電池カソード
電池を開示する。一部の実施形態では、電池は、酸化マンガンを包含する組成物を有するカソードを包含する。前記組成物は、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークをもつX線回折パターンを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池並びに関連組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池又は電気化学セルは、一般的に用いられる電気エネルギー供給源である。電池は、通常アノードと呼ばれる負の電極と、通常カソードと呼ばれる正の電極とを含有する。アノードは、酸化され得る活物質を含有し、カソードは、還元され得る活物質を含有又は消費する。アノード活物質は、カソード活物質を還元することができる。
【0003】
電池が装置内で電気エネルギー供給源として用いられるとき、電気的接触がアノード及びカソードになされ、電子が装置を貫流し、それぞれ酸化及び還元反応を生じて電力を提供する。アノード及びカソードに接触している電解質は、電極間のセパレータを貫流するイオンを含有して、放電中の電池全体の電荷の均衡を維持する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、電池並びに関連組成物及び方法に関する。
【0005】
一態様では、本発明は、リチウム電池などの電池のカソードで使用できるカソード活物質に関する。前記カソード活物質を包含する電池は、表面積を比較的小さくすることができ、したがって、異なるカソード活物質を備えた同等の電池に比べてガス放出(例えば、貯蔵時)を低減することができる。ゆえに、前記カソード活物質を包含する電池は、前記カソード活物質を包含しない同等の電池よりも、破裂する且つ/又は漏れる可能性を低くすることができる。さらに、前記カソード活物質を包含する電池は、電池容量の減少を引き起こし、且つ製造を複雑にすることになる、ガス発生を制御するための予備放電工程なしに動作させることができる。前記カソード活物質を包含する電池は、また、電気的性能を向上させることもできる(例えば、高電流負荷(high drains)時に高い容量を示すことができる)。より少量の前記カソード活物質を電池で使用して、より多量の異なるカソード活物質を包含する別の電池の電気的性能と同等の電気的性能を達成することができる。ゆえに、前記カソード活物質を包含する電池は、前記カソード活物質を包含しない同等の電池よりも、他の電池構成成分のために利用可能な空間をより多く有することができる。
【0006】
他の態様では、本発明は、約18度に1つのピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークを有するX線回折パターンをもつ組成物を包含するカソードを備えた電池を特色とする。前記組成物は、酸化マンガンを包含する。
【0007】
さらなる態様では、本発明は、約18度に1つのピーク、約22度に第2のピークを有するX線回折パターンをもつ組成物を包含するカソードを備えた電池を特色とする。前記組成物は、また、約550ppmにピークをもつリチウムNMRスペクトルも有する。前記組成物は、酸化マンガンを包含する。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、電池を製造する方法を特色とする。前記方法は、酸素が約21パーセントを超える雰囲気中で酸化マンガンを加熱すること、及び酸化マンガンを電池のカソードに組み込むことを含む。
【0009】
他の態様では、本発明は、その中に電解質とアノードとカソードとがあるハウジングを包含する、電気化学セルを特色とする。前記アノードは、リチウム、又はリチウムを包含する合金を含有する。前記カソードは、酸化マンガンを包含する組成物を含有し、約18度に1つのピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークをもつX線回折パターンを有する。
【0010】
他の態様では、本発明は、最低約40℃の温度で酸化マンガンをリチウム化すること、及び酸化マンガンを電池のカソードに組み込むことを包含する、電池を製造する方法を特色とする。
【0011】
さらなる態様では、本発明は、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークを包含するX線回折パターンを有する、酸化マンガンを含む組成物を特色とする。
【0012】
他の態様では、本発明は、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピークを含むX線回折パターンを有する、酸化マンガンを含む組成物を特色とする。前記組成物は、また、約550ppmにピークをもつリチウムNMRスペクトルも有する。
【0013】
他の態様では、本発明は、酸素が約21パーセントを超える雰囲気中で酸化マンガンを加熱してカソードを形成する工程を含む、カソードを製造する方法を特色とする。
【0014】
諸実施形態は、以下の特徴のうちの1以上を包含することができる。
【0015】
電池は、1次電池又は2次電池とすることができる。
【0016】
組成物は、リチウムをさらに包含することができる。前記組成物は、式LixMnOyを有することができる(式中、0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である)。一部の実施形態では、組成物は、電池の放電前にこの式を有することができる。特定の実施形態では、0.1≦x≦0.25(例えば、0.15≦x≦0.25)である。一部の実施形態では、1.9≦y≦2.0又は1.85≦y≦1.95である。
【0017】
前記組成物は、約25m2/グラム以下(例えば、約11m2/グラム〜約25m2/グラム)のBET表面積を有することができる。組成物は、約11m2/グラムのBET表面積を有することができる。
【0018】
前記組成物のX線回折パターンは、約32度のピークを包含することができる。一部の実施形態では、前記組成物の前記X線回折パターンは、約41.6度のピーク及び約42.6度のピークを包含することができる。前記組成物の前記X線回折パターンは、約54度のピーク及び/又は約28度のピークを包含することができる。特定の実施形態では、前記組成物の前記X線回折パターンは、約37度のピークを包含することができる。前記組成物の前記X線回折パターンは、約24度のピークを包含することができる。
【0019】
酸化マンガンは、実質的に軟マンガン鉱を包含しないものとすることができる。前記酸化マンガンは、ラムスデル鉱を包含することができる。前記酸化マンガンは、形式酸化状態約+3.0〜約+4.0(例えば、約+3.9)のマンガンを包含することができる。前記酸化マンガンは、二酸化マンガン(例えば、電解二酸化マンガン)とすることができる。前記酸化マンガンは、リチウムを包含することができる。
【0020】
カソードは、最小約150mAh/グラム(例えば、約250mAh/グラム〜約350mAh/グラム)の容量を有することができる。
【0021】
電池は、最小約1.5ボルトの開路電圧及び/又は閉路電圧を有することができる。前記電池は、最大約20アンペアまでの電流容量を有することができる。
【0022】
アノードは、リチウム−アルミニウム合金を包含することができる。
【0023】
電解質は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、又はそれらの組み合わせを包含することができる。
【0024】
前記方法は、酸素約60パーセント〜約100パーセントの雰囲気中で酸化マンガンを加熱することを包含することができる。
【0025】
前記方法は、約300℃〜約500℃(例えば、約400℃〜約500℃、約440℃〜約490℃、約445℃〜約455℃)の温度で酸化マンガンを加熱することを包含することができる。前記方法は、約450℃の温度で前記酸化マンガンを加熱することを包含することができる。前記方法は、最長約48時間(例えば、約6時間〜約12時間)にわたって前記酸化マンガンを加熱することを包含することができる。前記方法は、約1時間にわたって前記酸化マンガンを加熱する工程を包含することができる。
【0026】
加熱された後において、前記酸化マンガンは、式LixMnOyを有することができる(式中、0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である)。一部の実施形態では、0.1≦x≦0.25(例えば、0.15≦x≦0.25)である。特定の実施形態では、1.9≦y≦2.0又は1.85≦y≦1.95である。
【0027】
加熱される前において、前記酸化マンガンは、式LixMnO2を有することができ、xを最小約0.11とすることができる。一部の実施形態では、xを最大約0.5(例えば、最大約0.25)とすることができる。特定の実施形態では、酸化マンガンは、加熱される前において、式Li0.11MnO2を有することができる。
【0028】
前記方法は、前記酸化マンガンを加熱する前に前記酸化マンガンをリチウム化することをさらに包含することができる。酸化マンガンをリチウム化することは、前記酸化マンガンを、硝酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、又は臭化リチウムなどの塩と接触させることを包含することができる。前記酸化マンガンをリチウム化することは、前記酸化マンガンを水酸化リチウムと接触させることを包含することができる。前記方法は、最低約30℃(例えば、最低約40℃、最低約50℃)の温度で前記酸化マンガンをリチウム化することを包含することができる。一部の実施形態では、前記酸化マンガンを約100℃以上の温度で(例えば、熱水条件下で)リチウム化することができる。特定の実施形態では、前記酸化マンガンを約40℃〜約150℃(例えば、約50℃〜約120℃)の温度でリチウム化することができる。一部の実施形態では、前記方法は、約60℃、約80℃、又は約100℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化することを包含することができる。
【0029】
本発明の他の態様、特徴、及び利点は、図面、説明、及び請求項にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1を参照すると、1次電気化学セル10は、負のリード14と電気接触しているアノード12と、正のリード18と電気接触しているカソード16と、セパレータ20と、電解溶液とを包含する。アノード12、カソード16、セパレータ20、及び電解溶液は、ケース22内に収められる。電解溶液には、溶媒系と、溶媒系に少なくともいくらか溶解した塩とが含まれる。電気化学セル10は、キャップ24及び環状絶縁ガスケット26、並びに安全弁28をさらに包含する。
【0031】
一部の実施形態では、カソード16は、カソード活物質として、セル10の性能を高めることのできるリチウムマンガン酸化物組成物(例えば、公称LixMnO2)を包含する。例えば、前記リチウムマンガン酸化物は、セル10の容量を向上させることができる。さらに、後述するように、前記リチウムマンガン酸化物は、比較的小さいBET表面積を有するものと特徴付けることができ、このことが、ガス放出の低減、及びセルの漏れの可能性の低減をもたらすことができる。前記リチウムマンガン酸化物は、また、比較的大きい細孔容積を有するもの、したがって電気化学的に活性な比較的大きい表面積を有するものと特徴付けることもできる。比較的大きい細孔容積を有する前記リチウムマンガン酸化物がもたらす結果として、放電時のセルの分極を低減し、それに対応して電池寿命を延長することができる。あるいは、又はさらに、前記リチウムマンガン酸化物は、比較的大きい平均細孔直径を有するものと特徴付けることもできる。比較的大きい平均細孔直径をもつ前記リチウムマンガン酸化物は、電解質が前記リチウムマンガン酸化物に接近するのを改善し、濃度分極を低減する(電解質をより一様に分布させる)ことができる。その結果、セルは、高電流放電時に(例えば、デジタルカメラなど、電池に比較的大きい負荷をかけた結果として)、比較的高い動作電圧を提供することができる。
【0032】
リチウムマンガン酸化物は、公称式LixMnOyによって表され、0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である。一部の実施形態では、xを、最小0.05(例えば、最小約0.1、最小約0.15、最小約0.17、最小約0.2)、且つ/又は最大0.25(例えば、最大約0.2、最大約0.17、最大約0.15、最大約0.1)とすることができる。あるいは、又はさらなる方法として、yを、最小約1.8(例えば、最小約1.85、最小約1.9、最小約1.95)、且つ/又は最大約2.0(例えば、最大約1.95、最大約1.9、最大約1.85)とすることができる。リチウムマンガン酸化物の実験的組成(empirical composition)は、元素分析によって決定することができる。
【0033】
リチウムマンガン酸化物が非化学量論的であるときなど、一部の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物をマンガンの形式酸化状態によって特徴付けることができる。特定の実施形態では、マンガンの形式酸化状態を、最小約+3.0(例えば、最小約+3.1、最小約+3.2、最小約+3.3、最小約+3.4、最小約+3.5、最小約+3.6、最小約+3.7、最小約+3.8、最小約+3.9)、且つ/又は最大約+4.0(例えば、最大約+3.9、最大約+3.8、最大約+3.7、最大約+3.6、最大約+3.5、最大約+3.4、最大約+3.3、最大約+3.2、最大約+3.1)とすることができる。例えば、前記マンガンは、約+3.9〜約+4.0(例えば、約+3.9)の形式酸化状態を有することができる。
【0034】
前記リチウムマンガン酸化物は、また、特徴的なX線回折パターンによって識別することもできる。図2を参照すると、前記X線回折パターンは、約37度のピーク(100パーセント)を包含することができる。前記X線回折パターンは、約18度のピーク(34パーセント)及び約22度のピーク(57パーセント)を包含することができる。前記X線回折パターンは、さらに、約32度のピーク(33パーセント)、約41.6度のピーク(30パーセント)、約42.6度のピーク(33パーセント)、及び/又は約54度のピーク(24パーセント)も包含することができる。特定の実施形態では、前記X線回折パターンは、約57度のピーク(35パーセント)を包含することができる。特定の実施形態では、前記X線回折パターンは、約18度のピーク(34パーセント)、約22度のピーク(57パーセント)、約32度のピーク(33パーセント)を包含することができる。
【0035】
特定の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、約28度にピーク(25パーセント)をもつX線回折パターンを有する。理論に束縛されるものではないが、前記約28度のX線回折ピークは、リチウムマンガン酸化物中の軟マンガン鉱の存在を示すと考えられている。特定の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物を、実質的に前記軟マンガン鉱を包含しないものとすることができ、その結果、前記リチウムマンガン酸化物の前記X線回折パターンは、約28度に有意なピークをもたなくなる(28度のピークが相対強度約5パーセント未満になる)、又は約28度に観測可能なピークをもたなくなる。リチウムマンガン酸化物中の軟マンガン鉱の量が減少するにつれて、前記リチウムマンガン酸化物の表面積、したがって前記リチウムマンガン酸化物によるガス発生の程度も低減することができる。
【0036】
一部の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、約24度にピーク(57パーセント)をもつX線回折パターンを有する。理論に束縛されるものではないが、約24度のX線回折ピークは、前記リチウムマンガン酸化物中のラムスデル鉱の存在を示すと考えられている。前記リチウムマンガン酸化物中のラムスデル鉱の量が増加するにつれて、電池10の放電電圧及び電流容量を増大させることができる。
【0037】
リチウムマンガン酸化物のX線回折パターンは、酸化物を形成するために使用される特定のプロセスによって影響を受ける場合がある。例えば、後述するように、一部の実施形態では、酸化マンガンをリチウム化し(すなわち、前記酸化マンガンの結晶格子にリチウムイオンを挿入し)、続いてリチウム化された前記酸化マンガンを熱処理することによって、リチウムマンガン酸化物を形成することができる。形成される前記リチウムマンガン酸化物の特定の相は、例えば、リチウム化が実施される温度、酸化物中のリチウムの最終濃度、熱処理プロトコル、及び/又は熱処理環境内の酸素濃度によって決まると考えられている。一例として、リチウム化の温度が上昇するにつれて、酸化マンガンによるリチウムの捕捉の程度も増大することができる。ゆえに、最終リチウムマンガン酸化物は、比較的高いリチウム含有量を有することができ、またそのことによって前記酸化物に比較的大きい容量をもたせることができる。さらなる例として、リチウム化の温度が上昇するにつれて、前記最終リチウムマンガン酸化物中に存在するプロトンの量、したがって前記最終リチウムマンガン酸化物によるガス発生の程度を低減することができる。他の例として、熱処理環境内の酸素の濃度が上昇するにつれて、前記最終リチウムマンガン酸化物の表面積を低減することができる(したがって、前記最終リチウムマンガン酸化物によるガス発生の程度も低減することができる)。
【0038】
ここで図3を参照すると、一部の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、約550ppmにピークを包含するリチウムNMRスペクトルを有することができる。理論に束縛されるものではないが、このピークは、前記リチウムマンガン酸化物中のカチオン空孔サイトから、リチウムカチオンが、リチウム化された酸化マンガンのラムスデル鉱結晶格子間のトンネルへと移動したことを示すと考えられている。
【0039】
前述のように、前記リチウムマンガン酸化物は、さらに、比較的小さい表面積を有するものと特徴付けることができる。比較的小さい表面積をもつカソード活物質を包含するセルは、大きい表面積をもつカソード活物質を包含するセルよりもガス発生が少ない場合がある。特定の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、約100m2/グラム以下(例えば、約80m2/グラム以下、約50m2/グラム以下、約25m2/グラム以下、約20m2/グラム以下、約15m2/グラム以下、約10m2/グラム以下、約5m2/グラム以下、約1m2/グラム以下)、且つ/又は約0.4m2/グラム以上(例えば、約1m2/グラム以上、約5m2/グラム以上、約10m2/グラム以上、約15m2/グラム以上、約20m2/グラム以上、約25m2/グラム以上、約50m2/グラム以上、約80m2/グラム以上)のBET表面積を有することができる。例えば、一部の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、約11m2/グラム〜約25m2/グラム(例えば、約11m2/グラム)のBET表面積を有することができる。
【0040】
一部の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、60℃で4週間にわたってガス約60立方センチメートル未満(例えば、約50立方センチメートル未満、約40立方センチメートル未満、約30立方センチメートル未満、約20立方センチメートル未満)のガス発生速度を有することができる。あるいは、又はさらなる方法として、前記リチウムマンガン酸化物は、60℃で4週間にわたってCO2ガス約15立方センチメートル超過(例えば、約20立方センチメートル超過、約30立方センチメートル超過、約40立方センチメートル超過、約50立方センチメートル超過)のガス発生速度を有することができる。
【0041】
異なる2つの試験、すなわち:ホイルバッグガス試験(foil bag gas test)及びセル内ガス試験(in-cell gas test)のうちの一方を使用して、リチウムマンガン酸化物のCO2ガス発生速度を決定することができる。ホイルバッグガス試験(foil bag gas test)では、1.8グラムの電解質と、6.5グラムのリチウム化された酸化マンガンとを、アルミナイズドマイラー(Mylar)バッグ内に封止し、60℃で保管する。電解質は、20重量パーセントのプロピレンカーボネートと、10重量パーセントのエチレンカーボネートと、70重量パーセントのジメトキシエタンとを包含する溶媒に、0.65Mのリチウムトリフルオロメタンスルホネート(LiTFS)を溶解させたものである。次いで、ガス放出を水中置換及び水中重量によって決定する。セル内ガス試験(in-cell gas test)では、1.8グラムの電解質と、エキスパンデッドステンレス鋼グリッド上の6.5グラムのリチウム化された酸化マンガンとを、けん縮していない2/3Aセル内に加える。電解質は、20重量パーセントのプロピレンカーボネートと、10重量パーセントのエチレンカーボネートと、70重量パーセントのジメトキシエタンとを包含する溶媒に、0.65Mのリチウムトリフルオロメタンスルホネート(LiTFS)を溶解させたものである。また、約0.5グラムのリチウム金属と、ミクロ孔質ポリプロピレンの2つのストリップを包含するセパレータとを、セル内に加える。上部絶縁体及び底部絶縁体を、同様にセル内に加える。すべての構成成分をセル内に加えた後、セルの上にキャップをはめ、セルを予め約6パーセント〜約8パーセント放電させる。次いで、セルをアルミナイズドマイラー(Mylar)バッグ内に封止し、60℃で保管する。ガス放出を水中置換及び水中重量によって決定する。
【0042】
あるいは、又はさらなる方法として、前記リチウムマンガン酸化物は、比較的大きい細孔容積を有するものと特徴付けることもできる。特定の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、1グラム当たり最小0.03立方センチメートル(例えば、1グラム当たり最小0.04立方センチメートル、1グラム当たり最小0.05立方センチメートル)、且つ/又は1グラム当たり最大0.06立方センチメートル(例えば、1グラム当たり最大0.05立方センチメートル、1グラム当たり最大0.04立方センチメートル)の細孔容積を有することができる。
【0043】
特定の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、比較的大きい平均細孔直径を有するものと特徴付けることができる。一部の実施形態では、カソード活物質は、最小約80Å(例えば、最小約100Å、最小約150Å、最小約200Å、最小約250Å)、且つ/又は最大約300Å(例えば、最大約250Å、最大約200Å、最大約150Å、最大約100Å)の平均細孔直径を有することができる。
【0044】
一部の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、前述の向上された特性(例えば、比較的大きい細孔容積)のうちの1以上を有すると同時に、また、他のカソード活物質の密度と少なくとも同等の密度も有することができる。カソード活物質の密度が増大するにつれて、そのカソード活物質によって占められるセル空間の量が減少し、より密度の高いカソード活物質を包含するそのようなセルは、より密度の低いカソード活物質を包含する同等のセルよりも小さくすることができる。あるいは、又はさらなる方法として、より密度の高いカソード活物質を包含するセルは、より密度の低いカソード活物質を包含する同等のセルよりも、他のセル構成成分により多くの空間を提供することができる。特定の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、1立方センチメートル当たり最低約4グラム(例えば、1立方センチメートル当たり最低約4.1グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.2グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.3グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.4グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.5グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.6グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.7グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.8グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.9グラム)、且つ/又は1立方センチメートル当たり最高約5グラム(例えば、1立方センチメートル当たり最高約4.9グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.8グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.7グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.6グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.5グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.4グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.3グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.2グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.1グラム)の密度を有することができる。
【0045】
前記リチウムマンガン酸化物は、電気化学セル10が良好な電気的性能を示すことができるように、比較的大きい容量を有することができる。一部の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、約150mAh/グラム以上(例えば、約195mAh/グラム以上、約215mAh/グラム以上、約250mAh/グラム以上、約280mAh/グラム以上、約300mAh/グラム以上)、且つ/又は約350mAh/グラム以下(例えば、約300mAh/グラム以下、約280mAh/グラム以下、約250mAh/グラム以下、約215mAh/グラム以下、約195mAh/グラム以下)の容量を有することができる。特定の実施形態では(例えば、約100オーム以下など、セル10が比較的低い電流で放電される特定の実施形態では)、前記リチウムマンガン酸化物は、約250mAh/グラム〜約350mAh/グラムの容量を有することができる。一部の実施形態では(例えば、約5ワット以上など、セル10が比較的高い電流で放電される一部の実施形態では)、前記リチウムマンガン酸化物は、約150mAh/グラム〜約280mAh/グラムの容量を有することができる。
【0046】
カソード16は、カソード活物質(例えば、リチウムマンガン酸化物)をその上にコーティングできる、ないしは別の方法で付着させることのできる、集電体を包含する。前記集電体は、正のリード18と接触している領域と、カソード活物質と接触している第2の領域とを有することができる。前記集電体は、正のリード18とカソード活物質との間に電気を伝える働きをする。前記集電体は、頑丈で、良好な導電体である(固有抵抗の低い)材料、例えば、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、又はアルミニウム合金などの金属で作製することができる。前記集電体が取ることのできる1つの形態は、不織エキスパンデッド金属ホイルのようなエキスパンデッド金属スクリーン又はグリッドである。ステンレス鋼、アルミニウム、又はアルミニウム合金のグリッドは、エクスメット社(Exmet Corporation)(コネチカット州ブランフォード(Branford))から入手可能である。
【0047】
一部の実施形態では、カソードは、カソード材料(例えば、リチウムマンガン酸化物)を集電体上にコーティングし、乾燥させ、次いでコーティングされた集電体をカレンダ加工することによって作製することができる。前記カソード材料は、活物質を、結合剤、溶媒/水、及び炭素源など、他の構成成分とともに混合することによって調製される。例えば、前記カソード材料を形成するために、リチウムマンガン酸化物などの活物質を炭素(例えば、グラファイト及び/又はアセチレンブラック)と組み合わせ、少量の水と混合することができる。次いで、集電体をカソードスラリーでコーティングして、カソードを形成することができる。
【0048】
円筒形セルでは、カソード集電体の一部分がロールの一端から軸方向に延びる状態で、アノードとカソードとを螺旋状に巻き合わせることができる。ロールから延びる集電体の部分は、カソード活物質を包含しないことが可能である。前記集電体を外部接点に接続するために、前記集電体の露出端部を外部電池接点と電気的に接触している金属タブに溶接することができる。グリッドは、機械方向、機械方向における牽引方向、機械方向に垂直な方向、又は牽引方向に垂直な方向に巻くことができる。グリッド及びタブアセンブリの伝導度を最小限に抑えるために、タブをグリッドに溶接することができる。或いは、前記集電体の露出端部は、外部電池接点と電気的に接触している正のリードと機械的に接触している(すなわち溶接されていない)ことも可能である。機械的接触を有するセルは、溶接接触を有するセルよりも製造に必要な部品及び工程を少なくすることができる。特定の実施形態では、露出したグリッドをロールの中心に向かって曲げて、ロールの軸上のクラウンの最も高い点が円筒形セルの中心に対応する、ドーム又はクラウンを作り出すことによって、機械的接触の有効性を高めることができる。前記クラウンの構成では、グリッドは、成形されていない形態の場合よりも密集したストランド配置を有することができる。前記クラウンは規則正しく折り畳まれることができ、前記クラウンの寸法は精密に制御することができる。
【0049】
カソード活物質がリチウムマンガン酸化物を包含する一部の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、二酸化マンガンをリチウム化し、続いてリチウム化された二酸化マンガンを熱処理することによって形成することができる。リチウム化の間に、リチウムイオンが二酸化マンガンの結晶格子内の水素イオンと置換し、熱処理の間に、リチウム化された二酸化マンガンから残留水分及び表面水分が除去される。二酸化マンガンは、例えば、電解合成された二酸化マンガン(EMD)、化学合成された二酸化マンガン(CMD)、又はEMDとCMDの組み合わせ(例えば、ブレンド)であることができる。二酸化マンガンの販売業者としては、カー・マギー社(Kerr-McGee Corp.)(例えば、トロナD(Trona D)及び高性能EMD(high-power EMD)の製造業者)、東ソー社(Tosoh Corp.)、デルタ・マンガニーズ(Delta Manganese)、デルタEMD社(Delta EMD Ltd.)、三井化学(Mitsui Chemicals)、ERACHEM、及びJMCが挙げられる。一部の実施形態では、提供される二酸化マンガンは、二酸化マンガン結晶格子に挿入されたプロトンを包含することができる(例えば、前記二酸化マンガンが製造されるときにプロトンを前記二酸化マンガン結晶格子に挿入することができる)。
【0050】
前記二酸化マンガンは、多種多様な方法のいずれかによってリチウム化することができる。一例として、リチウム塩にさらすことによって前記二酸化マンガンをリチウム化することができる。例えば、水酸化リチウムなどの強塩基性リチウム塩にさらすことによって二酸化マンガンをリチウム化することができる。前記二酸化マンガンをリチウム化するために使用できるリチウム塩の他の例としては、硝酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4)、及びテトラクロロ没食子酸リチウム(LiGaCl4)が挙げられる。一部の実施形態では、前記リチウム塩は、水溶液中のものであることができる。特定の実施形態では、前記リチウム塩(例えば、水酸化リチウム、硝酸リチウム、又はそれらの混合物)は、非水性媒体(例えば、スルホラン、又はスルホランとエーテルとの混合物)中のものであることができる。一部の実施形態では、前記リチウム塩(例えば、LiAlCl4、LiGaCl4)は、溶融形態であることができる。そのような一部の実施形態では、前記リチウム塩は、溶融媒体(例えば、テトラクロロアルミン酸エチルメチルイミダゾリウム)中のものであることができる。二酸化マンガンが前記リチウム塩にさらされるときには、リチウム塩由来のリチウムカチオンは、二酸化マンガン結晶格子内のプロトンとイオン交換してLixMnO2を形成することができ、その際、xは最小約0.11且つ/又は最大約0.25である(例えば、xは約0.11である)。このリチウム化プロセス中にプロトンが一般にリチウムカチオンと交換されるので、前記二酸化マンガン中のマンガンの形式酸化状態は、リチウム化の結果としてはほとんど変化しない可能性がある。このことは、マンガンの形式酸化状態の大幅な減少が放電容量の比較的低いリチウム化された二酸化マンガンをもたらすことになることから、有益な可能性がある。酸化マンガン化合物のリチウム化については、例えば、米国特許第6,190,800号(イルチェフ(Iltchev)ら)に記載されており、その特許を本明細書に参考として組み込む。
【0051】
さらなる例として、二酸化マンガン(例えば、EMD)を炭酸リチウムでメカノケミカルに処理して(例えば、反応性ミリングにより)、前記二酸化マンガンをリチウム化することができる。前記二酸化マンガンのメカノケミカルなリチウム化については、例えば、米国特許第6,403,257B1号(クリスチャン(Christian)ら)に記載されており、その特許を本明細書に参考として組み込む。
【0052】
他の例として、二酸化マンガンを、電気化学的プロセスによってリチウム化することができる。例えば、前記二酸化マンガンをカソードへと成形し、リチウムアノード、及びリチウム塩を含有する電解質とともに、電池内に置くことができる。次いで、電池を部分的に放電させることができ、それによって前記二酸化マンガンをリチウム化することができる。次いで、リチウム化された二酸化マンガンをセルから取り出し、熱処理することができる。
【0053】
前記二酸化マンガンは、室温(25℃)で、又はより高い温度でリチウム化することができる。理論に束縛されるものではないが、リチウム化プロセス温度の上昇が、リチウムカチオンと前記二酸化マンガン中のプロトンとのイオン交換率を増大させることによって、リチウム化の程度を増大できると考えられている。一部の実施形態では、前記二酸化マンガンを、最低約30℃(例えば、最低約40℃、最低約50℃、最低約60℃、最低約70℃、最低約80℃、最低約90℃、最低約100℃、最低約110℃、最低約120℃)、且つ/又は最高約150℃(例えば、最高約140℃、最高約130℃、最高約120℃、最高約110℃、最高約100℃、最高約90℃、最高約80℃、最高約70℃、最高約60℃、最高約50℃、最高約40℃)の温度でリチウム化することができる。例えば、前記二酸化マンガンを、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、又は約100℃の温度でリチウム化することができる。
【0054】
リチウム化後、前記二酸化マンガンは、最高約2重量パーセントまでのリチウムを包含することができる。特定の実施形態では、二酸化マンガンは、最低約0.8重量パーセント(例えば、最低約0.85重量パーセント、最低約0.9重量パーセント、最低約0.95重量パーセント、最低約1重量パーセント、最低約1.05重量パーセント、最低約1.1重量パーセント、最低約1.15重量パーセント、最低約1.2重量パーセント、最低約1.25重量パーセント)、且つ/又は最高約1.3重量パーセント(例えば、最高約1.25重量パーセント、最高約1.2重量パーセント、最高約1.15重量パーセント、最高約1.1重量パーセント、最高約1.05重量パーセント、最高約1重量パーセント、最高約0.95重量パーセント、最高約0.9重量パーセント、最高約0.85重量パーセント)のリチウムを包含することができる。例えば、前記二酸化マンガンは、約0.85重量パーセントのリチウム、約0.95重量パーセントのリチウム、又は約1.2重量パーセントのリチウムを包含することができる。一部の実施形態では、前記二酸化マンガンは、1.19重量パーセントのリチウムを包含することができる。
【0055】
一部の実施形態では、リチウム化プロセス後、リチウム化された二酸化マンガンは、酸素を包含する雰囲気(例えば、約21パーセント超過の酸素を包含する雰囲気)中で加熱されて、カソード活物質を形成する。リチウム化された酸化マンガンは、例えば、箱型炉(例えば、モデル番号:HTF55347C 3ゾーン式管状炉、ノースカロライナ州アシュビル(Asheville)のリンドバーグ/ブルーM(Lindberg/Blue M)より)、又は回転窯を使用して、加熱することができる。一部の実施形態では、前記リチウム化された酸化マンガンを、攪拌を使用して(例えば、炉と併せて使用して)加熱することができる。前記リチウム化された酸化マンガンが炉と攪拌との両方を使用して加熱される実施形態では、攪拌が、前記リチウム化された酸化マンガンを炉壁と接触させることによって反応時間を短縮することができ、また、前記リチウム化された酸化マンガンの空気及び/又は酸素への曝露を増加させることによって、前記リチウム化された酸化マンガンからの水分除去を増進することができる。前記リチウム化された酸化マンガンの熱処理は、前記リチウム化された二酸化マンガンから水分(例えば、表面水分)を除去することができ、その結果、前記リチウム化された二酸化マンガンによるガス発生を低減することができる。理論に束縛されるものではないが、雰囲気中の酸素は、前記リチウム化された二酸化マンガンが加熱されるときに前記二酸化マンガンから酸素が失われるのを防ぐのに役立つことができ、またMn2O3形成を制限するのに役立つことができると考えられており、このことは、前記リチウム化された酸化マンガン中に存在するMn2O3の量が増加するにつれて電池の電気化学的性能が低下する可能性があることから、有利である。一部の実施形態では、前記リチウム化された二酸化マンガンを、約40パーセント超過の酸素(例えば、約50パーセント超過の酸素、約60パーセント超過の酸素、約70パーセント超過の酸素、約80パーセント超過の酸素、約90パーセント超過の酸素)を包含する雰囲気中で加熱することができる。あるいは、又はさらなる方法として、前記リチウム化された二酸化マンガンを、約100パーセント未満の酸素(例えば、約90パーセント未満の酸素、約80パーセント未満の酸素、約70パーセント未満の酸素、約60パーセント未満の酸素、約50パーセント未満の酸素、約40パーセント未満の酸素)を包含する雰囲気中で加熱することもできる。例えば、前記リチウム化された二酸化マンガンを、約60パーセント〜約100パーセントの酸素(例えば、約85パーセントの酸素)を包含する雰囲気中で加熱することができる。特定の実施形態では、前記リチウム化された二酸化マンガンを、約100パーセントの酸素を包含する雰囲気中で加熱することができる。
【0056】
熱処理の間、前記リチウム化された二酸化マンガンを、例えば、約300℃以上(例えば、約325℃以上、約350℃以上、約375℃以上、約400℃以上、約420℃以上、約425℃以上、約450℃以上、約475℃以上)、且つ/又は約500℃以下(例えば、約475℃以下、約450℃以下、約425℃以下、約420℃以下、約400℃以下、約375℃以下、約350℃以下、約325℃以下)の温度に加熱することができる。例えば、リチウム化された二酸化マンガンを、約300℃〜約500℃(例えば、約400℃〜約500℃、約420℃〜約500℃、約440℃〜約490℃、約445℃〜約455℃)の温度に加熱することができる。特定の実施形態では、前記リチウム化された二酸化マンガンを、約350℃、約400℃、約450℃、又は約480℃の温度に加熱することができる。
【0057】
一部の実施形態では、前記リチウム化された二酸化マンガンを、酸素雰囲気中で最長約48時間(例えば、最長約36時間、最長約24時間、最長約12時間、最長約6時間、最長約2時間、最長約1時間、最長約30分、最長約15分、最長約10分、最長約5分)、及び/又は最短約1分(例えば、最短約5分、最短約10分、最短約15分、最短約30分、最短約1時間、最短約2時間、最短約6時間、最短約12時間、最短約24時間、最短約36時間)にわたって加熱することができる。特定の実施形態では、リチウム化された二酸化マンガンを、酸素雰囲気中で約1時間〜約12時間(例えば、約1時間〜約6時間、約1時間〜約3時間)の期間にわたって加熱することができる。一部の実施形態では、前記リチウム化された二酸化マンガンを酸素雰囲気中で約1時間にわたって加熱することができる。
【0058】
アノード12は、普通はアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム)の形態の、アノード活物質を包含することができる。前記アノードは、アルカリ金属(例えば、リチウム)とアルカリ土類金属との合金、又はアルカリ金属とアルミニウムとの合金を包含することができる。例えば、前記アノード12は、リチウム−アルミニウム合金を包含することができる。あるいは、又はさらなる方法として、前記アノード12は、LiC6、Li4Ti5O12、又はLiTiS2などのリチウム挿入化合物を包含することができる。前記アノードは、基材とともに又は基材なしで用いることができる。一部の実施形態では、アノードは、アノード活物質と結合剤とを包含することができる。そのような実施形態では、アノード活物質は、スズ系物質、炭素系物質(例えば、炭素、グラファイト、アセチレン中間相炭素、コークス)、金属酸化物、及び/又はリチウム化された金属酸化物を包含することができる。結合剤は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)であり得る。アノード活物質と結合剤とを混合してペーストを形成することができ、このペーストを前記アノード12の基材に適用することができる。セルで使用される具体的なアノード活物質は、例えば、セルの種類(1次又は2次など)に依存する。
【0059】
電解溶液又は電解質は、液体、固体、又はゲル(ポリマー)形態であることができる。電解質は、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメトキシエタン(DME)(例えば、1,2−ジメトキシエタン)、ブチレンカーボネート(BC)、ジオキソラン(DX)、テトラヒドロフラン(THF)、γ−ブチロラクトン、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ギ酸メチル(methyl formiate)(MF)、スルホラン、又はこれらの組み合わせ(例えば、混合物)などの有機溶媒を含有することができる。電解質は、代わりに、SO2又はSOCl2などの無機溶媒を含有することもできる。電解質は、また、1以上の塩(例えば、2つの塩、3つの塩、4つの塩)を含有することもできる。塩の例としては、リチウムトリフルオロメタンスルホネート(LiTFS)、リチウムトリフルオロメタンスルホンイミド(LiTFSI)、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)、及びそれらの組み合わせなどのリチウム塩が挙げられる。包含され得る追加のリチウム塩は、米国特許第5,595,841号(スズキ(Suzuki))に列挙されており、その特許の全体を本明細書に参考として組み込む。電解質に包含され得る他の塩は、ビス(オキサラト)ホウ酸塩である。ビス(オキサラト)ホウ酸塩については、例えば、米国特許出願第10/800,905号(U.S.S.N. 10/800,905)、名称「非水性電気化学セル(Non-Aqueous Electrochemical Cells)」(2004年3月15日出願)に記載されており、その特許の全体を本明細書に参考として組み込む。
【0060】
正のリード18は、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタン、又は鋼を包含することができる。前記正のリード18は、環状の形とすることができ、円筒形セルの円筒と同軸に配置することができる。前記正のリード18は、また、集電体に係合できる、カソード16の方向の径方向延長部も包含することができる。延長部は、丸形(例えば、円形若しくは楕円形)、方形、三角形、又は他の形状とすることができる。前記正のリード18は、様々な形状を有する延長部を包含することができる。前記正のリード18と集電体とは、電気的に接触している。前記正のリード18と集電体との間の電気的接触は、機械的接触によって達成することができる。別の方法として、前記正のリード18と集電体とを溶接することもできる。
【0061】
セパレータ20は、電気化学セルで使用されるいずれの標準的なセパレータ材料からも形成することができる。例えば、セパレータ20を、ポリプロピレン(例えば、不織布のポリプロピレン又はミクロ孔質ポリプロピレン)、ポリエチレン、ポリスルホン、又はこれらの組み合わせから形成することができる。
【0062】
ケース22は、例えば、金属(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケルめっき鋼、ステンレス鋼)、及び/又はプラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスルホン、ABS、又はポリアミド)で作製することができる。
【0063】
キャップ24は、例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、又は鋼で作製することができる。
【0064】
電気化学セル10は、比較的高い放電電圧を有することができる。特定の実施形態では、電気化学セル10は、最低約1.5ボルト(例えば、最低約1.8ボルト、最低約2ボルト、最低約2.2ボルト、最低約2.3ボルト、最低約2.4ボルト、最低約3ボルト、最低約3.4ボルト、最低約3.6ボルト、最低約3.7ボルト)、且つ/又は最高約3.8ボルト(例えば、最高約3.7ボルト、最高約3.6ボルト、最高約3.4ボルト、最高約3ボルト、最高約2.4ボルト、最高約2.3ボルト、最高約2.2ボルト、最高約2ボルト、最高約1.8ボルト)の放電電圧を有することができる。
【0065】
電気化学セル10は、比較的高い開路電圧及び/又は閉路電圧を有することができる。特定の実施形態では、電気化学セル10は、最低約1.5ボルト(例えば、最低約2.8ボルト、最低約3ボルト、最低約3.2ボルト、最低約3.3ボルト、最低約3.4ボルト、最低約3.5ボルト、最低約3.6ボルト、最低約3.7ボルト)、且つ/若しくは最高約3.8ボルト(例えば、最高約3.7ボルト、最高約3.6ボルト、最高約3.5ボルト、最高約3.4ボルト、最高約3.3ボルト、最高約3.2ボルト、最高約3ボルト、最高約2.8ボルト)の開路電圧及び/又は閉路電圧を有することができる。電池の開路電圧は、例えば、入力インピーダンスが10メガオーム超過の、したがって試験中に電池に事実上負荷がかからない、高インピーダンス電圧計によって測定することができる。電池の閉路電圧は、例えば、0.1秒間にわたって電池に6アンペアの定電流負荷を印加し、電池の電圧を測定することによって、測定することができる。
【0066】
一部の実施形態では、電気化学セル10は、最大約20アンペア(例えば、最大約16アンペア、最大約15アンペア)の電流容量を有することができる。
【0067】
図1の電気化学セル10は1次セルであるが、一部の実施形態では、2次セルが、前述のカソード活物質を包含するカソードを有することができる。1次電気化学セルは、1回だけ(例えば、消耗するまで)放電され、その後廃棄されることを意図される。1次セルは、再充電を意図されていない。1次セルについては、例えば、デヴィッド・リンデン(David Linden)、電池ハンドブック(Handbook of Batteries)(マグローヒル(McGraw-Hill)、第2版、1995年)に記載されている。2次電気化学セルは、何回も(例えば、50回を超えて、100回を超えて、又はそれ以上)再充電することができる。場合によっては、2次セルは、多くの層を有するセパレータ及び/又は比較的厚いセパレータなど、比較的頑丈なセパレータを包含することができる。2次セルは、また、セル内で生じ得る、膨張などの変化に対応するように設計することもできる。2次セルについては、例えば、フォーク・アンド・サルキンド(Falk & Salkind)の「アルカリ蓄電池(Alkaline Storage Batteries)」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, Inc.)、1969年;米国特許第345,124号(デビルロイ(DeVirloy)ら);及びフランス特許第164,681号に記載されており、それらすべてを本明細書に参考として組み込む。
【0068】
セルを組み立てるには、セパレータ20を、アノード12及びカソード16と同様のサイズの断片に切断し、図1に示したように前記アノード12と前記カソード16との間に設置することができる。その後、前記アノード12、前記カソード16、及びセパレータ20をケース22内に設置し、次いでケース22を電解溶液で満たして封止する。ケース22の一端は、気密性且つ液密性封止を提供できる、キャップ24及び環状の絶縁ガスケット26で閉鎖される。正のリード18は、カソード16をキャップ24に接続する。安全弁28は、キャップ24の内側に配置され、電気化学セル10内の圧力がある所定値を超えるときにその圧力を下げるように構成される。セルを組み立てる別の方法については、米国特許第4,279,972号(モーゼス(Moses));米国特許第4,401,735号(モーゼス(Moses)ら);米国特許第4,526,846号(カーニー(Kearney)ら)に記載されており、それらすべてを本明細書に参考として組み込む。
【0069】
また、例えば、ボタン若しくはコインセル構成、プリズムセル構成、剛性の薄層状セル構成、及び可撓性のパウチ、エンベロープ、若しくはバッグセル構成などの、電気化学セル10の他の構成も使用することができる。さらに、電気化学セルは、様々な電圧(例えば、1.5V、3.0V、又は4.0V)とすることができる。電気化学セルについては、例えば、米国特許出願第10/675,512号(U.S.S.N. 10/675,512)、名称「電池(Batteries)」(2003年9月30日出願);米国特許出願第10/719,025号(U.S.S.N. 10/719,025)、名称「アルミニウム構成成分を含む電池(Battery Including Aluminum Component)」(2003年11月24日出願);及び米国特許出願第10/800,905号(U.S.S.N. 10/800,905)、名称「非水性電気化学セル(Non-Aqueous Electrochemical Cells)」(2004年3月15日出願)に記載されており、それらすべてを本明細書に参考として組み込む。
【0070】
以下の実施例は、説明を意図したものであって、制限的なものではない。
【実施例】
【0071】
実施例1
酸化マンガンカソード活物質を、以下の手順にしたがって調製した。
25℃における、リチウム化された二酸化マンガンの調製:
それぞれpHの異なるリチウム化された二酸化マンガンの5つの試料を、以下の手順にしたがってそれぞれ調製した。試料の目標pH値には、pH9(試料1)、pH10(試料2)、pH11(試料3)、pH12(試料4)、及びpH13(試料5)が挙げられた。
【0072】
600グラムのEMD(デルタEMD(Delta EMD)リチウムグレードMnO2)を2リットルビーカーに入れ、約1リットルの水を用いて分散させた。
【0073】
ビーカー内容物のpHを監視しながら、固体LiOH・H2O(フィッシャー(Fisher)から)を、継続的に攪拌しながらビーカーに加えた。
【0074】
所望の目標pH(前述)に達した時、LiOH溶液中のMnO2のスラリーを取りのけ、約25℃で一晩(約16時間)置いた。
【0075】
スラリーを一晩置いた後、スラリーのpHは、通常、目標pHの約0.1pH単位以内であった。その後、追加の固体LiOH・H2Oをスラリーに加えて、該スラリーのpHを目標pHになるように調節した。
【0076】
目標pHに達した後、スラリーを細かい多孔質ガラスフリットフィルタに通して濾過し、リチウム化された二酸化マンガンを単離した(数キログラムのリチウム化された二酸化マンガンを製造するには、加圧フィルタを使用することができる)。
【0077】
次いで、濡れた状態の二酸化マンガンを110℃の真空下で一晩(約16時間)乾燥させて、暗褐色粉末を得た。
【0078】
各試料に使用されるLiOH・H2Oの量、並びに各試料の実際のpH及び公称組成を、以下の表1に示す:
【表1】
【0079】
図4a〜4eは、それぞれ、試料1〜5のX線回折パターン(CuKα線を使用)を示す。図4a〜4eに示されるように、5つの試料すべてのX線回折パターンは、約23度の幅広い[110]ピークと、28度の小さい軟マンガン鉱ピークと、68度付近の単一ピークとを包含する。
【0080】
350℃における、空気中でのリチウム化二酸化マンガンの熱処理:
次いで、以上で形成されたリチウム化二酸化マンガン試料を、以下の手順にしたがって加熱した。
【0081】
表1の各試料約300グラムを、米国特許第6,190,800号(イルチェフ(Iltchev)ら)に記載の熱処理手順を使用して350℃で7時間にわたって空気中で加熱し、熱処理されたリチウム化酸化マンガンの5つの試料(試料1a〜5a)を形成した。試料1aは、表1の試料1から形成され、試料2aは、表1の試料2から形成され、試料3aは、表1の試料3から形成され、試料4aは、表1の試料4から形成され、試料5aは、表1の試料5から形成された。
【0082】
得られる熱処理された化合物(試料1a〜5a)のX線回折パターン(CuKα線を使用)を、図5a〜5eに示す。図5a〜5eが示すように、リチウム化酸化マンガン試料(表1の試料1〜5)を350℃に加熱すると、5つの試料すべてのX線回折パターンが変化した。熱処理された5つの試料(試料1a〜5a)すべてにおいて、68度付近の単一ピークは、約65度、69度、及び73度の3つのピークのパターンに置き換えられた。28度の小さい軟マンガン鉱ピークは、依然として5つの試料すべてに存在するが、23度の[110]ピークは、大きく変化した。例えば、試料1a及び2a(すなわち、それぞれpH9及びpH10の試料)は、23度に[110]ピークをもたず、試料中のラムスデル鉱−軟マンガン鉱(γ−MnO2)が軟マンガン鉱に変化したことを示している。試料1a及び2aよりもリチウム含有量が高い試料3a及び4a(すなわち、それぞれpH11及びpH12の試料)は、それぞれ、24度付近のブロードなピークと、32度付近のブロードなピークとを有する。試料5a(pH13の試料)は、24度及び33度に十分に分解されたピークを有しており、これらは、米国特許第6,190,800号に記載の方法によって生成されるリチウム化二酸化マンガン組成物の特徴と考えられている。
【0083】
450℃における、酸素雰囲気中でのリチウム化二酸化マンガンの熱処理:
表1の5つの試料の残りの量を、約450℃で24時間にわたって約21パーセント超過の酸素を包含する雰囲気中で加熱した。61cm(24インチ)加熱ゾーンと直径7.6cm(3インチ)チューブとを有し、シリーズ2010 3ゾーン式炉制御システム(アプライド・テスト・システムズ社(Applied Test Systems, Inc.)より)を使用する、シリーズ3210 3ゾーン式管状炉(アプライド・テスト・システムズ社より)内で、試料(各試料約300グラム)を加熱した。ゼログレード酸素のタンク(エアガス(Airgas)、ペンシルバニア州ラドナー(Radnor))を使用して、試料が加熱されるときに炉を通過する酸素流を供給した。酸素流量は、毎分100立方センチメートルを超えた。
【0084】
酸素雰囲気中で熱処理すると、熱処理されたリチウム化酸化マンガンの5つの試料(試料1b〜5b)が生成された。試料1bは、表1の試料1から形成され、試料2bは、表1の試料2から形成され、試料3bは、表1の試料3から形成され、試料4bは、表1の試料4から形成され、試料5bは、表1の試料5から形成された。
【0085】
図6a〜6eは、それぞれ、試料1b〜5bのX線回折パターンを示す。図6a〜6eに示されるように、5つの試料すべてが、もはや68度付近にはピークをもたず、58度付近に新しいピークをもつ。さらに、この時点ですべての試料が、はるかに大きい28度の軟マンガン鉱ピークを有する。加えて、この時点で試料4b及び5b(それぞれpH12及びpH13の試料)は、22度及び32度付近のピーク、並びに54度付近のピークを有する。これら22度、32度、及び54度のピークは、新しい酸化マンガン組成物の存在を示す。
【0086】
図7は、試料5bの酸化マンガン組成物のリチウムNMRスペクトルを示す。図7が示すように、試料5bは、約550ppmにリチウムNMRピークを有する。
【0087】
次いで、前述した両方の熱処理プロセスによって生成される酸化マンガン組成物中のマンガンの重量パーセント、並びに酸化マンガン組成物のMnOxにおける「x」の値を、以下の表2に示されるように決定した。また、β−EMD(KMGより)の対照試料も試験した。マンガンの重量パーセントは、プラズマ発光分光分析法を使用して決定し、MnOxにおける「x」の値は、硫酸第一鉄による滴定によって決定した。
【表2】
【0088】
ここに示されるように、マンガンの総パーセント及びMnOxにおけるxの値の点では、空気中で加熱されたリチウム化EMD試料(試料1a〜5a)と、酸素雰囲気中で加熱されたリチウム化EMD試料(試料1b〜5b)とは、さほど異ならなかった。
【0089】
次に、試料1a〜5a及び1b〜5bのリチウム含有量、密度、及びBET表面積を測定したものを、以下の表3に再現する:
【表3】
【0090】
表3に示したように、酸素雰囲気中で加熱された各リチウム化EMD試料(すなわち、試料1b〜5b)は、空気中で加熱された対応するリチウム化EMD試料(すなわち、試料1a〜5a)よりもBET表面積がはるかに小さかった。
【0091】
次いで、試料1a〜5a及び1b〜5bにホイルバッグガス試験(foil-bag gas tests)を実施した。これらのホイルバッグガス試験(foil-bag gas tests)の結果を、以下の表4に再現する。各ホイルバッグガス試験(foil-bag gas tests)では、1.8グラムの電解質(0.65MのLiTFSを、10パーセントのEC、20パーセントのPC、及び70パーセントのDMEに溶解させたもの)と、6.5グラムのカソード活物質試料とを、アルミナイズドマイラー(Mylar)バッグ内に加えた。その後、バッグを封止し、60℃で様々な長さの時間にわたって保管した。ガス放出を、水中置換及び水中重量によって決定した。
【表4】
【0092】
表4が示すように、酸素雰囲気中で熱処理された試料(すなわち、試料1b〜5b)は、比較的小さいBET表面積を有するが、また、ガス発生も比較的少ない。空気雰囲気中で熱処理された試料(試料1a〜5a)は、BET表面積が比較的大きく、ガス発生が比較的多い。
【0093】
ここで図8を参照すると、試料1a〜5a又は試料1b〜5bのうちの1つを包含する試験セルについての、室温での「デジタルカメラ」試験の結果が示されている。デジタルカメラ試験は、マッコー(Maccor)から入手可能なマッコー2300シリーズ(Maccor 2300 series)ベンチトップ電池試験システムを使用して実施した。デジタルカメラ試験は、一定の5ワット電力負荷下で試験セルを多数のパルスにさらすことによってデジタルカメラの動作条件をシミュレートした。デジタルカメラ試験の間、それぞれ試料1a〜5a又は試料1b〜5bのうちの1つが0.3グラム充填された、10個の2430サイズのコインセルを試験した。セルは、また、電解質(EC、PC、及びDMEの混合物)も包含した。比較のため、0.3グラムのβ−EMD(デルタ(Delta)より)で充填された1個の2430サイズのコインセルを、対照セルとして使用した。未使用のセル(試験前に放電されていないセル)における試料1a〜5a及び試料1b〜5bについてのデジタルカメラ試験の結果を、図8に示す。(セルが応答した各パルスを、1サイクルと見なした。)
【0094】
以下の表5は、デジタルカメラ試験についての試験プロトコルを示す。各2430サイズのコインセルに、初めに、一連のパルスを包含する、試験の「フラッシュ・オン−LCD・オン」部分を実施し、次いで、やはり一連のパルスを包含する、試験の「フラッシュ・オフ−LCD・オン」部分を実施した。各パルス(表に「工程」として記載される)は、カメラの機能を模し、電池からの対応する引込み量(draw)をもたらすように設計された。例えば、工程1は、カメラのLCDによって必要とされる引込み量(draw)に相当し、工程2は、カメラのズーム機能に相当し、工程3、5、7、及び9は、カメラの処理機能(カメラのマイクロプロセッサを駆動する)に相当し、工程4は、カメラのオートフォーカスフィーチャに相当し、工程6は、カメラのシャッター機能に相当し、工程8は、カメラのフラッシュ再充電機能に相当し、工程10は、カメラのLCDスタンバイ機能に相当し(カメラはスタンバイ状態にあるが、カメラのディスプレイはオンである)、工程11は、カメラの休止機能に対応する(電池に負荷がかかっていない)。表5は、また、各工程の時間(秒)、並びに各工程で2430サイズのコインセルにかかる負荷(ワット)、及びそれに対応して各工程で2/3Aセルにかかる負荷(ワット)も示す。
【表5】
【0095】
実施例2A 酸化マンガンカソード活物質(試料6)を、以下の手順にしたがって調製した。
60℃における、リチウム化された二酸化マンガンの調製:
初めに、二酸化マンガンを以下の手順にしたがってリチウム化した。
【0096】
600グラムのEMD(カー・マギーEMD高性能グレード(Kerr-McGee EMD high-power grade)MnO2)を2リットルビーカーに入れ、約1リットルの1MのH2SO4を用いて分散させ、激しく攪拌して懸濁液を作り、次いで約2時間にわたって沈殿させた。
【0097】
H2SO4溶液をデカントして、第2の1リットル量の1MのH2SO4に置き換えた。得られる溶液を再び激しく攪拌して懸濁液を作り出し、約2時間にわたって沈殿させた。
【0098】
第2の量のH2SO4もデカントし、残りの液体を濾過によって除去した。
【0099】
MnO2を蒸留水1リットル中に分散させ、60℃に加熱した。
【0100】
溶液のpHを監視しながら、固体LiOH・H2Oを継続的に攪拌しながら加えた。安定した約12.5のpHに達したら、LiOH溶液中のMnO2のスラリーを取りのけ、60℃で一晩(約16時間)置いた。
【0101】
その後、固体の水酸化リチウムをさらに加えて、目標のpH12.5になるようにpHを調節した。
【0102】
次に、スラリーを加圧フィルタに通して濾過し、リチウム交換された二酸化マンガンを単離した。
【0103】
次いで、濡れた状態の二酸化マンガンを100℃で一晩乾燥させて、暗褐色粉末を得た。
【0104】
得られた組成物の分析で、該組成物がリチウム約1.1パーセントという比較的高いリチウム含有量を有することが示され、リチウム化が起こる温度が上昇すると全体的なリチウム化の程度を増大する可能性があることが示された。
【0105】
450℃における、酸素雰囲気中でのリチウム化二酸化マンガンの熱処理:
リチウム化されたEMDを、その後、約21パーセント超過の酸素を包含する雰囲気中で450℃で1時間にわたって加熱した。熱処理プロトコルは、酸素雰囲気下で450℃において、実施例1の熱処理に使用されるプロトコルと同一とした。その結果、酸化マンガンカソード活物質(試料6)となった。
【0106】
図9aは、試料6のカソード活物質のX線回折パターンを示し、図9bは、試料5bのカソード活物質のX線回折パターンを示す。図9aに示すように、60℃でリチウム化された物質(試料6)は、28度の軟マンガン鉱ピークをもたない。しかし、前述の試料4b及び5bと同様に、試料6は、新しい酸化マンガン組成物に関連したピーク(18度のピーク及び22度のピークなど)を有する。
【0107】
実施例3 2つの酸化マンガンカソード活物質(試料7及び8)を以下の手順にしたがって形成した。
80℃における、リチウム化された二酸化マンガンの調製:
2種類の二酸化マンガンを80℃でリチウム化した。二酸化マンガンの一種である、カー・マギーEMD高性能グレード(Kerr-McGee EMD high-power grade)MnO2を使用して、試料7のカソード活物質を調製し、二酸化マンガンの他方の種類、すなわち、デルタリチウム−グレードEMD(Delta Lithium-Grade EMD)を使用して、試料8のカソード活物質を調製した。各種類のEMDをリチウム化し、次いで、実施例2に関して記載したプロセス(ただし、リチウム化が60℃ではなく80℃で行われた点が異なる)にしたがって熱処理した。
【0108】
図10は、試料7のX線回折パターンを示し、図11は、試料8のX線回折パターンを示す。図10に示したように、試料7は、約18度、22度、32度、37度、41.6度、42.6度、及び54度にX線回折ピークを有する。さらに、試料7は、28度の軟マンガン鉱ピークをもたないことによって示されるように、軟マンガン鉱をほとんど又は全く含有しない。
【0109】
試料7のカソード活物質のリチウム含有量、密度、及びBET表面積を測定したものを、以下の表6に示す:
【表6】
【0110】
表6が示すように、試料7のカソード活物質は、比較的小さい表面積を有する。
【0111】
試料7及び8にホイルバッグガス試験(foil-bag gas tests)を実施した。試料7のホイルバッグガス試験(foil-bag gas tests)の結果を表7に示し、試料8のホイルバッグガス試験の結果を表8に示す:
【表7】
【表8】
【0112】
表7及び8が示すように、試料7及び試料8の両方が比較的低いガス発生速度を有する。
【0113】
最後に、試料6、7、及び8のカソード活物質にデジタルカメラ試験(前述)を実施した。図12は、このデジタルカメラ試験の結果を示す。
【0114】
他の実施形態
特定の実施形態について記載したが、他の実施形態も可能である。
【0115】
一例として、二酸化マンガンのリチウム化について記載したが、一部の実施形態では、他の酸化マンガン化合物をリチウム化することができる。得られるリチウム化された酸化マンガン組成物を、その後、加熱して、カソード活物質を形成することができる。前述のようにリチウム化及び加熱できる他の酸化マンガン化合物の例としては、化学的に調製された二酸化マンガン(例えば、ERACHEMのファラダイザー200(Faradiser 200)若しくはファラダイザーM(Faradiser M))、並びに、例えば、米国特許第5,277,890号(ワン(Wang)ら);米国特許第5,348,726号(ワン(Wang)ら);及び米国特許第5,482,796号(ワン(Wang)ら)に記載されている、過硫酸から調製された二酸化マンガン(p−CMD)などの人工ラムスデル鉱材料が挙げられ、それらの特許すべてを本明細書に参考として組み込む。
【0116】
他の例として、リチウム化された二酸化マンガン化合物の熱処理について記載したが、一部の実施形態では、他の酸化マンガン化合物を加熱してカソード活物質を提供することができる。特定の実施形態では、スピネル型構造をもつリチウムマンガン酸化物組成物を形成してから脱リチウム化することができ、次いで、脱リチウム化された物質を前述の酸素雰囲気中で熱処理して、カソード活物質を生成することができる。例えば、Li4Mn5O12又はLi2Mn4O9を、空気又は酸素雰囲気中で400℃で24時間にわたるLi2CO3及びMnCO3の化学量論的量の間の固相反応によって調製することができる。得られる材料を、その後、酸(例えば、3MのHNO3)を使用して24時間にわたって室温(25℃)で脱リチウム化して、カソード活物質であるLixMn4O9−yを形成することができる(その際、0.05≦x≦0.07である)。
【0117】
追加の例として、特定の強度のピークを有するX線回折パターンをもつ酸化マンガン組成物について記載したが、一部の実施形態では、酸化マンガン組成物は、他の強度の1以上のピークをもつX線回折パターンを有することができる。一部の実施形態では、酸化マンガン組成物は、約18度のピーク(13パーセント)及び/又は約22度のピーク(21パーセント)をもつX線回折パターンを有することができる。特定の実施形態では、酸化マンガン組成物は、約28度のピーク(32パーセント)及び/又は約32度のピーク(25パーセント)をもつX線回折パターンを有することができる。あるいは、又はさらなる方法として、酸化マンガン組成物は、約37度のピーク(100パーセント)及び/又は約57度のピーク(70パーセント)をもつX線回折パターンを有することもできる。一部の実施形態では、X線回折パターンは、約18度のピーク(13パーセント)、約22度のピーク(21パーセント)、及び約32度のピーク(25パーセント)を包含することができる。
【0118】
特許出願、特許公報、及び特許など、本明細書で言及されたすべての参考文献は、その全体を本明細書に参考として組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】非水性電気化学セルの断面図。
【図2】カソード活物質の一実施形態のX線回折パターンを示す。
【図3】カソード活物質の一実施形態のリチウムNMRスペクトルを示す。
【図4a】リチウム化された酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図4b】リチウム化された酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図4c】リチウム化された酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図4d】リチウム化された酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図4e】リチウム化された酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図5a】図4aのリチウム化された酸化マンガン試料が空気中で約350℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図5b】図4bリチウム化された酸化マンガン試料が空気中で約350℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図5c】図4cリチウム化された酸化マンガン試料が空気中で約350℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図5d】図4dのリチウム化された酸化マンガン試料が空気中で約350℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図5e】図4eのリチウム化された酸化マンガン試料が空気中で約350℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図6a】図4aのリチウム化された酸化マンガン試料が酸素雰囲気中で約450℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図6b】図4bのリチウム化された酸化マンガン試料が酸素雰囲気中で約450℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図6c】図4cのリチウム化された酸化マンガン試料が酸素雰囲気中で約450℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図6d】図4dのリチウム化された酸化マンガン試料が酸素雰囲気中で約450℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図6e】図4eのリチウム化された酸化マンガン試料が酸素雰囲気中で約450℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図7】図6eのリチウム化された酸化マンガン試料のリチウムNMRスペクトルを示す。
【図8】図5a〜5e及び図6a〜6eの加熱されたリチウム化酸化マンガン試料の電気的性能のグラフを示す。
【図9a】酸素雰囲気中で約450℃に加熱されたリチウム化酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図9b】酸素雰囲気中で約450℃に加熱されたリチウム化酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図10】酸素雰囲気中で450℃に加熱されたリチウム化酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図11】酸素雰囲気中で450℃に加熱されたリチウム化酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図12】図9aの加熱されたリチウム化酸化マンガン試料、並びに図10及び図11の加熱されたリチウムマンガン酸化物試料の、電気的性能のグラフを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池並びに関連組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池又は電気化学セルは、一般的に用いられる電気エネルギー供給源である。電池は、通常アノードと呼ばれる負の電極と、通常カソードと呼ばれる正の電極とを含有する。アノードは、酸化され得る活物質を含有し、カソードは、還元され得る活物質を含有又は消費する。アノード活物質は、カソード活物質を還元することができる。
【0003】
電池が装置内で電気エネルギー供給源として用いられるとき、電気的接触がアノード及びカソードになされ、電子が装置を貫流し、それぞれ酸化及び還元反応を生じて電力を提供する。アノード及びカソードに接触している電解質は、電極間のセパレータを貫流するイオンを含有して、放電中の電池全体の電荷の均衡を維持する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、電池並びに関連組成物及び方法に関する。
【0005】
一態様では、本発明は、リチウム電池などの電池のカソードで使用できるカソード活物質に関する。前記カソード活物質を包含する電池は、表面積を比較的小さくすることができ、したがって、異なるカソード活物質を備えた同等の電池に比べてガス放出(例えば、貯蔵時)を低減することができる。ゆえに、前記カソード活物質を包含する電池は、前記カソード活物質を包含しない同等の電池よりも、破裂する且つ/又は漏れる可能性を低くすることができる。さらに、前記カソード活物質を包含する電池は、電池容量の減少を引き起こし、且つ製造を複雑にすることになる、ガス発生を制御するための予備放電工程なしに動作させることができる。前記カソード活物質を包含する電池は、また、電気的性能を向上させることもできる(例えば、高電流負荷(high drains)時に高い容量を示すことができる)。より少量の前記カソード活物質を電池で使用して、より多量の異なるカソード活物質を包含する別の電池の電気的性能と同等の電気的性能を達成することができる。ゆえに、前記カソード活物質を包含する電池は、前記カソード活物質を包含しない同等の電池よりも、他の電池構成成分のために利用可能な空間をより多く有することができる。
【0006】
他の態様では、本発明は、約18度に1つのピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークを有するX線回折パターンをもつ組成物を包含するカソードを備えた電池を特色とする。前記組成物は、酸化マンガンを包含する。
【0007】
さらなる態様では、本発明は、約18度に1つのピーク、約22度に第2のピークを有するX線回折パターンをもつ組成物を包含するカソードを備えた電池を特色とする。前記組成物は、また、約550ppmにピークをもつリチウムNMRスペクトルも有する。前記組成物は、酸化マンガンを包含する。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、電池を製造する方法を特色とする。前記方法は、酸素が約21パーセントを超える雰囲気中で酸化マンガンを加熱すること、及び酸化マンガンを電池のカソードに組み込むことを含む。
【0009】
他の態様では、本発明は、その中に電解質とアノードとカソードとがあるハウジングを包含する、電気化学セルを特色とする。前記アノードは、リチウム、又はリチウムを包含する合金を含有する。前記カソードは、酸化マンガンを包含する組成物を含有し、約18度に1つのピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークをもつX線回折パターンを有する。
【0010】
他の態様では、本発明は、最低約40℃の温度で酸化マンガンをリチウム化すること、及び酸化マンガンを電池のカソードに組み込むことを包含する、電池を製造する方法を特色とする。
【0011】
さらなる態様では、本発明は、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークを包含するX線回折パターンを有する、酸化マンガンを含む組成物を特色とする。
【0012】
他の態様では、本発明は、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピークを含むX線回折パターンを有する、酸化マンガンを含む組成物を特色とする。前記組成物は、また、約550ppmにピークをもつリチウムNMRスペクトルも有する。
【0013】
他の態様では、本発明は、酸素が約21パーセントを超える雰囲気中で酸化マンガンを加熱してカソードを形成する工程を含む、カソードを製造する方法を特色とする。
【0014】
諸実施形態は、以下の特徴のうちの1以上を包含することができる。
【0015】
電池は、1次電池又は2次電池とすることができる。
【0016】
組成物は、リチウムをさらに包含することができる。前記組成物は、式LixMnOyを有することができる(式中、0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である)。一部の実施形態では、組成物は、電池の放電前にこの式を有することができる。特定の実施形態では、0.1≦x≦0.25(例えば、0.15≦x≦0.25)である。一部の実施形態では、1.9≦y≦2.0又は1.85≦y≦1.95である。
【0017】
前記組成物は、約25m2/グラム以下(例えば、約11m2/グラム〜約25m2/グラム)のBET表面積を有することができる。組成物は、約11m2/グラムのBET表面積を有することができる。
【0018】
前記組成物のX線回折パターンは、約32度のピークを包含することができる。一部の実施形態では、前記組成物の前記X線回折パターンは、約41.6度のピーク及び約42.6度のピークを包含することができる。前記組成物の前記X線回折パターンは、約54度のピーク及び/又は約28度のピークを包含することができる。特定の実施形態では、前記組成物の前記X線回折パターンは、約37度のピークを包含することができる。前記組成物の前記X線回折パターンは、約24度のピークを包含することができる。
【0019】
酸化マンガンは、実質的に軟マンガン鉱を包含しないものとすることができる。前記酸化マンガンは、ラムスデル鉱を包含することができる。前記酸化マンガンは、形式酸化状態約+3.0〜約+4.0(例えば、約+3.9)のマンガンを包含することができる。前記酸化マンガンは、二酸化マンガン(例えば、電解二酸化マンガン)とすることができる。前記酸化マンガンは、リチウムを包含することができる。
【0020】
カソードは、最小約150mAh/グラム(例えば、約250mAh/グラム〜約350mAh/グラム)の容量を有することができる。
【0021】
電池は、最小約1.5ボルトの開路電圧及び/又は閉路電圧を有することができる。前記電池は、最大約20アンペアまでの電流容量を有することができる。
【0022】
アノードは、リチウム−アルミニウム合金を包含することができる。
【0023】
電解質は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、又はそれらの組み合わせを包含することができる。
【0024】
前記方法は、酸素約60パーセント〜約100パーセントの雰囲気中で酸化マンガンを加熱することを包含することができる。
【0025】
前記方法は、約300℃〜約500℃(例えば、約400℃〜約500℃、約440℃〜約490℃、約445℃〜約455℃)の温度で酸化マンガンを加熱することを包含することができる。前記方法は、約450℃の温度で前記酸化マンガンを加熱することを包含することができる。前記方法は、最長約48時間(例えば、約6時間〜約12時間)にわたって前記酸化マンガンを加熱することを包含することができる。前記方法は、約1時間にわたって前記酸化マンガンを加熱する工程を包含することができる。
【0026】
加熱された後において、前記酸化マンガンは、式LixMnOyを有することができる(式中、0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である)。一部の実施形態では、0.1≦x≦0.25(例えば、0.15≦x≦0.25)である。特定の実施形態では、1.9≦y≦2.0又は1.85≦y≦1.95である。
【0027】
加熱される前において、前記酸化マンガンは、式LixMnO2を有することができ、xを最小約0.11とすることができる。一部の実施形態では、xを最大約0.5(例えば、最大約0.25)とすることができる。特定の実施形態では、酸化マンガンは、加熱される前において、式Li0.11MnO2を有することができる。
【0028】
前記方法は、前記酸化マンガンを加熱する前に前記酸化マンガンをリチウム化することをさらに包含することができる。酸化マンガンをリチウム化することは、前記酸化マンガンを、硝酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、又は臭化リチウムなどの塩と接触させることを包含することができる。前記酸化マンガンをリチウム化することは、前記酸化マンガンを水酸化リチウムと接触させることを包含することができる。前記方法は、最低約30℃(例えば、最低約40℃、最低約50℃)の温度で前記酸化マンガンをリチウム化することを包含することができる。一部の実施形態では、前記酸化マンガンを約100℃以上の温度で(例えば、熱水条件下で)リチウム化することができる。特定の実施形態では、前記酸化マンガンを約40℃〜約150℃(例えば、約50℃〜約120℃)の温度でリチウム化することができる。一部の実施形態では、前記方法は、約60℃、約80℃、又は約100℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化することを包含することができる。
【0029】
本発明の他の態様、特徴、及び利点は、図面、説明、及び請求項にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1を参照すると、1次電気化学セル10は、負のリード14と電気接触しているアノード12と、正のリード18と電気接触しているカソード16と、セパレータ20と、電解溶液とを包含する。アノード12、カソード16、セパレータ20、及び電解溶液は、ケース22内に収められる。電解溶液には、溶媒系と、溶媒系に少なくともいくらか溶解した塩とが含まれる。電気化学セル10は、キャップ24及び環状絶縁ガスケット26、並びに安全弁28をさらに包含する。
【0031】
一部の実施形態では、カソード16は、カソード活物質として、セル10の性能を高めることのできるリチウムマンガン酸化物組成物(例えば、公称LixMnO2)を包含する。例えば、前記リチウムマンガン酸化物は、セル10の容量を向上させることができる。さらに、後述するように、前記リチウムマンガン酸化物は、比較的小さいBET表面積を有するものと特徴付けることができ、このことが、ガス放出の低減、及びセルの漏れの可能性の低減をもたらすことができる。前記リチウムマンガン酸化物は、また、比較的大きい細孔容積を有するもの、したがって電気化学的に活性な比較的大きい表面積を有するものと特徴付けることもできる。比較的大きい細孔容積を有する前記リチウムマンガン酸化物がもたらす結果として、放電時のセルの分極を低減し、それに対応して電池寿命を延長することができる。あるいは、又はさらに、前記リチウムマンガン酸化物は、比較的大きい平均細孔直径を有するものと特徴付けることもできる。比較的大きい平均細孔直径をもつ前記リチウムマンガン酸化物は、電解質が前記リチウムマンガン酸化物に接近するのを改善し、濃度分極を低減する(電解質をより一様に分布させる)ことができる。その結果、セルは、高電流放電時に(例えば、デジタルカメラなど、電池に比較的大きい負荷をかけた結果として)、比較的高い動作電圧を提供することができる。
【0032】
リチウムマンガン酸化物は、公称式LixMnOyによって表され、0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である。一部の実施形態では、xを、最小0.05(例えば、最小約0.1、最小約0.15、最小約0.17、最小約0.2)、且つ/又は最大0.25(例えば、最大約0.2、最大約0.17、最大約0.15、最大約0.1)とすることができる。あるいは、又はさらなる方法として、yを、最小約1.8(例えば、最小約1.85、最小約1.9、最小約1.95)、且つ/又は最大約2.0(例えば、最大約1.95、最大約1.9、最大約1.85)とすることができる。リチウムマンガン酸化物の実験的組成(empirical composition)は、元素分析によって決定することができる。
【0033】
リチウムマンガン酸化物が非化学量論的であるときなど、一部の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物をマンガンの形式酸化状態によって特徴付けることができる。特定の実施形態では、マンガンの形式酸化状態を、最小約+3.0(例えば、最小約+3.1、最小約+3.2、最小約+3.3、最小約+3.4、最小約+3.5、最小約+3.6、最小約+3.7、最小約+3.8、最小約+3.9)、且つ/又は最大約+4.0(例えば、最大約+3.9、最大約+3.8、最大約+3.7、最大約+3.6、最大約+3.5、最大約+3.4、最大約+3.3、最大約+3.2、最大約+3.1)とすることができる。例えば、前記マンガンは、約+3.9〜約+4.0(例えば、約+3.9)の形式酸化状態を有することができる。
【0034】
前記リチウムマンガン酸化物は、また、特徴的なX線回折パターンによって識別することもできる。図2を参照すると、前記X線回折パターンは、約37度のピーク(100パーセント)を包含することができる。前記X線回折パターンは、約18度のピーク(34パーセント)及び約22度のピーク(57パーセント)を包含することができる。前記X線回折パターンは、さらに、約32度のピーク(33パーセント)、約41.6度のピーク(30パーセント)、約42.6度のピーク(33パーセント)、及び/又は約54度のピーク(24パーセント)も包含することができる。特定の実施形態では、前記X線回折パターンは、約57度のピーク(35パーセント)を包含することができる。特定の実施形態では、前記X線回折パターンは、約18度のピーク(34パーセント)、約22度のピーク(57パーセント)、約32度のピーク(33パーセント)を包含することができる。
【0035】
特定の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、約28度にピーク(25パーセント)をもつX線回折パターンを有する。理論に束縛されるものではないが、前記約28度のX線回折ピークは、リチウムマンガン酸化物中の軟マンガン鉱の存在を示すと考えられている。特定の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物を、実質的に前記軟マンガン鉱を包含しないものとすることができ、その結果、前記リチウムマンガン酸化物の前記X線回折パターンは、約28度に有意なピークをもたなくなる(28度のピークが相対強度約5パーセント未満になる)、又は約28度に観測可能なピークをもたなくなる。リチウムマンガン酸化物中の軟マンガン鉱の量が減少するにつれて、前記リチウムマンガン酸化物の表面積、したがって前記リチウムマンガン酸化物によるガス発生の程度も低減することができる。
【0036】
一部の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、約24度にピーク(57パーセント)をもつX線回折パターンを有する。理論に束縛されるものではないが、約24度のX線回折ピークは、前記リチウムマンガン酸化物中のラムスデル鉱の存在を示すと考えられている。前記リチウムマンガン酸化物中のラムスデル鉱の量が増加するにつれて、電池10の放電電圧及び電流容量を増大させることができる。
【0037】
リチウムマンガン酸化物のX線回折パターンは、酸化物を形成するために使用される特定のプロセスによって影響を受ける場合がある。例えば、後述するように、一部の実施形態では、酸化マンガンをリチウム化し(すなわち、前記酸化マンガンの結晶格子にリチウムイオンを挿入し)、続いてリチウム化された前記酸化マンガンを熱処理することによって、リチウムマンガン酸化物を形成することができる。形成される前記リチウムマンガン酸化物の特定の相は、例えば、リチウム化が実施される温度、酸化物中のリチウムの最終濃度、熱処理プロトコル、及び/又は熱処理環境内の酸素濃度によって決まると考えられている。一例として、リチウム化の温度が上昇するにつれて、酸化マンガンによるリチウムの捕捉の程度も増大することができる。ゆえに、最終リチウムマンガン酸化物は、比較的高いリチウム含有量を有することができ、またそのことによって前記酸化物に比較的大きい容量をもたせることができる。さらなる例として、リチウム化の温度が上昇するにつれて、前記最終リチウムマンガン酸化物中に存在するプロトンの量、したがって前記最終リチウムマンガン酸化物によるガス発生の程度を低減することができる。他の例として、熱処理環境内の酸素の濃度が上昇するにつれて、前記最終リチウムマンガン酸化物の表面積を低減することができる(したがって、前記最終リチウムマンガン酸化物によるガス発生の程度も低減することができる)。
【0038】
ここで図3を参照すると、一部の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、約550ppmにピークを包含するリチウムNMRスペクトルを有することができる。理論に束縛されるものではないが、このピークは、前記リチウムマンガン酸化物中のカチオン空孔サイトから、リチウムカチオンが、リチウム化された酸化マンガンのラムスデル鉱結晶格子間のトンネルへと移動したことを示すと考えられている。
【0039】
前述のように、前記リチウムマンガン酸化物は、さらに、比較的小さい表面積を有するものと特徴付けることができる。比較的小さい表面積をもつカソード活物質を包含するセルは、大きい表面積をもつカソード活物質を包含するセルよりもガス発生が少ない場合がある。特定の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、約100m2/グラム以下(例えば、約80m2/グラム以下、約50m2/グラム以下、約25m2/グラム以下、約20m2/グラム以下、約15m2/グラム以下、約10m2/グラム以下、約5m2/グラム以下、約1m2/グラム以下)、且つ/又は約0.4m2/グラム以上(例えば、約1m2/グラム以上、約5m2/グラム以上、約10m2/グラム以上、約15m2/グラム以上、約20m2/グラム以上、約25m2/グラム以上、約50m2/グラム以上、約80m2/グラム以上)のBET表面積を有することができる。例えば、一部の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、約11m2/グラム〜約25m2/グラム(例えば、約11m2/グラム)のBET表面積を有することができる。
【0040】
一部の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、60℃で4週間にわたってガス約60立方センチメートル未満(例えば、約50立方センチメートル未満、約40立方センチメートル未満、約30立方センチメートル未満、約20立方センチメートル未満)のガス発生速度を有することができる。あるいは、又はさらなる方法として、前記リチウムマンガン酸化物は、60℃で4週間にわたってCO2ガス約15立方センチメートル超過(例えば、約20立方センチメートル超過、約30立方センチメートル超過、約40立方センチメートル超過、約50立方センチメートル超過)のガス発生速度を有することができる。
【0041】
異なる2つの試験、すなわち:ホイルバッグガス試験(foil bag gas test)及びセル内ガス試験(in-cell gas test)のうちの一方を使用して、リチウムマンガン酸化物のCO2ガス発生速度を決定することができる。ホイルバッグガス試験(foil bag gas test)では、1.8グラムの電解質と、6.5グラムのリチウム化された酸化マンガンとを、アルミナイズドマイラー(Mylar)バッグ内に封止し、60℃で保管する。電解質は、20重量パーセントのプロピレンカーボネートと、10重量パーセントのエチレンカーボネートと、70重量パーセントのジメトキシエタンとを包含する溶媒に、0.65Mのリチウムトリフルオロメタンスルホネート(LiTFS)を溶解させたものである。次いで、ガス放出を水中置換及び水中重量によって決定する。セル内ガス試験(in-cell gas test)では、1.8グラムの電解質と、エキスパンデッドステンレス鋼グリッド上の6.5グラムのリチウム化された酸化マンガンとを、けん縮していない2/3Aセル内に加える。電解質は、20重量パーセントのプロピレンカーボネートと、10重量パーセントのエチレンカーボネートと、70重量パーセントのジメトキシエタンとを包含する溶媒に、0.65Mのリチウムトリフルオロメタンスルホネート(LiTFS)を溶解させたものである。また、約0.5グラムのリチウム金属と、ミクロ孔質ポリプロピレンの2つのストリップを包含するセパレータとを、セル内に加える。上部絶縁体及び底部絶縁体を、同様にセル内に加える。すべての構成成分をセル内に加えた後、セルの上にキャップをはめ、セルを予め約6パーセント〜約8パーセント放電させる。次いで、セルをアルミナイズドマイラー(Mylar)バッグ内に封止し、60℃で保管する。ガス放出を水中置換及び水中重量によって決定する。
【0042】
あるいは、又はさらなる方法として、前記リチウムマンガン酸化物は、比較的大きい細孔容積を有するものと特徴付けることもできる。特定の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、1グラム当たり最小0.03立方センチメートル(例えば、1グラム当たり最小0.04立方センチメートル、1グラム当たり最小0.05立方センチメートル)、且つ/又は1グラム当たり最大0.06立方センチメートル(例えば、1グラム当たり最大0.05立方センチメートル、1グラム当たり最大0.04立方センチメートル)の細孔容積を有することができる。
【0043】
特定の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、比較的大きい平均細孔直径を有するものと特徴付けることができる。一部の実施形態では、カソード活物質は、最小約80Å(例えば、最小約100Å、最小約150Å、最小約200Å、最小約250Å)、且つ/又は最大約300Å(例えば、最大約250Å、最大約200Å、最大約150Å、最大約100Å)の平均細孔直径を有することができる。
【0044】
一部の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、前述の向上された特性(例えば、比較的大きい細孔容積)のうちの1以上を有すると同時に、また、他のカソード活物質の密度と少なくとも同等の密度も有することができる。カソード活物質の密度が増大するにつれて、そのカソード活物質によって占められるセル空間の量が減少し、より密度の高いカソード活物質を包含するそのようなセルは、より密度の低いカソード活物質を包含する同等のセルよりも小さくすることができる。あるいは、又はさらなる方法として、より密度の高いカソード活物質を包含するセルは、より密度の低いカソード活物質を包含する同等のセルよりも、他のセル構成成分により多くの空間を提供することができる。特定の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、1立方センチメートル当たり最低約4グラム(例えば、1立方センチメートル当たり最低約4.1グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.2グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.3グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.4グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.5グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.6グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.7グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.8グラム、1立方センチメートル当たり最低約4.9グラム)、且つ/又は1立方センチメートル当たり最高約5グラム(例えば、1立方センチメートル当たり最高約4.9グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.8グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.7グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.6グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.5グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.4グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.3グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.2グラム、1立方センチメートル当たり最高約4.1グラム)の密度を有することができる。
【0045】
前記リチウムマンガン酸化物は、電気化学セル10が良好な電気的性能を示すことができるように、比較的大きい容量を有することができる。一部の実施形態では、リチウムマンガン酸化物は、約150mAh/グラム以上(例えば、約195mAh/グラム以上、約215mAh/グラム以上、約250mAh/グラム以上、約280mAh/グラム以上、約300mAh/グラム以上)、且つ/又は約350mAh/グラム以下(例えば、約300mAh/グラム以下、約280mAh/グラム以下、約250mAh/グラム以下、約215mAh/グラム以下、約195mAh/グラム以下)の容量を有することができる。特定の実施形態では(例えば、約100オーム以下など、セル10が比較的低い電流で放電される特定の実施形態では)、前記リチウムマンガン酸化物は、約250mAh/グラム〜約350mAh/グラムの容量を有することができる。一部の実施形態では(例えば、約5ワット以上など、セル10が比較的高い電流で放電される一部の実施形態では)、前記リチウムマンガン酸化物は、約150mAh/グラム〜約280mAh/グラムの容量を有することができる。
【0046】
カソード16は、カソード活物質(例えば、リチウムマンガン酸化物)をその上にコーティングできる、ないしは別の方法で付着させることのできる、集電体を包含する。前記集電体は、正のリード18と接触している領域と、カソード活物質と接触している第2の領域とを有することができる。前記集電体は、正のリード18とカソード活物質との間に電気を伝える働きをする。前記集電体は、頑丈で、良好な導電体である(固有抵抗の低い)材料、例えば、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、又はアルミニウム合金などの金属で作製することができる。前記集電体が取ることのできる1つの形態は、不織エキスパンデッド金属ホイルのようなエキスパンデッド金属スクリーン又はグリッドである。ステンレス鋼、アルミニウム、又はアルミニウム合金のグリッドは、エクスメット社(Exmet Corporation)(コネチカット州ブランフォード(Branford))から入手可能である。
【0047】
一部の実施形態では、カソードは、カソード材料(例えば、リチウムマンガン酸化物)を集電体上にコーティングし、乾燥させ、次いでコーティングされた集電体をカレンダ加工することによって作製することができる。前記カソード材料は、活物質を、結合剤、溶媒/水、及び炭素源など、他の構成成分とともに混合することによって調製される。例えば、前記カソード材料を形成するために、リチウムマンガン酸化物などの活物質を炭素(例えば、グラファイト及び/又はアセチレンブラック)と組み合わせ、少量の水と混合することができる。次いで、集電体をカソードスラリーでコーティングして、カソードを形成することができる。
【0048】
円筒形セルでは、カソード集電体の一部分がロールの一端から軸方向に延びる状態で、アノードとカソードとを螺旋状に巻き合わせることができる。ロールから延びる集電体の部分は、カソード活物質を包含しないことが可能である。前記集電体を外部接点に接続するために、前記集電体の露出端部を外部電池接点と電気的に接触している金属タブに溶接することができる。グリッドは、機械方向、機械方向における牽引方向、機械方向に垂直な方向、又は牽引方向に垂直な方向に巻くことができる。グリッド及びタブアセンブリの伝導度を最小限に抑えるために、タブをグリッドに溶接することができる。或いは、前記集電体の露出端部は、外部電池接点と電気的に接触している正のリードと機械的に接触している(すなわち溶接されていない)ことも可能である。機械的接触を有するセルは、溶接接触を有するセルよりも製造に必要な部品及び工程を少なくすることができる。特定の実施形態では、露出したグリッドをロールの中心に向かって曲げて、ロールの軸上のクラウンの最も高い点が円筒形セルの中心に対応する、ドーム又はクラウンを作り出すことによって、機械的接触の有効性を高めることができる。前記クラウンの構成では、グリッドは、成形されていない形態の場合よりも密集したストランド配置を有することができる。前記クラウンは規則正しく折り畳まれることができ、前記クラウンの寸法は精密に制御することができる。
【0049】
カソード活物質がリチウムマンガン酸化物を包含する一部の実施形態では、前記リチウムマンガン酸化物は、二酸化マンガンをリチウム化し、続いてリチウム化された二酸化マンガンを熱処理することによって形成することができる。リチウム化の間に、リチウムイオンが二酸化マンガンの結晶格子内の水素イオンと置換し、熱処理の間に、リチウム化された二酸化マンガンから残留水分及び表面水分が除去される。二酸化マンガンは、例えば、電解合成された二酸化マンガン(EMD)、化学合成された二酸化マンガン(CMD)、又はEMDとCMDの組み合わせ(例えば、ブレンド)であることができる。二酸化マンガンの販売業者としては、カー・マギー社(Kerr-McGee Corp.)(例えば、トロナD(Trona D)及び高性能EMD(high-power EMD)の製造業者)、東ソー社(Tosoh Corp.)、デルタ・マンガニーズ(Delta Manganese)、デルタEMD社(Delta EMD Ltd.)、三井化学(Mitsui Chemicals)、ERACHEM、及びJMCが挙げられる。一部の実施形態では、提供される二酸化マンガンは、二酸化マンガン結晶格子に挿入されたプロトンを包含することができる(例えば、前記二酸化マンガンが製造されるときにプロトンを前記二酸化マンガン結晶格子に挿入することができる)。
【0050】
前記二酸化マンガンは、多種多様な方法のいずれかによってリチウム化することができる。一例として、リチウム塩にさらすことによって前記二酸化マンガンをリチウム化することができる。例えば、水酸化リチウムなどの強塩基性リチウム塩にさらすことによって二酸化マンガンをリチウム化することができる。前記二酸化マンガンをリチウム化するために使用できるリチウム塩の他の例としては、硝酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4)、及びテトラクロロ没食子酸リチウム(LiGaCl4)が挙げられる。一部の実施形態では、前記リチウム塩は、水溶液中のものであることができる。特定の実施形態では、前記リチウム塩(例えば、水酸化リチウム、硝酸リチウム、又はそれらの混合物)は、非水性媒体(例えば、スルホラン、又はスルホランとエーテルとの混合物)中のものであることができる。一部の実施形態では、前記リチウム塩(例えば、LiAlCl4、LiGaCl4)は、溶融形態であることができる。そのような一部の実施形態では、前記リチウム塩は、溶融媒体(例えば、テトラクロロアルミン酸エチルメチルイミダゾリウム)中のものであることができる。二酸化マンガンが前記リチウム塩にさらされるときには、リチウム塩由来のリチウムカチオンは、二酸化マンガン結晶格子内のプロトンとイオン交換してLixMnO2を形成することができ、その際、xは最小約0.11且つ/又は最大約0.25である(例えば、xは約0.11である)。このリチウム化プロセス中にプロトンが一般にリチウムカチオンと交換されるので、前記二酸化マンガン中のマンガンの形式酸化状態は、リチウム化の結果としてはほとんど変化しない可能性がある。このことは、マンガンの形式酸化状態の大幅な減少が放電容量の比較的低いリチウム化された二酸化マンガンをもたらすことになることから、有益な可能性がある。酸化マンガン化合物のリチウム化については、例えば、米国特許第6,190,800号(イルチェフ(Iltchev)ら)に記載されており、その特許を本明細書に参考として組み込む。
【0051】
さらなる例として、二酸化マンガン(例えば、EMD)を炭酸リチウムでメカノケミカルに処理して(例えば、反応性ミリングにより)、前記二酸化マンガンをリチウム化することができる。前記二酸化マンガンのメカノケミカルなリチウム化については、例えば、米国特許第6,403,257B1号(クリスチャン(Christian)ら)に記載されており、その特許を本明細書に参考として組み込む。
【0052】
他の例として、二酸化マンガンを、電気化学的プロセスによってリチウム化することができる。例えば、前記二酸化マンガンをカソードへと成形し、リチウムアノード、及びリチウム塩を含有する電解質とともに、電池内に置くことができる。次いで、電池を部分的に放電させることができ、それによって前記二酸化マンガンをリチウム化することができる。次いで、リチウム化された二酸化マンガンをセルから取り出し、熱処理することができる。
【0053】
前記二酸化マンガンは、室温(25℃)で、又はより高い温度でリチウム化することができる。理論に束縛されるものではないが、リチウム化プロセス温度の上昇が、リチウムカチオンと前記二酸化マンガン中のプロトンとのイオン交換率を増大させることによって、リチウム化の程度を増大できると考えられている。一部の実施形態では、前記二酸化マンガンを、最低約30℃(例えば、最低約40℃、最低約50℃、最低約60℃、最低約70℃、最低約80℃、最低約90℃、最低約100℃、最低約110℃、最低約120℃)、且つ/又は最高約150℃(例えば、最高約140℃、最高約130℃、最高約120℃、最高約110℃、最高約100℃、最高約90℃、最高約80℃、最高約70℃、最高約60℃、最高約50℃、最高約40℃)の温度でリチウム化することができる。例えば、前記二酸化マンガンを、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、又は約100℃の温度でリチウム化することができる。
【0054】
リチウム化後、前記二酸化マンガンは、最高約2重量パーセントまでのリチウムを包含することができる。特定の実施形態では、二酸化マンガンは、最低約0.8重量パーセント(例えば、最低約0.85重量パーセント、最低約0.9重量パーセント、最低約0.95重量パーセント、最低約1重量パーセント、最低約1.05重量パーセント、最低約1.1重量パーセント、最低約1.15重量パーセント、最低約1.2重量パーセント、最低約1.25重量パーセント)、且つ/又は最高約1.3重量パーセント(例えば、最高約1.25重量パーセント、最高約1.2重量パーセント、最高約1.15重量パーセント、最高約1.1重量パーセント、最高約1.05重量パーセント、最高約1重量パーセント、最高約0.95重量パーセント、最高約0.9重量パーセント、最高約0.85重量パーセント)のリチウムを包含することができる。例えば、前記二酸化マンガンは、約0.85重量パーセントのリチウム、約0.95重量パーセントのリチウム、又は約1.2重量パーセントのリチウムを包含することができる。一部の実施形態では、前記二酸化マンガンは、1.19重量パーセントのリチウムを包含することができる。
【0055】
一部の実施形態では、リチウム化プロセス後、リチウム化された二酸化マンガンは、酸素を包含する雰囲気(例えば、約21パーセント超過の酸素を包含する雰囲気)中で加熱されて、カソード活物質を形成する。リチウム化された酸化マンガンは、例えば、箱型炉(例えば、モデル番号:HTF55347C 3ゾーン式管状炉、ノースカロライナ州アシュビル(Asheville)のリンドバーグ/ブルーM(Lindberg/Blue M)より)、又は回転窯を使用して、加熱することができる。一部の実施形態では、前記リチウム化された酸化マンガンを、攪拌を使用して(例えば、炉と併せて使用して)加熱することができる。前記リチウム化された酸化マンガンが炉と攪拌との両方を使用して加熱される実施形態では、攪拌が、前記リチウム化された酸化マンガンを炉壁と接触させることによって反応時間を短縮することができ、また、前記リチウム化された酸化マンガンの空気及び/又は酸素への曝露を増加させることによって、前記リチウム化された酸化マンガンからの水分除去を増進することができる。前記リチウム化された酸化マンガンの熱処理は、前記リチウム化された二酸化マンガンから水分(例えば、表面水分)を除去することができ、その結果、前記リチウム化された二酸化マンガンによるガス発生を低減することができる。理論に束縛されるものではないが、雰囲気中の酸素は、前記リチウム化された二酸化マンガンが加熱されるときに前記二酸化マンガンから酸素が失われるのを防ぐのに役立つことができ、またMn2O3形成を制限するのに役立つことができると考えられており、このことは、前記リチウム化された酸化マンガン中に存在するMn2O3の量が増加するにつれて電池の電気化学的性能が低下する可能性があることから、有利である。一部の実施形態では、前記リチウム化された二酸化マンガンを、約40パーセント超過の酸素(例えば、約50パーセント超過の酸素、約60パーセント超過の酸素、約70パーセント超過の酸素、約80パーセント超過の酸素、約90パーセント超過の酸素)を包含する雰囲気中で加熱することができる。あるいは、又はさらなる方法として、前記リチウム化された二酸化マンガンを、約100パーセント未満の酸素(例えば、約90パーセント未満の酸素、約80パーセント未満の酸素、約70パーセント未満の酸素、約60パーセント未満の酸素、約50パーセント未満の酸素、約40パーセント未満の酸素)を包含する雰囲気中で加熱することもできる。例えば、前記リチウム化された二酸化マンガンを、約60パーセント〜約100パーセントの酸素(例えば、約85パーセントの酸素)を包含する雰囲気中で加熱することができる。特定の実施形態では、前記リチウム化された二酸化マンガンを、約100パーセントの酸素を包含する雰囲気中で加熱することができる。
【0056】
熱処理の間、前記リチウム化された二酸化マンガンを、例えば、約300℃以上(例えば、約325℃以上、約350℃以上、約375℃以上、約400℃以上、約420℃以上、約425℃以上、約450℃以上、約475℃以上)、且つ/又は約500℃以下(例えば、約475℃以下、約450℃以下、約425℃以下、約420℃以下、約400℃以下、約375℃以下、約350℃以下、約325℃以下)の温度に加熱することができる。例えば、リチウム化された二酸化マンガンを、約300℃〜約500℃(例えば、約400℃〜約500℃、約420℃〜約500℃、約440℃〜約490℃、約445℃〜約455℃)の温度に加熱することができる。特定の実施形態では、前記リチウム化された二酸化マンガンを、約350℃、約400℃、約450℃、又は約480℃の温度に加熱することができる。
【0057】
一部の実施形態では、前記リチウム化された二酸化マンガンを、酸素雰囲気中で最長約48時間(例えば、最長約36時間、最長約24時間、最長約12時間、最長約6時間、最長約2時間、最長約1時間、最長約30分、最長約15分、最長約10分、最長約5分)、及び/又は最短約1分(例えば、最短約5分、最短約10分、最短約15分、最短約30分、最短約1時間、最短約2時間、最短約6時間、最短約12時間、最短約24時間、最短約36時間)にわたって加熱することができる。特定の実施形態では、リチウム化された二酸化マンガンを、酸素雰囲気中で約1時間〜約12時間(例えば、約1時間〜約6時間、約1時間〜約3時間)の期間にわたって加熱することができる。一部の実施形態では、前記リチウム化された二酸化マンガンを酸素雰囲気中で約1時間にわたって加熱することができる。
【0058】
アノード12は、普通はアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、マグネシウム)の形態の、アノード活物質を包含することができる。前記アノードは、アルカリ金属(例えば、リチウム)とアルカリ土類金属との合金、又はアルカリ金属とアルミニウムとの合金を包含することができる。例えば、前記アノード12は、リチウム−アルミニウム合金を包含することができる。あるいは、又はさらなる方法として、前記アノード12は、LiC6、Li4Ti5O12、又はLiTiS2などのリチウム挿入化合物を包含することができる。前記アノードは、基材とともに又は基材なしで用いることができる。一部の実施形態では、アノードは、アノード活物質と結合剤とを包含することができる。そのような実施形態では、アノード活物質は、スズ系物質、炭素系物質(例えば、炭素、グラファイト、アセチレン中間相炭素、コークス)、金属酸化物、及び/又はリチウム化された金属酸化物を包含することができる。結合剤は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)であり得る。アノード活物質と結合剤とを混合してペーストを形成することができ、このペーストを前記アノード12の基材に適用することができる。セルで使用される具体的なアノード活物質は、例えば、セルの種類(1次又は2次など)に依存する。
【0059】
電解溶液又は電解質は、液体、固体、又はゲル(ポリマー)形態であることができる。電解質は、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメトキシエタン(DME)(例えば、1,2−ジメトキシエタン)、ブチレンカーボネート(BC)、ジオキソラン(DX)、テトラヒドロフラン(THF)、γ−ブチロラクトン、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ギ酸メチル(methyl formiate)(MF)、スルホラン、又はこれらの組み合わせ(例えば、混合物)などの有機溶媒を含有することができる。電解質は、代わりに、SO2又はSOCl2などの無機溶媒を含有することもできる。電解質は、また、1以上の塩(例えば、2つの塩、3つの塩、4つの塩)を含有することもできる。塩の例としては、リチウムトリフルオロメタンスルホネート(LiTFS)、リチウムトリフルオロメタンスルホンイミド(LiTFSI)、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)、及びそれらの組み合わせなどのリチウム塩が挙げられる。包含され得る追加のリチウム塩は、米国特許第5,595,841号(スズキ(Suzuki))に列挙されており、その特許の全体を本明細書に参考として組み込む。電解質に包含され得る他の塩は、ビス(オキサラト)ホウ酸塩である。ビス(オキサラト)ホウ酸塩については、例えば、米国特許出願第10/800,905号(U.S.S.N. 10/800,905)、名称「非水性電気化学セル(Non-Aqueous Electrochemical Cells)」(2004年3月15日出願)に記載されており、その特許の全体を本明細書に参考として組み込む。
【0060】
正のリード18は、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタン、又は鋼を包含することができる。前記正のリード18は、環状の形とすることができ、円筒形セルの円筒と同軸に配置することができる。前記正のリード18は、また、集電体に係合できる、カソード16の方向の径方向延長部も包含することができる。延長部は、丸形(例えば、円形若しくは楕円形)、方形、三角形、又は他の形状とすることができる。前記正のリード18は、様々な形状を有する延長部を包含することができる。前記正のリード18と集電体とは、電気的に接触している。前記正のリード18と集電体との間の電気的接触は、機械的接触によって達成することができる。別の方法として、前記正のリード18と集電体とを溶接することもできる。
【0061】
セパレータ20は、電気化学セルで使用されるいずれの標準的なセパレータ材料からも形成することができる。例えば、セパレータ20を、ポリプロピレン(例えば、不織布のポリプロピレン又はミクロ孔質ポリプロピレン)、ポリエチレン、ポリスルホン、又はこれらの組み合わせから形成することができる。
【0062】
ケース22は、例えば、金属(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケルめっき鋼、ステンレス鋼)、及び/又はプラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスルホン、ABS、又はポリアミド)で作製することができる。
【0063】
キャップ24は、例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、又は鋼で作製することができる。
【0064】
電気化学セル10は、比較的高い放電電圧を有することができる。特定の実施形態では、電気化学セル10は、最低約1.5ボルト(例えば、最低約1.8ボルト、最低約2ボルト、最低約2.2ボルト、最低約2.3ボルト、最低約2.4ボルト、最低約3ボルト、最低約3.4ボルト、最低約3.6ボルト、最低約3.7ボルト)、且つ/又は最高約3.8ボルト(例えば、最高約3.7ボルト、最高約3.6ボルト、最高約3.4ボルト、最高約3ボルト、最高約2.4ボルト、最高約2.3ボルト、最高約2.2ボルト、最高約2ボルト、最高約1.8ボルト)の放電電圧を有することができる。
【0065】
電気化学セル10は、比較的高い開路電圧及び/又は閉路電圧を有することができる。特定の実施形態では、電気化学セル10は、最低約1.5ボルト(例えば、最低約2.8ボルト、最低約3ボルト、最低約3.2ボルト、最低約3.3ボルト、最低約3.4ボルト、最低約3.5ボルト、最低約3.6ボルト、最低約3.7ボルト)、且つ/若しくは最高約3.8ボルト(例えば、最高約3.7ボルト、最高約3.6ボルト、最高約3.5ボルト、最高約3.4ボルト、最高約3.3ボルト、最高約3.2ボルト、最高約3ボルト、最高約2.8ボルト)の開路電圧及び/又は閉路電圧を有することができる。電池の開路電圧は、例えば、入力インピーダンスが10メガオーム超過の、したがって試験中に電池に事実上負荷がかからない、高インピーダンス電圧計によって測定することができる。電池の閉路電圧は、例えば、0.1秒間にわたって電池に6アンペアの定電流負荷を印加し、電池の電圧を測定することによって、測定することができる。
【0066】
一部の実施形態では、電気化学セル10は、最大約20アンペア(例えば、最大約16アンペア、最大約15アンペア)の電流容量を有することができる。
【0067】
図1の電気化学セル10は1次セルであるが、一部の実施形態では、2次セルが、前述のカソード活物質を包含するカソードを有することができる。1次電気化学セルは、1回だけ(例えば、消耗するまで)放電され、その後廃棄されることを意図される。1次セルは、再充電を意図されていない。1次セルについては、例えば、デヴィッド・リンデン(David Linden)、電池ハンドブック(Handbook of Batteries)(マグローヒル(McGraw-Hill)、第2版、1995年)に記載されている。2次電気化学セルは、何回も(例えば、50回を超えて、100回を超えて、又はそれ以上)再充電することができる。場合によっては、2次セルは、多くの層を有するセパレータ及び/又は比較的厚いセパレータなど、比較的頑丈なセパレータを包含することができる。2次セルは、また、セル内で生じ得る、膨張などの変化に対応するように設計することもできる。2次セルについては、例えば、フォーク・アンド・サルキンド(Falk & Salkind)の「アルカリ蓄電池(Alkaline Storage Batteries)」、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, Inc.)、1969年;米国特許第345,124号(デビルロイ(DeVirloy)ら);及びフランス特許第164,681号に記載されており、それらすべてを本明細書に参考として組み込む。
【0068】
セルを組み立てるには、セパレータ20を、アノード12及びカソード16と同様のサイズの断片に切断し、図1に示したように前記アノード12と前記カソード16との間に設置することができる。その後、前記アノード12、前記カソード16、及びセパレータ20をケース22内に設置し、次いでケース22を電解溶液で満たして封止する。ケース22の一端は、気密性且つ液密性封止を提供できる、キャップ24及び環状の絶縁ガスケット26で閉鎖される。正のリード18は、カソード16をキャップ24に接続する。安全弁28は、キャップ24の内側に配置され、電気化学セル10内の圧力がある所定値を超えるときにその圧力を下げるように構成される。セルを組み立てる別の方法については、米国特許第4,279,972号(モーゼス(Moses));米国特許第4,401,735号(モーゼス(Moses)ら);米国特許第4,526,846号(カーニー(Kearney)ら)に記載されており、それらすべてを本明細書に参考として組み込む。
【0069】
また、例えば、ボタン若しくはコインセル構成、プリズムセル構成、剛性の薄層状セル構成、及び可撓性のパウチ、エンベロープ、若しくはバッグセル構成などの、電気化学セル10の他の構成も使用することができる。さらに、電気化学セルは、様々な電圧(例えば、1.5V、3.0V、又は4.0V)とすることができる。電気化学セルについては、例えば、米国特許出願第10/675,512号(U.S.S.N. 10/675,512)、名称「電池(Batteries)」(2003年9月30日出願);米国特許出願第10/719,025号(U.S.S.N. 10/719,025)、名称「アルミニウム構成成分を含む電池(Battery Including Aluminum Component)」(2003年11月24日出願);及び米国特許出願第10/800,905号(U.S.S.N. 10/800,905)、名称「非水性電気化学セル(Non-Aqueous Electrochemical Cells)」(2004年3月15日出願)に記載されており、それらすべてを本明細書に参考として組み込む。
【0070】
以下の実施例は、説明を意図したものであって、制限的なものではない。
【実施例】
【0071】
実施例1
酸化マンガンカソード活物質を、以下の手順にしたがって調製した。
25℃における、リチウム化された二酸化マンガンの調製:
それぞれpHの異なるリチウム化された二酸化マンガンの5つの試料を、以下の手順にしたがってそれぞれ調製した。試料の目標pH値には、pH9(試料1)、pH10(試料2)、pH11(試料3)、pH12(試料4)、及びpH13(試料5)が挙げられた。
【0072】
600グラムのEMD(デルタEMD(Delta EMD)リチウムグレードMnO2)を2リットルビーカーに入れ、約1リットルの水を用いて分散させた。
【0073】
ビーカー内容物のpHを監視しながら、固体LiOH・H2O(フィッシャー(Fisher)から)を、継続的に攪拌しながらビーカーに加えた。
【0074】
所望の目標pH(前述)に達した時、LiOH溶液中のMnO2のスラリーを取りのけ、約25℃で一晩(約16時間)置いた。
【0075】
スラリーを一晩置いた後、スラリーのpHは、通常、目標pHの約0.1pH単位以内であった。その後、追加の固体LiOH・H2Oをスラリーに加えて、該スラリーのpHを目標pHになるように調節した。
【0076】
目標pHに達した後、スラリーを細かい多孔質ガラスフリットフィルタに通して濾過し、リチウム化された二酸化マンガンを単離した(数キログラムのリチウム化された二酸化マンガンを製造するには、加圧フィルタを使用することができる)。
【0077】
次いで、濡れた状態の二酸化マンガンを110℃の真空下で一晩(約16時間)乾燥させて、暗褐色粉末を得た。
【0078】
各試料に使用されるLiOH・H2Oの量、並びに各試料の実際のpH及び公称組成を、以下の表1に示す:
【表1】
【0079】
図4a〜4eは、それぞれ、試料1〜5のX線回折パターン(CuKα線を使用)を示す。図4a〜4eに示されるように、5つの試料すべてのX線回折パターンは、約23度の幅広い[110]ピークと、28度の小さい軟マンガン鉱ピークと、68度付近の単一ピークとを包含する。
【0080】
350℃における、空気中でのリチウム化二酸化マンガンの熱処理:
次いで、以上で形成されたリチウム化二酸化マンガン試料を、以下の手順にしたがって加熱した。
【0081】
表1の各試料約300グラムを、米国特許第6,190,800号(イルチェフ(Iltchev)ら)に記載の熱処理手順を使用して350℃で7時間にわたって空気中で加熱し、熱処理されたリチウム化酸化マンガンの5つの試料(試料1a〜5a)を形成した。試料1aは、表1の試料1から形成され、試料2aは、表1の試料2から形成され、試料3aは、表1の試料3から形成され、試料4aは、表1の試料4から形成され、試料5aは、表1の試料5から形成された。
【0082】
得られる熱処理された化合物(試料1a〜5a)のX線回折パターン(CuKα線を使用)を、図5a〜5eに示す。図5a〜5eが示すように、リチウム化酸化マンガン試料(表1の試料1〜5)を350℃に加熱すると、5つの試料すべてのX線回折パターンが変化した。熱処理された5つの試料(試料1a〜5a)すべてにおいて、68度付近の単一ピークは、約65度、69度、及び73度の3つのピークのパターンに置き換えられた。28度の小さい軟マンガン鉱ピークは、依然として5つの試料すべてに存在するが、23度の[110]ピークは、大きく変化した。例えば、試料1a及び2a(すなわち、それぞれpH9及びpH10の試料)は、23度に[110]ピークをもたず、試料中のラムスデル鉱−軟マンガン鉱(γ−MnO2)が軟マンガン鉱に変化したことを示している。試料1a及び2aよりもリチウム含有量が高い試料3a及び4a(すなわち、それぞれpH11及びpH12の試料)は、それぞれ、24度付近のブロードなピークと、32度付近のブロードなピークとを有する。試料5a(pH13の試料)は、24度及び33度に十分に分解されたピークを有しており、これらは、米国特許第6,190,800号に記載の方法によって生成されるリチウム化二酸化マンガン組成物の特徴と考えられている。
【0083】
450℃における、酸素雰囲気中でのリチウム化二酸化マンガンの熱処理:
表1の5つの試料の残りの量を、約450℃で24時間にわたって約21パーセント超過の酸素を包含する雰囲気中で加熱した。61cm(24インチ)加熱ゾーンと直径7.6cm(3インチ)チューブとを有し、シリーズ2010 3ゾーン式炉制御システム(アプライド・テスト・システムズ社(Applied Test Systems, Inc.)より)を使用する、シリーズ3210 3ゾーン式管状炉(アプライド・テスト・システムズ社より)内で、試料(各試料約300グラム)を加熱した。ゼログレード酸素のタンク(エアガス(Airgas)、ペンシルバニア州ラドナー(Radnor))を使用して、試料が加熱されるときに炉を通過する酸素流を供給した。酸素流量は、毎分100立方センチメートルを超えた。
【0084】
酸素雰囲気中で熱処理すると、熱処理されたリチウム化酸化マンガンの5つの試料(試料1b〜5b)が生成された。試料1bは、表1の試料1から形成され、試料2bは、表1の試料2から形成され、試料3bは、表1の試料3から形成され、試料4bは、表1の試料4から形成され、試料5bは、表1の試料5から形成された。
【0085】
図6a〜6eは、それぞれ、試料1b〜5bのX線回折パターンを示す。図6a〜6eに示されるように、5つの試料すべてが、もはや68度付近にはピークをもたず、58度付近に新しいピークをもつ。さらに、この時点ですべての試料が、はるかに大きい28度の軟マンガン鉱ピークを有する。加えて、この時点で試料4b及び5b(それぞれpH12及びpH13の試料)は、22度及び32度付近のピーク、並びに54度付近のピークを有する。これら22度、32度、及び54度のピークは、新しい酸化マンガン組成物の存在を示す。
【0086】
図7は、試料5bの酸化マンガン組成物のリチウムNMRスペクトルを示す。図7が示すように、試料5bは、約550ppmにリチウムNMRピークを有する。
【0087】
次いで、前述した両方の熱処理プロセスによって生成される酸化マンガン組成物中のマンガンの重量パーセント、並びに酸化マンガン組成物のMnOxにおける「x」の値を、以下の表2に示されるように決定した。また、β−EMD(KMGより)の対照試料も試験した。マンガンの重量パーセントは、プラズマ発光分光分析法を使用して決定し、MnOxにおける「x」の値は、硫酸第一鉄による滴定によって決定した。
【表2】
【0088】
ここに示されるように、マンガンの総パーセント及びMnOxにおけるxの値の点では、空気中で加熱されたリチウム化EMD試料(試料1a〜5a)と、酸素雰囲気中で加熱されたリチウム化EMD試料(試料1b〜5b)とは、さほど異ならなかった。
【0089】
次に、試料1a〜5a及び1b〜5bのリチウム含有量、密度、及びBET表面積を測定したものを、以下の表3に再現する:
【表3】
【0090】
表3に示したように、酸素雰囲気中で加熱された各リチウム化EMD試料(すなわち、試料1b〜5b)は、空気中で加熱された対応するリチウム化EMD試料(すなわち、試料1a〜5a)よりもBET表面積がはるかに小さかった。
【0091】
次いで、試料1a〜5a及び1b〜5bにホイルバッグガス試験(foil-bag gas tests)を実施した。これらのホイルバッグガス試験(foil-bag gas tests)の結果を、以下の表4に再現する。各ホイルバッグガス試験(foil-bag gas tests)では、1.8グラムの電解質(0.65MのLiTFSを、10パーセントのEC、20パーセントのPC、及び70パーセントのDMEに溶解させたもの)と、6.5グラムのカソード活物質試料とを、アルミナイズドマイラー(Mylar)バッグ内に加えた。その後、バッグを封止し、60℃で様々な長さの時間にわたって保管した。ガス放出を、水中置換及び水中重量によって決定した。
【表4】
【0092】
表4が示すように、酸素雰囲気中で熱処理された試料(すなわち、試料1b〜5b)は、比較的小さいBET表面積を有するが、また、ガス発生も比較的少ない。空気雰囲気中で熱処理された試料(試料1a〜5a)は、BET表面積が比較的大きく、ガス発生が比較的多い。
【0093】
ここで図8を参照すると、試料1a〜5a又は試料1b〜5bのうちの1つを包含する試験セルについての、室温での「デジタルカメラ」試験の結果が示されている。デジタルカメラ試験は、マッコー(Maccor)から入手可能なマッコー2300シリーズ(Maccor 2300 series)ベンチトップ電池試験システムを使用して実施した。デジタルカメラ試験は、一定の5ワット電力負荷下で試験セルを多数のパルスにさらすことによってデジタルカメラの動作条件をシミュレートした。デジタルカメラ試験の間、それぞれ試料1a〜5a又は試料1b〜5bのうちの1つが0.3グラム充填された、10個の2430サイズのコインセルを試験した。セルは、また、電解質(EC、PC、及びDMEの混合物)も包含した。比較のため、0.3グラムのβ−EMD(デルタ(Delta)より)で充填された1個の2430サイズのコインセルを、対照セルとして使用した。未使用のセル(試験前に放電されていないセル)における試料1a〜5a及び試料1b〜5bについてのデジタルカメラ試験の結果を、図8に示す。(セルが応答した各パルスを、1サイクルと見なした。)
【0094】
以下の表5は、デジタルカメラ試験についての試験プロトコルを示す。各2430サイズのコインセルに、初めに、一連のパルスを包含する、試験の「フラッシュ・オン−LCD・オン」部分を実施し、次いで、やはり一連のパルスを包含する、試験の「フラッシュ・オフ−LCD・オン」部分を実施した。各パルス(表に「工程」として記載される)は、カメラの機能を模し、電池からの対応する引込み量(draw)をもたらすように設計された。例えば、工程1は、カメラのLCDによって必要とされる引込み量(draw)に相当し、工程2は、カメラのズーム機能に相当し、工程3、5、7、及び9は、カメラの処理機能(カメラのマイクロプロセッサを駆動する)に相当し、工程4は、カメラのオートフォーカスフィーチャに相当し、工程6は、カメラのシャッター機能に相当し、工程8は、カメラのフラッシュ再充電機能に相当し、工程10は、カメラのLCDスタンバイ機能に相当し(カメラはスタンバイ状態にあるが、カメラのディスプレイはオンである)、工程11は、カメラの休止機能に対応する(電池に負荷がかかっていない)。表5は、また、各工程の時間(秒)、並びに各工程で2430サイズのコインセルにかかる負荷(ワット)、及びそれに対応して各工程で2/3Aセルにかかる負荷(ワット)も示す。
【表5】
【0095】
実施例2A 酸化マンガンカソード活物質(試料6)を、以下の手順にしたがって調製した。
60℃における、リチウム化された二酸化マンガンの調製:
初めに、二酸化マンガンを以下の手順にしたがってリチウム化した。
【0096】
600グラムのEMD(カー・マギーEMD高性能グレード(Kerr-McGee EMD high-power grade)MnO2)を2リットルビーカーに入れ、約1リットルの1MのH2SO4を用いて分散させ、激しく攪拌して懸濁液を作り、次いで約2時間にわたって沈殿させた。
【0097】
H2SO4溶液をデカントして、第2の1リットル量の1MのH2SO4に置き換えた。得られる溶液を再び激しく攪拌して懸濁液を作り出し、約2時間にわたって沈殿させた。
【0098】
第2の量のH2SO4もデカントし、残りの液体を濾過によって除去した。
【0099】
MnO2を蒸留水1リットル中に分散させ、60℃に加熱した。
【0100】
溶液のpHを監視しながら、固体LiOH・H2Oを継続的に攪拌しながら加えた。安定した約12.5のpHに達したら、LiOH溶液中のMnO2のスラリーを取りのけ、60℃で一晩(約16時間)置いた。
【0101】
その後、固体の水酸化リチウムをさらに加えて、目標のpH12.5になるようにpHを調節した。
【0102】
次に、スラリーを加圧フィルタに通して濾過し、リチウム交換された二酸化マンガンを単離した。
【0103】
次いで、濡れた状態の二酸化マンガンを100℃で一晩乾燥させて、暗褐色粉末を得た。
【0104】
得られた組成物の分析で、該組成物がリチウム約1.1パーセントという比較的高いリチウム含有量を有することが示され、リチウム化が起こる温度が上昇すると全体的なリチウム化の程度を増大する可能性があることが示された。
【0105】
450℃における、酸素雰囲気中でのリチウム化二酸化マンガンの熱処理:
リチウム化されたEMDを、その後、約21パーセント超過の酸素を包含する雰囲気中で450℃で1時間にわたって加熱した。熱処理プロトコルは、酸素雰囲気下で450℃において、実施例1の熱処理に使用されるプロトコルと同一とした。その結果、酸化マンガンカソード活物質(試料6)となった。
【0106】
図9aは、試料6のカソード活物質のX線回折パターンを示し、図9bは、試料5bのカソード活物質のX線回折パターンを示す。図9aに示すように、60℃でリチウム化された物質(試料6)は、28度の軟マンガン鉱ピークをもたない。しかし、前述の試料4b及び5bと同様に、試料6は、新しい酸化マンガン組成物に関連したピーク(18度のピーク及び22度のピークなど)を有する。
【0107】
実施例3 2つの酸化マンガンカソード活物質(試料7及び8)を以下の手順にしたがって形成した。
80℃における、リチウム化された二酸化マンガンの調製:
2種類の二酸化マンガンを80℃でリチウム化した。二酸化マンガンの一種である、カー・マギーEMD高性能グレード(Kerr-McGee EMD high-power grade)MnO2を使用して、試料7のカソード活物質を調製し、二酸化マンガンの他方の種類、すなわち、デルタリチウム−グレードEMD(Delta Lithium-Grade EMD)を使用して、試料8のカソード活物質を調製した。各種類のEMDをリチウム化し、次いで、実施例2に関して記載したプロセス(ただし、リチウム化が60℃ではなく80℃で行われた点が異なる)にしたがって熱処理した。
【0108】
図10は、試料7のX線回折パターンを示し、図11は、試料8のX線回折パターンを示す。図10に示したように、試料7は、約18度、22度、32度、37度、41.6度、42.6度、及び54度にX線回折ピークを有する。さらに、試料7は、28度の軟マンガン鉱ピークをもたないことによって示されるように、軟マンガン鉱をほとんど又は全く含有しない。
【0109】
試料7のカソード活物質のリチウム含有量、密度、及びBET表面積を測定したものを、以下の表6に示す:
【表6】
【0110】
表6が示すように、試料7のカソード活物質は、比較的小さい表面積を有する。
【0111】
試料7及び8にホイルバッグガス試験(foil-bag gas tests)を実施した。試料7のホイルバッグガス試験(foil-bag gas tests)の結果を表7に示し、試料8のホイルバッグガス試験の結果を表8に示す:
【表7】
【表8】
【0112】
表7及び8が示すように、試料7及び試料8の両方が比較的低いガス発生速度を有する。
【0113】
最後に、試料6、7、及び8のカソード活物質にデジタルカメラ試験(前述)を実施した。図12は、このデジタルカメラ試験の結果を示す。
【0114】
他の実施形態
特定の実施形態について記載したが、他の実施形態も可能である。
【0115】
一例として、二酸化マンガンのリチウム化について記載したが、一部の実施形態では、他の酸化マンガン化合物をリチウム化することができる。得られるリチウム化された酸化マンガン組成物を、その後、加熱して、カソード活物質を形成することができる。前述のようにリチウム化及び加熱できる他の酸化マンガン化合物の例としては、化学的に調製された二酸化マンガン(例えば、ERACHEMのファラダイザー200(Faradiser 200)若しくはファラダイザーM(Faradiser M))、並びに、例えば、米国特許第5,277,890号(ワン(Wang)ら);米国特許第5,348,726号(ワン(Wang)ら);及び米国特許第5,482,796号(ワン(Wang)ら)に記載されている、過硫酸から調製された二酸化マンガン(p−CMD)などの人工ラムスデル鉱材料が挙げられ、それらの特許すべてを本明細書に参考として組み込む。
【0116】
他の例として、リチウム化された二酸化マンガン化合物の熱処理について記載したが、一部の実施形態では、他の酸化マンガン化合物を加熱してカソード活物質を提供することができる。特定の実施形態では、スピネル型構造をもつリチウムマンガン酸化物組成物を形成してから脱リチウム化することができ、次いで、脱リチウム化された物質を前述の酸素雰囲気中で熱処理して、カソード活物質を生成することができる。例えば、Li4Mn5O12又はLi2Mn4O9を、空気又は酸素雰囲気中で400℃で24時間にわたるLi2CO3及びMnCO3の化学量論的量の間の固相反応によって調製することができる。得られる材料を、その後、酸(例えば、3MのHNO3)を使用して24時間にわたって室温(25℃)で脱リチウム化して、カソード活物質であるLixMn4O9−yを形成することができる(その際、0.05≦x≦0.07である)。
【0117】
追加の例として、特定の強度のピークを有するX線回折パターンをもつ酸化マンガン組成物について記載したが、一部の実施形態では、酸化マンガン組成物は、他の強度の1以上のピークをもつX線回折パターンを有することができる。一部の実施形態では、酸化マンガン組成物は、約18度のピーク(13パーセント)及び/又は約22度のピーク(21パーセント)をもつX線回折パターンを有することができる。特定の実施形態では、酸化マンガン組成物は、約28度のピーク(32パーセント)及び/又は約32度のピーク(25パーセント)をもつX線回折パターンを有することができる。あるいは、又はさらなる方法として、酸化マンガン組成物は、約37度のピーク(100パーセント)及び/又は約57度のピーク(70パーセント)をもつX線回折パターンを有することもできる。一部の実施形態では、X線回折パターンは、約18度のピーク(13パーセント)、約22度のピーク(21パーセント)、及び約32度のピーク(25パーセント)を包含することができる。
【0118】
特許出願、特許公報、及び特許など、本明細書で言及されたすべての参考文献は、その全体を本明細書に参考として組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】非水性電気化学セルの断面図。
【図2】カソード活物質の一実施形態のX線回折パターンを示す。
【図3】カソード活物質の一実施形態のリチウムNMRスペクトルを示す。
【図4a】リチウム化された酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図4b】リチウム化された酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図4c】リチウム化された酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図4d】リチウム化された酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図4e】リチウム化された酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図5a】図4aのリチウム化された酸化マンガン試料が空気中で約350℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図5b】図4bリチウム化された酸化マンガン試料が空気中で約350℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図5c】図4cリチウム化された酸化マンガン試料が空気中で約350℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図5d】図4dのリチウム化された酸化マンガン試料が空気中で約350℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図5e】図4eのリチウム化された酸化マンガン試料が空気中で約350℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図6a】図4aのリチウム化された酸化マンガン試料が酸素雰囲気中で約450℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図6b】図4bのリチウム化された酸化マンガン試料が酸素雰囲気中で約450℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図6c】図4cのリチウム化された酸化マンガン試料が酸素雰囲気中で約450℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図6d】図4dのリチウム化された酸化マンガン試料が酸素雰囲気中で約450℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図6e】図4eのリチウム化された酸化マンガン試料が酸素雰囲気中で約450℃に加熱された後の、該試料のX線回折パターンを示す。
【図7】図6eのリチウム化された酸化マンガン試料のリチウムNMRスペクトルを示す。
【図8】図5a〜5e及び図6a〜6eの加熱されたリチウム化酸化マンガン試料の電気的性能のグラフを示す。
【図9a】酸素雰囲気中で約450℃に加熱されたリチウム化酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図9b】酸素雰囲気中で約450℃に加熱されたリチウム化酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図10】酸素雰囲気中で450℃に加熱されたリチウム化酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図11】酸素雰囲気中で450℃に加熱されたリチウム化酸化マンガン試料のX線回折パターンを示す。
【図12】図9aの加熱されたリチウム化酸化マンガン試料、並びに図10及び図11の加熱されたリチウムマンガン酸化物試料の、電気的性能のグラフを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マンガンを含む組成物を含むカソードを備えた電池であって、前記組成物が、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークを包含するX線回折パターンを有する、電池。
【請求項2】
前記組成物が、リチウムをさらに含む、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記組成物が、式LixMnOyを有し、0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記組成物が、式LixMnOyを有し、電池の放電前に0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である、請求項3に記載の電池。
【請求項5】
0.1≦x≦0.25である、請求項3に記載の電池。
【請求項6】
0.15≦x≦0.25である、請求項3に記載の電池。
【請求項7】
1.9≦y≦2.0である、請求項3に記載の電池。
【請求項8】
1.85≦y≦1.95である、請求項3に記載の電池。
【請求項9】
前記組成物が、約25m2/グラム以下のBET表面積を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項10】
前記組成物が、約11m2/グラム〜約25m2/グラムのBET表面積を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項11】
前記組成物が、約11m2/グラムのBET表面積を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項12】
前記酸化マンガンが、実質的に軟マンガン鉱を含まない、請求項1に記載の電池。
【請求項13】
前記酸化マンガンが、ラムスデル鉱を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項14】
前記組成物の前記X線回折パターンが、約41.6度に第4のピーク、約42.6度に第5のピークをさらに包含する、請求項1に記載の電池。
【請求項15】
前記組成物の前記X線回折パターンが、約54度に第6のピークをさらに包含する、請求項1に記載の電池。
【請求項16】
前記組成物の前記X線回折パターンが、約28度に第7のピークをさらに包含する、請求項1に記載の電池。
【請求項17】
前記組成物の前記X線回折パターンが、約37度に第8のピークをさらに包含する、請求項1に記載の電池。
【請求項18】
前記組成物の前記X線回折パターンが、約24度に第9のピークをさらに包含する、請求項1に記載の電池。
【請求項19】
前記酸化マンガンが、形式酸化状態約+3.0〜約+4.0のマンガンを含む、請求項1に記載の電池。
【請求項20】
前記酸化マンガンが、形式酸化状態約+3.9のマンガンを含む、請求項1に記載の電池。
【請求項21】
前記カソードが、最小約150mAh/グラムの容量を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項22】
前記カソードが、約250mAh/グラム〜約350mAh/グラムの容量を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項23】
最低約1.5ボルトの開路電圧を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項24】
最低約1.5ボルトの閉路電圧を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項25】
最大約20アンペアまでの電流容量を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項26】
前記アノードが、リチウム−アルミニウム合金を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項27】
前記電解質が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される成分を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項28】
電池を製造する方法であって、
酸素が約21パーセントを超える雰囲気中で酸化マンガンを加熱する工程と、
前記酸化マンガンを電池のカソードに組み込む工程とを含む方法。
【請求項29】
酸素約60パーセント〜約100パーセントの雰囲気中で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記酸化マンガンが、二酸化マンガンを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記酸化マンガンが、電解二酸化マンガンを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
約300℃〜約500℃の温度で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
約400℃〜約500℃の温度で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
約440℃〜約490℃の温度で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
約445℃〜約455℃の温度で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
約450℃の温度で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
最長約48時間にわたって前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
約6時間〜約12時間の期間にわたって前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
約1時間にわたって前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記酸化マンガンが、リチウムを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
加熱された後、酸化マンガンは、式LixMnOyを有し、0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
0.1≦x≦0.25である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
0.15≦x≦0.25である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
1.9≦y≦2.0である、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
1.85≦y≦1.95である、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
加熱される前において、前記酸化マンガンが、式LixMnO2を有し、xは、最小約0.11である、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
加熱される前において、前記酸化マンガンが、式Li0.11MnO2を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記酸化マンガンを加熱する前に該酸化マンガンをリチウム化する工程をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項49】
前記酸化マンガンをリチウム化する工程は、該酸化マンガンを、硝酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、及び臭化リチウムから成る群から選択される塩と接触させる工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記酸化マンガンをリチウム化する工程は、該酸化マンガンを水酸化リチウムと接触させる工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
最低約30℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
約40℃〜約150℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
約50℃〜約120℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
約60℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
約80℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
約100℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項57】
電気化学セルであって、
ハウジングと、
該ハウジング内の電解質と、
リチウム、又はリチウムを含む合金を含有する、前記ハウジング内のアノードと、
前記ハウジング内のカソードとを含んでおり、
前記カソードが、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークをもつX線回折パターンを有する、酸化マンガンを含む組成物を含有する、電気化学セル。
【請求項58】
最低約1.5ボルトの開路電圧を有する、請求項57に記載の電気化学セル。
【請求項59】
最低約1.5ボルトの閉路電圧を有する、請求項57に記載の電気化学セル。
【請求項60】
最大約20アンペアまでの電流容量を有する、請求項57に記載の電気化学セル。
【請求項61】
前記アノードが、リチウム−アルミニウム合金を含む、請求項57に記載の電気化学セル。
【請求項62】
前記電解質が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される成分を含む、請求項57に記載の電気化学セル。
【請求項63】
電池を製造する方法であって、
最低約40℃の温度で酸化マンガンをリチウム化する工程と、
前記酸化マンガンを電池のカソードに組み込む工程とを含む方法。
【請求項64】
約40℃〜約150℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
約50℃〜約120℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
約60℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
約80℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
約100℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
酸化マンガンを包含する組成物であって、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークを包含するX線回折パターンを有する組成物。
【請求項70】
酸化マンガンを含む組成物を含むカソードを備えた電池であって、該組成物は、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピークを包含するX線回折パターンと、約550ppmにピークを包含するリチウムNMRスペクトルとを有する、電池。
【請求項71】
酸化マンガンを含む組成物であって、約18度に第1のピーク及び約22度に第2のピークを包含するX線回折パターンと、約550ppmにピークを包含するリチウムNMRスペクトルとを有する、組成物。
【請求項72】
カソードを製造する方法であって、酸素が約21パーセントを超える雰囲気中で酸化マンガンを加熱してカソードを形成する工程を含む方法。
【請求項1】
酸化マンガンを含む組成物を含むカソードを備えた電池であって、前記組成物が、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークを包含するX線回折パターンを有する、電池。
【請求項2】
前記組成物が、リチウムをさらに含む、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記組成物が、式LixMnOyを有し、0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である、請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記組成物が、式LixMnOyを有し、電池の放電前に0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である、請求項3に記載の電池。
【請求項5】
0.1≦x≦0.25である、請求項3に記載の電池。
【請求項6】
0.15≦x≦0.25である、請求項3に記載の電池。
【請求項7】
1.9≦y≦2.0である、請求項3に記載の電池。
【請求項8】
1.85≦y≦1.95である、請求項3に記載の電池。
【請求項9】
前記組成物が、約25m2/グラム以下のBET表面積を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項10】
前記組成物が、約11m2/グラム〜約25m2/グラムのBET表面積を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項11】
前記組成物が、約11m2/グラムのBET表面積を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項12】
前記酸化マンガンが、実質的に軟マンガン鉱を含まない、請求項1に記載の電池。
【請求項13】
前記酸化マンガンが、ラムスデル鉱を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項14】
前記組成物の前記X線回折パターンが、約41.6度に第4のピーク、約42.6度に第5のピークをさらに包含する、請求項1に記載の電池。
【請求項15】
前記組成物の前記X線回折パターンが、約54度に第6のピークをさらに包含する、請求項1に記載の電池。
【請求項16】
前記組成物の前記X線回折パターンが、約28度に第7のピークをさらに包含する、請求項1に記載の電池。
【請求項17】
前記組成物の前記X線回折パターンが、約37度に第8のピークをさらに包含する、請求項1に記載の電池。
【請求項18】
前記組成物の前記X線回折パターンが、約24度に第9のピークをさらに包含する、請求項1に記載の電池。
【請求項19】
前記酸化マンガンが、形式酸化状態約+3.0〜約+4.0のマンガンを含む、請求項1に記載の電池。
【請求項20】
前記酸化マンガンが、形式酸化状態約+3.9のマンガンを含む、請求項1に記載の電池。
【請求項21】
前記カソードが、最小約150mAh/グラムの容量を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項22】
前記カソードが、約250mAh/グラム〜約350mAh/グラムの容量を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項23】
最低約1.5ボルトの開路電圧を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項24】
最低約1.5ボルトの閉路電圧を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項25】
最大約20アンペアまでの電流容量を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項26】
前記アノードが、リチウム−アルミニウム合金を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項27】
前記電解質が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される成分を含む、請求項1に記載の電池。
【請求項28】
電池を製造する方法であって、
酸素が約21パーセントを超える雰囲気中で酸化マンガンを加熱する工程と、
前記酸化マンガンを電池のカソードに組み込む工程とを含む方法。
【請求項29】
酸素約60パーセント〜約100パーセントの雰囲気中で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記酸化マンガンが、二酸化マンガンを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記酸化マンガンが、電解二酸化マンガンを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
約300℃〜約500℃の温度で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
約400℃〜約500℃の温度で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
約440℃〜約490℃の温度で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
約445℃〜約455℃の温度で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
約450℃の温度で前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
最長約48時間にわたって前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
約6時間〜約12時間の期間にわたって前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
約1時間にわたって前記酸化マンガンを加熱する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記酸化マンガンが、リチウムを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
加熱された後、酸化マンガンは、式LixMnOyを有し、0.05≦x≦0.25及び1.8≦y≦2.0である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
0.1≦x≦0.25である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
0.15≦x≦0.25である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
1.9≦y≦2.0である、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
1.85≦y≦1.95である、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
加熱される前において、前記酸化マンガンが、式LixMnO2を有し、xは、最小約0.11である、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
加熱される前において、前記酸化マンガンが、式Li0.11MnO2を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記酸化マンガンを加熱する前に該酸化マンガンをリチウム化する工程をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項49】
前記酸化マンガンをリチウム化する工程は、該酸化マンガンを、硝酸リチウム、炭酸リチウム、塩化リチウム、及び臭化リチウムから成る群から選択される塩と接触させる工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記酸化マンガンをリチウム化する工程は、該酸化マンガンを水酸化リチウムと接触させる工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
最低約30℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
約40℃〜約150℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
約50℃〜約120℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
約60℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
約80℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
約100℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項57】
電気化学セルであって、
ハウジングと、
該ハウジング内の電解質と、
リチウム、又はリチウムを含む合金を含有する、前記ハウジング内のアノードと、
前記ハウジング内のカソードとを含んでおり、
前記カソードが、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークをもつX線回折パターンを有する、酸化マンガンを含む組成物を含有する、電気化学セル。
【請求項58】
最低約1.5ボルトの開路電圧を有する、請求項57に記載の電気化学セル。
【請求項59】
最低約1.5ボルトの閉路電圧を有する、請求項57に記載の電気化学セル。
【請求項60】
最大約20アンペアまでの電流容量を有する、請求項57に記載の電気化学セル。
【請求項61】
前記アノードが、リチウム−アルミニウム合金を含む、請求項57に記載の電気化学セル。
【請求項62】
前記電解質が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される成分を含む、請求項57に記載の電気化学セル。
【請求項63】
電池を製造する方法であって、
最低約40℃の温度で酸化マンガンをリチウム化する工程と、
前記酸化マンガンを電池のカソードに組み込む工程とを含む方法。
【請求項64】
約40℃〜約150℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
約50℃〜約120℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
約60℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
約80℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
約100℃の温度で前記酸化マンガンをリチウム化する工程を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
酸化マンガンを包含する組成物であって、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピーク、約32度に第3のピークを包含するX線回折パターンを有する組成物。
【請求項70】
酸化マンガンを含む組成物を含むカソードを備えた電池であって、該組成物は、約18度に第1のピーク、約22度に第2のピークを包含するX線回折パターンと、約550ppmにピークを包含するリチウムNMRスペクトルとを有する、電池。
【請求項71】
酸化マンガンを含む組成物であって、約18度に第1のピーク及び約22度に第2のピークを包含するX線回折パターンと、約550ppmにピークを包含するリチウムNMRスペクトルとを有する、組成物。
【請求項72】
カソードを製造する方法であって、酸素が約21パーセントを超える雰囲気中で酸化マンガンを加熱してカソードを形成する工程を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図6e】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−513972(P2008−513972A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533470(P2007−533470)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/029377
【国際公開番号】WO2006/036360
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/029377
【国際公開番号】WO2006/036360
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]