説明

電気掃除機用の集塵ホース

【課題】消音効果が十分に得られることのできる電気掃除機用の集塵ホースを提供する。
【解決手段】螺旋状に配設された芯部20,30と、この芯部20,30を被覆するとともにホースを形成した可撓性のホース部材40とを備えた電気掃除機用の集塵ホース12であって、ホース部材40の外周面を可撓性の被覆部材41で覆い、ホース部材40と被覆部材41との間に消音材42A,42Bを配置し、ホース部材40に多数の穴40a,40bを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば掃除機本体内の集塵室と手元操作管とを連通する電気掃除機用の集塵ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気掃除機に使用される集塵用ホースが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる集塵ホースは、螺旋状に配設された芯部と、この芯部を被覆するとともにホースを形成した可撓性のホース部材と、このホース部材の内側に螺旋状に配設した消音材とから構成されている。
【0004】
この集塵ホースは、ホース部材の内側に消音材を螺旋状に配設して消音効果を図ったものである。
【特許文献1】特開平4−28324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような集塵ホースにあっては、ホース部材の内側にウレタンやフェルトなどの消音材を配置したものなので、一般に多孔質型吸音と呼ばれる高音域の吸音特性に効果のある吸音機構であるが、電動送風機のファンなどから発生する高周波の騒音のように所定の周波数に対しての消音効果が十分に得られないという問題がった。
【0006】
また、塵埃の通過する集塵ホース内面に消音材が露出しているため、その消音材に塵埃が付着したり細線状の塵埃が突き刺さったりして、塵埃詰まりの原因となるという問題があった。
【0007】
この発明の目的は、音域に拘わらず消音効果が十分に得られるとともに塵埃詰まりが生じ難い電気掃除機の集塵ホースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、螺旋状に配設された芯部と、この芯部を被覆するとともにホースを形成した可撓性のホース部材とを備えた電気掃除機用の集塵ホースであって、
前記ホース部材の外周面を可撓性の被覆部材で覆い、
前記ホース部材と被覆部材との間の隣り合う芯部間に消音材を配置し、
前記ホース部材の消音材に対向する位置に多数の穴を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、音域に拘わらず消音効果が十分に得ることができ、しかも塵埃詰まりが生じ難いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明に係る電気掃除機用の集塵ホースの実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0011】
[第1実施例]
図1に示す電気掃除機10は、掃除機本体11と、この掃除機本体11の接続口11Aに一端が着脱自在に接続されその他端には手元操作管13が設けられている集塵ホース12と、手元操作管13に着脱自在に接続した延長管14と、延長管14の先端部に着脱自在に接続された吸込口体15とを備えている。手元操作管13には手元操作部13Aが設けられており、この手元操作部13Aには操作スイッチ13aが設けられている。
【0012】
掃除機本体11内には、図示しない塵埃分離と、この塵埃分離で分離された塵埃を集塵する集塵部と、塵埃を吸引するための電動送風機とが設けられており、集塵部が集塵ホース12および延長管14を介して吸込口体15の底面の吸込開口(図示せず)に連通されている。
【0013】
集塵ホース12は、図2および図3に示すように、互いに平行に螺旋状に配設された一対の芯部20,30と、この芯部20,30を被覆するとともにホースを形成した可撓性のホース部材40と、このホース部材40の外周面を覆った可撓性の被覆部材41と、ホース部材40と被覆部材41との間に配置された一対の消音材42A,42Bとを備えている。
【0014】
芯部20は、信号線である銅線からなる芯線21と、この芯線21を被覆する被覆材22と、保形用の硬鋼線23と、これらを一体に包み込んだ被覆材24とから構成されている。
【0015】
同様に、芯部30は、信号線(アース用導線)である銅線からなる芯線31と、この芯線31を被覆する被覆材32と、保形用の硬鋼線33と、これらを一体に包み込んだ被覆材34とから構成されている。
【0016】
ホース部材40は、薄膜状の例えば軟質の塩化ビニルにより形成されており、このホース部材40には、芯部20と芯部30との間の螺旋に沿って所定間隔毎に多数の穴40a,40bが形成されている。
【0017】
消音材42Aは、例えばウレタンなどを帯状に形成したもので、これを螺旋状にして芯部20とこの芯部20の右側(図2において)にある芯部30との間に配置したものである。この消音材42Aはホース部材40の多数の穴40aを塞ぐ位置に配設されているとともに、ホース部材40と被覆部材41との間に形成された空間に配置された状態となっている。
【0018】
消音材42Bは、同様にウレタンなどを帯状に形成したもので、これを螺旋状にして芯部30とこの芯部30の右側(図2において)の芯部20と間に配置したものである。この消音材42Bはホース部材40の多数の穴40bを塞ぐ位置に配設されているとともに、ホース部材40と被覆部材41との間に形成された空間に配置された状態となっている。
【0019】
被覆部材41は、薄膜状の例えば軟質の塩化ビニルにより形成されている。そして、この被覆部材41とホース部材40とで集塵ホース12は2重構造となっている。
【0020】
次に、上記のように構成される集塵ホース12の作用について説明する。
【0021】
手元操作部13Aの操作スイッチ13aを操作すると図示しない電動送風機が駆動され、この駆動により吸込口体15の底面の吸込開口(図示せず)から空気とともに塵埃が吸い込まれていく。この空気および塵埃が延長管14および集塵ホース12を介して掃除機本体11の塵埃分離部(図示せず)へ吸引され、この塵埃分離部で塵埃と空気とが分離され、この分離された塵埃が集塵部に集塵されていく。
【0022】
一方、塵埃分離部で分離された空気は電動送風機の吸込開口に吸引されて電動送風機の排出口から排出され、この排出された空気が掃除機本体11の排気口(図示せず)から排気されていく。
【0023】
ところで、吸込口体15の吸込開口から空気を吸い込むとき、風切り音などの騒音が発生し、この騒音が延長管14内を通って集塵ホース12のホース部材40内に達し、このホース部材40内を通っていく。
【0024】
ホース部材40に多数の穴40a,40bが形成されているとともに、ホース部材40と被覆部材41との間に空間が形成され、この空間と穴40a,40bとにより共鳴器が形成されている。ホース部材40内を通っていく騒音は共鳴器に当たると、共鳴周波数の近傍において穴40a,40b周辺の空気が激しく振動し、周辺との摩擦により摩擦熱となって騒音のエネルギーが消費される。すなわち、ヘルムホルツの共鳴器と同様な原理である。
【0025】
このため、電動送風機のファンから発生する風切音などの特定域の騒音は共鳴周波数に合うことで優れた消音効果が得られる。また、ホース部材40の長さはその断面積に対して非常に長いため十分な消音効果を得ることができる。さらに、穴径の異なる複数の穴40a,40bを設けることにより、電動送風機の回転数の変化による異なる周波数の騒音に対しても対応することができ、音域に拘わらず十分な消音効果を得ることができる。
【0026】
また、穴40a,40bから空間に入った騒音は、消音材42A,42Bを振動させることにより、騒音のエネルギーが熱エネルギーとして消費され、主に高音域の騒音を吸音することになる。
【0027】
このため、掃除機本体11の電動送風機内を通って掃除機本体11の排気口から放出される吸込口体15の騒音は相当小さなものとなる。
【0028】
また、電動送風機で発生する騒音が集塵ホース12および延長管14を通って吸込口体15の吸込開口から放出されるが、この電動送風機の騒音も上記と同様にホース部材40内で十分に消音されていくので、吸込口体15の吸込開口から放出される電動送風機の騒音も相当静かなものとなる。
【0029】
そのうえ、集塵ホース12の内面はその大部分を薄膜状のホース部材40で構成されているため、塵埃が付着してしまうことがない。
【0030】
図4は他の実施例の集塵ホース112を示したものであり、この集塵ホース112は、ホース部材40の穴40a,40bにも消音材142A,142Bを入り込ませたものである。
[第2実施例]
図5および図6は第2実施例の集塵ホース212を示したものである。この集塵ホース212は、消音材42Bを省略して消音材42Aのみを配設したものであり、ホース部材40の穴40aも消音材42Aがある位置にだけ設けたものである。
【0031】
この第2実施例の集塵ホース212によれば、消音材42Aのみを配設したものであるから、図5に示すように、集塵ホース212の軸線方向(図5において左右方向)に沿って消音材42Aのある部分と消音材42Aのない部分とが交互に形成される状態となるので、集塵ホース212は曲げ易いものとなる。
【0032】
上記実施例は、いずれも芯部20,30は芯線21,31と硬鋼線23,33とを有しているが、図7に示すように芯線21,31を有しない硬鋼線50のみのものであってもよい。51は硬鋼線50を覆った被覆材である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明に係る集塵ホースを使用した電機掃除機の外観を示した斜視図である。
【図2】集塵ホースの構成の一部を断面にした説明図である。
【図3】集塵ホースの構成を示した部分拡大断面図である。
【図4】他の集塵ホースの例を示した説明図である。
【図5】第2実施例の集塵ホースの構成の一部を断面にした説明図である。
【図6】第2実施例の集塵ホースの構成を示した部分拡大断面図である。
【図7】他の例の集塵ホースの構成を示した説明図である。
【符号の説明】
【0034】
20,30 芯部
40 ホース部材
40a 穴
40b 穴
41 被覆部材
42A 消音材
42B 消音材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状に配設された芯部と、この芯部を被覆するとともにホースを形成した可撓性のホース部材とを備えた電気掃除機用の集塵ホースであって、
前記ホース部材の外周面を可撓性の被覆部材で覆い、
前記ホース部材と被覆部材との間の隣り合う芯部間に消音材を配置し、
前記ホース部材の消音材に対向する位置に多数の穴を形成したことを特徴とする電気掃除機用の集塵ホース。
【請求項2】
前記消音材は、帯状に形成された帯体から構成され、この帯体を前記芯部に沿って螺旋状に巻き付けたことを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機用の集塵ホース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−220420(P2008−220420A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58964(P2007−58964)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】