説明

電池またはキャパシタの製造方法

【課題】製造途中において隔離層が受けるダメージにより劣化する状況を把握することができ、品質向上に貢献できる電池またはキャパシタの製造方法を提供する。
【解決手段】隔離層9と正極1と負極5とを組み付けて電池またはキャパシタを製造する電池またはキャパシタの製造方法である。対流模様等の劣化判定用のマーキング9xが施されていると共にポリマーを基材とする隔離層9を準備する。モノマーを主要成分とする液状物Mと隔離層9とを接触させる接触操作と、重合促進用の照射エネルギWを隔離層9に照射させる照射操作とを行い、隔離層9における重合を促進させる。接触操作及び照射操作のうち少なくとも一方の後で、劣化判定用のマーキング9xの劣化状況を検査して、隔離層9の劣化状況を検査手段19,22により検査する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電池またはキャパシタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電池の製造方法を例にとって従来技術について説明する。電池は、隔離層と正極と負極とを組み付けて製造されている。隔離層は正極と負極とを仕切り、両者の短絡を抑えるためのものであり、ポリマーで形成されたフィルムで構成されていることが多い。隔離層を改質する技術として、モノマーを主要成分とする液状物に隔離層を浸漬させ、隔離層にモノマーを含浸させて膨潤させた後に、隔離層に放射線を照射してモノマーをグラフト重合させる技術(特開平5−314960号)が知られている。このようにすれば、隔離層を構成するポリマーの主鎖に側鎖が形成され、電解質物質の伝導性を向上させ得、電池性能を向上させ得るとされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記した製造方法においては、モノマーを主要成分とする液状物の条件によっては、液状物に隔離層を含浸させる含浸操作により、隔離層がダメージを受けるため、製造途中において隔離層が劣化することがある。または、隔離層に放射線を照射する照射操作により、隔離層がダメージを受け、製造途中において隔離層が劣化することがある。この場合には、隔離層の劣化の進展度合によっては、電池性能の目標性能を確保するのに不利となることがあり、電池の高品質化には好ましくない。電池の性能評価は、製造された後に、放電負荷特性や充放電サイクルなどを測定することより行われているが、効率的ではない。
【0004】本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、製造途中において隔離層が受けるダメージにより劣化する状況を把握することができ、品質向上に貢献できる電池またはキャパシタの製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電池またはキャパシタの製造方法は、隔離層と正極と負極とを組み付けて電池またはキャパシタを製造する電池またはキャパシタの製造方法において、劣化判定用のマーキングが施されていると共にポリマーを基材とする隔離層を準備する準備工程と、隔離層を構成するポリマーに重合され得るモノマーを主要成分とする液状物と隔離層とを接触させる接触操作と、重合促進用の照射エネルギを隔離層に照射させる照射操作とを行い、隔離層における重合を促進させる重合工程と、重合工程における接触操作及び照射操作のうち少なくとも一方の後で、劣化判定用のマーキングの劣化状況を検査して、隔離層の劣化状況を検査手段により検査する検査工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明方法は、ポリマーを基材とする隔離層を備えた電池またはキャパシタの製造方法を対象とする。電池とは、正極活物質及び負極活物質による化学反応に基づいて、電荷を生成し、その電荷を移動させ得るものをいう。キャパシタとは、電気二重層キャパシタとも呼ばれるものであり、電荷を蓄積して充電したり、電荷を放出して放電したりするものをいう。
【0007】本発明方法に係る電池の正極は正極活物質を含む。正極活物質としては、例えばリチウム含有化合物を採用できる。リチウム含有化合物としては、例えばリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)、リチウムマンガン複合酸化物(LiMn24)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)、リチウムバナジウム複合酸化物(LiVO2、LiV24)等の少なくとも一種を採用できる。本発明方法に係る電池の負極は負極活物質を含む。負極活物質質としては例えば炭素質物質を採用できる。
【0008】本発明方法に係る隔離層はセパレータとも呼ばれるものであり、ポリマーを基材とする。隔離層(重合工程を実施する前)の基材となるポリマーとしては、例えば、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、あるいは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂のうちの少なくとも一種を採用でき、ホモポリマーでも、コポリマーでも良い。例えば、フッ化ビニリデン(PVdf)を採用したり、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体(P(Vdf−HFP)を採用したりできる。フッ化ビニリデン系の場合には有機溶媒との親和性が高いため、ゲル化に貢献できる。また隔離層(重合工程を実施する前)を構成するポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチレンメタクリレート、ポリビニルアセテートのうちの少なくとも一種が挙げられる。
【0009】本発明方法で用いる隔離層(重合工程の前)には、劣化判定用のマーキングが施されている。劣化判定用のマーキングは、例えば、微小な凹及び微小な凸のうちの少なくとも一方で構成でき、模様を採用できる。模様は図形、文字も含む意味である。例えば、劣化判定用のマーキングは縞模様を採用できる。縞模様は微小な凹凸で形成できる。縞模様は、環状の縞模様でも良いし、直線状の縞模様でも良い。
【0010】本発明に係る隔離層(重合工程の前)に形成されている劣化判定用のマーキングとしては、対流模様で形成されたマーキング、圧印で形成されたマーキング、高エネルギビーム(電子ビーム、イオンビーム、レーザビームなど)で形成された穴マーキングのうちの少なくとも一種で構成できる。対流模様は、溶媒に溶かして流動性を有するようにしたポリマー原料を加熱盤に流延し、ポリマー原料の対流が生じる温度にポリマー原料を加熱する操作を経て形成された模様である。対流模様はレーリーベナール対流模様とも呼ばれる。このレーリーベナール対流模様は、縞模様、殊に環状の縞模様を形成し易い。
【0011】圧印で形成されたマーキングは、プレス盤、回転ロールなどの押圧具により押圧して形成されたマーキングである。劣化判定用マーキングの表面粗さの度合は、隔離層が受けたダメージにより隔離層の表面粗さが変動し、ダメージによる劣化の有無が良好に判定できるものを採用できる。電池やキャパシタの種類、隔離層の材質の如何によっても相違するものの、劣化判定用のマーキングが表面粗さを有する場合には、その表面粗さの度合は、例えば、劣化前においてRaで400μm以下、200μm以下、100μm以下にでき、80μm以下にできる。殊に、50μm以下、10μm以下、5μm以下、1μm以下にできる。但し、本発明に係る劣化判定用のマーキングの表面粗さの度合は、この範囲に限定されるものではないことは勿論である。なおRaは中心線平均粗さ(ISO 468−1982)を意味する。劣化が進行すれば、一般的には、表面粗さRaの値は増加すると考えられている。
【0012】本発明方法に係る重合工程においては、隔離層を構成するポリマーに重合され得るモノマーを主要成分とする液状物と隔離層とを接触させる接触操作と、重合促進用の照射エネルギを隔離層に照射させる照射操作とを行い、隔離層における重合反応を促進させる。接触操作は、例えば、モノマーを主要成分とする液状物に隔離層を含浸させることにより行ない得る。モノマーは例えば分子量300以下、1000以下の低分子量とすることができるが、これに限定されるものではない。モノマーとしては、複数の役割を分担するように複数種類のものを採用でき、例えば、立体架橋剤、イオン伝導強化剤、親溶媒剤が挙げられ、代表的なものとしては、複数または単数のアクリロイル基をもつものを採用できる。立体架橋剤としては例えばアクリレートが挙げられる。親溶媒剤としてはアクリレートとオリゴオキシエチレンが挙げられる。
【0013】またモノマーとしては、カルボキシル基をもつものとして、アクリル酸、α−エチルアクリル酸、メタクリル酸等があげられ、アミノ基をもつものとして、アリルアミン、トリアリルアミン、ビニルピリジン、N−ビニルフェニルアミン等があげられる。
【0014】本発明方法で用いる液状物は、隔離層を構成するポリマーに重合されるモノマーの他に、例えば、可塑剤及び電解質塩の少なくとも一方を含むことができる。隔離層の内部に可塑剤を導入すれば、隔離層を構成するポリマーの分子鎖を緩ませ得るため、電解質物質の伝導性が向上する。可塑剤として例えば有機溶媒を採用できる。リチウム電池の場合等には、非プロトン性の有機溶媒を採用できる。非プロトン性の有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネイト(EC)、プロピレンカーボネイト(PC)等の環状炭酸エステル、あるいは、ジメチルカーボネイト(DMC)、エチルメチルカーボネイト(EMC)、ジエチルカーボネイト(DEC)などの鎖状炭酸エステル、あるいは、テトラハイドロフラン(THF)などの環状エーテル、ブチレンカーボネイト(BC)、メチルアセテート(MA)等の鎖状カルボン酸エステルのうちの1種または2種以上を採用できる。電解質塩としてはリチウム塩を採用できる。リチウム塩としては、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiC(CF3SO22等のうちの1種または2種以上を採用できる。
【0015】本発明方法に係る重合工程においては、接触操作の後で照射操作を行っても良い。あるいは、照射操作の後で接触操作を行っても良い。従って放射線を照射する場合には、隔離層に放射線を照射した後に、隔離層にモノマーを接触させる前照射法でも良いし、あるいは、隔離層にモノマーを接触させた後に、隔離層に放射線を照射する後照射法でも良い。重合反応は直鎖型の重合反応ばかりでなく、三次元網目化を図る架橋反応も含むことができる。隔離層における重合反応を促進させれば、電解質物質の伝導性が向上し易くなる。殊に、重合反応により隔離層を構成するポリマーの側鎖の形成が促進される場合には、電解質物質の伝導性が向上し易くなる。
【0016】本発明方法に係る重合工程における照射操作で隔離層に照射する代表的な照射エネルギとしては重合反応を行い得るものであれば良く、放射線、光(紫外線を含む)、プラズマ(低温プラズマ)、熱のうちの少なくとも一種があげられる。重合反応により隔離層のポリマーをゲル化構造にすることもできる。放射線としては、電子線、α線、β線、γ線、X線のうちの少なくとも一種があげられる。放射線を照射した場合には、隔離層における放射線重合、殊に放射線グラフト重合を実施できる。放射線重合では、ラジカルまたはイオンの活性種が生成し、これを開始点として重合反応が起きる。光を照射した場合には光重合反応を実施できる。光重合では、光の照射によりラジカルまたはイオンの活性種が生成し、これを開始点として重合反応が起きる。プラズマ(低温プラズマ)を照射した場合にはプラズマ重合反応を実施できる。熱を照射した場合には加熱重合反応を実施できる。放射線を照射すると、ポリマーの分子鎖の重合の際に架橋が起きたり、重合の後で架橋が起きたりすることが多いため、放射線重合は放射線架橋を含むことができる。同様に、光重合は光架橋反応を含むことができ、プラズマ重合はプラズマ架橋反応を含むことができ、加熱重合は加熱架橋反応を含むことができる。
【0017】本発明方法は前述したように電池の他に、キャパシタの製造方法にも適用できる。キャパシタの正極は正極活物質を含む。またキャパシタの負極は負極活物質を含む。キャパシタに係る正極活物質及び負極活物質として、例えば、電荷を蓄積する細孔を有する細孔保有物質(例えば活性炭など)を採用できる。なお、本発明方法に係る電池及びキャパシタにおいて、正極の材質、負極の材質、隔離層の材質は上記したものに限定されるものではないことは勿論である。
【0018】本発明方法に係る検査工程においては、隔離層に形成されている劣化判定用のマーキングの劣化状況を検査手段で検査する。このような検査手段としては、隔離層に接触しない非接触型の検査手段、隔離層に接触する接触型の検査手段を採用できるが、隔離層の損傷を回避するためには、非接触型が好ましい。代表的な非接触型の検査手段としては、レーザビーム、赤外線、可視光などの光信号、音信号等の物理的信号を劣化判定用のマーキングの検査部分に当てる方式を採用できる。例えば、本発明に係る検査工程で用いる検査手段は、隔離層に施されている判定用のマーキングに光をあてて検査する光学的検査手段を採用できる。検査手段は、隔離層に施されている判定用のマーキングの劣化が進行しているときには、隔離層の劣化が進行していると判定することが好ましい。
【0019】本発明に係る検査工程は、接触操作の後でマーキングの劣化状況を検査し、接触操作による隔離層の劣化状況を検査する検査工程と、照射操作の後でマーキングの劣化状況を検査し、照射操作による隔離層の劣化状況を検査する検査工程とを含むことが好ましい。このように検査回数が増加すれば、隔離層の高品質化、ひいては電池またはキャパシタの高品質化に貢献できる。
【0020】本発明に係る検査工程において、劣化判定のマーキングの消失度が増加しているときに、隔離層の劣化が進行していると判定することができる。本発明者は、隔離層のマーキングの表面粗さデータが増加した場合には、隔離層を構成するポリマーが化学結合のレベルで損傷、破壊されていることを、光音響分光法により確認している。
【0021】本発明に係る検査工程で接触操作を経た後の隔離層が劣化していると判定されたときには、一般的には液状物における可塑剤の割合が過剰であると考えられるため、液状物における可塑剤の割合を相対的に低減させる。このため、液状物を構成するモノマーの割合を増加させるように、液状物の組成を制御する制御操作を行うことが好ましい。これにより過剰照射が抑えられる。
【0022】本発明に係る検査工程で照射操作を経た後の隔離層が劣化していると判定されたときには、照射エネルギの強度を減少させるように照射装置の強度等の出力を減少させる制御操作を行うことが好ましい。
【0023】本発明に係る重合工程の前に、隔離層の厚みを測定する厚み測定工程を実施し、隔離層の厚みに応じて液状物の組成を調整する組成調整操作を行うことが好ましい。即ち、隔離層の厚みが厚めのときには、液状物におけるモノマーの割合を増加させると共に、隔離層の厚みが薄めのときには、液状物におけるモノマーの割合を減少させる組成調整操作を行うことが好ましい。液状物が可塑剤、電解質塩、重合開始剤を含む場合には、隔離層の厚みが厚めのときには、液状物におけるこれらの割合を増加させる組成調整操作を行うと共に、隔離層の厚みが薄めのときには、液状物におけるこれらの割合を減少させる組成調整操作を行うことができる。
【0024】
【実施例】(第1実施例)以下、実施例を図面を参照して説明する。本実施例はリチウム電池、殊にリチウム二次電池の製造方法に適用した場合である。
【0025】まず、製造装置から説明する。図1に示すように、製造装置は、正極1を搬送するための複数個の第1案内ロール2を備えた正極搬送経路3と、負極5を搬送するための複数個の第2案内ロール6を備えた負極搬送経路7と、隔離層9を搬送するための複数個の第3案内ロール10を備えた隔離層搬送経路11とをもつ。正極搬送経路3に第1塗布装置13、第1加熱装置14が設けられている。負極搬送経路7に第2塗布装置15、第2加熱装置16が設けられている。隔離層搬送経路11には、これの上流から下流にかけて、浸漬装置18、第1検査装置19、放射線発生装置21、第2検査装置22、積層用ロール23、切断装置25が直列に設けられている。浸漬装置18は、水状の液状物M(温度:25〜60℃)を収容すると共にヒータ27rを装備した上面開口の溶解タンク27と、モノマー供給器28と、可塑剤供給器29と、電解質塩供給器30と、重合開始剤供給器31とを備えている。液状物Mの温度は上記温度に限定されるものではない。溶解タンク27内の液状物Mは、隔離層9に含浸されるモノマー、可塑剤、電解質塩、重合開始剤を主要成分としている。
【0026】モノマー供給器28は送給路28aを経てモノマーを溶解タンク27内に供給する。可塑剤供給器29は送給路29aを経て可塑剤を溶解タンク27内に供給する。電解質塩供給器30は送給路30aを経て電解質塩を溶解タンク27内に供給する。重合開始剤供給器31は送給路31aを経て重合開始剤を溶解タンク27内に供給する。前記したモノマーとしては300以下の低分子量とし、立体架橋剤として機能するもの、イオン伝導強化剤として機能するもの、親溶媒剤として機能するものが採用されている。これにより隔離層9におけるイオン伝導性、機械的強度、長期安定性、耐熱安定性が総合的に確保される。立体架橋剤は主に機械的強度の確保に貢献でき、ジアクリレートが挙げられる。ジアクリレートは重合の際に同時に架橋を行ない得る。イオン伝導強化剤は酸素や窒素などの強い極性を示すヘテロ原子を分子構造内にもつものやアクリレートが採用されている。親溶媒剤は主に隔離層9の長期安定性に貢献でき、アクリレートやオリゴオキシエチレンが挙げられる。可塑剤は隔離層9を構成するポリマーの主鎖を緩ませるため、主に隔離層9のイオン伝導性に貢献でき、エチレンカーボネイト(EC)とプロピレンカーボネイト(PC)とを混合した混合有機溶媒が採用されている(EC/DC=2/1)。電解質塩としてはリチウム塩(1〜2mol/L)が採用されており、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3等のうちの1種または2種以上を採用できる。重合開始剤としては過酸化ベンゾイルを採用できる。
【0027】隔離層搬送経路11においては、放射線発生装置21に対向するように計測器40が設けられている。計測器40は、隔離層9に吸収された放射線(例えば電子線)の量を計測するものである。図1に示すように、第1検査装置19は隔離層搬送経路11において溶解タンク27の下流側に配置されている。第2検査装置22は隔離層搬送経路11において放射線発生装置21の下流側に配置されている。第1検査装置19は、溶解タンク27の液状物Mに浸漬して接触させる接触操作を経た後の隔離層9のマーキングの状況を検査することにより、接触操作を経た後の隔離層9の劣化状況を検査するものである。第1検査装置19の検査信号のP1は第1制御装置41に入力される。第1制御装置41は、検査信号P1の結果に応じて、モノマー供給器28に指令信号K1を出力し、溶解タンク27へのモノマーの供給量を調整する。第1制御装置41は、検査信号P1の結果に応じて、可塑剤供給器29に指令信号K2を出力し、溶解タンク27への可塑剤の供給量を調整する。第1制御装置41は、検査信号P1の結果に応じて、電解質塩供給器30に指令信号K3を出力し、溶解タンク27への電解質塩の供給量を調整する。第1制御装置41は、検査信号P1の結果に応じて、重合開始剤供給器31に指令信号K4を出力し、溶解タンク27への重合開始剤の供給量を調整する。
【0028】第2検査装置22は、隔離層9に放射線を照射する照射操作を経た後の隔離層9のマーキングの劣化状況を検査することにより、照射操作を経た後の隔離層9の劣化状況を検査するものである。第2検査装置22の検査信号P2は第2制御装置42に入力される。検査信号P2の結果に応じて、第2制御装置42は、放射線発生装置21に指令信号K5を出力し、放射線発生装置21のビーム強度、ビーム電流を調整する。
【0029】本実施例においては、図1に示すように、正極1は、シート状の正極集電体(アルミニウム)1aに第1塗布装置13により正極材1cを塗布し、第1加熱装置14で加熱することにより形成される。正極材1cは、正極活物質(リチウムコバルト複合酸化物:LiCoO2)と、電導助剤(カーボンブラックまたは黒鉛粉末)と、これらを結着するバインダ(PEOまたはPAN)と、可塑剤(EC/PC=2/1)と、電解質塩(LiPF6)との混合材料で形成されている。負極5は、シート状の負極集電体5a(銅)に負極材5cを第2塗布装置15により塗布し、第2加熱装置16で加熱することにより形成される。負極材5cは、負極活物質(炭素質粉末)と、電導助剤(カーボンブラックまたは黒鉛粉末)と、これらを結着するバインダ(PEOまたはPAN)と、可塑剤(EC/PC=2/1)と、電解質塩(LiPF6)との混合材料で形成されている。
【0030】隔離層9は、フッ化ビニリデンと6フッ化プロピレンとの共重合体(P(Vdf−HFP))を主要成分とする薄いシート状のフィルム(目標厚み:10〜1000μm)で形成されている。溶解タンク27に浸漬する前の隔離層9の外面のほぼ全域には、予め、劣化判定用のマーキング9xが形成されている。劣化判定用のマーキング9xは対流模様で形成されている。具体的には、対流模様は、流動性をもつポリマー原液でフィルム状の隔離層9を形成する際に、対流が生じる温度に加熱する操作を経て形成された環状縞模様を備えたレーリーベナール対流模様とも呼ばれる模様である。
【0031】図2はマーキング9xをもつ隔離層9の製造過程の概念を示す。図2に示すように、まず、隔離層9となるポリマーを溶媒としてのアセトンに溶かしたポリマー原液を形成する(ステップS100)。次にポリマー原液を濾過し(ステップS200)する。更に濾過後のポリマー原液を脱泡し、泡を消失させる(ステップS300)。その後、キャスト法を行い(ステップS400)、潤滑性をもつ加熱盤400の表出面405にポリマー原液を流延して膜状に成膜する。このような成膜の際に、加熱盤400から伝達された熱により、加熱盤400上の膜410に対流が生じる。対流は対流模様を形成する。その後、乾燥(ステップS500)を経て、加熱盤400から隔離層9を剥離する(ステップS600)。更に、後乾燥(ステップS700)を経て、隔離層9を巻回してロール体とする(ステップS800)。上記した対流模様は、規制性を帯びたレーリーベナール対流模様とも呼ばれる対流模様で形成された劣化判定用のマーキング9xが隔離層9の外面のほぼ全域に、隔離層9の製造時に形成される。溶媒であるアセトンは、ステップS500〜ステップS700において、乾燥または減圧により除去される。
【0032】図3は、劣化前の対流模様の代表的形態の光学的顕微鏡で撮影した写真(倍率:200倍)を模式的に図示したものである。実際に非接触方式で対流模様の表面粗さを測定したところ、対流模様の表面粗さのプロフィールは山及び谷を備えており、表面粗さRaは1.0μm以下とされていた。図4は対流模様が劣化した状態を示す。隔離層9の表面粗さが粗くなり、隔離層9に形成した対流模様が劣化すると、隔離層9を構成するポリマーが化学結合レベルで損傷、破壊される。
【0033】本実施例においては、図1に示すように、電池の製造の際に、隔離層9は浸漬装置18の溶解タンク27内の液状物Mに浸漬され、溶解タンク27内の液状物Mと連続的に接触する。この結果、隔離層9の内部に溶解タンク27内の液状物Mが含浸し、隔離層9が膨潤する。このように本実施例に係る重合工程における接触操作が実施される。
【0034】上記したように接触操作を経た、つまり溶解タンク27から吐出された隔離層9の劣化判定用のマーキング9xに、検査光であるレーザビームが第1検査装置19から照射される。これにより隔離層9のマーキング9xの劣化状況、ひいては隔離層9の劣化状況が検査される。隔離層9の劣化が進行していないときには、隔離層9のマーキング9xの表面粗さRaは劣化前に比較してあまり変化しない。しかし隔離層9の劣化が進行しているときには、隔離層9を構成するポリマーはかなり劣化して消耗しているため、隔離層9のマーキング9xの表面粗さRaは増加して大きくなる。従って、マーキング9xの表面粗さが粗くなっているときには、上記した接触操作に起因して隔離層9の劣化が進行していると判定される。
【0035】接触操作に起因して隔離層9の劣化が進行している場合には、溶解タンク27の液状物Mにおける可塑剤の割合(濃度)が相対的に多いことを意味する。このため、第1制御装置41は、溶解タンク27のモノマーの割合を増加させる指令をモノマー供給器28に出力する。また第1制御装置41は、溶解タンク27の重合開始剤の割合を増加させる指令を重合開始剤供給器31に出力する。これにより溶解タンク27内の液状物Mに含まれている可塑剤の割合(濃度)を相対的に減少させる操作を行う。
【0036】図1から理解できるように、接触操作を経た、つまり溶解タンク27から吐出された隔離層9には、放射線発生装置21により、重合促進用の照射エネルギである放射線W(電子線)が照射される。これにより本実施例に係る重合工程における照射操作が実施される。このように放射線が照射されると、隔離層9における放射線グラフト重合が進行し、隔離層9におけるゲル化が進行する。
【0037】照射操作を経た隔離層9の劣化判定用のマーキング9xには、検査光であるレーザビームが第2検査装置22から照射される。これにより接触操作に起因する隔離層9のマーキング9xの劣化状況、ひいては隔離層9の劣化状況が検査される。第2検査装置22の検査信号P2は第2制御装置42に入力される。検査信号P2の結果に応じて、第2制御装置42は、放射線発生装置21に指令信号K5を出力し、放射線発生装置21の出力を調整する。照射操作に起因して隔離層9のマーキング9xの表面粗さが許容範囲よりも粗くなっているときには、放射線(電子線)の照射操作に起因して隔離層9の劣化が進行していると判定される。この場合には、放射線発生装置21の出力強度を低減させる。
【0038】その後、図1から理解できるように、ダブルロールである積層用ロール23により、隔離層9、正極1、負極5が加圧されて一体的に積層され、連続セルシート45が形成される。第3制御装置43に制御される切断装置25により、連続セルシート45は所定の長さに切断され、電池セル47が形成される。なお第1制御装置41、第2制御装置42、第3制御装置43は、主制御装置44により制御される。
【0039】図6に示すように、上記した電池セル47にはケース48が融着により外装され、カード型のリチウム電池である電池49が形成される。ケース48はアルミ箔とプラスチックとをラミネートしたものである。上記した電池セル47は、正極集電体1a及び正極材1cを有する正極1と、負極集電体5a及び負極材5cを有する負極5と、両者を隔離して短絡を抑えると共にリチウムイオン伝導体として機能できるゲル化した隔離層9とを、積層することにより構成されている。このような電池セル47をもつ電池49は、ゲルSPE型または疑似ゲルSPE型のポリマーリチウム電池とも呼ばれるものである。SPEはsolid polymer electrolyteを意味する。この電池49では、隔離層9は架橋構造をもちゲル化されているため、可撓性に富むばかりか、隔離層9に含まれている可塑剤や電解質塩の漏れは抑えられており、安全性が優れている。
【0040】なお本実施例では、製造に先立って、隔離層9を巻回したロール体のうち、隔離層9の始端部のみに、隔離層9の厚みを測定する厚み測定工程を実施する。即ち、図5に示すように、第4制御装置51により制御された放射線発生装置50から放射線W2(電子線)を、重合工程の接触操作前の隔離層9に照射する。これにより、隔離層9を透過した放射線W2(電子線)を計測器52で計測する。そして、隔離層9に入射された放射線の強度と、隔離層9を透過した放射線の強度とに基づいて、重合工程の接触操作を実施する前の隔離層9の厚みX1を求める。なお、厚み測定工程を実施した隔離層9の始端部は、後で廃棄処理するために、そのデータを主制御装置44の記憶媒体に記憶させておく。
【0041】図7〜図9は本実施例に係る製造工程を示すフローチャートを示す。このフローチャートを参照して本実施例に係る製造方法について更に説明を加える。図7に示すように、まず、前述したように、隔離層9の厚みを測定する厚み測定工程を実施する。具体的には、放射線発生装置50から放射線(電子線)を隔離層9に照射する(ステップS2)。目標加速電圧は200KeVとするが、これに限定されるものではない。そして隔離層9を透過した放射線(電子線)を計測する(ステップS4)。隔離層9に入射された放射線の強度と、隔離層9を透過した放射線の強度とに基づいて、隔離層の厚みX1を求め(ステップS6)、この厚みX1を記憶媒体に記憶しておく。更に、厚みを測定した隔離層9の始端部の長さである測定ロール長を、後で廃棄処理するため、記憶媒体に記憶しておく(ステップS8)。
【0042】その後、計測した隔離層9の厚みX1に対応するモノマーの量、隔離層9の厚みXに対応する可塑剤の量、隔離層9の厚みX1に対応する電解質塩の量、隔離層9の厚みX1に対応する重合開始剤の量を、計算でそれぞれ求める(ステップS10)。そして、計算で求めたモノマーの適量、可塑剤の適量、電解質塩の適量、重合開始剤の適量を各供給器28、29、30、31から溶解タンク27内に供給する。これにより隔離層9の厚みに対応するように、溶解タンク27内に収容されている液状物Mを構成するモノマー、可塑剤、電解質塩、重合開始剤の割合(濃度)が調整される。更に図8から理解できるように、隔離層9を溶解タンク27内の液状物Mに浸漬含浸させる(ステップS16)。更に、第1検査装置19から検査光であるレーザビームを隔離層9のマーキング9xに当てて、接触操作を経た隔離層9のマーキングの表面粗さを計測する(ステップS18)。更に、接触操作を経た隔離層9のマーキング9xの表面粗さの値Ra1を中心線平均粗さとして求める(ステップS20)。更に、上記した接触操作を経た隔離層9のマーキング9xの表面粗さの値Ra1が許容範囲内にあるか否か判定する(ステップS22)。ここで、接触操作を経た隔離層9のマーキングの表面粗さの値Ra1が粗いため、許容範囲外であれば、ステップS22からステップS24に進み、後で廃棄処理するため、不良部分として記憶媒体に記憶する。更に、溶解タンク27内の液状物Mの可塑剤の割合を低減させるべく、モノマー、重合開始剤を溶解タンク27内に多めに供給する指令を出力する(ステップS26)。
【0043】ステップS22において判定した結果、上記した接触操作を経た隔離層9のマーキング9xの表面粗さの値Ra1が粗くなく、許容範囲内にあれば、隔離層9はダメージを受けていない。このため、図9に示すステップS30に進み、放射線発生装置21から放射線(電子線)を隔離層9に照射する。目標加速電圧は200KeVとするが、これに限定されるものではない。更に、隔離層9を吸収された電子線を計測すると共に、照射操作を経た後の隔離層9のマーキング9xの表面粗さを計測する(ステップS32)。そして、照射操作を経た隔離層9のマーキング9xの表面粗さの値Ra2を、第2検査装置22により計測する(ステップS36)。また、隔離層9に入射された放射線の強度と、隔離層9を透過した放射線の強度とに基づいて、隔離層9の厚みX2を求め、記憶媒体に記憶しておく(ステップS36)。更に、照射操作を経た隔離層9のマーキングの表面粗さの値Ra2が許容範囲内にあるか否か判定する(ステップS8)。照射操作を経た隔離層9のマーキング9xの表面粗さの値Ra2が粗いため、許容範囲外であれば、ステップS38からステップS40に進み、不良部分として記憶媒体に記憶すると共に、放射線(電子線)のビーム強度を減少させる(ステップS42)。
【0044】ステップS38における判定の結果、上記した照射操作を経た隔離層9のマーキング9xの表面粗さの値Ra2が粗くなく、許容範囲内にあれば、ステップS38からステップS44に進み、隔離層9に吸収された放射線(電子線)の吸収線量を求めると共に、合計吸収線量を求める(ステップS44)。そして、合計吸収線量が許容範囲内か否か判定し、放射線グラフト重合反応を行うにあたり合計吸収線量が不足であれば、放射線(電子線)のビーム電流を増加する(ステップS48)。合計吸収線量が許容範囲内であれば、放射線グラフト重合反応が適切に行われたと解釈されるため、ステップS50に進み、連続セルシート45を切断装置25により切断し、電池セル47を形成する。
【0045】そして、記憶媒体に不良部分として記憶されているデータを読み出し(ステップS52)、その電池セル47が不良部分に該当するか否か判定する(ステップS54)。もし、その電池セル47が不良部分に該当すれば、ステップS56に進み、不良品として分別する。その電池セル47が不良部分でなければ、電池セル47に前記ケース48を外装すると共に(ステップS58)、ケース48の熱融着を図る(ステップS60)。
【0046】(第2実施例)図10は第2実施例を示す。本実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。従ってほぼ同一の機能を奏する部分には同一の符号を付する。但し、第1実施例では重合工程において液状物Mに浸漬させた後の隔離層9に放射線を照射して放射線グラフト重合している。しかし本実施例では、これに代えて、重合工程において液状物Mに浸漬させた後の隔離層9を加熱重合している。従って、放射線発生装置21に代えて、放射線発生装置21に該当する設置位置に、図10に示すように、隔離層9を加熱できる加熱装置61が設置されている。
【0047】本実施例においても、隔離層9を構成するポリマーに重合され得るモノマーを主要成分とする液状物Mが溶解タンク27に収容されている。そして、溶解タンク27内の液状物Mに隔離層9を浸漬させ、これにより溶解タンク27内の液状物Mと隔離層9とを接触させて含浸させる接触操作を行なう。更に、重合促進用の照射エネルギとして機能できる熱エネルギW4を、加熱装置61により隔離層9に照射させる照射操作を行なう。これにより隔離層9を構成するポリマーにモノマーが加熱重合される。
【0048】本実施例においても図10から理解できるように、重合工程における接触操作の後で、隔離層9に形成されている劣化判定用のマーキング9xの劣化状況を第1検査装置19により検査して、隔離層9の劣化状況を検査する。更に重合工程における照射操作の後で、隔離層9に形成されている劣化判定用のマーキングの劣化状況を第2検査装置22により検査して、隔離層9の劣化状況を検査する。上記したように重合工程を実施する前の隔離層9には劣化判定用のマーキング9xが施されているため、電池の製造途中において隔離層9の劣化の進行状況を把握するのに有利である。この結果、電池の品質向上に貢献できる。
【0049】(第3実施例)図11は第3実施例を示す。本実施例は第1実施例と基本的には同様の構成であり、基本的には同様の作用効果を奏する。但し、第1実施例では電池に適用していたが、本実施例では、電気二重層キャパシタとも呼ばれるキャパシタに適用したものである。キャパシタは、正極1Cと、負極5Cと、正極1C及び負極5Cを隔離する隔離層9Cと、LiBF4、LiPF6等の電解質塩を有機溶媒(プロピレンカーボネートなど)に溶かした電解質溶液400を収容するケース500とを備えている。
【0050】正極1Cは、充電時に電荷を蓄積できる細孔をもつ活性炭などの正極活物質を基材とし、正極活物質と導電助剤(例えば炭素粉末など)とをポリマーで結着して構成されている。負極5Cは、充電時に電荷を蓄積できる細孔をもつ活性炭などの負極活物質を基材として、負極活物質と導電助剤(例えば炭素粉末など)とをポリマーで結着して構成されている。正極1Cは正極集電体1xに接続されている。負極5Cは負極集電体5xに接続されている。
【0051】本実施例においても、キャパシタの製造工程においては、劣化判定用のマーキング9xが予め施されると共にポリマーを基材とする隔離層9Cを準備する。その後、隔離層9Cを構成するポリマーに重合され得るモノマーを主要成分とする液状物Mと、隔離層9Cとを接触させる接触操作を行う。更に、重合促進用の照射エネルギを隔離層9Cに照射させる照射操作を行なう。これにより隔離層9Cにおける重合を促進させる。
【0052】本実施例においても、接触操作を経た隔離層9Cの劣化判定用のマーキング9xの劣化状況を検査する第1検査工程を実施する。また照射操作を経た隔離層9の劣化判定用のマーキング9xの劣化状況を検査する第2検査工程を実施する。このため製造途中において隔離層9Cの劣化の進行状況を把握するのに有利であり、キャパシタの高品質化に貢献できる。
【0053】その他、本発明方法は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【0054】
【発明の効果】本発明方法によれば、隔離層に劣化判定用のマーキングが予め施されているため、電池またはキャパシタの製造途中において、劣化判定用のマーキングの劣化状況にもとづいて、隔離層の劣化の進行状況を把握するのに貢献できる。よって電池またはキャパシタの品質向上に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係り、電池の製造過程の要部を模式的に示す構成図である。
【図2】劣化判定用のマーキングをもつ隔離層を形成する過程を示すフローチャートである。
【図3】レーリーベナール対流模様と呼ばれる劣化前の対流模様を示す形態図である。
【図4】劣化した後の対流模様を示す形態図である。
【図5】厚み測定工程を実施している構成図である。
【図6】電池の内部構造を模式的に示す断面図である。
【図7】製造過程の一部を示すフローチャートである。
【図8】製造過程の他の一部を示すフローチャートである。
【図9】製造過程の別の一部を示すフローチャートである。
【図10】第2実施例に係り、電池の製造過程の要部を模式的に示す構成図である。
【図11】第3実施例に係り、キャパシタの構造を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
図中、1は正極、5は負極、9は隔離層、9xは劣化判定用のマーキング、18は浸漬装置、19は第1検査装置、21は放射線発生装置、22は第2検査装置、27は溶解タンク、Mは液状物を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】隔離層と正極と負極とを組み付けて電池またはキャパシタを製造する電池またはキャパシタの製造方法において、劣化判定用のマーキングが施されていると共にポリマーを基材とする隔離層を準備する準備工程と、前記隔離層を構成するポリマーに重合され得るモノマーを主要成分とする液状物と前記隔離層とを接触させる接触操作と、重合促進用の照射エネルギを前記隔離層に照射させる照射操作とを行い、前記隔離層における重合を促進させる重合工程と、前記重合工程における前記接触操作及び前記照射操作のうち少なくとも一方の後で、前記劣化判定用のマーキングの劣化状況を検査して、前記隔離層の劣化状況を検査手段により検査する検査工程と、を含むことを特徴とする電池またはキャパシタの製造方法。
【請求項2】請求項1において、前記劣化判定用のマーキングは、対流模様で形成されたマーキング、圧印で形成されたマーキング、高エネルギビームで形成された穴マーキングのうちの少なくとも一種であることを特徴とする電池またはキャパシタの製造方法。
【請求項3】請求項1または2において、前記照射エネルギは、放射線、光、プラズマ、熱のうちの少なくとも一種であることを特徴とする電池またはキャパシタ。
【請求項4】請求項1〜請求項3において、前記検査手段は、前記隔離層に施されている前記劣化判定用のマーキングに光をあてて検査する光学的検査手段であることを特徴とする電池またはキャパシタの製造方法。
【請求項5】請求項1〜請求項4において、前記検査手段は、前記隔離層に施されている劣化判定用のマーキングの劣化が進行しているときには、前記隔離層の劣化が進行していると判定することを特徴とする電池またはキャパシタの製造方法。
【請求項6】請求項1〜請求項5において、前記検査工程は、前記接触操作の後で前記劣化判定用のマーキングの劣化状況を検査し、前記接触操作による前記隔離層の劣化状況を検査する検査工程と、前記照射操作の後で前記劣化判定用のマーキングの劣化状況を検査し、前記照射操作による前記隔離層の劣化状況を検査する検査工程とを含むことを特徴とする電池またはキャパシタの製造方法。
【請求項7】請求項1〜請求項6において、前記検査工程で前記接触操作を経た後の前記隔離層が劣化していると判定されたときには、前記液状物におけるモノマーの割合を増加させるように前記液状物の組成を制御する制御操作を行うことを特徴とする電池またはキャパシタの製造方法。
【請求項8】請求項1〜請求項7において、前記検査工程で前記照射操作を経た後の前記隔離層が劣化していると判定されたときには、前記照射エネルギの強度を減少させる制御操作を行うことを特徴とする電池またはキャパシタの製造方法。
【請求項9】請求項1〜請求項8において、前記重合工程の前に、前記隔離層素材の厚みを測定する厚み測定工程を実施し、前記隔離層の厚みに応じて前記液状物の組成を調整する組成調整操作を行うことを特徴とする電池またはキャパシタの製造方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図6】
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【図11】
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【図7】
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【図10】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2001−307711(P2001−307711A)
【公開日】平成13年11月2日(2001.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−117918(P2000−117918)
【出願日】平成12年4月19日(2000.4.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】