電気植毛用の繊維
【課題】特に耐磨耗性やブラッシング効果等に優れた電気植毛用の繊維を提供する。
【解決手段】電気植毛用の繊維であって、この繊維が、繰り返し単位の９５モル％以上が、下記式（１）で示されるポリケトンで構成される繊維であることを特徴とする電気植毛用の繊維。
【化１】
【解決手段】電気植毛用の繊維であって、この繊維が、繰り返し単位の９５モル％以上が、下記式（１）で示されるポリケトンで構成される繊維であることを特徴とする電気植毛用の繊維。
【化１】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は電気植毛用の繊維に関し、特に耐磨耗性やブラッシング効果等に優れた電気植毛用の繊維に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、アラミド繊維を電気植毛用の繊維に用いたクリーニングローラーの発明が記載されており、耐磨耗性やブラッシング効果に優れていることが開示されているが、さらに優れた効果を有するものが要求されている。
【０００３】
【特許文献１】特開平０９−３１９２４７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明は、かかる要求に応えた電気植毛用の繊維に関する。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は下記の通りである。
１．電気植毛用の繊維であって、この繊維が、繰り返し単位の９５モル％以上が、下記式（１）で示されるポリケトンで構成される繊維（以下ポリケトン繊維という）の短繊維であることを特徴とする電気植毛用の繊維。
【化１】
２．上記１．に記載の電気植毛用の繊維が電気植毛されてなることを特徴とする電気植毛品。
【発明の効果】
【０００６】
本発明は、特に耐磨耗性やブラッシング効果等に優れた電気植毛用の繊維を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
本発明について以下に具体的に説明する。
本発明のポリケトン繊維を構成するポリケトンは、繰り返し単位の９５モル％以上、好ましくは９８モル％以上、特に好ましくは９９．６モル％以上が、上記式（１）で示されるものであり、５モル％未満の範囲で、上記式（１）以外の繰り返し単位、例えば、下記式（２）に示すもの等を含有していても良い。
【化２】
但し式中、Ｒは、エチレン以外の炭素数１〜３０の有機基であり、例えば、プロピレン、ブチレン、１−フェニルエチレン等の基であり、Ｒの水素原子の一部または全部が、ハロゲン基、エステル基、アミド基、水酸基、エーテル基で置換されていてもよい。もちろん、Ｒは二種以上であってもよく、例えば、プロピレン基と１−フェニルエチレン基が混在していてもよい。
【０００８】
ポリケトンの固有粘度［η］は、好ましくは１ｄｌ／ｇ以上、より好ましくは２ｄｌ／ｇ以上、特に好ましくは４ｄｌ／ｇ以上であり、好ましくは２０ｄｌ／ｇ以下、より好ましくは１５ｄｌ／ｇ以下、特に好ましくは１０ｄｌ／ｇ以下である。
尚、固有粘度［η］は次の定義式に基づいて求められる値である。
【数１】
式中のｔ及びＴは、それぞれヘキサフルオロイソプロパノール（セントラル硝子（株）社製）及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の２５℃での粘度管の流過時間である。Ｃは、上記希釈溶液の濃度であり、ヘキサフルオロイソプロパノール１００ｍｌ中のポリケトンの質量（ｇ）である。
【０００９】
ポリケトンには必要に応じて、酸化防止剤、ラジカル抑制剤、他のポリマー、艶消し剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属石鹸等の添加剤を含有させてもよい。
次に、ポリケトン繊維の好ましい特性としては、引張強度は５ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、より好ましくは１０ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、特に好ましくは１５ｃＮ／ｄｔｅｘ以上で、３０ｃＮ／ｄｔｅｘ以下であり、引張伸度は３％以上、より好ましくは３．５％以上、特に好ましくは４％以上で、８％以下、より好ましくは７％以下、特に好ましくは６％以下であり、引張弾性率は１００ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、より好ましくは２００ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、特に好ましくは３００ｃＮ／ｄｔｅｘ以上で、１０００ｃＮ／ｄｔｅｘ以下である。
ポリケトン繊維の形態は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、繊維の断面形状は、丸型、三角、Ｌ型、Ｔ型、Ｙ型、Ｗ型、八葉型、扁平（扁平度１．３〜４程度のもので、Ｗ型、Ｉ型、ブーメラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある）、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
【００１０】
本発明の電気植毛用の繊維は、短繊維であり、繊維長は用途に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは０．２ｍｍ以上、特に好ましくは０．３ｍｍ以上、さらに好ましくは０．５ｍｍ以上で、１０ｍｍ以下、特に好ましくは５ｍｍ以下、さらに好ましくは３ｍｍ以下である。
又、単糸繊度や植毛密度も用途に応じて適宜選定すればよく、単糸繊度は、好ましくは０．３ｄｔｅｘ以上、特に好ましくは０．５ｄｔｅｘ以上、さらに好ましくは１ｄｔｅｘ以上で、６６ｄｔｅｘ以下、特に好ましくは３３ｄｔｅｘ以下、さらに好ましくは１１ｄｔｅｘ以下である。
植毛密度は、好ましくは５０００本／ｃｍ2 以上、特に好ましくは７０００本／ｃｍ2 以上、さらに好ましくは１００００本／ｃｍ2 以上で、５０００００本／ｃｍ2 以下、特に好ましくは１０００００本／ｃｍ2 以下、さらに好ましくは５００００本／ｃｍ2 である。
さらに、繊維長Ｌ（ｍｍ）と単糸直径Ｄ（ｍｍ）の比Ｌ／Ｄは、好ましくは２０〜３００がよく、特に５０〜３００がよい。
【００１１】
本発明の電気植毛用の繊維は、常法に従って、未延伸糸トウを延伸したり、延伸糸を束ねてトウとしたりする方法による数万〜数百万ｄｔｅｘ程度のトウをギロチンカッタで希望する繊維長にカットすることにより得ることができる。
本発明の電気植毛用の繊維は、集合している短繊維の分離性、飛昇性を良好するための電植処理、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ素化合物や、さらにはギ酸カリウム、酢酸カリウム等の水溶性カリウム化合物の処理液で、電植処理されていることが好ましい。又、電気植毛用の繊維は、原料着色、繊維又は製品段階での染色等何れの方法によって着色してもよい。
本発明の電気植毛用の繊維は、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル系あるいはウレタン系のものまたはこれらの混合物等の接着剤を塗布した糸条、例えば、紡績糸、モノ及び又はマルチフィラメント糸、スリットヤーン等や、基布、例えば、トリコット等の編物、織物や不織布等等、および塩化ビニル樹脂等の各種樹脂シート状物、発泡シート等に、高電圧の静電気を利用して電気植毛加工を行うことにより電気植毛品を得ることが出来る。
【００１２】
さらに、二重以上の多段に植毛してもよく、例えば、本発明の電気植毛用の繊維や、希望に応じてアラミド繊維等の従来公知の各種繊維を植毛した後、さらにその表面に接着剤を塗布し、本発明の電気植毛用の繊維や、希望に応じてアラミド繊維等の従来公知の各種繊維を植毛してもよく、上下層の植毛繊維の繊維長を変化させたり、上下層で異なる特性を有する繊維を併用してもよい。
尚、例えば屋外で強い紫外線を受けることによってポリケトン繊維の引張強度等の低下が懸念される時は、繊維の形態で紫外線吸収材、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系の一種又は二種以上の組み合わせなど、及び／又は紫外線遮蔽剤、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム等の微粒子であり、平均粒径が０．０１〜０．６μｍの範囲のものを含有させてもよい。含有させる方法としては、例えば、繊維に紫外線吸収材及び／又は紫外線遮蔽剤を含有した樹脂を付与又は被覆する方法が挙げられ、紫外線吸収材及び／又は紫外線遮蔽剤の含有量は、樹脂の質量に対して０．００１〜１０質量％が好ましい。
【実施例】
【００１３】
本発明を実施例などに基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
本発明における測定方法及び評価方法は以下の通りである。
（１）引張強度、引張伸度、引張弾性率
ＪＩＳ−Ｌ−１０１３に準じて測定する。
サンプル長：２０ｃｍ、引張速度：２０ｃｍ／分で測定し、２０回測定した時の平均値を求める。
（２）研磨テスト
作製した研磨部材をユニオン社製パチンコ球の揚送研磨装置に装着し、１００００個／分のスピードでパチンコ球を揚送研磨し、１０分間作動させた後のパチンコ球の研磨状態を観察し下記基準にて評価した。
○；パチンコ球のごみ、各種油脂が除去され、美麗な研磨状態。
△；パチンコ球のごみ、各種油脂が部分的に残存し、充分とはいえない研磨状態
×；パチンコ球のごみ、各種油脂が除去されておらず極めて不充分な研磨状態
【００１４】
［実施例１］
１６７０ｄｔｅｘ／１２５０ｆのポリケトン繊維（旭化成せんい（株）社製；商標名サイバロン；引張強度１８ｃＮ／ｄｔｅｘ、引張伸度５％、引張弾性率３５０ｃＮ／ｄｔｅｘ、単糸直径１１μｍ）を８００本束ねてトウとし、ギロチンカッタで１．０ｍｍにカットしてポリケトン繊維の短繊維を得た。
次いで、パチンコ球の揚送研磨装置に装着できる大きさに裁断した綿織物にアクリル系エマルジョン接着剤を均一に塗布し、その上に電植処理したポリケトン繊維の短繊維を植毛密度が１５０００本／ｃｍ2 になるように電気植毛し、乾燥後、残余パイルを除去して研磨部材を作製した。
得られた研磨部材の研磨テストは○と優れたものであった。
【００１５】
［比較例１］
実施例１において、ポリケトン繊維に代えて１６７０ｄｔｅｘ／９６４ｆのパラ系アラミド繊維マルチフィラメント糸（引張強度２０ｃＮ／ｄｔｅｘ、引張伸度４．５％、引張弾性率５００ｃＮ／ｄｔｅｘ）を３００本束ねてトウとし、ギロチンカッタで１．０ｍｍにカットして短繊維を得た。次いで実施例１同様に電気植毛し研磨部材を作製した。得られた研磨部材の研磨テストは△と実施例１対比劣ったものであった。
【産業上の利用可能性】
【００１６】
本発明は、特に耐磨耗性やブラッシング効果等に優れた電気植毛用の繊維を提供するものであり、パチンコ球等の研磨部材に加えて、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の定着装置に用いられる離型剤塗布クリーニングローラーに植毛してトナー汚れ対策や、回転ローラーにベルトを捲回した伝導装置のローラー面（又はローラー面に編織物や不織布等の布帛を被覆し、布帛に植毛）及び又はベルト面に植毛してスリップや騒音の防止等を図ることができる。さらに本発明の電気植毛用の繊維を植毛した電気植毛品は、耐切創性に優れた防護用資材として用いることもできる。
【技術分野】
【０００１】
本発明は電気植毛用の繊維に関し、特に耐磨耗性やブラッシング効果等に優れた電気植毛用の繊維に関する。
【背景技術】
【０００２】
特許文献１には、アラミド繊維を電気植毛用の繊維に用いたクリーニングローラーの発明が記載されており、耐磨耗性やブラッシング効果に優れていることが開示されているが、さらに優れた効果を有するものが要求されている。
【０００３】
【特許文献１】特開平０９−３１９２４７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明は、かかる要求に応えた電気植毛用の繊維に関する。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は下記の通りである。
１．電気植毛用の繊維であって、この繊維が、繰り返し単位の９５モル％以上が、下記式（１）で示されるポリケトンで構成される繊維（以下ポリケトン繊維という）の短繊維であることを特徴とする電気植毛用の繊維。
【化１】
２．上記１．に記載の電気植毛用の繊維が電気植毛されてなることを特徴とする電気植毛品。
【発明の効果】
【０００６】
本発明は、特に耐磨耗性やブラッシング効果等に優れた電気植毛用の繊維を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
本発明について以下に具体的に説明する。
本発明のポリケトン繊維を構成するポリケトンは、繰り返し単位の９５モル％以上、好ましくは９８モル％以上、特に好ましくは９９．６モル％以上が、上記式（１）で示されるものであり、５モル％未満の範囲で、上記式（１）以外の繰り返し単位、例えば、下記式（２）に示すもの等を含有していても良い。
【化２】
但し式中、Ｒは、エチレン以外の炭素数１〜３０の有機基であり、例えば、プロピレン、ブチレン、１−フェニルエチレン等の基であり、Ｒの水素原子の一部または全部が、ハロゲン基、エステル基、アミド基、水酸基、エーテル基で置換されていてもよい。もちろん、Ｒは二種以上であってもよく、例えば、プロピレン基と１−フェニルエチレン基が混在していてもよい。
【０００８】
ポリケトンの固有粘度［η］は、好ましくは１ｄｌ／ｇ以上、より好ましくは２ｄｌ／ｇ以上、特に好ましくは４ｄｌ／ｇ以上であり、好ましくは２０ｄｌ／ｇ以下、より好ましくは１５ｄｌ／ｇ以下、特に好ましくは１０ｄｌ／ｇ以下である。
尚、固有粘度［η］は次の定義式に基づいて求められる値である。
【数１】
式中のｔ及びＴは、それぞれヘキサフルオロイソプロパノール（セントラル硝子（株）社製）及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の２５℃での粘度管の流過時間である。Ｃは、上記希釈溶液の濃度であり、ヘキサフルオロイソプロパノール１００ｍｌ中のポリケトンの質量（ｇ）である。
【０００９】
ポリケトンには必要に応じて、酸化防止剤、ラジカル抑制剤、他のポリマー、艶消し剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属石鹸等の添加剤を含有させてもよい。
次に、ポリケトン繊維の好ましい特性としては、引張強度は５ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、より好ましくは１０ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、特に好ましくは１５ｃＮ／ｄｔｅｘ以上で、３０ｃＮ／ｄｔｅｘ以下であり、引張伸度は３％以上、より好ましくは３．５％以上、特に好ましくは４％以上で、８％以下、より好ましくは７％以下、特に好ましくは６％以下であり、引張弾性率は１００ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、より好ましくは２００ｃＮ／ｄｔｅｘ以上、特に好ましくは３００ｃＮ／ｄｔｅｘ以上で、１０００ｃＮ／ｄｔｅｘ以下である。
ポリケトン繊維の形態は、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、繊維の断面形状は、丸型、三角、Ｌ型、Ｔ型、Ｙ型、Ｗ型、八葉型、扁平（扁平度１．３〜４程度のもので、Ｗ型、Ｉ型、ブーメラン型、波型、串団子型、まゆ型、直方体型等がある）、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
【００１０】
本発明の電気植毛用の繊維は、短繊維であり、繊維長は用途に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは０．２ｍｍ以上、特に好ましくは０．３ｍｍ以上、さらに好ましくは０．５ｍｍ以上で、１０ｍｍ以下、特に好ましくは５ｍｍ以下、さらに好ましくは３ｍｍ以下である。
又、単糸繊度や植毛密度も用途に応じて適宜選定すればよく、単糸繊度は、好ましくは０．３ｄｔｅｘ以上、特に好ましくは０．５ｄｔｅｘ以上、さらに好ましくは１ｄｔｅｘ以上で、６６ｄｔｅｘ以下、特に好ましくは３３ｄｔｅｘ以下、さらに好ましくは１１ｄｔｅｘ以下である。
植毛密度は、好ましくは５０００本／ｃｍ2 以上、特に好ましくは７０００本／ｃｍ2 以上、さらに好ましくは１００００本／ｃｍ2 以上で、５０００００本／ｃｍ2 以下、特に好ましくは１０００００本／ｃｍ2 以下、さらに好ましくは５００００本／ｃｍ2 である。
さらに、繊維長Ｌ（ｍｍ）と単糸直径Ｄ（ｍｍ）の比Ｌ／Ｄは、好ましくは２０〜３００がよく、特に５０〜３００がよい。
【００１１】
本発明の電気植毛用の繊維は、常法に従って、未延伸糸トウを延伸したり、延伸糸を束ねてトウとしたりする方法による数万〜数百万ｄｔｅｘ程度のトウをギロチンカッタで希望する繊維長にカットすることにより得ることができる。
本発明の電気植毛用の繊維は、集合している短繊維の分離性、飛昇性を良好するための電植処理、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ素化合物や、さらにはギ酸カリウム、酢酸カリウム等の水溶性カリウム化合物の処理液で、電植処理されていることが好ましい。又、電気植毛用の繊維は、原料着色、繊維又は製品段階での染色等何れの方法によって着色してもよい。
本発明の電気植毛用の繊維は、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル系あるいはウレタン系のものまたはこれらの混合物等の接着剤を塗布した糸条、例えば、紡績糸、モノ及び又はマルチフィラメント糸、スリットヤーン等や、基布、例えば、トリコット等の編物、織物や不織布等等、および塩化ビニル樹脂等の各種樹脂シート状物、発泡シート等に、高電圧の静電気を利用して電気植毛加工を行うことにより電気植毛品を得ることが出来る。
【００１２】
さらに、二重以上の多段に植毛してもよく、例えば、本発明の電気植毛用の繊維や、希望に応じてアラミド繊維等の従来公知の各種繊維を植毛した後、さらにその表面に接着剤を塗布し、本発明の電気植毛用の繊維や、希望に応じてアラミド繊維等の従来公知の各種繊維を植毛してもよく、上下層の植毛繊維の繊維長を変化させたり、上下層で異なる特性を有する繊維を併用してもよい。
尚、例えば屋外で強い紫外線を受けることによってポリケトン繊維の引張強度等の低下が懸念される時は、繊維の形態で紫外線吸収材、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系の一種又は二種以上の組み合わせなど、及び／又は紫外線遮蔽剤、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム等の微粒子であり、平均粒径が０．０１〜０．６μｍの範囲のものを含有させてもよい。含有させる方法としては、例えば、繊維に紫外線吸収材及び／又は紫外線遮蔽剤を含有した樹脂を付与又は被覆する方法が挙げられ、紫外線吸収材及び／又は紫外線遮蔽剤の含有量は、樹脂の質量に対して０．００１〜１０質量％が好ましい。
【実施例】
【００１３】
本発明を実施例などに基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
本発明における測定方法及び評価方法は以下の通りである。
（１）引張強度、引張伸度、引張弾性率
ＪＩＳ−Ｌ−１０１３に準じて測定する。
サンプル長：２０ｃｍ、引張速度：２０ｃｍ／分で測定し、２０回測定した時の平均値を求める。
（２）研磨テスト
作製した研磨部材をユニオン社製パチンコ球の揚送研磨装置に装着し、１００００個／分のスピードでパチンコ球を揚送研磨し、１０分間作動させた後のパチンコ球の研磨状態を観察し下記基準にて評価した。
○；パチンコ球のごみ、各種油脂が除去され、美麗な研磨状態。
△；パチンコ球のごみ、各種油脂が部分的に残存し、充分とはいえない研磨状態
×；パチンコ球のごみ、各種油脂が除去されておらず極めて不充分な研磨状態
【００１４】
［実施例１］
１６７０ｄｔｅｘ／１２５０ｆのポリケトン繊維（旭化成せんい（株）社製；商標名サイバロン；引張強度１８ｃＮ／ｄｔｅｘ、引張伸度５％、引張弾性率３５０ｃＮ／ｄｔｅｘ、単糸直径１１μｍ）を８００本束ねてトウとし、ギロチンカッタで１．０ｍｍにカットしてポリケトン繊維の短繊維を得た。
次いで、パチンコ球の揚送研磨装置に装着できる大きさに裁断した綿織物にアクリル系エマルジョン接着剤を均一に塗布し、その上に電植処理したポリケトン繊維の短繊維を植毛密度が１５０００本／ｃｍ2 になるように電気植毛し、乾燥後、残余パイルを除去して研磨部材を作製した。
得られた研磨部材の研磨テストは○と優れたものであった。
【００１５】
［比較例１］
実施例１において、ポリケトン繊維に代えて１６７０ｄｔｅｘ／９６４ｆのパラ系アラミド繊維マルチフィラメント糸（引張強度２０ｃＮ／ｄｔｅｘ、引張伸度４．５％、引張弾性率５００ｃＮ／ｄｔｅｘ）を３００本束ねてトウとし、ギロチンカッタで１．０ｍｍにカットして短繊維を得た。次いで実施例１同様に電気植毛し研磨部材を作製した。得られた研磨部材の研磨テストは△と実施例１対比劣ったものであった。
【産業上の利用可能性】
【００１６】
本発明は、特に耐磨耗性やブラッシング効果等に優れた電気植毛用の繊維を提供するものであり、パチンコ球等の研磨部材に加えて、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の定着装置に用いられる離型剤塗布クリーニングローラーに植毛してトナー汚れ対策や、回転ローラーにベルトを捲回した伝導装置のローラー面（又はローラー面に編織物や不織布等の布帛を被覆し、布帛に植毛）及び又はベルト面に植毛してスリップや騒音の防止等を図ることができる。さらに本発明の電気植毛用の繊維を植毛した電気植毛品は、耐切創性に優れた防護用資材として用いることもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
電気植毛用の繊維であって、該繊維が、繰り返し単位の９５モル％以上が、下記式（１）で示されるポリケトンで構成される繊維の短繊維であることを特徴とする電気植毛用の繊維。
【化１】
【請求項２】
請求項１に記載の電気植毛用の繊維が電気植毛されてなることを特徴とする電気植毛品。
【請求項１】
電気植毛用の繊維であって、該繊維が、繰り返し単位の９５モル％以上が、下記式（１）で示されるポリケトンで構成される繊維の短繊維であることを特徴とする電気植毛用の繊維。
【化１】
【請求項２】
請求項１に記載の電気植毛用の繊維が電気植毛されてなることを特徴とする電気植毛品。
【公開番号】特開２００８−１７４８５６（Ｐ２００８−１７４８５６Ａ）
【公開日】平成２０年７月３１日（２００８．７．３１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−７８７１（Ｐ２００７−７８７１）
【出願日】平成１９年１月１７日（２００７．１．１７）
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】（出願人による申告）国等の委託研究の成果に係る特許出願（平成１８年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「基盤技術研究促進事業（民間基盤技術研究支援制度）／高性能ポリケトン繊維の工業化基盤技術の開発」、産業活力再生特別措置法第３０条の適用を受ける特許出願）
【出願人】（３０３０４６３０３）旭化成せんい株式会社 (548)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年７月３１日（２００８．７．３１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１月１７日（２００７．１．１７）
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】（出願人による申告）国等の委託研究の成果に係る特許出願（平成１８年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「基盤技術研究促進事業（民間基盤技術研究支援制度）／高性能ポリケトン繊維の工業化基盤技術の開発」、産業活力再生特別措置法第３０条の適用を受ける特許出願）
【出願人】（３０３０４６３０３）旭化成せんい株式会社 (548)
【Ｆターム（参考）】
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