説明

電気機器

【課題】接続具と受電ユニットとを着脱式に備える電気機器において、接続具と受電ユニットとの離脱操作を容易に行えるようにするようにする。
【解決手段】接続対象部と電気的に接続するための電極を備える接続具2と、接続具2と電気的に接続される受電ユニット1とが別体に備えられた電気機器において、両者を連結するために回動可能な連結部材11とそれに着脱される着脱部とが備えられ、接続具2と受電ユニット1とを接続した状態で、使用位置から挿抜位置へ接続具2と受電ユニット1とを相対回動操作したときに、前記着脱部を連結部材11から離脱する方向に移動操作する離脱補助機構が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続対象部と電気的に接続するための電極を備える接続具と、前記接続具と別体に構成され、且つ、前記接続具を装着した状態で前記接続具と電気的に接続される受電ユニットとが備えられた電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような接続具を介して接続対象部に接続する電気機器としては、例えば、二次電池に充電するための充電器や、あるいは、商用電源電圧を適宜の電圧の直流電圧又は交流電圧に変換するアダプタ等がある。
この種の電気機器では、例えば下記特許文献1にも記載のように、商用電源のコンセントの形状が異なる国々での使用を可能とするために、各国あるいは各地域の商用電源のコンセントの形状等の仕様に適合した複数種の電源プラグユニット(接続具の1例)を電気機器本体とは別体で用意しておき、電気機器の使用に際してはその国等の仕様に適合した電源プラグユニットを本体部に装着してその電気機器を使用するということが広く行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−260794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、接続具と受電ユニットとを離脱させる操作は、両者の確実な電気的接続を確保する必要性等のために強固に接続されていることから、相当程度の操作力を要するものとなっており、高齢者等の力の弱い操作者にとっては負担が大きなものとなってしまう。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、接続具と受電ユニットとの離脱操作を容易に行えるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1の発明は、接続対象部と電気的に接続するための電極を備える接続具と、前記接続具と別体に構成され、且つ、前記接続具を装着した状態で前記接続具と電気的に接続される受電ユニットとが備えられた電気機器において、前記接続具と前記受電ユニットとを連結し且つ電気的に接続するために、連結部材とその連結部材に対して着脱自在の着脱部とが前記接続具と前記受電ユニットとに振分けて配置され、前記連結部材は、前記接続具又は前記受電ユニットの一方に回動可能に支持され、前記接続具と前記受電ユニットとの相対回動範囲内において、前記着脱部を前記連結部材に対して挿抜するための挿抜位置と、前記電極を前記接続対象部に接続して使用する使用位置とが設定され、前記接続具と前記受電ユニットとを接続した状態で、前記使用位置から前記挿抜位置へ前記接続具と前記受電ユニットとを相対回動操作したときに、前記接続具側の部材と前記受電ユニット側の部材との係合作用により、前記着脱部を前記連結部材から離脱する方向に移動操作する離脱補助機構が備えられている。
すなわち、接続具と受電ユニットとの相対回動操作を利用して、接続具側の部材と受電ユニット側の部材とを係合作用させ、着脱部を連結部材から離脱させる側に移動操作する。
回動操作は、直線的な離脱操作よりも力を加え易く、比較的に弱い力で操作できる。
【0006】
又、本出願の第2の発明は、上記第1の発明の構成に加えて、前記挿抜位置において前記着脱部と前記連結部材とを係合させた状態で、前記挿抜位置から前記使用位置へ前記接続具と前記受電ユニットとを相対回動操作したときに、前記接続具側の部材と前記受電ユニット側の部材との係合作用により、前記着脱部を前記連結部材と接続する方向に移動操作する接続補助機構が備えられている。
すなわち、接続具と受電ユニットとの相対回動操作を利用して、接続具側の部材と受電ユニット側の部材とを係合作用させ、着脱部を連結部材に接続させる側に移動操作する。
回動操作は、直線的な挿入操作よりも力を加え易く、比較的に弱い力で操作できる。
【0007】
又、本出願の第3の発明は、上記第2の発明の構成に加えて、前記離脱補助機構において係合作用により前記着脱部を移動操作する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材と、前記接続補助機構において係合作用により前記着脱部を移動操作する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材とが、少なくとも一部の部材を共用するように構成されている。
すなわち、上記離脱補助機構と上記接続補助機構とは、それらの機能から類似の係合作用で構成できるので、部材を共用することで装置構成を簡素化できる。
【0008】
又、本出願の第4の発明は、上記第2の発明の構成に加えて、前記使用位置に前記接続具と前記受電ユニットとが相対回動操作されたときに、前記接続具側の部材と前記受電ユニット側の部材との係合作用により、前記着脱部が前記連結部材から離脱するのを阻止する離脱阻止機構が備えられている。
従って、接続具と受電ユニットとを上記使用位置に相対回動操作し、接続具の電極を接続対象部に接続して、実際に電気機器を使用する際に、離脱阻止機構が接続具と受電ユニットとの離脱を防止するので、電気機器を安定して使用することができる。
【0009】
又、本出願の第5の発明は、上記第4の発明の構成に加えて、前記離脱補助機構において係合作用により前記着脱部を移動操作する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材と、前記接続補助機構において係合作用により前記着脱部を移動操作する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材と、前記離脱阻止機構において前記着脱部が前記連結部材から離脱するのを阻止する部材とが、少なくとも一部の部材を共用するように構成されている。
すなわち、上記離脱補助機構,上記接続補助機構及び上記離脱阻止機構は、それらの機能から類似の係合作用で構成できるので、部材を共用することで装置構成を一層簡素化できる。
【0010】
又、本出願の第6の発明は、上記第1〜第5の発明の構成に加えて、前記電極は設定方向に突出する姿勢で前記接続具に備えられ、前記接続具は前記電極を前記接続対象部に挿入することによって前記接続対象部と電気的に接続され、前記受電ユニットは扁平形状に形成され、前記挿抜位置は、前記電極の突出方向と前記受電ユニットの扁平面とが略平行となる位置に設定され、前記使用位置は、前記電極の突出方向と前記受電ユニットの扁平面とが略直交する位置に設定されている。
すなわち、扁平形状の受電ユニットに接続具を接続して使用する場合、接続具の電極の突出方向と受電ユニットの扁平面とが平行となっている状態で例えばコンセント等の接続対象部に上記電極を挿入して使用すると、コンセント等の接続対象部は居室の壁面等に備えられる場合が多いので、接続具の電極は略水平方向を向いて接続対象部に接続されることになり、接続具と受電ユニットとが略水平方向に並ぶことになる。
このような配置となると、他物が受電ユニットに接触し易く、接触した場合には大きなモーメントが、接続具と受電ユニットとの接続箇所や接続対象部に挿入している電極に作用し、場合によっては、それらの箇所を破損してしまう可能性もある。
そこで、そのような配置となる状態は、上記使用位置とは設定せずに、上記挿抜位置として利用する。
【0011】
又、本出願の第7の発明は、上記第6の発明の構成に加えて、前記挿抜位置において、前記着脱部における先端側の一部が前記連結部材と係合している状態で、前記着脱部が前記連結部材側へ移動するのを、前記接続具側の部材と前記受電ユニット側の部材との係合作用により阻止する移動阻止機構が備えられている。
すなわち、挿抜位置においては、着脱部における先端側の一部が連結部材と係合している状態で、それ以上は両者が接続側に移動しないように移動阻止機構が機能することで、電気機器の操作者に対して、その挿抜位置では接続具と受電ユニットと接続して使用することはできないことを明確に知らせることになる。
【0012】
又、本出願の第8の発明は、上記第7の発明の構成に加えて、前記離脱補助機構において係合作用により前記着脱部を移動操作する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材と、前記移動阻止機構において係合作用により前記着脱部の移動を阻止する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材とで、少なくとも一部の部材を共用するように構成されている。
すなわち、上記離脱補助機構による着脱部を連結部材から離脱させるように移動操作する機能と、上記移動阻止機構による着脱部が連結部材側へ移動するのを阻止する機能とは非常に類似するので、両者で部材を共有して構成の簡素化を図ることができる。
【0013】
又、本出願の第9の発明は、上記第1〜第8のいずれかの発明の構成に加えて、前記挿抜位置において前記着脱部と前記連結部材とを係合側に操作したときに、前記接続具と前記受電ユニットとが電気的に接続されないように構成されている。
すなわち、上記挿抜位置では電気機器が使用されるのを想定していないのであるが、上記挿抜位置において着脱部と連結部材とを係合側に操作したときに、それによって接続具と受電ユニットとが電気的に接続されてしまうと、場合によっては上記挿抜位置でも電気機器の使用は可能であるとの誤解を使用者に対して与えてしまう畏れがある。
そこで、上記挿抜位置において着脱部と連結部材とを係合側に操作したときに、その操作を行っても接続具と受電ユニットとが電気的に接続されないようにすることで、上記挿抜位置と上記使用位置との位置付けを使用者に対して明確に提示できる。
【発明の効果】
【0014】
上記第1の発明によれば、接続具と受電ユニットとの相対回動操作を利用して、接続具側の部材と受電ユニット側の部材とを係合作用させ、着脱部を連結部材から離脱させる側に移動操作するので、比較的に弱い力で操作することができ、接続具と受電ユニットとの離脱操作を容易に行えるものとなった。
又、上記第2の発明によれば、接続具と受電ユニットとの相対回動操作を利用して、接続具側の部材と受電ユニット側の部材とを係合作用させ、着脱部を連結部材に接続させる側に移動操作するので、比較的に弱い力で操作することができ、接続具と受電ユニットとの挿抜動作を容易に行えるものとなった。
又、上記第3の発明によれば、上記離脱補助機構と上記接続補助機構とで部材を共用することで装置構成を簡素化できる。
又、上記第4の発明によれば、離脱阻止機構が接続具と受電ユニットとの離脱を防止して、電気機器を安定して使用することができるので、電気機器の利便性を向上させることができる。
【0015】
又、上記第5の発明によれば、上記離脱補助機構,上記接続補助機構及び上記離脱阻止機構で部材を共用することで装置構成を一層簡素化できる。
又、上記第6の発明によれば、接続具と受電ユニットとの接続姿勢と上記使用位置及び上記挿抜位置との関係を適切に設定することで、電気機器の利便性を一層向上させることができる。
又、上記第7の発明によれば、電気機器の操作者に対して、上記挿抜位置では接続具と受電ユニットと接続して使用することはできないことを明確に知らせることとなるので、電気機器の利便性をより一層向上させることができる。
又、上記第8の発明によれば、上記離脱補助機構と上記移動阻止機構とで部材を共用することで装置構成を更に簡素化できる。
又、上記第9の発明によれば、上記挿抜位置と上記使用位置との位置付けを使用者に対して明確に提示できるので、使用者が電気機器に対する適正な操作を行い易いものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態にかかる電気機器の斜視図
【図2】本発明の実施の形態にかかる電気機器の斜視図
【図3】本発明の実施の形態にかかる受電ユニットの斜視図
【図4】本発明の実施の形態にかかる電源プラグユニットの斜視図
【図5】本発明の実施の形態にかかる電源プラグユニットの接続及び離脱動作を説明する図
【図6】本発明の実施の形態にかかる電源プラグユニットの接続及び離脱動作を説明する図
【図7】本発明の実施の形態にかかる位置決め機構の動作を説明する図
【図8】本発明の実施の形態にかかる連結部材の斜視図
【図9】本発明の実施の形態にかかる位置決め機構用部品の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の電気機器の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態では、電気機器として二次電池を充電する充電器BCを例示している。
充電器BCでは、図1に示すように、接続対象部である電源(商用電源)のコンセントに電気的に接続するための接続具として電源プラグユニット2が備えられると共に、その電源プラグユニット2とは別体の受電ユニット1が備えられ、図2に装着状態を示すように、電源プラグユニット2は受電ユニット1に機械的に装着され、又、その装着状態において電源プラグユニット2と受電ユニット1とは電気的に接続されている。
【0018】
電源プラグユニット2は、図4の斜視図に示すように、接続対象部(商用電源のコンセント)と電気的に接続するための電極(商用電源のコンセントに挿入する受電用の電極)として、電源プラグユニット2の本体部分から設定方向に突出する姿勢で配置されるプラグ電極21を備えているが、世界の国又は地域によって商用電源のコンセントの形状が異なるため、それに対応すべく電源プラグユニット2もプラグ電極21の形状及び配置が異なる複数種類のものが受電ユニット1に対して用意されている。本実施の形態では、それらのうち日本の商用電源のコンセントに適合した、いわゆる栓刃と称されるものを例示して説明する。
【0019】
受電ユニット1と電源プラグユニット2との機械的な連結及び電気的な接続は、連結部材11とその連結部材11に対して着脱自在の着脱部とによって行い、それらを受電ユニット1と電源プラグユニット2とに振分けて配置している。本実施の形態では、受電ユニット1に連結部材11を配置し、電源プラグユニット2に着脱部であるインレットプラグ22(図4参照)を配置している。
【0020】
受電ユニット1は、扁平形状、より具体的には、扁平の略直方体形状の筐体を有し、その筐体は樹脂にて構成されている。
図1及び図3に示すように、受電ユニット1に備えられている連結部材11は、いわゆるインレットと称される型式のものであり、この連結部材11の開口11aに電源プラグユニット2のインレットプラグ22を挿入することで、電源プラグユニット2を受電ユニット1へ連結する状態で装着する。
図2に示すように、インレットプラグ22を連結部材11の開口11aに挿入した状態で、プラグ電極21と連結部材11内の一対の電極ピン11bとが電気的に接続される。
【0021】
連結部材11は、図8の斜視図に示すように、開口11aの形成面を正面として両側面に高さの低い円柱状の被支持軸11cが備えられ、この被支持軸11cが受電ユニット1側の部材に回転軸芯α(被支持軸11cがなす円の中心を貫く軸芯)周りに矢印Aで示す向きに回動可能(より厳密には揺動可能)に支持されている。
図1では、連結部材11の開口11aが、受電ユニット1の扁平面1a(図1における上面あるいは下面)と平行方向を向く姿勢をとった場合を図示している。
連結部材11の回動範囲は、連結部材11の開口11aが向く方向すなわち電源プラグユニット2の挿入方向で表現すると、受電ユニット1の筐体表面における隣り合う2つの直交面において、連結部材11の開口11aが、一方の面の法線方向を向く姿勢から他方の面の法線方向を向く姿勢までの範囲であり、受電ユニット1の扁平面1aと平行となる方向を向く姿勢(図1参照)から、受電ユニット1の扁平面1aに対して略90度の角度で上方を向く姿勢(図3参照)までの略90度である。この範囲での連結部材11の回動を許容するように受電ユニット1の筐体が切り欠かれている。
このように連結部材11を回動可能とすることによって、連結部材11にインレットプラグ22を挿入した状態で、受電ユニット1と電源プラグユニット2とが相対回動するのであるが、説明の便宜上、この相対回動を、受電ユニット1を固定させた状態での、電源プラグユニット2の回動として説明する。
【0022】
上記の連結部材11の回動範囲(すなわち、電源プラグユニット2と受電ユニットとの相対回動範囲)内において、インレットプラグ22を連結部材11に対して挿抜するための挿抜位置と、プラグ電極21を接続対象部であるコンセントに接続して使用する使用位置とが設定されている。
図1に示すように、連結部材11の開口11aが受電ユニット1の扁平面1aと平行となる方向を向いているときが、インレットプラグ22を連結部材11に挿抜する操作を行う上記挿抜位置である。この挿抜位置は、電源プラグユニット2との位置関係で言うと、プラグ電極21の突出方向と受電ユニット1の扁平面1aとが略平行となる位置に設定されている。
又、図2に示すように、インレットプラグ22を連結部材11に挿入して連結部材11の開口11aが受電ユニット1の扁平面1aの法線方向を向いているときが、電源プラグユニット2のプラグ電極21を商用電源のコンセントに挿入して使用する上記使用位置である。この使用位置は、電源プラグユニット2との位置関係で言うと、プラグ電極21の突出方向と受電ユニット1の扁平面1aとが略直交する位置に設定されている。
連結部材11にインレットプラグ22を係合させた状態で、上記挿抜位置から上記使用位置へ回動操作するに伴って、連結部材11にインレットプラグ22が適正に挿入されて電気的及び機械的に接続され、逆に、上記使用位置から上記挿抜位置へ連結部材11及び電源プラグユニット2を回動操作するに伴って、インレットプラグ22が連結部材11から離脱移動するように構成されている。
【0023】
この動作を実現するために、上記挿抜位置において上記インレットプラグ22と連結部材11とを係合させた状態で、上記挿抜位置から上記使用位置へ電源プラグユニット2と受電ユニット1とを相対回動操作したときに、電源プラグユニット2側の部材と受電ユニット1側の部材との係合作用により、インレットプラグ22を連結部材11と接続する方向に移動操作する接続補助機構CAが備えられると共に、電源プラグユニット2と受電ユニット1とを接続した状態で、上記使用位置から上記挿抜位置へ電源プラグユニット2と受電ユニット1とを相対回動操作したときに、電源プラグユニット2側の部材と受電ユニット1側の部材との係合作用により、インレットプラグ22を連結部材11から離脱する方向に移動操作する離脱補助機構DAが備えられている。
又、上記接続補助機構CA及び離脱補助機構DAの動作と関連して、上記使用位置に電源プラグユニット2と受電ユニット1とが相対回動操作されたときに、電源プラグユニット2側の部材と受電ユニット1側の部材との係合作用により、インレットプラグ22が連結部材11から離脱するのを阻止する離脱阻止機構DSと、上記挿抜位置において、インレットプラグ22における先端側の一部が連結部材11と係合している状態で、インレットプラグ22が連結部材11側へ移動するのを、電源プラグユニット2側の部材と受電ユニット1側の部材との係合作用により阻止する移動阻止機構MSとが備えられている。
【0024】
上記各機構の構成を、受電ユニット1と電源プラグユニット2との相対回動操作に伴って電源プラグユニット2が移動操作される様子を示す断面図である図5、及び、その図5と対応させて連結部材11及び電源プラグユニット2のみを抜き出して示す図6を参照して、受電ユニット1と電源プラグユニット2との接続及び離脱動作と共に説明する。尚、図5は、連結部材11の側脇位置での断面を示している。
連結部材11にインレットプラグ22を挿入して電源プラグユニット2と受電ユニット1とを連結する操作は、図1に示すように、連結部材11の開口11aが受電ユニット1の扁平面1aと平行となる方向を向く姿勢とすると共に、それに対応して、電源プラグユニット2のプラグ電極21の突出方向を開口11aが向く方向と一致させて、扁平面1aと平行方向となる姿勢とし、インレットプラグ22の先端部を連結部材11に差し込む。
但し、このときの両者の姿勢では、図5(a)及び図6(a)に示すように、上記移動阻止機構MSにより、インレットプラグ22の先端側の一部が連結部材11の開口11aに入り込んで係合するだけで、完全には接続されない構造となっている。
すなわち、電源プラグユニット2には、図4に示すように、インレットプラグ22の両側に、インレットプラグ22と平行に突出する一対の壁体23を備えて、その壁体23の先端が受電ユニット1の筐体表面における進入阻止部1b(上記挿抜位置での連結部材11の開口11aの両側位置)に接当することで、インレットプラグ22が連結部材11側へ移動するのを阻止している。換言すると、連結部材11とインレットプラグ22との接近離間方向に突出する部材をインレットプラグ22に備えて、インレットプラグ22の先端側の一部が連結部材11と係合した状態で、その部材が受電ユニット1の筐体側の部材と接当することで、インレットプラグ22が更に連結部材11側へ移動するのを阻止している。
従って、受電ユニット1側の部材である受電ユニット1の筐体表面における進入阻止部1bと電源プラグユニット2側の部材である壁体23とによって上記移動阻止機構MSが構成され、これらの係合作用により、インレットプラグ22の連結部材11側への移動を阻止している。
壁体23の先端が進入阻止部1bに接当している状態では、連結部材11の電極ピン11bと、インレットプラグ22側の電極とが接触しないように壁体23の高さ等が設定されており、この挿抜位置においては、インレットプラグ22と連結部材11とを係合側に操作しても、電源プラグユニット2と受電ユニット1とが電気的に接続されない構造となっている。
【0025】
次に、電源プラグユニット2を受電ユニット1の筐体側へ軽く押し当てた状態で、連結部材11及び電源プラグユニット2を回動操作すると、上記接続補助機構CAによって電源プラグユニット2のインレットプラグ22が連結部材11側へ移動操作される。尚、上記移動阻止機構MSが上記の回動操作に伴ってインレットプラグ22が移動操作されるのを阻害しないように、進入阻止部1bに接当している壁体23の上記回動による移動軌跡となる部分は段差状に切り欠かれて、段差1cが形成されている。
上記接続補助機構CAは、受電ユニット1側の部材として、上記段差1cに加えて、連結部材11の側脇の壁面、より詳細には、電源プラグユニット2の壁体23に移動を許容するための段差状の切り欠き部分の壁面に形成されている第1円柱突起1d及び第1円柱突起1dよりも大径の第2円柱突起1eが備えられ、電源プラグユニット2側の部材として、電源プラグユニット2の壁体23及び壁体23に形成されている第1ガイド23aが備えられている(図4等参照)。尚、壁体23には、溝部23cを挟んで第1ガイド23aと対峙する第2ガイド23bが形成されており、この第2ガイド23bは、後述する離脱補助機構DAの一部を構成する。
連結部材11及び電源プラグユニット2を上記使用位置側へ回動操作すると、電源プラグユニット2は、壁体23が段差1cに案内される状態で姿勢変化し、図5(b)に示すように、第1円柱突起1dが溝部23cへと入り込む。これによって、第1円柱突起1dが第1ガイド23aの溝部23c側の面と接当して、第1ガイド23aの溝部23c側の面がカム面で、第1円柱突起1dがカムフォロアとなる関係で、図6(b)に示すように、インレットプラグ22を連結部材11側へ押し込んで行く。
【0026】
連結部材11及び電源プラグユニット2を上記使用位置側へ更に回動操作すると、第1円柱突起1dに引き続いて第2円柱突起1eが溝部23cへと入り込む状態となって、第1ガイド23aの溝部23c側の面がカム面で、第2円柱突起1eがカムフォロアとなる関係で、インレットプラグ22を連結部材11側へ押し込んで行き、図5(c)に示す上記使用位置まで回動操作したときに、図6(c)に示すように、連結部材11とインレットプラグ22とが完全に接続される。尚、電源プラグユニット2における一対の壁体23は、それらの配置間隔が連結部材11の幅よりもわずかに広くなるように設定されており、図5(c)及び図6(c)の上記使用位置へ回動操作されるに伴って、一対の壁体23の間に連結部材11の開口端側の一部が入り込む位置関係となる。
図5(c)に示す上記使用位置では、電源プラグユニット2を連結部材11から引き抜こうと引き操作しても、第2円柱突起1eと第1ガイド23aとが係合作用して、インレットプラグ22が連結部材11から離脱するのを阻止する。
従って、受電ユニット1側に備えられる部材である第2円柱突起1eと電源プラグユニット2側に備えられる部材である第1ガイド23aとによって上記離脱阻止機構DSが構成されている。
以上から、上記接続補助機構CAは、受電ユニット1側の部材と電源プラグユニット2側の部材とが係合している位置で、連結部材11及び電源プラグユニット2の回動軸芯より遠い側に受電ユニット1側の部材が位置し、上記挿抜位置から上記使用位置への回動操作に伴って、インレットプラグ22を上記回動軸芯側へ移動させるべく、受電ユニット1側の部材と電源プラグユニット2側の部材とがカム機構を構成するように配置形状が設定されている。
【0027】
上記の回動操作とは逆に、連結部材11及び電源プラグユニット2を上記使用位置から上記挿抜位置へ回動操作すると、上記離脱補助機構DAによって電源プラグユニット2のインレットプラグ22が連結部材11から離脱する方向へ移動操作される。
上記離脱補助機構DAは、受電ユニット1側の部材として、上記段差1cと第2円柱突起1eが備えられ、電源プラグユニット2側の部材として、電源プラグユニット2の壁体23及び壁体23に形成されている第2ガイド23bが備えられている(図4等参照)。
連結部材11及び電源プラグユニット2を上記挿抜位置側へ回動操作すると、第2ガイド23bの溝部23c側の面がカム面で、第2円柱突起1eがカムフォロアとなる関係で、インレットプラグ22を連結部材11から離脱する側へ直ちに押し上げる。
連結部材11及び電源プラグユニット2を更に図5(b)に示す姿勢まで回動操作すると、第2円柱突起1eと第2ガイド23bとの係合作用は解消され、段差1cと壁体23の先端との係合作用によってインレットプラグ22を連結部材11から離脱する方向へ移動操作する状態へと移行する。尚、図5(b)の状態では、電源プラグユニット2を連結部材11から引き抜く操作をしても、第1円柱突起1dが第1ガイド23aと係合作用して、インレットプラグ22の離脱側への移動を阻止する。
この後、更に連結部材11と電源プラグユニット2とを回動操作すると、図5(a)に示す上記挿抜位置に戻り、インレットプラグ22を極めて軽い力で引き抜くことができる。
以上から、上記離脱補助機構DAは、受電ユニット1側の部材と電源プラグユニット2側の部材とが係合している位置で、連結部材11及び電源プラグユニット2の回動軸芯より遠い側に電源プラグユニット2側の部材が位置し、上記使用位置から上記挿抜位置への回動操作に伴って、インレットプラグ22が上記回動軸芯から離れる側へ移動させるべく、受電ユニット1側の部材と電源プラグユニット2側の部材とがカム機構を構成するように配置形状が設定されて。
【0028】
以上のように、充電器BCは、図5(a)の電源プラグユニット2の挿抜のための姿勢(位置)、及び、図5(c)の使用時の姿勢(位置)で、電源プラグユニット2及び連結部材11を位置決め保持する機構を備えている。
この位置決め機構及びこの機構の動作を図7の断面図及び連結部材11を斜視図で示す図8に基づいて説明する。
【0029】
図7(a),図7(b)及び図7(c)は何れも電源プラグユニット2の横幅方向(図4において矢印Bで示す方向)中央位置で切断したときの概略断面を示しており、図7(a),図7(b)及び図7(c)で示す各状態は、夫々、図5(a),図5(b)及び図5(c)で示す各状態に対応している。
連結部材11の位置決め機構の基本的な考え方は、連結部材11と受電ユニット1とに凸状部材と凹状部材とを振分けて配置し、その凸状部材と凹状部材とが係合作用する側に付勢手段によって付勢することによって、相対移動(ここでは相対回動)する凸状部材と凹状部材とが係合作用する前後で回動操作の操作抵抗に変化をつける、いわゆるデテント式の位置決め機構としている。
【0030】
本実施の形態では上記の凸状部材を連結部材11側に備えており、図8に示すように、回動軸芯αの軸芯方向の中央部表面に概略三角柱形状の凸部11dが上記凸状部材に相当する。
凸部11dは、三角柱の高さ方向が回動軸芯αの軸芯方向となる姿勢で、回動軸芯α周りの同一円周上に略45度の角度間隔で3個並べて形成されている。
【0031】
上記凹状部材は受電ユニット1側に備えられており、凸部11dと係合作用している状態で示す図7及び部品単体を斜視図で示す図9のように、略V字形状の溝で構成される溝状凹部13aを有するロック部材13がその機能を有する。
ロック部材13は、受電ユニット1の壁部材1f内を図7において矢印Dで示す方向での若干量の摺動移動が許容される状態で取り付けられており、溝状凹部13aの存在側と反対側の端部に位置する位置規制用のピン13bが壁部材1fを貫通して矢印Dで示す方向以外のロック部材13の位置変動を規制している。
ロック部材13におけるピン13bよりも溝状凹部13a側の大径部13cの周囲にはコイルバネ14が配置され、溝状凹部13aと凸部11dとが係合作用する側にロック部材13を付勢して、上記付勢手段として機能している。
【0032】
電源プラグユニット2の連結部材11への連結及び連結の解除が可能な図7(a)の状態では、3つの凸部11dのうちの最も上側の凸部11dが連結部材11の開口11aと係合しており、その状態から図7において下方側に電源プラグユニット2及び連結部材11の揺動操作(回動操作)を開始すると、凸部11dがコイルバネ14の付勢力に抗してロック部材13を図7における左側へ一旦押し込み、図7(b)の姿勢までの回動操作を完了すると、ロック部材13はコイルバネ14の付勢力にて元の位置に復帰する。
図7(b)の状態から図7において下方側に電源プラグユニット2等を更に揺動操作する場合と、再び凸部11dがコイルバネ14の付勢力に抗してロック部材13を図7における左側へ一旦押し込み、図7(c)の姿勢までの回動操作を完了すると、ロック部材13はコイルバネ14の付勢力にて元の位置に復帰すると共に、溝状凹部13aと図7において下側に位置する凸部11dとの係合及びコイルバネ14の付勢力によって、電源プラグユニット2等の揺動操作に対して比較的高い操作抵抗を付与する状態となり、電源プラグユニット2等の姿勢の位置決めを行う。
【0033】
以上説明したように、上記離脱補助機構DAにおいて係合作用によりインレットプラグ22を移動操作する電源プラグユニット2側の部材及び受電ユニット1側の部材と、上記接続補助機構CAにおいて係合作用によりインレットプラグ22を移動操作する電源プラグユニット2側の部材及び受電ユニット1側の部材とを比較すると、両者は、受電ユニット1側の段差1c及び第2円柱突起1e、並びに、電源プラグユニット2側の壁体23を共用する形で構成されている。
又、それに加えて、受電ユニット1側の第2円柱突起1eは上記離脱阻止機構DSの構成要素ともなっており、この離脱阻止機構DSとも部材を共用していることになる。
更に、上記離脱補助機構DAにおいて係合作用によりインレットプラグ22を移動操作する電源プラグユニット2側の部材及び受電ユニット1側の部材と、上記移動阻止機構MSにおいて係合作用によりインレットプラグ22の移動を阻止する電源プラグユニット2側の部材及び受電ユニット1側の部材とを比較すると、両者は、壁体23を共用する形で構成されている。
【0034】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、上記接続補助機構CAを構成する受電ユニット1側の部材として、第1円柱突起1dと第2円柱突起1eとを別個に備える場合を例示しているが、第1円柱突起1dと第2円柱突起1eとを一連に連なる部材として構成しても良い。
(2)上記実施の形態では、電気機器として充電器BCを例示しているが、いわゆるACアダプタ等の各種の電気機器に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 受電ユニット
2 接続具
11 連結部材
22 着脱部
CA 接続補助機構
DA 離脱補助機構
DS 離脱阻止機構
MS 移動阻止機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象部と電気的に接続するための電極を備える接続具と、前記接続具と別体に構成され、且つ、前記接続具を装着した状態で前記接続具と電気的に接続される受電ユニットとが備えられた電気機器であって、
前記接続具と前記受電ユニットとを連結し且つ電気的に接続するために、連結部材とその連結部材に対して着脱自在の着脱部とが前記接続具と前記受電ユニットとに振分けて配置され、
前記連結部材は、前記接続具又は前記受電ユニットの一方に回動可能に支持され、
前記接続具と前記受電ユニットとの相対回動範囲内において、前記着脱部を前記連結部材に対して挿抜するための挿抜位置と、前記電極を前記接続対象部に接続して使用する使用位置とが設定され、
前記接続具と前記受電ユニットとを接続した状態で、前記使用位置から前記挿抜位置へ前記接続具と前記受電ユニットとを相対回動操作したときに、前記接続具側の部材と前記受電ユニット側の部材との係合作用により、前記着脱部を前記連結部材から離脱する方向に移動操作する離脱補助機構が備えられている電気機器。
【請求項2】
前記挿抜位置において前記着脱部と前記連結部材とを係合させた状態で、前記挿抜位置から前記使用位置へ前記接続具と前記受電ユニットとを相対回動操作したときに、前記接続具側の部材と前記受電ユニット側の部材との係合作用により、前記着脱部を前記連結部材と接続する方向に移動操作する接続補助機構が備えられている請求項1記載の電気機器。
【請求項3】
前記離脱補助機構において係合作用により前記着脱部を移動操作する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材と、前記接続補助機構において係合作用により前記着脱部を移動操作する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材とで、少なくとも一部の部材を共用するように構成されている請求項2記載の電気機器。
【請求項4】
前記使用位置に前記接続具と前記受電ユニットとが相対回動操作されたときに、前記接続具側の部材と前記受電ユニット側の部材との係合作用により、前記着脱部が前記連結部材から離脱するのを阻止する離脱阻止機構が備えられている請求項2記載の電気機器。
【請求項5】
前記離脱補助機構において係合作用により前記着脱部を移動操作する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材と、前記接続補助機構において係合作用により前記着脱部を移動操作する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材と、前記離脱阻止機構において前記着脱部が前記連結部材から離脱するのを阻止する部材とが、少なくとも一部の部材を共用するように構成されている請求項4記載の電気機器。
【請求項6】
前記電極は設定方向に突出する姿勢で前記接続具に備えられ、
前記接続具は前記電極を前記接続対象部に挿入することによって前記接続対象部と電気的に接続され、
前記受電ユニットは扁平形状に形成され、
前記挿抜位置は、前記電極の突出方向と前記受電ユニットの扁平面とが略平行となる位置に設定され、
前記使用位置は、前記電極の突出方向と前記受電ユニットの扁平面とが略直交する位置に設定されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
前記挿抜位置において、前記着脱部における先端側の一部が前記連結部材と係合している状態で、前記着脱部が前記連結部材側へ移動するのを、前記接続具側の部材と前記受電ユニット側の部材との係合作用により阻止する移動阻止機構が備えられている請求項6記載の電気機器。
【請求項8】
前記離脱補助機構において係合作用により前記着脱部を移動操作する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材と、前記移動阻止機構において係合作用により前記着脱部の移動を阻止する前記接続具側の部材及び前記受電ユニット側の部材とで、少なくとも一部の部材を共用するように構成されている請求項7記載の電気機器。
【請求項9】
前記挿抜位置において前記着脱部と前記連結部材とを係合側に操作したときに、前記接続具と前記受電ユニットとが電気的に接続されないように構成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−48822(P2012−48822A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186789(P2010−186789)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】