説明

電気掃除機

【課題】従来のサイクロン型電気掃除機では、別々に区分けされた集塵室と集塵室内筒に、それぞれ粗塵と細塵が集積されているため、塵埃を、ゴミ箱の上で蓋を開けて廃棄する場合細塵が周囲に舞って飛散するという課題があった。
【解決手段】集塵室22と圧縮板40の下面で構成される空間の負圧により前記第1の逆止弁50が開き、空気と細塵8が細塵室39から、粗塵4のたまっている集塵室22へと流れるように構成したので、粗塵4と細塵8が混合されるため、細塵8は粗塵4の隙間に埋もれて圧縮される事となる。よって、塵埃を、ゴミ箱の上などで蓋34を開けて廃棄する場合、粗塵4と細塵8が一体となるため周囲に舞って飛散するとことがなく、清潔で使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機のサイクロン集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のサイクロン型電気掃除機として、吸取った塵埃を、粗塵と細塵を分けて収容する構成としたものがある(例えば、特許文献1参照)。粗塵とは例えば綿埃などであり、細塵とは例えば細かい砂粒などである。
【0003】
図10は、特許文献1に記載された従来の電気掃除機の旋回室1および集塵室2部分の断面図である。透明な樹脂よりなる旋回室1の下流に位置する電動送風機(図示せず)により発生した吸引力により、電気掃除機のノズル(図示せず)から吸込まれた塵埃混合空気は、旋回室1上部の吸気口3から旋回室1に入り旋回室1内を旋回する。そのとき塵埃は遠心力により外側に飛ばされ比較的大きな粗塵4が旋回室1下部の集塵室2の底にたまっていく。一方で塵埃と分離された空気は通気部5を通過し排気口6に連通したプリーツ状フィルタ7へ抜けていく。
【0004】
ここで、旋回室1で十分分離できなかった細塵8等がプリーツ状フィルタ7によって捕らえられる。この細塵8はフィルタクリーニング機構9により叩き落されて、集塵室内筒10の底にたまる。そして、図11に示すように、集塵室2の底は片側にヒンジ11を持つ蓋12になっており、集塵室2にたまった粗塵4と細塵8はこの蓋12を開いて捨てられる。このとき、蓋12を下にしてゴミ箱の上で蓋12を開いて粗塵4と細塵8を落下させて廃棄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−56039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の電気掃除機では、別々に区分けされた集塵室2と集塵室内筒10に、それぞれ粗塵と細塵が集積されているため、塵埃を、ゴミ箱の上で蓋を開けて廃棄する場合細塵が周囲に舞って飛散するという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、塵埃を廃棄する際に細塵が周囲に舞って飛散するとことがなく、清潔で使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、吸引力を発生させる電動送風機と、前記電動送風機の上流側に設置され前記電動送風機により吸引した塵埃を含む空気を旋回させ塵埃を分離する略円筒状の旋回室と、前期旋回室の下方に位置し前記旋回室で分離した塵埃をためる略円筒状の集塵室と、記旋回室の外郭周方向に、含塵空気を吸引するための吸気口と、前記旋回室の中心付近に外周面に配し、通気部を備え塵埃を分離した空気を排気するための排気筒と、前記排気筒の風下側に配し、前記排気筒から排気される空気から細塵を濾過するフィルタと、前記旋回室の下方に配し、内側の空間が前記排気筒の内側に連通し、前記集塵室に隣接させた細塵室と、前記旋回室と前記集塵室とは、互いの中心軸が水平方向に平行にずらされ、高さ方向に一部が重なり合うように配置され、前記旋回室を旋回する含塵空気が前記旋回室外郭の内壁面に沿いながら前記第1の集塵室へと流入する流入口を有し、前記旋回室内に前記流入口の内側開口線と接続する円弧状の
区画壁を設け、前記円弧状の区画壁と、前記旋回室の外郭内壁との間で移送通路を形成し、前記集塵室にたまった塵埃を圧縮するための圧縮板と、前記圧縮版に押圧を加える圧縮板軸と、前記圧縮板と前記集塵室との間隙を埋め前記集塵室の内壁に当接するよう配置したシール部材と、前記集塵室と前記細塵室との間の連通部に第1の逆止弁を、前記流入口よりも低い位置に有し、前記圧縮板を上下に貫通する連通部に第2の逆止弁を有し、前記圧縮板が、下端から上端へ移動する際に、前記集塵室と前記圧縮板の下面で形成される空間の負圧により前記第1の逆止弁が開き、空気が前記細塵室から前記集塵室へと流れるように構成し、また前記圧縮板が上端から下端へ移動する際に、前記集塵室と前記圧縮板の下面で形成される空間の正圧により前記第2の逆止弁が開き、空気が前記圧縮板の下方から上方に流れるように構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電気掃除機は、掃除作業の後圧縮版が上昇する度に、粗塵と細塵が混合されるため、細塵は粗塵の隙間に埋もれて圧縮される事となる。よって、塵埃を、ゴミ箱の上などで蓋を開けて廃棄する場合、粗塵と細塵が一体となって圧縮されているため周囲に舞って飛散するとことがなく、清潔で使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の要部斜視図
【図2】同実施の形態における電気掃除機の要部側面断面図
【図3】同実施の形態における電気掃除機の別角度から見た要部側面断面図
【図4】同実施の形態における電気掃除機の要部平面断面図
【図5】同実施の形態における電気掃除機の部分断面図
【図6】同実施の形態における電気掃除機の要部部分斜視図
【図7】同実施の形態において圧縮板を下げている状態の要部側面断面図
【図8】同実施の形態において圧縮板を上げている状態の要部側面断面図
【図9】同実施の形態において圧縮板を上げている状態の要部平面断面図
【図10】従来の電気掃除機の要部側面断面図
【図11】同電気掃除機の塵埃を廃棄している状態を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、吸引力を発生させる電動送風機と、前記電動送風機の上流側に設置され前記電動送風機により吸引した塵埃を含む空気を旋回させ塵埃を分離する略円筒状の旋回室と、前期旋回室の下方に位置し前記旋回室で分離した塵埃をためる略円筒状の集塵室と、前記旋回室の外郭周方向に、含塵空気を吸引するための吸気口と、前記旋回室の中心付近に外周面に配し、通気部を備え塵埃を分離した空気を排気するための排気筒と、前記排気筒の風下側に配し、前記排気筒から排気される空気から細塵を濾過するフィルタと、前記旋回室の下方に配し、内側の空間が前記排気筒の内側に連通し、前記集塵室に隣接させた細塵室と、前記旋回室と前記集塵室とは、互いの中心軸が水平方向に平行にずらされ、高さ方向に一部が重なり合うように配置され、前記旋回室を旋回する含塵空気が前記旋回室外郭の内壁面に沿いながら前記第1の集塵室へと流入する流入口を有し、前記旋回室内に前記流入口の内側開口線と接続する円弧状の区画壁を設け、前記円弧状の区画壁と、前記旋回室の外郭内壁との間で移送通路を形成し、前記集塵室にたまった塵埃を圧縮するための圧縮板と、前記圧縮版に押圧を加える圧縮板軸と、前記圧縮板と前記集塵室との間隙を埋め前記集塵室の内壁に当接するよう配置したシール部材と、前記集塵室と前記細塵室との間の第1の連通部に第1の逆止弁を、前記流入口よりも低い位置に有し、前記圧縮板を上下に貫通する第2の連通部に第2の逆止弁を有し、前記圧縮板が、下端から上端へ移動する際に、前記集塵室と前記圧縮板の下面で形成される空間の負圧により前記第1の逆止弁が開き、空気が前記細塵室から前記集塵室へと流れるように構成し、また、前記圧縮板が、上端から下端へ移動する際に、前記集塵室と前記圧縮板の下面で形成される空間の
正圧により前記第2の逆止弁が開き、空気が前記圧縮板の下方から上方に流れるように構成した。
【0011】
これにより、吸気口から流入した含塵空気は、旋回室外郭の内壁と排気筒とで区画された旋回通路、および旋回室外郭の内壁と円弧状の区画壁とで区画された移送通路を旋回しながら、隣接させた集塵室へと気流をスムーズに誘引させることができるようになり、また、吸気口、排気筒の通気部、および集塵室への流入口と流出口とが、上から順に高低差を付けた配置とし、旋回室の吸気口から集塵室の底位置に向かって斜め下方となるように構成としたことで、旋回気流は斜め下方成分を持つようになるため、集塵室内では、塵埃が流入口から底部分へ向かって確実に誘導されるようになり、集塵室上方の流出口まで気流が上昇する間に塵埃を分離させることができる。
【0012】
そして、吸引後、集塵室に溜まった塵埃は、圧縮板を下降させて押圧を加えることにより減容させることができるため、小さな集塵容積で従来の塵埃容量をためることができるようになる。
【0013】
また、昇降シャフトが押し下げられ圧縮板が上端部から下方に移動し粗塵を圧縮する際、集塵室の圧縮板の下方の空間の内圧が高くなるため第1の逆止弁は閉じていて細塵室には何の変化も起こらない。ただ圧縮板に設けられた第2の逆止弁が開き集塵室の圧縮板の下方の空気が上へ逃げて行く。そして、掃除を開始する前の電動送風機が停止している状態で、昇降シャフトを上昇させるとともに圧縮板は集塵室上端部へ移動させる。
【0014】
このときは圧縮板の第2の逆止弁が閉じているので、圧縮板の上昇に伴い、集塵室の圧縮板の下方の内圧が下がる。このため第1の逆止弁が開き負圧によって細塵室の細塵は連通口を通って集塵室に入り込み集塵室内の粗塵4と混ざり合う。このように、圧縮板が上昇下降する度に、粗塵と細塵が混合されるため、細塵は粗塵の隙間に埋もれて圧縮される事となる。よって、塵埃を、ゴミ箱の上などで蓋を開けて廃棄する場合、粗塵と細塵が一体となるため周囲に舞って飛散するとことがなく、清潔で使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。
【0015】
第2の発明は、特に第1の発明に記載の集塵装置において、圧縮板を下方に移動させ塵埃を圧縮させるタイミングは、電動送風機の運転中から停止したタイミングで行い、圧縮板を上方に移動させ塵埃を圧縮から開放させるタイミングは、掃除動作直前の電動送風機の停止状態時に行う構成とした。
【0016】
これにより、圧縮板が集塵室の下端に下がっているときには確実に電動送風機が停止しており、吸込む気流が発生していないので、圧縮板の上に塵埃がたまってしまうことがない。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態における電気掃除機について図を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における電気掃除機のサイクロン集塵装置の外観斜視図である。図2は同要部側面断面図、図3は別の角度から見た要部側面断面図である。
【0019】
図1に示すように、サイクロン集塵装置は、塵埃を含む空気を取り入れ旋回気流を発生させる旋回室21、および塵埃をためる集塵室22から成る集塵ケース23と、第2の塵埃分離手段を内包し集塵ケース23の上方に配され、集塵ケース23ならびに電動送風機
(図示せず)を内蔵した掃除機本体(図示せず)とに連結される第2集塵ケース24とで構成している。
【0020】
集塵ケース23の旋回室21は、略円筒形状の外郭内周面に対して接線方向となるように取り付けた吸引通路を有する吸気口25と、略中心には第2集塵ケース24に連通する略円筒状の排気筒26を配している。
【0021】
この排気筒26の外周側面にはメッシュフィルタやエッチングフィルタ等の濾過フィルタによる通気部27を構成しており、粗塵が第2集塵ケース側24へと確実に通り抜けないようにしている。
【0022】
図2に示すように、旋回室21では、吸気口25と排気筒26との位置関係、ならびに吸気口25を旋回室21の外郭内周面に接線方向となる向きで配置しているため、吸気口25より流入した含塵空気は、旋回室21外郭の内壁面に沿って旋回する流れとなる。排気筒26の内側空間は、第2集塵ケース24に連通しており、排気筒26の通気部27を通過した空気は、第2集塵ケース24へと流れていく。
【0023】
次に、集塵室22は、図2、図3に示すように、旋回室21の内径とほぼ同等、もしくは幾分小さい内径とした略円筒形状の筒体であり、旋回室21の下方にそれぞれの中心軸を水平方向に平行にズラした位置で配置させており、かつ、高さ方向において、集塵室2の上端の一部を旋回室21の内部に入り込むように構成としている。
【0024】
つまり、旋回室21と集塵室22とが重なり合う部分は、図4に示すように、旋回室21側が凹状となり、集塵室22側は略円筒形状となる隔壁28を設けている。
【0025】
旋回室21の外郭内壁面と集塵室22の外郭内壁面とが交差する部分において、その一方には、互いの内周円に接するように直線状の壁29を設けており、そして、隔壁28の側面部分には、旋回室21の外郭内壁面と交わる両側付近に連通口を設け、それぞれの連通口の間口縁を内壁面に一致させている。
【0026】
ここで、この2つの連通口の一方は、旋回室21で旋回する気流が集塵室22へと流れ込む流入口30であり、もう一方が、集塵室22から旋回室21へと戻る気流の流出口31として構成したものであり、流入口30は、先述した旋回室21の外郭内壁面と集塵室22の外郭内壁面とを接するように結んだ直線状の壁29を設けた側に構成している。
【0027】
また、流入口30と流出口31の互いに内側となる開口縁を円弧状の区画壁32で結び、この円弧状の区画壁32の円弧は上方の排気筒26の円弧と一致させており、かつ、排気筒26と円弧状の区画壁32とを連ねるように構成している。
【0028】
そして、流入口30、および流出口31は、旋回室21と集塵室22のそれぞれの外郭内壁面同士が交わる稜線から、集塵室の隔壁28と円弧状の区画壁32とが交わる稜線までの範囲で開口させている。
【0029】
また、流出口31には、格子の開口間口の大きさを1〜2mmの範囲で設定した通気格子33を形成している。集塵室22の底部分は開口しており、回動自在に軸支した底蓋34でエアタイト性を確保しながら塞ぐ構成としている。通気格子33の開口間口のサイズは、実験結果より、開口間口の大きさを3mm以上で設定すると、リントといった細かい埃は、格子に引っ掛からずに旋回室21側へと通り抜けてしまう傾向が見られ出すようなったが、開口間口を2mmで設定すると、通気格子33にリントが引っ掛かり、旋回室21側への通り抜けが大幅に抑えることができたため、樹脂一体成形で可能な1mm〜2m
mのサイズ設定とした。
【0030】
旋回室21の吸気口25、排気筒26の通気部27、および旋回室21と集塵室22とが連通する流入口30と流出口31とは、図5に示すように、上から順に高さ位置をズラした配置としており、これにより、吸気口25より流入した含塵空気は、吸気口25より斜め下方に旋回室21を旋回しながら流入口30へと進入し、そのまま延長して、集塵室22内を斜め下方に旋回しながら集塵室22の底位置まで流れていく。
【0031】
そして、重みのある粗塵は、集塵室22の底部分でそのまま旋回し続け、粗塵を分離した気流は旋回しながら上昇し、この上昇気流に乗ったリント等の細かい埃は、流出口31の通気格子33で引っ掛かり、さらに塵埃分離した状態の空気が、通気格子33を通り抜けて旋回室21へと戻り、旋回室21を旋回しながら、排気筒26の通気部27を抜けて第2集塵ケース24へと流れていく。
【0032】
ここで、集塵室22内では、粗塵がその重みにより底位置で旋回し続けると、絡まり合いながらマリモのようになり、そこに細塵も一緒に絡まり合うため、それによっても粗塵と細塵が絡まり合った塵埃と空気とが分離される。
【0033】
次に、集塵室22内を流出口31に向かって旋回上昇する気流には、幾分、リント等の細かい塵埃が乗っているが、リントは通気格子33で引っ掛かり、それが堆積するとリントがフィルタの役目をするようになり、旋回室21側への細塵の通過をより抑えることができるようになる。つまり、リントが堆積すると不織布フィルタに似た状態になるためである。
【0034】
このように、旋回室21内において、排気筒26および円弧状の区画壁32と旋回室外郭の内周壁との間で、吸気口から集塵室22への流入口に向かう旋回通路とそれに連なる移送通路35とを形成することになるため(図6)、よりスムーズに旋回室21から集塵室22へと旋回気流を導くことができる。
【0035】
従来のサイクロン構成では、旋回室21と集塵室22とを同軸上に配置させることが一般的であるが、旋回室21と集塵室22とを平行にズラした状態としても、旋回室21と集塵室22とが上下となる配置、つまり、斜め上下方向の位置関係とし、かつ、旋回室21と集塵室22との間で、楕円軌道を描くように気流の入口と出口とを設けることで、一般的なサイクロンの気流と類似した遠心旋回気流を形成することができるようになる。
【0036】
その後、排気筒26を通過した空気は、第2集塵ケース24へと流れる。第2集塵ケース24内には、第2の塵埃分離手段として不織布製のフィルタ36をプリーツ状に折ったものを配置し、排気筒26から抜けてきた微小な細塵をこの不織布製のフィルタ36にて濾過し、きれいになった空気のみが不織布製のフィルタ36を通過して、電動送風機へと導かる。
【0037】
ここで、図2に示すように、不織布製のフィルタ36の下流側には、フィルタ表面に衝撃振動を与える除塵子37を取り付けており、吸引運転後、除塵子37と連結させた集塵ケース23に内蔵したリニア駆動部38からの往復運動により、フィルタ表面を除塵子37で叩き、不織布製のフィルタ36の表面に付着した細塵を衝撃により落としている。
【0038】
この叩き落とした細塵は、排気筒26、円弧所状の区画壁32の内側空間を通って、旋回室21下方に設け円弧状の区画壁32内側と連通した細塵室39まで落ちて溜まるようにしている。
【0039】
細塵室39は、図2に示すように、集塵室22と隣接して配置しており、また、集塵室22の底は開口しており、底蓋34によって塞ぐ構成としている。集塵室22の上端には、底面を平面とし集塵室22の軸方向に昇降する圧縮板40を配置している。圧縮板40には、その中心より旋回室21とは反対側にズラした位置に昇降シャフト41を取り付けている。また、昇降シャフト41と同軸にバネ42を、図中上向きに付勢される状態で組み込んでいる。
【0040】
昇降シャフト41の上端側面には、操作レバー43を設けており、この操作レバー43を押すことで、昇降シャフト41が下がり、圧縮板40が同時に押し下がるようにしている。そして、摺動操作部44には、バネ付勢した回動式のラッチ45を設けており、昇降シャフト41の上方周囲の一部に鋭角角部46を設け、昇降シャフト41を押し下げ、鋭角角部46がラッチ45の位置にくると、ラッチ45が鋭角角部46に噛合いロックする構成としている。
【0041】
ラッチ45の、鋭角角部46と噛合う端部とは逆の端部は、外部に突出した押しボタン47になっており、この押しボタン47を押し込むことでラッチ45と鋭角角部46の噛合いが外れ、昇降シャフト41はバネ42の力で上昇し、圧縮板40は、集塵室22の上端にまで戻る。
【0042】
また、圧縮板40の周囲には例えばゴムのような柔軟な部材よりなるシール部材48が配され、圧縮板40と集塵室22の壁面に当接して間を埋めて、圧縮板40が上下した際の、圧縮板40の上から下、および下から上への空気漏れを防いでいる。
【0043】
また、集塵室22と細塵室39の壁29の細塵室のほぼ下端には連通口49(第1の連通部)がありその連通口49を塞ぐように第1の逆止弁50が設けられており。圧縮板40が、集塵室22を下端から上端へ移動する際に、集塵室22と圧縮板40の下面で構成される空間の負圧により第1の逆止弁50が開き、空気が細塵室39から集塵室22へと流れるように構成している。
【0044】
また、圧縮板40に上下に通じる連通口(第2の連通部)51がありその連通口(第2の連通部)51を塞ぐように第2の逆止弁52が設けられている。圧縮板40が、上端から下端へ移動する際に、集塵室22と圧縮板40の下面で構成される空間の正圧により第2の逆止弁52が開き、空気が圧縮板40の下方から上方に流れるように構成している。
【0045】
また、図6に示すように圧縮板40が集塵室22上端で収納されている状態において、圧縮板40の底面が、集塵室22への流入口30および流出口31の上縁と一致するか、もしくは、上縁よりわずかに上方に位置するように配置している。
【0046】
次に、圧縮板40、第1の排気弁、第2の排気弁の動作作用について図7,8を用いて説明する。
図7は第1の実施の形態における集塵装置において圧縮板を下げる動作をしているときの要部断面図である。図8は圧縮板を上げる動作をしているときの要部断面図である。
【0047】
塵埃を吸込んで掃除が終了し電動送風機を停止させると図7に示すように、昇降シャフト41は人力により押し下げられ圧縮板40は上端部から下方に移動し粗塵4を圧縮する。その際、集塵室22の圧縮板40の下方の空間の内圧が高くなるため第1の逆止弁50は閉じていて細塵室には何の変化も起こらない。ただ圧縮板40に設けられた第2の逆止弁52が開き集塵室22の圧縮板40の下方の空気が外へ逃げて行くようになっている。
【0048】
次に、掃除を開始する前の電動送風機が停止している状態で、図8に示すように、人力
により押しボタン47を押すと、ラッチ45がはずれバネ42の反発力により昇降シャフト41上昇するとともに圧縮板40は集塵室22上端部へ移動する。このときは圧縮板40の第2の逆止弁52が閉じているので、圧縮板40の上昇に伴い、集塵室22の圧縮板40の下方の内圧が下がる。このため第1の逆止弁50が開き負圧によって細塵室39の細塵8は連通口49を通って集塵室22に入り込み集塵室22内の粗塵4と混ざり合う。
【0049】
これにより、圧縮板40下がっているときには確実に電動送風機が停止しており、吸込む気流が発生していないので、圧縮板40の上に塵埃がたまってしまうことがない。
【0050】
従って、掃除を行うたび、圧縮板40を上昇させ、粗塵4と細塵8が混合されるため、細塵8は粗塵4の隙間に埋もれて圧縮される事となる。よって、塵埃を、ゴミ箱の上などで蓋34を開けて廃棄する場合、粗塵4と細塵8が一体となって圧縮されているため周囲に舞って飛散するとことがなく、清潔で使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。
【0051】
なお、シール部材48はゴムでできた「へら」のようなものでもよいし、またOリングのようなものでもよい。また、繊維の密集したフエルトなどでもよい。
【0052】
なお、集塵室の形状は円筒でなくてもかまわない、直方体であっても圧縮版およびシール部材が集塵室の内部形状に添う形であれば同様の作用効果が得られる。
【0053】
なお、流入口30と流出口31は同一の開口部としてもよい。その場合は例えば、開口部の、旋回室円周外側から流入し、内側から流出させるよう構成してもかまわない。またその場合、通気格子33が無くてもかまわない。
【0054】
なお、逆止弁の代わりに電磁弁を用いてもかまわない。そのときは、昇降シャフト41にかかる正負の荷重をセンサ等で検知して電磁弁の開閉を行ってもよい。
【0055】
なお、圧縮板40を人力およびバネ42で上下させる構成の説明をしたがこれに限られることは無く、歯車とモータを用いて構成してもよい。例えば、バネ42のない昇降シャフト41の長手方向にラックギアを配し、モータに取り付けたピニオンギアとかみ合わせることでモータにより昇降シャフト41および圧縮板40を上下させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明にかかる集塵装置は、圧縮板40が上昇するたび度に、粗塵4と細塵8が混合されるため、細塵8は粗塵4の隙間に埋もれて圧縮される事となる。よって、塵埃を、ゴミ箱の上などで蓋34を開けて廃棄する場合、粗塵4と細塵8が一体となって圧縮されているため周囲に舞って飛散するとことがなく、清潔で使い勝手のよい電気掃除機を提供することができるため、業務用の集塵装置にも応用可能である。
【符号の説明】
【0057】
21 旋回室
22 集塵室
25 吸気口
26 排気筒
30 流入口
35 移送通路
36 フィルタ
39 細塵室
40 圧縮板
41 昇降シャフト(圧縮板軸)
48 シール部材
49 連通口(第1の連通部)
50 第1の逆止弁
51 連通口(第2の連通部)
52 第2の逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力を発生させる電動送風機と、
前記電動送風機の上流側に設置され前記電動送風機により吸引した塵埃を含む空気を旋回させ塵埃を分離する略円筒状の旋回室と、
前期旋回室の下方に位置し前記旋回室で分離した塵埃をためる略円筒状の集塵室と、
前記旋回室の外郭周方向に、含塵空気を吸引するための吸気口と、
前記旋回室の中心付近に外周面に配し、通気部を備え塵埃を分離した空気を排気するための排気筒と、
前記排気筒の風下側に配し、前記排気筒から排気される空気から細塵を濾過するフィルタと、
前記旋回室の下方に配し、内側の空間が前記排気筒の内側に連通し、前記集塵室に隣接させた細塵室と、
前記旋回室と前記集塵室とは、互いの中心軸が水平方向に平行にずらされ、高さ方向に一部が重なり合うように配置され、
前記旋回室を旋回する含塵空気が前記旋回室外郭の内壁面に沿いながら前記集塵室へと流入する流入口を有し、
前記旋回室内に前記流入口の内側開口線と接続する円弧状の区画壁を設け、前記円弧状の区画壁と、前記旋回室の外郭内壁との間で移送通路を形成し、
前記集塵室にたまった塵埃を圧縮するための圧縮板と、
前記圧縮板に押圧を加える圧縮板軸と、
前記圧縮板と前記集塵室との間隙を埋め前記集塵室の内壁に当接するよう配置したシール部材と、
前記集塵室と前記細塵室との間の第1の連通部に第1の逆止弁を、前記流入口よりも低い位置に有し、
前記圧縮板を上下に貫通する第2の連通部に第2の逆止弁を有し、
前記圧縮板が、下端から上端へ移動する際に、前記集塵室と前記圧縮板の下面で形成される空間の負圧により前記第1の逆止弁が開き、空気が前記細塵室から前記集塵室へと流れるように構成し、
また、前記圧縮板が、上端から下端へ移動する際に、前記集塵室と前記圧縮板の下面で形成される空間の正圧により前記第2の逆止弁が開き、空気が前記圧縮板の下方から上方に流れるように構成した電気掃除機。
【請求項2】
圧縮板を下方に移動させ塵埃を圧縮させるタイミングは、電動送風機の運転中から停止したタイミングで行い、
圧縮板を上方に移動させ塵埃を圧縮から開放させるタイミングは、掃除動作直前の電動送風機の停止状態時に行う構成とした請求項1に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−22224(P2013−22224A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159651(P2011−159651)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】