説明

電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス及び電気化学デバイスの製造方法

【課題】長期使用に伴う電極の劣化を低減する電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス及び電気化学デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】電気化学デバイスは、複数の黒鉛層31が積層された結晶構造を持つ炭素材料と、黒鉛層31間の少なくとも一部に挿入された、酸化還元反応に伴う電子授受を行う導電性ポリマー又は導電性オリゴマー32とを備える電極活物質を用いて作製された電極を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーを含む電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス及び電気化学デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小型且つ大容量のキャパシタである電気二重層キャパシタは、携帯電話や家庭用電気製品のバックアップ電源、補助電源として用いられている。電気二重層キャパシタは、正負一対の電極の間にセパレータを配置させ、周囲を電解液で満たすことで形成される。通常、セパレータを挟む正負一対の電極(これを「セル」という)は収納容器内に配置され、この収納容器内に電解質が注入されている。近年、電気二重層キャパシタが搭載される機器の小型化・高性能化に伴い、電気二重層キャパシタの大容量化が待望されている。
【0003】
キャパシタに蓄積されるエネルギーE(ジュール)は、(1)式から算出される。
【0004】
E=1/2CV ・・・(1)
【0005】
ここで、Cはキャパシタのセル当たりの静電容量(ファラッド)であり、Vはセルの印加電圧(ボルト)である。(1)式に示すように、エネルギーEは、印加電圧Vの値の二乗に比例するため、エネルギーEを向上させるためにはキャパシタの正負極間に印加することができる電圧(耐電圧)を向上させることが重要である。
【0006】
しかし、電気二重層キャパシタの耐電圧は、およそ3V程度が限界であるため、電気二重層以外の蓄電機構を活用して蓄電量を向上させた電極の開発が検討されている。
【0007】
例えば、特許文献1では、集電体と集電体上に形成された活物質層からなる電極を用いた電気化学蓄電デバイスが開示されている。活物質層は、酸化還元反応に伴う電子授受を電子エネルギーとして取り出すことができる有機化合物粉末と炭素材料粉末との混合物であり、有機化合物粉末はπ共役系のn−dope型の導電性高分子を含んでいる。有機化合物粉末の酸化還元反応に伴う電子授受を蓄電に用いることにより、電気二重層のみを用いた電極に比べて、蓄電容量の大きな電極を形成している。
【0008】
【特許文献1】特許第3711015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に開示された電極では、長期間の使用に伴い有機化合物粉末が局所的に過酸化・過還元される場合がある。有機化合物粉末が過酸化・過還元されてしまうと、蓄電に寄与する有機化合物の量が減少して蓄電容量が低下し、電気抵抗が増大してしまう。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、その目的は、長期使用に伴う電極の劣化を低減する電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス及び電気化学デバイスの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の特徴は、複数の黒鉛層が積層された結晶構造を持つ炭素材料と、黒鉛層間の少なくとも一部に挿入された、酸化還元反応に伴う電子授受を行う導電性ポリマー又は導電性オリゴマーとを備える電極活物質を用いて作製された電極を備える電気化学デバイスであることである。
【0012】
本発明の第1の特徴において、炭素材料は、黒鉛層間の一部にアルカリ金属が挿入された黒鉛層間化合物であることが望ましい。
【0013】
本発明の第1の特徴において、炭素材料は、黒鉛、黒鉛化炭素繊維、黒鉛化メソカーボン小球体、易黒鉛化炭素材料、難黒鉛化炭素材料によりなる群から選択される少なくとも1つを含んでいても構わない。
【0014】
本発明の第1の特徴において、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーは、アセチレン、アニリン、ピロール、チオフェン、ピリジン、エチレンジオキシチオフェンよりなる群から選択される少なくとも1つを含むことが望ましい。
【0015】
本発明の第2の特徴は、複数の黒鉛層が積層された結晶構造を持つ炭素材料と、黒鉛層間に挿入された、酸化還元反応に伴う電子授受を行う導電性ポリマー又は導電性オリゴマーとを備える電極活物質を用いて作製された電気化学デバイス用電極であることである。
【0016】
本発明の第3の特徴は、複数の黒鉛層が積層された結晶構造を持つ炭素材料を用意する工程と、炭素材料の黒鉛層間に導電性ポリマー又は導電性オリゴマーを挿入して電極活物質を作製する工程と、電極活物質を用いて電極を作製する工程とを備える電気化学デバイスの製造方法であって、電極活物質を作製する工程は、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーの蒸気を含む気体の中に炭素材料を晒す過程を少なくとも備えることである。
【0017】
本発明の第3の特徴において、電極活物質を作製する工程は、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーの蒸気を含む気体の中に炭素材料を晒す過程の後に、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーが溶解した液体に炭素材料を浸漬する過程を更に備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、長期使用に伴う電極の劣化を低減する電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス及び電気化学デバイスの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付している。
【0020】
図1(a)及び図1(b)を参照して、本発明の実施の形態に係わる電気化学デバイスの構成を説明する。図1(a)に示すように、電気化学デバイスは、セパレータ13を間に挟んで対向する正負一対の電極11、12を袋状のアルミラミネートフィルム性容器(図示せず)に納め、容器内に電解液を注入することにより形成される。正極11にはアルミニウム製のタブリード14が接続され、負極12にはニッケル製のタブリード15が接続されている。タブリード14、15を介して、正極11及び負極12間に電位差が印加される。
【0021】
図1(b)に示すように、正極11はテンレス箔21及び電極活物質22とを積層してなり、負極12はテンレス箔23及び電極活物質24とを積層してなる。セパレータ13の表裏面にそれぞれ電極活物質22、24が接するように正極11及び負極12を対向して配置されている。テンレス箔21にアルミニウム製タブリード14が接続され、テンレス箔23にニッケル製タブリード15が接続されている。
【0022】
図2を参照して、電極活物質22、24の結晶構造について説明する。電極活物質22、24は、複数の黒鉛層31が積層された結晶構造を持つ炭素材料と、黒鉛層31間の少なくとも一部に挿入された、酸化還元反応に伴う電子授受を行う導電性ポリマー又は導電性オリゴマー32とを備える。炭素材料は、黒鉛層31間の一部にアルカリ金属(例えば、リチウム)が挿入された黒鉛層間化合物(CLi)である。黒鉛層間化合物の黒鉛層間に、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーの一例としてピロールが挿入されている。即ち、黒鉛層(グラフェンシート)31間でモノマー(ピロール)が重合されることで、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーと黒鉛材料とが一体化した複合材料が形成される。これにより、電極活物質の劣化・分断の影響で導通が失われる程度が低くなり、電極活物質の劣化自体も低減することができる。
【0023】
図3を参照して、図1(a)及び図1(b)に示した電気化学デバイスの製造方法を説明する。
【0024】
(イ)先ず、S10段階において、粒径が30μm程度の天然黒鉛、及びアルカリ金属の一例としてリチウム(Li)を用意し、ツーバルブ(two-bulb)法を用いて、黒鉛層間の一部にリチウムが挿入された黒鉛層間化合物(CLi)を作製する。なお、ツーバルブ法とは、黒鉛試料と黒鉛層間に挿入される物質を反応管の別々の場所にセットし、黒鉛及び挿入物質の温度をそれぞれ一定に保持することにより黒鉛に挿入物質を気体で接触・反応させることにより黒鉛層間に前記物質を挿入する方法である。ツーバルブ法の詳細については、「黒鉛層間化合物」(株)リアライズ社 1990年発行第7〜11頁に記載されている。
【0025】
(ロ)そして、黒鉛層間化合物(CLi)をアルゴングローブボックス内でバルブ付きの耐圧気密容器に入れる。そして、S201段階において耐圧気密容器内を0.13Pa以下に減圧し、その後、S203段階において室温でのピロールの蒸気圧に相当するピロール蒸気を黒鉛層間化合物(CLi)へ導入する。そして、再び、耐圧気密容器をアルゴングローブボックスに戻し、S205段階において、耐圧気密容器から取り出した黒鉛層間化合物(CLi)をピロールと(CNBFがともに0.1ml/l溶解したプロピレンカーボネートに浸漬する。その後、S207段階において純粋なプロピレンカーボネートで洗浄し乾燥させる。S201〜S207段階を経て、黒鉛層間化合物(CLi)の黒鉛層間に、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーの一例としてピロールを挿入することができる(S20段階)。換言すれば、黒鉛層(グラフェンシート)間で、モノマーを重合させることで、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーと黒鉛材料とが一体化した複合材料を形成することができる。これにより、電極活物質の劣化・分断の影響で導通が失われる程度が低くなる。また、電極活物質の劣化自体も低減することができる。
【0026】
(ハ)S30段階において、ピロールが黒鉛層間に挿入された黒鉛層間化合物を電極活物質とする正極及び負極をそれぞれ作製する。具体的には、黒鉛層間化合物90重量%及びポリフッ化ビニリデン10重量%からなる混合物に対し、N−メチルピロリドンを3倍重量添加した後、十分に混練してスラリーを得る。このスラリーを厚さ30μmのステンレス(SUS316L)箔に塗布した後に乾燥して合剤とする。この合剤が塗布されたステンレス箔を一辺2cmの正方形状に切り出してこれらを正極11及び負極12とする。正極11及び負極12のステンレス箔21、23の合剤22、24が塗布されていない面にニッケル性タブリード15及びアルミニウム製タブリード14をそれぞれ取り付け、これを通電端子とする。
【0027】
(ニ)S40段階において、電解液を調製する。具体的には、溶媒にプロピレンカーボネートを用い、溶質である(CNBFを1mol/lの濃度になるように溶解させて電解液を調製する。
【0028】
(ホ)S50段階において、一辺2.5cmの正方形状のポリプロピレン製の不織布(セパレータ)を介して正極11と負極12をそれぞれの合剤塗布面を対向させ固定した状態で縦7cm横5cmの袋状のアルミラミネートフィルム製容器に収め、電解液0.5mlを注入し、その後、容器の開口部を熱シールで封止する。以上の工程を経て、図1(a)及び図1(b)に示した電気化学デバイスが完成する。
【0029】
(実験例)
発明者らは、上記した本発明の実施の形態に係わる電気化学デバイス、及び以下に示す第1及び第2の比較例に係わる電気化学デバイスについて、繰り返し充放電を行ない、その後の放電容量及び内部抵抗を評価した。
【0030】
第1の比較例に係わる電気化学デバイスは、黒鉛層間化合物(CLi)にピロールを挿入する図3のS20段階を実施せず、黒鉛層間化合物(CLi)45重量%と、ポリピロール45重量%と、ポリフッ化ビニリデン10重量%からなる混合物に対しN−メチルピロリドンを3倍重量添加したスラリーを用いて電極を形成する。その他の点については実施の形態と同じ手順にて電気化学デバイスを作製した。
【0031】
第2の比較例に係わる電気化学デバイスは、黒鉛層間化合物(CLi)にピロールを挿入する図3のS20段階を実施せず、黒鉛層間化合物(CLi)90重量%と、ポリフッ化ビニリデン10重量%からなる混合物に対しN−メチルピロリドンを3倍重量添加したスラリーを用いて電極を形成する。その他の点については実施の形態と同じ手順にて電気化学デバイスを作製した。
【0032】
上記の本発明の実施形態、第1の比較例、第2の比較例に係わる電気化学デバイスに対して、次に示す条件のもとで充放電を繰り返し実施した。先ず、2.5Vの一定電圧にて1時間充電を行なう。この際、電流を2mA以下に制限する。そして、2mAの一定電流にて1.5Vまで放電を行なう。表1に、前記の充放電を5サイクル行なった後、及び1000サイクル行なった後における放電容量及び内部抵抗を示す。なお、表1における数値は、本発明の実施の形態に係わる電気化学デバイスの5サイクル後の放電容量及び内部抵抗をそれぞれ100とした場合の規格値である。
【0033】
【表1】

【0034】
本発明の実施形態では、S20段階を実施することにより、黒鉛層間に供給したピロールの多くがピロールのポリマー又はオリゴマーとして黒鉛層間に保持されて、蓄電に寄与している。これに対して、第1の比較例では、S20段階を実施せず、その代わりに、黒鉛層間化合物(CLi)とポリピロールを単純に混合してスラリーを作製しているため、充放電サイクルに伴いピロールのポリマー又はオリゴマーが局所的に過酸化・過還元され、蓄電に寄与しなくなる。したがって、本発明の実施の形態によれば、第1の比較例に比べて、充放電サイクル後の放電容量の劣化及び内部抵抗の増加を抑制することができる。
【0035】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は、1つの実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0036】
本発明の実施形態における正極及び負極から取り出した黒鉛層間化合物(CLi)をXRDで分析した結果、黒鉛層間化合物(CLi)由来の炭素とピロールのモノマーとの化合物は認められなかった。これからも分るように、本発明の実施形態では、黒鉛層間化合物(CLi)に挿入するモノマーとしてピロールを用いたが、これに限定されることはない。アセチレン、アニリン、ピロール、チオフェン、ピリジン、エチレンジオキシチオフェンよりなる群から選択される少なくとも1つを、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーとして黒鉛層間化合物(CLi)に挿入することができる。
【0037】
また、アルカリ金属としてリチウムが黒鉛層間の一部に挿入された黒鉛層間化合物(CLi)を例に取り説明したが、これに限定されず、カリウム(K)等その他のアルカリ金属が黒鉛層間の一部に挿入された黒鉛層間化合物(CK等)を用いることもできる。更に、アルカリ金属が黒鉛層間に挿入されたアルカリ金属−黒鉛層間化合物に限らず、モノマーを挿入することができる黒鉛積層構造を有する炭素材料、例えば、黒鉛、黒鉛化炭素繊維、黒鉛化メソカーボン小球体、易黒鉛化炭素材料、難黒鉛化炭素材料によりなる群から選択される少なくとも1つを用いることができる。このような炭素材料を用いることにより、黒鉛層間に導電性ポリマー又は導電性オリゴマーを挿入し易くなる。
【0038】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【0039】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0040】
電気化学デバイスは、複数の黒鉛層が積層された結晶構造を持つ炭素材料と、黒鉛層間の少なくとも一部に挿入された、酸化還元反応に伴う電子授受を行う導電性ポリマー又は導電性オリゴマーとを備える電極活物質を用いて作製された電極を備える。炭素材料の黒鉛層間に導電性ポリマー又は導電性オリゴマーが挿入されることにより、電気化学デバイスの長期使用に伴う電極の劣化を低減することができる。
【0041】
炭素材料は、黒鉛層間の一部にアルカリ金属が挿入された黒鉛層間化合物である。炭素材料が黒鉛層間の一部にアルカリ金属が挿入された黒鉛層間化合物であることにより、黒鉛層間に導電性ポリマー又は導電性オリゴマーが挿入されやすくなる。
【0042】
炭素材料は、黒鉛、黒鉛化炭素繊維、黒鉛化メソカーボン小球体、易黒鉛化炭素材料、難黒鉛化炭素材料によりなる群から選択される少なくとも1つを含んでいても構わない。これにより、炭素材料の黒鉛層間に導電性ポリマー又は導電性オリゴマーを挿入させることができる。
【0043】
導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーは、アセチレン、アニリン、ピロール、チオフェン、ピリジン、エチレンジオキシチオフェンよりなる群から選択される少なくとも1つを含む。これにより、蓄電に寄与する導電性ポリマー又は導電性オリゴマーを黒鉛層間に挿入することができる。
【0044】
電気化学デバイスの製造方法は、複数の黒鉛層が積層された結晶構造を持つ炭素材料を用意する工程と、炭素材料の黒鉛層間に導電性ポリマー又は導電性オリゴマーを挿入して電極活物質を作製する工程と、電極活物質を用いて電極を作製する工程とを備える。電極活物質を作製する工程は、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーの蒸気を含む気体の中に炭素材料を晒す過程を少なくとも備える。
【0045】
導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーの蒸気を含む気体の中に炭素材料を晒すことで、黒鉛層間に導電性ポリマー又は導電性オリゴマーを挿入することができ、電気化学デバイスの長期使用に伴う電極の劣化を低減することができる。
【0046】
電極活物質を作製する工程は、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーの蒸気を含む気体の中に炭素材料を晒す過程の後に、導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーが溶解した液体に炭素材料を浸漬する過程を更に備える。これにより、より多くの導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーを黒鉛層間に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1(a)及び図1(b)は本発明の実施の形態に係わる電気化学デバイスの全体構成を示す模式図であり、(a)は平面図、(b)はA−A切断面に沿った断面図である。
【図2】電極活物質の結晶構造を説明するための模式図である。
【図3】図1(a)及び図1(b)に示した電気化学デバイスを製造する方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
11 正極
12 負極
13 セパレータ
14、15 タブリード
21、23 ステンレス箔
22、24 電極活物質
31 黒鉛層
32 導電性ポリマー又は導電性オリゴマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の黒鉛層が積層された結晶構造を持つ炭素材料と、
前記黒鉛層間の少なくとも一部に挿入された、酸化還元反応に伴う電子授受を行う導電性ポリマー又は導電性オリゴマーと
を備える電極活物質を用いて作製された電極を備えることを特徴とする電気化学デバイス。
【請求項2】
前記炭素材料は、前記黒鉛層間の一部にアルカリ金属が挿入された黒鉛層間化合物であることを特徴とする請求項1記載の電気化学デバイス。
【請求項3】
前記炭素材料は、黒鉛、黒鉛化炭素繊維、黒鉛化メソカーボン小球体、易黒鉛化炭素材料、難黒鉛化炭素材料よりなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の電気化学デバイス。
【請求項4】
前記導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーは、アセチレン、アニリン、ピロール、チオフェン、ピリジン、エチレンジオキシチオフェンよりなる群から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の電気化学デバイス。
【請求項5】
複数の黒鉛層が積層された結晶構造を持つ炭素材料と、
前記黒鉛層間に挿入された、酸化還元反応に伴う電子授受を行う導電性ポリマー又は導電性オリゴマーと
を備える電極活物質を用いて作製されたことを特徴とする電気化学デバイス用電極。
【請求項6】
複数の黒鉛層が積層された結晶構造を持つ炭素材料を用意する工程と、
前記炭素材料の黒鉛層間に導電性ポリマー又は導電性オリゴマーを挿入して電極活物質を作製する工程と、
前記電極活物質を用いて電極を作製する工程とを備え、
前記電極活物質を作製する工程は、前記導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーの蒸気を含む気体の中に前記炭素材料を晒す過程を少なくとも備えることを特徴とする電気化学デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記電極活物質を作製する工程は、前記導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーの蒸気を含む気体の中に前記炭素材料を晒す過程の後に、前記導電性ポリマー又は導電性オリゴマーのモノマーが溶解した液体に前記炭素材料を浸漬する過程を更に備えることを特徴とする請求項6記載の電気化学デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−192371(P2008−192371A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23388(P2007−23388)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【復代理人】
【識別番号】100117064
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 市太郎
【Fターム(参考)】