説明

電気特性計測装置

【課題】導電性材料を含む液体の特性、特に電気特性を良好に取得できる計測装置を提供する。
【解決手段】計測装置は、液体が収容される第1空間を形成する第1部材と、鉛直方向における第1空間の第1の位置に、液体と接触するように配置された第1面を有する第1電極と、鉛直方向における第1空間の第1の位置よりも下方の第2の位置に、第1面と対向し、液体と接触するように配置された第2面を有する第2電極と、第1電極と第2電極との間に電流を流す通電装置と、通電装置の通電状態に基づいて、液体の電気特性を求める処理装置とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性材料を含む液体の電気特性を計測する計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高レベル放射性廃液の処理方法として、下記特許文献に開示されているような、ガラス溶融炉において高レベル放射性廃液をガラス材料と一緒に溶融して溶融ガラスを生成し、その後、固化する技術が案出されている。
【特許文献1】特開2002−071891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ガラス溶融炉の運転条件によっては、ガラス溶融炉の内部において溶融ガラス中の金属成分が析出し、そのガラス溶融炉の内部に堆積する可能性がある。ガラス溶融炉は、そのガラス溶融炉の内部に設けられた電極間に電流を流し、発生した熱(ジュール熱)によって、高レベル放射性廃液及びガラス原料を溶融する。ガラス溶融炉の内部に金属成分が堆積すると、その金属成分が短絡等を引き起こし、円滑な溶融処理を妨げる可能性がある。そのような不具合の発生を抑制するため、溶融ガラスの特性を把握し、ガラス溶融炉の運転条件の最適化を図る必要がある。また、溶融ガラスに限られず、導電性材料を含む液体を円滑に処理するためには、その液体の特性を把握することが重要である。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、溶融ガラスなど、導電性材料を含む液体の特性、特に電気特性を良好に計測できる計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
本発明の一態様によると、導電性材料を含む液体の電気特性を計測する計測装置であって、前記液体が収容される第1空間を形成する第1部材と、鉛直方向における前記第1空間の第1の位置に、前記液体と接触するように配置された第1面を有する第1電極と、鉛直方向における前記第1空間の前記第1の位置よりも下方の第2の位置に、前記第1面と対向し、前記液体と接触するように配置された第2面を有する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流す通電装置と、前記通電装置の通電状態に基づいて、前記液体の電気特性を求める処理装置と、を備えた計測装置が提供される。
【0006】
本発明の一態様によれば、第1電極と第2電極とを鉛直方向に沿うように配置し、それら第1電極の第1面及び第2電極の第2面のそれぞれを、液体と接触するように配置したので、例えば液体中に導電性材料の一部が析出するような状況が生じた場合でも、その第1電極と第2電極とを用いて、液体の電気特性に関する情報を良好に取得することができる。
【0007】
上記態様の計測装置において、前記処理装置は、前記通電状態の測定結果より前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗を導出するとともに、前記導出した電気抵抗、前記第1面及び前記第2面の大きさ、及び前記第1面と前記第2面との距離に基づいて、前記液体の導電率を導出する構成を採用することができる。
【0008】
これによれば、通電状態の測定結果より導出した第1電極と第2電極との間の電気抵抗、既知である第1面及び第2面の大きさ、及び第1面と第2面との距離に基づいて、液体の導電率を精度良く導出することができる。
【0009】
上記態様の計測装置において、前記第1空間とは別の第2空間を形成する第2部材と、前記第1空間と前記第2空間とを接続するように形成され、前記液体を流通可能な通路とを備えた構成を採用することができる。
【0010】
これによれば、第1空間に配置された第1、第2電極による電気特性の計測動作に影響を与えることなく、第2空間に収容された液体の特性の計測動作を実行することができる。第1空間と第2空間とは通路を介して接続されているので、同じ液体を用いて、第1空間における計測動作と第2空間における計測動作とのそれぞれを実行することができる。また、第1空間に配置された第1、第2電極による電気特性の計測動作に影響を与えることなく、第2空間における種々の処理を実行することができる。
【0011】
上記態様の計測装置において、前記第2空間に配置され、前記第2空間の液体の温度を検出する検出装置を備えた構成を採用することができる。
【0012】
これによれば、第1空間に配置された第1、第2電極による電気特性の計測動作に影響を与えることなく、第2空間に収容された液体の温度を検出することができる。
【0013】
上記態様の計測装置において、前記第2電極の少なくとも一部は前記第2空間に配置され、前記第2空間に配置された前記第2電極と前記通電装置とを接続するように前記第2空間に配置された導電性部材を備えた構成を採用することができる。
【0014】
これによれば、第1空間に配置された第1、第2電極による電気特性の計測動作に影響を与えることなく、導電性部材を介して第2電極と通電装置とを電気的に接続することができる。
【0015】
上記態様の計測装置において、前記第1空間を形成する第1部材は筒状の部材であり、前記第2部材は、前記第1部材を囲む筒状の部材であって、前記第1部材との間に前記第2空間を形成する構成を採用することができる。
【0016】
これによれば、コンパクト化を実現でき、第1空間と第2空間とを通路を介して円滑に接続可能である。
【0017】
上記態様の計測装置において、前記第1部材及び前記第2部材は絶縁性材料で形成されている構成を採用することができる。
【0018】
これによれば、第1空間の液体の電気特性の計測、及び第2空間における各種計測、処理等を精度良く実行することができる。
【0019】
上記態様の計測装置において、前記液体の温度を調整可能な温度調整装置を備えた構成を採用することができる。
【0020】
これによれば、種々の温度条件における液体の電気特性に関する情報を取得することができる。
【0021】
上記態様の計測装置において、前記液体は、白金族類元素を含む溶融ガラスである構成を採用することができる。
【0022】
これによれば、高レベル放射性模擬廃液及びガラス原料を溶融した溶融ガラスの電気特性を把握することができ、その把握した液体の電気特性を用いて、ガラス溶融炉の運転条件を最適化することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、導電性材料を含む液体の電気特性を良好に計測することができる。したがって、その液体を用いた処理を良好に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0025】
図1は、本実施形態に係る計測装置1を示す側断面図、図2は、図1の一部を拡大した図である。計測装置1は、導電性材料を含む液体LQの電気特性を計測する。図1及び図2において、計測装置1は、液体LQが収容される容器2と、容器2を収容可能な炉3とを備えている。
【0026】
容器2は、底板部材4と、液体LQが収容される第1空間5を形成する第1部材6と、第1空間5とは別の第2空間7を形成する第2部材8とを備えている。第1空間5を形成する第1部材6は筒状の部材である。第2部材8は、第1部材6を囲む筒状の部材であって、第1部材6との間に第2空間7を形成する。すなわち、本実施形態においては、容器2は、二重管構造を有する。
【0027】
本実施形態においては、第1部材6は、底板部材4との間で第1空間5を形成する。すなわち、本実施形態においては、第1空間5は、第1部材6と底板部材4とで形成される空間である。また、本実施形態においては、第2部材8は、底板部材4及び第1部材6との間で第2空間7を形成する。すなわち、本実施形態においては、第2空間7は、第1部材6と第2部材8と底板部材4とで形成される空間である。
【0028】
第1空間5の+Z側の端は開口しており、第2空間7の+Z側の端も開口している。以下の説明において、第1空間5の+Z側の端の開口を適宜、第1開口5K、と称し、第2空間7の+Z側の端の開口を適宜、第2開口7K、と称する。
【0029】
本実施形態においては、第1部材6によって形成される第1空間5のXY平面内における形状は、ほぼ円形状である。第2部材8と第1部材6とによって形成される第2空間7のXY平面内における形状は、ほぼ円環状である。すなわち、本実施形態においては、第1部材6及び第2部材8のそれぞれは、円筒状の部材である。
【0030】
容器2は、第1空間5と第2空間7とを接続するように形成され、液体LQを流通可能な通路9を備えている。第1部材6の下端の一部には、+Z側に切り欠かれた凹部が形成されており、通路9は、その凹部と底板部材4との間に形成されている。通路9は、第1空間5の下端と第2空間7の下端とを接続するように形成されている。
【0031】
通路9によって、第1空間5の液体LQの界面(表面)の位置と、第2空間7の液体LQの界面(表面)の位置とを、ほぼ等しくすることができる。
【0032】
第1部材6、第2部材8、及び底板部材4を含む容器2は、絶縁性材料で形成されている。また、容器2は、耐熱性を有する耐熱性材料で形成されている。すなわち、本実施形態においては、第1部材6、第2部材8、及び底板部材4を含む容器2は、絶縁性及び耐熱性を有する材料によって形成されている。本実施形態においては、容器2は、高純度のアルミナ(例えば材質記号SSA−Sのアルミナ)によって形成されている。
【0033】
また、計測装置1は、Z軸方向における第1空間5の第1の位置に、液体LQと接触するように配置された第1面10Aを有する第1電極10と、Z軸方向における第1空間5の第1の位置よりも下方の第2の位置に、第1面10Aと対向し、液体LQと接触するように配置された第2面11Aを有する第2電極11と、第1電極10と第2電極11との間に電流を流す電源装置12と、電源装置12の通電状態に基づいて、液体LQの電気特性を求める処理装置を含む制御装置13とを備えている。制御装置(処理装置)13は、例えばCPU等を備えており、所定の演算処理、各種情報処理等を実行可能である。電源装置12は、第1電極10と第2電極11との間に電流を流すことができ、制御装置13に制御される。また、制御装置13には、計測に関する各種情報を記憶可能な記憶装置14が接続されている。
【0034】
本実施形態においては、第1電極10は、円板状の部材であり、第1面10AとXY平面とがほぼ平行となるように、第1空間5に配置される。また、第1電極10は、その第1面10AがZ軸方向における第1の位置に配置されるように、第1空間5に配置される。第1電極10の第1面10Aは、−Z方向を向くように第1空間5に配置される。
【0035】
上述のように、本実施形態においては、第1部材6によって形成される第1空間5のXY平面内における形状はほぼ円形状であり、第1部材6の内径は、第1電極10(第1面10A)の外径よりも僅かに大きい。したがって、第1空間5に第1電極10を配置したとき、第1部材6と第1電極10との間には、所定のギャップが形成される。また、第1電極10は、第1空間5をZ軸方向(上下方向)に移動可能である。
【0036】
第2電極11は、例えば矩形状の板状の部材であり、第2面11AとXY平面とがほぼ平行となるように、その少なくとも一部が第1空間5に配置される。また、第2電極11は、その第2面11AがZ軸方向における第1の位置よりも下方(−Z方向)の第2の位置に配置されるように、第1空間5に配置される。第2電極11の第2面11Aは、+Z方向を向くように第1空間5に配置される。第1空間5において、第1電極10の第1面10Aと第2電極11の第2面11Aとは対向している。
【0037】
第2電極11の第2面11Aは、第1部材6の内径よりも大きく、第1空間5の下端のほぼ全域に配置される。また、第2電極11の第2面11Aは、第1部材6の外径よりも大きく、第2電極11の少なくとも一部は、第2空間7に配置されている。すなわち、本実施形態においては、第2電極11の一部は第1部材6の外側にはみ出しており、第2空間7における底板部材4上の一部の領域に配置される。
【0038】
本実施形態においては、第1電極10及び第2電極11のそれぞれは、白金で形成されている。
【0039】
第1電極10は、導電性部材15によって、電源装置12と電気的に接続されている。導電性部材15は、第1電極10と接続された棒状の部材(ロッド部材)15Aと、ロッド部材15Aと電源装置12とを接続する配線(リード線)15Bとを含む。
【0040】
第2空間7には、その第2空間7に配置された第2電極11と電源装置12とを接続するように、導電性部材16の少なくとも一部が配置されている。第2電極11は、導電性部材16によって、電源装置12と電気的に接続されている。導電性部材16は、第2空間7の第2電極11と接続された棒状の部材(ロッド部材)16Aと、ロッド部材16Aと電源装置12とを接続する配線(リード線)16Bとを含む。ロッド部材16Aの少なくとも一部は、第2空間7の液体LQに浸かっている。
【0041】
本実施形態においては、液体LQと接触するロッド部材15A、16Aは、クロム、鉄、珪素等を含むニッケル合金(例えばインコネル)で形成されている。
【0042】
一例として、本実施形態においては、第1部材6は、内径11mm、外径16mm、高さ120mmを有する。第2部材8は、内径32mm、外径37mm、高さ120mmを有する。第1電極10は、直径10mm、厚さ0.3mmを有する。第2電極11は、15mm×20mmの大きさを有する。液体LQは、その界面(表面)と第2電極11の第2面11Aとの距離(高さ)が少なくとも60mmとなるように、第1空間5及び第2空間7に収容される。
【0043】
また、第1電極10に接続されるロッド部材15A、及び第2電極11に接続されるロッド部材16Aは、長さ500mmを有する。また、第1電極10の第1面10Aが配置される第1の位置は、第2電極11の第2面11Aが配置される第2の位置を基準位置として、+Z方向に50mmの位置に配置される。すなわち、Z軸方向に関する第1面10Aと第2面11Aと距離は、50mmである。
【0044】
また、計測装置1は、容器2の液体LQの温度を調整可能な温度調整装置17と、第2空間7に配置され、第2空間7の液体LQの温度を検出する温度検出装置18とを備えている。
【0045】
温度調整装置17は、容器2と離れた位置で、容器2を囲むように配置されている。本実施形態においては、温度調整装置17の少なくとも一部は、炉3の内側に配置されている。温度調整装置17は、第1空間5及び第2空間7の液体LQを加熱可能な加熱装置を含み、容器2を外側から加熱することによって、その容器2内の液体LQを加熱可能である。
【0046】
温度検出装置18は、第2空間7の液体LQの温度を検出するものであって、熱電対を含み、その少なくとも一部は、第2空間7に配置されている。本実施形態においては、温度検出装置18は、液体LQの温度を検出可能な複数の検出部(プローブ)を有し、それらプローブは、第2空間7の液体LQに接触するように配置されている。
【0047】
本実施形態においては、温度検出装置18は、2つのプローブ18A、18Bを有し、Z軸方向における第2空間7の第3の位置に、液体LQと接触するように配置された第1プローブ18Aと、Z軸方向における第2空間7の第3の位置よりも下方の第4の位置に、液体LQと接触するように配置された第2プローブ18Bとを有する。第1プローブ18Aは、第1支持部材18Cに支持されており、第2空間7の第3の位置近傍の液体LQの温度を検出可能である。第2プローブ18Bは、第2支持部材18Dに支持されており、第2空間7の第4の位置近傍の液体LQの温度を検出可能である。
【0048】
本実施形態においては、第1プローブ18Aが配置される第3の位置は、第1電極10の第1面10Aが配置される第1の位置とほぼ同じである。すなわち、第1プローブ18Aは、Z軸方向に関して、第1電極10の第1面10Aとほぼ同じ位置に配置されている。また、第2プローブ18Bが配置される第4の位置は、第2電極11の第2面11Aが配置される第2の位置とほぼ同じである。すなわち、第2プローブ18Bは、Z軸方向に関して、第2電極11の第2面11Aとほぼ同じ位置に配置されている。すなわち、Z軸方向に関する第1プローブ18Aと第2プローブ18Bと距離は、50mmである。
【0049】
温度検出装置18の検出結果は、制御装置13に出力される。制御装置13は、温度検出装置18の検出結果に基づいて、加熱装置を含む温度調整装置17を制御して、第1空間5及び第2空間7の液体LQを所望の温度に調整可能である。
【0050】
また、上述のように、第1空間5と第2空間7とは通路9を介して接続されており、第1空間5の液体LQと第2空間7の液体LQとはほぼ同じ温度を有する。したがって、制御装置13は、温度検出装置18を用いて第2空間7の液体LQの温度を検出することによって、第1空間5の液体LQの温度を求めることができる。
【0051】
次に、上述の構成を有する計測装置1を用いて液体LQの電気特性を計測する動作について説明する。本実施形態においては、計測装置1が、例えば特開2002−071891号公報に開示されているような、ガラス溶融炉によって生成される高レベル放射性模擬廃液及びガラス原料を含む溶融ガラスの電気特性を計測する場合を例にして説明する。すなわち、本実施形態においては、計測装置1の計測対象となる導電性材料を含む液体LQは、溶融ガラスである。後述するように、溶融ガラス(液体LQ)は、導電性材料として、白金族類元素(Ru、Pd、Rh)を含む。
【0052】
高レベル放射性模擬廃液は、ガラス溶融炉においてガラス材料と一緒に溶融され、溶融ガラス(液体LQ)となる。ガラス溶融炉の運転条件等によっては、ガラス溶融炉の内部において溶融ガラス中の金属成分が析出し、そのガラス溶融炉の内部に堆積する可能性がある。ガラス溶融炉は、そのガラス溶融炉の内部に設けられた電極間に電流を流し、発生した熱(ジュール熱)によって、高レベル放射性模擬廃液及びガラス原料を溶融する。ガラス溶融炉の内部に金属成分が析出したり堆積したりすると、その金属成分が短絡等を引き起こし、円滑な溶融処理を妨げる可能性がある。そのような不具合の発生を抑制するため、溶融ガラスの特性を把握し、溶融ガラスに応じてガラス溶融炉の運転条件の最適化を図る必要がある。
【0053】
ガラス溶融炉の運転条件を最適化する手法の1つとして、コンピュータを用いたシミュレーション実験が挙げられる。シミュレーションを用いてガラス溶融炉の内部の状態(溶融ガラスの状態)等を現出させることによって、ガラス溶融炉の運転条件等を安価に且つ迅速に最適化することができる。
【0054】
熱解析、流体解析、電場解析等、種々の解析処理を含むシミュレーション実験を実行する場合、実際の溶融ガラスに基づく各種パラメータ(シミュレーションパラメータ)が必要となる。そのシミュレーションパラメータの1つとして、溶融ガラスの導電率が挙げられる。
【0055】
溶融ガラスに含まれる導電性材料(金属成分)として、白金族類元素(Ru、Pd、Rh)、鉄、ニッケル等が挙げられる。ここで、実際に溶融ガラスに含まれる鉄、ニッケル等、白金族類元素以外の金属の量(濃度)は、ほぼ一定であると考えられる。したがって、シミュレーションを行うに際し、鉄、ニッケル等の白金族類元素以外の金属の量は一定値とみなすことができる。
【0056】
一方、溶融ガラスに含まれる白金族類元素の量(濃度)は、例えばガラス溶融炉の運転条件によって白金族類元素の析出状態が変わり、局所的に変化する。したがって、溶融ガラスの導電率は、主に、その溶融ガラスに含まれる白金族類元素の量(濃度)、及び溶融ガラスの温度に応じて変化すると考えられる。
【0057】
そこで、本実施形態においては、溶融ガラスに含まれる白金族類元素の量(濃度)、及び溶融ガラスの温度を変えつつ、計測装置1を用いて、溶融ガラスの導電率に関する情報(データ)を取得する。シミュレーションパラメータとして、白金族類元素の量(濃度)、温度等に応じた、溶融ガラスの導電率に関する情報を取得することによって、実際の溶融ガラスの状態に応じたシミュレーションを実行できる。
【0058】
以下、計測装置1が、シミュレーションパラメータの1つである溶融ガラスの導電率を求める場合を例にして、図3を参照しながら説明する。なお、図3の横軸は計測処理を開始してからの経過時間、縦軸は計測装置1における溶融ガラスの温度である。
【0059】
計測装置1を用いた計測処理のために、実際のガラス溶融炉から溶融ガラスがサンプルとして取得される。このサンプルは、所定量(所定濃度)の白金族類元素を含む溶融ガラスである。取得したサンプルは固体状態で計測装置1に送られる。
【0060】
固体状態のサンプルは、ミル等で粉末状にされる。そして、粉末状のサンプルが、容器2に投入される。なお、本実施形態においては、サンプルを容器2に投入する前において、第1電極10及びその第1電極10に接続されているロッド部材15Aは、容器2の外側に外されている。
【0061】
サンプルが容器2に投入された後、制御装置13は、温度調整装置17を用いて、容器2内のサンプルを加熱する。本実施形態においては、図3に示すように、サンプルを1時間かけて約500℃まで加熱し、その後、約500℃の状態を1時間維持する。その後、制御装置13は、温度調整装置17を用いて、容器2内のサンプルを更に加熱し、溶融する。これにより、容器2内のサンプルは、液体状態となる。液体状態となった溶融ガラス(液体LQ)は、図1、図2等に示したように、第1空間5及び第2空間7のそれぞれに所定量満たされる。通路9が形成されているので、第1空間5の溶融ガラスの界面(表面)と第2空間7の溶融ガラスの界面(表面)とは、ほぼ同じ高さとなる。
【0062】
本実施形態においては、計測装置1は、溶融ガラスを、目標温度として約1250℃まで加熱する。その加熱の途中の温度で(例えば約1100℃で)、第1電極10がロッド部材15Aとともに、第1開口5Kを介して溶融ガラスが存在している第1空間5に挿入される。第1電極10は、少なくとも第1面10Aが第1空間5の溶融ガラスと接触するように、第1空間5に配置される。本実施形態においては、図1、図2に示したように、第1電極10は、その全てが溶融ガラスに浸かるように、第1空間5に配置される。第1電極10の第1面10Aが第1の位置に配置された後、第1電極10及びロッド部材15A等は、不図示の支持機構で支持される。
【0063】
本実施形態においては、第1電極10のXY平面内における大きさは第1空間5のXY平面内における大きさよりも小さく、第1空間5は通路9を介して第2空間7に接続されているので、第1電極10を第1空間5の溶融ガラスに浸ける際、溶融ガラスが溢れ出る等の不具合の発生を抑制することができる。
【0064】
また、第2電極11は、第2面11Aが第2の位置に配置されるように底板部材4に予め取り付けられており、少なくとも第2面11Aは、第1空間5及び第2空間7の溶融ガラスと接触する。また、溶融ガラスが約1100℃になったときに、ロッド部材16Aが第2開口7Kを介して第2空間7に挿入される。これにより、第2空間7に配置されている第2電極7はロッド部材16Aと接触する。
【0065】
また、第2空間7において、温度検出装置18の第1、第2プローブ18A、18Bが、第3、第4の位置に配置される。また、制御装置13は、温度検出装置18の検出結果に基づいて、温度調整装置17を用いて、容器2内の溶融ガラスの温度を調整する。制御装置13は、温度検出装置18の検出結果をモニタしつつ、目標温度(1250℃)に応じて、温度調整装置17を制御する。制御装置13は、第1プローブ18Aの検出結果と第2プローブ18Bの検出結果との平均値が目標温度に対して所定範囲内に達するとともに、第1プローブ18Aの検出結果と第2プローブ18Bの検出結果との差が所定値以下(例えば±5℃以下)になった時点で、溶融ガラスの導電率の計測処理を開始する。
【0066】
第1電極10の第1面10Aが溶融ガラスと接触するように第1の位置に配置されるとともに、第2電極11の第2面11Aが溶融ガラスと接触するように第2の位置に配置され、溶融ガラスが目標温度(1250℃)とほぼ同じ温度に調整された後、制御装置13は、電源装置12を用いて、第1電極10と第2電極11との間に電流を流す。制御装置13は、電源装置12の交流電源の周波数を所定の値にセットし、数10〜数100mAの電流を第1電極10と第2電極11との間に与える。
【0067】
電源装置12は、第1電極10と第2電極11との間の通電状態、具体的には、第1電極10と第2電極11との間の電気抵抗を測定可能である。本実施形態においては、電源装置12は、印加した電圧値及び電流値のそれぞれを測定可能であり、それら測定した電圧値及び電流値の測定結果より、第1電極10と第2電極11との間の電気抵抗を導出する。導出した電気抵抗に関する情報は、制御装置13に出力される。
【0068】
また、第1電極10の第1面10Aが配置された第1の位置(基準位置である第2の位置より+Z方向に50mmの位置)は、所定の測定装置(スケール等)、あるいは位置センサを用いて計測可能である。また、第2電極11の第2面11Aが配置された第2の位置(基準位置)は、例えば設計値上既知である。したがって、Z軸方向における第1面10Aと第2面11Aとの距離を導出することができる。
【0069】
また、第1空間5における第1電極10の第1面10Aの大きさ、及び第1空間5における第2電極11の第2面11Aの大きさは、例えば設計値上既知である。
【0070】
制御装置13は、電源装置12による通電状態の測定結果より第1電極10と第2電極11との間の電気抵抗を導出するとともに、その導出した電気抵抗、第1面10A及び第2面11Aの大きさ、及び第1面10Aと第2面11Aとの距離に基づいて、溶融ガラスの導電率を導出することができる。すなわち、導電率=(第1、第2電極間の距離)/(電気抵抗×第1、第2面の面積)の関係より求めることができる。導出された導電率に関するデータは、記憶装置14に記憶される。
【0071】
なお、上述のように、本実施形態においては、第1部材6の内径は11mmであり、第1電極10の直径は10mmであり、第1電極10と第2電極11との距離、及び第1面10A及び第2面11Aの大きさ等によっては、電流が第1空間5の溶融ガラス中を均一に流れない可能性がある。すなわち、例えば第1電極10と第2電極11との距離が短いと、第1電極10と第2電極11との間で電流が円滑に流れない可能性がある。そこで、本実施形態においては、第1電極10と第2電極11との間で電流が円滑に流れるように(具体的には、電流が流れる領域が直径11mmの領域であると見なせる程度に)、数値解析(電場解析)により、第1電極10と第2電極11との距離を50mmと定めた。
【0072】
また、第1、第2電極10、11を用いて溶融ガラスの導電率を計測しているときの溶融ガラスの温度は、温度検出装置18によって計測される。温度検出装置18は、第3の位置(基準位置より+Z方向に50mmの位置)に配置されている第1プローブ18A、及び第4の位置(基準位置)に配置されている第2プローブ18Bを用いて、それら第3の位置、及び第4の位置近傍の溶融ガラスの温度を検出する。
【0073】
本実施形態においては、1つのサンプルについて、異なる温度のそれぞれにおける導電率に関するデータを取得する。すなわち、温度調整装置17を用いて、例えば1250℃を基準として、100℃ずつ温度を変えつつ(低下しつつ)、それぞれの温度における溶融ガラスの導電率に関するデータを取得する。
【0074】
制御装置13は、温度検出装置18の検出結果をモニタしつつ、温度調整装置17を制御する。制御装置13は、溶融ガラスの温度を、例えば1250℃から1150℃に低下した場合、第1プローブ18Aの検出結果と第2プローブ18Bの検出結果とのの平均値が目標温度(1150℃)に対して所定範囲内に達するとともに、第1プローブ18Aの検出結果と第2プローブ18Bの検出結果との差が所定値以下(例えば±5℃以下)になった時点で、上述と同様の計測処理を実行する。
【0075】
そして、制御装置13は、溶融ガラスの温度を1250℃から100℃ずつ低下させていき、それぞれの温度において計測処理を行う。そして、制御装置13は、750℃における計測処理を終了した後、温度調整装置17を用いて、溶融ガラスを1100℃程度まで加熱し、溶融ガラスの粘度が十分に下がった時点で、第1電極10、第2電極に接続されているロッド部材16、及び温度検出装置18のそれぞれを、容器2から取り出す。
【0076】
そして、上述の計測処理を、白金族類元素の量(濃度)がそれぞれ異なる複数のサンプルについて同様に行う。これにより、シミュレーションに用いるパラメータを取得することができる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態においては、第1電極10と第2電極11とを鉛直方向に沿うように配置し、それら第1電極10の第1面10A及び第2電極11の第2面11Aのそれぞれを、溶融ガラス(液体LQ)と接触するように配置したので、例えば計測中に、液体LQ中に導電性材料の一部が析出するような状況が生じた場合でも、その第1電極10と第2電極11とを用いて、溶融ガラスの電気特性を良好に取得することができる。
【0078】
すなわち、上述のように、溶融ガラスに含まれる金属成分のうち、主に白金族類元素の量が変化するため、ガラス溶融炉の運転条件等に応じて、ガラス溶融炉の内部に析出又は堆積する金属成分は、主に白金族類元素であると考えられる。そして、計測装置1を用いた計測中においても、白金族類元素を主成分とする金属成分が容器2に析出又は堆積する可能性がある。
【0079】
溶融ガラスに含まれている各種導電性材料(金属成分)のうち、特に、白金族類元素は、高温中でクラスター化して大きくなり、ガラス溶融炉においては、底部等に堆積したり、析出する可能性が高い。また、計測装置1においては、溶融ガラス中の白金族類元素は、容器2の底部に堆積したり、溶融ガラスの界面(自由界面、表面)に析出する可能性が高い。
【0080】
図4(A)は、比較例としての計測装置を示す図である。図4(A)に示すように、溶融ガラスが収容された第1空間5’に、2つの電極10’、11’を水平方向において対向するように配置し、それら電極10’、11’間に通電することによって溶融ガラスの導電率を計測する場合について考える。このような構成において、溶融ガラス中の白金族類元素が第1空間5’の底部に堆積したり、溶融ガラスの界面(表面)に析出した場合、電流は溶融ガラス中を均一に流れず、白金族類元素による析出物(堆積物)によって短絡する可能性が高い。この場合、2つの電極10’、11’間の電気抵抗を正確に計測できない可能性が高い。
【0081】
また、溶融ガラスの導電率を求めるためには、電極10’、11’の表面のうち、溶融ガラスと接触する部分の面積(通電部分の面積)を求める必要がある。図4(A)の構成では、電極10’、11’の表面の一部が、溶融ガラスの界面と接触している。溶融ガラスの界面は、例えば波打つ等して、その液位(表面の高さ)を一定に保つことが困難である。したがって、電極10’、11’の表面のうち、溶融ガラスと接触する部分の面積を正確に求めることが困難である。
【0082】
図4(B)は、本実施形態に係る計測装置1を模式的に示した図である。図4(B)に示すように、溶融ガラスが収容される第1空間5のZ軸方向における第1の位置に、溶融ガラスと接触するように第1電極10の第1面10Aを配置するとともに、第1空間5のZ軸方向における第1の位置よりも下方の第2の位置に、第1面10Aと対向し、溶融ガラスと接触するように第2電極11の第2面11Aを配置することによって、溶融ガラスと接触する第1、第2電極10、11の面積は、第1、第2面10A、11Aの面積によって規定され、常に一定となる。したがって、第1、第2電極10、11間で電流が流れる領域が良好に規定されるとともに、白金族類元素の析出物による第1、第2電極10、11間の電流の短絡の発生を抑制することができ、溶融ガラス(液体LQ)の導電率を精度良く計測できる。
【0083】
また、本実施形態においては、第1空間5と第2空間7とを接続する通路9を設けたので、第1空間5に配置された第1、第2電極10、11による導電率の計測動作に影響を与えることなく、第2空間7に収容された溶融ガラスの温度の計測動作等を実行することができる。また、第2空間7における温度の計測動作等の計測精度を向上することもできる。また、本実施形態においては、第1空間5と第2空間7とは通路9を介して接続されているので、同じ溶融ガラスを用いて、第1空間5における導電率の計測動作と第2空間7における温度の計測動作等とのそれぞれを実行することができる。また、第1空間5に配置された第1、第2電極10、11による導電率の計測動作に影響を与えることなく(第1空間5における処理を阻害することなく)、第2空間7における種々の処理を実行することができる。
【0084】
また、本実施形態においては、第2電極11の少なくとも一部は第2空間7に配置され、電源装置12と第2電極11とを接続する導電性部材16は、第2空間7に配置されているので、例えば導電性部材16と第1電極10との接触(短絡)を防止でき、第1空間5に配置された第1、第2電極10、11による導電率の計測動作に影響を与えることなく、導電性部材16を介して第2電極11と電源装置12とを電気的に接続することができる。
【0085】
また、本実施形態においては、第1空間5を第1部材6で形成し、第2空間7を、第1部材6を囲むように配置された第2部材8と第1部材6との間に形成しており、第1、第2空間5、7をコンパクト化できる。したがって、第1、第2空間5、7に満たされる溶融ガラスは少量で済む。したがって、図3を参照して説明したように、溶融ガラスの温度を変えつつ、導電率データを取得する際、第1、第2空間5、7の溶融ガラスの温度を目標温度に素早く調整することができる。また、第1、第2空間5、7に満たされる溶融ガラスが少量で済むので、第1、第2空間5、7の溶融ガラスの温度均一性を良好に維持することができる。溶融ガラスの温度勾配が生じたり、溶融ガラスの対流が生じたりすると、導電率を精度良く計測できなくなる可能性があるが、本実施形態においては、そのような不具合を抑制できる。
【0086】
なお、上述の実施形態においては、第1空間5に第1、第2電極10、11が配置され、第2空間7に、温度検出装置18、ロッド部材16A等が配置されているが、第2空間7に第1、第2電極10、11を配置し、第1空間7に、温度検出装置18、ロッド部材16A等を配置して、第2空間7で溶融ガラスの導電率を計測するようにしてもよい。
【0087】
なお、上述の実施形態においては、第1空間5のXY平面内における形状はほぼ円形状であったが、矩形状でもよい。同様に、上述の実施形態においては、第2空間7のXY平面内における形状はほぼ円環状であったが、矩形の環状でもよい。
【0088】
なお、上述の実施形態においては、第2電極11の一部が第2空間7に配置されており、導電性部材16は、液体LQと接触するように第2空間7に配置されているが、例えば、底板部材4の一部に開口を形成し、底板部材4の外側(−Z側)から、その開口に導電性部材を挿入し、底板部材4の+Z側に配置されている第2電極11と接続するようにしてもよい。こうすることにより、導電性材料が液体LQに浸かる部分を少なくする、あるいは無くすことができる。この場合、導電性部材と開口との間に隙間が形成される場合には、その隙間に、アロンセラミック等を流し込んで、固めるようにしてもよい。
【0089】
なお、上述の実施形態においては、第1空間5に配置された第1、第2電極10、11による電気特性の計測動作に影響を与えずに、高い検出精度で温度検出装置18による検出動作を実行するために、温度検出装置18は第1空間5とは別の第2空間7に配置されているが、溶融ガラスの温度検出精度がある程度低くても許容されるならば、温度検出装置18を配置するための第2空間7を設けないようにしてもよい(二重管構造にしなくてもよい)。この場合、容器2と炉3との間に温度検出装置を設けることによって、制御装置13は、その温度検出装置の検出結果に基づいて、容器2の溶融ガラスを所望の温度にするために、温度調整装置17を制御することができる。
【0090】
なお、第1部材6をU字管状にし、U字管状の第1部材6の上端に第1電極を配置し、第1部材6の下端に第2電極を配置するようにしてもよい。
【0091】
なお、上述の実施形態においては、計測装置1が、白金族類元素を含む溶融ガラスの導電率を計測する場合を例にして説明したが、溶融ガラスに限られず、導電性材料を含み、その導電性材料が析出又は堆積する可能性のある液体LQであるならば、本実施形態の計測装置1を用いて、その液体LQの導電率を精度良く円滑に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本実施形態に係る計測装置を示す概略構成図である。
【図2】図1の一部を拡大した図である。
【図3】本実施形態に係る計測方法を説明するための図である。
【図4】本実施形態に係る計測装置の効果を説明するための図であって、図4(A)は比較例を示す模式図、図4(B)は本実施形態に係る計測装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0093】
1…計測装置、2…容器、3…炉、4…底板部材、5…第1空間、6…第1部材、7…第2空間、8…第2部材、9…通路、10…第1電極、10A…第1面、11…第2電極、11A…第2面、12…電源装置、13…制御装置、14…記憶装置、15…導電性部材、16…導電性部材、17…温度調整装置、18…温度検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料を含む液体の電気特性を計測する計測装置であって、
前記液体が収容される第1空間を形成する第1部材と、
鉛直方向における前記第1空間の第1の位置に、前記液体と接触するように配置された第1面を有する第1電極と、
鉛直方向における前記第1空間の前記第1の位置よりも下方の第2の位置に、前記第1面と対向し、前記液体と接触するように配置された第2面を有する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流す通電装置と、
前記通電装置の通電状態に基づいて、前記液体の電気特性を求める処理装置と、を備えた計測装置。
【請求項2】
前記処理装置は、前記通電状態の測定結果より前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗を導出するとともに、前記導出した電気抵抗、前記第1面及び前記第2面の大きさ、及び前記第1面と前記第2面との距離に基づいて、前記液体の導電率を導出する請求項1記載の計測装置。
【請求項3】
前記第1空間とは別の第2空間を形成する第2部材と、
前記第1空間と前記第2空間とを接続するように形成され、前記液体を流通可能な通路とを備えた請求項1又は2記載の計測装置。
【請求項4】
前記第2空間に配置され、前記第2空間の液体の温度を検出する検出装置を備えた請求項3記載の計測装置。
【請求項5】
前記第2電極の少なくとも一部は前記第2空間に配置され、
前記第2空間に配置された前記第2電極と前記通電装置とを接続するように前記第2空間に配置された導電性部材を備えた請求項3又は4記載の計測装置。
【請求項6】
前記第1空間を形成する第1部材は筒状の部材であり、
前記第2部材は、前記第1部材を囲む筒状の部材であって、前記第1部材との間に前記第2空間を形成する請求項3〜5のいずれか一項記載の計測装置。
【請求項7】
前記第1部材及び前記第2部材は絶縁性材料で形成されている請求項3〜6のいずれか一項記載の計測装置。
【請求項8】
前記液体の温度を調整可能な温度調整装置を備えた請求項1〜7のいずれか一項記載の計測装置。
【請求項9】
前記液体は、白金族類元素を含む溶融ガラスである請求項1〜8のいずれか一項記載の計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−175618(P2008−175618A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7978(P2007−7978)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】