコンピュータの斜視図である。
【図12】本実施形態に係る電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら本発明の第1及び第2の夫々に係る電気光学装置の実施形態である液晶装置を説明する。
【0037】
<第1実施形態>
先ず、図1乃至図7を参照しながら、本発明の第1の発明に係る電気光学装置の一実施形態である液晶装置1を説明する。
【0038】
<1−1:液晶装置の全体構成>
図1及び図2を参照しながら、液晶装置1の全体構成を説明する。図1は、液晶装置1が画像を表示する表示面200B側から液晶装置1を見た液晶装置1の平面図である。図2は、図1のII−II´断面図である。
【0039】
図1及び図2において、液晶装置1は、本発明の「照明装置」の一例であるフロントライト200と、本発明の「電気光学パネル」の一例である液晶パネル100と、偏光板60とを備えている。
【0040】
図1及び図2において、フロントライト200は、第1基板210と、本発明の「基板」の一例である第2基板220と、図中下側である第2基板220上に形成された複数の有機EL素子250と、複数の有機EL素子250に対応して設けられた複数の開口部Pと、複数の開口部Pに対応して設けられた複数の透過部Tと、中間層240と、遮光膜264とを備えている。複数の透過部Tの夫々が、画像を表示する表示面200B上の画像表示領域を構成する複数の画素に対応している。
【0041】
透過部Tは、液晶パネル100で反射された光を画像表示面200Bに透過させる。このような複数の透過部Tは、遮光膜264によって規定され、且つ第2基板220の画像表示面にマトリクス状に配列されている。画像表示面200Bにおける画像表示領域を構成する複数の画素は、各透過部Tに対応して規定されている。
【0042】
開口部Pは、出射面200Aに臨んでおり、有機EL素子250で発生した光のうち液晶パネル100に出射される出射光の光量を規定する。開口部Pから液晶パネル100に出射された出射光L1は、反射電極9によって反射される。反射電極9によって反射された反射光L2は、開口部P及び透過部Tを介して画像表示面200Bから出射される。
【0043】
液晶パネル100は、本発明の「電気光学パネル」の一例である。液晶パネル100は、本発明の「光学層」の一例である液晶層50と、TFT等の素子が形成されたTFTアレイ基板10と、配向膜16及び22と、対向電極21と、複数のカラフィルタ24と、接着層25と、対向基板20と、複数の反射電極9とを備えている。
【0044】
液晶装置1の動作時において、複数の反射電極9の夫々には駆動回路を介して画像信号が供給される。複数の反射電極9及び対向電極21間の電位差に応じて、液晶層50に駆動電圧が印加され、液晶層50のうち各反射電極9に対応する部分の配向状態が制御される。フロントライト200が有する複数の有機EL素子250の夫々で発生した光のうち各開口部Pを介して液晶パネル100に出射された出射光L1は、液晶層50に変調された後、複数の反射電極9によって反射される。複数の反射電極9によって反射された反射光L2が開口部P及び透過部Tを介して表示面200Bから図2中上側に向かって出射されることにより、表示面200B側に画像が表示される。
【0045】
<1−2:フロントライトの構成>
次に、図3乃至図5を参照しながら、フロントライトの構成を詳細に説明する。図3は、フロントライト200の概略構造を図式的に示した平面図である。図4は、フロントライト200の一部の構造を図式的に示した部分平面図である。図5は、図4のV−V´断面図である。図6は、フロントライト200の他の部分の構造を図式的に示した部分平面図である。
【0046】
図3において、フロントライト200は、対向基板220上に、複数の有機EL素子250と、本発明の「第1端子部」の一例である陽極端子261Pと、陽極配線261と、本発明の「第2端子部」の一例を構成する2つの陰極端子262Pと、陰極配線262とを備えている。
【0047】
複数の有機EL素子250のうち互いに異なる位置に配置された有機EL素子250A及び250Bの夫々が、本発明の「第1発光素子」及び「第2発光素子」の夫々の一例である。
【0048】
陽極配線261及び陰極配線262の夫々の一部から構成される第1接続経路部270Aは、陽極端子261P及び陰極端子262Pと、有機EL素子250Aとを電気的に接続している。陽極配線261及び陰極配線262の夫々の一部から構成される第2接続経路部270Bは、陽極端子261P及び陰極端子262Pと、有機EL素子250Bとを電気的に接続している。第2接続経路部270Bは、有機EL素子250Bの位置が有機EL素子250Aの位置と異なることに起因して、第1接続経路部270Aの電気抵抗と異なる電気抵抗を有している。特に、陽極配線261及び陰極配線262の夫々が、アルミニウム等の不透明な金属配線に比べて高抵抗なITO等の透明導電材料によって構成されているため、第1接続経路部270A及び第2接続経路部270Bの夫々の電気抵抗の違いが大きくなる。したがって、陽極端子261P及び陰極端子262Pの夫々を介して電源280から有機EL素子250A及び250Bの夫々に相互に等しい電流を供給したとしても、実質的には、第1接続経路部270A及び第2接続経路部270Bの夫々の電気抵抗の違いに起因して、有機EL素子250A及び250Bの夫々の発光量が相互に異なる。しかしながら、後述する液晶装置1に特有の構成により、最終的に画像表示面200Bから表示される画像に生じる輝度むらを低減できる。
【0049】
図4及び図5において、フロントライト200は、第1基板210上に順次形成された下地層281と、絶縁膜282と、ITO等の透明導電材料で各々構成された陽極配線261及び陰極配線262と、絶縁膜283及び284と、接着層285と、遮光膜264と、その上に配置された第2基板220とを備えている。
【0050】
有機EL素子250Aは、コンタクト部265及び陰極263を介して陰極配線262に電気的に接続されている。有機EL素子250Aは、陽極配線261に電気的に接続されている。透過部Tは、遮光膜264によって規定されている。
【0051】
図6において、有機EL素子250Bは、有機EL素子250Aと同様に陽極配線261及び陰極配線262に電気的に接続されている。開口部PBは、本発明の「第2開口部」の一例であり、フロントライト200の両面のうち液晶パネル100に臨む表面200Aに臨んでいる。
【0052】
図4乃至図6に示すように、開口部PAは、平面的に見て有機EL素子250Aに重なっており、液晶装置1の動作時に有機EL素子250Aから出射された第1出射光を液晶パネル100に向かって透過する。開口部PBは、有機EL素子250Bに重なっており、有機EL素子250Bから出射された第2出射光を液晶パネル100に向かって透過する。
【0053】
開口部PA及び開口部PBの夫々のサイズは、開口部PAを介して液晶パネル100に出射される第1出射光の光量と、開口部PBを介して液晶パネル100に出射される第2出射光の光量とが相互に等しくなるように設定されている。より具体的には、第1接続経路部270Aの電気抵抗が、第2接続経路部270Bの電気抵抗より大きいため、開口部PAのサイズは、開口部PBのサイズより大きく設定されている。
【0054】
よって、各接続経路部の電気抵抗の違いを一因として、有機EL素子250Aの発光量が、有機EL素子250Bの発光量より低い場合でも、最終的に表示される画像の輝度むらを低減できる。
【0055】
次に、図7を参照しながら、反射電極9を説明する。
【0056】
図7において、複数の反射電極9のうち開口部PAに重なる反射電極9aは、本発明の「第1反射電極」の一例であり、そのサイズは、複数の反射電極9のうち開口部PBに重なり、且つ本発明の「第2反射電極」の一例である反射電極9bのサイズより大きい。
【0057】
したがって、第1接続経路部270A及び第2接続経路部の夫々の電気抵抗の相違に起因して有機EL素子250A及び250Bの夫々の発光量が相違し、開口部PA及びPBの夫々のサイズを調整するだけでは開口部PA及びPBの夫々を介して液晶パネル100に出射される出射光の光量を等しくすることが困難である場合であっても、反射電極9a及び9bの夫々から開口部PA及びPBに向かって反射される反射光の光量を等しくすることが可能である。より具体的には、開口部PAを介して反射電極9aに向かって出射される出射光の光量が、開口部PBを介して反射電極9bに向かって出射される出射光の光量より小さい場合であっても、反射電極9a及び9bのサイズに応じて各反射電極によって反射される反射光の光量を相互に等しくすることができる。
【0058】
よって、液晶装置1によれば、各陽極端子261P及び陰極端子262Pから各有機EL素子250までの接続経路部の電気抵抗の相違に起因して生じうる画像の輝度むらを低減でき、高品位の画像表示が可能になる。
【0059】
<変形例>
次に、図8及び図9を参照しながら、本実施形態に係る液晶装置の変形例を説明する。図8は、本実施形態である液晶装置が備えるフロントライトの変形例の一部の構造を図式的に示した部分平面図である。図9は、図8のIX−IX´断面図である。尚、以下の変形例、及び実施形態の夫々において、上述の液晶装置1と共通する部分に共通の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0060】
本例に係る液晶装置では、フロントライト200が有する複数の有機EL素子250の夫々のサイズが相互に等しく、開口部Pのサイズは、遮光部268によって規定されている。より具体的には、図8及び図9に示すように、開口部PAは、遮光部268によって規定されている。開口部PBも開口部PAと同様に、遮光部268と同層に形成された遮光部によって規定されている。
【0061】
本例に係る液晶装置によれば、複数の有機EL素子250の夫々のサイズを相互に等しくした状態で、開口部PA及びPBから液晶パネル100に向かって出射される出射光の光量を相互に等しくすることができる。よって、本例に係る液晶装置によれば、各有機EL素子250の夫々に流れる駆動電流を相互に均一にできるため、各有機EL素子250の夫々の寿命を相互に均一にすることが可能である。
【0062】
<第2実施形態>
次に、図10を参照しながら、本発明の第2の発明に係る電気光学装置の一実施形態である液晶装置500を説明する。図10は、本発明の第2の発明に係る電気光学装置の実施形態である液晶装置500の構造を図式的に示した断面図である。
【0063】
図10において、本実施形態に係る液晶装置500は、相互に光反射率が異なる反射電極9a1及び9b1を備えている点で、上述の液晶装置1と構成が異なる。より具体的には、液晶装置500の一部を構成する液晶パネル100Aは、開口部PBに比べてサイズが大きい開口部PAに重なり、且つ、反射電極9b1に比べて光反射率が大きい反射電極9a1を備えている。このような反射電極9a1及び9b1によれば、液晶層50によって変調された変調された第1出射光L1A及び第2出射光L1Bのうち、本発明の「第1反射電極」の一例である反射電極9a1、及び、本発明の「第2反射電極」の一例である反射電極9b1の夫々によって反射された第1反射光L2A及び第2反射光L2Bの夫々の光量を相互に等しくすることが可能である。
【0064】
反射電極9a1及び9b1の夫々の光反射率は、例えば、光反射率が相互に異なる金属材料を用いて反射電極9a1及び反射電極9b1を構成したり、反射電極9a1及び9b1の夫々の表面に相互に異なる凹凸形状を形成したりすることによって、第1反射光L2A及び第2反射光L2Bの夫々の光量が相互に等しくなるように設定できる。また、反射電極9a1及び9b1の夫々の電極厚みを相互に異なる厚みに設定したり、電極表面のコーティングを変更したりすることによって、第1反射光L2A及び第2反射光L2Bの夫々の光量を相互に等しくすることも可能である。
【0065】
よって、本実施形態に係る液晶装置500によれば、上述の液晶装置1と同様に、陽極端子261P及び陰極端子262Pから各有機EL素子250までの接続経路部の電気抵抗の相違に起因して生じうる画像の輝度むらを低減でき、高品位の画像表示が可能になる。
【0066】
尚、本実施形態に係る液晶装置500においても、液晶装置1と同様に、最終的に各有機EL素子250に対応した透過部Tから出射される光によって表示される画像に輝度むらが生じないように、各端子及び有機EL素子間の接続経路部の電気抵抗の相違に応じて、開口部Pのサイズを設定しておいてもよいし、反射電極9のサイズを設定しておいてもよい。加えて、第1実施形態に係る液晶装置の変形例と同様に、開口部Pのサイズを遮光部によって規定し、複数の開口部Pのサイズを設定することによって、複数の有機EL素子250夫々の寿命を相互に均一にすることも可能である。
【0067】
<電子機器>
次に、図11及び図12を参照しながら、上述した液晶装置を具備してなる電子機器の実施形態を説明する。
【0068】
図11は、上述した液晶装置が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。図11において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、上述した液晶装置を含んでなる液晶表示ユニット1206とから構成されている。コンピュータ1200は、上述の液晶装置を具備してなるので、輝度むらが低減された高品位の画像を表示可能である。
【0069】
次に、上述した液晶装置を携帯電話に適用した例について説明する。図12は、本実施形態の電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。図12において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、上述の各実施形態に係る液晶装置と同様の構成を有する液晶装置1005を備えている。携帯電話1300によれば、輝度むらが低減された高品位の画像表示が可能である。
【符号の説明】
【0070】
9,9a,9a1,9b,9b1・・・反射電極、P,PA,PB・・・開口部、200・・・フロントライト、100,100A・・・液晶パネル、261・・・陽極配線、262・・・陰極配線、261P・・・陽極端子、262P・・・陰極端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)基板と、(ii)前記基板上に形成されており、電源の陽極及び陰極のうち一方の極に電気的に接続された第1端子部と、(iii)前記基板上に形成されており、前記陽極及び前記陰極の他方の極に電気的に接続された第2端子部と、(iv)前記基板上に形成された第1発光素子と、(v)前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と前記第1発光素子とを電気的に接続する第1接続経路部と、(vi)前記基板上において前記第1発光素子の位置と相互に異なる位置に形成された第2発光素子と、(vii)前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と前記第2発光素子とを電気的に接続しており、前記第1接続経路部の電気抵抗と異なる電気抵抗を有する第2接続経路部と、(viii)前記第1発光素子に重なっており、前記第1発光素子から出射された第1出射光を透過可能な第1開口部と、(ix)前記第2発光素子に重なっており、前記第2発光素子から出射された第2出射光を透過可能な第2開口部とを有する照明装置と、
(i)前記第1出射光及び前記第2出射光を変調する光学層と、(ii)前記第1開口部及び前記第2開口部の夫々に各々が重なっており、前記変調された第1出射光及び第2出射光の夫々を、前記照明装置側に反射する第1反射電極及び第2反射電極とを有する電気光学パネルとを備え、
前記第1開口部及び第2開口部の夫々のサイズは、前記第1出射光の光量と、前記第2出射光の光量とが相互に等しくなるように設定されており、
前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々のサイズは、前記変調された第1出射光及び第2出射光のうち前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々によって反射された第1反射光及び第2反射光の夫々の光量が相互に等しくなるように設定されていること
を特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第1接続経路部の電気抵抗が、前記第2接続経路部の電気抵抗より大きい場合に、前記第1反射電極のサイズは、前記第2反射電極のサイズより大きいこと
を特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
(i)基板と、(ii)前記基板上に形成されており、電源の陽極及び陰極のうち一方の極に電気的に接続された第1端子部と、(iii)前記基板上に形成されており、前記陽極及び前記陰極の他方の極に電気的に接続された第2端子部と、(iv)前記基板上に形成された第1発光素子と、(v)前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と前記第1発光素子とを電気的に接続する第1接続経路部と、(vi)前記基板上において前記第1発光素子の位置と相互に異なる位置に形成された第2発光素子と、(vii)前記第1端子部及び前記第2端子部の夫々と前記第2発光素子とを電気的に接続しており、前記第1接続経路部の電気抵抗と異なる電気抵抗を有する第2接続経路部と、(viii)前記第1発光素子に重なっており、前記第1発光素子から出射された第1出射光を透過可能な第1開口部と、(ix)前記第2発光素子に重なっており、前記第2発光素子から出射された第2出射光を透過可能な第2開口部とを有する照明装置と、
(i)前記第1出射光及び前記第2出射光を変調する光学層と、(ii)前記第1開口部及び前記第2開口部の夫々に各々が重なっており、前記変調された第1出射光及び第2出射光の夫々を、前記照明装置側に反射する第1反射電極及び第2反射電極とを有する電気光学パネルとを備え、
前記第1開口部及び第2開口部の夫々のサイズは、前記第1出射光の光量と、前記第2出射光の光量とが相互に等しくなるように設定されており、
前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々の光反射率は、前記変調された第1出射光及び第2出射光のうち前記第1反射電極及び前記第2反射電極の夫々によって反射された第1反射光及び第2反射光の夫々の光量が相互に等しくなるように設定されていること
を特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
前記第1接続経路部の電気抵抗が、前記第2接続経路部の電気抵抗より大きい場合に、前記第1反射電極の光反射率は、前記第2反射電極の光反射率より大きいこと
を特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1接続経路部の電気抵抗が、前記第2接続経路部の電気抵抗より大きい場合に、前記第1開口部のサイズは、前記第2開口部のサイズより大きいこと
を特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1発光素子及び前記第2発光素子の夫々のサイズは相互に等しく、前記第1開口部及び前記第2開口部の夫々のサイズは、遮光部によって規定されていること
を特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の電気光学装置を具備してなること
を特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−243539(P2010−243539A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88686(P2009−88686)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】