説明

電気化学的電池用電極を作製する方法

電気化学的電池用電極を作製する方法。電極は、電極活性物質をポリマー結合剤と共に押出し器中で混合並びに加熱を行ない、活性組成物を形成することよって作製されることが好ましい。活性組成物は、薄板材料として押出し器の開口から押出し、導電性支持体に取付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2002年12月24日出願の米国特許出願番号10/329,221の一部継続出願である。米国特許出願番号10/329,221の開示内容は、本明細書に引用して取り入れてある。
【0002】
本発明は電気化学的電池用の電極に関する。特に、本発明は電気化学的電池用電極を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
再充電可能な電気化学的電池においては、重量と携帯性が重要な考慮すべき事項である。周期的な維持の必要がなくて長い作動寿命を有することも、再充電可能な電池にとって有利である。再充電可能な電池は、計算機、携帯ラジオ、携帯電話など多くの民生用装置で使用されている。それらは、特定の装置の一体部品として設計された密封パワー・パックの形をとることが多い。再充電可能な電池は、より大型の「電池モジュール」又は「電池パック」の形をとることも出来る。
【0004】
再充電可能な電池は「非水性」電池又は「溶性」電池に分類することができる。非水性電気化学的電池の一例は、リチウム・イオン電池であって、正極及び負極の両方に層間化合物を、並びに液体の有機又はポリマー電解液を用いる。水性電気化学的電池は「酸性」又は「アルカリ性」の何れかに分類できる。酸性電気化学的電池の一例は、鉛−酸電池であって、二酸化鉛を正電極の活性物質として、金属鉛を大表面積の多孔質構造として負極活性物質に用いる。アルカリ性電気化学的電池の例は、ニッケル・カドミウム電池(Ni−Cd)とニッケル金属水素化物電池(Ni−MH)である。Ni−MH電池は、活性物質として水素吸蔵合金を備えた負電極を用いる。水素吸蔵合金は、水素の可逆的な電気化学的貯蔵が可能である。Ni−MH電池は、通常活性物質として水酸化ニッケルを備えた正電極を用いる。負及び正電極は、水酸化カリウムなどのアルカリ性電解液中に、間隔をおいて配置される。
【0005】
Ni−MH電池に電流を印加すると、電気化学的な水放電反応とヒドロキシルイオンの電気化学的発生により生成される水素の吸収によって、負電極の水素吸蔵合金活性物質が式(1)に示すように充電される。
【化1】

【0006】
負電極反応は可逆的である。放電に際し、貯蔵された水素が金属水素化物から解放されて水分子を生成し電子を解放する。
【0007】
「オボニック」合金と呼ばれる水素吸蔵合金は、選択された変性元素をマトリックス中へ取り入れることにより、局所的な化学的秩序及び局所的な構造的秩序を目的に合わせて形成することからもたらされる。無秩序化された水素吸蔵合金は、単相又は多相の結晶性材料に比べて、触媒活性部位と貯蔵部位の密度が著しく増加している。これらの追加された部位が、電気化学的充電/放電の効率改善、及び電気エネルギー貯蔵容量の増加の原因である。貯蔵部位の性質と数は、触媒活性部位とは独立に設計できる。具体的には、これらの合金は、二次電池応用製品での使用に適した可逆性の範囲を超えない結合強度で、解離した水素原子をバルク貯蔵するように、目的に合わせて形成される。
【0008】
幾つかの非常に効率的な水素吸蔵合金が、上述の無秩序材料に基づいて調製された。これらは、その開示内容が引用してここに取り入れてある、米国特許番号第4,551,400号(「’400特許」)で開示されたような、Ti−V−Zr−Ni型活性物質である。これらの材料は、水素を貯蔵するために可逆的に水素化物を生成する。’400特許で用いられる全ての材料は、一般的なTi−V−Ni組成物を利用し、少なくともTi、V、及びNiを含みまた、Cr、Zr、及びAlで変性することができる。’400特許の材料は多相材料であって、C14及びC15型結晶構造を持つ一つ以上の相を含有することがあるけれども、これらに限定されることはない。
【0009】
再充電可能な水素吸蔵負電極に用いるその他のTi−V−Zr−Ni合金は、米国特許番号第4,728,586号(「’586特許」)に記述されており、その内容は引用してここに取り入れてある。’586特許は、Ti、V、Zr、Ni及び第五成分Crを含むTi−V−Zr−Ni合金の特定のサブクラスについて記述している。’586特許は、合金のTi、V、Zr、Ni及びCr成分以外の添加剤及び変性剤の可能性に言及しており、特定の添加剤と変性剤、これらの変性剤の量及び相互作用、またそれらに期待できる特別な利点について一般的に説明している。その他の水素吸蔵合金材料は、米国特許番号第5,096,667号、第5,135,589号、第5,277,999号、第5,238,756号、第5,407,761号、及び第5,536,591号に記述されており、その内容は引用してここに取り入れてある。
【0010】
Ni−MH電池の水酸化ニッケル正電極で起る反応は式(2)で示される。
【化2】

【0011】
電気化学的電池の初回整備充電の後では、水酸化ニッケルは酸化されてニッケルオキシ水酸化物を生成する。電気化学的電池の放電に際して、ニッケルオキシ水酸化物が還元され、次の反応によって示されるようなベータ水酸化ニッケルを生成する。
【化3】

【0012】
正電極の充電効率と正電極材料の利用率は、次の反応により支配される酸素発生過程により影響を受ける。
【化4】

【0013】
充電過程において、充電の目的で電気化学的電池に印加された電流の一部は、同時に進行する酸素発生反応(4)によって別途消費される。酸素発生反応は、一般に電気化学電池が凡そ20〜30%充電されたときに始まり、充電が進むにつれて増加する。
【0014】
酸素発生反応は温度上昇と共に一層活発となる。酸素発生反応(4)は望ましいものではなく、充電時の低い利用率の一因となり、電気化学的電池内の圧力増加の原因となり、且つ酸化が更に進行する際にはオキシ水酸化ニッケルをより導電性の低い形態に変化させる。この反応の両方が発生する一つの理由は、それらの電気化学的ポテンシャル値が非常に接近しているからある。それらの差を広げるのに貢献するものは何でも(即ち、反応(2)でニッケルの反応ポテンシャルを下げること、又は酸素発生反応(4)の反応ポテンシャルを上げること)、すべて高い利用率に寄与することになる。酸素発生反応(4)の反応ポテンシャルは、酸素発生ポテンシャルと呼ばれることもある。
【0015】
更に、反応(4)の電気化学的反応ポテンシャルは、温度に強く依存する。低い温度では酸素発生は少なく、ニッケル正電極の充電効率は高い。しかし、高い温度では反応(4)の電気化学的反応ポテンシャルは減少し、酸素発生反応(4)の速度は増加して、水酸化ニッケル正電極の充電効率は低下する。
【0016】
一般に、如何なる水酸化ニッケル材料でも、Ni−MH電池に用いることが出来る。使用される水酸化ニッケル材料は、無秩序化された材料であっても良い。無秩序化された材料を使用することは、近距離秩序及び中距離秩序を上手く処理することにより、材料特性を永久的に変質させることを可能にする。一般的原理は、米国特許番号第5,348,822号と米国特許番号第6,086,843号で更に詳細に論議されており、その内容は引用してここに取り入れてある。水酸化ニッケル材料は組成的に無秩序化することができる。ここで用いる「組成的な無秩序化」とは、この材料が少なくとも一つの組成的変性剤、及び/又は化学的変性剤を含有することを意味する、と特別に定義される。更に、水酸化ニッケル材料は構造的に無秩序化することができる。ここで用いる「構造的な無秩序化」とは、この材料が導電性表面と導電性の高い繊維状領域とを有すること、更にこの材料は、アルファ、ベータ、及びガンマ相の領域が個別に又は組み合わされて存在するような、多重相乃至混合相を有することを意味する、と特別に定義される。
【0017】
水酸化ニッケル材料は、Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、Y、及びZnから成る群から選ばれた、少なくとも一つの変性剤を含む組成的且つ構造的に無秩序化された多相水酸化ニッケル・マトリックスを含むことがある。好ましくは、水酸化ニッケル材料は、Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、Y、及びZnから成る群から選ばれた少なくとも三つの変性剤を含む、組成的に且つ構造的に無秩序化された多相水酸化ニッケル・マトリックスを含む。これらの実施形態は、共通譲渡された米国特許番号第5,637,423号で更に詳細に説明されており、その内容は引用してここに取り入れてある。
【0018】
水酸化ニッケル材料は、多相構造及びガンマ相材料の存在を促進するような、組成的変性剤又は組成的変性剤と化学的変性剤の組合せを含む、少なくとも一つのガンマ相を有する多相他結晶材料であることもある。これらの組成的変性剤は、Al、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、LaH、Mg、Mn、Ru、Sb、Sn、TiH、TiO、Znから成る群から選ばれる。好ましくは、少なくとも三つの組成的変性剤が用いられる。水酸化ニッケル材料は、材料の層状構造をとりまく、少なくとも一つの化学的変性剤の非置換的な組み込みを含むことがある。ここで用いた「層状構造をとりまく非置換的な組み込み」という表現は、層間部又は端部での組み込みを意味する。これらの化学的変性剤は、Al、Ba、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Sr、及びZnから成る群から選ばれるのが好ましい。
【0019】
無秩序化された構造及び改善された導電性の結果として、水酸化ニッケル材料は2、3、4のようなはっきりとした整数の酸化状態をとることはない。そうではなく、むしろこれらの材料は、1.0から1.7及びそれ以上の数の電子が連続的に遷移する系を形成する。
【0020】
水酸化ニッケル材料は、少なくとも一つの多結晶ガンマ相を含む多相構造を有する固溶体水酸化ニッケル材料を含んで構成することができ、この多結晶ガンマ相は多結晶ガンマ相の単位格子を含み、この単位格子はは、間隔を置いて配置された層を含み、その層の周囲に少なくとも一つの化学的変性剤が組み込まれ、前記の層には、2酸化状態及び3.5以上の酸化状態に対応する範囲の安定な層間距離を有し、少なくとも三つの組成的変性剤が固溶体水酸化ニッケル材料中に混合されて、多相構造の形成を促進する。この実施形態については、共通譲渡された米国特許番号第5,348,822号で十分に説明されており、その内容は引用してここに取り入れてある。
【0021】
好ましくは、化学的変性剤の一つが、Al、Ba、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、Sr、及びZnから成る群から選ばれる。組成的変性剤は、金属、金属酸化物、金属酸化物合金、金属水素化物及び金属水素化物合金から成る群から選ぶことができる。好ましくは、組成的変性剤は、Al、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、LaH、Mn、Ru、Sb、Sn、TiH、TiO、及びZnから成る群から選ばれる。一実施形態において、組成的変性剤の一つは、Al、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、LaH、Mg、Mn、Ru、Sb、Sn、TiH、TiO、及びZnから成る群から選ばれている。別の実施形態においては、組成的変性剤の一つはCoである。また別の実施形態においては、組成的変性剤の二つはCoとZnである。水酸化ニッケル材料は、上述の組成的又は化学的変性剤を5から30原子パーセント、好ましくは10から20原子パーセント含有する。
【0022】
無秩序化された水酸化ニッケル電極材料は、(i)非晶質、(ii)微結晶、(iii)長距離の組成的秩序を欠く多結晶性、並びに(iv)これら非晶質、微結晶、又は多結晶性の任意の組合せ、から成る群から選ばれた少なくとも一つの組織を含む。本発明の一般的概念は、無秩序化された活性物質が、多電子移動、サイクリングにおける安定性、少ない膨張、及び広い作動温度、という目的を先行技術による改良法よりも効果的に達成できる。
【0023】
更に、水酸化ニッケル材料は、アルファ、ベータ、及びガンマ相の領域が個別に又は組み合わされて存在すること、並びに水酸化ニッケルが導電性表面と導電性の高い繊維状領域とを有することを特徴とする多重相乃至混合相を含み、且つ構造的に無秩序化された材料であることもある。
【0024】
水酸化ニッケル活性物質を含む水酸化ニッケル電極は、種々の電池において有用である。例えば、それはニッケル・カドミウム、ニッケル水素、ニッケル亜鉛、及びニッケル−金属水素化物電池用の正電極として用いることができる。
【0025】
水酸化ニッケル電極は、種々の異なった方法で作製することが出来る。水酸化ニッケル電極を作製する一つの方法は、焼結電極としてのものである。焼結電極を作成する工程は、金属グリッド(通常は、鋼又はニッケルめっきした鋼)を被覆するのに使用されるニッケル・スラリーの調製を含む。グリッドが被覆された後、スラリーは乾燥されてから焼結される。乾燥は過剰の水分を除去し、一方焼結工程は還元ガス雰囲気(窒素/水素雰囲気など)における高温での加熱を伴う。焼結工程は更にまた別な化学的又は電気化学的な含浸工程を伴うことがある。含浸は、グリッドを適切なニッケル塩(ニッケル塩に加えて幾らかのコバルト又はその他の望ましい添加剤を含んでもよい。)の溶液中に浸漬すること、並びにニッケル塩を次に水酸化ニッケルに転換することを含む。水酸化ニッケルの金属グリッド上への装填を完了するのは、含浸工程を繰り返すことにより積み上げられる。焼結電極は非常に強固で、支持構造物の気泡中における活性物質の絶え間ない膨張収縮によって誘起される応力に耐えることが出来る。しかし、焼結電極は、非常に時間を消費し、労働集約的であり、製作に費用がかかるといった不利益ばかりでなく、比エネルギーが低い(単位体積当たりの装填密度が低い)という欠点がある。
【0026】
水酸化ニッケル電極は「ポケット極板」電極として作製することも出来る。ポケット極板電極は先ず活性電極組成物(水酸化ニッケル活性物質に加えてコバルト、酸化コバルト、及び結合剤を含むことがある)を作製することによって製造される。活性電極組成物は次いで導電性基板の予め形成されたポケット内に入れられる。ポケットの端は活性組成物が落ちるのを防ぐために折り目がつけられる。ポケット極板電極は焼結電極よりも比較的に安価であるが、厚さが大であるために低電流放電に限定される。加えて、ポケット極板電極は重くて且つ作製するのが容易ではない。
【0027】
水酸化ニッケル電極は、微細寸法制御電極として作製することも出来る。微細寸法制御電極は水酸化ニッケルの薄い層にはさまれた導電性多孔ニッケル箔として形成される。これらの電極の一体性と性能には疑問があり、製造費も比較的高い。
【0028】
水酸化ニッケル電極は、ペースト電極として作製することも出来る。この場合、水酸化ニッケル活性物質は、結合剤(PVA結合剤など)、濃厚化剤(カルボキシメチルセルローズなど)、及び水を加えてペーストにされる。活性組成物ペーストは、次に導電性基板に塗布される。通常は、活性組成物ペーストは、導電性ニッケル発泡体に塗布される。発泡体は、ペーストの導電性三次元支持構造物となる。発泡体の短所は、比較的に製造費が高いこと比較的厚いことである。通常は水酸化ニッケルペースト電極は、高い比エネルギーを得る目的で製造される。ハイブリッド電気自動車への応用においては、高い比出力が、高い比エネルギー水準よりもむしろ必要とされる。このような高い比出力を達成するためには、電極の厚さを低減する(できれば現状の電極厚さの1/4より小さい)ことが好ましい。このように薄い水酸化ニッケル電極の製作は、発泡体がカレンダーロールにかけて薄くされるとき発泡体支持構造物がそれに伴って強度を失うことが不可避であるため、困難なものであった。
【0029】
電気化学的電池用の水酸化ニッケル電極を作製する新しい方法が必要である。最新の研究は、水酸化ニッケル電極を製造する別の方法を見出すことに集中してきた。
【発明の開示】
【0030】
本発明の一様相は、電極活性物質をポリマー結合剤と組合せて活性組成物を生成する工程と、合体結合剤を溶融する工程と、前記活性組成物を押出し加工する工程と、を含んでいる電気化学的電池の電極を作製する方法である。加えて、活性組成物に気泡構造を生成することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
ここに開示されているのは、押出し加工法を用いて電気化学的電池用の電極を作製する方法である。この方法は、電気化学的電池用の水酸化ニッケル電極を作製するのに特に有用であり、全ての型の電気化学的電池の正電極と負電極の両者を作製するのに用いられる。一般に、電気化学的電池は、この技術分野で知られた如何なる型の電気化学的電池であってもよく、バッテリー電池、燃料電池、及び電解槽電池を含む。電気化学的電池は、水性と非水性電気化学的電池の両方を含む。上述のように、非水性電気化学的電池の実例はリチウム・イオン電池である。同じく上で言及したように、水性電気化学的電池は、酸性又はアルカリ性の何れかである。
【0032】
本発明の押出し加工法は、押出し器を用いて行われることが好ましい。一般に、単一スクリュー押出し器、又は双スクリュー押出し器など如何なる型の押出し器も使用できる。単一スクリュー押出し器60の実例の略図を図1に示す。押出し器60は、電気化学的電池の電極用活性組成物を生成するための成分材料を収容するように、水平に配置された円筒62を含んでいる。電気化学的電池の電極用活性組成物は、ここでは「活性電極組成物」とも呼ぶ。活性電極組成物は、少なくとも電極活性物質とポリマー結合剤とを含む。その他の成分材料を含むこともできる。
【0033】
活性電極組成物用の成分材料は、ホッパー64内に入れられる。ホッパー64は、円筒62の入口66と連通しており、ホッパー64に入れられた成分材料は、入口66を通り円筒内部へ送られる。押出し器60は、更に、円筒62の内部に配置されたスクリュー68を含む。円筒の後端部又は上流端部に設置された駆動装置70は、スクリュー68を駆動し、円筒の軸に対して相対的な回転運動をさせる。スクリューが回転すると、それは円筒62内部に導入された成分材料を、軸方向に押す乃至は前進させる。加えて、スクリューは複数の成分材料を一緒に混合し、物理的な混合物の形態をなす活性電極組成物を生成する。図1の略図には示されていないが、スクリュー68は、成分材料を完全に混合して活性電極組成物を生成するように、混合能力を向上させるために特別に設計した混合器部分を含むことも出来る。成分材料が押出し器の外で混合され、且つ得られた混合物がホッパーを経由して押出し器内に導入されるということも可能であるという点を特筆する。混合は、ボールミル(混合ボールの有無によらず)、調合ミル、篩、又は類似物によって達成することも出来る。
【0034】
スクリュー68は、結果として得られた成分材料の混合物を、円筒の前方端部又は下流端部に配置された出口ダイス72へ前進させる。押出し器60は、円筒62へ熱を供給する電気加熱バンド74を含んでいる。円筒の温度は、熱電対76によって測定される。加熱バンドにより与えられた熱は、成分材料及び混合物が出口ダイス72に向かって下流へと移動する間に、得られる混合物ばかりでなく成分材料をも加熱する。
【0035】
出口ダイス72は開口80を含む。スクリューの回転運動は、円筒内部にある活性電極組成物に十分な背圧を与え、活性電極組成物を開口の外へ押しまたは押出す。開口80は薄いスロットであることが好ましい。従って、開口80から外へ押出される活性組成物は、実質的に扁平な固形になっている材料の薄板の形をとる。
【0036】
活性電極組成物は、成分材料の加熱された混合物を生成するように成分材料を混合し且つ加熱することによって、このように形成することができる。上述のように、活性電極組成物は少なくとも電極活性物質とポリマー結合剤とを含む。以下で説明するように、導電性粒子(例えば導電性繊維)、気泡生成助剤、又は導電性ポリマー、などのその他の成分材料を任意に添加することができる。
【0037】
加熱バンドは、ポリマー結合剤を溶融させるのに十分な熱を供給することが好ましい。即ち、ポリマー結合剤を溶融する段階までもっていくことが好ましい。理論によって束縛されることを望んではいないが、ポリマー結合剤を溶融させることが、実質的に均一な組成を有する活性電極材料を与えると信じられている。
【0038】
ポリマー結合剤は、アルカリ性電解液中で安定であるもを選ぶのが好ましい。例えば、ポリマー結合剤は、アルカリ金属の水酸化物(水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又はそれらの混合物、など)の水溶液中で安定であるように選ばれるのが好ましい。
【0039】
更に、ポリマー結合剤は、用いる電極活性物質の熱的安定温度よりも低い融点を有するものを選ぶことが好ましい。電極活性物質の温度がその熱的安定温度を超えると、電極活性物質としてもはや役に立たない。例えば、水酸化ニッケルの温度がその熱的安定温度(約140℃から150℃以上)を超えると、水酸化ニッケルは脱水素反応を起こして水酸化ニッケルは酸化ニッケルに変換され、電極活性物質としてもはや役に立たない。本発明の一実施形態(特に水酸化ニッケルを電極活性物質として用いる場合)においては、ポリマー結合剤は、好ましくは約150℃より低い融点を持つもの、更に好ましくは約140℃より低い融点を持つものとなる。
【0040】
ポリマー結合剤は、ポリオレフィンであってもよい。使用できるポリオレフィンの例は、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及びエチレンビニルアセテート(EVA)を含む。好ましくは、ポリマー結合剤は低密度ポリエチレン(LDPE)、又はエチレンビニルアセテート(EVA)(又は両者の混合物)である。より好ましくは、ポリマー結合剤はエチレンビニルアセテート(EVA)である。選ばれるEVAは、約110℃の融解温度と約2のメルト・インデックスを有するものである。
【0041】
ポリマー結合剤は、フッ素樹脂であってもよい。フッ素樹脂の実例はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。使用できるその他のフッ素樹脂は、フッ素添加した過フルオロ エチレン−プロピレン共重合体(FEP)、過フルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、弗化ポリビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、弗化ポリビニル(PVF)を含む。
【0042】
上で言及したように、活性電極組成物(好ましくは混合物の形態で)は出口ダイスのスロットから押出されて、活性組成物の連続した固形の薄板を形成する。活性組成物の押出し薄板の厚さは、スロットの幅を変えることで制御することができる。
【0043】
活性組成物の押出し薄板は導電性基板の上に取り付けられて、「電極ウェブ」とも呼ばれる連続した電極を形成する。特に、活性組成物の押出し薄板は導電性基板上にロール圧着することができる。一般に、使用する導電性基板は、この技術分野で知られた如何なる導電性基板でもよい。使用される導電性基板の実例は、以下で更に詳細に説明される。好ましくは、導電性基板は、電極膜が比較的薄く作製できるように、多孔金属薄板又はエキスパンド・メタル薄板である。加えて、多孔金属薄板又はエキスパンド・メタル薄板は、比較してより高価な導電性発泡体の代わりに使用でき、それによって電極生産費が低減される。連続した電極膜は切断されて、望みの寸法を有する個々の電極板を形成する。次に電極タブを電極板に(好ましくは溶接で)取り付けることが出来る。
【0044】
本発明で用いられる電極活性物質は、この技術分野で知られた如何なる電極活性物質でもよく、燃料電池用電極活性物質及び電池用電極活性物質も含まれる。電極活性物質は、正電極活性物質又は負電極活性物質でありうる。正電極活性物質は電池の正電極用活性物質であることがあり、燃料電池の正電極(燃料電池の正電極は空気電極であって、燃料電池の「カソード」とも呼ばれる)用活性物質であることもある。負電極活性物質は電池の負電極用活性物質であることがあり、燃料電池の負電極(燃料電池の負電極は水素電極であって、燃料電池「アノード」とも呼ばれる)用活性物質であることもある。如何なる正電極活性物質及び如何なる負電極活性物質(電池用又は燃料電池用の何れも)も本発明の範囲内にある。
【0045】
電池における正電極用の電極活性物質の実例は、酸化鉛/二酸化鉛、二酸化リチウム・コバルト、二酸化リチウム・ニッケル、酸化リチウム・マンガン化合物、酸化リチウム・バナジウム化合物、酸化リチウム鉄、リチウム化合物(同じくこれらの化合物の複合酸化物)、リチウム層間化合物を有することが知られているその他の材料、遷移金属酸化物、二酸化マンガン、酸化銅、酸化モリブデン、及びフッ化炭素を含むが、これらに限定はされない。これらの材料を組合せた材料も用いることができる。電池用の好ましい正電極活性物質は水酸化ニッケル材料である。如何なる水酸化ニッケル材料も使用できるということは本発明の範囲内である。水酸化ニッケル材料の実例は上に提供されている。正電極活性物質は、その開示内容が引用してここに取り入れてある米国特許番号第6,177,213号で開示されているように、内部に埋め込まれた導電材料(ニッケル繊維など)ばかりでなく、外部から添加した導電性向上剤をも含むことができる。
【0046】
燃料電池の正電極(酸素電極又は「カソード」とも呼ばれる)用の正電極活性物質は、白金、銀、マンガン、酸化マンガン(二酸化マンガンなど)、及びコバルトを含む。通常これらの触媒材料は、主として炭素/テフロンを基材とした大表面積微粒子に添加される。
【0047】
電池の場合の負電極用の負電極活性物質の実例は、金属リチウム及び類似のアルカリ金属、炭素材料を吸蔵したアルカリ金属、亜鉛、酸化亜鉛、カドミウム、酸化カドミウム、水酸化カドミウム、鉄、酸化鉄、及び水素吸蔵合金を含むが、これらに限定されない。
【0048】
電池における負電極用の好ましい負電極活性物質は、水素吸蔵合金である。一般に、如何なる水素吸蔵合金も使用できる。水素吸蔵合金は、AB、AB、及びAB型の合金を含むがこれらに限定されない。例えば、水素吸蔵合金は、希土類/ミッシュメタル合金、ジルコニウム合金、又はチタン合金から選ぶことができる。加えて、合金の混合物も使用できる。具体的な水素貯蔵材料の実例は、組成(Mm)a NiCoMnAlを有する水素吸蔵合金であって、Mmは60から67原子パーセントのLa、25から30重量パーセントのCe、0から5重量パーセントのPr、0から10重量パーセントのNdを含むミッシュメタルであり、bは45から55重量パーセント、cは8から12重量パーセント、dは0から5.0重量パーセント、eは0から2.0重量パーセントであり、a+b+c+d+e=100重量パーセントである。水素吸蔵合金のその他の実例は、上述してある。
【0049】
燃料電池の負電極(水素電極又は「アノード」とも呼ばれる)用の電極活性物質は、水素吸蔵合金及び貴金属(例えば、白金、パラジウム、金、など)のような触媒材料を含む。通常これらの触媒材料は、主として炭素/テフロンを基材とした大表面積微粒子に添加される。
【0050】
電極が押出し加工法を用いて形成される時に、追加成分材料を活性電極組成物に添加することができる。追加材料は、ホッパーを介して押出し器中に入れることにより活性電極組成物中へ導入される。例えば、活性電極組成物は、電極内の電気伝導性の助けになる更に別の導電性材料(例えば、導電性添加剤)を含むことができる。導電性材料は炭素を含むこともある。炭素は、黒鉛又は黒鉛を含有する複合材の形をとってもよい。導電性材料は、純金属又は金属合金のような金属材料であってもよい。金属材料は、金属ニッケル、ニッケル合金、金属銅、銅合金、金属銀、銀合金、金属ニッケルでめっきされた金属銅、金属銅でめっきされた金属ニッケルを含むが、これらに限定されない。導電性材料は、炭素、銅、ニッケル、及び銀から成る群から選ばれた、少なくとも一つの周期律表元素を含むことが出来る。即ち、導電性材料は、C、Cu、Ni、及びAgから成る群から選ばれた少なくとも一つの周期律表元素を含むことが出来る。
【0051】
導電性材料は、粒子の形をとることが出来る。粒子は如何なる形をとってもよく、繊維の形をとることもできる。そのほか、電極の環境と共存できるその他の如何なる導電性材料も使用することができる。(電極環境は、電極自身の電位ばかりでなく、周囲を取巻く電解液のpHなどの因子も含んでいる。)その他に、コバルト又は酸化コバルトなどのよく知られた電極性能向上材料のいかなるものでも、適切な量だけ活性電極組成物へ添加することができる。
【0052】
気泡形成剤などのその他の成分も、活性電極組成物の多孔度(つまり表面積)を増加させるように、活性電極組成物へ添加してもよい。一般に、この技術分野で知られている如何なる種類の気泡形成材も活性組成物に添加することができる。一つの実施例においては、押出し器内の活性組成物に粒子を加え、次いで押出し器の出口ダイスから押出された後でこれらの粒子を取り除くことによって、気泡を生成することができる。(粒子は、活性組成物が導電性基板に取り付けられる以前又は以後のいずれかにおいて、活性組成物から除去することができる。)粒子を除去することにより、活性組成物の押出し薄板に気泡を残す。このような気泡形成粒子は、押出し器のホッパー内に入れることにより活性組成物へ添加することができる。押出し器の内部の処理温度(好ましくは約150℃より低く、更に好ましくは約140℃より低い)で熱的に安定な、如何なる水溶性無機塩もこのような目的に適している。気泡形成粒子の実例は塩化ナトリウム(例えば、食塩)である。塩化ナトリウムは、押出し器の円筒内部の温度(上述したように、好ましくはポリマー結合剤の融点以上であるが、電極活性物質の安定温度以下で)において通常安定である。活性組成物が出口ダイスの開口を通して押出された後に、塩化ナトリウムは、押出された薄板を水中に入れることにより、活性組成物の押出し薄板から除去することができる。水は塩化ナトリウムを溶出し、後に気泡を残す。平均気泡寸法及び全体としての電極多孔度が、使用する気泡形成剤の量を制御することによって精確に制御できる。如何なる材料も、押出し器の円筒内部の温度で安定であり、且つ活性組成物の押出し薄板から溶出され得るものであれば、使用することができるという点を注目すべきである。使用される材料は、水溶性溶媒(水など)によって活性電極薄板から溶出され得るものであることが好ましいけれども、非水溶性溶媒によって溶出され得る材料が使用されるということもあり得る。例えば、鉱油が気泡形成剤として活性組成物に添加されることもある。鉱油は、押出し活性電極薄板から有機溶媒によって溶出できる。
【0053】
気泡は、「発泡剤」と呼ばれる材料を押出し器器内の活性組成物に添加することにより形成することができる。発泡剤は、押出し温度で分解してガスを生成することができる如何なる化合物であってもよい。発泡剤の実例は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、及び重炭酸アンモニウムを含む。これらの材料のつまたは一つ以上を、押出し器の装入ホッパーに入れることにより活性組成物に添加することができる。一般に、発泡剤は、活性電極組成物に添加されるけれども、押出し加工温度において(即ち押出し器内部の活性組成物の温度において)押出し器器内で分解する。発泡剤材料が分解するとガスが解放されて、活性電極組成物内に気泡が発生する。一例として、炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの何れかがホッパーに添加されて押出し器内で活性組成物に混合されると、押出し器が炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムを加熱すると、分解してアンモニアガスと二酸化炭素とを生成する。同様に、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムがホッパーに添加されて活性組成物に混合されると、押出し器は炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムを加熱して二酸化炭素ガスが生成する。ガスは活性電極組成物に気泡を形成する。全体としての電極多孔度及び気泡の平均の大きさが、使用する発泡剤の量を制御することによって容易且つ精確に制御できる。
【0054】
気泡は、ガスを押出し器内の活性組成物に直接注入することによって、活性電極組成物中に形成することもできる。ガスの直接注入は、活性電極組成物内の気泡形成を起こさせる。ガスの直接注入は、ポリマーが押出し器内で既に溶融しているとき、活性組成物が出口ダイスの開口から押出される直前に行なわれるのが好ましい。
【0055】
活性組成物内への気泡の導入は、多孔度、従って活性組成物の表面積、を増大させる。増大した多孔度は、電気化学的電池における電解液への電極活性物質の露出度及び到達性を増大させ、利用される活性物質の量を増大させる。増大した露出度は、活性物質の触媒特性をも増強する。押出し器内に導入される気泡形成助剤の量を制御することにより、多孔度を制御できる点が注目される。
【0056】
導電性ポリマーを、活性電極組成物の成分材料として添加することもできる。これは導電性ポリマーを押出し器のホッパーへ入れることで達成できる。活性組成物に用いられる導電性ポリマーは、電気伝導性を本来備えた材料である。一般に、如何なる導電性ポリマーも活性組成物に用いることができる。導電性ポリマーの実例は、その開示内容が引用してここに取り入れてある、米国特許番号第5,783,111号で開示されている電気伝導性組成物のような、ポリアニリンに基づく電気伝導性組成物を含む。ポリアニリンはポリマーの一族である。ポリアニリンとそれらの誘導体は、アニリン(CNH)の化学的又は電気化学的な酸化重合によって調製できる。ポリアニリンは、それらの誘導体塩が優れた化学的安定性と比較的高い水準の電気伝導性とを有している。ポリアニリンポリマーは、陽子の数、電子の数、又はその両者、の何れかを変化させることにより変性することができる。ポリアニリンポリマーは、幾つかの一般的な形態で存在し、一般式
【化5】

【0057】
を有する所謂還元された形(ロイコ・エメラルダイン塩基);一般式
【化6】

【0058】
の部分的に酸化された所謂エメラルダイン塩基型;及び一般式
【化7】

【0059】
の完全に酸化された、所謂ペルニグラニリン型を含む。
【0060】
実際には、ポリアニリンは一般式(I)を有する幾つかの形態の混合物として通常存在する。
【化8】

【0061】
ここで、0≦y≦1であるとき、ポリアニリンポリマーはポリ(パラフェニレンアミンイミン)と呼ばれ、ポリマーの酸化状態はyの値が減少するにつれて連続的に増加する。完全に還元されたポリ(パラフェニレンアミン)はロイコ・エメラルダインと呼ばれ、y=0の値に対応する、上で示した繰返し単位を有する。完全に酸化されたポリ(パラフェニレンイミン)はペルニグラニリンと呼ばれ、上で示した繰返し単位を有し、y=0の値に対応する。0.35以上で0.65以下の範囲のyを有する部分的に酸化されたポリ(パラフェニレンイミン)はエメラルダインと称されるが、エメラルダインという名はyが0.5かその近傍の組成に限定されることが多い。このように、用語「ロイコ・エメラルダイン」、「エメラルダイン」、及び「ペルニグラニリン」はポリアニリンの異なった酸化状態を意味する。各酸化状態は、その塩基の形態そのまま、又は塩基の酸による処理によりプロトン化された形態(塩)で存在し得る。
【0062】
用語「プロトン化された」及び「部分的にプロトン化された」は、ここでは、例えば無機又は有機酸などのプロトニック酸により、ポリマーへ水素イオンを付与することを意味するが、それに限定はされない。用語「プロトン化された」及び「部分的にプロトン化された」の本明細書での使用は、これだけには限定はされないが、例えば金属イオンMなどの陽イオンがポリマーに導入されるような、擬似プロトン化も含まれる。例えば、エメラルダインの50%プロトン化は、形の上では以下の式の組成物をもたらす。
【化9】

【0063】
形の上では、プロトン化率は、比[H]/[−N=]=0から、比[H]/[−N=]=1まで変化することができる。アミン(−NH−)のサイトにおけるプロトン化又は部分的プロトン化も起こり得る。
【0064】
ポリアニリンポリマーの電気的及び光学的特性は、異なった酸化状態及び異なった形態に伴って変化する。例えば、ポリマーのロイコ・エメラルダイン塩基の形態は電気的に絶縁性で、一方ポリマーのエメラルダイン塩(プロトン化された)の形態は導電性である。それに対応する塩を生成するための、HCl水溶液(1モル濃度のHCl)によるエメラルダイン塩基のプロトン化は、約1010の電気伝導度の増加をもたらす。エメラルダイン塩の形態は、適切なpH水準の電解質の存在下で、ロイコ・エメラルダイン塩基ポリマーの電気化学的酸化又はペルニグラニリン塩基ポリマーの電気化学的還元によっても、達成することが出来る。
【0065】
エメラルダイン塩基に不純物を添加して導電性エメラルダイン塩を生成するために用いられる、若干の典型的な有機酸は、メタンスルホン酸(MSA)CH−SOH、トルエンスルホン酸(TSA)、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)、及び樟脳スルホン酸(CSA)である。
【0066】
導電性ポリマーのその他の実例は、ポリピロールを基とした導電性ポリマー組成物を含む。更にその他の導電性ポリマー組成物は、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリパラフェニレンビニレンを基とした導電性ポリマー組成物である。
【0067】
導電性ポリマーは、活性組成物の約0.1重量パーセントと約25重量パーセントの間にあることが好ましい。本発明の一実施形態においては、導電性ポリマーは、活性組成物の約10重量パーセントと約20重量パーセントの間にあることが好ましい。
【0068】
本発明の活性電極組成物は、更にラネー触媒、ラネー合金、又はそれらの混合物を含むことも出来る。ラネー触媒、及び/又はラネー合金は、ホッパーを介して押出し器に入れることにより、活性電極組成物に添加することができる。
【0069】
ラネー処理は、最初に少なくとも金属の二元合金を形成することによって、多孔質の活性金属触媒を作製する処理法であって、少なくとも金属の一つは抽出が可能であり、その金属を抽出することによって、触媒としての活性度を有する不溶解性金属である多孔質残渣が得られる。例えば、“Catalysts from Alloys-Nickel Catalysts”M.Raney, Industrial and Engineering Chemistry, vol. 32,. p1199, September 1940を参照のこと。 同じく、米国特許番号第1,628,190号、第1,915,473号、第2,139,602号、第2,461,396号、及び第2,977,327号を参照のこと。米国特許番号第1,628,190号、第1,915,473号、第2,139,602号、第2,461,396号、及び第2,977,327号の開示内容は、全て引用してここに取り入れてある。ラネー処理金属は、ラネー処理の技術分野で周知の、多孔質残渣として残留する不溶解性金属のある特定の群に属する何れにも該当する。不溶解性ラネー処理金属は、ニッケル、コバルト、銀、銅、及び鉄を含むが、これらに限定されない。ニッケル、コバルト、銀、銅、及び鉄の不溶解性合金も用いることができる。
【0070】
ラネー合金は、不溶解性のラネー処理金属(又は合金)と、アルミニウム、亜鉛、又はマンガンなど(シリコンも抽出可能材料として用いることができる)の溶解性金属(又は合金)とを含む。ラネー合金の実例は、元素ニッケルと元素アルミニウムを含むラネーニッケル−アルミニウム合金である。好ましくは、ラネーニッケル−アルミニウム合金は、約25から約60重量パーセントニッケルを含み、残部は殆どアルミニウムである。より好ましくは、ラネーニッケル−アルミニウム合金は、約50重量パーセントニッケルと約50重量パーセントのアルミニウムとを含む。
【0071】
ラネー触媒は、ラネー合金から溶解性金属を浸出する工程を含むラネー処理によって作製される触媒である。浸出工程は、ラネー合金を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、又はそれらの混合物などのアルカリ金属水酸化物の水溶液に曝すことによって達成することが出来る。浸出工程の後、残っているラネー合金不溶解性成分がラネー触媒を形成する。
【0072】
ラネー触媒の実例はラネー・ニッケルである。ラネー・ニッケルは、上で説明したラネー・ニッケル−アルミニウム合金をラネー処理に曝すことにより形成でき、それにより溶解性アルミニウムの大部分が合金から浸出される。残っているラネー・ニッケルは、95重量パーセントを超えるニッケルを含むことが出来る。例えば、アルミニウムとニッケルの50:50合金の形態であるラネー合金(粉体形状が好ましい)を、アルカリ溶液と接触させる。アルミニウムは溶液中に溶解して、微細に分割されたラネー・ニッケル微粒子を後に残す。(微粒子は次いで濾過され、本発明の活性電極組成物に添加される。)ラネー触媒のその他の実例は、ラネー・コバルト、ラネー銀、ラネー銅、及びラネー鉄である。
【0073】
上述のように、ラネー合金はラネー触媒の代りに(又はそれに加えて)活性電極組成物へ添加することができる。従ってラネー合金を電極の活性組成物に添加することによって、ラネー触媒を「その場で」形成することができる。例えば、ラネー合金(ニッケル−アルミニウム合金など)は水素吸蔵合金と一緒に混合されて、アルカリ性ニッケル金属水素化物電池における負電極用の活性組成物を形成することができる。電池のアルカリ性電解液は、そこでアルミニウムを溶出することができるので、ラネー・ニッケル触媒がその結果として形成される。上述のように、ラネー合金は如何なる方法で電極に添加してもよい。ラネー合金とラネー触媒について説明は、米国特許番号第6,218,047号に更に与えられており、その開示内容は、引用してここにこうして取り入れてある。
【0074】
更に、電気化学的電池の高温性能を改善するために有用な添加剤を押出し加工中に添加することが出来る。このような添加剤の具体例は、酸化カルシウム・コバルト、酸化カルシウム・チタン、酸化カルシウム・モリブデン、及び酸化リチウム・コバルトを含む。これらの添加剤は、水酸化ニッケル電極を作成するときに特に有用である。理論によって縛られるのは望まないが、これらの添加剤は高温における酸素発生反応の電気化学的ポテンシャルを高めるように働くと信じられている。その結果、水酸化ニッケルからオキシ水酸化物ニッケルへの充電反応が十分に進行し、高温雰囲気におけるニッケル正電極の利用率を改善する。これらの添加物についての更なる説明は、米国特許番号第6,017,655号の中に見出すことができ、その開示内容は、引用してここにこうして取り入れてある。
【0075】
水酸化ニッケル電極の高温性能を改善できるその他の添加剤は、希土類鉱物(例えば、バストネサイト、モナザイト、ロパライト、ゼノタイム、燐灰石、ユージアライト、及びブラネライト)と希土類精鉱(バストネサイト精鉱、モナザイト精鉱、ロパライト精鉱、ゼノタイム精鉱、燐灰石精鉱、ユージアライト精鉱、及びブラネライト精鉱)などの鉱物を含む。このような鉱物添加物についての補足説明は、米国特許番号第6,150,054号の中でなされており、その開示内容は、引用して取り入れてある。
【0076】
高温性能を改善する更にその他の添加剤は、ミッシュメタル合金を含み、特に遷移金属(ニッケルなど)を含有するミッシュメタル合金を含む。
【0077】
また別の結合剤材料を押出し器中に導入し、活性組成物に添加して、活性電極材料の粒子間結合を更に改善することができる。結合剤材料は、例えば、電極がその有効寿命の間に劣化するのを防ぐように、活性物質を互いに結合させる如何なる材料であってもよい。結合剤材料は、好ましくは電池化学的電池内に存在する環境に抵抗力があるべきである。活性組成物に添加することができる追加結合剤材料の実例は、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルローズ(CMC)、及びヒドロキシプロピルメチルセルローズ(HPMC)を含むが、これらに限定されない。活性組成物に追加して添加することができる結合剤材料のその他の実例は、スチレンブタジエンなどのエラストマーポリマーを含む。その上、用途に応じて、更に別の疎水性材料を活性組成物に添加することがある。(従って、追加結合剤材料が疎水性であることになる。)
上述のように、活性電極組成物が出口ダイスの開口から押出された後で、結果として得られる活性組成物の押出し薄板が導電性基板に取り付けられて、連続的な電極巻取り薄板(引き続いて個別の電極に切断される)を形成することができる。好ましくは、押出された活性組成物は導電性基板の上に圧縮される。導電性基板は、この技術分野で知られた如何なる電気伝導性支持構造物であってもよい。実例は、網状物、格子、発泡体、エキスパンドメタル及び多孔金属板を含む。好ましくは、導電性基板は、網状物、格子、エキスパンドメタル、又は多孔金属板であって、結果として得られる電極は比較的に薄い。
【0078】
導電性基板は、如何なる電気伝導性材料から形成してもよく、純金属又は合金などの金属材料から形成されるのが好ましい。使用できる材料の実例は、金属ニッケル、ニッケル合金、金属銅、銅合金、金属銅でめっきされた金属ニッケルや金属ニッケルでめっきされた金属銅などのニッケルめっきした金属を含む。基板に用いられる実際の材料は、基板が正電極と負電極の何れに用いられようとしているのか、電気化学的電池の型(例えば、バッテリー電池か燃料電池か)、電極の電位、電気化学的電池の電解液のpHを含む多くの因子に依存する。
【0079】
電極は、導電性基板なしでも形成できるという点が注目される。例えば、導電性繊維は、活性組成物に混ぜ込まれて必要な導電性集電路を形成することができる。従って、活性組成物の押出し薄板は、導電性基板を追加して使用しないで電極を形成することができる。
【0080】
本発明の処理法は、バッテリー電池用の正及び負電極、燃料電池用の正及び負電極、及び電解槽単電池用の電極を含む全ての型の電気化学的電池用電極を形成するのに使用できる。
【0081】
本発明の電極の一例は、水酸化ニッケル電極(ニッケル電極とも呼ばれる)である。この場合、活性電極組成物は水酸化ニッケル材料とポリマー結合剤とを含む。如何なる水酸化ニッケル材料も使用できる。水酸化ニッケル材料の実例は上に与えられている。水酸化ニッケル電極は、電池の正電極として使用することができる。例えば、水酸化ニッケル電極は、ニッケル-金属水素化物電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル亜鉛電池、ニッケル鉄電池、又はニッケル水素電池の正電極として使用できる。
【0082】
本発明電極の別の実例は、水素吸蔵合金電極である。この場合、活性電極組成物は水素吸蔵合金とポリマー結合剤とを含む。如何なる水素吸蔵合金も使用できる。水素吸蔵合金の実例は上で説明されている。水素吸蔵合金電極は、ニッケル−金属水酸化物電池のような電池用負電極として使用することができる。更に、水素吸蔵合金電極は、燃料電池の負電極としても使用できる。
【0083】
従って、本発明の処理法は、電気化学的電池用の電極を作製するのに使用することができ、ここで電気化学的電池は、バッテリー電池、燃料電池、又は電解槽でもよい。好ましくは、電気化学的電池の電解液は、アルカリ性電解液である。アルカリ性電解液は、アルカリ金属水酸化物の水溶液であることが好ましい。アルカリ金属水酸化物の実例は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、及びそれらの混合物を含む。好ましくは、アルカリ金属水酸化物は水酸化カリウムである。
【0084】
本発明の方法を用いて形成される電気化学的電池の一実施形態は、ニッケル−金属水素化物電池である。ニッケル−金属水素化物電池は、少なくとも一つの水素吸蔵合金負電極、少なくとも一つの水酸化ニッケル正電極、及びアルカリ性電解液を含む。
上述のように、電気化学的電池は燃料電池であってもよい。燃料電池は、正及び負電極の両方に連続的に試薬(燃料)を供給することによって作動し、そこで相当する電気化学的反応により反応が起こる。化学エネルギーが電池内に貯蔵される電池と異なり、燃料電池は一般に電池の外から反応物が供給される。燃料電池は如何なる型の燃料電池であってもよい。燃料電池の実例はアルカリ燃料電池及びPEM(陽子交換膜)燃料電池を含む。
【0085】
燃料電池は少なくとも一つの負電極と少なくとも一つの正電極を含む。負電極は燃料電池の水素電極又はアノードとして働き、一方、正電極は燃料電池の空気電極又はカソードとして働く。アルカリ燃料電池の簡単な例が図2に示してある。図2に示すように、アルカリ燃料電池120は、アノード124、カソード126及び、アノード124とカソード126の間の多孔質非導電性マトリックス内に保持されたアルカリ性電解液122を含む。上述のように、アルカリ性材料はアルカリ金属水酸化物の水溶液であることが好ましい。アルカリ金属水酸化物は、水酸化カリウム、水酸化リチウム、又は水酸化ナトリウムの一つ以上を含んでもよい。水酸化カリウムは、アルカリ燃料電池の電解液として通常用いられる。
【0086】
水素ガスがアノード124に供給され、酸素ガスがカソード126に供給される。ここに示した実施形態において、水素ガスは水素区画113を経由してアノード124に供給され、酸素ガスは酸素/空気区画117を経由してカソード126へ供給される。反応関与ガスは、電極を通過して触媒の存在下で電解液122と反応し、水、熱、及び電気を生成する。アノード124においては次の反応に従って、水素は電気化学的に酸化されて水を生成し、電子を放出する。
【化10】

【0087】
こうして発生した電子は、アノード124から外部回路を通ってカソード126へ伝えられる。カソード126では次の反応に従って、酸素、水、及び電子が反応して酸素を還元し、ヒドロキシルイオン(OH)を生成する。
【化11】

【0088】
電解液22を通過するヒドロキシル(OH)イオンの流れは、電気回路を完成させる。電子の流れは、アノード(負電極)とカソード(正電極)へ外部的に接続された負荷118へ電気エネルギーを供給するのに利用される。
【0089】
アノード触媒は、燃料電池の負電極(アノード)の電極活性物質である。同様に、カソード触媒は、燃料電池の正電極(カソード)の電極活性物質である。アルカリ燃料電池の場合に、アノード触媒はHからHイオンと電子(e)の生成の触媒作用と促進作用を行なう。これは水素分子からの水素原子の生成により起る。全体としての反応(ここで、Mは触媒)は下の式(7)である。
【化12】

【0090】
このように、アノード触媒は電解液界面で水の生成の触媒作用を行ない、且つ水素分子を効率よく水素イオンに解離する。使用可能なアノード触媒の実例は、白金、パラジウム、及び金などの貴金属を一つ以上含有する材料を含む。その他のアノード触媒は水素吸蔵合金を含む。従って、アノード触媒(即ち、燃料電池の負極用の活性物質)は水素吸蔵合金であってもよい。一般に、如何なる水素吸蔵合金もアノード触媒として使用できる。水素吸蔵合金をアノード触媒として用いるアルカリ燃料電池の実例は、米国特許番号第6,447,942号の中で与えられており、その全開示内容は、ここに引用して取り入れてある。
【0091】
上述のごとく、燃料電池の正電極は、燃料電池において空気電極又はカソードである。燃料電池カソードは、酸素分子を酸素原子に解離する触媒作用を行ない、且つ水と酸素イオンからの水酸化物イオン(OH)の生成を触媒する作用を行なうカソード活性物質を含む。このような触媒材料の実例は、銀などの非貴金属及び白金などの貴金属も含む。通常、触媒材料(白金又は銀などの)は、支持体(比較的大きな表面積を有することが好ましい)の上に分布させられる。支持体の実例は、比較的高い多孔度を有する微粒子(炭素微粒子など)である。燃料電池のアノード及び/又はカソードは、本発明の押出し加工法によって形成することができる。
【0092】
本発明の押出し加工法によって形成された電極は、焼結やペースト付けなどの従来の方法で形成された電極を凌駕する幾つかの利点を有する。例えば、電極(水酸化ニッケル電極など)が押出し加工法で形成される場合は、比較的高価なニッケル発泡体を導電性基板として使用する必要がない。網状物、多孔金属板、又はエキスパンドメタル、などのより安価な基板で発泡体を置き換えることができる。
【0093】
更に、本発明の押出し加工法は、制御できる厚さを有する電極の連続的生産を可能にする。上述のように、活性組成物の連続薄板は押出し器の出口ダイスの開口から押出される。押出された活性組成物は、導電性基板に取り付けられて連続した電極ウェブを形成することができ、それは後で個別の電極に切断される。
【0094】
加えて、本発明の押出し加工法は、無駄な電極材料の量を減らすことができる。例えば、電極を作製するのに押出し加工法を用いるとき、ダイスの開口から押出されても最初は電極を作製するのに使用されなかった活性組成物は、貯めて置いて後から押出し器のホッパーへ戻し入れられる。ホッパーに供給された材料は、廃棄せず再処理することができる。
【0095】
従って、本発明の押出し加工法は、他の従来の方法に比べて効率的で廉価な電極作製処理法を提供する。
【実施例】
【0096】
以下の実施例1〜5に用いた押出し器は、単一スクリュー押出し器であった。以下の材料が、以下の実施例1〜6で用いられた。
【0097】
1)基本材料(水酸化ニッケル活性物質を含む):
89%水酸化ニッケル、5%コバルト、6%酸化コバルト
2)ポリマー結合剤:
エチレン−ビニル アセテート共重合体(EVA)、ビニルアセテート含有量9%とメルト・インデックス3.2を有し、膜押出し級。
【0098】
3)鉱油:
25℃での比重0.864と40℃での粘性係数95センチ・ストークスとを有する白色鉱油。
【0099】
(実施例1)
65.0%の基本材料、29.0%のポリマー結合剤、及び6.0%の鉱油を事前に混合することによって活性組成物が形成された。事前混合した活性組成物を単一スクリュー押出し器に入れて、四つの異なる操作条件で四つの異なるバッチの押出し活性組成物を製造した。押出し加工1A〜1Dに対応する操作条件は、以下の通りである。
【表1】

【0100】
上記4種全部の試行において、約0.010インチの厚さを有する活性組成物の、凝集性が強く、可撓性がある押出し薄板が得られた。
【0101】
(実施例2)
実施例1に示した押出し器加工条件を用い、以下の範囲の材料組成を用いて、活性組成物の幾つかの押出し薄板を製造した。
【0102】
基本材料:60〜90重量%
ポリマー結合剤:10〜40重量%
鉱油:0〜10重量%
(実施例3)
導電性添加剤を含む活性組成物を形成した。下の表は加工温度及び成分材料の組成範囲とを示す。全ての加工処理は約50rpmのスクリュー速度を用いて実行した。試行の結果はどの場合も、約0.010インチの厚さを持つ活性組成物の、凝集性が強く、可撓性がある押出し薄板を与えた。
【表2】

【0103】
(実施例4)
上の実施例1の活性組成物に2〜6重量%の重炭酸ナトリウムが添加された。重炭酸ナトリウムを用いて形成された活性組成物の押出し薄板は、重炭酸ナトリウムの添加量が増すにつれて、気泡形成の数が増大することを示した。
【0104】
(実施例5)
実施例1の活性組成物へ、1〜2.5重量%の重炭酸アンモニウム。活性組成物の押出し薄板は、重炭酸アンモニウムの添加量が増すにつれて、気泡形成の数が増大していくことを示した。
【0105】
(実施例6)
実施例1の活性組成物が、双スクリュー押出し器の装入ホッパーに添加され、活性組成物の押出し薄板が形成された。
【0106】
本発明は好ましい実施形態及び処理法と関連付けて説明してきたが、発明を好ましい実施形態と処理法のみに限定することを意図していないという点は理解されるべきである。かえって明細書に添付された特許請求の範囲によって定義された発明の精神と範囲内に含まれる全ての代替物、変更物、及び等価物を包含することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、単一スクリュー押出し器を簡単化した図である。
【図2】図2は、アルカリ燃料電池の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的電池の電極を作製する方法であって、前記方法は、
活性組成物を生成するように電極活性物質をポリマー結合剤と組合せる工程と、
前記ポリマー結合剤を溶融する工程と、
前記活性組成物を押出し加工する工程と、
を含んでいる。
【請求項2】
前記組合せる工程は、前記電極活性物質と前記ポリマー結合剤を混合する工程を含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記溶融する工程は、前記組合せる工程の中間に行なわれる、請求項1の方法。
【請求項4】
前記溶融する工程は、前記組合せる工程の後に行なわれる、請求項1の方法。
【請求項5】
前記押し出し加工した活性組成物を導電性基板上へ取付ける工程が更に含まれる、請求項1の方法。
【請求項6】
前記ポリマー結合剤の溶融温度が前記活性物質の安定温度より低い、請求項1の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記活性組成物に気泡を生成する工程を更に含む、請求項1の方法。
【請求項8】
前記気泡生成工程は、前記活性組成物が押出し加工される前にある材料を前記活性組成物中へ導入し、活性組成物が押出し加工された後で前記材料を除去する工程を含む、請求項7の方法。
【請求項9】
前記材料は塩化ナトリウムである、請求項8の方法。
【請求項10】
前記気泡生成工程は、ある材料を前記活性組成物中へ導入し、前記材料を前記押出し器中で分解してガスを生成する工程を含む、請求項7の方法。
【請求項11】
前記気泡生成工程は、前記活性組成物が押出し加工される前に、ガスを前記活性組成物中へ導入する工程を含む、請求項7の方法。
【請求項12】
前記組合せる工程は、前記電極活性物質と、前記ポリマー結合剤と、導電性ポリマーとを組合せる工程を含む、請求項1の方法。
【請求項13】
前記組合せる工程は、前記電極活性物質と、前記ポリマー結合剤と、導電性添加剤とを組合せる工程を含む、請求項1の方法。
【請求項14】
前記電極活性物質は正電極活性物質である、請求項1の方法。
【請求項15】
前記正極活性物質は水酸化ニッケル材料である、請求項1の方法。
【請求項16】
前記電極活性物質は負電極活性物質である、請求項1の方法。
【請求項17】
前記負電極活性物質は、水素貯蔵合金、カドミウム、亜鉛、又は鉄で構成される群から選ばれた材料を含む、請求項16の方法。
【請求項18】
前記負電極活性物質は水素貯蔵合金である、請求項16の方法。
【請求項19】
前記水素貯蔵合金は、希土類/ミッシュメタル合金、ジルコニウム合金、チタン合金、及びそれらの混合物又は合金で構成される群から選ばれる、請求項17の方法。
【請求項20】
前記導電性ポリマーは、ポリアニリンベースのポリマー、ポリピロールベースのポリマー、ポリパラフェニレンベースのポリマー、ポリアセチレンベースのポリマー、ポリチオフェンベースのポリマー、ジオキシチオフェンベースのポリマー、ポリパラフェニレンビニレンベースのポリマー、及びそれらの混合物で構成される群から選ばれた材料を含む、請求項12の方法。
【請求項21】
前記導電性ポリマーの重量百分率が、前記活性組成物の0.1重量パーセントと25重量パーセントの間にある、請求項12の方法。
【請求項22】
前記導電性基板は、グリッド、網状物、多孔金属板、エキスパンドメタル、及び発泡体で構成されている群から選ばれる、請求項5の方法。
【請求項23】
前記電気化学的電池はバッテリー電池である、請求項1の方法。
【請求項24】
前記電気化学的電池は燃料電池である、請求項1の方法。
【請求項25】
前記電気化学的電池は電解槽である、請求項1の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−523374(P2006−523374A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509736(P2006−509736)
【出願日】平成16年4月6日(2004.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/010551
【国際公開番号】WO2004/093213
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(505377061)テキサコ オヴォニック バッテリー システムズ エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】