説明

電気接続箱

【課題】 本発明は、内部が局所的に高温になることを防止しつつ、防水性低下も抑えることのできる電気接続箱を提供する。
【解決手段】 回路構成体43は、回路基板42の一方の面にリレー13が実装されると共に、他方の面にバスバー24が接着されてなる。このバスバー24には伝熱板39が接着されている。バスバー24から発せられた熱は、伝熱板39に吸収された後、伝熱板39内に分散されるので、バスバー24周辺が局所的に高温になることを防止できる。また、リレー13から発せられた熱も、バスバー24を介して伝熱板39により分散されるので、リレー13周辺が局所的に高温になることも防止できる。また、回路構成体43はハウジング45内に収容されているので防水性の低下を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内に回路構成体を収容してなる電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気接続箱は、例えば自動車のエンジンルーム内に配設されたり、リレーボックス内に収容されて使用されるものであり、特許文献1に記載のものが知られている。このものは、回路基板に電装品を実装した回路構成体がハウジングに収容されてなる。上記の電気接続箱においては、発熱部品から発生した熱は、直接空気中に放散される。
【特許文献1】特開平10−341514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記の構成によれば、隣り合う発熱部品同士から発せられる熱が十分に放散されず、電気接続箱内が局所的に高温になる場合がある。局所的に高温になると、部品等が変形するなどの問題が生じるおそれがあるので、熱は速やかに電気接続箱の外部に放散されるのが望ましい。
【0004】
上記の問題を解決するためには、発熱部品からの熱を放散するための開口部をハウジングに形成することが考えられる。しかしこの方法によると、開口部から水が浸入するおそれがあり、電気接続箱の防水性が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、内部が局所的に高温になることを防止しつつ、防水性低下も抑えることのできる電気接続箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、回路基板にスイッチング素子を実装してなる回路構成体をハウジング内に収容した電気接続箱において、前記回路構成体には、その発熱部に重ねて伝熱部材を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記伝熱部材は板状の伝熱板であって、前記伝熱板は、前記発熱部より広い面積を有すると共に、前記回路基板に沿わせて設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2記載のものにおいて、前記伝熱板のうち前記発熱部側の面とは反対側の面が前記ハウジングの内面に近接していることを特徴とする。
【0009】
なお、「近接」とは、伝熱的に近接していることを意味する。すなわち、電気接続箱を通常の使用条件下で使用した場合、発熱部からの熱が伝熱板からハウジングへと伝達されてハウジングから外部に放散される結果、電気接続箱内の温度上昇を、所定の温度以下に抑えることができるように、伝熱板とハウジングとが配されていることを意味するし、発熱部からの熱が伝熱板からハウジングへと伝達可能な程度に接近していればよい。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2または3記載のものにおいて、前記スイッチング素子は前記回路基板の一方の面に実装され、前記回路基板の他方の面には前記スイッチング素子への導電路を構成するバスバーが接着され、前記伝熱板は絶縁層を介して前記バスバーに接着されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4記載のものにおいて、前記ハウジングは、ケースと底板とからなり、前記ケースには、前記底板側に向けて突出して先端面にネジ孔を有する取付ボス部が突設され、前記回路構成体及び前記伝熱板は前記取付ボス部に螺合した取付ネジによりネジ止めされ、前記底板には前記取付ネジの頭部を逃げるための凹部が形成されて底板が前記伝熱板に近接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、発熱部から発生する熱は、この発熱部に重ねて設けられた伝熱部材に吸収されて、伝熱部材内に分散される。これにより、発熱部周辺の温度分布がならされて、発熱部周辺の温度を下げることができるから、電気接続箱内が局所的に高温になることを防止できる。
【0013】
また、回路構成体はハウジング内に収容されているので、電気接続箱の防水性の低下を抑えられる。
【0014】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、伝熱板は、発熱部よりも広い面積を有しているから、発熱部から発生した熱は、伝熱板に吸収された後、伝熱板内に分散することにより、発熱部よりも広い面積の領域に分散する。これにより、発熱部周辺の温度分布がならされて、発熱部周辺の温度を下げることができるから、電気接続箱内が局所的に高温になることを防止できる。
【0015】
また、伝熱板は回路基板に沿わせて設けられているので、電気接続箱を、回路基板と交差する方向に対して低背化することができる。
【0016】
<請求項3の発明>
請求項3の発明によれば、伝熱板のうち発熱部側の面とは反対側の面がハウジングの内面に伝熱的に近接しているので、発熱部から発生した後、伝熱板に吸収、分散された熱は、伝熱板からハウジングに速やかに伝達され、ハウジングから電気接続箱の外部へ放散される。これにより電気接続箱の放熱性を向上させることができる。このとき、伝熱板とハウジングの内面とが接触していると、伝熱板とハウジングの内面とが接触している部分を介して、伝熱板からハウジングに効率よく熱を伝達できるので好ましい。また、伝熱板とハウジングの内面とが密着していると、伝熱板とハウジングとの間に隙間(空気層)が形成されていないので、この隙間に熱がこもることを防止でき、伝熱板からハウジングへ熱を効率よく伝達できるので特に好ましい。
【0017】
<請求項4の発明>
請求項4の発明によれば、バスバーから発せられた熱は、伝熱板に吸収された後、伝熱板内に分散される。これによりバスバー周辺の温度分布がならされる結果、バスバー周辺の温度を下げることができる。この結果、バスバー周辺の温度が局所的に高温になることを防止できる。
【0018】
また、請求項4の発明によれば、スイッチング素子から発せられた熱は、スイッチング素子の端子を介してバスバーへと伝達される。その後、バスバーに接着された伝熱板に熱が効率よく伝達され、熱が伝熱板内に分散される。これによりスイッチング素子周辺の温度を低下させることができるから、スイッチング素子周辺の温度が局所的に高温になることを防止できる。
【0019】
<請求項5の発明>
請求項5の発明によれば、ケースと、回路構成体及び伝熱板とは、ネジ止めされているので、ケースと、回路構成体及び伝熱板とを、一層強固に肯定することができる。
【0020】
また、請求項5の発明によれば、取付ネジの頭部は底板に形成された凹部内に収容される。これにより、底板の外表面に、取付ネジの頭部を逃がすための開口部を形成しなくてもよいので、電気接続箱の防水性の低下を抑えられる。
【0021】
また、請求項5の発明によれば、底板が伝熱板に、伝熱的に近接しているから、伝熱板から底板に対して効率よく熱を伝達することができ、この底板から熱を放散することができる。これにより電気接続箱の放熱性を向上させることができる。このとき、伝熱板と底板とが接触していると、伝熱板と底板とが接触している部分を介して、伝熱板から底板に効率よく熱を伝達できるので好ましい。また、伝熱板と底板とが密着していると、伝熱板と底板との間に隙間(空気層)が形成されていないので、この隙間に熱がこもることを防止でき、伝熱板から底板へ熱を効率よく伝達できるので特に好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<実施形態1>
以下に本発明の実施形態1を図1ないし図3を参照して説明する。本実施形態は、リレーボックス10のリレーボックスハウジング12内に、本発明に係る電気接続箱11を収容したものである。リレーボックスハウジング12は、図1における上方に開口する箱状のロアカバー14と、このロアカバー14の上方に配される筒状のアッパケース15(請求項5における底板に相当する)と、このアッパケース15の上方から、アッパケース15の開口部分を覆うアッパカバー16とから構成されている。
【0023】
ロアカバー14は、図1における略右半分の底部が深くなっていて、後述するコネクタフード部17と嵌合するためのリレーボックス側コネクタ(図示せず)が収容されており、このリレーボックス側コネクタには図示しない端子金具が収容されている。ロアカバー14の上端寄りの外周面には、ほぼ全周にわたって、アッパケース15を受け止めるためのフランジ18が外方に張り出して形成されている。
【0024】
アッパケース15内には、上方に開口する箱状のロアケース19が収容されている。ロアケース19のうち、図1における左端から略三分の二だけ右方に離れた位置には、ロアケース19の底壁から上下方向に延出された仕切壁20が形成されている。この仕切壁20により区分される領域のうち、仕切壁20の左側の領域は、後述する配電基板部21が収容される配電基板部収容部22となっており、仕切壁20の右側の領域は、底壁が深く形成されて、後述する電気接続箱11が収容される電気接続箱収容部23となっている。仕切壁20は、インナーケース32(請求項5におけるケースに相当する)に左方から当接している。
【0025】
電気接続箱収容部23の底壁の下側面には、リレーボックス側コネクタと嵌合するコネクタフード部17が下方に開口して突設されている。このコネクタフード部17の底壁には、後述するバスバー24が上下方向に貫通している。コネクタフード部17とリレーボックス側コネクタとは嵌合しており、バスバー24と、リレーボックス側コネクタに収容される端子金具とは電気的に接続されている。
【0026】
ロアカバー14の上方には、筒状をなすアッパケース15が取り付けられている。このアッパケース15の下端縁は、ロアカバー14の側壁の上端縁及びロアケース19の側壁に外方から当接すると共に、ロアカバー14のフランジ18の上面に当接している。アッパケース15の上端寄りの外周面には、ほぼ全周にわたって、アッパカバー16を受け止めるためのフランジ18が張り出して形成されている。アッパケース15のうち、図1における右側壁25の内側面には、後述する取付ネジ26のネジ頭を逃がすための凹部27が形成されている(図3参照)。アッパケース15のうち、図1における左端から右方に向かって略三分の二の領域には、アッパケース15の左側壁から右方に向かって略棚板状に形成された配電基板部21が設けられている。また、アッパケース15のうち、図1における右側壁25の上端寄りの位置には、図1における左方に向かって略棚板状に形成された上壁28が設けられており、この上壁28の左端縁は上方に向かって立ち上がった形態になっている。
【0027】
図1に示すように、配電基板部21は、ロアケース19の側壁の上端部と、仕切壁20の上端部とに載置されるようになっている。配電基板部21の下方には、複数枚の絶縁板29を介して複数本のバスバー(図示せず)を積層して形成してなる配電基板30が取り付けられている。配電基板部21のうち、図1における左側には、図示しないリレーを装着するためのリレー装着部31が形成されている。図示しないバスバー群のうち所定のものは、端部が上方に曲げ形成されており、リレー装着部31の底壁を貫通している。図示しないバスバー群と、リレーボックス側コネクタに収容された端子金具とは電気的に接続されている。
【0028】
アッパケース15の上方には、アッパケース15の開口部を覆うようにして、アッパカバー16が被せられている。アッパカバー16の開口縁は、アッパケース15の上端縁の外側に嵌められると共に、アッパケース15のフランジ18の上面に当接されている。アッパカバー16の上壁の内側面には、アッパカバー16の側壁から僅かに内側に寄った位置から下方に垂下して形成された補助壁34が設けられており、この補助壁34とアッパカバー16の側壁とにより、アッパケース15の上端縁を挟持可能な防水溝35が形成されている。この防水溝35の上部にはパッキン36が配設されている。アッパケース15の上端縁は防水溝35に挟持されると共に、パッキン36に下方から当接しており、これにより電気接続箱11の防水性が確保されている。アッパカバー16のうち、アッパケース15の上壁28の左端縁と対応する位置には、一対の挟持壁37が、アッパケース15の上壁28の左端縁と略同じ厚さ寸法だけ離間して下方に垂下して形成されており、上壁28の左端縁を挟持するようになっている。挟持壁37のうち、図1における左側の挟持壁37Aの下端は、右側の挟持壁37Bよりもやや長く形成されて、押さえ壁33の上端縁まで延出されている。図1における左側の挟持壁37Aは、後述するヒューズボックス38に左方から当接している。
【0029】
電気接続箱11は、回路基板42にリレー13が実装された回路構成体43が、インナーケース32に収容されたものである。インナーケース32は、図1における右方に開口を有する箱状をなしている。インナーケース32の上部には、ヒューズ(図示せず)を装着可能なヒューズボックス38が、インナーケース32と一体に形成されている。インナーケース32の左側壁の内側面には、後述する伝熱板39をネジ止めするための、取付ボス部40が、図1における右方に向かって突出するように形成されている。取付ボス部40の先端面には取付ネジ26を螺合するためのネジ孔41が形成されている。
【0030】
回路基板42のうち、図1の左側の面には、プリント配線手段により導電路が形成されており、この導電路にリレー13(請求項1のスイッチング素子に相当)が実装されている。また、回路基板42のうち、図1の右側の面には、複数本のバスバー24(請求項1の発熱部に相当)を導電路と電気的に接続した状態で沿わせてある。なお、バスバー24は、絶縁性を有する薄い接着シート(図示せず)を介して回路基板42と一体的に貼り付けられている。バスバー24群のうち所定のものは、上端が図1における左方に曲げ形成されてヒューズボックス38内に収容されている。また、バスバー24群のうち所定のものは、下端が二度直角曲げされて、下方に突出しており、コネクタフード部17内に収容されている。
【0031】
さて、バスバー24には、絶縁性の接着剤層を介して伝熱板39(請求項1における伝熱部材に相当)が接着されている。伝熱板39は、熱伝導率の高いアルミニウム等の金属板により、回路基板42の形状とほぼ同じ形状に形成されており、回路基板42の板面に沿うように配設されている。この伝熱板39の板面の面積は、各バスバー24の面積の総和よりも大きなものとなっている。回路構成体43及び伝熱板39には、取付ボス部40に対応する位置に挿通孔44が形成されている。図2に示すように、取付ネジ26が、挿通孔44に挿入されると共に、ネジ孔41に螺合されることにより、インナーケース32に、回路構成体43及び伝熱板39が取り付けられている。
【0032】
上記のようにして伝熱板39が取り付けられた電気接続箱11は、ロアケース19の電気接続箱収容部23内に、伝熱板39を右方に向けた状態で、上方から収容されている。この電気接続箱11の上方からアッパケース15が取り付けられており、図1におけるアッパケース15の右側壁25は、伝熱板39を覆うようにして右方から当接している。このアッパケース15と、インナーケース32とにより、電気接続箱11のハウジング45が構成されている。また、図3に示すように、取付ネジ26の頭部は、アッパケース15の右側壁25の内側面に形成された凹部27内に収容されている。
【0033】
上記したアッパケース15に形成された配電基板部21のうち、図1における右端縁は、上下方向に張り出して形成されており、電気接続箱11を、図1におけるアッパケース15の右側壁25と挟持するための保持壁33となっている。保持壁33のうち、配電基板部21より上方の部分は、インナーケース32と、左方から当接している。一方、保持壁33のうち、配電基板部21より下方の部分は、仕切壁20の厚み分だけ図1における左側に片寄って形成されており、ロアケース19の仕切壁20の上端付近と、左方から当接している。
【0034】
保持壁33の内面と、図1におけるアッパケース15の右側壁25の内面との間隔は、伝熱板39が取り付けられた電気接続箱11が緊密に嵌るような寸法に設定されている。また、仕切壁20の内面と、図1におけるアッパケース15の右側壁25の内面との間隔も、伝熱板39が取り付けられた電気接続箱11が緊密に嵌るような寸法に設定されている。そして、伝熱板39が取り付けられた電気接続箱11は、保持壁33及び仕切壁20と、図1におけるアッパケース15の右側壁25との間に形成された空間に収容された状態になっている。これにより、図1に示すように、伝熱板39が取り付けられた電気接続箱11は、ロアケース19ごと、図1におけるアッパケース15の右側壁25と、保持壁33とに挟持された状態になっている。上記の保持壁33は、配電基板部21を介して、アッパケース15と一体に形成されている。アッパケース15は筒状をなしていることから、各側壁が外方に撓み変形しないようになっている。このため、図1におけるアッパケース15の右側壁25と保持壁33とが電気接続箱11を挟み込む方向に働く力が逃げないようになっている。これにより、図1における伝熱板39の右側面とアッパケース15の右側壁25の内面とが全面にわたって伝熱的に近接するようになっている。すなわち、電気接続箱11を通常の使用条件下で使用した場合、バスバー24からの熱が伝熱板39からアッパケース15の右側壁25へと伝達されて、アッパケース15の右側壁25から外部に放散される結果、電気接続箱11内の温度上昇を、所定の温度、例えば120℃以下に抑えることができるように、伝熱板39とアッパケース15の右側壁25とが配されており、バスバー24からの熱が伝熱板39からアッパケース15の右側壁25へと伝達可能な程度に接近している。
【0035】
次に、本実施形態の作用、効果について説明する。
本実施形態では、表面にリレー13の実装された回路基板42の裏面にバスバー24を接着し、このバスバー24に伝熱板39を接着することにより、リレー13から発せられる熱を、バスバー24を介して伝熱板39に効率よく伝達し、この伝熱板39により分散させるようになっている。これにより、リレー13の周辺が局所的に高温になるのを防止できる。また、バスバー24から発せられる熱は、伝熱板39により、各バスバー24の面積の総和よりも大きな面積に分散されるので、バスバー24の周辺が局所的に高温になることを防止できる。
【0036】
本実施形態においては、リレー13やバスバー24等で発生した熱は、伝熱板39を介してアッパケース15の右側壁25に伝達された後、外部に放出されるようになっている。ここで、伝熱板39と、アッパケース15の右側壁25との間の隙間(空気層)が広い場合には、この隙間に熱がこもってしまい、十分に外部に熱が放出されないことが憂慮される。
【0037】
そこで本実施形態では、図1におけるアッパケース15の右側壁25と、保持壁33とが、伝熱板39が取り付けられた電気接続箱11を、ロアケース19ごと挟持することにより、伝熱板39と、図1におけるアッパケース15の右側壁25の内面とが伝熱的に近接するようにしている。これにより、リレー13やバスバー24等で発生した熱は、伝熱板39に吸収、分散された後、伝熱板39から図1におけるアッパケース15の右側壁25に速やかに伝達され、電気接続箱11の外部に放散される。これにより、電気接続箱11内の温度を例えば120℃以下に抑えることができ、電気接続箱11の放熱性を向上させることができる。
【0038】
さらに、本実施形態によれば、回路構成体43は、インナーケース32及びアッパケース15からなるハウジング45内に収容されている。また、アッパケース15に形成された凹部27内に、取付ネジ26の頭部が収容されている。このようにハウジング45には開口部が設けられていない構成となっているので、電気接続箱11の防水性の低下を抑えられる。
【0039】
また、本実施形態によれば、伝熱板39が回路基板42に接着されているので、回路基板42の剛性が向上する。これにより、回路基板42のリレーボックス10内への組付作業時において、回路基板42の取り扱い性が向上するので、作業効率が向上する。
【0040】
また、コネクタフード部17がロアケース19に設けられていることにより、電気接続箱11にコネクタフード部17が設けられている場合に比べて、電気接続箱11の部品点数を削減できる。一方、ロアケース19は元来、リレーボックス10内に収容されている部材なので、リレーボックス10内にコネクタフード部17を設けても、電気接続箱11中の部品点数は増加しない。このように本実施形態によれば、全体として電気接続箱11の部品点数を削減できるので、電気接続箱11の製造コストを削減できる。
【0041】
<実施形態2>
実施形態2では、回路基板42の導電路には、リレー13や、図示しない電装品など、全ての電装品が表面実装により配設されている。これにより、回路基板42のうち電装品を実装した面と反対側の面には電装品の端子が突出しておらず、フラットになっている。このフラットな面にバスバー24が、絶縁性を有する薄い接着シートで貼り付けられており、さらにこのバスバー24に重ねて、絶縁性の接着剤層を介して伝熱板39が接着されている。このようにすれば、回路構成体43のうち伝熱板39が接着された側の面をフラットにすることができる。
【0042】
例えば、回路基板42に形成された挿通孔(図示せず)に電装品(図示せず)の端子を挿入することで、電装品と、回路基板42上の導電路とを接続する場合には、回路基板42のうち実装面と反対側の面に電装品の端子が突出するから、伝熱板39を、アッパケース15の右側壁25に対して、伝熱的に近接した状態で配することが困難になる。
【0043】
これに対して本実施形態では、回路構成体43のうち伝熱板39が接着された側の面がフラットになっているから、アッパケース15の右側壁25に対して、伝熱的に近接した状態で伝熱板39を配設することができる。このようにすれば、伝熱板39からアッパケース15の右側壁25へ熱を効率よく伝達できるから、アッパケース15の右側壁25から電気接続箱11の外部へ効率よく放熱できる。
なお、その他の構造、作用及び効果は、上記した実施形態1と同様であるため重複する説明は省略する。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0045】
(1)本実施形態においては、伝熱部材は板状の伝熱板39であったが、これに限られず、伝熱部材は、筒状、ブロック状など、任意の形状をとりうる。
また、伝熱部材は、回路基板42の板面に交差する方向に延びて形成される構成としてもよい。
【0046】
(2)本実施形態においては、伝熱板39はバスバー24に接着される構成としたが、これに限られず、伝熱板39をリレー13に密着して配設し、リレー13から発生する熱が伝熱板39に直接吸収されて分散される構成としてもよい。
【0047】
(3)本実施形態においては、伝熱板39はアッパケース15に伝熱的に近接する構成としたが、これに限られず、伝熱板39がインナーケース32に伝熱的に近接する構成としてもよい。
【0048】
(4)本実施形態においては、インナーケース32と、回路構成体43及び伝熱板39とはネジ止めされる構成としたが、これに限られず、インナーケース32の開口面の開口縁部と、回路構成体43又は伝熱板39の外周部とを接着剤により接着する構成としてもよい。
【0049】
(5)本実施形態では、図1におけるアッパケース15の右側壁25と、保持壁33とが、伝熱板39が取り付けられた電気接続箱11を、ロアケース19ごと挟持することにより、伝熱板39と、図1におけるアッパケース15の右側壁25の内面とが伝熱的に近接する構成とした。このとき、伝熱板39とアッパケース15の右側壁25とが接触する構成としてもよい。これにより、伝熱板39とアッパケース15の右側壁25とが接触した部分から、熱を伝熱板39からアッパケース15の右側壁25に効率よく伝達できるので、電気接続箱11の放熱性を向上させることができる。また、伝熱板39とアッパケース15とを接着剤で接着することにより、伝熱板39とアッパケース15とを密着させてもよい。これにより、伝熱板39とアッパケース15の右側壁25との間に隙間が形成されることを防止できるから、伝熱板39からアッパケース15の右側壁25へ熱を効率よく伝達でき、電気接続箱11の放熱性を向上させることができる。
【0050】
(6)本実施形態では、伝熱板39と回路構成体43とは、絶縁性の接着剤層を介して接着される構成としたが、これに限られず、伝熱板39は、絶縁性を有する薄い接着シートを介して回路構成体43と一体的に貼り付けられる構成としてもよい。これにより、接着剤の硬化過程が不要となるので、電気接続箱11の組付作業性を向上させることができる。
【0051】
(7)本実施形態では、電気接続箱11内の温度を、例えば120℃以下に抑える設定としたが、これに限られず、電気接続箱11内の温度の上限値は、電気接続箱11の仕様により任意に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気接続箱がリレーボックスに収容された状態を示す側断面図
【図2】インナーケースに回路構成体及び伝熱板をネジ止めした状態を示す側断面図
【図3】電気接続箱がリレーボックスに収容された状態を示す一部拡大側断面図
【符号の説明】
【0053】
11…電気接続箱
13…リレー(スイッチング素子)
15…アッパケース(底板)
24…バスバー(発熱部)
26…取付ネジ
27…凹部
32…インナーケース(ケース)
39…伝熱板(伝熱部材)
40…取付ボス部
42…回路基板
43…回路構成体
45…ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板にスイッチング素子を実装してなる回路構成体をハウジング内に収容した電気接続箱において、
前記回路構成体には、その発熱部に重ねて伝熱部材を設けたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記伝熱部材は板状の伝熱板であって、
前記伝熱板は、前記発熱部より広い面積を有すると共に、前記回路基板に沿わせて設けたことを特徴とする請求項1記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記伝熱板のうち前記発熱部側の面とは反対側の面が前記ハウジングの内面に近接していることを特徴とする請求項2記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記スイッチング素子は前記回路基板の一方の面に実装され、前記回路基板の他方の面には前記スイッチング素子への導電路を構成するバスバーが接着され、前記伝熱板は絶縁層を介して前記バスバーに接着されていることを特徴とする請求項2または3記載の電気接続箱。
【請求項5】
前記ハウジングは、ケースと底板とからなり、
前記ケースには、前記底板側に向けて突出して先端面にネジ孔を有する取付ボス部が突設され、前記回路構成体及び前記伝熱板は前記取付ボス部に螺合した取付ネジによりネジ止めされ、前記底板には前記取付ネジの頭部を逃げるための凹部が形成されて底板が前記伝熱板に近接していることを特徴とする請求項4記載の電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−87173(P2006−87173A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267305(P2004−267305)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】