説明

電気絶縁油

【課題】本発明は、電気特性、熱安定性に優れ、バランスのとれた電気絶縁油を手軽な方法で経済的に得ようとする。
【解決手段】水素化精製鉱油、合成炭化水素油などを基油として用いた場合、こうした基油には酸化安定性に寄与する不純物の含量が少ない。これらの基油に、ブライトストックを0.5〜10重量%程度含有させることにより、電気絶縁油としての特性向上の為に必要な微量成分が保持されて、引火点(PMCC)130℃以上で、流動点−40℃以下の電気絶縁油を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気絶縁油に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トランス、高圧遮断器、その他の高圧電気機器には電気絶縁油が充填されて使用されているが、これらの電気機器は運転開始後から長期間に渡ってメンテナンスフリーで使用できることが必要であり、長期に安定な諸物性と電気特性を維持することが求められている。
【0003】
また、電気絶縁油は長期間使用すると劣化して油の酸価の上昇やスラッジの発生により耐食性の低下や絶縁性の低下を招くことが知られており、高圧電気機器の超高圧化、大型化、長寿命化に伴い電気絶縁油の安定性がより重要となっている。
【0004】
IEC(International Electrotechnical Commission)は、トランスや高圧遮断器、その他電気機器に充填される電気絶縁油の所要性能について規定し、長期間実用に耐える鉱油系絶縁油に必要な性能を、IEC296やIEC60296として規格化している。
【0005】
一方、鉱油精製技術の進歩に伴って水素化精製法が普及し、多環芳香族、不飽和分、窒素分や硫黄分が充分に除かれた油が得られるようになってきた。当初、電気絶縁油中には、窒素分や硫黄分が含まれない方が良いという考えもあったが、その後、これらの成分がある程度含まれている方が、酸化安定性やその他の点から電気絶縁油としては好ましいと考えられるようになってきた。こうした中にあって、電気絶縁油中のレジン含有量を少なくすると共に、スルフィド型硫黄分や全窒素分を微量存在させることにより油の安定性を高めて、帯電度の上昇を抑制しようとするものも提案されている。(特許文献1)
【0006】
原油から、石油精製プロセスで、電気絶縁油に適するような窒素分や硫黄分が適度に含有された状態に精製を行うことは現実には非常に難しい。そこで、現在では高度に精製した精製油に窒素分や硫黄分を含む添加剤などを適宜組み合わせて添加することによって成分を調整する試みがあるが、絶縁油の規格によっては使用できる添加剤に制約があり、また、価格面での問題や製造管理面での煩雑さもある。
【特許文献1】特許第3679272号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電気特性、低温性能、熱酸化安定性及び耐腐食性に優れ、バランスのとれた電気絶縁油を経済的で手軽な方法で得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、高度に水素化精製した鉱油や合成炭化水素油など、不純物含量の少ない低温流動性に優れた炭化水素基油を使用し、これにブライトストックを0.5〜10重量%程度含有させるようにすることによって、電気絶縁油の特性の向上の為に必要な微量成分を保持させようとするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上記のように水素化精製鉱油、合成炭化水素油にブライトストックを少量加えることによって、熱酸化安定性を向上し、IEC296規格やIEC60296規格で電気絶縁油に要求される各種の性能を総合的に満足することができる電気絶縁油を容易かつ経済的に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
水素化精製鉱油は、鉱油を水素化することによって精製したもので、水素化精製ナフテン系鉱油や、水素化精製パラフィン系鉱油などを使用することができる。
この鉱油の水素化精製によって、多環芳香族物質や不飽和成分、硫黄化合物、窒素化合物、が取除かれている。水素化精製ナフテン系鉱油は水素化精製パラフィン系鉱油に比較して、低温流動性は良好であるが、酸化防止性が低く、逆に水素化精製パラフィン系鉱油は水素化精製ナフテン系鉱油に比較して低温流動性は悪いが、熱酸化安定性(酸化防止性)に優れている。
【0011】
また、合成炭化水素油には、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンその他のイソパラフィン系の合成炭化水素油、下記の表1のAPI(American Petroleum Institute)基油分類においてグループIVに該当する合成炭化水素油のポリ−α−オレフィン(PAO)があり、他には、例えばXHVIを製造するものとして特公昭60−7679号記載の方法や特許第36551951号記載のGTL(Gas To Liquid)があり、これらを好適に使用することができる。
【0012】
上記水素化精製鉱油、合成炭化水素油は、単独で用いることもできるが、複数のものを適宜に組合わせることによって、流動点や熱酸化安定性などを最適に調整することができる。
例えば、ブライトストックの動粘度が水素化精製鉱油や合成炭化水素油と比較して相対的に高いことから、水素化精製鉱油や合成炭化水素油を単独で用いる場合には、自ずと40℃の動粘度が16mm/s以下、好ましくは12mm/s以下であることが要求される。
一方、混合使用する場合には、水素化精製鉱油及び/または合成炭化水素油のそれぞれの動粘度は8.0〜24.0mm/sであるものが好ましく、8.0〜20.0mm/sであるものがより好ましい。そして、それらを適宜組合わせて電気絶縁油に最適な性状(動粘度、流動点など)を得ることができる。
最終的には、電気絶縁油製品として、40℃の動粘度は8.0〜12.0mm/sであることが要求される。
【0013】
【表1】

【0014】
上記水素化精製鉱油、合成炭化水素油に加えられるブライトストックは、パラフィン系鉱油を常圧蒸留したときに得られる常圧残油を、さらに減圧蒸留し、その減圧残渣油を脱瀝、溶剤抽出、溶剤脱ロウ処理を行って得られるものである。
本発明に用いるブライトストックは、全硫黄分が0.4〜2.0重量%の範囲にあり、メルカプタン硫黄が100重量ppm以下、サルファイド硫黄が0.5重量%以下、全窒素分が100〜500重量ppmの範囲で、塩基性窒素分が300重量ppm以下、全極性分(IP368)が30〜70重量%のAPI基油分類のグループIに属する基油であることが好ましい。
【0015】
このブライトストック中には、蒸留や溶剤抽出過程で各種の硫黄化合物、窒素化合物が濃縮され、これを0.5〜10重量%程度、好ましくは0.5〜8.0重量%程度使用することにより、電気絶縁油中に上記硫黄分、窒素分が適当量配合されることとなり、熱酸化安定性を著しく向上させることができる。上記メルカプタン硫黄、サルファイド硫黄が多くなりすぎると腐食性が高くなり好ましくない。また、塩基性窒素分が300重量ppmを超えると酸化安定性の向上作用が低下することがある。
【0016】
本発明の電気絶縁油は、流動点が−40℃以下で、40℃における動粘度が8.0〜16.0mm/sの範囲内にあるようにするのがよく、好ましくは8.0〜12.0mm/sがよい。8.0mm/s未満では充分な引火点が得られず、16.0mm/sを超えると変圧器内での絶縁油の循環効率が低下し、冷却効果が不充分となり過熱を引き起こし易くなる。
【0017】
上記水素化精製鉱油、合成炭化水素油にブライトストックを加えることによって、その酸化安定性を、IEC61125A法によって、100℃で168時間保持したときのスラッジの発生量を0.1重量%以下、酸価を0.4mgKOH/g以下とし、IEC296規格のクラスIIに適合する電気絶縁油を得ることができる。
【0018】
また、同様に水素化精製鉱油、合成炭化水素油にブライトストックを加えることによって、その酸化安定性を、IEC61125C法によって、120℃で164時間保持したときのスラッジの発生量を0.8重量%以下、酸価を1.2mgKOH/g以下とし、IEC60296規格のタイプUに適合する電気絶縁油を得ることができる。
【0019】
更に、上記水素化精製鉱油、合成炭化水素油にブライトストックを加え、さらに酸化防止剤を0.08〜0.4重量%加えることにより、その酸化安定性を、IEC61125C法によって、120℃で500時間保持したときのスラッジの発生量を0.8重量%以下、酸価を1.2mgKOH/g以下とすることによって、IEC60296規格のタイプIに適合する電気絶縁油を得ることができる。
【0020】
また、上記と同様にして、上記水素化精製鉱油、合成炭化水素油にブライトストックを加え、さらに酸化防止剤を0.01〜0.08重量%加えることにより、その酸化安定性を、IEC61125C法によって、120℃で332時間保持したときのスラッジの発生量を0.8重量%以下、酸価を1.2mgKOH/g以下とすることによって、IEC60296規格のタイプTに適合する電気絶縁油を得ることができる。
【0021】
これらの酸化防止剤を配合する電気絶縁油に用いられるフェノール系酸化防止剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)
、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル−3−(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が好ましく、これらを単独でまたは二種以上を混合して使用することができる。
【実施例】
【0022】
水素化精製鉱油、鉱油、合成炭化水素油として表2、表3、表4に示す特性を有する基油A〜J、及びブライトストックを用意した。
【0023】
(基油A〜J、ブライトストック)
基油A〜J、ブライトストックの性状は、以下の基準により表2、表3、表4に表記した。
(1)引火点:JIS K 2265(PMCC:ペンスキーマルテンス密閉式、及びCOC:クリーブランド開放式)による。
(2)動粘度(40℃)、動粘度(100℃):ASTM D445による。
(3)流動点:ASTM D97による。
(4)酸価:ASTM D974による。
(5)PCA(PCA content):BS2000P−346による。
【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
上記基油A〜J、ブライトストックを使用して、表5、表6に示す配合により、酸化防止剤を含有しない電気絶縁油である実施例1〜7を作成した。
また、表7に示す配合により、酸化防止剤を含有する電気絶縁油である実施例8〜11を作成した。
また、上記実施例と比較するために、表8〜10に示す配合により比較例1〜15を作成した。
表5〜10に表記されている「白土処理」は、吸着剤として、油分に対して表示量の活性白土を用いて、30〜40℃で15分間の攪拌混合を行ない、圧縮ろ過により油層を分離した。電気絶縁油の脱色、脱臭、脱水、安定性の向上を目的とする絶縁油の一般的精製法で、その処理を行ったことを示している。
【0028】
【表5】

【0029】
【表6】

【0030】
【表7】

【0031】
【表8】

【0032】
【表9】

【0033】
【表10】

【0034】
電気絶縁油の規格値としては、IECの規格値が適用されており、その規格を満足しておれば、広い温度領域で長時間安定した使用が可能とされている。
そこで、上記実施例1、2(酸化防止剤を含有しないもの)について、電気絶縁油としての特性値を測定し、その結果をIEC296規格・クラスIIの規格値と共に表11に表記した。
【0035】
また、上記実施例1、2、6、7(酸化防止剤を含有しないもの)について、電気絶縁油としての特性値を測定し、その結果をIEC60296規格・タイプUの規格値と共に表12に表記した。
【0036】
特性値の測定は、上記基油について記載したもの(1)〜(5)の他、下記によった。
(6)界面張力:ASTM D971によった。
(7)腐食性硫黄:ASTM D1275によった。
(8)水分:ASTM D1533によった。
(9)酸化試験(100℃×168時間):IEC61125A法によった。
(10)酸化試験(120℃×164時間):IEC61125C法によった。
(11)絶縁破壊電圧:ASTM1816(VDE)によった。
【0037】
実施例3〜5(酸化防止剤を含有しないもの)については、密度、上記IEC296規格・クラスIIに基づく酸化安定度(100℃×168時間,IEC61125A法)の特性値を測定し、その結果を表13に表記した。
【0038】
実施例8、9(酸化防止剤を含有するもの)については、電気絶縁油としての特性値を測定し、その結果をIEC60296規格・タイプIの規格値と共に表14に表記した。
特性値の測定は、上記基油、実施例(酸化防止剤を含有しないもの)について記載したもの(1)〜(11)の他、下記によった。
(12)酸化試験(120℃×500時間,IEC61125C法)によった。
【0039】
実施例10、11(酸化防止剤を含有するもの)は、実施例8、9に比べて酸化防止剤の含有量が少ないものであって、これについて電気絶縁油としての特性値を測定し、その結果をIEC60296規格・タイプTの規格値と共に表15に表記した。
特性値の測定は、上記基油、実施例(酸化防止剤を含有しないもの)について記載したもの(1)〜(11)の他、下記によった。
(13)酸化試験(120℃×332時間,IEC61125C法)によった。
【0040】
比較例1〜15については、上記のIEC296規格・クラスIIの基準に基づいて上記酸化安定度(100℃×168時間,IEC61125A法)を測定し、その結果を表16〜18に表記した。
【0041】
(考察)
実施例1〜7の酸化防止剤を含有しない電気絶縁油において重要な特性値と考えられている酸化安定性(IEC酸化試験)において、IEC296規格・クラスIIの規格値(上限値)又はIEC60296規格・タイプUの規格値(上限値)を大幅に下回っており、電気絶縁油として優良であることが判る。
実施例1、2では、IEC296規格におけるIEC61125A法(100℃×168時間)の酸化試験、及びIEC60296規格におけるIEC61125C法(120℃×164時間)の酸化試験において、何れもその規格値(上限値)を大幅に下回っており、特に優良である。
また、実施例1、2、6,7については、40℃及び−30℃における動粘度、流動点、酸価を初め表11、表12に記載の各特性値についても、いずれもIEC296規格・タイプII及び/またはIEC60296規格・タイプUの規格値を満足する好ましい結果が得られている。
【0042】
更に、実施例8、9の酸化防止剤を含有する電気絶縁油において重要な特性値と考えられている酸化安定性について、IEC60296規格・タイプIにおけるIEC61125C法(120℃×500時間)の酸化試験において、何れもその規格値(上限値)を大幅に下回っており、優良な電気絶縁油であることが判る。また、動粘度を初めとする表14に記載のその他の特性値についても、いずれもIEC60296規格・タイプIの規格値を満足する好ましい結果が得られている。
また更に、実施例10、11の酸化防止剤を少量含有する電気絶縁油において、重要な特性値と考えられている酸化安定性について、IEC60296規格・タイプTにおけるIEC61125C法(120℃×332時間)の酸化試験において、何れもその規格値を大幅に下回っており、優良な電気絶縁油であることが判る。また、動粘度を初めとする表15に記載のその他の特性値についても、いずれもIEC60296規格・タイプTの規格値を満足する好ましい結果が得られている。
【0043】
一方、ブライトストックを使用しない比較例1〜15のものでは、上記IEC296規格におけるIEC61125A法(100℃×168時間)の酸化試験において、いずれもIEC296規格・クラスIIの規格値を満たしていない。すなわち、比較例1〜9、15のものは、規格値(上限値)を大幅に越えており、電気絶縁油として不適切であることが判る。また、比較例10〜14のものは、酸価は規格値をみたしているが、スラッジにおいて規格値を満たしておらず、適当な電気絶縁油とは言えないことが判る。
【0044】
【表11】

【0045】
【表12】

【0046】
【表13】

【0047】
【表14】

【0048】
【表15】

【0049】
【表16.17.18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化精製鉱油及び/または合成炭化水素油と、0.5〜10重量%のブライトストックを含有する引火点(PMCC)130℃以上、流動点−40℃以下の電気絶縁油。
【請求項2】
水素化精製鉱油及び/または合成炭化水素油と、0.5〜10重量%のブライトストックを含有する引火点(PMCC)130℃以上、流動点−45℃以下、酸化安定性がIEC(International Electrotechnical Commission)61125A法において100℃×168時間でスラッジ発生量が0.1%以下、酸価が0.4mgKOH/g以下のIEC296規格のクラスIIに適合する電気絶縁油。
【請求項3】
水素化精製鉱油及び/または合成炭化水素油と、0.5〜10重量%のブライトストックを含有する引火点(PMCC)135℃以上、流動点−40℃以下、酸化安定性がIEC61125C法において120℃×164時間でスラッジ発生量が0.8重量%以下、酸価が1.2mgKOH/g以下のIEC60296規格のタイプUに適合する電気絶縁油。
【請求項4】
水素化精製鉱油及び/または合成炭化水素油と、0.5〜10重量%のブライトストックと、フェノール系酸化防止剤を0.0 8〜0.4重量%含有し、引火点(PMCC)が135℃以上、流動点が−40℃以下、酸化安定性がIEC 61125C法において120℃×500時間でスラッジ発生量が0.8重量%以下、酸価が1.2mgKOH/g以下のIEC60296規格のタイプIに適合する電気絶縁油。
【請求項5】
水素化精製鉱油及び/または合成炭化水素油と、0.5〜10重量%のブライトストックと、フェノール系酸化防止剤を0.01〜0.08重量%含有し、引火点(PMCC)が135℃以上、流動点が−40℃以下、酸化安定性がIEC61125C法において120℃×332時間でスラッジ発生量が0.8重量%以下、酸価が1.2mgKOH/g以下のIEC60296規格のタイプTに適合する電気絶縁油。
【請求項6】
上記水素化精製鉱油は、40℃の動粘度が8.0〜24mm2/sである水素化精製ナフテン系鉱油及び/またはAPI基油分類グループII或いはIIIの水素化精製パラフィン系鉱油である請求項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁油。
【請求項7】
上記合成炭化水素油は、40℃の動粘度が8.0〜24mm2/sであるイソパラフィン系合成油、GTL合成油(XHVI)、API基油分類グループIVに属するポリ―α―オレフィン(PAO)のいずれか又はその混合物である請求項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁油。
【請求項8】
上記ブライトストックは、原油を常圧蒸留した残油のパラフィン系鉱油を、減圧蒸留して得られる残渣油を脱瀝、溶剤抽出、溶剤脱ロウ処理をした重質な鉱油基油留分である請求項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁油。

【公開番号】特開2007−220468(P2007−220468A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39407(P2006−39407)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】