説明

電気自動車の急速充電装置及び充電方法

【課題】集合駐車場における様々な条件や利用者等の要求に対応しつつ、一台の急速充電装置で複数台の電気自動車を効率よく充電できるようにする。
【解決手段】急速充電装置1は、電気自動車に接続可能な給電プラグ2を複数本備えるとともに、給電プラグ2が接続された車両について、充電実施時間帯、優先レベル及び充電量を設定して、充電対象車両として登録する登録部3と、登録部3での設定の内容及び登録順を判定し、その判定結果に基づいて、充電対象車両への充電を順次切り替える制御部4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の急速充電装置及び充電方法に関し、特に集合駐車場に駐車された複数台の車両に対して充電を行うのに利用して好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
環境負荷の少ない電気自動車用は、今後ますます普及するものと考えられる。近年では、電気自動車のバッテリを充電するための充電装置として急速充電装置と称されるものが開発され、実用化されている。家庭用電源を使用して充電する場合は数時間〜十数時間かかるところを、急速充電装置は一台の車両に対して15〜30分程度で充電を行うことが可能であり、充電を目的とするサービスステーション、ディーラ店等に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−80071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
急速充電装置は、電気自動車に接続可能な給電プラグを1本だけ備える所謂シングルプラグ式が基本である。シングルプラグ式では、複数台の車両を充電する場合、一の車両の充電完了後に、給電プラグを次の車両に接続しなおす必要がある。そのため、充電を目的とするサービスステーション、ディーラ店等であればよいが、駐車を目的とする集合駐車場では利用しにくい。すなわち、集合駐車場で駐車したついでに充電を行えるようにする場合、シングルプラグ式では「駐車時間=接続時間=充電時間」であり、長時間駐車時には充電装置を占有することになり、急速充電装置の稼働率が低下してしまう。
【0005】
集合駐車場に駐車された複数台の車両に対して充電を行うために、シングルプラグ式の急速充電装置を複数台設置することが考えられるが、設備コストがかかってしまう。また、シングルプラグ式の急速充電装置を複数台設置する場合でも、受電容量の制約から同時に急速充電を行う台数は限られてしまう。
【0006】
例えば特許文献1には、一の入力端子に対して複数の出力端子を備え、複数の電気自動車用電池を深夜電力時間帯において充電をずらして行う構成が開示されている。具体的には、電気自動車それぞれの放電量を測定する放電量測定手段と、前記放電量に従って充電時間を決定する充電時間決定手段と、前記充電時間決定手段によって決定された電気自動車の充電時間の中で、充電時間のもっとも長い電気自動車が深夜電力時間帯の開始時刻に充電を開始し、かつ充電時間のもっとも短い電気自動車が深夜電力時間帯の終了時刻に充電を終了するよう充電時間帯を設定する充電時間帯整定手段とを備えている。
【0007】
しかしながら、特許文献1では、深夜電力時間帯において充電を行うことを前提としており、集合駐車場で駐車したついでに充電を行うことを想定したものではない。集合駐車場においては、車両の入場時刻/出場時刻/駐車時間、所望の要求充電量、所望の充電実施時間帯、充電の優先順位(例えば優先充電、普通充電)等は、集合駐車場の形態(月極駐車場や、オフィスビル、商業施設、公共施設等の駐車場)や集合駐車場の利用者によって様々であり、それに対応できるようにする必要がある。
【0008】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、集合駐車場における様々な条件や利用者等の要求に対応しつつ、一台の急速充電装置で複数台の電気自動車を効率よく充電できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電気自動車の急速充電装置は、電気自動車のバッテリを充電する急速充電装置であって、電気自動車に接続可能な給電プラグを複数本備えるとともに、前記給電プラグが接続された車両について、充電実施時間帯、優先レベル及び充電量のうち少なくともいずれか設定して、充電対象車両として登録する登録手段と、前記登録手段での設定の内容及び登録順を判定し、その判定結果に基づいて、前記充電対象車両への充電を順次切り替える制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の電気自動車の急速充電装置の他の特徴とするところは、前記登録手段では、充電量として第1の充電量及び第2の充電量を設定し、前記制御手段は、登録順で、第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両があるか否かを判定し、第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両に対して当該車両について設定された第1の充電量の充電を行い、第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両がない場合、登録順で、第2の充電量の充電が完了していない充電対象車両があるか否かを判定し、第2の充電量の充電が完了していない充電対象車両に対して当該車両について設定された第2の充電量の充電を行う点にある。
また、本発明の電気自動車の急速充電装置の他の特徴とするところは、前記登録手段では、優先レベル、並びに、充電量として第1の充電量及び第2の充電量を設定し、前記制御手段は、優先レベル及び登録順に応じた順で、第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両があるか否かを判定し、第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両に対して当該車両について設定された第1の充電量の充電を行い、第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両がない場合、優先レベル及び登録順に応じた順で、第2の充電量の充電が完了していない充電対象車両があるか否かを判定し、第2の充電量の充電が完了していない充電対象車両に対して当該車両について設定された第2の充電量の充電を行う点にある。
また、本発明の電気自動車の急速充電装置の他の特徴とするところは、前記登録手段では、充電実施時間帯を設定し、前記制御手段は、判定を行う時刻が充電実施時間帯に該当する充電対象車両だけに充電を行う点にある。
本発明の電気自動車の充電方法は、電気自動車に接続可能な給電プラグを複数本備えた急速充電装置により、電気自動車のバッテリを充電する電気自動車の充電方法であって、前記給電プラグが接続された車両について、充電実施時間帯、優先レベル及び充電量のうち少なくともいずれか設定して、充電対象車両として登録する登録ステップと、前記登録ステップでの設定の内容及び登録順を判定し、その判定結果に基づいて、前記充電対象車両への充電を順次切り替える制御ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者等が所望する充電実施時間帯、優先レベル、充電量に基づいて、充電対象車両への充電を順次切り替えるようにしたので、集合駐車場における様々な条件や利用者等の要求に対応しつつ、一台の急速充電装置で複数台の電気自動車を効率よく充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る急速充電装置の構成を示す図である。
【図2】駐車場の利用者が行う動作を示すフローチャートである。
【図3】登録部による登録処理を示すフローチャートである。
【図4】データの管理について説明するための図である。
【図5】制御部による充電切り替え処理を示すフローチャートである。
【図6】図5の第1の判定処理及び第2の判定処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る急速充電装置及び充電方法による充電スケジュールの具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る急速充電装置1の構成を示す図である。本実施形態に係る急速充電装置1は所謂マルチプラグ式急速充電装置であり、電気自動車に接続可能な給電プラグ2を複数本備える。本実施形態に係る急速充電装置1は、月極駐車場や、オフィスビル、商業施設、公共施設等の駐車場のような集合駐車場において、駐車された複数台の車両に対して充電を行うのに利用される。
【0013】
急速充電装置1は、入力装置5等を介して入力される充電実施時間帯、優先レベル及び充電量(分)を設定して、充電対象車両として登録する登録部3を備える。また、登録部3での設定の内容及び登録順を判定し、その判定結果に基づいて、充電対象車両への充電を順次切り替える制御部4を備える。
【0014】
図2は、駐車場の利用者が行う動作を示すフローチャートである。利用者は、駐車場に駐車した後(ステップS101)、充電が必要であるか否かを判断し(ステップS102)、充電を所望するときは、自身の車両に給電プラグを接続する(ステップS103)。そして、利用者は、入力装置5を介して必要情報を入力、設定する(ステップS104)。本実施形態では、必要情報として充電実施時間帯、優先レベル及び充電量(分)を入力、設定するようになっている。
【0015】
充電実施時間帯としては、例えば表1に示すように、時間帯別の電気料金に合わせて「全日(0時〜24時)」、「日中(9時〜17時)」、「営業(10時〜20時)」、「夜間(22時〜32時(8時))」、「深夜(23時〜31時(7時))」、「深々夜(1時〜6時)」等の中から選択、設定可能となっている。
【0016】
【表1】

【0017】
優先レベルとしては、例えば優先レベル1(優先)、優先レベル2(普通)の中から選択、設定可能となっている。
【0018】
充電量(分)としては、充電量min/充電量maxの二段階で入力、設定可能となっている。充電量minは保証値、充電量maxはベストエフォートとする。利用者は、ガソリン車の場合と同様、車両のメータを確認して、例えば蓄電残量が少ないときは充電量minに適宜な充電量(分)を設定する。また、可能であれば充電量minに加えて更に充電したいときや、蓄電残量は余裕があるが可能であれば充電したいときは充電量maxに適宜な充電量(分)を設定する。なお、本願において充電量とは充電時間で表わされるものも含むものとする。
【0019】
これら必要情報は、利用者以外の者が設定したり、他の装置からの入力に従って設定されたりするようにしてもよい。例えば優先レベルとして、社用車や顧客の車両は優先レベル1(優先)とするように管理者が設定するようにしてもよい。また、商業施設であれば、顧客である利用者がカード読み取り装置で顧客カード読み取らせると自動的に優先レベル1(優先)となるようにしてもよい。
【0020】
必要情報を入力したら、例えば入力装置5の表示部5aに料金や充電量、充電完了予定時刻等の充電条件が表示される。料金は、充電実施時間帯、優先レベル及び充電量(分)に応じて定まる。利用者は、これら充電条件を確認して(ステップS105)、充電条件を了解しない場合、ステップS104に戻って必要情報を設定しおなす。充電条件を了解した場合、利用者は開始ボタンを押下する等して開始指示を行う(ステップS106)。これにより、充電対象車両として登録され、後述するように充電が開始されるので、利用者は充電完了待ちとなる(ステップS107)。
【0021】
利用者は、駐車場に戻ってきたならば、例えば入力装置5の表示部5aを介して充電の完了確認を行う(ステップS108)。充電が完了していれば、料金を支払うとともに充電プラグの接続を解除して(ステップS109)、駐車場から退出する(ステップS110)。予定より早く駐車場に戻ってきたような場合、充電が完了していないことも想定されるが、この場合、停止指示(キャンセル指示)を行うこともできる(ステップS111)。
【0022】
図3は、登録部3による登録処理を示すフローチャートである。通常は入力待状態(ステップS201)にあり、必要情報(充電実施時間帯、優先レベル及び充電量(分))が入力されると(ステップS202)、登録部3は、当該充電対象車両についてのデータCxyを生成する(ステップS203)。データCxyには、ID、接続プラグ番号、優先レベル、充電実施時間帯、充電量min、充電量max、充電量min充電実績、充電量max充電実績が関連付けられる。
【0023】
次に、登録部3は優先レベルを判定する(ステップS204)。登録部3は、図4に示すように、データCjkjを優先レベル毎に層別に管理する。説明を一般化するために優先レベルjが1〜mあるとした場合、充電順序は、優先レベル1→優先レベル2→・・・→優先レベルj→・・・→優先レベルm、の順とする。同一の優先レベルj内での充電順序kjは登録順とし、Cj、1→Cj、2→・・・→Cjkj→・・・→Cjnj、の順とする。
【0024】
登録部3は、ステップS203で生成したデータCxyを優先レベルjの待ち行列の最後にCjnj+1として仮追加する(ステップS205)。そして、料金や現時点での充電完了予定時刻を算出し、入力装置5の表示部5aに充電条件として表示する(ステップS206)。これを受けて、利用者による開始指示があれば(ステップS207)、ステップS203で生成したデータCxyを優先レベルjの待ち行列の最後にCjnj+1として追加して本登録とする(ステップS208)。ステップS207で利用者によるキャンセル指示があった場合、及び、ステップS208で本登録が終了した後は、ステップS201の入力待状態に戻る。
【0025】
図5は、制御部4による充電切り替え処理を示すフローチャートである。この充電実行処理は常時実行される。制御部4は、第1の判定処理を行い(ステップS301)、判定結果がYes(充電を行うべき車両あり)であればステップS303に進み、No(充電を行うべき車両なし)であればステップS302の第2の判定処理に進む。
【0026】
ここで、図6を参照して、第1の判定処理について説明する。まず優先レベルj=1について、待ち行列から登録順kj=1のデータC1、1を読み出す(ステップS401)。そして、現在時刻(判定を行う時刻)がデータC1、1の充電実施時間帯に該当するか否かを判定する(ステップS402)。ステップS402において現在時刻が充電実施時間帯に該当しなければ、次の登録順kj(本例の場合kj=2)のデータC1、2を読み出す(ステップS401)。それに対して、ステップS402において現在時刻が充電実施時間帯に該当すれば、データC1、1の充電量min充電実績が充電量min未満であるか否かを判定する(ステップS404)。ステップS404において充電量min充電実績が充電量min未満でなければ、すなわち充電量minの充電が完了していれば、次の登録順kj(本例の場合kj=2)のデータC1、2を読み出す(ステップS401)。それに対して、ステップS404において充電量min充電実績が充電量min未満であれば、充電を行うべき車両であるとして図5のステップS303に進む。このように充電を行うべき車両がみつかるまで、ステップS401〜S404の処理を登録順kj=1、・・・、nの順で行い、優先レベルj=1について終了したならば、優先レベルj=2、・・・、mの順で繰り返していく。なお、本実施形態では、ステップS402で現在時刻が充電実施時間帯に該当するか否かだけを判定し、例えば充電完了時刻が充電実施時間帯を超える場合でも充電を実施する。もちろん、例えば充電完了時刻が充電実施時間帯を超える場合、その時点で充電を中断する等してもよい。
【0027】
いま、データCjkjに係る車両が充電を行うべき車両であった場合、図5のステップS303に進み、制御部4は、当該車両のデータCjkjの接続プラグ番号に基づいて接続プラグ切り替えを行って、当該車両への充電を開始する(ステップS304)。充電とともにデータCjkjの充電量min充電実績を更新する(ステップS305)。そして、充電量minだけ充電が完了すると、優先レベルjの待ち行列を更新し(ステップS306)、ステップS301の第1の判定処理に戻る。ステップS306では、充電が完了した当該データCjkjに充電量minだけが設定されていれば待ち行列から削除し、充電量maxも設定されていればそのまま残す。
【0028】
ステップS301の第1の判定処理で充電を行うべき車両がなくなれば、ステップS302の第2の判定処理に進むが、第2の判定処理は第1の判定処理と同様である。すなわち、図6のステップS404の充電量min充電実績及び充電量minを、充電量max充電実績及び充電量maxと読み替えたものとなる。したがって、ここではその詳細な説明は省略する。また、この場合、図5のステップS305ではデータCjkjの充電量max充電実績を更新することになる。
【0029】
なお、本実施形態では、いったん充電が開始されると、その充電が完了するまで継続するものとする。例えば一の車両の充電量max充電中に、別の車両の充電量minが充電可能状態になった場合でも、当該一の車両の充電量max充電が完了するまで継続する。もちろん、一の車両の充電量max充電中に、別の車両の充電量minが充電可能状態になった場合に、当該一の車両の充電量max充電を中断して、別の車両の充電量min充電を割込み的に処理するようにしてもよい。
【0030】
図7は、本実施形態に係る急速充電装置及び充電方法による充電スケジュールの具体例を示す。この例では、図7(a)に示すように、No.1〜No.24の車両が5分間隔で駐車する(充電対象車両となる)ものとし、各々について充電実施時間帯、優先レベル及び充電量(分)が設定される。例えばNo.1の車両では、充電実施時間帯が「深夜」、優先レベルが「優先」、充電量min/充電量maxが「0/20分」に設定されている。また、No.2の車両では、充電実施時間帯が「全日」、優先レベルが「普通」、充電量min/充電量maxが「0/20分」に設定されている。
【0031】
図7(b)の横軸に並ぶ1〜50の番号は各々が5分間を意味する。同様に、図7(b)及び図7(c)の縦軸に並ぶ1〜49の番号も各々が5分間を意味する。すなわち、番号1の始まりでNo.1の車両が駐車し、その5分後の番号2の始まりでNo.2の車両が駐車する。また、番号13の始まりで深夜の時間帯にはいり、番号37の始まりで深々夜の時間帯にはいる。
【0032】
番号1の始まりで駐車したNo.1の車両は、充電実施時間帯が「深夜」であるので、番号13になるまでの間は充電時間帯待ちとなる。番号2の始まりで駐車したNo.2の車両は、充電実施時間帯が「全日」であり、他は充電時間帯待ちの車両だけ(No.1の車両)であるので、すぐに充電が開始される。No.2の車両は、充電量maxが「20分」であるので、番号5の終わりまでの間充電が行われる。なお、No.2の車両は充電量maxまで充電が完了した時点で、待ち行列から削除される。
【0033】
番号3、番号4の始まりで駐車したNo.3、No.4の車両は、いずれも充電実施時間帯が「深々夜」であるので、番号37になるまでの間は充電時間帯待ちとなる。また、番号5の始まりで駐車したNo.5の車両は、充電実施時間帯が「深夜」であるので、番号13になるまでの間は充電時間帯待ちとなる。
【0034】
番号6の始まりで駐車したNo.6の車両は、充電実施時間帯が「全日」であり、No.2の車両の充電も既に完了しており、また、他は充電時間帯待ちの車両だけ(No.1、No.3、No.4、No.5の車両)であるので、すぐに充電が開始される。No.6の車両は、充電量minが「10分」であるので、番号7の終わりまでの間充電が行われる。なお、No.6の車両は充電量maxも設定されているので、充電量minの充電が完了した時点では、待ち行列から削除されない。
【0035】
番号7の始まりで駐車したNo.7の車両は、充電実施時間帯が「全日」であるが、No.6の車両が充電中であるので、充電量min充電待ちとなる。
【0036】
番号8の始まりで駐車したNo.8の車両は、優先レベルが「優先」、充電実施時間帯が「全日」であるが、充電量min/充電量maxが「0/20分」である。ここで、番号7の終わりでNo.6の車両の充電が完了するので、続いて他の車両が充電される。番号8の始まりにおいて、充電実施時間帯待ちでない車両は、充電量max充電待ちのNo.6及びNo.8の車両、及び、充電量min充電待ちのNo.7の車両である。この場合、充電量min充電待ちの車両から充電が行われるので、No.7の車両の充電が開始される。No.7の車両は、充電量minが「20分」であるので、番号11の終わりまでの間充電が行われる。なお、No.7の車両は充電量maxが設定されていないので、充電量minの充電が完了した時点で、待ち行列から削除される。
【0037】
番号9の始まりで駐車したNo.9の車両は、充電実施時間帯が「深々夜」であるので、番号37になるまでの間は充電時間帯待ちとなる。番号10の始まりで駐車したNo.10の車両は、優先レベルが「優先」、充電量min/充電量maxが「0/20分」、充電実施時間帯が「全日」である。番号11の始まりで駐車したNo.11の車両は、優先レベルが「優先」、充電量min/充電量maxが「20/0分」、充電実施時間帯が「全日」である。番号11の終わりまではNo.7の車両が充電中であり、他の車両が充電されることはない。
【0038】
番号12の始まりで駐車したNo.12の車両は、優先レベルが「普通」、充電量min/充電量maxが「0/20分」、充電実施時間帯が「全日」である。ここで、番号11の終わりでNo.7の車両の充電が完了するので、続いて他の車両が充電される。番号12の始まりにおいて、充電実施時間帯待ちでない車両は、充電量max充電待ちのNo.6、No.8、No.10及びNo.12の車両、及び、充電量min充電待ちのNo.11の車両である。この場合、充電量min充電待ちの車両から充電が行われるので、No.11の車両の充電が開始される。No.11の車両は、充電量minが「20分」であるので、番号15の終わりまでの間充電が行われる。なお、No.11の車両は充電量maxが設定されていないので、充電量minの充電が完了した時点で、待ち行列から削除される。
【0039】
番号13の始まりで駐車したNo.13の車両は、優先レベルが「普通」、充電量min/充電量maxが「20/0分」、充電実施時間帯が「深夜」である。ここで、番号13の始まりで、充電実施時間帯が「深夜」であるNo.1、No.5の車両は、充電時間待ちから充電量待ちに変更される。なお、番号14以降についても同様の考え方で充電対象車両への充電が順次切り替えられていくので、その説明は省略する。
【0040】
以上述べたように、利用者等が所望する充電実施時間帯、優先レベル及び充電量に基づいて、充電対象車両への充電を順次切り替えるようにしたので、集合駐車場における様々な条件や利用者等の要求に対応しつつ、一台の急速充電装置で複数台の電気自動車を効率よく充電することができる。表2には、各種集合駐車場における必要情報の適用例を示す。
【0041】
【表2】

【0042】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば図1では制御部4として簡単に図示したが、その具体的な構成は限定されるものではなく、例えば本発明でいう制御手段には、切り替えスイッチにより充電を行う給電プラグを切り替えるような構成も含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1:急速充電装置、2:給電プラグ、3:登録部、4:制御部、5:入力装置、5a:表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車のバッテリを充電する急速充電装置であって、
電気自動車に接続可能な給電プラグを複数本備えるとともに、
前記給電プラグが接続された車両について、充電実施時間帯、優先レベル及び充電量のうち少なくともいずれか設定して、充電対象車両として登録する登録手段と、
前記登録手段での設定の内容及び登録順を判定し、その判定結果に基づいて、前記充電対象車両への充電を順次切り替える制御手段とを備えたことを特徴とする電気自動車の急速充電装置。
【請求項2】
前記登録手段では、充電量として第1の充電量及び第2の充電量を設定し、
前記制御手段は、登録順で、第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両があるか否かを判定し、第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両に対して当該車両について設定された第1の充電量の充電を行い、
第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両がない場合、登録順で、第2の充電量の充電が完了していない充電対象車両があるか否かを判定し、第2の充電量の充電が完了していない充電対象車両に対して当該車両について設定された第2の充電量の充電を行うことを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の急速充電装置。
【請求項3】
前記登録手段では、優先レベル、並びに、充電量として第1の充電量及び第2の充電量を設定し、
前記制御手段は、優先レベル及び登録順に応じた順で、第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両があるか否かを判定し、第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両に対して当該車両について設定された第1の充電量の充電を行い、
第1の充電量の充電が完了していない充電対象車両がない場合、優先レベル及び登録順に応じた順で、第2の充電量の充電が完了していない充電対象車両があるか否かを判定し、第2の充電量の充電が完了していない充電対象車両に対して当該車両について設定された第2の充電量の充電を行うことを特徴とする請求項1に記載の電気自動車の急速充電装置。
【請求項4】
前記登録手段では、充電実施時間帯を設定し、
前記制御手段は、判定を行う時刻が充電実施時間帯に該当する充電対象車両だけに充電を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気自動車の急速充電装置。
【請求項5】
電気自動車に接続可能な給電プラグを複数本備えた急速充電装置により、電気自動車のバッテリを充電する電気自動車の充電方法であって、
前記給電プラグが接続された車両について、充電実施時間帯、優先レベル及び充電量のうち少なくともいずれか設定して、充電対象車両として登録する登録ステップと、
前記登録ステップでの設定の内容及び登録順を判定し、その判定結果に基づいて、前記充電対象車両への充電を順次切り替える制御ステップとを有することを特徴とする電気自動車の充電方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−90378(P2012−90378A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232929(P2010−232929)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000233697)株式会社日鉄エレックス (51)
【Fターム(参考)】