説明

電気機器

【課題】遠心式ファンを用いて被冷却部を効率良く、かつ低騒音で冷却する。
【解決手段】電気機器は、羽根車5dがケーシング5c内で回転することにより空気を吸い込み、ケーシング内に羽根車からの空気の吹き出し流路が該羽根車の回転方向に向かって拡大するように形成された遠心式ファン5と、該ファンにより吸い込まれる空気によってそれぞれ冷却される、第1の被冷却部50R,50B,59R,59B及び該第1の被冷却部よりも必要冷却風量が大きい第2の被冷却部50G,59Gとを有する。羽根車の回転によりファンの吸い込み面5aに、互いに空気の吸い込み速度が異なる領域として、第1の吸い込み領域Aと該第1の吸い込み領域よりも吸い込み速度が高い第2の吸い込み領域Bとが形成される。第2の吸い込み領域を、第2の被冷却部に対して、第1の被冷却部に対してよりも近い位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心式ファンを用いて被冷却部を冷却する電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器においては、小型化や静音化を目的として、シロッコファン等の遠心式ファン(以下、シロッコファンという)によって吸い込まれる空気を被冷却部の冷却に使用するものがある(特許文献1,2参照)。シロッコファンは、羽根車がケーシング内で回転することにより空気を吸い込むファンであり、ケーシング内には、羽根車からの空気の吹き出し流路が該羽根車の回転方向に向かって拡大するように形成されている。
【特許文献1】特開2002−122839号公報
【特許文献2】特開2004−151648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、シロッコファンでは、上述したケーシングの構造により、該シロッコファンの吸い込み面に吸い込み速度分布が存在する。被冷却部とシロッコファンの吸い込み面との距離が充分に確保できる場合には該吸い込み速度分布の影響が少ないが、電気機器の小型化に伴い、吸い込み面の近くに被冷却部が配置されることが多い。
【0004】
シロッコファンの吸い込み面が、上記吸い込み速度分布を考慮して、被冷却部の必要冷却風量に対して適切に配置されていないと、被冷却部に対する冷却効率の低下や、これに伴うファン回転数の増加による騒音の増大を招く。
【0005】
吸い込み面の近傍に、被冷却部に対して効率良く冷却風が流れるように空気の流れを制御する部材を追加することも可能であるが、スペース的に配置が難しかったり、騒音が増加したりする可能性がある。さらに、冷却効率を上げるために、ヒートシンク等の大型の冷却補助部材を吸い込み面の近くに配置する場合でも、同様の問題が生じる。
【0006】
本発明は、遠心式ファンの吸い込み面に対して被冷却部が近接する場合でも、該被冷却部を効率良く、かつ低騒音で冷却することができるようにした電気機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面しての電気機器は、羽根車がケーシング内で回転することにより空気を吸い込み、ケーシング内に羽根車からの空気の吹き出し流路が該羽根車の回転方向に向かって拡大するように形成された遠心式ファンと、該ファンにより吸い込まれる空気によってそれぞれ冷却される、第1の被冷却部及び該第1の被冷却部よりも必要冷却風量が大きい第2の被冷却部とを有する。羽根車の回転によりファンの吸い込み面に、互いに空気の吸い込み速度が異なる領域として、第1の吸い込み領域と該第1の吸い込み領域よりも吸い込み速度が高い第2の吸い込み領域とが形成される。そして、第2の吸い込み領域は、第2の被冷却部に対して、第1の被冷却部に対してよりも近い位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遠心式ファンの吸い込み面が、被冷却部ごとの必要冷却風量の大小に応じた吸い込み速度分布が得られるように配置される。このため、吸い込み面に対して被冷却部が近接する場合でも、該被冷却部を効率良く、かつ低騒音で冷却することができる。したがって、電気機器の小型化と静音化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【0010】
まず、図1及び図3〜図9を用いて、本発明の実施例である電気機器としての液晶プロジェクタ(画像投射装置)の構成について説明する。ここでは、後述する実施例1〜3において説明するプロジェクタの構成要素についてまとめて説明する。
【0011】
図1には、該プロジェクタの全体的な構成を示している。図3及び図4には、該プロジェクタにおける色分解合成光学系の周辺の冷却構造を示している。また。図5には、該プロジェクタに用いられる遠心式冷却ファンを示している。図6には、該プロジェクタにおける基板部の構成を示している。図7〜図9には、該プロジェクタにおけるランプ周辺の冷却構造を示している。
【0012】
これらの図において、24は光源ランプ(以下、単にランプという)であり、本実施例では、高圧水銀放電ランプが用いられている。ただし、光源ランプ24として、高圧水銀放電ランプ以外の放電型ランプ(例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ)を用いてもよい。
【0013】
23はランプ24を保持するランプホルダ、22は防爆ガラス、21はガラス押さえである。35はランプ24からの光束を均一な明るさ分布を有する平行光束に変換する照明光学系、28は照明光学系35からの光を色分解して、後述するRGBの3色用の液晶パネルに導き、さらに該液晶パネルからの光を色合成する色分解合成光学系である。
【0014】
図3及び図4に示す59R,59G,59Bは液晶パネルの冷却を補助するための冷却補助部材である。
【0015】
33は色分解合成光学系28からの光(画像)を図示しないスクリーン(被投射面)に投射する投射レンズ鏡筒である。投射レンズ鏡筒33内には、後述する投射光学系が収納されている。
【0016】
図4に示す60は色分離合成光学系28が固定される固定部材である。固定部材60は、色分離合成光学系28の周囲の冷却風路を限定する部材でもある。
【0017】
31はランプ24、照明光学系35及び色分解合成光学系28を収納するとともに、投射レンズ鏡筒33が固定される光学ボックスである。該光学ボックス31には、ランプ24の周囲を囲むランプケース部が形成されている。光学ボックス31の上面開口部は、該光学ボックス31内に照明光学系35及び色分解合成光学系28が収納された状態で、光学ボックス蓋27によって覆われる。
【0018】
図8及び図9に示す61はランプ24を冷却するための第2ランプ冷却ファンである。
【0019】
17は電源ユニット(図示せず)と光源駆動ユニット(図示せず)を覆うための電源カバー部材である。20は電源カバー部材17の一部を構成し、電源のアース端子と電気的に接続される金属部材である。
【0020】
図6において、26は電源ユニットからの電力により、該プロジェクタの各部を制御する制御基板である。29は映像信号に応じて液晶パネルを駆動し、該液晶パネルに映像信号に応じた画像を形成させるパネル駆動基板(変調素子駆動基板)である。19はプロジェクタの外部からの信号を取り込むためのコネクタを有する信号取り込み基板である。これらの電気回路基板26,29,19は、回路基板カバー部材30によって覆われている。回路基板カバー部材30は、図6及び図7に示すように、第1〜第3のカバー部材30a,30b,30cの3つの部品により構成されている。
【0021】
図7において、36は第2のカバー部材30bに一体的に形成され、後述する第1ランプ冷却ファン15へ冷却風を効率的に導くための導風部である。
【0022】
5はプロジェクタ内の中央部付近に位置し、色分解合成光学系28内の液晶パネル等の光学素子を吸い込み風によって冷却し、吹き出し風で電源ユニット及び光源駆動ユニットを冷却するパネル冷却ファンである。該パネル冷却ファン5は、遠心式ファンの1つであるシロッコファンにより構成されている。58はパネル冷却ファン5からの吹き出し風を電源ユニット及び光源駆動ユニットに導く導風ダクトである。
【0023】
第1ランプ冷却ファン15は、回路基板カバー部材30内に配置された電気回路基板19,26,29に沿って吸い込み風を流すことによりこれら基板19,26,29を冷却し、かつランプ24に対して吹き付け風を送ってランプ24を冷却する。第1ランプ冷却ファン15は、シロッコファンにより構成されている。
【0024】
14は第1ランプ冷却ファン15を保持し、該第1ランプ冷却ファン15からの冷却風をランプ24に送るための第1ランプダクトである。16は第1ランプ冷却ファン15を押さえ、かつ第1ランプダクト14と合わさってダクトを形成する第2ランプダクトである。
【0025】
10は後述する下部外装ケース7に形成された吸気口から空気を吸い込むことで電源ユニットと光源駆動ユニット内に風を流通させ、これらを冷却する電源冷却ファンである。9は第1ランプ冷却ファン15からランプ24に吹き付けられ、該ランプ24を通過した熱風をプロジェクタ外部に排出する排気ファンである。
【0026】
34はランプ24からの光がプロジェクタ外部に漏れないような遮光機能を有するランプ排気ルーバーである。図8及び図9に示す18はランプ24を構成する放電発光管である。また、図7〜9に示す6はランプ24から延び、発光管18に点灯電力を供給するためのランプコードである。
【0027】
7はランプ24、光学ボックス31、電源ユニット、光源駆動ユニット、回路基板カバー部材30、冷却ファン5,15,61及び排気ファン9等を収納する下部外装ケースである。25は光学ボックス31等を収納した下部外装ケース7に蓋をするための上部外装ケースである。1は第1側板であり、12は第2側板である。これら側板1,12は、外装ケース7,25の両側面に形成される開口を閉じる。第2側板12には、排気ファン9に対向する排気口が形成されている。
【0028】
下部外装ケース7、上部外装ケース25、第1側板1及び第2側板12によって、該プロジェクタの筐体が構成される。
【0029】
8はランプ24を冷却した熱風を排気ファン9まで導き、筐体の内部に熱風を放散させないためのランプ排気ボックスであり、前述したランプ排気ルーバー34を内部に保持する。
【0030】
3はランプ蓋であり、下部外装ケース7の底面に着脱可能に取り付けられるとともに、装着時にはビスによって下部外装ケース7に固定される。また、4はセット調整脚である。セット調整脚4は、下部外装ケース7に固定されており、その脚部の高さを調整できるようになっている。脚部の高さ調整により、プロジェクタの傾斜角度を調整できる。
【0031】
2は下部外装ケース7の吸気口を覆う不図示のフィルタを押さえるRGB吸気プレートである。13は色分解合成光学系28を保持するプリズムベースである。
【0032】
11は外部電源差込部であり、ここには商用電源等の外部電源が接続される。32はリモコンセンサー基板であり、リモコンによるプロジェクタの操作を可能とする。
【0033】
次に、図2を用いて、プロジェクタの光学構成について説明する。なお、図2中に示す構成要素の一部は、図3及び図4にも示されている。図2において、左側には水平断面を、右側には垂直断面をそれぞれ示す。
【0034】
同図において、24は連続スペクトルで白色光を発光するランプであり、図8及び図9に示す放電発光管18からの光をリフレクタ37によって所定の方向に集光して射出する。
【0035】
38aは水平方向において屈折力を有するシリンドリカルレンズセルを複数配列した第1シリンダアレイである。38bは第1シリンダアレイ38aの個々のレンズセルに対応したシリンドリカルレンズセルを複数有する第2シリンダアレイである。
【0036】
39は紫外線吸収フィルタ、40は無偏光光を所定の偏光光に変換する偏光変換素子である。
【0037】
41は垂直方向において屈折力を有するシリンドリカルレンズで構成されたフロントコンプレッサである。42はランプ24からの光軸を、ほぼ90度(より詳しくは88度)折り曲げるための反射ミラーである。
【0038】
38cは垂直方向において屈折力を有するシリンドリカルレンズセルを複数配列した第3シリンダアレイである。38dは第3シリンダアレイ38cの個々のレンズセルに対応したシリンドリカルレンズアレイを複数有する第4シリンダアレイである。
【0039】
45は色座標を所定値に調整するために特定波長域の色をランプ24に戻すためのカラーフィルタである。43はコンデンサーレンズである。44は垂直方向において屈折力を有するシリンドリカルレンズで構成されたリアコンプレッサである。以上により、照明光学系35が構成される。
【0040】
46は青(B:例えば430〜495nm)と赤(R:例えば590〜650nm)の波長領域の光を反射し、緑(G:例えば505〜580nm)の波長領域の光を透過するダイクロイックミラーである。47は透明基板に偏光素子を貼り付けたG用の入射側偏光板であり、P偏光光のみを透過する。48は多層膜により構成された偏光分離面においてP偏光光を透過し、S偏光光を反射する第1偏光ビームスプリッタである。
【0041】
50R,50G,50Bはそれぞれ、入射した光を反射するとともに画像変調する画像変調素子(若しくは画像形成素子)としての赤用反射型液晶パネル、緑用反射型液晶パネル及び青用反射型液晶パネルである。
【0042】
49R,49G,49Bはそれぞれ、赤用1/4波長板、緑用1/4波長板及び青用1/4波長板である。
【0043】
51はR光の色純度を高めるためにオレンジ光をランプ24に戻すトリミングフィルタである。52は透明基板に偏光素子を貼り付けたRB用入射側偏光板を示す。RB用入射側偏光板52は、P偏光のみを透過する。
【0044】
53はR光の偏光方向を90度変換し、B光の偏光方向は変換しない色選択性位相差板である。57は偏光分離面においてP偏光を透過し、S偏光を反射する第2偏光ビームスプリッタである。
【0045】
54はB用射出側偏光板(偏光素子)であり、B光のうちS偏光成分のみを整流する。56はG光のうちS偏光成分のみを透過させるG用出側偏光板である。55はR光及びB光を透過し、G光を反射するダイクロイックプリズムである。
【0046】
以上のダイクロイックミラー46〜ダイクロイックプリズム55により、色分解合成光学系28が構成される。
【0047】
本実施例において、偏光変換素子40はP偏光をS偏光に変換するが、ここでいうP偏光とS偏光は、偏光変換素子40における光の偏光方向を基準として述べている。一方、ダイクロイックミラー46に入射する光は、第1及び第2偏光ビームスプリッタ48,57での偏光方向を基準として考え、P偏光であるとする。すなわち、本実施例では、偏光変換素子40から射出された光をS偏光とするが、同じS偏光光をダイクロイックミラー46に入射させる場合はP偏光として定義する。
【0048】
次に、光学的な作用を説明する。
【0049】
放電発光管18から発した光はリフレクタ37により所定の方向に集光される。リフレクタ37は放物面形状の凹面鏡を有し、放物面の焦点位置からの光は該放物面の対称軸に平行な光束となる。但し、発光管18からの光源は理想的な点光源ではなく、有限の大きさを有しているので、集光する光束には放物面の対称軸に平行でない光の成分も多く含まれている。これらの光束は、第1シリンダアレイ38aに入射する。第1シリンダアレイ38aに入射した光束は、シリンダレンズセルの数に応じた複数の光束に分割されて集光され、垂直方向に並ぶ帯状の複数の光束となる。そして、これら複数の分割光束は、紫外線吸収フィルタ39及び第2シリンダアレイ38bを経て、複数の光源像を偏光変換素子40の近傍に形成する。
【0050】
偏光変換素子40は、偏光分離面と反射面と1/2波長板とを有する。複数の光束は、それぞれの列に対応した偏光分離面に入射し、これを透過するP偏光成分とここで反射するS偏光成分とに分割される。反射されたS偏光成分は反射面で反射し、P偏光成分と同じ方向に射出する。一方、偏光分離面を透過したP偏光成分は、1/2波長板を透過してS偏光成分と同じ偏光成分に変換される。こうして、同じ偏光方向を有する複数の光束が射出する。
【0051】
偏光変換された複数の光束は、偏光変換素子40から射出した後、フロントコンプレッサ41で圧縮され、反射ミラー42によって88度の角度で反射され、第3シリンダアレイ38cに入射する。
【0052】
第3シリンダアレイ38cに入射した光束は、シリンダレンズセルの数に応じた複数の光束に分割されて集光され、水平方向に並ぶ帯状の複数の光束となる。該複数の分割光束は、第4シリンダアレイ38d及びコンデンサーレンズ43を介してリアコンプレッサ44に入射する。
【0053】
フロントコンプレッサ41、コンデンサーレンズ43及びリアコンプレッサ44の光学作用によって、複数の光束によって形成される矩形像は互いに重なり合い、矩形の均一な明るさの照明エリアを形成する。この照明エリアに、反射型液晶パネル50R,50G,50Bが配置される。
【0054】
偏光変換素子40によってS偏光とされた光は、ダイクロイックミラー46に入射する。以下、ダイクロイックミラー46を透過したG光の光路について説明する。
【0055】
ダイクロイックミラー46を透過したG光は、入射側偏光板47に入射する。G光はダイクロイックミラー46によって分解された後もP偏光(偏光変換素子40を基準とする場合はS偏光)となっている。そして、G光は入射側偏光板47から射出した後、第1偏光ビームスプリッタ48に対してP偏光として入射し、その偏光分離面を透過してG用反射型液晶パネル50Gへと至る。
【0056】
ここで、該プロジェクタには、パーソナルコンピュータ、DVDプレーヤ、テレビチューナ等の画像供給装置(図示せず)が接続されている。パネル駆動基板29は、画像供給装置から入力された画像情報に基づいて反射型液晶パネル50R,50G,50Bを駆動し、これらに各色用の原画を形成させる。これにより、各反射型液晶パネルに入射した光は、反射されるとともに原画に応じて変調(画像変調)される。画像供給装置とプロジェクタとにより画像表示システムが構成される。
【0057】
G用反射型液晶パネル50Gにおいては、G光が画像変調されて反射される。画像変調されたG光のうちP偏光成分は、再び第1偏光ビームスプリッタ48の偏光分離面を透過して光源側に戻され、投射光から除去される。一方、画像変調されたG光のうちS偏光成分は、第1偏光ビームスプリッタ48の偏光分離面で反射され、投射光としてダイクロイックプリズム55に向かう。
【0058】
このとき、すべての偏光成分をP偏光に変換した状態(黒を表示した状態)において、第1偏光ビームスプリッタ48とG用反射型液晶パネル50Gとの間に設けられた1/4波長板49Gの遅相軸を所定の方向に調整する。これにより、第1偏光ビームスプリッタ48とG用反射型液晶パネル50Gで発生する偏光状態の乱れの影響を小さく抑えることができる。
【0059】
第1偏光ビームスプリッタ48から射出したG光は、ダイクロイックプリズム55に対してS偏光として入射し、該ダイクロイックプリズム55のダイクロイック膜面で反射して投射レンズ鏡筒33(投射光学系)へと至る。
【0060】
一方、ダイクロイックミラー46で反射したR光とB光は、トリミングフィルタ51に入射する。R光とB光はダイクロイックミラー46によって分解された後もP偏光となっている。そして、R光とB光は、トリミングフィルタでオレンジ光成分がカットされた後、入射側偏光板52を透過し、色選択性位相差板53に入射する。
【0061】
色選択性位相差板53は、R光の偏光方向のみを90度回転させる作用を有し、これによりR光はS偏光として、B光はP偏光として第2偏光ビームスプリッタ57に入射する。
【0062】
S偏光として第2偏光ビームスプリッタ57に入射したR光は、該第2偏光ビームスプリッタ57の偏光分離面で反射され、R用反射型液晶パネル50Rへと至る。また、P偏光として第2偏光ビームスプリッタ57に入射したB光は、該第2偏光ビームスプリッタ57の偏光分離面を透過してB用反射型液晶パネル50Bへと至る。
【0063】
R用反射型液晶パネル50Rに入射したR光は、画像変調されて反射される。画像変調されたR光のうちS偏光成分は、第2偏光ビームスプリッタ57の偏光分離面で反射されて光源側に戻され、投射光から除去される。一方、画像変調されたR光のうちP偏光成分は、第2偏光ビームスプリッタ57の偏光分離面を透過して、投射光としてダイクロイックプリズム55に向かう。
【0064】
また、B用反射型液晶パネル50Bに入射したB光は、画像変調されて反射される。画像変調されたB光のうちP偏光成分は、第2偏光ビームスプリッタ57の偏光分離面を透過して光源側に戻され、投射光から除去される。一方、画像変調されたB光のうちS偏光成分は、第2偏光ビームスプリッタ57の偏光分離面で反射されて、投射光としてダイクロイックプリズム55に向かう。
【0065】
このとき、第2偏光ビームスプリッタ57とR用,B用反射型液晶パネル50R,50Bとの間に設けられた1/4波長板49R,49Bの遅相軸を調整することにより、G光の場合と同じように、R,B光それぞれの黒表示状態での調整を行うことができる。
【0066】
こうして1つの光束に合成されて第2偏光ビームスプリッタ57から射出したR光とB光のうちB光は、射出側偏光板54で検光されてダイクロイックプリズム55に入射する。また、R光はP偏光のまま射出側偏光板54を透過して、ダイクロイックプリズム55に入射する。
【0067】
射出側偏光板54で検光されることにより、B光は、該B光が第2偏光ビームスプリッタ57、B用反射型液晶パネル50B及び1/4波長板49Bを通ることによって生じた無効な成分がカットされた光となる。
【0068】
そして、ダイクロイックプリズム55に入射したR光とB光は、ダイクロイック膜面を透過して、該ダイクロイック膜面にて反射したG光と合成されて投射レンズ鏡筒33に至る。
【0069】
そして、合成されたR,G,B光は、投射レンズ鏡筒33内の投射光学系によってスクリーンなどの被投射面に拡大投影される。
【0070】
以上説明した光路は、反射型液晶パネルが白表示状態の場合である。以下では、反射型液晶パネルが黒表示状態の場合での光路について説明する。
【0071】
まず、G光の光路について説明する。ダイクロイックミラー46を透過したG光のP偏光光は、入射側偏光板47に入射し、その後第1偏光ビームスプリッタ48に入射してその偏光分離面で透過され、G用反射型液晶パネル50Gへと至る。しかし、反射型液晶パネル50Gが黒表示状態であるため、G光は画像変調されずに反射される。このため、G用反射型液晶パネル50Gで反射された後も、G光はP偏光光のままである。したがって、G光は再び第1偏光ビームスプリッタ48の偏光分離面を透過し、入射側偏光板47を透過して光源側に戻され、投射光から除去される。
【0072】
次に、R光とB光の光路について説明する。ダイクロイックミラー46で反射したR光とB光のP偏光光は、トリミングフィルタ51を透過して入射側偏光板52に入射する。そして、入射側偏光板52から射出した後、色選択性位相差板53に入射する。色選択性位相差板53は、R光の偏光方向のみを90度回転する作用を持つため、R光はS偏光として、B光はP偏光として第2偏光ビームスプリッタ57に入射する。
【0073】
S偏光として第2偏光ビームスプリッタ57に入射したR光は、その偏光分離面で反射され、R用反射型液晶パネル50Rへと至る。また、P偏光として第2偏光ビームスプリッタ57に入射したB光は、その偏光分離面を透過してB用反射型液晶パネル50Bへと至る。
【0074】
ここで、R用反射型液晶パネル50Rは黒表示状態であるため、R用反射型液晶パネル50Rに入射したR光は画像変調されないまま反射される。このため、R用反射型液晶パネル50Rで反射された後も、R光はS偏光光のままである。したがって、R光は再び第2偏光ビームスプリッタ57の偏光分離面で反射し、入射側偏光板52を通過して光源側に戻され、投射光から除去される。これにより、黒表示がなされる。
【0075】
一方、B用反射型液晶パネル50Bに入射したB光は、B用反射型液晶パネル50Bが黒表示状態であるため、画像変調されないまま反射される。このため、B用反射型液晶パネル50Bで反射された後も、B光はP偏光光のままである。したがって、B光は再び第2偏光ビームスプリッタ57の偏光分離面を透過し、色選択性位相差板53によりP偏光に変換され、入射側偏光板52を透過して、光源側に戻され、投射光から除去される。
【0076】
図5には、パネル冷却ファン(シロッコファン)5を示している。パネル冷却ファン5では、図中に一点鎖線で簡略化して示す羽根車5dがケーシング5c内で半時計回り方向(点線矢印方向)に回転することにより、吸い込み面(吸気口)5aから空気を吸い込み、吹き出し口5bから空気を吹き出す。ケーシング5c内には、羽根車5aからの空気の吹き出し流路が該羽根車5aの回転方向に向かって拡大するように形成されている。吹き出し流路が拡大するとは、該ファン5の径方向における該流路の断面積が増加することを意味する。
【0077】
そして、このようなケーシング5cの構造により、羽根車が回転したときに、吸い込み面5aにおける空気の吸い込み速度に分布が生じる。具体的には、図中にAで示す領域(第1の吸い込み領域)での吸い込み速度よりも、Bで示す領域(第2の吸い込み領域)での吸い込み速度の方が高くなる。本実施例でのB領域は、吹き出し流路のうち断面積が最も大きい部分に接した又は近接した領域であり、吸い込み面5aのうち最も吸い込み速度が高くなる吸い込み領域である。
【0078】
ただし、第2の吸い込み領域は最も吸い込み速度が高い吸い込み領域でなくてもよく、吸い込み面のうち任意の2つの領域において相対的に吸い込み速度が小さい領域を第1の吸い込み領域とし、吸い込み速度が高い領域を第2の吸い込み領域とすればよい。
【0079】
なお、第1ランプ冷却ファン15及び第2ランプ冷却ファン61もシロッコファンであり、羽根車が回転することにより、パネル冷却ファン5と同様に、吸い込み面にA領域と該A領域よりも空気の吸い込み速度が高いB領域とが形成される。
【0080】
以下、図3〜図9を用いて、本発明の実施例1〜3について説明する。図3〜図9において、実線矢印は空気の流れを示す。
【実施例1】
【0081】
図3及び図4を用いて、実施例1について説明する。これらの図には、液晶パネル50R,50G,50B、色分離合成光学系28及びパネル冷却ファン5が示されている。
【0082】
色分離合成光学系28は、図2に示したダイクロイックミラー46、G用入射側偏光板47、第1の偏光ビームスプリッタ48、1/4波長板49R,49G,19Bを含む。また、色分離合成光学系28は、トリミングフィルタ51、RB用入射側偏光板52、色選択性位相差板53、B用出側偏光板54、ダイクロイックプリズム55、G用出側偏光板56及び第2の偏光ビームスプリッタ57を含む。液晶パネル50R,50G,50Bの背面には、冷却補助部材59R,59G,59Bが配置されている。
【0083】
色分離合成光学系28を図1に示したプリズムベース13に固定して、光学ボックス31内に収納し、光学ボックス蓋27を光学ボックス31に取り付けることで、光学ボックス31内における色分離合成光学系28の外側に冷却風路が形成される。
【0084】
図4には、図3の構成を改良した例を示す。固定部材60には、プリズムベース13と色分離合成光学系28内の光学部品が固定される。
【0085】
また、固定部材60は、液晶パネル50R,50G,50B及び色分離合成光学系28を挟んでパネル冷却ファン5とは反対側に配置されている。これにより、固定部材60は、色分解合成光学系28において液晶パネル50R,50G,50Bを冷却するための風路を限定する風路限定部材としても機能する。固定部材60によって、色分解合成光学系28における液晶パネル50R,50G,50Bの冷却にあまり寄与しない風路Cを閉じ、各液晶パネルの冷却に使用する風路を限定することで、各液晶パネルの冷却効率をより向上させることができる。
【0086】
このように光学ボックス31内において色分離合成光学系28を構成する光学部品間や冷却補助部材59R,59G,59Bに沿って形成される冷却風路に、パネル冷却ファン5に吸い込まれる空気が流れることで、色分離合成光学系28が冷却される。
【0087】
色分離合成光学系28における主たる冷却対象は液晶パネル50R,50G,50Bである。色分離合成光学系28を構成する光学部品には、熱により劣化が生じ易い部品が含まれている。このような光学部品の劣化によって該光学部品の光学特性が変化するため、投射画像の劣化を引き起こす。したがって、熱により劣化が生じ易いる光学部品に対して、その許容温度以下となるように温度管理をする必要がある。そのような光学部品の中でも、特に液晶パネルは許容温度が低いため(例えば、50℃以下)、良好な駆動が保証される許容温度以下に冷却する必要がある。
【0088】
したがって、本実施例では、液晶パネル50R,50G,50Bの背面に、放熱フィンにより構成される冷却補助部材59R,59G,59Bがそれぞれ取り付けられている。冷却補助部材59R,59G,59Bに形成されたフィンに沿って冷却風を流すことで、液晶パネル50R,50G,50Bを冷却することができる。
【0089】
このとき、パネル冷却ファン5の吸い込み面5aは、色分離合成光学系28、液晶パネル50R,50G,50B及び冷却補助部材59R,59G,59Bの側を向くように配置されている。さらに、パネル冷却ファン5の吸い込み面5aのうち上記B領域は、G用液晶パネル50Gを冷却するための冷却補助部材59Gに対して、他の液晶パネル50R,50Bを冷却するための冷却補助部材59R,59Bに対してよりも近い位置に配置されている。
【0090】
なお、G用液晶パネル50G及び冷却補助部材59Gが第2の被冷却部に相当し、他の液晶パネル50R,50B及び冷却補助部材59R,59Bが第1の被冷却部に相当する。
【0091】
3つの液晶パネル50R,50G,50Bにおいては、照明光の光学特性により、一般に、G用液晶パネル50Gの発熱量が他の液晶パネル50R,50Bよりも大きい。しかし、液晶パネル50R,50G,50Bの許容温度は互いに等しい。このため、G用液晶パネル50G(冷却補助部材59G)に必要な冷却風量(必要冷却風量)が、他の液晶パネル50R,50B(冷却補助部材59R,59B)の必要冷却風量よりも多くなる。
【0092】
従来は、1つの冷却ファンの吸い込み風によって複数の被冷却部を冷却する場合において、複数の被冷却部に対して互いに異なる冷却風量を分配するために、以下の構成又は対策が採られている。
【0093】
(1)冷却風量を分配するための部材を、冷却ファンの吸い込み面と複数の被冷却部との間に設ける。
【0094】
(2)各被冷却部を冷却するための風路断面形状を、必要冷却風量に応じて異ならせる。
【0095】
(3)最も必要冷却風量が多い被冷却部に合わせて、ファンを選定したり、ファンの駆動条件を設定したりする。
【0096】
(4)冷却補助部材の形状を互いに異ならせて、冷却能力を発熱量に合わせる。
【0097】
しかし、(1)の構成では、ファンの近傍に風量分配部材を配置するため、ファンの効率が低下し、騒音も増大する。(2)の構成では、主として光学的な理由によって冷却風路形状を自由に設定することが困難な場合が多く、プロジェクタの小型化にも不利である。(3)の対策では、必要冷却風量の少ない被冷却部が過冷却となるため、全体として無駄な冷却が生じる。また、ファンの回転数を上げると、騒音が増大する。さらに、(4)の構成では、被冷却部ごとに形状が異なる冷却補助部材を用意する必要があるので、コストアップにつながる。また、ファンの吸い込み面の近傍では、冷却風路を阻害しないようにするために冷却補助部材の形状が限定される。
【0098】
そこで本実施例では、上述のようにパネル冷却ファン5の吸い込み面5aのうち吸い込み速度がA領域よりも大きいB領域を、G用液晶パネル50Gに対して設けられた冷却補助部材59Gに近づけることで、上記問題を解決し、かつ以下の効果を得ている。
【0099】
〔1〕吸い込み面5aと冷却補助部材59R,59G,59Bとの間に風量分配部材を設けずに、該3つの冷却補助部材に対して適切な冷却風量を分配することができる。このため、ファン効率を低下させることなく、3つの液晶パネル50R,50G,50Bを適切に冷却することができる。これにより、パネル冷却ファン5から生ずる騒音を低下させることができるとともに、冷却ファンの使用個数を減少させることができる。
【0100】
〔2〕吸い込み面5aの配置を冷却補助部材59R,59G,59Bの必要冷却風量に応じた設定にするだけで、それぞれに必要な必要冷却風量を確保することができる。このため、光学的な理由等によって冷却風路形状の自由度が低い場合でも、冷却補助部材59R,59G,59Bを適切に冷却することができる。特に、風路の限定を行いたい場合でも、図4に示すように風路を限定するための部材(固定部材60)を吸い込み方向における冷却補助部材59R,59G,59Bよりも上流側に配置するだけでよい。さらに、高密度に光学部品が配置される場合でも、冷却風路の断面積を大きくすることなく、3つの冷却補助部材59R,59G,59Bを冷却することができる。
【0101】
〔3〕最も大きい必要冷却風量に合わせてパネル冷却ファン5を選定したり、ファン駆動条件を設定したりする必要がない。このため、小型のファンの選定による騒音の削減やプロジェクタの小型化が可能となる。
【0102】
〔4〕冷却補助部材59R,59G,59Bの形状を共通にすることで、コストダウンが可能である。また、冷却補助部材59R,59G,59Bを大型化させる必要がないため、冷却風路も阻害されず、冷却効率を向上させることができる。
【実施例2】
【0103】
図6及び図7を用いて、実施例2について説明する。図6には、基板部の冷却構造を、図7には、基板部とランプ24の冷却構造を示している。
【0104】
図6において、基板部は、回路基板カバー部材30(30a,30b,30c)内に互いに平行に配置された制御基板26、パネル駆動基板29及び信号取り込み基板19により構成されている。これら基板26,29,19に実装された電子部品の発熱量が大きいため、各基板を強制冷却する必要がある。
【0105】
このため、回路基板カバー部材30内において、制御基板26、パネル駆動基板29及び信号取り込み基板19に沿って冷却風路を形成し、該冷却風路内を第1ランプ冷却ファン15により吸い込まれる空気が流れることで、基板26,29,19が冷却される。
【0106】
ただし、各基板上の電子部品の発熱量がそれぞれ異なるため、3つの基板26,29,19の必要冷却風量は同じではなく、パネル駆動基板29が最も必要冷却風量が多い。
【0107】
このため、本実施例では、第1ランプ冷却ファン15の吸い込み面15aが、基板26,29,19の側を向くように配置されている。さらに、該吸い込み面15aのうちB領域を、パネル駆動基板(第2の被冷却部)29に対して、他の基板26,16(第1の被冷却部)に対してよりも近い位置に配置している。
【0108】
これにより、基板26,16に沿って流す風量よりも多い風量の冷却風をパネル駆動基板29に沿って流すことができる。したがって、風量分配部材を設けることによるファン効率の低下や騒音の増大を回避しつつ、必要冷却風量が多いパネル駆動基板29を含む3つの基板26,29,19の適切な冷却が可能となる。
【0109】
また、第1ランプ冷却ファン15からの吹き出し風は、ランプダクト14,16により形成される風路を介してランプ24及び図2に示した偏光変換素子40を冷却する。
【0110】
超高圧水銀ランプ等により構成されるランプ24では、放電発光管18の動作圧力を高くして該放電発光管18に高い発光性能を発揮させるために、放電発光管18の温度を高くする必要がある。ただし、放電発光管18の温度が高すぎても、ランプ24の長時間動作を保証できない。すなわち、放電発光管18の温度を適切な範囲に維持しなければ、黒化や白化等の失透現象が生じたり、動作が不安定になったりする。このため、放電発光管18に対して適正な冷却が行われる必要がある。
【0111】
従来、上記のようにファンの吹き出し方向とそれ以外の方向に配置された2つ以上の被冷却部が存在する場合、それぞれの必要冷却風量に応じた冷却を行うために、以下の構成が採られている。
【0112】
(1)被冷却部ごとに専用の冷却ファンを設ける。
【0113】
(2)ダクトを通じて冷却風をそれぞれの被冷却部に導く。
【0114】
しかし、(1)の構成では、装置の大型化やコストアップを招く。(2)の構成では、ファンの吹き出し方向とは異なる方向にダクトを構成するため、製品の大型化を招く。
【0115】
これに対し、本実施例によれば、上記問題を解決し、かつ以下の効果が得られる。
【0116】
〔1〕基板部及びランプ24のそれぞれに専用の冷却ファンを設けずに、これらを冷却可能である。このため、使用ファン個数を削減することができ、プロジェクタの小型化やコストダウンが可能である。
【0117】
〔2〕ダクト構成が単純化されるため、プロジェクタの小型化が可能である。
【0118】
なお、上記のようにファンへの吸い込み風とファンからの吹き出し風とを用いて別々の被冷却部を冷却する構成においては、装置内の部品の高密度配置や発熱量の増大に対応するため、冷却効率を高める必要がある。本実施例によれば、遠心式ファンである第1ランプ冷却ファン15の吸い込み面を、吸い込み風により冷却される被冷却部の必要冷却風量に合わせて配置することで、吸い込み風による冷却効率を高めることができる。
【実施例3】
【0119】
図8及び図9を用いて、実施例3について説明する。これらの図には、ランプ周辺の冷却構造を示している。
【0120】
ランプ周辺には、ランプ24、ランプコード6、ランプダクト14,16、ランプホルダ23及び図2に示した偏光変換素子40が配置されている。そして、第1ランプ冷却ファン15からの吹き出し風は、ランプダクト14,16を介してランプ24(特に、放電発光管18)及び偏光変換素子40を冷却する。また、第2ランプ冷却ファン61への吸い込み風によって、ランプコード6と発光管18が冷却される。
【0121】
ランプ24の発熱量は非常に大きく、その影響からランプコード6が高温になる。ランプコード6は、コードの耐熱温度を満たすように強制冷却する必要がある。ただし、実施例2で説明したように、放電発光管18の冷却も必要であり、必要冷却風量は、ランプコード6よりも放電発光管18の方が多い。
【0122】
プロジェクタの小型化や高性能化により、筐体内での発熱量が増大する。この結果、筐体外に排出される排気風はより高温になり、プロジェクタの周囲にいるユーザにとって不快とならないように、排気風の排気方向も考慮する必要がある。
【0123】
しかし、筐体内のスペースの関係上、冷却ファンの配置自由度が低い場合があり、部品密集部に配置した冷却ファンからの排気をダクトを用いて筐体外へ排出するというような、冷却ファンに高負荷がかかる場合も想定される。このような場合、排気の指向性が強く、高負荷でもファン効率の低下が少ない遠心式ファンを使用することが好ましい。
【0124】
また、発熱量が大きな部品の近傍には、その熱の影響を受けて強制冷却が必要となる部品が生じる場合がある。この際、ファンを効率的に利用し、発熱量の大きな部品とその近傍にて強制冷却が必要となる部品の双方を冷却するのが好ましい。
【0125】
このため本実施例では、図8に示すように、第2ランプ冷却ファン61の吸い込み面61aが、ランプ24及びランプコード6の側を向くように配置されている。さらに、吸い込み面61aのうちB領域を、ランプ(第2の被冷却部)24に対し、ランプコード(第1の被冷却部)6に対してよりも近い位置に配置している。より詳細には、B領域は、ランプ24のうち放電発光管18を冷却した空気の排気面に対向するように配置されている。また、A領域が、ランプコード6側に位置するように配置されている。
【0126】
これにより、風量分配部材を設けることによるファン効率の低下や騒音の増大を回避しつつ、必要冷却風量が多い放電発光管18を適切に冷却することができるとともに、ランプコード6も十分冷却することができる。
【0127】
そして、第2ランプ冷却ファン61からの指向性の強い排気(吹き出し風)は、ダクト等を用いてプロジェクタにおける任意の方向に排出することができる。
【実施例4】
【0128】
上記各実施例では、遠心式ファンを用いた冷却構造をプロジェクタに適用した場合について説明したが、同様の冷却構造を他の電気機器に適用することもできる。
【0129】
例えば、ビデオカメラ等の撮像装置において、CPU等の演算処理素子及びCCDセンサ等の撮像素子といった電子部品もしくはこれらを搭載した電気回路基板の冷却に使用することができる。また、同様に、パーソナルコンピュータ内の各種電子部品や電気回路基板の冷却にも使用することができる。
【0130】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の実施例であるプロジェクタ(画像投射装置)の分解斜視図。
【図2】実施例のプロジェクタの光学構成を示す平面図及び側面図。
【図3】実施例1を示す配置図。
【図4】実施例1を示す配置図。
【図5】実施例に使用される遠心式ファンを示す図。
【図6】実施例2を示す配置図。
【図7】実施例2を示す配置図。
【図8】実施例3を示す配置図。
【図9】実施例3を示す配置図。
【符号の説明】
【0132】
5 パネル冷却ファン(シロッコファン)
6 ランプコード
15 第1ランプ冷却ファン(シロッコファン)
18 放電発光管
19 信号取り込み基板
24 光源ランプ
26 制御基板
28 色分解合成光学系
29 パネル駆動基板
35 照明光学系
40 偏光変換素子
50R,50G,50B 液晶パネル
59R,59G,59B 冷却補助部材
60 固定部材
61 第2ランプ冷却ファン(シロッコファン)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根車がケーシング内で回転することにより空気を吸い込み、前記ケーシング内に前記羽根車からの空気の吹き出し流路が該羽根車の回転方向に向かって拡大するように形成された遠心式ファンと、
該ファンにより吸い込まれる空気によってそれぞれ冷却される、第1の被冷却部及び該第1の被冷却部よりも必要冷却風量が大きい第2の被冷却部とを有し、
前記羽根車の回転により、前記ファンの吸い込み面に、互いに空気の吸い込み速度が異なる領域として、第1の吸い込み領域と該第1の吸い込み領域よりも吸い込み速度が高い第2の吸い込み領域とが形成され、
前記吸い込み面が、前記第1及び第2の被冷却部の側を向くように配置されており、
前記第2の吸い込み領域は、前記第2の被冷却部に対して、前記第1の被冷却部に対してよりも近い位置に配置されていることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記第2の吸い込み領域は、前記吸い込み面のうち最も吸い込み速度が高い領域であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
該電気機器は、互いに波長領域が異なる光を画像変調する複数の画像変調素子からの光を被投射面に投射する画像投射装置であり、
前記第2の吸い込み領域は、前記複数の画像変調素子のうち最も必要冷却風量が大きい画像変調素子に対して、他の画像変調素子に対してよりも近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項4】
光源からの光を互いに波長領域が異なる光に分解し、前記複数の画像変調素子からの光を合成する色分解合成光学系と、
前記色分解合成光学系において前記複数の画像変調素子を冷却するための風路を限定する風路限定部材とを有し、
前記風路限定部材は、前記複数の画像変調素子及び前記色分解合成光学系を挟んで前記ファンとは反対側に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
該電気機器は、光源からの光を画像変調素子によって変調し、被投射面に投射する画像投射装置であり、
前記複数の画像変調素子を駆動する変調素子駆動基板を含む複数の電気回路基板を有し、
前記第2の吸い込み領域は、前記変調素子駆動基板に対して、他の電気回路基板に対してよりも近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機器。
【請求項6】
該電気機器は、コードを介して点灯電力が供給される光源からの光を画像変調素子によって変調し、被投射面に投射する画像投射装置であり、
前記第2の吸い込み領域は、前記光源に対して、前記コードに対してよりも近い位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−186816(P2009−186816A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27707(P2008−27707)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】