説明

電気工具用バッテリーパック

【課題】機械的に安定で、電気的に高負荷を与えることのできる、高エネルギー密度のバッテリーパックを提供する。
【解決手段】1個の電気コンテナ(4,5)の電池装置は、隣接電池(3b)のグループの内側にある中央電池(3a)を有している。すべての隣接電池(3b)の電池軸線(63)と基準面(64)との交点(S)はほぼ楕円形の閉じた曲線上にある。隣接電池(3b)の数量は電池コンテナ(4,5)の電池(3a,3b,3c)の総数の3分の1よりも多い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の電気工具用バッテリーパック、特にパワーチェーンソー、刈り込みばさみ等の手で操縦される作業機用のバッテリーパックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コードレスドライバー、コードレスドリル、コードレス庭ばさみ等のバッテリーで作動する電気工具は知られている。この種の電気工具は、工具のハウジングで保持されているバッテリーパックによって作動せしめられる。利用者は適当な作動時間で十分なパワーを要求するが、特に手で操縦するものの場合には電気工具は重すぎてはならない。
【0003】
リチウム・カドミウム電池、ニッケル・メタルハイドライド電池を備えたバッテリーパック、或いは、リチウム電池をベースとしたバッテリーパックも知られている。特にリチウム電池をベースとしたバッテリーパックは高エネルギー密度を可能にし、高電圧が可能なことが利点である。
【0004】
丸のこ、刈り込みばさみ等を作動させるには、高エネルギー密度を有し、且つ長時間の作動時間にわたって作動時に生じる強い振動に耐えうるようなバッテリーパックが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、機械的に安定で、電気的に高負荷を与えることのできる、高エネルギー密度のバッテリーパックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の構成により解決される。
【0007】
本発明によるバッテリーパックに設けられる電池コンテナの電池装置は、電気的高負荷を保証する特定の幾何学的構成を有している。中心の中央電池は、請求項1に記載のように、電池軸線が共通の基準面(たとえば蓄電池の端部に平行な面)に対しほぼ垂直であるような隣接電池のグループの内側にある。すべての隣接電池の電池軸線と前記基準面との交点は、ほぼ楕円形の共通の曲線上にある。電池コンテナ内に配置される電池の総数に関しては、隣接電池の数量は電池コンテナの電池の総数の3分の1以上である。電池コンテナという概念は、一般に、互いに電気接触している電池の総数からなる電池装置のことである。
【0008】
このように電池を幾何学的配置構成すると、中央電池とこれを取り囲む隣接電池との間に、隣接電池から中央電池への熱移動を低減させる自由空間が生じる。その結果、中央電池が電池コンテナ内に配置されている他の蓄電池よりも著しく加熱されることがないので、電池コンテナまたは該電池コンテナを備えたバッテリーパックの寿命およびパワーを著しく向上させるような均一な熱負荷が与えられている。バッテリーパックのパワーは該パック内に取り付けられている電池のなかでもっとも弱い電池によって決定されるが、本発明によれば、電池は均一に熱負荷を受けるので、電池間のパワーの差が少なくなり、よって長時間の作動段階にわたっても顕著なトータルパワーが提供される。
【0009】
隣接電池の数量が電池コンテナ内に配置されている電池の総数の半分以上であれば、有利な配置構成が提供される。
【0010】
電池コンテナ内に取り付けられる電池の総数がほぼ9個ないし19個、特に15個であるのが有利である。本発明の他の構成によれば、1個の電池コンテナの隣接電池のグループは8個の電池から成っている。
【0011】
隣接電池のグループが最終電池から成る2つの端部列の間にあり、最終電池が好ましくは3個の電池から成る1つの電池列を形成しているのが合目的である。この場合、1個の電池コンテナの電池の位置は、縦中心軸線に関し左右対称に配置されている。これは、バッテリーパックの大量生産と電気結線とを容易にさせる。
【0012】
特別な構成では、1個の直方体状の電池コンテナが、その幅狭側に沿って、それぞれ3個の最終電池と、電池ホールダに関し中央の中央電池とを有している。この場合、中央電池は隣接電池の4個のカップリングによりほぼ左右対称に取り囲まれ、それぞれ2個の前記隣接電池は電池コンテナの縦側にある。他の2個の隣接電池は幅狭側に設けた最終電池と中央電池との間にある。このような構成により、5個の電池を備えた電池コンテナが得られ、その結果該電池コンテナはリチウムをベースにした蓄電池で約65ボルト以下の電圧を提供することができる。
【0013】
良好な熱分布を保証するため、1個のカップリングの隣接電池の電池端部の中心は、電池コンテナの縦側または幅狭側に対し平行な直線上にある。
【0014】
有利には、電池コンテナが、個別電池の端部に配置されて電池を本発明による電池装置内で機械的に固定させる電池ホールダを含んでいるのがよい。1個の電池の各電池端部は付設の電池ホールダの鍋状の収容部内にあり、該収容部は周縁でもって電池端部をほぼ180゜以上にわたって取り囲んでいる。これにより、電池に作用する横力を確実に受けとめることができる。各電池は、電池端部が収容部の底部で支持されるような深さで付設の電池ホールダの鍋状の収容部に押し込まれ、その結果実質的に遊びのない電池支持が電池の指向方向においても与えられている。
【0015】
電池端部を互いに電気接触させるため、1個の収容部の底部に繰り抜き部が形成され、隣接している収容部の底部繰り抜き部は電池コネクタのための保管室を画成し、該保管室に、電池を互いに電気接触させる電池コネクタが挿入されている。この場合、電池コネクタは収容部の周縁とオーバーラップし、その結果電池コネクタを電池端部に(たとえば溶接により)固定した後、電池ホールダは電池コネクタと電池との間で機械的に形状拘束的に保持される。
【0016】
上記構成により、各電池ホールダが電池端部で機械的に固定されている、所望の電池装置を備えた電池コンテナが提供され、それによって電池コンテナに大きな機械的耐荷重性を付与するような機械的複合体が生じる。
【0017】
有利には、電池コネクタが電池ホールダの保管室内で機械的に保持され、好ましくは紛失不能に保持されているのがよい。これによって、溶接前の、電池コネクタと電池端部相互の位置方向調整が与えられる。溶接過程前および溶接中には、電池コネクタと電池端部(プラス接点またはマイナス接点)との確実な接触が保証されている。
【0018】
電池コネクタには、電池ホールダの心合わせヘッドを係合させる開口部が簡単に設けられている。電池コネクタを保管室内へ押し込むことにより、心合わせヘッドが開口部に係合し、これによって電池ホールダ内での電池コネクタの確実で位置正確な保持が保証されている。このように、電池ホールダまたは該電池ホールダ内に形成されている保管室は、電池コネクタ用の溶接ジクとして利用される。
【0019】
有利には、電池ホールダの互いに平行な縦側に、電池コンテナをバッテリーパックのハウジングに位置正確に押し込み可能にさせる案内部分が形成されているのがよい。
【0020】
所定の位置調整が得られるように、電池ホールダの一方の縦側に設けた案内部分は電池ホールダの他方の縦側に設けた案内部分に対しずれている。有利には、バッテリーパックの端面を上から見て、案内部分が2個の電池の間にあるのがよい。
【0021】
本発明の他の構成では、案内部分の縦縁が弾性板として形成され、その自由端はほぼ電池ホールダの縦側の高さで終わっている。弾性板は、電池コンテナをバッテリーパックの収容ハウジング内で遊びなしに保管するために用いることができ、或いは、導電線の収容のために用いる収容室を閉鎖させるためにも用いることができる。
【0022】
電池ホールダは、たとえば温度センサのようなセンサ用の収容ポケット、または、たとえば結線部の案内に用いることのできる開口部を有していてよい。
【0023】
本発明の他の構成は他の請求項、以下の説明および図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】電池コンテナを内設したバッテリーパックのハウジングの断面図である。
【図2】電池ホールダを下から見た図である。
【図3】電池ホールダを上から見た図である。
【図4】バッテリーパックハウジング内での電池の配置構成を示す図である。
【図5】図4の電池装置における電池コネクタの配置構成を示す図である。
【図6】ほぼ直方体状の電池コネクタの図である。
【図7】板状の電池コネクタの図である。
【図8】2個の電池コンテナを結合させる電池コネクタの図である。
【図9】他の電池装置用の他の電池ホールダを上から見た斜視図である。
【図10】電池ホールダを外側から見た平面図である。
【図11】図10の電池ホールダの側面図である。
【図12】図10の電池ホールダを内側から見た平面図である。
【図13】6個の電池端部を互いに結合させるための多角形の電池コネクタの図である。
【図14】3個の電池用のストリップ状の電池コネクタの図である。
【図15】6個の電池端部を互いに結合させるためのほぼ長方形の電池コネクタの図である。
【図16】2個の電池コンテナを結合させるための、それぞれ3個の電池端部用の電池コネクタの斜視図である。
【図17】図16の電池コネクタの側面図である。
【図18】バッテリーパック内での電池の他の配置構成を示す図である。
【図19】図13の電池装置における電池コネクタの配置構成を示す図である。
【図20】中央に開口部を備えたほぼ長方形の電池コネクタの図である。
【図21】板状の電池コネクタの図である。
【図22】2個の電池コンテナを電気接続させるための電池コネクタの図である。
【図23】バッテリーパック内での電池の他の配置構成を示す図である。
【図24】図20の配置構成用の電池コネクタの概略図である。
【図25】8個の電池用の1個の電池コネクタの個別図である。
【図26】4個の電池用の1個の電池コネクタの個別図である。
【図27】2個の電池コンテナ間での電気接続用の電池コネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1はバッテリーパック1の断面図であり、該バッテリーパック1は、特に刈り込みばさみ、パワーソー、切断研削機、刈払い機、縁刈り機、丸太カッター、送風機、噴霧機、掃除機、地下穿孔機、多機能アタッチメント用コンビネーションモータ装置、清掃機、電動くわ、ロータリー耕うん機、高圧クリーナー、芝刈り機、土掻き機、チッパー、湿式または乾式吸引機等の手で操縦される作業機用のエネルギー源として用いられる。
【0026】
バッテリーパック1のハウジング2内には多数の電池3が配置されている。電池3は充電可能な電池であってよく、たとえばNiCd(リチウム・カドミウム)電池、NiMh(ニッケル・メタルハイドライド)電池、LiIo(リチウム・イオン)電池、LiPo(リチウム・ポリマー)電池、LiFePo4(リチウム・燐酸鉄)電池、リチウム・チタン電池等として構成された電池である。有利には、使用する蓄電池は2ボルトないし5ボルトの電池電圧、好ましくはほぼ3.6ボルトないし3.7ボルトの電池電圧をもっている。使用する電池を用いて、実施回路(直列回路、並列回路)に応じてバッテリーパックの種々の電源電圧を得ることができる。使用する電池3を用いて、実施回路(直列回路、並列回路)に応じて12ボルトないし150ボルト、有利には25ボルトないし50ボルトのバッテリーパック電圧を得ることができる。
【0027】
使用する電池3は、電池装置の所定の幾何学的基本構成で互いに並設されており、個々の個別電池3はその電池端部8,9において電池電気コネクタにより所望の結線で互いに接続されている。電池コンテナ4,5は、電池装置の幾何学的基本構成により、配置されている電池電気コネクタとともに十分に特定されている。電池コネクタが機械的に十分堅牢に実施されていれば、該電池コネクタを電池端部8,9の端面に固定した後に、個別電池から成る機械的複合体が形成される。本明細書では、以下でこれを電池コンテナを記すことにする。この種の電池コンテナは直方体状の構成を有しているのが好ましい。
【0028】
電池3は好ましくは同一の幾何学的構成を有しており、たとえば筒状の基本形状を有している。この場合、電池軸線63は、たとえば蓄電池3の端部8または9の端面によって決定されていることのできる1つの共通の基準面64に対しほぼ垂直に位置している。電池軸線63は基準面64と交点Sを形成している。他の幾何学的基本形状も合目的であり、この場合1つの電池コンテナ内部に、基本形状および/または幾何学的寸法の異なる電池が配置されていてよく、好ましくは、1つの電池コンテナ内部に、同じ基本形状を備え、特に筒状の基本形状を備えた電池コンテナを使用するのがよい。1つの電池コンテナ4,5の電池3は特に同じ幾何学的サイズを有しており、すなわち同一である。
【0029】
好ましくは、1つの電池コンテナ4,5の電池3が上部電池ホールダ6と下部電池ホールダ7との間で保持され、これら電池ホールダ6,7とともに、電池コンテナの4または5の機械的に安定な堅牢な構成ユニットを形成しているのがよい。本実施形態では、バッテリーパック1は2つの電池コンテナ4と5から組み立てられており、バッテリーパック1の容量は有利には2ないし10アンペア時の範囲にある。1つのバッテリーパックに3個以上の電池コンテナを設けてもよい。
【0030】
1個の電池3の電池端部8に設けた電池ホールダ6と、反対側の電池端部9に設けた電池ホールダ7とは、同一に構成されている。以下では、電池ホールダ6について説明する。
【0031】
図2と図3において、電池ホールダ6は簡単な実施態様で図示されており、該電池ホールダ6は、図4および図5によれば、10個の電池から成る電池装置のために使用され、電池で完全に装備される。電池ホールダを部分的に電池で装備することも有利である。
【0032】
それぞれの電池ホールダ6は、鍋状の収容部11が配置されている底部10を有している。鍋状の収容部11は、図2では、図4にも図示されているように所望の電池装置に応じてバッテリーパック内にある。それぞれの受容部11は高さuの周縁12を有し、周縁12は端部8または9の電池周部13を取り囲んでいる。周縁12は、有利にはほぼ180゜以上にわたって(図2と図3に図示した実施形態では360゜にわたって)電池端部8,9とオーバーラップしている。
【0033】
収容部11に挿着される電池端部8は鍋状の収容部の鍋底部14で支持される。したがって、電池3はその電池端部8または9の端面15が当接するまで収容部11に押し込まれる。
【0034】
図2の実施形態では、それぞれ5個の収容部11が2列で電池ホールダ6または電池コンテナの縦中心軸線16に関し左右対称に設けられている。縦中心軸線16の領域には、隣接しあっている収容部11の間にして電池ホールダの底部10に貫通穴17が配置されている。これらの貫通穴17は電気導線等を通すために用いられる。
【0035】
電池ホールダ6は、さらに、周囲カラー18(図2)を有しており、その高さkは有利には鍋状の収容部11の周縁12の高さuにほぼ相当している。周カラー18と収容部11と電池ホールダ6,7とは、非導電金属から、特にプラスチックから一体に形成されている。
【0036】
十分に閉じた周カラー18には、互いに平行な縦側21,22にそれぞれ少なくとも1個の案内部分20が形成されている。案内部分20は電池ホールダ6のほぼ長方形の輪郭の内部にあり、部分筒状に形成され、特に半筒状に形成されている。部分筒体の筒縦軸線19はほぼ電池ホールダ6の面23に対し垂直に位置している。
【0037】
図2が示すように、案内部分20は、電池ホールダ6の一方の縦側21と他方の縦側22とで量vだけずれて位置している。
【0038】
それぞれの縦側21,22にそれぞれ2個の案内部分20を設けるのが合目的である場合がある。この場合、これらの案内部分20は縦側21で互いに間隔bを有し、縦側22で互いに間隔aを有する。好ましくは、間隔aが間隔bよりも小さく、側面図で見て、縦側22の案内部分20が縦側21の案内部分20の間にあるのがよい。間隔aは間隔bよりも小さい。
【0039】
図2と図3に示したように、鍋状の収容部11の底部14には繰り抜き部24が形成されている。図3が示すように、複数個の収容部11の互いに並設されている繰り抜き部24は、電池3の端部8または9を互いに導通接続させる電池コネクタ30のための保管室25を形成している。図2および図3に図示した電池コネクタ4,5用のこの種の電池コネクタ30,31,32は、図5ないし図8に図示されている。
【0040】
図3に破線で示した電池コネクタ30はほぼ正方形の形状を持ち、中央に開口部33を有している。開口部33には電池ホールダ6の心合わせヘッド26(図3)が係合する。有利には、心合わせヘッド26が電池コネクタ30の開口部33のなかへ突出しているのがよい。これによって電池コネクタ30は保管室25内で位置正確に位置決めされ、特に機械的に固持される。有利には、電池ホールダ6に挿入された電池コネクタ30または31が電池ホールダ6内で機械的に紛失不能に保持されるのがよい。この場合、繰り抜き部14の縁がアンダーカット27を備え、該アンダーカット27が電池コネクタの縁34とオーバーラップしてこれを保管室25内で保持するのが合目的である。
【0041】
電池ホールダ6の周カラー18の内側には、電池ホールダ6の底部10に垂直に配置されている2個の支持ドーム28,29が設けられている。図2および図3の実施形態では、電池ホールダ6の幅狭側35,36の電池3の間の領域にある。支持ドーム28,29の高さsは1個の電池3の高さのほぼ半分zに相当している。
【0042】
支持ドーム28,29はその自由端が異なる構成になっている。支持ドーム29は、対向する電池ホールダ7の支持ドーム28の端部38を収容する筒状の収容部39を有している(図2)。
【0043】
図3に示すように、電池コネクタ30は、2個の鍋状の収容部11の間に、互いに並設されている該収容部11の周縁12によって形成される細条部37とオーバーラップしている。
【0044】
電池ホールダ6または7内に、図4に図示した電池装置に対応して10個の電池を配置すると、それぞれの電池3はその対向しあっている端部8と9においてそれぞれ1個の鍋状の収容部11で保持される。互いに対向しあっている電池ホールダ6と7の支持ドーム28と29は互いに係合しており、その結果1個の電池コンテナ4または5の、対向しあっている電池ホールダ6と7は、互いに支持しあっている。有利には、互いに対向しあっている電池ホールダ6と7の支持ドーム28と29が互いに機械的に結合されているのがよく、特に図1に図示したように互いにねじ止めされているのがよい。
【0045】
10個の電池3は、互いに結合されている電池ホールダ6と7により1つのモジュール(すなわち電池コンテナ)に統合されており、この場合各電池ホールダの電池端部8または9は、保管室25に挿入されているコネクタ30を介して互いに電気的に接続できるように、互いに指向しあっている。コネクタ30は、1個の電池3の端部8または9に溶接される溶接点40を有している。したがって、高電流に耐えうる電気接続が提供されているだけでなく、電池コンテナ4,5の機械的結合もいっそう強化されている。各コネクタ30は、2個の鍋状の収容部11の間にあって周縁2の一部分から成る細条部37を橋絡させているので、コネクタ30を電池3の端部8,9に溶接した後には、電池と電池ホールダとコネクタとの形状拘束的結合が提供されている。電池コンテナ4,5は、手で操縦される作業機(たとえばパワーチェーンソー、刈り込みばさみ、研磨切断機など)で生じるような振動にも対抗する、機械的に強固な電池装置を形成させる。
【0046】
図8に図示した電池コネクタ32は、該電池コネクタを図1に図示したように互いに対向しあっている電池ホールダ6,7に挿着すれば、1個のバッテリーパックの2個の電池コンテナ4,5の間を電気的に接続させる。曲げ領域41は、バッテリーパックハウジング2内に互いに重設される電池コンテナ4と5の間隔を橋絡する。
【0047】
電池ホールダ6,7は、さらに、その外側平面部にコンタクトストリップ42(図1)を固定できるように構成されている。コンタクトストリップ42を介してバッテリーパック1を消費装置と電気接触させる。各電池コンテナ4,5は案内部分20を介して案内してバッテリーパック1のハウジング2に降下させる。その際、ハウジング2の内面には、該ハウジング2の高さ方向にわたって延在する誘導リブ60が設けられており、該誘導リブ60は電池ホールダ6,7の縦側21,22の案内部分20に係合する。
【0048】
図1に図示したように、電池コンテナ4,5の電池装置は、直立して互いに並設されている多数の電池3から成っている。その電池軸線63は、本実施例では蓄電池3の端部8または9の一方の側の端面によって形成されている共通の基準面64に対し垂直であり、或いは、これに対し平行である。電池軸線63と基準面64との交点Sは、基準面64の平面図で見て、幾何学的図形を成しており、たとえば閉じた曲線を成している。
【0049】
電池ホールダ66のこのような有利な実施形態を図9ないし図12に図示した。図示した電池ホールダ66の基本構成は前述の実施形態に対応しているので、同一の部材には同じ符号を付した。
【0050】
図10と図12からわかるように、電池ホールダ66は、完全装備の場合、全部で15個の電池3を保持できるように構成されている。電池ホールダ66は、その幅狭側35,36にそれぞれ、3個の電池3cのための3個の鍋状の収容部11を有している。収容部11の中心44は、電池ホールダまたは電池コンテナの幅狭側35または36に平行に位置する共通の直線43上にある。
【0051】
電池ホールダ66の中央には、中央電池3aのために中心の鍋状の収容部11aが設けられている。この中心の収容部11aは鍋状の収容部11bの4個のカップル45,49によって取り囲まれる。それぞれ1個のカップル45は、好ましくは互いに平行な、電池ホールダ66または電池コンテナの縦側21,22に当接している。前記鍋状の収容部11bの中心44は、縦側21または22に平行に延在している直線46,47上にある。
【0052】
鍋状の収容部11bのそれぞれ他のカップル49は、中央の収容部11aと、好ましくは電池ホールダ66または電池コンテナの互いに平行な幅狭側35と36に設けた外側の鍋状の収容部11cとの間にある。カップル49の収容部11bの中心44は、縦側35または36に平行な直線48上にある。
【0053】
電池装置は、電池コンテナ66の中央の収容部11aに、収容部11bで保持されている1グループの隣接電池3bの内側にある中央電池3aが保持されているように構成されている。図1と図12が示すように、好ましくは隣接電池3bの電池軸線63と基準面64(図1)との交点Sは共通の閉じた曲線65上にある。曲線65は、特に、小さな半軸yと大きな半軸xとを備えた楕円曲線65である。大きな半軸xは長方形の電池ホールダ66の縦側21と22にほぼ平行に延在し、小さな半軸yは長方形の電池ホールダ66の幅狭側35と36にほぼ平行に指向している。隣接電池3bはそれぞれ中心の中央電池3aに対し異なる間隔R,Rで位置している。
【0054】
電池ホールダは、電池コンテナの必要とする電力および電圧に応じて電池を完全に装備していてよく、或いは、一部のみ電池を装備していてもよい。図示した実施形態では、電池ホールダは電池を完全に装備しており、その結果電池コンテナは好ましくは15個の電池を有し、これらの電池は直列に接続されたそれぞれ5個の電池の3列の電池から成る並列接続を形成して18ボルトのコンテナ電圧を形成させている。直列に接続された2個の電池コンテナは、充填状態に応じては26ボルトないし42ボルトのバッテリー電圧を生じさせる。有利には、形成された電池コンテナが総数でほぼ9個ないし19個の電池3a,3b,3c、特に15個の電池3a,3b,3cを収容できるように、1個の電池ホールダを構成するのがよい。
【0055】
有利な電池装置では、隣接電池3bの数量は電池コンテナの電池3a,3b,3cの総数の少なくとも3分の1よりも多い。図示した実施形態では、隣接電池3bの数量は電池コンテナの電池3a,3b,3cの総数の半分よりも多く、すなわち8個である。
【0056】
この場合、隣接電池3bのグループが最終電池3cから成る2つの端部列49の間に位置するように配置構成されている。この場合、最終電池3cは好ましくは3個の電池3cから成る1つの電池列49を形成する。電池ホールダ66を完全に装備させると、電池ホールダ66の幅狭側35,36に沿ってそれぞれ3個の最終電池3cが存在する。隣接電池3bは、電池ホールダ66の縦側(21,22)のそれぞれ2個の隣接電池3個のグループのなかにあり、且つ電池ホールダ66の幅狭側35,36の最終電池3cと中央電池3aとの間にある。1つのカップル45,49の隣接電池3bの電池端部8,9の中心44は、電池ホールダ66の縦側21または幅狭側35,36に対し平行に延在する直線(46,47)上にある。
【0057】
1個の電池コンテナ4,5の電池3は、該電池コンテナまたは電池ホールダ66の縦中心軸線16に関し左右対称に配置されており、この場合この左右対称配置は、曲線65の短い半軸yに関しても、また大きな半軸xに関しても行われている。これに対し、電池ホールダ66自体は、支持ドームを考慮しなければ横軸55に関し対応的な左右対称性を有しているが、しかし縦中心軸線16に関しては非左右対称に形成されている。
【0058】
特に図9、図10、図12からわかるように、縦側22の案内部分20aは、弾性板50として形成された縦稜を有している。弾性板50は、縦側22側で弾性板50によって十分に閉止されている収容室51を画成している。弾性板50の縦稜は電池ホールダ66の本体に対し間隔lを有し、この間隔lによって、結線に用いる導線を収容室51内で挟着させることができる。
【0059】
形成された案内部分20aは、電池ホールダ66に設けた1個または複数の細条部を介して保持されている筒状の半シェル57によって形成されている。案内部分20aの筒縦軸線は、電池ホールダ66自体の面に対しほぼ垂直に位置している。細条部58は半シェル57よりも短い縦延在距離を有し、これによって半シェル57と電池ホールダ66の周縁12との間に、電気結線部を敷設するために利用することのできるガイドダクト59が形成されている。
【0060】
縦側22のカップリング45の鍋状の収容部11bの間には、該縦側に隣接する他の収容室52が形成され、該収容室52は弾性舌片53によって閉鎖されている。さらに、電池コンテナ4,5内での電池3の状態を監視するため、たとえば温度センサのようなセンサのための収容ポケット54が設けられている。収容室54は2個の電池の間にあり、特に2個の隣接電池3bの間にあり、熱伝導可能に、場合によっては熱伝導ペーストを用いて、両電池に接している。
【0061】
図9ないし図12の実施形態では、支持ドーム28,29は電池コンテナの電池3aと3bの間にあり、図2によれば、支持ドームは中央の鍋状の収容部11aに隣接している。支持ドーム28と29は電池ホールダ66の縦中心軸線16上にある。
【0062】
図9、図10、図12が示すように、中央の鍋状の収容部11aとこれに隣接している収容部11bとの間には、電池ホールダの底部に少なくとも1個の開口部56が形成されている。本実施形態では、複数個の開口部56が縦中心軸線16に関して左右対称に且つ横軸線55に関して左右対称に配置されている。これらの開口部56は結線部を案内するために用いることができる。
【0063】
さらに、1個の電池ホールダ66の電池端部とは逆の側の平面部は、複数個の心合わせヘッド26を有している(図9)。これらの心合わせヘッド26は電池コネクタ90,92の対応する開口部33に係合しており、電池コネクタ90,92は保管室25に位置正確に保持されている。この種の電池コネクタを図13と図15に図示した。
【0064】
1個の電池ホールダ66の電池を互いに電気接触させるため、図13ないし図17によれば、基本構成において図6ないし図8に図示した電池コネクタに相当する電池コネクタ90,91,92,93が使用されている。よって、同一の部材には同じ符号を付した。
【0065】
電池コネクタ90と92は心合わせヘッド26を係合させるための開口部33を有し、6個の電池を接続させるために同時に敷設されている。電池コネクタ91と93(図14、図16、図17)は、1個の電池ホールダの3個の電池を電気接続させるために用いる。電池コネクタ93は二重に実施されており、第1の電池コンテナを、図1に概略で図示したように共通のバッテリーパックハウジング内で第2の電池コネクタと接続させるために用いる。
【0066】
図18ないし図22に図示した実施形態では、本発明による電池ホールダを用いて構成することのできる他の可能な電池装置(図18)が図示されている。図19が示すように、15個の電池は、図1の図示に対応して1個のバッテリーパック1のハウジング2に挿着可能であるように配置され、互いに接続されている。この場合、適宜構成した電池コネクタ70を用いて(図20)、それぞれ6個の電池3を1つの電池端部8にて互いに接続させることができ、この場合電池複合体の最後の3個の電池は板状の電池コネクタ71(図21)を介して互いに接続される。電池コネクタ70は、心合わせヘッドを係合させるための複数個の開口部72を有していてよい。電池コネクタ73(図22)は、図1の電池コネクタ32の例で示したように、2個の電池コンテナ4,5を接続させるために利用する。
【0067】
図23ないし図27の実施形態では、16個の電池の電池装置が概略的に図示されている。図23の個々の電池3の電池配置は、それぞれ8個の電池に対し3−2−3グループで行う。この場合、それぞれ3個の電池の2列の間には2個の電池しかない。図24が示すように、電池は電池コネクタ80を介してそれぞれ8個の電池3のグループで開口部82を用いて互いに接続される。電池コンテナの反対側では、対応的な接触のために、4個の電池を互いに接触させるように対応的に構成した電池コネクタ81を使用する。
【0068】
電池コネクタ83(図27)は、図1において電池コネクタ32の例で示したように、互いに重設される電池コンテナ4,5を電気接続させるために用いる。1個のバッテリーパック1内では、1個の電池コンテナ或いは2個以上の電池コンテナを互いに接続させて使用することができる。
【0069】
本発明の特別な構成では、1個の電池コンテナの複数個の電池ホールダは同一に構成され、すなわち同一部材である。この場合、電池ホールダは支持ドームを介して互いに支持しあい、その際支持ドームは特に機械的に互いに結合され、合目的には互いにねじ止めされる。このようにして、すでに電池コネクタを挿着および溶接する前に、電池装置の電池ホールダと電池とから成る機械的に安定な構造を得ることができ、その結果製造プロセス中に、容易にさらに加工されるモジュールが提供される。
【符号の説明】
【0070】
1 バッテリーパック
3a 中央電池
3b 隣接電池
3c 最終電池
4,5 電池コンテナ
8,9 電池端部
30,31 電池ホールダ
63 電池軸線
64 基準面
65 楕円形曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定総数の電池(3a,3b,3c)を備えた電池コンテナ(4,5)を形成するために直立して互いに並設されている複数個の電池(3a,3b,3c)を備える少なくとも1個の電池装置を有し、電池軸線(63)が共通の基準面(64)に対しほぼ垂直に位置し、前記電池(3a,3b,3c)がその端部(8,9)において電池コネクタ(30,31)を介して導通接触している電気工具用バッテリーパックにおいて、
1個の電気コンテナ(4,5)の前記電池装置が、隣接電池(3b)のグループの内側にある中央電池(3a)を有し、すべての隣接電池(3b)の前記電池軸線(63)と前記基準面(64)との交点(S)がほぼ楕円形の閉じた曲線上にあり、前記隣接電池(3b)の数量が前記電池コンテナ(4,5)の前記電池(3a,3b,3c)の総数の3分の1よりも多いことを特徴とするバッテリーパック。
【請求項2】
前記隣接電池(3b)の数量が電池コンテナ(4,5)の前記電池(3a,3b,3c)の総数の半分以上であることを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記電池コンテナ(4,5)の前記電池(3a,3b,3c)の総数がほぼ9個ないし19個、特に15個であることを特徴とする、請求項1または2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
1個の電池コンテナ(4,5)の前記隣接電池(3b)のグループが8個の前記電池(3b)から成っていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記隣接電池(3b)のグループが最終電池(3c)から成る2つの端部列(49)の間にあり、前記最終電池(3c)が好ましくは3個の前記電池(3c)から成る1つの電池列(49)を形成していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項6】
1個の電池コンテナ(4,5)の前記電池(3)がその縦中心軸線(16)に関し左右対称に配置されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項7】
1個の前記電池コンテナ(4,5)が、その幅狭側に沿って、それぞれ3個の最終電池(3c)と、前記電池コンテナに対しほぼ中央にあり、前記隣接電池(3b)の4個のカップリング(45,49)によりほぼ左右対称に取り囲まれている中央電池(3a)とを有し、それぞれ2個の前記隣接電池(3b)が前記電池コンテナ(4,5)の縦側(21,22)にあり、他の2個の隣接電池(3b)が前記幅狭側に設けた前記最終電池(3c)と前記中央電池(3a)との間にあることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項8】
1個のカップリング(45,49)の前記隣接電池(3b)の前記電池端部(8,9)の中心(44)が、前記電池コンテナ(4,5)の前記縦側(21,22)または前記幅狭側(35,36)に対し平行な直線(46,47)上にあることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項9】
1個の前記電池(3)の前記電池端部(8,9)が付設の電池ホールダ(6,7,66)の鍋状の収容部(11)内にあり、前記収容部(11)が周縁(12)でもって前記電池端部(8,9)をほぼ180゜以上にわたって取り囲み、前記電池端部(8,9)は前記収容部(11)の底部(14)で支持され、1個の前記収容部(11)の前記底部(14)が繰り抜き部(24)を有し、隣接している前記収容部(11)の底部繰り抜き部(24)が電池コネクタ(30,31)のための保管室(25)を形成し、前記電池コネクタ(30,31)が前記収容部(11)の前記周縁(12)とオーバーラップしていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記電池コネクタ(30,31)が前記電池ホールダ(6,7,66)の保管室(25)内で機械的に保持され、好ましくは紛失不能に保持されていることを特徴とする、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記電池コネクタ(30)が開口部(33)を有し、該開口部(33)に前記電池ホールダ(6,7,66)の心合わせヘッド(26)が係合していることを特徴とする、請求項9または10に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記電池ホールダ(30)が前記保管室(25)の縁の間で位置正確に保持されていることを特徴とする、請求項10または11に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記電池ホールダ(6,7,66)の互いに平行な前記縦側(21,22)に案内部分(20)が形成され、前記電池ホールダ(6、7、66)の一方の前記縦側(21)に設けた前記案内部分(20)が前記電池ホールダ(6,7,66)の他方の前記縦側(22)に設けた前記案内部分(20)に対しずれ量(v)だけずれていることを特徴とする、請求項9から12までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記案内部分(20)が2個の前記電池(3)の間にあることを特徴とする、請求項13に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
前記案内部分(20)の1つの縁が弾性板(50)を担持し、該弾性板(50)の自由端がほぼ前記電池ホールダ(6,7,66)の前記縦側(22)の高さにあることを特徴とする、請求項13または14に記載のバッテリーパック。
【請求項16】
前記電池ホールダ(6,7,66)内に、センサ用の収容ポケット(54)、特に温度センサ用の収容ポケット(54)が形成されていることを特徴とする、請求項9から15までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。
【請求項17】
前記電池ホールダ(32)が2個の前記電池コンテナ(4,5)を接続する電気接続部を形成し、好ましくは第1の電池コンテナ(4)の前記電池(3)の前記電池端部(8,9)を第2の電池コンテナ(5)の前記電池(3)の前記電池端部(8,9)と接続させていることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか一つに記載のバッテリーパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−205732(P2010−205732A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44073(P2010−44073)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(598052609)アンドレアス シュティール アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (95)
【Fターム(参考)】