説明

電気自動車の充電制御システム

【課題】本発明は、コインパーキングや公営駐車場などの電気自動車用の充電装置やコンセントを備えた駐車場において、複数台の電気自動車に充電しようとする場合、充電容量が駐車場の充電可能容量以上になる場合がある。この場合ユーザは、電気自動車への充電も行う目的で駐車場に入ってきたにもかかわらず、先に入って来た電気自動車が、充電完了するか、または、出庫するまで待たなければならない。本発明は、このような未充電状態になるユーザを少なくすることを課題とする。
【解決手段】充電時間、充電容量など一定の基準を設定して、その充電制限内で順番に充電を行うようにして、未充電の電気自動車がないようにする。このように一定の基準で、ある単位量ごとに順番に充電を行うことにより、ユーザに対して、充電容量や走行距離に不公平が起こらないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の充電制御システムに係わり、詳しくは電気自動車用充電駐車場内で、複数台の電気自動車に充電を行う場合の充電制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は、地球温暖化防止のCO2削減のために、今後ますます需要が伸びることが予測される。しかしながら、電気自動車はフル充電した状態でも、走行距離が100〜160Km程度であり、遠出をするには不安が発生する。
【0003】
電気自動車の普及には、ガソリン車で街中を走りガソリンの残量が少なくなってきたら、近くのガソリンスタンドで給油を行うのと同じような感覚で、充電が行える電気自動車用の充電スタンド等の普及が不可欠である。特許文献1には、電気自動車が駐車中に充電することができる電気自動車用の充電装置を備えた駐車場が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−312772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1には、電気自動車用の充電装置を、同時に複数台の電気自動車に対して充電制御を行う方法についての記載はない。電気自動車充電対応システムの駐車場においては、契約電力以上の充電はできないし、また、充電目的で入庫してきても、電気自動車用の充電装置が、既に他の電気自動車の保有ユーザが使用している場合には、充電装置があまっているにもかかわらず電気自動車に充電ができないという問題が発生する。本発明は、駐車目的のほかに、充電も行う目的で駐車場に入ってきた電気自動車に対して、全く充電が行われないという状態をなくすことを課題とする。さらに別の課題は、電気自動車への充電を行う際に、感電等を防ぐようにする充電制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
充電時間、充電容量など一定の基準を設定して、その充電制限内で順番に充電を行うようにして、未充電の電気自動車がないようにする。具体的には、駐車料金集中精算機と複数台の電気自動車用の充電装置を備えた駐車場において、前記電気自動車用の充電装置は、充電可能容量判定手段と、前記充電可能容量に基づき駐車場の契約電力内で充電が可能か判断する手段を備え、充電が可能でない場合は、電気自動車の入庫順に充電予約番号を割付け、単位充電ごとに、予約番号順に充電装置を切替えて充電することを特徴とする。また、充電容量に制限がある場合は、その旨を表示する電光掲示パネルを備えていることを特徴とする。
【0007】
さらに前記充電装置は、充電用コンセントの電源ラインに外部指令で開閉が可能な手段を備え、保護カバー開閉中、且つ充電プラグ接続時には、前記充電用コンセントを電源回路から開放しておき、前記充電プラグ接続完了し保護カバーを閉じた後、外部指令により前記開閉手段を閉じる機能を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、電気自動車用の充電装置が設置してある駐車場において、充電目的も兼ねて入庫してきた、電気自動車に対して、電気自動車の充電出力が駐車場の契約電力を超えないように、予約順で切り替え制御を行うことにより、未充電の電気自動車を少なくすることができる。また、充電容量に制限がある場合は、あらかじめ車両入庫時に電光表示パネルにおいて、その旨の表示を行い、入庫からの充電時間と、その充電時間における目安の走行可能距離を表示することにより、ユーザにわかりやすくすることもできる。さらに、前記のような充電コンセントの電源ラインに外部指令による開閉手段を設けているので、充電の際に感電等の事故を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明のシステム構成図である。
【図2】図2は、本発明のフローチャートである
【図3】図3は、本発明の一実施形態のタイムチャートで、(a)は、1台分の充電可能容量で、車が3台。(b)は、2台分の充電可能容量で、車が4台の場合。
【図4】図4は、本発明の充電装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に本発明のシステム構成図を示す。集中精算機と充電装置は、それぞれシリアル通信ができるように構成されていて、充電装置の内の1台が親機能を有し、充電順決定、充電切替制御を行っている。系統の電力車両の充電電力/電流が不明な場合はいったん充電を開始し、定常電圧/電流の測定を行ってから充電が可能か否かの判断を行う。駐車場の契約電力内の容量であれば、そのまま充電を行い、駐車場の契約電力を超える場合は一旦充電を停止し、あらかじめその駐車場で定めた単位充電制御への移行を行う。
【0011】
本発明の充電制御システム、即ち駐車場の契約電力を超える多くの電気自動車が入庫してきた場合の手順について説明する。電気自動車に搭載されている電池容量が20kWh程度の場合、200V(15A)の充電装置を使用すると、約7時間で満(フル)充電が行われる。
【0012】
充電中の電気自動車があり、新たなユーザが、電気自動車に充電したい場合、駐車場の契約電力を超える場合において、その充電容量が駐車場の契約電力を超える場合は、前記の電気自動車が充電を終えるまで、長時間待つ必要が発生する。新たなユーザが、短時間で出庫する場合など、実際には充電の順番が回ってこない可能性が高くなる。本発明の充電制御方法は、複数台の電気自動車に充電する場合に、ある一定の基準ごとに切替えて充電を行うシステムである。
【0013】
ある一定の基準ごとの充電を単位充電と定義する。単位充電とは、満充電までには、時間がかかるため、充電容量単位、たとえば、一定充電電流量、もしくは、一定充電電力量、あるいは時間単位、たとえば30分ごと等の細かい単位に分けて充電を行なうことである。単位充電の一単位は、駐車場の契約電力と、電気充電装置の台数に応じて適宜きめればよい。目安としては、10km程度走行できる距離と仮定すれば、電気自動車の機種により変わるが30分程度の充電が単位充電となる。10km走行できれば、町の中であれば問題にならないと考えられる。周りに人家がないような場所に電気自動車充電装置付き駐車場を設ける場合、単位充電の一単位時間を60分等、随時状況に応じて長めに設定するとよい。
【実施例】
【0014】
電気自動車用が、駐車料金集中精算機と電気自動車用の充電装置を複数台備えた駐車場に入庫してきた場合の電気自動車の充電制御システムについて、図1から3を用いて説明する。電気自動車用充電装置が設置してある駐車場においては、電気自動車は、電気自動車用充電装置が設置してある駐車スペースに駐車する。その後、ユーザが充電ケーブルを充電装置と接続することによって、充電を開始する。しかしながら、複数台の電気自動車に充電をした場合に、契約電力を超える可能性がある。そのため、前記充電装置は、実際に電気自動車の充電電圧及び充電電流を測定し、電気自動車の充電可能容量を判定する手段を備えていて、充電電力を計測(S1)し、充電可能容量を表示する(S2)。前記充電装置で電気自動車に充電した場合に、駐車場の契約電力を超えるかどうかを判断する(S3)。駐車場の契約電力を超えず充電が可能な場合には、充電を開始する。駐車場の契約電力を超える場合、充電を行わず、単位充電制御に移行し、予約番号を取得して単位充電待ちとなる(S4)。自分の単位充電の順番が来るまで待ち(S5)、順番が来れば、単位充電を開始する(S6)。単位充電が完了(S7)すれば、完全に充電が完了しているかも確認し、充電が完了であれば、予約番号を開放し充電を完了する(S8)。充電が完了でない場合は、単位充電待ち状態に移行する(S4)。
【0015】
実施例1 充電容量1台分、駐車台数3台の場合の充電制御に関して、図2のフローチャートと、図3 a)の充電の順番図を用いて、3台の電気自動車が駐車場に入ってきた場合について説明する。最初の1台目の電気自動車Aついて、充電電力を測定し、その駐車場での充電可能容量を表示する(S2)。次に、その充電可能容量が、契約電力以内かを確認するために、子機充電装置は、親機充電装置へ、他に充電中の電気自動車がないかの確認を行う。ある場合は、充電中の充電電力と、他の電気設備への消費電力を考慮に入れ、充電可能であるかの判断を行う(S3)。充電可能であれば、充電を開始する。次に駐車場に入ってきた電気自動車Bについても、充電電力を測定し、その駐車場での充電可能容量を表示する(S2)。
【0016】
本実施例では、駐車場の契約電力を超える場合、即ち、(電気自動車Bの充電容量)+(現在充電中の電気自動車Aの充電容量)+(他の電気設備の電力量) > (駐車場の契約電力)の場合にあたり、充電を行わず、予約番号1を取得し(図3)a、単位充電待ちとして、自分の充電順番が来るまで待つこととなる(S4)。
【0017】
次に3台目の電気自動車Cが入庫してきた場合も、同様にS1からS4の処理を行ったあと、予約番号2を取得する(S4)。その後単位充電待ちの状態となる(S5)。即ち、電気自動車Bと電気自動車Cは、電気自動車Aの単位充電が終わり、自分の充電の順番が来るまで、待つことになる。
【0018】
1台目の電気自動車Aが単位充電を終えれば、単位充電完了が、充電完了であるかもさらに確認して(S8)、充電完了でなければ、次の予約順番が来るまで待つ処理に移行する(S4)このときに予約番号3を取得する。充電完了であれば、電気自動車Aの充電情報をリセットし充電処理を終了する(S9)。その後、出庫時に料金の精算を行う。
【0019】
充電装置側では、自分が充電する順番かを確認し(S5)、自分の順番になれば、2台目の電気自動車Bが単位充電を開始する(S6)。2台目の電気自動車Bの単位充電が完了すれば、前記手順を繰り返し、予約番号2の3台目の電気自動車Cの充電を開始する。以後、単位充電時間ごとに同様の処理を繰り返す。充電完了あるいは、出庫した場合には、予約番号を開放する。
【0020】
実施例2、実施例1の場合において、2台目の電気自動車が入庫してきた時に、既に充電を開始している最初の1台目が単位充電時間を過ぎていたら、1台目の電気自動車の充電を終え、2台目の電気自動車に、直ぐに充電を開始するようにすることも可能である。その後は、実施例1と同じ処理を行う。
【0021】
実施例3、図3b)は、充電容量2台分、駐車台数4台の場合の充電順番図である。順次充電を行う電気自動車が切替りながら、2台ずつが充電されている様子を示した図である。
【0022】
1台目Aと2台目Bは、充電可能なのですぐに充電を開始する。その後入庫してきた3台目Cに充電を行うと、充電容量を越えるので、すぐには充電ができない為、予約番号1を取得して充電待ちとなる。2台目Bの単位充電が完了後、3台目Cの単位充電が開始される。この時2台目Bは、予約番号2を取得し充電待ち状態となる(S4)(T1)。その後1台目Aの単位充電が完了すると、充電は2台目Bに移り、1台目Aは、予約番号3を取得する(T2)。その後(T3)後に4台目Dが入庫してくると、4台目はすぐには、充電できないので充電番号4を取得して充電待ちとなる(S4)。その後、単位充電の順番がきたら充電を行い、単位充電が完了するまで充電を行う。
【0023】
実施例4) 実施例1〜3の場合は、入庫順で処理を行ったが、長時間止めている場合など、すぐには充電が必要でないユーザがある場合は、優先度を下げる設定にし、充電による課金を安く設定することもできる。又逆に、早急に充電が必要な場合は、優先度を高く設定することもできるが、その場合は、その影響を受けたユーザの充電による課金を安くすることもできる。
【0024】
上記実施例1〜4は、普通充電装置(コンセントタイプ)について述べているが、電気自動車に搭載される電池に、専用のコネクタ及び通信機能付き電力ケーブルを介して直流電流を供給する、接触充電方式の急速または中速充電装置に関しても、複数のコネクタを取り付けて、コネクタ部を複数制御する機能を持たせれば、急速または中速充電装置1台で、複数の電気自動車に同等の充電制御を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明は、電気自動車用の充電装置が設置してある駐車場等に適応することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 集中精算機
2 充電装置
3 分電盤
4 コンセント保護カバー
5 充電プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車料金集中精算機と複数台の電気自動車用の充電装置を備えた駐車場において、前記電気自動車用の充電装置は、充電可能容量判定手段と、前記充電可能容量に基づき駐車場の契約電力内で充電が可能か判断する手段を備え、充電が可能でない場合は、電気自動車の入庫順に充電予約番号を割付け、単位充電ごとに、予約番号順に充電装置を切替えて充電することを特徴とする電気自動車の充電制御システム。
【請求項2】
前記充電装置は、充電用コンセントの電源ラインに外部指令で開閉が可能な手段を備え、保護カバー開閉中、且つ充電プラグ接続時には、前記充電用コンセントを電源回路から開放しておき、前記充電プラグ接続完了し保護カバーを閉じた後、外部指令により前記開閉手段を閉じる機能を備えたことを特徴とする請求項1記載の電気自動車の充電制御システム。
【請求項3】
前記充電可能容量判定手段は、電気自動車の充電電圧及び充電電流を実際に測定したデータから判断することを特徴とする、請求項1または2記載の電気自動車の充電制御システム。
【請求項4】
前記充電可能容量を表示する電光掲示パネルを設けたことを特徴とする請求項3記載の電気自動車の充電制御システム。
【請求項5】
駐車料金集中精算機は、ユーザが優先度を入力できるインターフェースを備え、充電の順番の優先度を低くした場合には、電気料金を割り引いて精算する機能を備えたことを特徴とする請求項4記載の電気自動車の充電制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−244630(P2011−244630A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115899(P2010−115899)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【出願人】(395000728)日信防災株式会社 (2)
【Fターム(参考)】