説明

電気自動車のブレーキ配管及びパーキングブレーキ配索構造

【課題】車室の床面の平坦性を確保しつつ部材コストをかけずに車体内部にブレーキ管及びパーキングブレーキ索を配置する。
【解決手段】車体底板2の中央にバッテリ収納庫4を車両前後方向に延在させ、当該バッテリ収納庫の上部に車室の平坦な床板5を設けて構成された電気自動車について、左右後輪のブレーキ管10とパーキングブレーキ索11とを、バッテリ収納庫4の両側面下側に設けられたバッテリケース保持及び移送用の溝部43、43に挿入して、左右後輪のブレーキへの配管と、後輪へのパーキングブレーキケーブルの配索を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車におけるブレーキ配管及びパーキングブレーキ配索構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーキ配管を車体下面に配置した場合、路面に晒されていることから、飛び石が当たったり泥水が付着したり、路面から熱の影響を受けたりし易い。
これを避けるため、電気自動車のフロアパネルの下側に設けたバッテリを収納するバッテリフレームの上面に、車両前後方向に向けて部品保護室を突設し、この部品保護室内にブレーキ配管を弾性材ととともに収納して保持した構造のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−344026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の構造のものは、ブレーキ配管を車体内部に配置してあるので前記車体下面に配置した場合のような影響は受けないが、バッテリフレームの上面に部品保護室を突設してあるので、車室の床面をフラットに設けることができず、また、前記弾性材の如きブレーキ配管を保持し防護するための部材の装着が必要であり、部品保護室を構成する枠材も必要となって部材点数が多くなることは避けられない。
【0005】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、車室の床面の平坦性を確保しつつ部材コストをかけずに車体内部にブレーキ管及びパーキングブレーキ索を配置することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は、車体底板の中央にバッテリ収納庫を車両前後方向に延在させ、当該バッテリ収納庫の上部に車室の平坦な床板を設けて構成された電気自動車のブレーキ配管及びパーキングブレーキ配索構造において、左右後輪のブレーキ管とパーキングブレーキ索とを、前記バッテリ収納庫の両側面下側に設けられたバッテリケース保持及び移送用の溝部に挿入して左右後輪のブレーキまで配管とパーキングブレーキ配索を行うことを特徴とする。
【0007】
本発明のブレーキ配管・配索構造は、車室の床板と車体底板との間にバッテリ収納庫を備えた電気自動車に適用され、ブレーキシリンダから導かれる左右後輪のブレーキ管及びパーキングブレーキ索を、バッテリ収納庫の両側面下側に設けられた溝部に挿入して後輪側へと通し、左右後輪のブレーキへの配管と、後輪へのパーキングブレーキケーブルの配索を行うものである。
これによれば、ブレーキ配管及びパーキングブレーキ配索が車体内部に配置してあるので、防護のための部品の装着は不要であり、路面からの飛び石や泥水、熱によるブレーキ管及びパーキングブレーキ索の損傷を避けることができ、また、バッテリ収納庫の両側面下部に設けられた溝部内に挿入することで、車室の床面をフラットに形成することができる。使用する部材点数も少なくて済み、ブレーキ管及びパーキングブレーキ索の取付作業も簡易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のブレーキ配管及びパーキングブレーキ配索構造が適用される一例の電気自動車の車体下部のフレームの構成を示した図である。
【図2】図1の電気自動車の車体下部のフレームの概略横断面図である。
【図3】図1の電気自動車の車体下部のフレームにブレーキ配管及びパーキングブレーキ配索を行った状態の概略拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好適な一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1及び図2は、本発明のブレーキ配管及びパーキングブレーキ配索構造が適用される一例の電気自動車の車体下部のフレームの構成を示している。
【0010】
図示されるように、この電気自動車の車体下部のフレーム1は、車体底板2上の両側に中空構造のフレーム材3、3を配置し、車体中央にバッテリ収納庫4を車両前後方向に延在させ、前記フレーム材3、3及びバッテリ収納庫4の上部に平坦な床板5を配置して、車室6の床面がフラットになるように構成されている。
【0011】
バッテリ収納庫4は、車両の前輪横から後輪近傍に亘る長さを有し、その両側面41、41の下部に車体底板2に重合して固着される脚部42、42を備え、両脚部42、42の上方に前記両側面41、41から内方へ直角に折れて適宜な幅で下方へ折り返されて脚部42、42に連ねてなる溝部43、43を設け、両溝部43、43よりも上方の、両側面41、41及び天面44で区画される空間内に矩形断面形状を呈するバッテリケース7を略一杯に嵌め入れて収納することができるように形成してある。
【0012】
両溝部43、43は、バッテリケース7を保持するとともに当該収納庫内でバッテリケース7をスライド移送させるための部位であり、バッテリケース7は両溝部43、43間に装填された支持蓋8上に載せられてバッテリ収納庫4内に保持される。なお、車体下部のフレーム1のバッテリ収納庫4の左右両側は、コンポーネント収納空間9となっている。
【0013】
而して、本形態のブレーキ配管及びパーキングブレーキ配索構造は、図3に示されるように、バッテリ収納庫4の溝部43、43内に後輪ブレーキの管10、10とパーキングブレーキの索11を挿入して行うように構成したものである。
【0014】
すなわち、ブレーキマスタシリンダから導かれるブレーキ管及びパーキングブレーキ索のうち、左右後輪のブレーキ10及びパーキングブレーキ索11をファイアウォール前の前輪ホイールハウス後端から取り出してバッテリ収納庫4の溝部43、43内にそれぞれ挿入し、バッテリ収納庫4に沿って車体中央部を通し、これを後輪ホイールハウス前端に臨む前記溝部43、43から取り出し、ブレーキホースを介して左右後輪のブレーキに接続した配管と、イコライザ(図示せず)を介して左右後輪のブレーキに接続したパーキングブレーキ配索構造とになっている。
【0015】
本形態のブレーキ配管及びパーキングブレーキ配索構造によれば、ブレーキ管10、パーキングブレーキ索11を防護する部品の装着は不要であり、バッテリ収納庫4の溝部43、43内に挿入することで、車室側に突出する部位は存在せずに床面をフラットに形成することができ、また、ブレーキ管10及びパーキングブレーキ索11の取付作業も簡易に行うことが可能である。
【0016】
なお、図示した電気自動車の車体下部のフレーム構造は、本発明の形態の一例を示すものであり、本発明は図示した形態に限定されない。
【符号の説明】
【0017】
1 車体下部のフレーム、2 車体底板、3 フレーム材、4 バッテリ収納庫、41 側面、42 脚部、43 溝部、44 天面、5 床板、6 車室、7 バッテリケース、8 支持蓋、9 コンポーネント収納空間、10 ブレーキ管、11 パーキングブレーキ索



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体底板の中央にバッテリ収納庫を車両前後方向に延在させ、当該バッテリ収納庫の上部に車室の平坦な床板を設けて構成された電気自動車のブレーキ配管及びパーキングブレーキ配索構造において、
左右後輪のブレーキ管とパーキングブレーキ索とを、前記バッテリ収納庫の両側面下側に設けられたバッテリケース保持及び移送用の溝部に挿入して左右後輪のブレーキまで配管とパーキングブレーキ配索を行うことを特徴とする電気自動車のブレーキ配管及びパーキングブレーキ配索構造。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−201344(P2012−201344A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70792(P2011−70792)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(511073571)株式会社SIM−Drive (8)
【Fターム(参考)】