説明

電池セパレータ

電池は、溶解イオンをトラップするトラップ層を有するセパレータを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ電池のような電池は、電気エネルギー源として広く使用されている。通常、電池は、負極(アノード)と正極(カソード)とを有する。アノードは、酸化される活物質(例えば亜鉛粒子)を含み、カソードは、還元される活物質(例えば二酸化マンガン)を含む。アノード活物質は、カソード活物質を還元することができる。アノード活物質とカソード活物質の直接反応を回避するため、電極は、セパレータによって相互に電気的に分離される。
【0003】
電池が、携帯電話機等の装置の電気エネルギー源として使用される場合、電極間が電気的に接続されると、装置を通って電子が流れるようになり、それぞれの酸化反応および還元反応が生じ、電気的出力が得られる。電極と接する電解質は、電極間のセパレータを通過して移動するイオンを含んでおり、放電の際の電池全体の電気的中性が維持される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、溶解イオンをトラップするトラップ層を有するセパレータを備えた電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様では、電解質、活物質(例えば酸化銅)を含むカソード、および多層化セパレータを備えるアルカリ電池が提供される。多層化セパレータは、トラッピング成分(例えば金属)を含むトラップ層を有する。ある場合には、カソード活物質は、電解質中に溶解して、溶解金属イオン(例えば、金属カチオン、多原子イオン)を形成し、電池の容量および/または保管寿命が低下する。トラップ層は、これらの溶解金属イオンの金属カチオン成分を還元および/または吸収するため、電池の保管寿命が延伸し、および/または電池容量が増大する。
【0006】
本発明のある態様では、溶解イオンの金属カチオン成分を還元することの可能な材料を含む層を有するセパレータを備えた電池が提供される。
【0007】
本発明の別の態様では、酸化銅を含むカソードと、亜鉛を含むアノードと、カソードとアノード間のセパレータとを備えた電池が提供される。セパレータは、セロファンを含む第1の層と、ビスマスを含む第2の層と、二酸化ジルコニウムを含む第3の層と、不繊布材料を含む第4の層とを有する。
【0008】
本発明の他の態様、特徴および利点は、図面、明細書の記載、特許請求の範囲の記載から明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1において、電池または電気化学セル10は、円筒状ハウジング18を有し、このハウジングは、カソード12、アノード14、およびカソードとアノード間のセパレータ16を収容している。カソード12は、活性銅材料(例えば酸化銅)を含み、アノードは、活性亜鉛材料を含む。また電池10は、電流コレクタ20、シール22、および電池の負極端子として機能する金属上部キャップ24を有する。カソード12は、ハウジング18に接触しており、電池10の正極端子は、電池の負極端子とは反対の側の端部にある。電解質は、電池10全体に分散されている。
【0010】
ある場合には、電解質は、カソード活物質(例えば銅材料)を溶解する。例えば、電解質が比較的高濃度のアルカリ電解質(水酸化カリウム等)である場合、およびカソードがCuOのような銅材料を含む場合、電解質は、銅材料を溶解し、Cu(OH)2−イオンを生成する。さらにCu(OH)2−イオンは、アノード14に拡散し、ここで金属銅が生成され、亜鉛が消費される。
【0011】
【数1】


カソード活物質およびアノード活物質の双方が消費されるため、電池容量は低下する。ある場合には、銅金属によってアノード14で水素ガスが発生し、これにより電池内部の圧力が上昇し、電池からのガスの排出および漏洩が生じるおそれがある。また、銅金属は、アノードからカソードに延伸するデンドライトを形成する場合がある。このデンドライトがセパレータを突き抜け、カソードに接触すると、電池に短絡が生じる。その結果、電池の保管寿命が短くなり、および/または信頼性がなくなってしまう。セパレータ16は、アノード活物質とカソード活物質から溶解した金属イオンとの接触を抑制し、あるいは回避する。セパレータ16により、電池10の短絡および/またはガス発生の可能性が低下する。その結果、電池10において、内容物のガス排出および漏洩が生じにくくなる。このような、あるいは別の理由のため、セパレータ16によって、電池10の保管寿命が延伸し、容量が向上する。またセパレータ16は、これらの利点を得ることができる上、比較的無害でおよび/または環境に優しい。
【0012】
セパレータ16は、1または2以上の選択性膜、トラップ層および/または不繊布層を有する。
【0013】
図2において、セパレータ16は、片側に選択性膜52が設置され、別の側に不繊布層54が設置されたトラップ層50を含む多層化(すなわち、2以上の層)構造を有する。図2において、選択性膜52は、カソード12によって位置が定められ、不繊布層54は、アノード14によって位置が定められる。
【0014】
カソード活物質からの溶解金属イオンは、トラップ層50に到達し、トラップ層は、溶解金属イオンの金属カチオン成分を還元および/または吸収する。例えばトラップ層は、Cu(OH)2−イオン(溶解金属イオン)と反応して、銅(II)(Cu(OH)2−イオンの金属カチオン成分)を還元し、金属銅が生成される。トラップ層50は、溶媒−およびイオン−透過性ゲルマトリクスを有し、これは、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ビニルブチラール)またはポリ(4−スチレンスルホン酸)等である。またトラップ層50は、1または2以上の(例えば2、3、4、5の)トラッピング成分を含み、この成分は、溶解金属イオンの金属カチオン成分を還元および/または収着(例えば吸着もしくは吸収)することができる。ある実施例では、トラップ層50は、1つのトラッピング成分「TC1」を含み、別の実施例では、トラップ層50は、2つのトラッピング成分「TC1」および「TC2」を含む。
【0015】
TC1は、金属(例えば、ビスマス、スズ、亜鉛、インジウム、カドミウム、鉛);金属酸化物(例えばチタン酸化物(TiO)、鉄酸化物(FeまたはFeO))、ニオブ酸化物(例えばNbOまたはNbO));金属水素化物(例えば水素化チタン(TiH)、水素化ジルコニウム(ZrH)、ミッシュ金属合金水素化物);または塩(例えば硫化スズ(SnS)、硫化ビスマス(Bi)、硫化鉄(FeS)のような金属塩)であっても良い。ある場合には、TC1は、シュウ酸塩(例えば、シュウ酸マンガン(MgC・2HO))または酒石酸塩(例えば、酒石酸ビスマス(Bi(C・6HO))のような有機材料である。ある実施例では、TC1は、有機複合剤(例えばベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール)である。ある実施例では、TC1は、金属有機材料(例えば、亜鉛ジエチルジチオカルバメート)である。
【0016】
トラッピング成分TC1は、対象溶解金属イオンの金属カチオン成分の還元電位よりも卑な還元電位を有する。その結果、TC1が溶解金属イオンと接触した際、TC1は、溶解金属イオンの金属カチオン成分を金属に還元する。TC1による還元後、金属は溶解することができなくなり、セパレータのいずれかの層(例えば、金属をトラップするトラップ層)によって、金属カチオン成分のアノードへの移動が回避される。ある実施例では、トラッピング成分TC1は、溶解金属イオンの金属カチオン成分の還元電位よりも約10mVから約2100mVだけ卑な還元電位を有する。ある実施例では、TC1は、(例えば、pH16において)溶解金属イオンの金属カチオン成分の還元電位よりも約500mVから約1500mV(例えば、約600mV)だけ卑な還元電位を有する。例えば、溶解金属イオンが、例えば酸化銀(AgO)カソードから溶出した銀(II)の化学種(例えば、Ag(OH)2−)であり、トラッピング成分TC1が亜鉛である場合、pH16では、亜鉛の還元電位は、溶解Ag(OH)2−の金属カチオン成分の還元電位に対して、約1850mV卑である。
【0017】
ある実施例では、TC1は、水素の還元電位(例えば電解質中での測定)よりも貴な還元電位を有するため、TC1により水素ガスは生じない。例えば、ビスマスは、水素の還元電位よりも(約400mVだけ)貴な還元電位を有する。あるいは、TC1は、水素の還元電位(例えば、電解質中での測定)に比べて、僅かに卑な還元電位を有する。例えば、TC1は、水素の還元電位に比べて、約1mVから約150mVだけ卑な還元電位を有する。スズは、水素の還元電位に比べて、僅かに(約100mVだけ)卑な還元電位を有する。別の場合、TC1は、水素の還元電位(例えば電解質中での測定)に比べて、実質的に卑な還元電位を有する。例えばTC1は、水素の還元電位に比べて、約150mVから約600mVだけ卑な還元電位を有する。そのような場合、TC1は、高い水素ガス発生過電圧(例えば、6N KOHのようなアルカリ電解質中で、1mA/cmのH発生電流密度で測定された過電圧が、約500mVから約750mV)を有し、TC1によって、現実的な速度で水素ガスが発生することはない。例えば、亜鉛の還元電位は、水素の還元電位(いずれもpHが約16のアルカリ電解質中で測定)に対して約500mV卑であるが、亜鉛は、高い水素ガス発生過電圧を有する(1mA/cmの電流密度で、約720mV)。従って浸漬電位での、亜鉛表面からのH発生の実際の速度は、極めて遅い(例えば、60℃、760torrで、2%の溶解ZnOを含む35.3%KOH中での測定の場合、約0.02μl/h/cm)。
【0018】
TC1と溶解金属イオンとの反応による生成物は、電解質に対して比較的難溶性であることが好ましい(例えば約10−5mol/lから約10−3mol/l)。TC1と溶解金属イオンとの反応による生成物が、電解質中にある程度溶解する場合は、反応生成物が、電極の活物質に悪影響を及ぼさないことが好ましい。
【0019】
TC1は、多くの方法でトラップ層50に添加することができる。例えば、TC1は、ゲルマトリクス内にTC1の粉末を分散させ、得られたゲルまたはサスペンションを、セパレータのシート部材のいずれか(例えば、不繊布層または選択性膜)に設置することにより、添加することができる。別の例では、ゲルマトリクスに分散されたTC1の分散剤を調製し、これを放出ライナ上に成形または塗布することにより、層を形成することができる。次に、この層を乾燥させ、放出ライナから取り外し、セパレータのシート部材の一つに接着させる。別の例では、TC1のペイントまたはインク状分散剤が調製され、これがセパレータのシート部材の一つに直接、塗布、プリント、またはスプレーされる。ある実施例では、前述のゲルコーティング剤、および/またはペイントもしくはインク状分散剤が、接着剤としても使用され、セパレータの各層が積層される。別の例では、TC1は、トラップ層上またはトラップ層内に形成される。例えば、TC1が金属の場合、TC1は、トラップ層上またはトラップ層内での、例えば金属塩の化学的もしくは電気化学的還元によって、トラップ層上またはトラップ層内に形成される。その場合、TC1は、多層化セパレータの組み立て前に、トラップ層上またはトラップ層内に形成される。
【0020】
セパレータ16のある実施例では、さらにトラップ層50は、別のトラッピング成分を有する。例えば、TC1と溶解金属イオンとの反応によって、溶解生成物(例えば、Bi、Bi(OH)またはBi(OH))が生成される場合、トラップ層50は、第2のトラッピング成分TC2を含む。トラッピング成分TC2は、溶解生成物と反応(例えば吸着)して、不溶性生成物を形成することができる。ある場合には、TC2は、未反応状態では、比較的電解質に対して難溶性である。例えば、TC2は、電解質に対して、約10−7mol/l(例えば、約0.01mg/l)から約10−4 mol/l(例えば、約10mg/l)の溶解度を有する。別の場合には、TC2は、電解質中に幾分溶解する(例えば、約10−3 mol/lまたは約100mg/l)。TC2は、電極の活物質に悪影響を及ぼさないことが好ましい。例えばTC2は、二酸化チタン(TiO)または二酸化ジルコニウム(ZrO)である。例えば、二酸化チタンおよび二酸化ジルコニウムの双方は、溶解Bi(OH)を吸収して、9N KOH中に不溶性の生成物を生成する。
【0021】
トラッピング成分は、比較的疎な(例えば多孔質)構造を有しても良い。例えば、トラッピング成分は、有孔箔もしくは膜、織布メッシュ、ワイヤおよび/または長繊維の形状とすることができる。ある場合には、トラッピング成分は、粒子状または粉末状である。
【0022】
トラップ層の構造は、イオンおよび/または溶媒の透過用のチャンネルを提供する。トラップ層内のトラッピング成分は、非導電性のネットワークを形成する。トラッピング成分は、比較的不連続なネットワークを構成しても良く、例えば、接着剤高分子マトリクスによって被覆された金属粒子を含む(通常、金属粒子は、相互に接着しない)。高分子マトリクスは、電解質イオンおよび電解質溶媒を透過させるゲルであっても良い。
【0023】
トラップ層が2つの異なるトラッピング成分TC1およびTC2を含む場合、トラッピング成分は、混合しても、相互に独立に設置しても良い(例えば、トラップ層の別々の領域に設置される)。例えば、トラップ層が、ビスマス金属および二酸化ジルコニウムの両方をトラッピング成分として含む場合、ビスマス金属および二酸化ジルコニウムを混合することができる。あるいは、ビスマス金属および二酸化ジルコニウムを、トラップ層の別々のサブレイヤに設置しても良い。例えば、ビスマス金属および二酸化ジルコニウムを、高分子ゲルのサブレイヤと隣接するように設置し、一つのサブレイヤは、主にビスマス金属を含み、別のサブレイヤは、主として二酸化ジルコニウムを含むようにすることができる。ある実施例では、ビスマス金属は、主として第1の高分子ゲル内に設置され、一方、二酸化ジルコニウムは、主として、第1の高分子ゲルと隣接する、第2の別の高分子ゲル内に設置される。ゲルは、使用されるトラップ層との適合性に基づいて選択される。
【0024】
トラップ層は、厚さが約1μmから約500μmの間にある(例えば、約65μm)。ある実施例では、トラップ層の厚さは、セパレータの全厚の約30%から約70%の範囲にある。
【0025】
選択性膜52は、カソードからの溶解金属イオンの拡散を制御および/または抑制し、これにより、トラップ層が短時間のうちに、溶解金属イオンで覆われることが回避される。通常、電解質は、選択性膜52を通って移動することができる。選択性膜は、例えばセロファンまたはグラフト化ポリエチレンである。選択性膜の厚さは、約10μmから約40μmの間(例えば、約20μm)である。ある実施例では、選択性膜の厚さは、セパレータの全厚の約10%から約15%の間にある。
【0026】
不繊布層54は、繊維膜または化学的および/または機械的特性の良好な繊維である。例えば、不繊布層は、1または2以上の以下の特性を有しても良い:均一な厚さ(例えば、0.060mm±0.006mm);均一な気孔径;大きな引裂強度;セル電解質に対する化学的安定性;アノードおよび/またはカソード活物質に対する化学的安定性;高い電解質吸収速度(例えば、約100g/m以上);高い電解質透過性および拡散性;低いイオン抵抗;低い秤量(例えば、約30g/m未満)。不繊布層は、セパレータ16の支持を可能にする。選択性膜52とは異なり、通常不繊布層54は、溶解イオンに対して選択的ではない。不繊布層は、電解質を通し、カソードとアノードの間に電解質のリザーバを確保する。不繊布層54は、ファイバ高分子織布であっても良い(例えば、ポリビニルアルコールファイバおよび/またはポリビニルアルコール結合材で結合されたレーヨンファイバ)。不繊布層の厚さは、約30μmから約120μm(例えば、約60μm)の間である。ある実施例では、不繊布層の厚さは、セパレータの全厚の約25%から約60%の間にある。セパレータ16は、多くの方法で組み立てられる。ある実施例では、セパレータのトラップ層が最初に組み立てられる。ある実施例では、トラップ層50は、粉末状の1または2以上のトラッピング成分(例えばTC1およびTC2)を高分子接着溶液と混合することによって形成される。高分子接着溶液の一例は、ポリアクリル酸ゲル化剤(例えば、ノベオン(Noveon)社から入手できる5%のCarbopol 934)と、25%の水溶性ポリ(アクリル酸)溶液(例えば、シバスペシャリティ(Ciba Specialty)化学社から入手できる20%のGlascol E11)と、75%のエタノール(またはポリ(ビニルアルコール)の水溶液)とを含む溶液である。トラッピング成分を高分子接着溶液と混合した後、この混合物を放出ライナ(例えば、シリコンコートされたマイラー)上に塗布する。ある実施例では、トラップ層50は、例えば押出成形法、または粉末充填熱プラスチック高分子膜を用いたブローイング法によって形成される。ある実施例では、トラップ層50は、ビスコースに、1または2以上のトラッピング成分のサスペンションを調製後、酸性凝固浴にサスペンションを押出し、再生セルロース/トラッピング成分複合材を形成することによって得ることができる。
【0027】
トラップ層が形成された後、この層がセパレータ16に組み入れられる。トラップ層は、この層をセパレータの他の層と積層することによって、セパレータに組み入れられる。ある場合には、トラップ層は、(例えば、ドクターブレードを用いて)不繊布層および/または選択性膜の上に直接コーティングされる。ある実施例では、トラップ層は、不繊布層から分離される。トラップ層は、セパレータの構成部材を合わせて保持することができる。ある場合には、トラップ層は、セパレータの1または2以上の他の層、例えば不繊布層の上に、スプレー塗布および/またはプリントされる。
【0028】
溶解金属イオンが、セパレータ16の周囲に到達しないようにすることが好ましい。ある実施例では、セパレータ16の継ぎ目は、相互に接着剤(例えばホットメルト接着剤)で塞がれる。ある場合には、セパレータ管または孔の底部(すなわち、セパレータによって定形される、アノード14が設置される容積部)は、接着剤で封止される。セパレータ管または孔の底部は、相互に狭められまたは折り曲げられてシールされる。ある実施例では、別の底部キャップが形成され、これがセパレータ管に挿入され、またはセパレータ管が、底部キャップに挿入される。底部キャップは、セパレータと同じ材料を含み、および/またはセパレータと同じ構成を有する。底部キャップは、いずれか一つのセパレータ部材もしくは組み合わせたセパレータ部材を有し、あるいはセパレータとは異なる1または2以上の材料を有する。底部キャップを構成するために使用される、1または2以上の材料は、透明または不透明である。底部キャップとセパレータ管の間の継ぎ目は、接着剤でシールされる。ある実施例では、密閉のため、プラスチック樹脂プラグがセパレータ管の底部に成形される。ある場合には、セパレータは、複数の(例えば、2、3、4の)材料の覆いで構成される。
【0029】
カソード12は、導電性助剤、バインダ、および前述の活物質(例えば銅材料)を含む。カソード活物質の一例は、酸化銅(例えば、酸化第二銅(CuO)、酸化第一銅(CuO));水酸化銅(例えば、水酸化第二銅(Cu(OH))、水酸化第一銅(Cu(OH)));ヨウ素化銅(Cu(IO);AgCuO;LiCuO;Cu(OH)(IO);CuH(IO);銅含有金属酸化物またはカルコゲナイド;銅塩化物(例えばCuCl);および過マンガン酸銅塩(例えばCu(MnO)である。銅酸化物は、化学量論的であっても(例えばCuO)、非化学量論的であっても良い(例えば、0.5≦x≦1.5においてCuO)。ある実施例では、カソード12は、重量比で、約65%から約99%の間の銅材料を含み、これは約75%から約95%の間であることが好ましく、約85%から約95%の間であることがより好ましい。本願に示す全ての重量百分率は、電解質を分散させた後の値である。カソード12内の銅材料は、銅酸化物のみを含み、または銅材料の混合物を含む。カソードは、例えば、酸化第二銅の残余分として、重量比で、例えば、約5%から約100%の塩化銅および/または過マンガン酸銅塩を含む。
【0030】
カソード12が銅材料を含む場合、カソードは、電解質中に、Cu(OH)2−またはCu(OH)3−イオンを放出する。トラップ層の成分は、これらのイオンと反応し、金属銅を生成する。例えば、トラップ層50がビスマス、スズまたは亜鉛を含む場合、トラップ層は、以下に示す反応式により、Cu(OH)2−イオンと反応することができる。
【0031】
【数2】


トラップ層がFeを含む場合、通常トラップ層は、Cu(OH)2−イオンと以下のように反応する:
【0032】
【数3】


トラップ層が水素化チタンを含む場合、これは、Cu(OH)2−イオンと以下のように反応する:
【0033】
【数4】


通常硫化スズは、Cu(OH)2−イオンと以下のように反応する:
【0034】
【数5】


シュウ酸塩または酒石酸塩のような有機還元剤を含むトラップ層は、Cu(OH)2−イオンと反応して、金属銅と、アルデヒド、ケトン、有機酸、二酸化炭素、炭酸塩および/または水を生成する。
【0035】
上記の説明では、銅材料について示したが、カソード活物質は、必ずしも銅材料である必要はない。ある場合には、カソード12の活物質は、例えば、銀化合物(例えばAgO、AgO)、過マンガン酸塩(例えばKMnO、Ba(MnO、AgMnO)、鉄酸塩(例えばKFeO、BaFeO)、ニッケル酸化物、ニッケルのオキソ水酸化物、コバルトのオキソ水酸化物、マンガン酸化物、ビスマス酸化物またはコバルト酸化物である。一般に、カソード活物質は、電池系において、少なくとも部分的に溶解するいかなる材料であっても良い(例えば、溶解度が約10−7mol/lから約1mol/lの間、約10−6mol/l)。カソード活物質の一例は、本願の参照文献として取り入れられている、2003年9月16日に出願された、「ビスマス金属酸化物を含む一次アルカリ電池」という題目の仮特許出願に示されている(代理人整理番号No. 08935−295P01)。
【0036】
導電性助剤は、カソード12の導電性を高める。導電性助剤の一例は、グラファイト粒子である。グラファイト粒子は、カソードに使用することができるいかなるグラファイト粒子であっても良い。この粒子は、合成または非合成のものであり、膨張性であっても非膨張性であっても良い。ある実施例では、グラファイト粒子は、非合成の非膨張グラファイト粒子である。この実施例では、グラファイト粒子は、Sympatec HELIOS装置を用いて測定される平均粒子径が、約20μm未満であり、例えば約2μmから約12μmの間であり、または約5μmから約9μmの間である。非合成の非膨張グラファイト粒子は、例えば、ブラジリアンナショナルデグラファイト(Brazilian Nacional de Grafite)社から入手できる(Itapecirica、MG Brazil(MP−0702X))。この代わりに、あるいはこれに加えて、導電性助剤は、カーボンファイバを含んでも良く、これは、同一出願人による2000年9月7日の米国特許出願第09/658042号;2001年4月10日に出願された米国特許出願第09/829709号に示されている。ある実施例では、カソード12は、重量比で約1%から約10%の、1または2以上の導電性助剤を含む。
【0037】
バインダの一例は、ポリエチレン粉末、ポリアクリルアミド、ポートランドセメント、ならびにポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ化炭素系樹脂である。ポリエチレンバインダの一例は、商品名Coathylene HA−1681で販売されている(Hoechst社から入手できる)。カソード12は、例えば、重量比で約0.1から約1%のバインダを含む。
【0038】
ある実施例では、カソード12は、バインダおよび/または炭素を使用せずに組み立てられる。ある実施例では、カソード12は、反応焼結法を利用して組み立てられる。反応焼結法の一例は、67%のCuOと、33%の銅粉末とを混合した後、これを型押して、ペレットを形成する方法である。その後、カソードペレットを、大気中約400℃から約600℃で熱処理することにより、自立型導電性カソードペレットが得られる。カソードの製作に利用される反応焼結法のある例では、銅粉末の一部が微細な裁断銅繊維に置き換えられ、例えば、より強固なおよび/またはより導電性のあるカソードペレットが得られる。
【0039】
アノード14は、電池のアノードに使用することが可能ないかなる亜鉛材料で構成されても良い。例えばアノード14は、亜鉛金属粒子、ゲル化剤、およびガス化抑制剤のような微量添加物を含む亜鉛ゲルである。またアノード全体に、電解質の一部が分散されても良い。
【0040】
亜鉛粒子は、ゲル化アノードに使用できるいかなる亜鉛粒子であっても良い。亜鉛粒子の一例は、本願の譲受人に譲渡され、本願の参照文献として取り入れられている、米国特許出願第08/905254号、米国特許出願第09/115867号、米国特許出願第09/156915号に示されている。亜鉛粒子は、例えば数百ppmのインジウムとビスマスを含む亜鉛合金であっても良い。アノード14は、例えば、重量比で約67%から約80%の亜鉛粒子を含む。
【0041】
ゲル化剤の一例は、ポリアクリル酸、グラフト化スターチ材、ポリアクリル酸塩、ポリアクリレート、カルボキシメチルセルロースまたはこれらの組み合わせである。そのようなポリアクリル酸の例は、Carbopol 940と934(ノベオン社から入手できる)、およびPolygel 4P(3V社から入手できる)であり、グラフト化スターチ材の一例は、Waterlock A221である(アイオワ州マスカティーンのGrain Processing社から入手できる)。ポリアクリル酸塩の一例は、Alcosorb G1(チバスペシャリティ社から入手できる)である。アノード14は、例えば、重量比で約0.1%から約1%のゲル化剤を含む。
【0042】
ガス化抑制剤は、ビスマス、スズ、鉛およびインジウム等の無機材料であっても良い。あるいは、ガス化抑制剤は、リン酸エステルのような有機化合物、イオン性表面活性剤または非イオン性表面活性剤であっても良い。イオン性表面活性剤の例は、例えば、本願の参照文献として取り入れられている米国特許第4,777,100号に示されている。
【0043】
アノード14は、他の材料を含んでも良い。例えばある実施例では、アノード14は、銅材料を含むカソードを還元することが可能な金属を含む。適当な金属は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、シリコン、ボロン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ランタン、鉄、コバルト、クロム、タンタルまたはニオブである。二元系、三元系、四元系および他のこれらの金属の多成分合金、さらにはこれらの金属と亜鉛の組み合わせを使用することができる。
【0044】
電解質は、電池に使用することの可能ないかなる電解質であっても良い。電解質は、水溶液系であっても非水溶液系であっても良い。水溶液系電解質は、水溶性水酸化物溶液等のアルカリ溶液としても良く、例えばLiOH、NaOH、KOHもしくは水酸化物溶液の混合液(例えばNaOH/KOH)である。例えば、水溶性水酸化物溶液は、重量比で約33%から約40%の水酸化物を含み、例えば約9NのKOHである(重量比でKOHの約37%)。ある実施例では、電解質は、重量比で約4%以下の酸化亜鉛を含み、例えば重量比で約2%の酸化亜鉛を含む。
【0045】
ある実施例では、電解質は、水溶性の塩の溶液を含む(例えば、ZnCl、NHCl、ZnClとNHClの混合物、Zn(ClO、MgBr、Mg(ClO)。
【0046】
ある場合には、電解質は、非水溶媒(例えば、ジメトキシエタン、炭酸エチレンおよび炭酸ポリプロピレンの混合物)に溶解する塩を含む(例えば、Liトリフレート(トリ−フルオロ−メチル−スルホン酸))。
【0047】
電解質は、他の添加剤を含んでも良い。例えば、電解質は、可溶性材料(例えばアルミニウム材料)を含み、電解質中のカソード活物質の溶解度が低下(例えば抑制)する。電解質添加剤は、2003年3月6日に同一出願人によって出願された、本願の参照文献として取り入れられている米国特許出願第10/382,941号に示されている。
【0048】
ハウジング18は、例えば一次アルカリ電池のような電池に広く使用されている、いかなるハウジングであっても良い。ある実施例では、ハウジング18は、金属内壁と、熱収縮プラスチックのような非導電性材料の外壁とを有する。必要であれば、内壁とカソード12の間に、導電性材料の層が設置されても良い。この層は、内壁の内表面に沿って、カソード12の外周に沿って、または両方に沿って設置される。この導電層は、例えば、炭素質材料で形成される。そのような材料は、LB1000(チムカル(Timcal)社)、Eccocoat 257(グレース(W. R. Grace)社)、Electrodag 109(アケソン(Acheson Colloids)社)、Electrodag 112(アケソン社)およびEB0005(アケソン社)である。導電層を設置する方法は、例えば、本願の参照文献として取り入れられている、加国特許出願第1,263,697号に示されている。
【0049】
電流コレクタ20は、黄銅のような適当な材料で構成される。シール22は、例えばナイロンで構成される。
【0050】
電池10は、従来の方法により組み立てられる。ある実施例では、カソード12は、パックドリル法で形成され、この方法は、2000年8月4日に出願された米国特許出願第第09/645,632号に示されている。
【0051】
ある場合には、電池10は、水素再結合触媒を有し、例えば、金属銅が析出し亜鉛が酸化される際に生じ得る、電池内の水素ガス量を低下させることができる。適当な水素再結合触媒は、例えば米国特許第6,500,576号および第3,893,870号に示されている。これとは別に、またはこれに加えて、電池10は、米国特許第5,300,371号に示されているような、圧力活性化バルブまたはベントを備えるように構成される。
【0052】
電池10は、例えば、AA、AAA、AAAA、CまたはD型電池である。別の実施例では、電池10は、非円筒状であり、例えばコイン型電池、ボタン型電池、角形電池、または長円型電池である。電池10は、1999年9月21日に出願された米国特許出願第09/358,578号に示されているような、多突起型電極を有する。
【0053】
以下の実施例は、一例であって、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
ビスマスのトラップ層を有する電池セパレータを以下のように調製した:
高速分散器を用いて、ポリ(アクリル酸)/エタノール/水溶液中に、ビスマス粉末(−325メッシュ、すなわち粒子径<45μm)を分散させた。ビスマスは、得られる組成物において、ビスマスが体積比で20%となり、高分子が体積比で80%となる量だけ添加した;
25ミルの湿式厚さで塗布を行う塗布器を用いて、シリコンコートされたマイラー放出ライナ上に、粘性混合物を設置した;
この材料をそのまま放置して乾燥させてから、放出ライナから取り外し、60μmの自立型膜を得た。
【0054】
このようにして得られたトラップ層を用いて、多層化セパレータを得た。トラップ層は、セパレータの真ん中に設置され、その片側には選択性膜を、反対側には不繊布層を設置した。セパレータは、以下のように組み立てた:
54μmのポリ(ビニルアルコール)系不繊布ファイバを水で濡らす;
ビスマス−ポリ(アクリル酸)膜(トラップ層)を23μmのセロファンシートとポリ(ビニルアルコール)系不繊布ファイバの間に設置した。不繊布ファイバ内の水によって、ビスマス粉末−ポリ(アクリル酸)膜の粘着力は、十分に高くなる。次に、柔らかいゴムローラーを膜に沿って回転させ、層間を接着させた;
そのまま放置してこのサンドイッチ構造を乾燥し、層間が良好な状態で接続された多層化セパレータを得た。
【0055】
このようにして調製した多層化セパレータの銅のトラップ特性を、従来のアルカリセパレータと比較した。この材料を用いて、銅を含まない電解質と銅含有水溶性KOH電解質とを分離した。
【0056】
2週間60℃で保管した後のUV−Vis分光測定によって、従来のアルカリセパレータで溶液が分離された場合、最初に銅が未含有であった電解質中には、13ppmの銅が存在していることが判明した。しかしながら、ビスマス含有多層化セパレータを使用した場合、銅は4ppmしか検出されなかった。
(実施例2)
スズトラップ層を有する電池セパレータを以下のように調製した:
高速分散器を用いて、ポリ(アクリル酸)/エタノール/水溶液中に、スズ粉末(−325メッシュ、すなわち粒子径<45μm)を分散させた。スズは、得られる組成物において、スズが体積比で20%となり、高分子が体積比で80%となる量だけ添加した;
25ミルの湿式厚さで塗布を行う塗布器を用いて、シリコンコートされたマイラー放出ライナ上に、粘性混合物を設置した;
この材料をそのまま乾燥させてから、放出ライナから取り外し、60μmの自立型膜を得た。
【0057】
このようにして得られたトラップ層を用いて、多層化セパレータを得た。トラップ層は、セパレータの真ん中に設置され、その片側には選択性膜を、反対側には不繊布層を設置した。セパレータは、以下のように組み立てた:
54μmのポリ(ビニルアルコール)系不繊布ファイバを水で濡らす;
スズ−ポリ(アクリル酸)膜(トラップ層)を23μmのセロファンシートとポリ(ビニルアルコール)系不繊布ファイバの間に設置した。不繊布ファイバ内の水によって、スズ粉末−ポリ(アクリル酸)膜の粘着力は、十分に高くなる。次に、柔らかいゴムローラーを膜に沿って回転させ、層間を接着させた;
そのまま放置してこのサンドイッチ構造を乾燥し、層間が良好な状態で接続された多層化セパレータを得た。
(実施例3)
多層化セパレータを有する電池は、以下のように調製した。
(セパレータの調製)
ビスマス含有サブレイヤと、ジルコニア(二酸化ジルコニウム)含有サブレイヤの両方を含むトラップ層を有する電池セパレータを、以下のように製作した:
まず、ビスマスを含む乾燥膜を調製した。高剪断実験混合機(Silverson L4RT−A)を用いて、5000rpmで、25gのCarbopol 934を375gのエタノールにゆっくりと加えた。次に回転させたままで、この混合物に100gのGlascol E11をゆっくりと加え、均一な粘性の溶液が得られるまで、回転を継続した。次に、この混合物に150gのビスマス金属(−325メッシュ、99.5%)をゆっくりと添加し、混合物が均一となるまで混合を継続した。次に薄膜塗布器を用いて、シリコンコートされたマイラー放出ライナ上に、6インチのストリップ幅となるように、粘性サスペンションを設置した。これを乾燥させ、厚さ90μmの乾燥膜を得た。
【0058】
乾燥膜の調製とは別個の処理において、ジルコニアを含む不繊布材料を調製した。高剪断実験混合機を用いて、50gのジルコニアナノ粒子(アルドリッチ化学社)を500gの脱イオン水中に分散させた。次に、重量比で13%のポリ(ビニルアルコール)(平均分子量(Mw)=85000−146000、87−89%加水分解)溶液を38.46g、分散液を撹拌したまま、ゆっくりと加えた。次に、最終分散液に20gのイソプロピルアルコールを添加し、54μmのポリ(ビニルアルコール)系不繊布ファイバシートを放出ライナ上に設置した。次に、分散液を不繊布ファイバシートに載せ、直線端部を持つプラスチックシムを不繊布ファイバシートの表面に沿って動かすことにより、分散液を不繊布ファイバシートに含浸させ、余分な溶液を除去し、不繊布ファイバシートをそのまま1時間放置して乾燥させた。このような処理を繰り返し行った。金属孔開器を用いて、不繊布ファイバに直径1.3cmの円形の穴を開けた。不繊布ファイバは、60℃で乾燥させた。未含浸試料との比較によって、単位平方cm当たり、2.2×10−3gのZrO−ポリ(ビニルアルコール)が不繊布ファイバに塗布されていることがわかった。
【0059】
次に、セパレータ材料を以下の手順により調製した。6インチ×8インチのビスマス金属−ポリ(アクリル酸)膜のシートを放出ライナから取り外す。シートには、75wt%のエタノールと25%の脱イオン水の溶液をスプレー塗布し、膜の粘着性を高めておく。次にこのシートを、6インチ×8インチ、厚さ23μmのセロファン膜シートの表面に設置する。さらに、6インチ×8インチのZrO−ポリ(ビニルアルコール)を含む不繊布ファイバシートを、ビスマス金属−ポリ(アクリル酸)材料の表面に設置する。柔らかいゴムローラーを用いて、これらの層を圧接し接着させる。そのまま放置して乾燥させることにより、層間の密着性が良好なセパレータが得られる。
【0060】
セパレータキャップは、以下の手順により製作した。前述のセパレータ材料のストリップ(4.6cm×6.6cm)を切断し、シールセパレータキャップとして使用した。PTFEブロックにドリルで直径9.9mmの孔を空けた。約0.15gの溶融ホットメルト接着剤(タイプ3748TC、3M社)をPTFE孔の底部に設置した。乾燥PTFE離型剤コーティング膜(スプラヨン(Sprayon Products)社)でコーティングした金属棒の周囲に、セパレータストリップを巻き付けた。セパレータは、金属棒の底部で内方に折り曲げ(約1mm)、これをさらに、溶融ホットメルト接着剤中に浸漬させた。接着剤を冷却して、セパレータをPTFE型から取り外した。次に金属棒を除去し、底部がシールされた二重巻き付けセパレータキャップを得た。
【0061】
次に、以下の手順により電池を形成した。小型ミキサー内で、以下の組成の組成物が添加されたカソードを調製した。すなわち組成物は、重量比で89.3%の酸化銅(II)、重量比で4.5%の膨張グラファイト、重量比で0.2%のCoathylene、および重量比で6%の9N KOHを含む。次に、22.9gのカソード混合物を、従来のAAカンに充填した。カン内部の粉末を途中で圧縮しながら、カソード混合物をカンに連続的に添加した。最終圧縮の後、9.9mmドリルを用いて、カソードの長手方向に沿って中心を貫通する孔を形成した。次にカソード孔に、シールセパレータキャップを挿入し、さらに約1.2gの9N KOH電解質と、5.6gの従来の亜鉛アノードスラリーを添加することにより、AA電池を製作した。スズメッキ黄銅の電流コレクタを含むシール部を、電流コレクタが亜鉛スラリーに浸漬するように、セルの開放端に設置し、このセルを圧着密閉した。
【0062】
上記手順により、3つのAAセルを製作した。製作後のセルの開回路電圧(OCV)は、約1.4Vであった。次に、3つのセルを60℃で保管した。OCVは、急速に低下し、1.1乃至1.0Vとなったが、60℃で28日よりも長い期間保管しても、セルのOCVは、>1.0Vを持続した。従来のセロファン−不繊布セパレータ(Duralam DT225、ベルギーアースコットジュラセル(Duracell)社製)で構成した同様のセルでは、48乃至72時間後に機能しなくなった。
【0063】
セパレータは、異なる数の層を有しても良い(例えば2層、3層、4層、5層、6層)。ある場合には、セパレータは、複数のトラップ層を有する。セパレータの構成部材は、異なる方法で配置しても良い。例えば図3に示すように、セパレータ60は、中間部56を有し、この中間部は、不繊布層54の片側に接着されたトラップ層50を有する。トラップ層50の他の側には、選択性膜52が設置される。不繊布層54の、トラップ層50が設置されていない側には、第2の選択性膜52’が設置される。図に示すように、選択性膜52は、カソード12によって位置が定められ、第2の選択性膜52’は、アノード14によって位置が定められる。
【0064】
第2の選択性膜52’は、選択性膜52と同様に、溶解金属イオンの拡散を制御する。またこの層は、トラップ層によって生成された生成物の拡散を遅延および/または抑制する。第2の選択性膜52’は、電解質を良く通し、例えば、セロファンまたはグラフト化ポリエチレンである。ある場合には、第2の選択性膜52’は、選択性膜52と同一のものであり、他の場合には、第2の選択性膜52’は、選択性膜52とは異なるものでる。例えば、第2の選択性膜52’は、選択性膜52とは異なる材料および/または厚さとすることができる。
【0065】
図4では、セパレータ70は、選択性膜52と第2の選択性膜52’の間に、トラップ層50を有する。選択性膜52は、カソード12によって位置が定められ、一方第2の選択性膜52’は、アノード14によって位置が定められる。両側に選択性膜を有するため、セパレータ70のトラップ層50が、過剰な溶解金属イオンで覆われることが回避される。
【0066】
図5では、セパレータ80は、トラップ層50および50’によって両側を取り囲まれた不繊布材料54を有する。トラップ層50および50’は、同一であっても異なっていても良い。トラップ層50は、選択性膜52に取り付けられ、トラップ層50’は、第2の選択性膜52’に取り付けられている。選択性膜52は、カソード12によって位置が定められ、第2の選択性膜52’は、アノード14によって位置が定められる。
【0067】
2つのトラップ層50および50’を有することにより、セパレータ80は、優れたトラップ性能を発揮する。例えば、トラップ層50および50’が同一または同等であるとき、カソードからの溶解金属イオンがトラップ層50から逃れても、これらは、トラップ層50’によって吸収される。2つのトラップ層を有するセパレータは、トラップ性能の点で、効率的な階段式効果を発揮する。例えば、溶解金属イオンの主要部が、第1のトラップ層(50)によって吸収されるが、これらのイオンの僅かの部分は、トラップされない可能性がある。第2のトラップ層(50’)は、比較的未変化のままの僅かの溶解金属イオンと対峙し、第1のトラップ層(50)によってトラップされなかった少量の溶解金属イオンを効率的にトラップする。
【0068】
ある実施例では、トラップ層50および50’は、相互に異なる。例えばある場合(図5のような場合)には、トラップ層50は、カソード12とトラップ層50’の間に設置される。そのような場合、トラップ層50は、カソード12から放出される金属イオンをトラップするように構成され、トラップ層50’は、トラップ層50において生じるイオンのトラッピング反応の際に生成される、複生成物イオンをトラップするように構成される。これとは別に、あるいはこれに加えて、トラップ層50’は、トラップ層50から逃れた溶解金属イオンを直接トラップするように構成されても良い。
【0069】
例えば、セパレータ80がCu(OH)2−溶解金属イオンをトラップするように構成されている場合、トラップ層50は、ビスマス金属粉末を含み、トラップ層50’は、例えばZrOナノ粒子を含む。トラップ層50では、以下のトラップ反応が生じる:
【0070】
【数6】


上記反応によって生じるBiは、9N KOH電解質中に部分的に溶解する。溶解したBiは、トラップ層50からカソードおよびアノードの両方に向かって泳動する。ある場合には、溶解したBiは、亜鉛アノード上で水素ガスを発生させる。トラップ層50’を使用して、溶解Biがアノードまたはカソードに到達する前に、溶解Biをトラップすることにより、この問題が回避される。例えばトラップ層50’は、ZrOを含み、これは、溶解Biと以下のように反応する:
【0071】
【数7】


BiとZrOの反応による生成物は、Bi−x ZrOであり、この物質は、Bi+ZrOの不溶性錯体である(組成は不明)。
【0072】
ある場合には、さらにトラップ層50’は、トラップ層50がトラップするように設計された溶解金属イオンと同じイオンをトラップすることができる、第2のトラッピング成分を含む。例えば、トラップ層50’は、ビスマス金属およびZrOの混合物を含む。ビスマス金属は、トラップ層50を通り抜けた溶解Cu(OH)2−イオンをトラップすることができ、ZrOは、上記(9)式によりBiをトラップすることができる。
【0073】
本願に示した特許出願、出版物および特許等の全ての参照文献は、本願の参照文献として取り入れられている。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】電池の実施例の断面図である。
【図2】セパレータの実施例の概略図である。
【図3】セパレータの別の実施例の概略図である。
【図4】セパレータの第3の実施例の概略図である。
【図5】セパレータの第4の実施例の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層を有するセパレータを備える電池であって、
前記第1の層は、溶解イオンの金属カチオン成分を還元することが可能な第1の材料を含むことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記溶解イオンは、多原子イオンであることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記溶解イオンは、金属カチオンであることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記第1の材料は、前記溶解イオンの金属カチオン成分の還元電位よりも卑な還元電位を有することを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記第1の材料は、前記溶解イオンの金属カチオン成分の還元電位よりも、約10mVから約2100mVだけ卑な還元電位を有することを特徴とする請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記第1の材料は、前記溶解イオンの金属カチオン成分の還元電位よりも、約500mVから約1500mVだけ卑な還元電位を有することを特徴とする請求項4に記載の電池。
【請求項7】
前記第1の材料は、水素の還元電位よりも貴な還元電位を有することを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項8】
前記第1の材料は、アルカリ電解質中、1mA/cmのH発生電流密度において、約500mVから約750mVの水素ガス発生過電圧を有することを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項9】
前記第1の材料は、金属を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項10】
前記金属は、ビスマス、スズ、亜鉛またはインジウムであることを特徴とする請求項9に記載の電池。
【請求項11】
前記第1の材料は、金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項12】
前記金属酸化物は、チタン酸化物、FeO、Fe、NbOまたはNbOであることを特徴とする請求項11に記載の電池。
【請求項13】
前記第1の材料は、金属水素化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項14】
前記金属水素化物は、チタン水素化物、ジルコニウム水素化物またはミッシュ金属合金水素化物であることを特徴とする請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記第1の材料は、塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項16】
前記塩は、金属塩であることを特徴とする請求項15に記載の電池。
【請求項17】
前記金属塩は、スズ硫化物、ビスマス硫化物、または鉄硫化物であることを特徴とする請求項16に記載の電池。
【請求項18】
前記第1の材料は、有機材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項19】
前記有機材料は、シュウ酸塩または酒石酸塩を有することを特徴とする請求項18に記載の電池。
【請求項20】
前記第1の材料は、有機複合剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項21】
前記第1の材料は、金属有機材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項22】
前記金属有機材料は、亜鉛ジエチルジチオカルバメートであることを特徴とする請求項21に記載の電池。
【請求項23】
さらに前記第1の層は、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(4−スチレンスルホン酸)からなる群から選定される部材を含むマトリクスを有することを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項24】
さらに前記第1の層は、第2の材料を含み、該第2の材料は、前記第1の材料と前記溶解イオンとの反応による生成物をトラップすることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項25】
前記第2の材料は、二酸化チタンまたは二酸化ジルコニウムであることを特徴とする請求項24に記載の電池。
【請求項26】
前記第1の層は、厚さが約1μmから約500μmの間にあることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項27】
前記第1の層の厚さは、前記セパレータの厚さの約30%から約70%の間にあることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項28】
さらに、前記第1の層と隣接する第2の層を有することを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項29】
前記第2の層は、不繊布材料を含むことを特徴とする請求項28に記載の電池。
【請求項30】
前記第2の層は、セロファンまたはグラフト化ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項28に記載の電池。
【請求項31】
前記第2の層は、溶解イオンの金属カチオン成分を還元することが可能な第2の材料を含むことを特徴とする請求項28に記載の電池。
【請求項32】
前記第1の層は、前記第2の層と接していることを特徴とする請求項28に記載の電池。
【請求項33】
前記第1の層は、少なくとも一つの他の層によって、前記第2の層と分離されていることを特徴とする請求項28に記載の電池。
【請求項34】
さらに前記セパレータは、第3の層を有することを特徴とする請求項28に記載の電池。
【請求項35】
前記第1の層は、前記第2の層と前記第3の層の間に設置されることを特徴とする請求項34に記載の電池。
【請求項36】
前記第2の層は、セロファンまたはグラフト化ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項34に記載の電池。
【請求項37】
前記第3の層は、セロファンを含むことを特徴とする請求項36に記載の電池。
【請求項38】
前記第3の層は、グラフト化ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項36に記載の電池。
【請求項39】
前記第1の層は、前記第2の層と前記第3の層の間に設置されることを特徴とする請求項36に記載の電池。
【請求項40】
前記第2の層は、不繊布材料を含み、前記第3の層は、セロファンまたはグラフト化ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項34に記載の電池。
【請求項41】
前記第1の層は、前記第2の層と前記第3の層の間に設置されることを特徴とする請求項40に記載の電池。
【請求項42】
前記第2の層は、溶解イオンの金属カチオン成分を還元することが可能な第2の材料を含むことを特徴とする請求項34に記載の電池。
【請求項43】
前記第2の層は、溶解イオンの金属カチオン成分を吸収することが可能な第2の材料を含むことを特徴とする請求項34に記載の電池。
【請求項44】
前記第3の層は、不繊布材料を含むことを特徴とする請求項42に記載の電池。
【請求項45】
前記第3の層は、前記第1の層と前記第2の層の間に設置されることを特徴とする請求項44に記載の電池。
【請求項46】
さらに前記セパレータは、第4の層を有することを特徴とする請求項40に記載の電池。
【請求項47】
前記第4の層は、溶解イオンの金属カチオン成分を還元することが可能な第2の材料を含むことを特徴とする請求項46に記載の電池。
【請求項48】
前記第1の層は、前記第3の層と前記第4の層の間に設置されることを特徴とする請求項47に記載の電池。
【請求項49】
前記第4の層は、セロファンを含むことを特徴とする請求項46に記載の電池。
【請求項50】
前記第4の層は、グラフト化ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項46に記載の電池。
【請求項51】
前記第4の層は、前記第2の層と接していることを特徴とする請求項46に記載の電池。
【請求項52】
前記第4の層は、前記第1の層と接していることを特徴とする請求項46に記載の電池。
【請求項53】
前記第4の層は、少なくとも一つの層によって、前記第1の層から分離されていることを特徴とする請求項46に記載の電池。
【請求項54】
さらに前記セパレータは、第5の層を有することを特徴とする請求項46に記載の電池。
【請求項55】
前記第4の層は、セロファンを含むことを特徴とする請求項54に記載の電池。
【請求項56】
前記第4の層は、グラフト化ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項54に記載の電池。
【請求項57】
前記第5の層は、溶解イオンの金属カチオン成分を還元することが可能な第2の材料を有することを特徴とする請求項54に記載の電池。
【請求項58】
前記第1の層および前記第5の層は、前記第3の層および前記第4の層の間に設置されることを特徴とする請求項57に記載の電池。
【請求項59】
前記溶解イオンは、Cu(OH)2−またはCu(OH)3−を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項60】
さらにカソードを有し、前記溶解イオンは、前記カソードから生じることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項61】
さらに前記セパレータは、セロファンまたはグラフト化ポリエチレンを含むことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項62】
前記セロファンまたはグラフト化ポリエチレンの厚さは、前記セパレータの厚さの約10%から約25%の間にあることを特徴とする請求項61に記載の電池。
【請求項63】
さらに前記セパレータは、不繊布材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項64】
前記不繊布材料は、ポリビニルアルコールファイバを含むことを特徴とする請求項63に記載の電池。
【請求項65】
前記不繊布材料は、厚さが約30μmから約120μmの間であることを特徴とする請求項63に記載の電池。
【請求項66】
前記不繊布材料は、前記セパレータの厚さの約25%から約60%の間の厚さであることを特徴とする請求項63に記載の電池。
【請求項67】
さらに、アノードおよびカソードを有し、前記セパレータは、前記アノードと前記カソードの間に設置されることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項68】
さらに前記セパレータは、不繊布材料を含む第2の層を有することを特徴とする請求項67に記載の電池。
【請求項69】
前記第2の層は、前記アノードと隣接していることを特徴とする請求項68に記載の電池。
【請求項70】
さらに前記セパレータは、セロファンまたはグラフト化ポリエチレンを含む第2の層を有することを特徴とする請求項67に記載の電池。
【請求項71】
前記第2の層は、前記アノードと隣接していることを特徴とする請求項70に記載の電池。
【請求項72】
前記第2の層は、前記カソードと隣接していることを特徴とする請求項70に記載の電池。
【請求項73】
さらに前記セパレータは、第3の層を有することを特徴とする請求項70に記載の電池。
【請求項74】
前記第3の層は、セロファンを有することを特徴とする請求項73に記載の電池。
【請求項75】
前記第3の層は、グラフト化ポリエチレンを有することを特徴とする請求項73に記載の電池。
【請求項76】
前記第2の層は、前記アノードに隣接し、前記第3の層は、前記カソードに隣接していることを特徴とする請求項74に記載の電池。
【請求項77】
前記カソードは、銅材料を含むことを特徴とする請求項67に記載の電池。
【請求項78】
前記カソードは、銅酸化物または銅水酸化物を含むことを特徴とする請求項67に記載の電池。
【請求項79】
前記カソードは、銅酸化物を含むことを特徴とする請求項78に記載の電池。
【請求項80】
前記カソードは、鉄酸塩、過マンガン酸塩、ニッケル酸化物、ニッケルオキシ水酸化物、コバルト酸化物、コバルトオキシ水酸化物、マンガン酸化物またはビスマス酸化物からなる群から選定される部材を含むことを特徴とする請求項67に記載の電池。
【請求項81】
さらに、アルカリ電解質を有することを特徴とする請求項67に記載の電池。
【請求項82】
銅酸化物を含むカソード、
亜鉛を含むアノード、および
前記カソードと前記アノードとの間に設置されたセパレータであって、
セロファンを含む第1の層と、
ビスマスを含む第2の層と、
二酸化ジルコニウムを含む第3の層と、
不繊布材料を含む4の層と、
を有するセパレータ、
を備える電池。
【請求項83】
前記銅酸化物は、CuOであることを特徴とする請求項82に記載の電池。
【請求項84】
さらに前記第2の層は、ポリアクリル酸ゲルを含むことを特徴とする請求項83に記載の電池。
【請求項85】
さらに前記第3の層は、ポリ(エチレンオキシド)を含むことを特徴とする請求項84に記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−507850(P2007−507850A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533988(P2006−533988)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/031560
【国際公開番号】WO2005/038961
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】