説明

電気化学センサ

有機汚染物質分子センサ(10)は、固体酸素アニオン導体(12)と、監視される環境(18)に露出するために導体の第1の表面に形成された測定電極(14)と、参照環境(20)に露出するために導体の第2の表面に形成された参照電極(16)とを有する電気化学セルを含む。電極は、酸素の解離的吸収に対する触媒作用を及ぼすための材料から形成されるか、あるいは、その材料でコーティングされる。電極間の電位差を監視するための手段(32)が提供され、監視される環境内に有機汚染物質分子がない場合には、電極間の電位差が基本値Vbをとり、監視される環境内に有機汚染物質分子が導入されたときには、電位差は監視される環境における有機汚染物質分子と酸素との反応により測定値Vmをとり、Vm−Vbは監視される環境内に導入された有機汚染物質分子の量を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気化学センサに関する。1つの実施形態において、本発明は、半導体製造業界で用いられるような低酸素濃度のプロセス環境における有機汚染物質を検出するためのセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造業界では、ウェハが製造される雰囲気(プロセス環境)を制御することが重要である。ウェハは制御された環境で製造されることが望ましい。望ましくない又は変化する有機汚染物質レベルは、装置及び/又は設備の故障をもたらすこととなる。
10-9から10-6mbarの分圧に相当する1兆分の1(ppt)から10億分の1(ppb)の範囲の汚染有機物質レベルは、一般に、設備又は装置の故障をもたらさない。しかしながら、有機汚染物質レベルがこれよりもかなり高くなると、故障が生じることになる。プロセス環境を制御するために、存在する有機汚染物質のレベルを監視する必要がある。特に、いくつかのプロセスは低いppb範囲の汚染物質に敏感であるので、それゆえに、このようなプロセスに対してppt範囲の汚染物質レベルを監視することが望ましい。しかしながら、このような監視プロセスは、費用がかかり、このような低い汚染物質レベルで存在する全有機化合物(TOC)に対して正確な値を求めることは難しい。さらに、多くの製造プロセスは、メタン(CH4)及びエタン(C26)のような軽い飽和炭化水素に対して寛容であり、それらの軽い飽和炭化水素は、ほとんどの表面との反応確率が特に低いため、種々の汚染物質により誘起された反応には関与しない。
【0003】
真空ベースのプロセス環境において、TOCレベルは質量分析法を用いて求められることが多い。質量分析計は、pptレベルで存在する汚染物質を測定することができる。しかしながら、このような測定値の判定は、例えば、質量スペクトルのオーバーラップ、分子のフラグメンテーション及びバックグラウンドの影響のような影響によって複雑になることが多い。
質量分析計を大気圧又はそれより上で動作するプロセス環境で用いることができるが、付加的な真空及びサンプル処理システムを必要とし、それはこのような機器を非常に高価なものにする。このような状況では、プロセス環境に存在するTOCレベルを監視するために、ガスクロマトグラフ(GC)技術を用いることが好ましい。しかしながら、ppt範囲の汚染物質を監視するためには、ガスクロマトグラムにガス濃縮器を取り付ける必要がある。そのようにして、ガスクロマトグラフ技術は、半導体製造工場における超高純度(UHP)ガス設備のppt範囲のTOCレベルを監視するのに用いられる。
【0004】
質量分析計及びガスクロマトグラフはpptレベルのTOCを検出することができるが、前述のプロセス寛容性のある軽い炭化水素の存在をより有害な有機化合物と区別する能力は制限され、プロセス環境において損害を与える炭化水素の総レベルを求めることを困難にすることに注目すべきである。
さらに、プロセス環境に存在するTOCレベルを求めるための質量分析技術又はガスクロマトグラフ技術のいずれの使用も専門的設備を必要とするので、それらはむしろ高価になる傾向があり、典型的には、より有用なポイント・オブ・ユース(POU)監視ではなく、設備全体に対するポイント・オブ・エントリ(POE)監視としてのみ用いられる。
それゆえに、簡単で、低費用の、半定量的なセンサが必要とされており、それは非反応性の有機化合物に対する感度は低いが、プロセス環境を適格にするためにポイント・オブ・ユースで用いることができる。
【発明の開示】
【0005】
第1の態様において、本発明は、電気化学セルであって、固体酸素アニオン導体と、監視される環境に露出するために導体の第1の表面に形成された測定電極と、参照環境に露出するために導体の第2の表面に形成された参照電極とを有し、電極が酸素の解離的吸収に対する触媒作用を及ぼすための材料を含む電気化学セルと、電極間の電位差を監視するための手段とを備え、監視される環境内に有機汚染物質分子がない場合には、電極間の電位差が基本値Vbをとり、監視される環境内に有機汚染物質分子が導入されたときには、電位差は監視される環境における有機汚染物質分子と酸素との反応により測定値Vmをとり、(Vm−Vb)が、監視される環境内に導入された有機汚染物質分子の量を示す、有機汚染物質分子センサを提供する。
固体酸素アニオン導体(固体電解質)は、ガドリニウムドープセリア又はイットリア安定化ジルコニア(YSZ)のようなドープ金属酸化物から一般に形成される。各電解質に対する臨界温度(TC)より下の温度では、電解質材料は非導電性である。TCより上の温度では、電解質は徐々により導電性となる。
【0006】
如何なる監視される環境における酸素レベルも、測定電極及び参照電極の両方での酸素ガスの減少によって生成された電気化学電位によって求められる。各電極での全ての還元反応に関連したステップが以下に説明され、各電極での半電池反応は以下の式1及び2によって定められる。

【0007】
各電極で生成された電気化学電位は、ネルンストの式によって求められ、

ここでEは、参照電極又は測定電極それぞれの電気化学半電池電位であり、
Θは、単位O(ads)活量でのセルの標準電気化学半電池電位であり、
Rは、気体定数であり、
Tは、セルの温度であり、
Fは、ファラデー定数であり、
a(Oads)及びa(O2-)は、それぞれ電極表面で吸着された酸素の活量及び固体イオン導体における減少した酸素アニオンの活量である。
【0008】
電極表面に吸着された酸素の活量は、以下の式4によって求められるように、電極に隣接する環境における酸素ガスの分圧に直接的に比例する。

a(O2-)は定義によると1であり、電極表面に吸着された酸素の活量は電極表面に隣接する環境における酸素分圧に比例する(式4)ので、半電池電位は、測定電極又は参照電極それぞれに隣接する特定の環境における酸素分圧によって書くことができる。

【0009】
セルにわたって生成された電位差Vは、式6に従って参照電極と測定電極との間の半電池電位の差によって定められる。

ここで、Vはセル全体にわたる電位差であり、
(R)及びE(M)は参照電極及び測定電極それぞれの電気化学電位であり、
R、T及びFは上に定義され、
O2(R)及びPO2(M)は、参照電極及び測定電極それぞれの酸素分圧である。
【0010】
半導体製品の製造中に直面する酸素欠乏環境のようなプロセス環境において、測定電極に隣接する酸素分圧は、参照電極に隣接するものよりかなり小さい。各電極での電気化学電位はネルンストの式によって決定されるので、測定電極での酸素分圧が減少するにつれて、測定電極での電気化学電位が変化して、臨界温度より上の温度でセル全体にわたる電位差が発生することになる。セル全体にわたる電位差は、上の式6に従って参照電極及び測定電極での酸素分圧の比によって求められる。
【0011】
有機汚染物質が存在しない場合には、参照電極及び測定電極における酸素分圧は安定しており、それゆえに電極間の電位差は一定である。しかしながら、有機汚染物質が監視される環境内に導入された場合には、それらは測定電極上に吸着された酸素と反応し、式7に従って酸素の表面濃度を減少させる。

【0012】
この反応は、測定電極における平衡状態での酸素表面濃度の変化をもたらし、それゆえに、観察されるセル電圧の変化をもたらす。適切な校正によって、有機汚染物質分子がある場合とない場合との電位差間の差Vm−Vbを、監視される環境内に導入された炭化水素の分圧の直接的な指標を与えるのに用いることができる。
典型的には、大気は参照ガスとして用いられ、典型的なセル応答が図5に示される。10-6mbarより上の測定分圧では、セル電圧は上の式6に従うが、10-7mbarより下の測定分圧では、セル電圧は測定酸素分圧の変化にもはや応答しないことに注目されたい。この非ネルンストの挙動は、部分的には、酸素アニオンがセル全体にわたって連続的に運ばれて測定環境に対する酸素源として働き、それによって、純気相酸素の影響を圧倒して、センサを反応しなくさせる、電気化学半透過性に起因する。
【0013】
式7から、酸素の表面濃度は、反応において消費される炭化水素の量に影響を及ぼすことが分かる。それゆえ、センサの酸素表面濃度を制御することは、センサの検出限界に影響を及ぼすことになる。測定電極の酸素表面濃度は、酸素電気化学半透過性の電流の影響と、気相酸素分圧の影響との総和となる。したがって、酸素欠乏雰囲気では、センサは、有機汚染物質分子の導入に対するセンサの感度が制御されるようにセルの酸素電気化学半透過性を制御するための手段を備えることが好ましい。
酸素電気化学半透過性は、例えば、参照環境における付加的な作用電極と、作用電極と測定電極との間を流れる電流を制御するための手段とを提供することによって、及び/又は、参照環境内の酸素濃度を制御するための手段を提供することによって、制御することができる。これは、センサが低酸素濃度環境における有機汚染物質の低いレベルを判断することを可能にする、電極間を流れる酸素アニオンのフラックスの速度を、制御することができる。
【0014】
センサは、取り扱いが簡単であり、プロセス環境についての正確な情報を提供するために、ポイント・オブ・エントリではなくポイント・オブ・ユースで用いることができる。センサは、当業者に周知の技術を用いて簡単に且つすぐに製造される。電極を、インク又は塗料の形態か或いはスパッタリングのような技術を用いるかの何れかで、イットリア安定化ジルコニアといった酸素アニオン導体固体電解質のチューブに適用することができる。センサは、電解質の温度を制御するための加熱器手段と共に供給されることが好適である。
参照電極は、酸素の解離に対する触媒作用を及ぼすことのできる材料、例えば、白金から形成されることが好適である。参照環境は、ガス又は固体酸素源から引き出すことができる。典型的には、参照ガス酸素源として大気が用いられるが、他のガス組成物を用いることもできる。固体酸素源は、典型的には、Cu/Cu2O及びPd/PdOのような金属/金属酸化物結合体、又はCu2O/CuOのような金属酸化物/金属酸化物結合体を含む。選択された特定の固体参照材料はセンサの作動環境に依存する。
【0015】
酸素アニオン導体を含む固体電解質は、300℃より上の温度で酸素アニオン導体を呈する材料から形成されることが好適である。好適な酸素アニオン導体は、ガドリニウムドープセリア及びイットリア安定化ジルコニアを含む。固体酸素アニオン導体として用いられる好ましい材料は、3モル%及び8モル%のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を含み、その両方は商業的に入手可能である。
放射線加熱器が、セルの温度を制御するのに用いられることが好ましい。熱電対が、電子の温度を監視するのに用いられることが好ましい。
センサの適用範囲は、センサを抽出モードで使用し、酸素トラップを付加することによって、雰囲気内に酸素を含有する環境を含むように拡張することができる。
【0016】
第2の態様において、本発明は、監視される環境内に導入された有機汚染物質の量を監視する方法を提供し、該方法は、固体酸素アニオン導体と、監視される環境に露出するために導体の第1の表面に形成された測定電極と、参照環境に露出するために導体の第2の表面に形成された参照電極とを有し、電極が酸素の解離的吸収に対する触媒作用を及ぼすための材料を含む、電気化学セルを提供するステップと、電極間の電位差を監視するステップとを含み、監視される環境内に有機汚染物質分子がない場合には、電極間の電位差が基本値Vbをとり、監視される環境内に有機汚染物質分子が導入されたときには、電位差は監視される環境における有機汚染物質分子と酸素との反応により測定値Vmをとり、Vm−Vbは監視される環境内に導入された有機汚染物質分子の量を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
ここで、本発明の好ましい特徴を添付の図面を参照しながら単なる例として説明する。
図1の電気化学センサ10は、多孔質触媒フィルムでその内側及び外側表面をコーティングされた、8%のイットリア安定化ジルコニア酸素アニオン導電管の形態の固体電解質12を備える。内側及び外側フィルムは、測定電極14及び参照電極16を形成するために電気的に分離される。電極14、16は、真空スパッタリングのような技術を用いて、あるいは、例えば表面に好適な市販の「インク」を適用して、電解質12上に堆積された白金から形成することができる。電極が、インクを用いてセンサの表面に形成される場合には、組立体全体が該インクの性質によって決められる好適な雰囲気で焼かれなければならない。
測定電極14は監視される環境18と接触して置かれ、参照電極16は参照環境20と接触して置かれる。参照環境20は、定圧の酸素ガス源(大気のような)か、あるいは、固体状態の酸素源、典型的にはCu/Cu2O及びPd/PdOのような金属/金属酸化物結合体又はCu2O/CuOのような金属酸化物/金属酸化物結合体の供給源の何れかとすることができる。センサは、監視される環境を参照環境から分離する、セラミックと金属とのシール28を介して、ステンレス鋼真空フランジ30を用いて監視される環境に取り付けられる。
【0018】
固体電解質12は加熱器22によって内部で加熱される。センサの温度は、熱電対装置24のような好適な測定装置を用いて測定される。センサの温度は、好適な制御装置26によって制御される。セルにわたる電位差を測定するために電圧測定装置32が設けられる。
使用の際に、測定電極は、真空の下でのチャンバのような監視される環境に露出され、センサは、ヒータ22を用いて650℃より高い温度まで加熱される。開回路状態では、参照環境と監視される環境との間の酸素分圧の差が、電極14、16間の電位差をもたらす。有機汚染物質がない場合には、参照電極及び測定電極での酸素分圧は安定しており、それゆえに、平衡セル電圧Vbが確立され、測定される。炭化水素が測定チャンバに加えられたときに、反応が式7に従って起こり、測定電極における平衡酸素表面濃度が変化する。

【0019】
この反応は、観察されるセル電圧Vmにおける変化をもたらす。図4に示されるように、電圧偏差(Vm−Vb)は、測定チャンバに加えられた炭化水素の分圧の直接的な指標を与える。
式7から分かるように、酸素の表面濃度は、反応において消費される炭化水素の量に影響を及ぼす。それゆえ、センサの酸素表面濃度を制御することは、センサの検出限界に影響を及ぼすことになる。
【0020】
測定電極の酸素表面濃度は、酸素電気化学半透過性の電流の影響と、気相酸素分圧の影響との総和となる。酸素電気化学半透過性は、
1)参照環境における酸素濃度の制御
2)逆電流バイアスの適用
といった、異なる手段によって制御することができる。
【0021】
酸素電気化学半透過性を制御するために作動するセンサの第2の実施形態の略図が、図2に示される。この略図は図1に類似したセンサを示すが、測定電極14に取り付けられる制御された電流装置34と、参照環境内の付加的な作用電極36とが追加されている。酸素電気化学半透過性は、炭化水素の添加に対するセンサの感度を最適化するのに用いられる可変的な電流レベルの追加によって制御される。それゆえに、酸素の電気化学半透過性の制御は、センサの、改善されたより低い検出限界につながる。
【0022】
これまでの議論は、半導体製造プロセスのための真空チャンバのような酸素欠乏環境における炭化水素を監視するためのセンサの使用を考えていた。センサの適用範囲は、センサを抽出モードで使用し、酸素トラップを付加することによって、雰囲気内に酸素を含有する環境を含むように拡張することができる。このような構成のブロック図が、図3に示される。センサ10が、好適なシール42を用いてサンプルブロック40に取り付けられる。監視するためのガスサンプルが、サンプリングポンプ48によってサンプルブロック40を通して抽出される。好適な流れ制御装置44が、サンプルの流れを制限し、サンプルブロック40における圧力を制御する。酸素は、好適な酸素トラップ46清浄器、ゲッタ又は固体酸素ポンプによって、抽出されたサンプルから除去される。このモードでのセンサの動作は、酸素の交差感度誤差を除去する。また、この構成において、センサ10は、1気圧までの圧力でガス流をサンプリングするのに用いることもできる。
【0023】
要約すると、有機汚染物質分子センサは、固体酸素アニオン導体と、監視される環境に露出するために導体の第1の表面に形成された測定電極と、参照環境に露出するために導体の第2の表面に形成された参照電極とを有する電気化学セルを含む。電極は、酸素の解離的吸収に対する触媒作用を及ぼすための材料から形成されるか、あるいは、その材料でコーティングされる。電極間の電位差を監視するための手段が提供され、監視される環境内に有機汚染物質分子がない場合には、電極間の電位差が基本値Vbをとり、監視される環境内に有機汚染物質分子が導入されたときには、電位差は監視される環境における有機汚染物質分子と酸素との反応により測定値Vmをとり、Vm−Vbは監視される環境内に導入された有機汚染物質分子の量を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】電気化学センサの第1の実施形態を通る略断面図である。
【図2】電気化学センサの第2の実施形態を通る略断面図である。
【図3】電気化学センサの第3の実施形態を通る略断面図である。
【図4】監視される環境に添加された炭化水素の分圧と共に、センサの電極にわたる電位差の変化を示すグラフである。
【図5】参照環境内の大気を伴う監視される環境内の酸素分圧と共に、センサ出力電圧の変化を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機汚染物質分子センサであって、
固体酸素アニオン導体と、監視される環境に露出するために前記導体の第1の表面に形成された測定電極と、参照環境に露出するために前記導体の第2の表面に形成された参照電極とを有し、前記電極が酸素の解離的吸収に対する触媒作用を及ぼすための材料を含む、電気化学セルと、
前記電極間の電位差を監視するための手段と、
を備え、前記監視される環境内に有機汚染物質分子がない場合には、前記電極間の電位差が基本値Vbをとり、前記監視される環境内に有機汚染物質分子が導入されたときには、前記電位差は前記監視される環境における有機汚染物質分子と酸素との反応により測定値Vmをとり、Vm−Vbが、前記監視される環境内に導入された有機汚染物質分子の量を示すことを特徴とする有機汚染物質分子センサ。
【請求項2】
前記セルの温度を制御するための手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記制御手段がヒータ及び熱電対装置を備えることを特徴とする請求項2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記酸素の解離的吸収に対する触媒作用を及ぼすための材料が白金であることを特徴とする上記請求項のいずれかに記載のセンサ。
【請求項5】
前記固体酸素アニオン導体が、ガドリニウムドープセリア及びイットリア安定化ジルコニアから選択されたことを特徴とする上記請求項のいずれかに記載のセンサ。
【請求項6】
前記参照酸素環境が、典型的にはCu/Cu2O及びPd/PdOのような金属/金属酸化物結合体又はCu2O/CuOのような金属酸化物/金属酸化物結合体からの固体酸素源であることを特徴とする上記請求項のいずれかに記載のセンサ。
【請求項7】
有機汚染物質分子の導入に対する前記センサの感度を制御するように前記セルの酸素電気化学半透過性を制御するための手段を備えたことを特徴とする上記請求項のいずれかに記載のセンサ。
【請求項8】
前記酸素電気化学半透過性を制御するための手段が、前記参照環境における付加的な電極と、前記付加的な電極と前記測定電極との間に流れる酸素アニオンのフラックスの速度を制御するための手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
前記酸素電気化学半透過性を制御するための手段が、前記付加的な電極と前記測定電極との間を流れる電流を制御するための手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載のセンサ。
【請求項10】
前記酸素電気化学半透過性を制御するための手段が、前記参照環境内の酸素濃度を制御するための手段を備えたことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載のセンサ。
【請求項11】
前記監視される環境内の酸素の量を制御するための手段を備えたことを特徴とする上記請求項のいずれかに記載のセンサ。
【請求項12】
前記監視される環境内の圧力を制御するための手段を備えたことを特徴とする請求項11に記載のセンサ。
【請求項13】
前記監視される環境にガス流を引き込むための手段と、前記監視される環境に引き込まれたガスから酸素を抽出するための手段とを備えたことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載のセンサ。
【請求項14】
監視される環境内に導入された有機汚染物質の量を監視する方法であって、固体酸素アニオン導体と、前記監視される環境に露出するために前記導体の第1の表面に形成された測定電極と、前記参照環境に露出するために前記導体の第2の表面に形成された参照電極とを有し、前記電極が酸素の解離的吸収に対する触媒作用を及ぼすための材料を含む、電気化学セルを提供するステップと、前記電極間の電位差を監視するステップとを含み、前記監視される環境内に有機汚染物質分子がない場合には、前記電極間の電位差が基本値Vbをとり、前記監視される環境内に有機汚染物質分子が導入されたときには、前記電位差は前記監視される環境における有機汚染物質分子と酸素との反応により測定値Vmをとり、Vm−Vbは前記監視される環境内に導入された有機汚染物質分子の量を示すことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記セルの温度を制御するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
有機汚染物質分子の導入に対する前記センサの感度を制御するように前記セルの酸素電気化学半透過性を制御するステップを含む、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記セルの酸素電気化学半透過性が、前記参照環境において前記測定電極と前記付加的な電極との間に流れる酸素アニオンのフラックスの速度を制御することによって制御されることを特徴とする請求項16に記載の方法
【請求項18】
前記電極間を流れる酸素アニオンのフラックスの速度が、前記測定電極と前記付加的な電極との間に流れる電流を制御することによって制御されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電極間を流れる酸素アニオンのフラックスの速度が、前記参照環境内の酸素濃度を制御することによって制御されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記監視される環境内の酸素の量を制御するステップを含むことを特徴とする請求項14から請求項19のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−519900(P2007−519900A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548368(P2006−548368)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【国際出願番号】PCT/GB2004/005131
【国際公開番号】WO2005/068991
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(591004445)ザ ビーオーシー グループ ピーエルシー (59)
【Fターム(参考)】